説明

有料駐輪システムにおける施錠装置

【要旨】
【課題】 無人型有料駐輪システムの施錠装置のいたずらや無断駐輪を防止する。
【解決手段】 二輪車の車輪を係留する巻装体11と、該巻装体の一端に取付けて前記施錠装置20にロック又はアンロックするロックキー12を設けた係留手段10と、ハウジング3の正面に設けたキー挿入口5の内部に設けた支持基枠22のキー溝部23に、前記ロックキー12の挿入により駐輪を感知する感知手段25と、前記感知手段25によってキー溝部23に挿入されたロックキー12をロックまたはアンロックする施錠手段31と、前記ロックキー12の施錠装置20への不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止する差込口45を有する窓枠42をキー挿入孔5に取付けた第1防御手段41と、前記ロックキー12の不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止する一対の狭持板51を、前記支持基枠22の両側にそれぞれ付勢させて取付けた第2防御手段50を備えてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車やオートバイなどの二輪車を係留して駐輪させる無人有料駐輪システムの施錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駅前やスーパーマーケットまたはマンションなどに設置したオートバイや自転車などの二輪車を駐輪させる有料駐輪システムは、自転車の車輪をロックする施錠装置と、自転車を取出すときに駐輪した利用時間を計算して料金を支払いまたは暗証番号の入力などにより前記施錠装置を電気的にロックまたはアンロックする課金手段とから構成されており、その施錠装置や課金手段には多種多様なものがある。
【0003】
特に、二輪車の車輪にチェーンを巻装して係留する駐輪システムは、装置が比較的安価であるため設置しやすいことから広く利用されている。この駐輪システムの施錠装置は、チェーンの一端を駐輪装置に固定し、該チェーンの他端に取付けたロックキーを施錠装置に差し込み、このロックキーのロック及びアンロックを駐輪課金装置と連動するソレノイドによって電気的に施錠または解錠する駐輪装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−304479号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明における施錠装置は、チェーンの先端に取付けたロック棒を施錠装置の差込口から挿入し、該差込口の延長上に位置する押圧棒を押し込んでマイクロスイッチをONにし、該マイクロスイッチのON信号によりソレノイドのプランジャーが前記ロック棒の頭部を前記施錠装置にロックさせて施錠するものである。
【0005】
しかし、前記施錠装置のロック棒を挿入する差込口の内部には、差込口から挿入したロック棒が確実に押圧棒を押すためのガイド部を設けてあるだけである。そのため、施錠装置のいたずらや無断駐輪しようとする者は、ロック棒の先端を差込口から挿入してガイド部内に止めて外観上はいかにも駐輪しているようにみせかけた不正駐輪やいたずらをすることができた。
【0006】
マイクロスイッチは押圧棒に押されるとON信号を発信し、ソレノイドを作動させてロック棒をロックするため、二輪車が駐輪していなくともマイクロスイッチを押すだけでスイッチがON信号を発信し、ついで、課金手段が自動的に課金を始めるなどしてマイクロスイッチがいたずらされやすい。このように、スイッチがいたずらされると当該駐輪システムが使用できなくなってしまうと共に、無駄に課金手段が作動してしまうなど大変迷惑である。さらに、いたずらによって施錠装置がロックした場合の解除には、いちいち解除信号を入力しなければならず大変不便であるなどの問題点を有している。
【0007】
そこで、本発明は、二輪車などの施錠装置に挿入させるロックキーの不正使用による無断駐輪やいたずらを防止して、正しい駐輪システムの施錠装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、複数の支柱上に設けたハウジング3に、二輪車の車輪を係留する巻装体11と該巻装体の一端に取付けて二輪車用有料駐輪システムの施錠装置20にロックまたはアンロックするロックキー12とを設けた係留手段10と、ハウジング3の正面に一定間隔毎に設けたキー挿入口5の内部に、前記ロックキー12を挿入させるキー溝部23を有して取付けた支持基枠22の該キー溝部23内に前記ロックキー12を挿入させることにより駐輪を感知する感知手段25と、前記感知手段25によってキー溝部23内に挿入させたロックキー12をロックまたはアンロックする施錠手段31と、前記ロックキー12の施錠装置20への不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止する差込口45を有した窓枠42にキー挿入孔5を取付けた第1防御手段41と、前記ロックキー12の不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止する一対の狭持板51を、前記支持基枠22の両側方向にそれぞれ付勢させて取付けた第2防御手段50とを具えてなることを特徴とする。また、前記係留手段10は、チェーン等により形成した巻装体11の一端をハウジング3に固定し、他端に取付けたロックキー12は、板状をした差込板13の中央に、前記施錠手段20の可動片35に設けた爪部36が挿入するロック孔15と、該ロック孔の両側に無断駐輪を防止する前記狭持板51に設けた狭持部52と係合する係止凹部16とを設けたことを特徴とする。さらに、前記感知手段25は、ロックキー12の挿入を感知する振子片26と、該振子片の枢動により前記施錠装置20の電気回路をONするスイッチ片28を具えたマイクロスイッチ29とからなり、該マイクロスイッチ29により一定時間経過後、施錠手段31と課金手段とにそれぞれON信号を発信可能に形成したことを特徴とする。さらにまた、前記施錠手段31は、前記支持基枠22の背後に設けた前記マイクロスイッチ片29からのON信号により作動するソレノイド32と、該ソレノイドの励磁によって作動する可動片35とからなり、前記ソレノイド32の励磁で作動する可動鉄心33が可動片35の下端角部を押し出して回動させると、該可動片の爪部36が前記ロックキー12のロック孔15に挿入してロックキー12を施錠することを特徴とする。また、前記第1防御手段41は、前記ハウジング3のキー挿入口5に取付ける係止段部43と窓受段部44とを窓枠42の背面に異段に形成し、前記窓枠42の内部に、前記ロックキー12の不正挿入を防止するテーパー部46と逆テーパー状の面取部47とを有する差込口45を設けたことを特徴とする。さらには、前記第2防御手段50は、前記支持基枠22に設けたキー溝部23の両側で、該キー溝部内に挿入したロックキー12が正しい位置に挿入されると該ロックキーの係止凹部16と嵌合する略くの字形に形成した狭持部52を有してそれぞれ内方に付勢させ手左右対称に設けた一対の狭持板51とからなることを特徴とする。
【0009】
したがって、ロックキー12を挿入する差込口45の前後に広角のテーパー部46と面取部47とを有した窓枠42からなる第1防御手段41と、ハウジング3内に位置した支持基枠22の両側に弾発力を有する一対の狭持板51を取付けて形成した第2防御手段50とをそれぞれ設けたことにより、ロックキー12の不正挿入によるいたずらや無断駐輪を防止することができる。
【0010】
請求項7の発明について説明すると、複数の支柱上に設けたハウジング3に一定間隔毎に設けた二輪車用の車輪を係留する係留手段10は、チェーン等により形成した巻装体11の一端をハウジング3に固定し、他端をロックキー12に連結して形成し、前記ハウジング3の正面に設けたキー挿入口5の内側に前記ロックキー12を挿入させるキー溝部23を有した支持基枠22を取付け、該支持基枠にロックキー12の挿入を感知する振子片26と、該振子片の枢動によって二輪車用有料駐輪シイステムの施錠装置20の電気回路をONするスイッチ片28を有するマイクロスイッチ29とからなる感知手段25を設け、前記マイクロスイッチ29より一定時間経過後に施錠手段31と課金手段とにそれぞれON信号を発信し、さらに、前記支持基枠22の後方下部に、前記マイクロスイッチ29のON信号で励磁するソレノイドと、該ソレノイドの作動で枢動する可動片35とからなる施錠手段31とを設け、前記ソレノイド32の励磁により作動する可動鉄心33が可動片35の一端を押して枢動させ、該可動片の爪部36を前記ロックキー12のロック孔15に挿入させて施錠可能に形成し、前記ハウジング3のキー挿入口5にロックキー12の不正挿入を防止する断面V字形に形成した差込口45を有した窓枠42を取付けて形成した第1防御手段41と、前記支持基枠22に設けたキー溝部23の両側には、該キー溝部内にロックキー12が正確に挿入されると該ロックキー12の係止凹部16と嵌合する狭持部52を有した挟持板51を設け、ロックキー12をキー溝部23に不正挿入するとロックキー12の進入を排除する左右対称に形成して弾発力を有した一対の狭持板51からなる第2防御手段50とを設けたことを特徴とするものである。
【0011】
したがって、ロックキー12を挿入する差込口45の前後に広角のテーパー部46と面取部47を有した窓枠42からなる第1防御手段41を設けたことにより、前記差込口45にロックキー12を係止する平面状の支点部分がないためロックキーは掛止できず自重で落下するので、ロックキー12によるいたずらや無断駐輪を防止することができる。さらに、ハウジング3内に位置した支持基枠22のキー溝部23の両側には、前記ロックキー12が正しい位置に挿入されたときにロックキーを保持すると共に、不正挿入がされたときにはロックキー12の係止を排除する一対の狭持板51からなる第2防御手段50を設けたことによりロックキー12の不正挿入やいたずらによる誤作動を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る実施形態を実施例の図面により説明すると、図1は駐輪システムに二輪車を駐輪した状態を示す説明図、図2は駐輪システムに二輪車を駐輪させた状態を示す側面図、図3はロックキーの要部拡大平面図、図4は本発明に係る施錠装置の拡大断面図、図5は図4のA―A断面図、図6は第1防御手段である窓枠の正面図、図7は図6のB―B断面図、図8は施錠装置にロックキーを差し込む前状態を示す断面図、図9は施錠装置にロックキーを差し込んだ作動状態を示す説明図、図10は施錠装置に差し込まれたロックキーの平面図である。駐輪システムは、図1、2に示すごとく、例えば、地表面やコンクリート面や床面等の路面上に、それぞれ並列に樹立させた複数の支柱2の上部に横長のハウジング3を設け、該ハウジングの正面に駐輪させる各二輪車Xが相互に干渉しない所定の一定間隔にキー挿入口5を設け、各キー挿入口5ごとに駐輪させる二輪車Xの車輪Yを係留する係留手段10を設け、前記ハウジング3内のキー挿入口5付近に位置させた基台6上にそれぞれ施錠装置20を取付けて形成してある。この施錠装置20には、駐輪したことを感知する感知手段25と、該感知手段によってロックキー12をロックまたはアンロックする施錠手段31と、ロックキーの不正挿入によるいたずらや無断駐輪を防止する第1、2防御手段41、50と、ロックキー12の挿入により一定の駐輪料金を徴収する課金手段(図示せず)とを設けて構成されている。
【0013】
前記係留手段10は、図1、3に示すごとく、二輪車Xの車輪Yを係留する巻装体11と、該巻装体の一端に取付けたロックキー12とからなり、前記巻装体11を構成するチェーンの一端をハウジング3に固定し、他端にロックキー12を連結して形成してある。前記巻装体11の実施例としてチェーンを使用し、該チェーンの外周面に、ビニールホースなどの保護カバー(図示せず)を装着して車輪Yに巻装したときの傷付きを防止することもできる。前記巻装体11は、実施例としてチェーンを使用したが、ワイヤーロープや合成繊維で編成した切断困難な繊維ロープなどで形成してもよい。
【0014】
図3に示すロックキー12は、先端に板状をした差込部13を設け、該差込部の略中央に前記施錠手段31の可動片35に設けた爪部36が挿入するロック孔15と、両側には第2防御手段50である狭持板51の狭持部52が係合する係止凹部16を形成し、先端両側には第2防御手段50への挿入を容易にする面取部17を設けてある。
【0015】
前記施錠装置20は、図4、5に示すごとく、ハウジング3内において、キー挿入口5の内ぶにそれぞれ設けた基台6上に一対の支持基枠22を取付け、該支持基枠にキー挿入口5から挿入されたロックキー12が挿入するキー溝部23を設けてある。さらに、この支持基枠22のキー溝部23にロックキー12が挿入されたことを感知する感知手段25をハウジング3内に設け、支持基枠22の後方にはロックキー12をロックまたはアンロックする施錠手段31の可動片35を枢動可能に取付けてある。
【0016】
前記感知手段25は、図4に示すごとく、前記支持基枠22のキー溝部23の上方に振子片26と、該振子片の枢動によって前記施錠装置20の電気回路をONにするスイッチ片28を有したマイクロスイッチ29を設け、該マイクロスイッチ29より一定時間(好ましくは10秒から30秒間)経過後に、施錠手段20と課金手段(図示せず)とにそれぞれON信号を発信可能に形成してある。
【0017】
前記振子片26は、略三角形状に形成して一端角部を枢動可能に軸支し、自重で下方に垂れた振子片26の一辺が、垂直方向に係止するように位置させて支持基枠22の端部にストッパ27に係止させ、振子片26の垂直辺の下端角部が前記支持基枠22のキー溝部23に位置するようにして、前記キー溝部23に挿入されたロックキー12の先端と確実に当接して作動するようにしてある。
【0018】
前記施錠手段31は、支持基枠22の後方下部に位置したソレノイド32と、該ソレノイドの励磁で作動する可動片35とからなり、前記スイッチ片28を有したマイクロスイッチ29からのON信号でレノイド32が励磁すると、該ソレノイドの可動鉄心33が飛び出し、該可動鉄心と同一軸心上にある可動片35の下部一端を押し出すように枢動させる。前記可動片35は、図8、9に示すごとく、前記ロックキー12のロック孔15に挿入する爪部36の下端と、支持基枠22に枢動可能に軸支した支持部37の下端とを連結部38で一体に連結して形成してある。
【0019】
この可動片35は、支持部37の上方を支持基枠22に枢動可能に軸支したことにより、爪部36が自重で下方に位置した基台6上に当接してある。この可動片35の爪部36が自重で基台6上に位置すると、支持部37の下端角部37aは、該作動片と延長線上に位置したOFF状態の可動鉄心33に近接して位置し、爪部36の上端は、前記ロックキー12を支持基枠22のキー挿入溝23に挿通したときに当接しないキー挿入溝23の下側に位置させてある。
【0020】
前記防御手段は、ハウジング3のキー挿入口5に取付けた第1防御手段41と、施錠装置20の支持基枠22に取付けた第2防御手段50とで二重に設けてある。第1防御手段は、図4、6、7に示すごとく、窓枠42の背面側即ち後部側に、前記ハウジング3のキー挿入口5に取付ける係止段部43と窓受段部44をそれぞれ異段に形成してある。さらに、前記窓枠42の内部に前記ロックキー12の差込部13を挿通する差込口45を開口し、該差込口の表面側に広角なテーパー部46を設け、差込口45の裏面に放射状に広がる面取部47を設けて形成してある。
【0021】
この差込口45の表裏両面に広角なテーパー部46と逆テーパー状の面取部47とを設けたことにより、図7に示すごとく、不正駐輪やいたずら目的でロックキー12の差込部13を差込口45に引っ掛けて止めようとしても、差込口45の周縁には差込部13を係止する平面部がないので、差込口45に差し込んだ状態でロックキーから手を離すと自重でテーパー部46に沿って傾倒しながら落下してしまい、ロックキー12の不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止できる。
【0022】
第2防御手段50は、図5に示すごとく、前記支持基枠22に設けたキー溝部23の両側において、左右対称に形成して内方に弾発力を有する一対の狭持板51からなり、該狭持板51の略先端はそれぞれ内方に折曲げてくの字状に形成した狭持部52を形成してある。
【0023】
したがって、ロックキー12が正しく挿入された場合、キー挿入口5から挿入されたロックキー12の先端が支持基枠22のキー溝部23にさしかかると、ロックキー12の面取部17が狭持板51の内面と摺動しながら両狭持板51をそれぞれ外方に押し広げながら進入し、最深部まで進入すると該狭持板の弾発力で狭持部52がロックキー12の係止凹部16に嵌合して係止する。ロックキー12を狭持板51に嵌合係止させることにより、施錠手段31によるロックキー12の施錠を確実に行うことができる。
【0024】
また、不正挿入やいたずらを目的としてキー挿入口5からロックキー12を挿入して前記第1防御手段41より奥側に係止しようとすると、第2防御手段50である狭持板51の狭持部52が狭幅で弾発力を有しているため、ロックキー12の先端が狭持板51の内側に当接した後、軽く押し当てただけでは狭持板51の弾発力で押し戻され、そのままの位置にロックキー12を係止させることができない。したがって、前記第1防御手段41の窓枠42と相俟って施錠装置20内に取付けた第2防御手段50である狭持板51とでロックキー12を不正挿入して駐輪しようとしても施錠装置20に引っ掛けて係止させることができず、ロックキー12の不正挿入による無断駐輪やいたずらを二重に防止することができる。
【0025】
前記した課金手段(図示せず)は、公知のいずれの課金手段を使用してもよく、例えば、駐輪したことを感知するマイクロスイッチ29からのON信号は、施錠手段31と課金手段とを作動させる制御盤(図示せず)を介して行う。この制御盤には、マイクロスイッチ29からのON信号により駐輪を確認する駐輪信号処理手段と、該駐輪信号処理手段で駐輪が確認されると駐輪時間を計測するタイマー手段と、該タイマー手段で計測した駐輪時間を駐輪代金に換算する演算手段と、該演算手段で演算された駐輪代金を表示する表示手段とを有し、さらにコイン受入手段に入れられた紙幣またはコインを識別するコイン識別手段と、このコイン識別手段で識別された金額と前記演算手段で演算された金額とが一致することを確認する精算手段と、この精算手段で駐輪時間に見合う金額が精算させたことを確認、または、前記駐輪信号処理手段で駐輪が確認されると、前記施錠手段31のソレノイド32への通電回路をON、OFFして前記可動片35を開閉動させる信号を出力するロック信号処理手段などにより構成してもよい。
【0026】
この課金手段を、マンションなどの駐輪場として使用する場合は、駐輪場は主に盗難防止を目的とするところから、現金でなく暗証番号やカード方式にすることができるのは勿論である。
【0027】
以下、施錠装置20の実施形態の作用について説明すると、図1に示すごとく駐輪システムに二輪車Xを駐輪させる場合、駐輪システムの所定位置に駐輪させた二輪車Xの車輪Yを係留手段10の巻装体11で巻装して係留し、該巻装体のロックキー12をハウジング3のキー挿入口5に挿入することにより施錠装置20を作動させ施錠する。
【0028】
図9において、矢印「a」で示すように、施錠する場合には、ロックキー12の差込部13を窓枠42の差込口45から支持基枠22のキー溝部23内に進入させ、さらに支持基枠22の両側に位置した狭持板51の弾発力に抗して押圧進入させると、差込部13の先端がキー溝部23内に位置した振子片26の一端を、矢印「b」で示すように、上方に押上げながら最深部まで侵入して停止すると同時に、差込部13の両側係止凹部16と狭持板51の狭持部52とが嵌合係止する。
【0029】
次いで、前記振子片26が矢印「b」で示すように、ロックキー12によって押上げられて枢動すると振子片26の一端がスイッチ片28と当接して押上げ、該スイッチ片を有したマイクロスイッチ29を作動させることにより電気回路をONにしてソレノイド32を励磁にする。マイクロスイッチからのON信号は、一定時間(好ましくは10秒から30秒間)経過後に施錠手段31と課金手段とにそれぞれ発信される。
【0030】
さらに、矢印「c」で示すように、前記マイクロスイッチ29からのON信号で施錠手段31であるレノイド32が励磁すると可動鉄心33が前方に飛び出し、該可動鉄心の下端37aを前方に押し出すと、矢印「d」で示すように、可動鉄心33の押圧力で可動片35が枢動して、他端の爪部36が上方に回動し、キー溝部23内に位置したロックキー12のロック孔15に挿入する。前記可動鉄心33が可動片35を前方に押し出して回動させた状態で停止するため、可動片35の爪部36はその位置に停止してロックキー12を施錠することができる(図9)。
【0031】
施錠装置20を不正挿入による無断駐輪やいたずらする目的で、ロックキー12を第1防御手段41である窓枠42の差込口45内に挿入すると、該差込口の表裏両面を広角に形成したテーパー部46と逆テーパー状の面取部47とを設けてあることからロックキー12を差込口45付近で係止させようとしても、ロックキー12を係止させる平面部分(支点)がないのでロックキー12は自重で下方に傾斜しながらテーパー部46に沿って落下するのでロックキー12の不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止できる。
【0032】
さらに、施錠装置20に取付けた第2防御手段50を兼ねた狭持板51は、ロックキー12を狭持板51に嵌合係止させることにより、施錠手段31によるロックキー12の施錠を確実に行うことができる。一方、不正挿入やいたずらを目的としてロックキー12を挿入すると、狭持板51の狭持部52が狭幅で弾発力を有するため、ロックキー12の先端が狭持板51の内側に当接した後、強く押圧しないと狭持板51は左右に拡がらず、軽く押し当てただけでは狭持板51の弾発力で押し戻され、そのままの位置にロックキー12を係止させることができず、そのため、ロックキーは自重で脱落してしまうのでロックキーの不正挿入目的での無断駐輪やいたずらを防止することができる。
【0033】
以上のごとく、ハウジング3のキー挿入口5に取付けた第1防御手段41である窓枠42と、支持基枠22の両側に取付けた第2防御手段50である狭持板51とからなる二重の防御手段を設けたことにより、不正使用目的での無断駐輪やいたずらを確実に防止することができる。
【0034】
施錠装置20の開錠は、課金装置の料金を精算することにより、課金装置からソレノイド32にOFF信号が送られてソレノイド32が消磁する。ソレノイド32が消磁すると可動鉄芯33が元の位置に戻ると同時に作動片35を押圧している力が無くなり、作動片35は自重で下方に回動して爪部36がロックキー12のロック孔15から抜けてロックキー12のロックを解除することができる。次いで、ロックキー12を施錠装置20から引き抜き、車輪Yを係留している巻装体11を解くことにより開錠することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】駐輪システムに二輪車を駐輪させた状態を示す説明図である。
【図2】係留手段で二輪車を駐輪させた状態を示す側面図である。
【図3】ロックキーの要部拡大平面図
【図4】本発明に係る施錠装置の拡大断面図である。
【図5】図4のA―A断面図である。
【図6】第1防御部である窓枠の正面図である。
【図7】図6のB―B断面図である。
【図8】施錠装置にロックキーを差し込む前状態を示す断面図である。
【図9】施錠装置にロックキーが差し込まれた作動状態を示す説明図である。
【図10】施錠装置に差し込まれたロックキーの施錠状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
2 支柱
3 ハウジング
5 キー挿入口
10 係留手段
11 巻装体
12 ロックキー
13 差込部
15 ロック孔
16 係止凹部
20 施錠装置
22 支持基枠
23 キー溝部
25 感知手段
26 振子片
27 ストッパ
28 スイッチ片
29 マイクロスイッチ
31 施錠手段
32 ソレノイド
33 可動鉄心
35 可動片
36 爪部
37 支持部
38 連結部
41 第1防御手段
42 窓枠
43 係止段部
44 窓受段部
45 差込口
46 テーパー部
47 面取部
50 第2防御手段
51 狭持板
52 狭持部
X 二輪車
Y 車輪



【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支柱上に設けたハウジング3に、二輪車の車輪を係留する巻装体(11)と該巻装体の一端に取付けて二輪車用有料駐輪システムの施錠装置(20)にロックまたはアンロックするロックキー(12)とを設けた係留手段(10)と、
ハウジング(3)の正面に一定間隔毎に設けたキー挿入口(5)の内部に、前記ロックキー(12)を挿入させるキー溝部(23)を有して取付けた支持基枠(22)の該キー溝部(23)内に前記ロックキー(12)を挿入させることにより駐輪を感知する感知手段(25)と、
前記感知手段(25)によってキー溝部(23)内に挿入させたロックキー(12)をロックまたはアンロックする施錠手段(31)と、
前記ロックキー(12)の施錠装置(20)への不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止する差込口(45)を有した窓枠(42)にキー挿入口(5)を取付けた第1防御手段(41)と、
前記ロックキー(12)の不正挿入による無断駐輪やいたずらを防止する一対の狭持板(51)を、前記支持基枠(22)の両側方向にそれぞれ付勢させて取付けた第2防御手段(50)とを具えてなることを特徴とする有料駐輪システムの施錠装置。
【請求項2】
前記係留手段(10)は、チェーン等により形成した巻装体(11)の一端をハウジング(3)に固定し、他端に取付けたロックキー(12)は、板状をした差込部(13)の中央に、前記施錠装置(20)の可動片(35)に設けた爪部(36)が挿入するロック孔(15)と、該ロック孔の両側に無断駐輪を防止する前記狭持板(51)に設けた狭持部(52)と係合する係止凹部(16)とを設けたことを特徴とする請求項1記載の有料駐輪システムの施錠装置。
【請求項3】
前記感知手段(25)は、ロックキー(12)の挿入を感知する振子片(26)と、該振子片の枢動により前記施錠装置(20)の電気回路をONするスイッチ片(28)を具えたマイクロスイッチ(29)とからなり、該マイクロスイッチ(29)より一定時間経過後に施錠手段(31)と課金手段とにそれぞれON信号を発信可能に形成したことを特徴とする請求項1または2記載の有料駐輪システムの施錠装置。
【請求項4】
前記施錠手段(31)は、前記支持基枠(22)の背後に設けた前記マイクロスイッチ(29)からON信号により作動するソレノイド(32)と、該ソレノイドの励磁により作動する可動片(35)とからなり、前記ソレノイド(32)の励磁で作動する可動鉄心(33)が可動片(35)の下端角部を押し出して回動させると、該可動片の爪部(36)が前記ロックキー(12)のロック孔(15)に挿入してロックキー(12)を施錠することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有料駐輪システムの施錠装置。
【請求項5】
前記第1防御手段(41)は、前記ハウジング(3)のキー挿入口(5)に取付ける係止段部(43)と窓受段部(44)とを窓枠(42)の背面に異段に形成し、前記窓枠(42)の内部に、前記ロックキー(12)の不正挿入を防止するテーパー部(46)と逆テーパー状の面取部(47)とを有する差込口(45)を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の有料駐輪システムの施錠装置。
【請求項6】
前記第2防御手段(50)は、前記支持基枠(22)に設けたキー溝部(23)の両側で、該キー溝部内に挿入したロックキー(12)が正しい位置に挿入されると該ロックキーの係止凹部(16)と嵌合する略くの字形に形成した狭持部(52)を有してそれぞれ内方に付勢させて左右対称に設けた一対の狭持板(51)とからなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の有料駐輪システムの施錠装置。
【請求項7】
複数の支柱上に設けたハウジング3に一定間隔毎に設けた二輪車の車輪を係留する係留手段(10)は、前記チェーン等により形成した巻装体(11)の一端をハウジング(3)に固定し、他端をロックキー(12)に連結して形成し、前記ハウジング(3)の正面に設けたキー挿入口(5)の内部に前記ロックキー(12)を挿入させるキー溝部(23)を有した支持基枠(22)を取付け、該支持基枠にロックキー(12)の挿入を感知する振子片(26)と、該振子片の枢動によって二輪車用有料駐輪システムの施錠装置(20)の電気回路をONするスイッチ片(28)を有するマイクロスイッチ(29)とからなる感知手段(25)を設け、前記マイクロスイッチ(29)より一定時間経過後に施錠装置(20)と課金手段とにそれぞれON信号を発信し、さらに、前記支持基枠(22)の後方下部に、前記マイクロスイッチ(29)のON信号で励磁するソレノイド(32)と、該ソレノイドの作動で枢動する可動片(35)とからなる施錠手段(31)とを設け、前記ソレノイド(32)の励磁により作動する可動鉄心(33)が可動片(35)の一端を押して枢動させ、該可動片の爪部(36)を前記ロックキー(12)のロック孔(15)に挿入させて施錠可能に形成し、前記ハウジング(3)のキー挿入口(5)にロックキー(12)の不正挿入を防止する断面V字形に形成した差込口(45)を有した窓枠(42)を取付けて形成した第1防御手段(41)と、前記支持基枠(22)に設けたキー溝部(23)の両側には、該キー溝部内にロックキー(12)が正確に挿入されると該ロックキー(12)の係止凹部(16)と嵌合する狭持部(52)を有する挟持板(51)を設け、ロックキー(12)をキー溝部(23)に不正挿入するとロックキー(12)の進入を排除する左右対称に形成して弾発力を有した一対の狭持板(51)からなる第2防御手段(50)とを設けたことを特徴とする有料駐輪システムの施錠装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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