説明

有機エレクトロルミネセンスデバイス

本発明は、少なくとも一つの燐光エミッターおよび少なくとも二つのマトリクス材料の混合物を発光層に含む燐光有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの燐光ドーパントおよび少なくとも二つのマトリクス材料を含む少なくとも一つの層を含む有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【0002】
有機半導体が機能性材料として使用される有機エレクトロルミネセンスデバイス(OLED)の構造は、たとえば、US 4539507、US 5151629、EP 0676461およびWO 98/27136に記載されている。有機エレクトロルミネセンスデバイスの分野における発展は、燐光OLEDである。これらは、蛍光OLEDと比較して、達成可能な高い効率を有するため有意に優れている。
【0003】
しかし、燐光OLEDの場合、まだ改良の必要がある。これは、特に、デバイスの効率と寿命にあてはまる。
【0004】
したがって、本発明が基礎とする技術的目的は、改良された寿命を有する燐光有機エレクトロルミネセンスデバイスを提供することである。更なる目的は、改良された効率を有する燐光有機エレクトロルミネセンスデバイスを提供することである。
【0005】
先行技術に従うと、電子伝導性材料、たとえば、ケトン(たとえば、WO 2004/093207に従うか、または、未公開出願DE 102008033943.1に従う)またはトリアジン誘導体(たとえば、未公開出願DE 102008036982.9に従う)などが、燐光エミッターのためのマトリクス材料として使用されている。特にケトンについて、低い動作電圧と長い寿命が達成され、これによりこのクラスの化合物は、非常に興味深いマトリクス材料となる。しかし、これらマトリクス材料の使用に関して、他のマトリクス材料の場合と同様、特にデバイスの効率および寿命について、まだ改良の必要がある。
【0006】
先行技術は、二つのマトリクス材料の混合物にドープされた燐光エミッターを含む有機エレクトロルミネセンスデバイスを更に開示する。
【0007】
US 2007/0252516は、正孔伝導性マトリクス材料および電子伝導性マトリクス材料の混合物を含む燐光有機エレクトロルミネセンスデバイスを開示する。これらOLEDについて、改良された効率が開示される。寿命に対する効果は明らかでない。
【0008】
US 2007/0099026は、白色発光有機エレクトロルミネセンスデバイスを開示し、ここで、緑色または赤色発光層は、燐光エミッター、および正孔伝導性マトリクス材料および電子伝導性マトリクス材料の混合物を含む。記載される正孔伝導性材料は、とりわけ、トリアリールアミンおよびカルバゾール誘導体である。記載される電子伝導性材料は、とりわけ、アルミニウムおよび亜鉛化合物、オキサジアゾール化合物、およびトリアジンまたはトリアゾール化合物である。これらOLEDについて、更なる改良がなお望まれている。
【0009】
発光層で燐光エミッターのために使用されるマトリクスが、少なくとも二つのマトリクス材料の混合物であり、ここで、二つのマトリクス材料の一方は、電荷を輸送することができる材料、すなわち電子または正孔輸送材料であり、二つのマトリクス材料の他方は、電荷の輸送に関与しないように選択される材料である場合、低分子量分子 (いわゆる小分子) に基づく燐光有機エレクトロルミネセンスデバイスの効率と寿命の両方が有意に改良されることが驚くべきことに見出された。これは、HOMO (最高被占分子軌道) およびLUMO (最低空分子軌道) の位置、およびエネルギーギャップ (バンドギャップ) が、それに相当するように選択された材料により達成される。電子輸送材料および正孔輸送材料の混合物を燐光エミッターのためのマトリクスとして含むエレクトロルミネセンスデバイスよりも、このタイプのエレクトロルミネセンスデバイスにより、とりわけ効率と寿命に関して、優れた結果が達成される。
【0010】
よって、本発明は、陽極、陰極、並びに二つの材料AおよびBの混合物にドープされた少なくとも一つの燐光化合物を含む少なくとも一つの発光層を備えた有機エレクトロルミネセンスデバイスであって、これら材料が、2000 g/mol以下の分子量を有する所定の低分子量化合物であり、材料Aが、電荷輸送材料であることと、材料Bが、-5.4 eV以下のHOMOおよび-2.4 eV以上のLUMOを有し、かつ少なくとも3.5 eVのエネルギーギャップを有する材料であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。
【0011】
ここで材料AおよびBは、燐光化合物のためのマトリクス材料であり、それ自体、エレクトロルミネセンスデバイスによる発光に関与しない。
【0012】
電荷輸送マトリクス材料Aは、正孔輸送材料または電子輸送材料であり得る。
【0013】
本出願の目的のために、正孔輸送材料は、-5.4 eVより大きいHOMOにより特徴づけられる。本出願の目的のために、電子輸送材料は、-2.4 eV未満のLUMOにより特徴づけられる。HOMOおよびLUMOの位置、およびエネルギーギャップは、実施例の部分で詳細に一般的に記載されるとおり、ここでは決定される。
【0014】
本発明の有機エレクトロルミネセンスデバイスは、上述のとおり、陽極、陰極、並びに陽極と陰極の間に配置された少なくとも一つの発光層を備える。ここで発光層は、少なくとも一つの燐光化合物、および更に少なくとも一つの電荷輸送マトリクス材料、および更に-5.4 eV以下のHOMO、-2.4 eV以上のLUMOおよび3.5 eV以上のエネルギーギャップを有するマトリクス材料を含む。有機エレクトロルミネセンスデバイスは、有機または有機金属材料から作られた層のみを必ずしも含んでいる必要はない。よって、陽極、陰極および/または1以上の層が、無機材料を含んでいること、または無機材料から完全に作られていることも可能である。
【0015】
本発明の目的のために、燐光化合物は、比較的高いスピン多重度の励起状態、すなわち>1のスピン状態から、とりわけ励起三重項状態から、ルミネセンスを室温で発する化合物である。本発明の目的のために、全ての発光遷移金属錯体、とりわけ全ての発光イリジウム、プラチナ、および銅化合物は、燐光化合物とみなされ得る。
【0016】
本発明の好ましい態様において、燐光化合物は、赤色燐光化合物または緑色燐光化合物である。
マトリクス材料AおよびBは、好ましくは、70℃より高い、特に好ましくは90℃より高い、きわめて特に好ましくは110℃より高いガラス転移温度TGを有する。
【0017】
発光層中の燐光化合物の割合は、好ましくは、1〜50体積%、特に好ましくは3〜30体積%、きわめて特に好ましくは5〜25体積%、とりわけ10〜20体積%である。
【0018】
マトリクス材料Aとマトリクス材料Bの比は、変動し得る。特に、OLEDの電荷バランスは、この比の変動により、簡単かつ再現可能に調整することができる。よって、混合比の調整により、OLEDの効率を容易に最適化することができる。ここで電荷輸送マトリクス材料Aとマトリクス材料Bの混合比は、それぞれの場合、体積に基づいて、一般に、10:1〜1:10、好ましくは7:1〜1:7、特に好ましくは4:1〜1:4である。
【0019】
発光層中に本発明に従って存在する電荷輸送マトリクス材料Aとマトリクス材料Bおよび燐光化合物の好ましい態様は、以下に示される。
【0020】
本発明の好ましい態様において、電荷輸送マトリクス材料Aは、電子伝導性化合物である。適切な好ましい電子輸送マトリクス材料は、芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシド、芳香族スルホキシド、芳香族スルホン、トリアジン誘導体、亜鉛錯体およびアルミニウム錯体からなる群より選択される。
【0021】
本出願の目的のために、芳香族ケトンは、二個の芳香族もしくはヘテロ芳香族基または芳香族もしくはヘテロ芳香族環構造が直接結合するカルボニル基を意味するものと解される。芳香族スルホンおよびスルホキシドは、これに従って規定される。本出願の目的のために、芳香族ホスフィンオキシドは、三個の芳香族もしくはヘテロ芳香族基または芳香族もしくはヘテロ芳香族環構造が直接結合するホスフィンオキシド基を意味するものと解される。
【0022】
本発明の好ましい態様において、芳香族ケトンは、以下の式(1a)の化合物であり、芳香族ホスフィンオキシドは、以下の式(1b)の化合物である:
【化1】

【0023】
ここで、使用される記号は以下が適用される:
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これはそれぞれの場合、1以上のR基により置換されていてもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、B(R、B(N(R、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルまたはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分枝または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはチオアルコキシ基(これらの各々は、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく、ここで1以上の隣接していないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R,Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよく、またここで1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造(これはそれぞれの場合、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、またはこれら構造の組み合わせであり;ここで2以上の隣接する置換基Rは、互いに単環式、多環式、脂肪族または芳香族環構造を形成してもよく;
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、H、D、CNまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族炭化水素ラジカルであり、ここで、更にH原子は、Fにより置換されていてもよく;ここで2以上の隣接する置換基Rは、互いに単環式、多環式、脂肪族または芳香族環構造を形成してもよい。
【0024】
本発明の目的のために、アリール基は、少なくとも6個のC原子を含有し;本発明の目的のために、ヘテロアリール基は、少なくとも2個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含有するが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。ここでアリール基またはヘテロアリール基は、単純な芳香族環、すなわちベンゼン、または、単純なヘテロ芳香族環、例えば、ピリジン、ピリミジン、チオフェン等、または、縮合アリールもしくはヘテロアリール基、例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン、キノリン、イソキノリン等の何れかを意味するものと解される。
【0025】
本発明の目的のために、芳香族環構造は、環構造中に少なくとも6個のC原子を含有する。本発明の目的のために、ヘテロ芳香族環構造は、環構造中に少なくとも2個のC原子と少なくとも1個のヘテロ原子を含有するが、但し、C原子とヘテロ原子の合計は少なくとも5個である。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選択される。本発明の目的のために、芳香族またはヘテロ芳香族環構造は、必ずしもアリールまたはヘテロアリール基のみを含有する構造ではなく、代わりに、ここで複数のアリールまたはヘテロアリール基が、例えばsp混成のC、NもしくはO原子またはカルボニル基などの短い非芳香族単位(好ましくは10%未満のH以外の原子)により更に中断されていてもよい構造を意味するものと解されることを意図する。したがって、例えば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン、ベンゾフェノンなどの構造も、本発明の目的のための芳香族環構造を意味するものと解されることを意図する。同様に、芳香族またはヘテロ芳香族環構造は、複数のアリールまたはヘテロアリール基が、互いに単結合により結合される構造、例えば、ビフェニル、テルフェニルまたはビピリジンを意味するものと解される。
【0026】
本発明の目的のために、C〜C40-アルキル基(ここで、個々のH原子またはCH基は、上記した基により更に置換されていてもよい)は、特に好ましくは、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、t-ペンチル、2-ペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、s-ヘキシル、t-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、ネオヘキシル、シクロヘキシル、2-メチルペンチル、n-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、4-ヘプチル、シクロヘプチル、1-メチルシクロヘキシル、n-オクチル、2-エチルヘキシル、シクロオクチル、1-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-ビシクロ[2.2.2]オクチル、2-(2,6-ジメチル)オクチル、3-(3,7-ジメチル)オクチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルおよび2,2,2-トリフルオロエチルのラジカルを意味するものと解される。C〜C40-アルケニル基は、好ましくは、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニルまたはシクロオクテニルを意味するものと解される。C〜C40-アルキニル基は、好ましくは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニルまたはオクチニルを意味するものと解される。C〜C40-アルコキシ基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシまたは2-メチルブトキシを意味するものと解される。5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造(それぞれの場合、上記したラジカルRにより置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して芳香族またはヘテロ芳香族環構造に連結していてもよい)は、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ベンズアントラセン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ベンゾフルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、ジベンゾフルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-若しくはトランス-インデノフルオレン、シス-若しくはトランス-モノベンゾインデノフルオレン、シス-若しくはトランス-ジベンゾインデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン、4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザペリレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールに由来する基を意味するものと解される。
【0027】
式(1a)の適切な化合物は、特に、WO 04/093207および未公開のDE 102008033943.1に開示されるケトンであり、式(1b)の適切な化合物は、WO 05/003253に開示されるホスフィンオキシドである。これらは、参照により本発明に組み込まれる。
【0028】
式(1a)および(1b)の化合物の定義から、これらが、たった一つのカルボニルまたはホスフィンオキシド基を含有している必要はなく、代わりに、複数のこれらの基を含有していてもよいことは明らかである。
【0029】
式(1a)および(1b)の化合物におけるAr基は、好ましくは、6〜40個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であり、すなわちヘテロアリール基を含有しない。上記に定義されたように、芳香族環構造は、必ずしも芳香族基のみを含有する必要はなく、代わりに、2個のアリール基が非芳香族基により、たとえば、さらなるカルボニル基またはホスフィンオキシド基により中断されていてもよい。
【0030】
本発明の更に好ましい態様において、Ar基は、2個以下の縮合環を含有する。したがって、それは、フェニルおよび/またはナフチル基からのみ構築され、特に好ましくは、フェニル基からのみ構築され、たとえばアントラセンなどのより大きい縮合芳香族基を含有しない。
【0031】
カルボニル基に結合する好ましいAr基は、フェニル、2-、3-若しくは4-トリル、3-若しくは4-o-キシリル、2-若しくは4-m-キシリル、2-p-キシリル、o-、m-若しくはp-tert-ブチルフェニル、o-、m-若しくはp-フルオロフェニル、ベンゾフェノン、1-、2-若しくは3-フェニルメタノン、2-、3-若しくは4-ビフェニル、2-、3-若しくは4-o-テルフェニル、2-、3-若しくは4-m-テルフェニル、2-、3-若しくは4-p-テルフェニル、2’-p-テルフェニル、2’-、4’-若しくは5’-m-テルフェニル、3’-若しくは4’-o-テルフェニル、p-、m,p-、o,p-、m,m-、o,m-若しくはo,o-クアテルフェニル、キンケフェニル、セキシフェニル、1-、2-、3-若しくは4-フルオレニル、2-、3-若しくは4-スピロ-9,9'-ビフルオレニル、1-、2-、3-若しくは4-(9,10-ジヒドロ)フェナントレニル、1-若しくは2-ナフチル、2-、3-、4-、5-、6-、7-若しくは8-キノリニル、1-、3-、4-、5-、6-、7-若しくは8-イソキノリニル、1-若しくは2-(4-メチルナフチル)、1-若しくは2-(4-フェニルナフチル)、1-若しくは2-(4-ナフチルナフチル)、1-、2-若しくは3-(4-ナフチルフェニル)、2-、3-若しくは4-ピリジル、2-、4-若しくは5-ピリミジニル、2-若しくは3-ピラジニル、3-若しくは4-ピリダジニル、2-(1,3,5-トリアジン)イル、2-、3-若しくは4-(フェニルピリジル)、3-、4-、5-若しくは6-(2,2'-ビピリジル)、2-、4-、5-若しくは6-(3,3'-ビピリジル)、2-若しくは3-(4,4'-ビピリジル)、および1以上のこれらラジカルの組み合わせである。
【0032】
Ar基は、上述のとおり、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい。これらラジカルRは、好ましくは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、H、F、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、1〜4個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜5個のC原子を有する分枝もしくは環状アルキル基(これらのそれぞれは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく、ここで1以上のH原子は、Fにより置換されていてもよい)、または6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族環構造(これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、またはこれらの構造の組み合わせから選択され;ここで2以上の隣接する置換基Rは、互いに単環式、多環式、脂肪族または芳香族環構造を形成してもよい。有機エレクトロルミネセンスデバイスが溶液から適用される場合、10個までのC原子を有する直鎖、分枝または環状アルキル基が、置換基Rとしても好ましい。ラジカルRは、特に好ましくは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、H、C(=O)Ar、または6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族環構造(これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよいが、好ましくは、置換されていない)からなる群より選択される。
【0033】
本発明の更に好ましい態様において、Ar基は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、6〜24個の芳香族環原子を有する芳香族環構造(これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)である。Arは、特に好ましくは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、6〜12個の芳香族環原子を有する芳香族環構造である。
【0034】
特に好ましい芳香族ケトンは、5〜30個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造により3、5、3’、5’の位置のそれぞれで置換されたベンゾフェノン誘導体であり、これは、上記で定義される1以上のラジカルRにより順に置換されていてもよい。更に好ましいのは、少なくとも一つのスピロビフルオレン基により置換されたケトンおよびホスフィンである。
【0035】
したがって、好ましい芳香族ケトンは、以下の式(2)〜(5)の化合物である:
【化2】

【0036】
ここで、ArおよびRは、上記と同じ意味を有し、更に:
Zは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、CRまたはNであり;
nは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、0または1である。
【0037】
上記式(2)、(4)および(5)においてArは、好ましくは、1〜30個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造を表し、これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい。上述のAr基が、特に好ましい。
【0038】
式(1a)の適切な化合物の例は、以下に示す化合物(1)〜(59)である。
【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【0039】
適切な芳香族ホスフィンオキシド誘導体の例は、以下に示す化合物(1)〜(17)である。
【化9】

【化10】

【0040】
マトリクス材料Aとして使用することができる適切なトリアジン誘導体は、特に、少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つ、特に好ましくは3つの芳香族またはヘテロ芳香族環構造により置換された1,3,5-トリアジンである。したがって、特に好ましいのは、以下の式(6)または(7)の化合物である:
【化11】

【0041】
ここで、Rは、上記意味を有し、使用される他の記号は以下が適用される:
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、5〜60個の芳香族環原子を有する一価の芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これはそれぞれの場合、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;
Arは、5〜60個の芳香族環原子を有する二価の芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい。
【0042】
式(6)および(7)の化合物において、少なくとも一つのAr基が以下の式(8)〜(14)の基から選択され、他のAr基が上記意味を有することが好ましい。
【化12】

【0043】
ここで、Rは、上記と同じ意味を有し、破線の結合は、トリアジンユニットへの連結を表し、更に:
Xは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、B(R)、C(R、Si(R、C=O、C=NR、C=C(R、O、S、S=O、SO、N(R)、P(R)およびP(=O)Rから選択される二価のブリッジであり;
mは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、0、1、2または3であり;
oは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、0、1、2、3または4である。
【0044】
特に好ましいAr基は、以下の式(8a)〜(14a)の基から選択される:
【化13】

【0045】
ここで、使用される記号および添字は、上記と同じ意味を有する。ここでXは、好ましくは、同一であるかまたは異なって、C(R、N(R)、OおよびS、特に好ましはC(Rから選択される。
【0046】
式(7)の化合物において好ましいAr基は、以下の式(15)〜(21)の基から選択される:
【化14】

【0047】
ここで、使用される記号および添字は、上記と同じ意味を有し、破線の結合は、二つのトリアジンユニットへの連結を表す。
【0048】
特に好ましいAr基は、以下の式(15a)〜(21a)の基から選択される:
【化15】

【0049】
ここで、使用される記号および添字は、上記と同じ意味を有する。ここでXは、好ましくは、同一であるかまたは異なって、C(R、N(R)、OおよびS、特に好ましくはC(Rから選択される。
【0050】
更に、好ましいのは、Ar基が、上記式(15)〜(21)から選択され、Ar基が、出現する毎に同一であるかまたは異なって、上記式(8)〜(14)またはフェニル、1−もしくは2−ナフチル、オルト−、メタ−もしくはパラ−ビフェニル(これらの各々は、1以上のラジカルRにより置換されていてもよいが、好ましくは置換されていない)から選択される、上記式(7)の化合物である。
【0051】
上述のとおり、マトリクス材料Bは、-5.4 eV以下のHOMOを有し、-2.4 eV以上のLUMOを有し、更に、3.5 eV以上のエネルギーギャップを有する材料である。本発明の好ましい態様において、マトリクス材料Bは、-5.7 eV以下、特に好ましくは-6.0 eV以下のHOMOを有する。マトリクス材料Bは、更に好ましくは、3.7 eV以上、特に好ましくは3.9 eV以上のエネルギーギャップを有する。HOMO、LUMOおよびエネルギーギャップについて上記条件を有する材料を選択することにより、この材料が、その層で電荷輸送に関与しないか、または有意な程度まで電荷輸送に関与しないことを保証する。マトリクス材料Bは、更に好ましくは、-2.2 eV以上、特に好ましくは-2.0 eV以上のLUMOを有する。
【0052】
本発明の好ましい態様において、マトリクス材料Bは、ジアザボロール誘導体、とりわけ芳香族ジアザボロール誘導体である。
【0053】
本発明の更に好ましい態様において、マトリクス材料Bは、純粋な炭化水素、すなわち、炭素原子と水素原子からのみ構築され、炭素と水素以外の原子を含有しない材料である。本発明の特に好ましい態様において、マトリクス材料Bは、芳香族炭化水素である。これは、芳香族基を含有することで特徴づけられる。しかし、これは、非芳香族炭素原子、たとえばアルキル基を更に含有していてもよい。
【0054】
本発明の特に好ましい態様において、マトリクス材料Bは、ジアリールメタン誘導体、フルオレン誘導体、スピロビフルオレン誘導体またはジアザボロール誘導体からなる群より選択される。したがって、特に適切なマトリクス材料Bは、以下の式(22)、(23)、(24)および(25)の化合物である。:
【化16】

【0055】
ここで、Ar、Rおよびnは、上記意味を有し、使用される他の記号は、以下の意味を有する:
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、6〜60個の芳香族C原子を有する芳香族環構造であり、これは、炭素または水素以外の非芳香族基を含有せず;ここでArは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜20個のC原子を有する分枝または環状のアルキル基、または6〜60個の芳香族C原子を有する芳香族環構造であり、これは、炭素および水素以外の非芳香族基を含有せず、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;ここで2以上のラジカルRは、互いに環構造を形成してもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜20個のC原子を有する分枝または環状のアルキル基であり;ここで2以上のラジカルRは、互いに環構造を形成してもよく;
qは、1、2、3または4である。
【0056】
上記式(22)〜(25)の好ましいマトリクス材料Bの例は、以下に示す化合物(1)〜(19)である。
【化17】

【化18】

【0057】
適切な燐光化合物は、特に、適切な励起により好ましくは可視領域で発光するとともに、20より大きい原子番号を有する少なくとも一つの原子を含有する化合物である。使用される燐光エミッターは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含有する化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含有する化合物である。
【0058】
特に好ましい有機エレクトロルミネセンスデバイスは、燐光化合物として、式(26)〜(29)の少なくとも一つの化合物を含む:
【化19】

【0059】
ここで、Rは、式(1)について上述されるのと同じ意味を有し、使用される他の記号は以下が適用される:
DCyは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、少なくとも一つのドナー原子、好ましくは窒素、カルベン型の炭素またはリン、を含有する環状基であり、環状基はドナー原子を介して金属に結合し、また、環状基は1以上の置換基Rを更に担持してもよく;DCy基とCCy基は、互いに共有結合を介して結合し;
CCyは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、炭素原子を含有する環状基であり、環状基は炭素原子を介して金属に結合し、また、環状基は1以上の置換基Rを更に担持してもよく;
Aは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、モノアニオン性二座キレート配位子、好ましくはジケトナート配位子である。
【0060】
また、複数のラジカルRの間の環構造の形成により、DCy基とCCy基の間にブリッジが存在してもよい。さらにまた、複数のラジカルRの間の環構造の形成により、2個もしくは3個の配位子CCy−DCyの間または1個もしくは2個の配位子CCy−DCyと配位子Aとの間にブリッジが存在して、多座またはポリポダル(polypodal)配位子構造をつくってもよい。
【0061】
上記エミッターの例は、出願WO 20/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2004/081017、WO 2005/033244、WO 2005/042550、WO 2005/113563、WO 2006/008069、WO 2006/061182、WO 2006/081973、WO 2009/118087、WO 2009/146770および未公開出願DE 102009007038.9により明らかにされている。一般的には、燐光OLEDのために先行技術に従って使用され、有機エレクトロルミネセンス分野の当業者に知られているようなすべての燐光錯体が適切であり、当業者は、進歩性を必要とすることなく、更なる燐光化合物を使用することができるでしょう。特に、当業者は、どの燐光錯体がどんな発光色で発光するか理解している。
【0062】
適切な燐光化合物の例は、以下の表に示される構造(1)〜(140)である。
【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

【化24】

【化25】

【化26】

【化27】

【化28】

【化29】

【化30】

【0063】
上述される陰極、陽極および少なくとも一つの発光層に加えて、有機エレクトロルミネセンスデバイスは、更なる層を含んでいてもよい。これらは、たとえば、それぞれの場合、1以上の正孔注入層、正孔輸送層、正孔障壁層、電子輸送層、電子注入層、電子障壁層、励起子障壁層、電荷生成層および/または有機もしく無機p/n接合から選択される。加えて、たとえば、デバイス中の電荷バランスを制御する中間層が存在してもよい。特に、かかる中間層は、2つの発光層の間の中間層として、特に蛍光層と燐光層との間の中間層として、適切であり得る。さらに、層、特に電荷輸送層は、ドープされていてもよい。層のドーピングは、電荷輸送の改善に有利であり得る。しかしながら、上述の層の各々は、必ずしも存在している必要はないこと、および層の選択は、使用される化合物に常に依存することが指摘されるべきである。このタイプの層の使用は、当業者に知られており、当業者は、進歩性を必要とすることなく、この目的のためにかかる層について知られている先行技術に従って、すべての材料を使用することができるでしょう。
【0064】
更に、好ましくは異なる発光色を有する、2つ以上の発光層、たとえば2つまたは3つの発光層を使用することができる。本発明の特に好ましい態様は、白色発光有機エレクトロルミネセンスデバイスに関する。これは、0.28/0.29〜0.45/0.41の範囲のCIEカラーコーディネートを有する光を発することで特徴づけられる。このタイプの白色発光有機エレクトロルミネセンスデバイスの一般的な構造は、WO 05/011013に開示される。
【0065】
本発明のエレクトロルミネセンスデバイスの陰極は、好ましくは、低い仕事関数を有する金属、金属合金、または様々な金属、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属またはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Smなど)を含む多層構造を含む。多層構造の場合、前述の金属に加えて、比較的高い仕事関数を有する更なる金属、たとえばAgが使用されてもよく、この場合、たとえばCa/AgまたはBa/Agなどの金属の組合せが一般に使用される。同様に、金属合金、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属と銀とを含む合金、特に好ましくはMgとAgの合金が好ましい。また、金属陰極と有機半導体の間に高い誘電定数を有する材料の薄い中間層を導入することも好ましい。この目的のために適しているのは、たとえば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物、さらに、対応の酸化物または炭酸塩(たとえばLiF、Li2O、CsF、Cs2CO3、BaF2、MgO、NaFなど)である。この層の層の厚みは、好ましくは、0.5〜5 nmである。
【0066】
本発明のエレクトロルミネセンスデバイスの陽極は、好ましくは、高い仕事関数を有する材料を含む。陽極は、好ましくは、4.5 eV vs. vacuumより高い仕事関数を有する。この目的のために適しているのは、一方で、高い還元電位を有する金属、たとえばAg、PtまたはAuである。他方で、金属/金属酸化物の電極(たとえば、Al/Ni/NiOx、Al/PtOx)も好ましい。ここで電極の少なくとも一つは、光のカップリングアウト(coupling-out)を促進するために、透明でなければならない。好ましい構造は、透明な陽極を使用する。ここで好ましい陽極材料は、伝導性混合金属酸化物である。特に好ましいのは、インジウム錫酸化物(ITO)またはインジウム亜鉛酸化物(IZO)である。更に好ましいのは、伝導性ドープ有機材料、特に伝導性ドープポリマーである。
【0067】
このタイプのデバイスの寿命は、水および/または空気の存在下で劇的に短くなるため、デバイスは、それに対応して(その適用に依存して)構造化され、接点を備え、最終的に気密封止される。
【0068】
一般に、有機エレクトロルミネセンスデバイスの先行技術に従って採用されるようなすべての更なる材料は、上記で規定される少なくとも一つの燐光エミッターおよびマトリクス材料AおよびBを含む本発明の発光層と組み合わせて採用することができる。
【0069】
本発明の有機エレクトロルミネセンスデバイスの正孔注入もしくは正孔輸送層または電子輸送層において使用することができるような適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示される化合物、または先行技術に従ってこれらの層で採用されるような他の材料である。
【0070】
本発明のエレクトロルミネセンスデバイスの正孔輸送または正孔注入層で使用することができる好ましい正孔輸送材料の例は、(たとえばWO 2006/122630またはWO 2006/100896に従った)インデノフルオレンアミンおよび誘導体、EP 1661888に開示されるアミン誘導体、(たとえばWO 2001/049806に従った)ヘキサアザトリフェニレン誘導体、(たとえばUS 5,061,569に従った)縮合芳香族環構造を含有するアミン誘導体、WO 95/09147に開示されるアミン誘導体、(たとえばWO 2008/006449に従った)モノベンゾインデノフルオレンアミン、または(たとえばWO 2007/140847に従った)ジベンゾインデノフルオレンアミンである。更に適切な正孔輸送および正孔注入材料は、JP 2001/226331、EP 676461、EP 650955、WO 2001/049806、US 4780536、WO 98/30071、EP 891121、EP 1661888、JP 2006/253445、EP 650955、WO 2006/073054およびUS 5061569に開示されるような上記化合物の誘導体である。
【0071】
更に、適切な正孔輸送または正孔注入材料は、たとえば以下の表に挙げられる材料である。
【化31】

【0072】
本発明のエレクトロルミネセンスデバイスのための適切な電子輸送または電子注入材料は、たとえば、以下の表に挙げられる材料である。更に適切な電子輸送および電子注入材料は、JP 2000/053957、WO 2003/060956、WO 2004/028217およびWO 2004/080975に開示されるような上記化合物の誘導体、並びに一般にベンズイミダゾール誘導体およびトリアジン誘導体である。
【化32】

【0073】
更に好ましいのは、1以上の層が、昇華プロセスにより適用され、ここで材料が、10−5mbar未満、好ましくは10−6mbar未満の初期圧力で真空昇華ユニットにおいて蒸着されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスである。しかし、初期圧力は、更に低くてもよく、たとえば10−7mbar未満でもよいことに留意すべきである。
【0074】
同様に好ましいのは、1以上の層がOVPD(有機気相堆積)プロセスまたはキャリアガス昇華により適用され、ここで材料が、10−5mbar〜1 barの間の圧力で適用されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスである。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機蒸気ジェット印刷)プロセスであり、ここで材料は、ノズルにより直接適用され、これにより構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0075】
更に好ましいのは、1以上の層が、溶液から、たとえばスピンコーティングにより、または任意の所望の印刷プロセス、たとえばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、LITI(光誘起サーマルイメージング、熱転写印刷)、インクジェット印刷もしくはノズル印刷により製造されることを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイスである。可溶性の化合物が、この目的のためには必要である。高い溶解度は、化合物の適切な置換により達成することができる。ここで、個々の材料の溶液だけではなく、複数の化合物、たとえばマトリクス材料およびドーパントを含む溶液も適用することができる。
【0076】
また、有機エレクトロルミネセンスデバイスは、1以上の層を溶液から適用し、1以上の更なる層を蒸着により適用することにより、ハイブリッドシステムとしても製造することもできる。
【0077】
有機エレクトロルミネセンスデバイスは、種々の適用のため、とりわけディスプレイ適用のため、または光源として、たとえば照明適用のため、または医療適用のために使用することができる。
【0078】
これらのプロセスは、当業者に一般に知られており、当業者により進歩性を必要とすることなく、本発明の有機エレクトロルミネセンスデバイスに適用することができる。
【0079】
本発明の有機エレクトロルミネセンスデバイスは、先行技術に対して、以下の驚くべき利点を有する:
1.本発明の有機エレクトロルミネセンスデバイスは、非常に高い効率を有する。ここでの効率は、正孔輸送マトリクス材料と組み合わせて電子輸送マトリクス材料を使用した場合より優れている。
【0080】
2.本発明の有機エレクトロルミネセンスデバイスは、同時に、改良された寿命を有する。ここでの寿命は、正孔輸送マトリクス材料と組み合わせて電子輸送マトリクス材料を使用した場合より長い。
【0081】
本発明は、以下の実施例により更に詳細に説明されるが、それにより本発明を限定することを望まない。当業者は、進歩性を要することなく、更なる本発明の有機エレクトロルミネセンスデバイスを製造することができるでしょう。
【実施例】
【0082】
サイクリックボルタンメトリーおよび吸収スペクトルからのHOMO、LUMOおよびエネルギーギャップの決定
本発明の目的のため、HOMOおよびLUMO値、並びにエネルギーギャップは、下記の一般的な方法により決定される:
HOMO値は、酸化電位から得られ、これは、室温でサイクリックボルタンメトリー(CV)により測定される。この目的のために使用される測定装置は、Metrohm 663 VAスタンドを備えたECO Autolabシステムである。作用電極は金電極であり、参照電極はAg/AgClであり、ブリッジ電解質はKCl (3 mol/l) であり、補助電極は白金である。
【0083】
測定のために、まず、ジクロロメタン中のテトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート (NH4PF6) の0.11 M伝導性塩溶液を準備し、測定セルに導入し、5分間脱気する。その後、2回の測定サイクルを以下のパラメーターで実施する:
測定技術:CV
初期パージ時間:300 s
クリーニング電位:-1 V
クリーニング時間:10 s
析出電位:-0.2 V
析出時間:10 s
スタート電位:-0.2 V
エンド電位:1.6 V
電圧ステップ:6 mV
掃引速度:50 mV/s。
【0084】
その後、この伝導性塩溶液に、1 mlのサンプル溶液(1 mlのジクロロメタン中の10 mgの測定対象物質)を添加し、その混合物を再度5分間脱気する。その後、5回の更なる測定サイクルを実施し、最後の3回を評価のために記録する。同じパラメーターを、上述のとおり設定する。
【0085】
その後、この溶液に、0.1 mlのフェロセン溶液(1 mlのジクロロメタン中の100 mgのフェロセン)を添加し、その混合物を1分間脱気し、測定サイクルを以下のパラメーターで実施する:
測定技術:CV
初期パージ時間:60 s
クリーニング電位:-1 V
クリーニング時間:10 s
析出電位:-0.2 V
析出時間:10 s
スタート電位:-0.2 V
エンド電位:1.6 V
電圧ステップ:6 mV
掃引速度:50 mV/s。
【0086】
評価のために、サンプル溶液、およびフェロセン溶液が添加された溶液について、最初の酸化極大の電圧の平均をフォーワードカーブからとり、関連の還元極大の電圧の平均をリターンカーブからとり(VPおよびVF)、ここで、使用される電圧は、各々の場合、フェロセンに対する電圧である。調査される物質のHOMO値 EHOMOは、EHOMO = [e・(VP−VF) + 4.8 eV] として出され、ここでeは、電気素量を表す。
【0087】
個々のケースで、たとえば、調査される物質がジクロロメタンに可溶でない場合や測定の間に物質の分解が起こる場合など、測定方法の適切な変更を行う必要があるかもしれないことに注意すべきである。有意義な測定が、上記方法を用いたCVを用いて可能でない場合、HOMOエネルギーは、Riken Keiki Co. LtdのAC-2モデル光電子分光計を用いて光電子分光法により決定され (http://www.rikenkeiki.com/pages/AC2.htm)、この場合、得られた値は、CVにより測定されたものより典型的に約0.3 eV低いことに注意すべきである。この特許の目的のため、HOMO値は、Riken AC2の値 + 0.3 eVを意味すると解される。
【0088】
更に、-6 eVより低いHOMO値は、記載されるCV法または記載される光電子分光法を用いて確実に測定することはできない。この場合、HOMO値は、密度汎関数法(DFT)を用いて量子化学的計算から決定される。これは、B3PW91 / 6-31G(d)法を用いて商業的に入手可能なGaussian 03W (Gaussian Inc.) ソフトウェアにより行われる。計算された値のCV値への規格化は、CVにより測定可能な材料と比較することにより行われる。この目的のため、一連の材料のHOMO値は、CV法を用いて測定され、計算される。計算値は、その後、測定値を用いて較正され、この較正ファクターは、すべての更なる計算のために使用される。このようにして、CVにより測定されるHOMO値と非常によく対応するHOMO値を計算することができる。特定の物質のHOMO値を、CVまたはRiken AC2により上述のとおり測定することができない場合、HOMO値は、この特許の目的のため、上述のとおり、CVに較正されるDFT計算による説明に従って得られる値を意味すると解される。
【0089】
幾つかの一般的な有機材料についてこのように計算される値の例は、NPB (HOMO -5.16 eV、LUMO -2.28 eV);TCTA (HOMO -5.33 eV、LUMO -2.20 eV);TPBI (HOMO -6.26 eV、LUMO -2.48 eV) である。これらの値は、計算法の較正のために使用することができる。
【0090】
エネルギーギャップは、50 nmの層厚みを有するフィルムについて測定された吸収スペクトルの吸収端から決定される。ここで吸収端は、直線を、吸収スペクトルの最長波長の降下側面に、最も急勾配のポイントでフィットさせたときに得られる波長と規定され、この直線が波長軸(すなわち吸収値=0)と交差する値が決定される。
【0091】
LUMO値は、上述のHOMO値にエネルギーギャップを加算することにより得られる。
【0092】
本発明に従った有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造および特徴づけ
本発明のエレクトロルミネセンスデバイスは、一般に、たとえばWO 05/003253に記載されるとおり製造することができる。使用される材料の構造は、明確性のために以下に示す。
【化33】

【化34】

【0093】
今のところまだ最適化されていないこれらのOLEDを、標準的な方法により特徴づけを行い;この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトルおよび色座標(CIE 1931に従う)、輝度の関数としての効率(cd/Aで測定される)、電流-電圧-発光密度特性ライン(IUL特性ライン)から計算される動作電圧、および寿命を決定する。得られた結果を、表2に要約する。
【0094】
種々のOLEDについての結果を、以下に比較する。使用されるマトリクス材料について、HOMO、LUMOおよびエネルギーギャップの以下の値を、上述の一般的な方法を用いて決定する(表1)。
【表1】

【0095】
ここでTMM1およびTMM2は、電子伝導性マトリクス材料であり、CBPおよびTCTAは、正孔伝導性マトリクス材料であり、TMM3〜TMM6は、電子伝導性マトリクス材料または正孔伝導性マトリクス材料のいずれでもない。TMM7は、電子伝導性マトリクス材料である。
【0096】
例1:
本発明の例1aおよび1bは、以下の層構造により達成される:
20 nmのHIM、20 nmのHTM、10%のTEG-1でドープされた2:1(1a)または1:2(1b)の比の30 nmのTMM1:TMM4混合層、10 nmのTMM1、20 nmのETM、1 nmのLiF、100 nmのAl。
定義に従ってここでTMM1は、電子伝導性ホストを表し、TMM4は、中性ホストを表す。得られたOLEDは、高い効率、低い動作電圧および長い動作寿命で、緑色発光を有する。
【0097】
例2:
本発明の例2は、材料TMM3をTMM4の代わりに中性ホストとして使用して、例1aと同じ層構造により達成される。このOLEDも、例1aおよび1bと同様に優れた発光特性を有する。
【0098】
例3:
本発明の例3は、材料TMM5をTMM3の代わりに中性ホストとして使用して、例2と同じ層構造により達成される。このOLEDも、例2と同様に優れた発光特性を有する。
【0099】
例4(比較):
比較例4は、混合層をここで取り除いて、発光層が、10%のTEG-1でドープされたTMM1のみを含む以外、例1、2および3と同じ層構造により達成される。
中性材料の混合なしで電子伝導性ホストを使用すると、多少低い電圧が促進されるが、効率および動作寿命は、例1、2および3に示される本発明の混合層を備えたOLEDのデータより有意に低い。
【0100】
例5(比較):
比較例5は、中性ホストTMM4が、発光層の唯一のホストとしてここで使用され、10%のTEG-1で再度ドープされた以外、例4と同じ層構造により達成される。
この材料が、そのHOMOおよびLUMOの位置のために、使用可能なOLEDの発光特性を得るための唯一のホストとして不適切であることは明らかである。この材料が、OLEDにおいて優れた電荷輸送につながらないことは、非常に高い動作電圧から単純に明らかである。
【0101】
例6(比較):
比較例6aおよび6bは、ホストとして混合層を再度含むが、これらは、電子伝導性材料TMM1に加えて正孔伝導性材料CBPまたはTCTAを先行技術に従って含むため、本発明のものではない。これらは、例1aと類似の以下の層構造により達成される:
20 nmのHIM、20 nmのHTM、10%のTEG-1でドープされた2:1の比の30 nmのTMM1:CBP(6a)またはTMM1:TCTA(6b)混合層、10 nmのTMM1、20 nmのETM、1 nmのLiF、100 nmのAl。TCTAの使用時の電圧は、例1および2における本発明の混合層の場合より多少低いが、効率および特に動作寿命は、本発明の混合層より有意に劣ることは明らかである。
【0102】
例7:
本発明の例7aおよび7bは、以下の層構造により達成される:
20 nmのHIM、20 nmのHTM、10%のTEG-1でドープされた2:1(1a)または1:2(1b)の比の30 nmのTMM7:TMM4混合層、10 nmのTMM1、20 nmのETM、1 nmのLiF、100 nmのAl。
定義に従ってTMM7は、電子伝導性ホストを表し、TMM4は、中性ホストを表す。得られたOLEDは、比較例8より高い効率、低い動作電圧および長い動作寿命で、緑色発光を有する。
【0103】
例8(比較):
比較例8は、混合層をここで取り除いて、発光層が、10%のTEG-1でドープされたTMM7のみを含む以、例7と同じ層構造により達成される。
中性材料の混合なしで電子伝導性ホストを使用すると、多少低い電圧が促進されるが、効率および動作寿命は、例7に示される本発明の混合層を備えたOLEDのデータより低い。
【0104】
例9:
本発明の例9は、以下の層構造により達成される:
20 nmのHIM、20 nmのHTM、10%のTEG-1でドープされた1:1の比の30 nmのTMM2:TMM4混合層、10 nmのTMM2、25 nmのETM、1 nmのLiF、100 nm of Al。
定義に従ってTMM2は、電子伝導性ホストを表し、TMM4は、中性ホストを表す。得られたOLEDは、比較例10より高い効率および特に長い動作寿命で、緑色発光を有する。
【0105】
例10(比較):
比較例10は、混合層をここで取り除いて、発光層が、10%のTEG-1でドープされたTMM2のみを含む以、例9と同じ層構造により達成される。
【表2】

【0106】
溶液からの有機エレクトロルミネセンスデバイスの製造および特徴づけ
本発明のエレクトロルミネセンスデバイスは、溶液から製造することもでき、これにより、非常に単純であるにもかかわらず優れた特性を有するデバイスが得られる。かかる素子の製造は、ポリマー発光ダイオード(PLED)の製造に基づいており、これは、既に文献(たとえばWO 2004/037887)に何度も記載されている。本ケースにおいて、対応する化合物は、トルエンまたはクロロベンゼン中に溶解される。ここで、デバイスについて80 nmの典型的な層厚みを、スピンコーティングを用いて達成するつもりならば、かかる溶液の典型的な固形分は16〜25 g/lである。図1は、このタイプのデバイスの典型的な構造を示す。一緒に溶解されるマトリクス材料およびエミッターは、発光層にアモルファス層の形態で存在する。構造化されたITO基板およびいわゆるバッファー層のための材料(PEDOT、実際はPEDOT:PSS)は、商業的に入手可能である(ITOは、Technoprint等から、PEDOT:PSSは、H.C. StarckからClevios P水性分散液として)。使用される中間層は、正孔注入のために機能し;この場合、MerckからのHIL-012が使用された。発光層は、不活性ガス雰囲気中で、本ケースではアルゴン中で、スピンコーティングにより適用され、160℃または180℃で10分間加熱することにより乾燥させられる。最後に、バリウムおよびアルミニウムの陰極が、真空蒸着により適用される。上述の例で使用される正孔障壁および/または電子輸送層は、発光層と陰極の間に蒸着により適用することもできるし、また、中間層が1以上の層により置き換わってもよく、これは、溶液から発光層の堆積の下流処理工程により、再度脱離しないという条件を満たす必要がある。また、溶液から加工処理されたデバイスは、標準的な方法により特徴づけられ、記載されるOLEDの例は、まだ最適化されていない。表3において、先行技術に従ったデバイスの結果を、マトリクス材料AおよびBを含む混合層を用いて得られたものと比較する。本発明の材料は、素子の効率および寿命を有意に改良することが、溶液から加工処理されたデバイスの領域でも明らかである。
【0107】
例11(比較):
30 mgのTEG-2および150 mgのTMM1を、10 mlのドライで酸素フリーのトルエン中に一緒に溶解する。80 nmのEML(発光層)を、アルゴンフラッシュのグローブボックスにおいて1000 rpmのスピン速度で、予め適用されたHIL-012層の上に堆積する。陰極の蒸着前に、層を120℃で10分間加熱することにより乾燥させる。
【0108】
例12:
40 mgのTEG-2、100 mgのTMM1および100 mgのTMM5を、10 mlのドライで酸素フリーのトルエン中に一緒に溶解する。80 nmのEMLを、アルゴンフラッシュのグローブボックスにおいて2110 rpmのスピン速度で、予め適用されたHIL-012層の上に堆積する。陰極の蒸着前に、層を120℃で10分間加熱することにより乾燥させる。
【0109】
例13(比較):
40 mgのTEG-2および200 mgのTMM2を、10 mlのドライで酸素フリーのクロロベンゼン中に一緒に溶解する。80 nmのEMLを、アルゴンフラッシュのグローブボックスにおいて1000 rpmのスピン速度で、予め適用されたHIL-012層の上に堆積する。陰極の蒸着前に、層を180℃で10分間加熱することにより乾燥させる。
【0110】
例14:
40 mgのTEG-2、100 mgのTMM2および100 mgのTMM4を、10 mlのドライで酸素フリーのトルエン中に一緒に溶解する。80 nmのEMLを、アルゴンフラッシュのグローブボックスにおいて3260 rpmのスピン速度で、予め適用されたHIL-012層の上に堆積する。陰極の蒸着前に、層を160℃で10分間加熱することにより乾燥させる。
【0111】
例15:
40 mgのTEG-2、100 mgのTMM2および100 mgのTMM6を、10 mlのドライで酸素フリーのトルエン中に一緒に溶解する。80 nmのEMLを、アルゴンフラッシュのグローブボックスにおいて2080 rpmのスピン速度で、予め適用されたHIL-012層の上に堆積する。陰極の蒸着前に、層を160℃で10分間加熱することにより乾燥させる。
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】デバイスの典型的な構造を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極、陰極、並びに二つの材料AおよびBの混合物にドープされた少なくとも一つの燐光化合物を含む少なくとも一つの発光層を備えた有機エレクトロルミネセンスデバイスであって、材料AおよびBが、2000 g/mol以下の分子量を有する所定の低分子量化合物であり、材料Aが、電荷輸送材料であることと、材料Bが、-5.4 eV以下のHOMOおよび-2.4 eV以上のLUMOを有し、かつ少なくとも3.5 eVのエネルギーギャップを有する材料であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項2】
電荷輸送マトリクス材料Aが、正孔輸送材料または電子輸送材料であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項3】
発光層中の燐光化合物の割合が、1〜50体積%、好ましくは3〜30体積%、特に好ましくは5〜25体積%、きわめて特に好ましくは10〜20体積%であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項4】
電荷輸送材料Aと材料Bの混合比が、それぞれの場合、体積に基づいて、10:1〜1:10、好ましくは7:1〜1:7、特に好ましくは4:1〜1:4であることを特徴とする請求項1〜3の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項5】
電荷輸送材料Aが、芳香族ケトン、芳香族ホスフィンオキシド、芳香族スルホキシド、芳香族スルホン、トリアジン誘導体、亜鉛錯体およびアルミニウム錯体からなる群より選択される電子伝導性化合物であることを特徴とする請求項1〜4の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項6】
芳香族ケトンが、式(1a)の化合物であること、および芳香族ホスフィンオキシドが、式(1b)の化合物であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化1】

ここで、使用される記号は以下が適用される:
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これはそれぞれの場合、1以上のR基により置換されていてもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、C(=O)Ar、P(=O)(Ar、S(=O)Ar、S(=O)Ar、CR=CRAr、CN、NO、Si(R、B(OR、B(R、B(N(R、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖のアルキル、アルコキシまたはチオアルコキシ基、または2〜40個のC原子を有する直鎖のアルケニルまたはアルキニル基、または3〜40個のC原子を有する分枝または環状のアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシまたはチオアルコキシ基(これらの各々は、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく、ここで1以上の隣接していないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R,Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、SまたはCONRにより置換されていてもよく、またここで1以上のH原子は、F、Cl、Br、I、CNまたはNOにより置換されていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造(これはそれぞれの場合、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、または5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基(これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい)、またはこれら構造の組み合わせであり;ここで2以上の隣接する置換基Rは、互いに単環式、多環式、脂肪族または芳香族環構造を形成してもよく;
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、5〜40個の芳香族環原子を有する芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、H、D、CNまたは1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/またはヘテロ芳香族炭化水素ラジカルであり、ここで、更にH原子は、Fにより置換されていてもよく;ここで2以上の隣接する置換基Rは、互いに単環式、多環式、脂肪族または芳香族環構造を形成してもよい。
【請求項7】
芳香族ケトンが、式(2)、(3)、(4)または(5)の化合物であることを特徴とする請求項5または6に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化2】

ここで、ArおよびRは、請求項6に記載されるのと同じ意味を有し、更に、
Zは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、CRまたはNであり;
nは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、0または1である。
【請求項8】
トリアジン誘導体が、式(6)または(7)の化合物であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化3】

ここで、Rは、請求項6に記載される意味を有し、使用される他の記号は以下が適用される:
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、5〜60個の芳香族環原子を有する一価の芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これはそれぞれの場合、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;
Arは、5〜60個の芳香族環原子を有する二価の芳香族またはヘテロ芳香族環構造であり、これは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよい。
【請求項9】
材料Bが、-5.7 eV以下、好ましくは-6.0 eV以下のHOMOを有することを特徴とする請求項1〜8の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項10】
材料Bが、3.7 eV以上、好ましくは3.9 eV以上のエネルギーギャップを有することを特徴とする請求項1〜9の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項11】
材料Bが、-2.2 eV以上、好ましくは-2.0 eV以上のLUMOを有することを特徴とする請求項1〜10の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項12】
材料Bが、ジアザボロールまたは純粋な炭化水素、とりわけ芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1〜11の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス。
【請求項13】
マトリクス材料Bが、式(22)、(23)、(24)および(25)の化合物から選択されることを特徴とする請求項12に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化4】

ここで、Ar、Rおよびnは、請求項6および7に記載される意味を有し、使用される記号は以下の意味を有する:
Arは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、6〜60個の芳香族C原子を有する芳香族基であり、これは、炭素または水素以外の非芳香族基を含有せず;ここでArは、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜20個のC原子を有する分枝または環状のアルキル基、または6〜60個の芳香族C原子を有する芳香族環構造であり、これは、炭素または水素以外の非芳香族基を含有せず、1以上のラジカルRにより置換されていてもよく;ここで2以上のラジカルRは、互いに環構造を形成してもよく;
は、出現する毎に同一であるかまたは異なって、1〜20個のC原子を有する直鎖のアルキル基または3〜20個のC原子を有する分枝または環状のアルキル基であり;ここで2以上のラジカルRは、互いに環構造を形成してもよく;
qは、1、2、3または4である。
【請求項14】
燐光化合物が、式(26)〜(29)の化合物であることを特徴とする請求項1〜13の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイス:
【化5】

ここで、Rは、請求項6に記載されるのと同じ意味を有し、使用される他の記号は以下が適用される:
DCyは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、少なくとも一つのドナー原子、好ましくは窒素、カルベン型の炭素またはリン、を含有する環状基であり、環状基はドナー原子を介して金属に結合し、また、環状基は1以上の置換基Rを更に担持してもよく;DCy基とCCy基は、互いに共有結合を介して結合し;
CCyは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、炭素原子を含有する環状基であり、環状基は炭素原子を介して金属に結合し、また、環状基は1以上の置換基Rを更に担持してもよく;
Aは、出現する毎に同一であるかまたは異なって、モノアニオン性二座キレート配位子、好ましくはジケトナート配位子である。
【請求項15】
請求項1〜14の一または複数に記載の有機エレクトロルミネセンスデバイスを製造するための方法であって、1以上の層が、昇華プロセスにより適用されること、あるいは1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセス若しくはキャリアガス昇華により適用されること、あるいは1以上の層が、溶液から、または印刷プロセスにより適用されることを特徴とする方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−521643(P2012−521643A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501154(P2012−501154)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001123
【国際公開番号】WO2010/108579
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(597035528)メルク パテント ゲーエムベーハー (209)
【Fターム(参考)】