説明

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および照明装置

【課題】高い発光効率、低い駆動電圧に加え、連続駆動時の電圧上昇が小さい有機エレクトロルミネッセンス素子を、収率良く連続的に製造することができる。
【解決手段】基板上に、一対の電極と、該電極間に有機発光層を含む有機積層体を有し、該電極の少なくとも1つが、金属ナノワイヤを含む透明導電膜であり、該有機発光層がウェットプロセスで作製される有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、該有機発光層の塗布液が、塗布された後、減圧環境下で加熱される工程を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はウェットプロセスを含む方法で作製する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法および該製造方法により製造されたエレクトロルミネッセンス素子を具備した照明装置に関する。詳しくは、発光効率が高く、駆動電圧が低く、且つ連続駆動時の駆動電圧上昇が低い長寿命な有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法と照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光型の電子デバイスとして、エレクトロルミネッセンスデバイス(以下、ELDと略記する)がある。ELDの構成要素としては、無機エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子とも言う)や有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子とも言う)が挙げられる。無機EL素子は平面型光源として使用されてきたが、発光素子を駆動させるためには交流の高電圧が必要である。
【0003】
一方、有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光する化合物を含有する発光層を陰極と陽極で挟んだ構成を有し、発光層に電子及び正孔を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、このエキシトンが失活する際の光の放出(蛍光・リン光)を利用して発光する素子であり、数V〜数十V程度の電圧で発光が可能であり、更に自己発光型であるために視野角に富み、視認性が高く、薄膜型の完全固体素子であるために省スペース、携帯性等の観点から注目されている。発光効率の向上のためには、有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する有機機能層の一部において、それぞれ個別の機能を有する材料を複数混合して構成する、所謂ホスト−ゲスト型を用いることが一般的となりつつある。
【0004】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子は、従来実用に供されてきた主要な光源、例えば、発光ダイオードや冷陰極管と異なり、面光源であることからも大きな特徴である。この特性を有効に活用できる用途として、照明用光源や様々なディスプレイのバックライトがある。特に近年、需要の増加が著しい液晶フルカラーディスプレイのバックライトとして用いることも好適である。
【0005】
有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法)等(以下、塗布法とも言う)があるが、真空プロセスを必要とせず連続生産が簡便であるという理由で、近年はロール状の成形体を得るロールtoロールによるウェットプロセス生産が注目されている。
【0006】
しかしながら、ウェットプロセスでのフィルムの製造工程においては、フィルム搬送にローラーによる曲げ部分を複数設けたりローラーによる巻き取りを設けたりすることが生産性の観点や設備の小型化といった観点から好ましい。透明電極として有機EL素子において従来用いられてきた材料(仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物、具体的には、Au等の金属、CuI、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO、IDIXO(In−ZnO)等)を主成分とする透明導電膜を用いた場合、電極の剛性により割れ故障が生じ、ロールtoロール生産に適さないという課題があった。
【0007】
このような問題点を回避しうる透明導電材料として、π共役系高分子に代表される導電性高分子材料が挙げられる。一般に導電性高分子は、二重結合と単結合が交互に並んだ(π共役を主鎖とする)構造を持ち、導電性はこの構造に由来する。π共役系高分子は、一般の高分子と異なり導電経路は有するものの、自由に動ける電荷(キャリア)が存在しないためそれ自身では導電性を発現しない。しかし、無機半導電体のようにドーピングによって自由に動けるキャリアを注入することで導電性を付与することができる。導電性高分子材料を用いると、適当な溶媒に溶解または分散し、必要に応じてバインダー成分を加えて塗布や印刷することによって透明導電素子を形成することができる(例えば特開平6−273964号公報)。しかし、真空成膜法によるITOやZnO等の金属酸化物透明導電素子に較べると、導電性は低くかつ透明性にも劣る。
【0008】
金属酸化物や導電性高分子に較べ、Ag、Cu、Au等の金属材料の導電率は2桁以上高く導電性の観点では好ましいが、透明性を確保できないという問題があった。それに対して、均質な金の超薄膜を形成することにより導電性と透明性を両立できることが報告されている(例えば富山県工業技術センター技術情報誌,No.95号(2004))。しかし、均質な金の超薄膜を形成するには、デュアルイオンビームスパッタ法という特殊な真空成膜法が必要であり、製造コスト軽減、環境負荷軽減の実現は困難と考えられる。液相成膜が可能な透明導電材料技術として、金属ナノワイヤ(例えば、CNT(カーボンナノチューブ)や金属ナノワイヤ)をメッシュ状に形成し、これを導電体として透明導電膜を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献2、特許文献3参照)。
【0009】
しかし、このようなフレキシブルな透明導電膜を電極として用いたとしても、ウェットプロセスで作製した有機EL素子の性能は、蒸着法により作製された素子に比べて十分な素子性能ではない。特に駆動電圧や連続駆動時の電圧上昇が高くなる傾向にある。この原因として、ウェットプロセスで作製した膜は、層間の混合や膜のモルフォロジー変化等によりドライプロセスで作製したものと膜の状態が異なっているためにキャリアの移動阻害、あるいは膜内残留溶媒の存在で残留溶媒が駆動時にキャリアの移動を阻害するトラップ成分として働くため、電圧上昇が起こりやすい傾向にあると考えられる。また、キャリアがトラップされることで層内がキャリア過多の状態になるため劣化が促進され、キャリアトラップが増大し、連続駆動時の電圧が上昇しやすい傾向にある可能性がある。
【0010】
従来、蒸着法で作製した素子に比べて性能が劣るウェットプロセスで作製した有機EL素子の、発光層の性能を向上させる手段として、ラビング処理による配向処理を、π−共役型高分子に施すことで光源自体に偏光性を付与し、輝度向上を目的とした技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、該特許文献4記載の方法では、非常に薄膜に製膜された面に直接接触して加工を施すため、膜面に傷が入ったり、削り取られたりするという問題があった。さらに、本法は膜面にローラーなどで印加する方法ではあるものの、これにより膜の密度を制御するという思想とは異なったものである。また、透明金属ナノワイヤを含む透明導電膜を電極として用いることを特徴とはしていない。
【0011】
また、有機層表面のラビング処理を行うために発生する損傷を防ぐ目的で、該有機層が積層される第1電極の表面に、有機層積層前にラビング処理を行う技術が、記載されている(例えば特許文献5参照)。しかしながらこの方法も、有機層積層前の電極に印加する方法であり、有機層の膜密度の制御には無関係の技術である。
【0012】
また、有機層形成時、もしくは形成後に、該有機層の周囲を大気圧よりも大きな圧力で加圧及び加熱し、残留溶媒の除去とともに隣接層との密着性を向上させる技術が開示されている(例えば特許文献6参照)。しかしながら本法では、有機層構成材料のTgよりも高い温度で加熱する必要があり、Tgが高い材料を用いなければならない場合は、基材へのダメージのために、有機エレクトロルミネッセンス素子の特徴でもある曲面状に作製できるといったフレキシビリティー性の確保が困難になるといった問題があった。
【0013】
また、導電性繊維を有する透明導電膜が透明PETフィルムの上に設けられた透明導電フィルムは透明導電膜のひび割れが無く、該透明導電フィルムに、有機発光層をウェットプロセスで積層して、発光ムラの無い有機エレクトロルミネッセンス素子を作製できることが特許文献1に記載されている。
【0014】
しかし、特許文献1にも、有機発光層をウェットプロセスで積層して作製された有機EL素子において、発光効率を向上し、駆動電圧を低減し、連続駆動時の電圧上昇を抑制する手段は記載されていない。
【0015】
また、特許文献1の透明導電膜上に有機発光層等の有機層を積層し、その上に電極層を設けたときに、透明導電膜の金属ナノワイヤが有機発光層の外に露出し、陽極と陰極が短絡することがある。また、有機発光層のピンホールにより陽極と陰極が短絡し、発光しない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2009−252493号公報
【特許文献2】特表2006−519712号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0074316A1号明細書
【特許文献4】特開平8−306954号公報
【特許文献5】特開2005−100976号公報
【特許文献6】特開2005−26000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記技術的背景に鑑みなされたものであり、その目的は、有機発光層をウェットプロセスで積層し、金属ナノワイヤを有する透明導電膜を用いることにより、ロールtoロールで効率良く生産することができ、透明導電膜の陽極と陰極との短絡故障が無く、発光効率が高く、低駆動電圧であり、且つ連続駆動時の電圧上昇が少ない有機エレクトロルミネッセンス素子を生産時故障少なく作製することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の上記目的は下記の構成により達成される。
【0019】
1.基板上に、一対の電極と、該電極間に有機発光層を含む有機積層体を有し、該電極の少なくとも1つが、金属ナノワイヤを含む透明導電膜であり、該有機発光層がウェットプロセスで作製される有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、該有機発光層の塗布液が、塗布された後、減圧環境下で加熱される工程を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0020】
金属ナノワイヤを含有する透明導電膜はフレキシブルであり、その上に、正孔輸送層、有機発光層等を積層してローラー間を屈曲して搬送しても、剥離が生じにくい。
【0021】
また、金属ナノワイヤが透明導電膜および有機発光層から突出することによる陰極との短絡は、塗布された有機発光層を減圧環境下で加熱乾燥することにより、有機発光層が有機溶剤を多く含む段階では減圧にすることにより有機発光層の温度を低くし、粘度が高く流れにくくなるために、突出した金属ナノワイヤを覆った状態を保ちやすい。乾燥が進んで、溶媒が十分に除去された段階では、加熱してももはや流れることは無い。このため、金属ナノワイヤが有機発光層から突出せず、その上に設けられる陰極との短絡が防止されると考えられる。
【0022】
また、有機発光層を塗布後、減圧して加熱することにより、有機発光層の膜密度(体積密度)が向上し、蒸着により形成された発光層の密度に近くなると考えられる。密度が高まることにより、キャリアが移動しやすくなり、発光効率が向上し、駆動電圧が低下し、連続駆動時の電圧上昇が小さくなると推定される。
【0023】
2.前記基板上に前記有機発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、該有機発光層を塗布した後、該基板に張力をかけながら、減圧環境下で加熱する工程を有することを特徴とする、前記1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0024】
前記有機発光層の乾燥時に、更に張力を掛けることにより、ホストおよびドーパントが配向し、キャリアが移動しやすくなるために、発光効率が向上し、駆動電圧が低下し、連続駆動時の電圧上昇が小さくなると推定される。
【0025】
3.前記基板が、フレキシブル性を有する材料を含有することを特徴とする前記1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0026】
前記フレキシブルな基板を用いることにより、歩留まりが良好なロールtoロールの生産が可能である。
【0027】
4.前記有機発光層の膜密度(A)と、該有機発光層と同じ組成の材料を蒸着することにより形成された有機発光層の膜密度(B)とが下記式を満足することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0028】
0g/cm≦(B)−(A)≦0.15g/cm
膜密度差を0〜0.15g/cmとすることにより、外部取り出し効率を向上し、駆動電圧および連続駆動時の電圧上昇を抑えることが出来る。
【0029】
5.前記有機発光層の膜密度(A)と、該有機発光層と同じ組成の材料を蒸着することにより形成された有機発光層の膜密度(B)とが下記式を満足することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0030】
0g/cm≦(B)−(A)≦0.10g/cm
膜密度差を0〜0.10g/cmとすることにより、更に外部取り出し効率を向上し、駆動電圧および連続駆動時の電圧上昇を抑えることが出来る。膜密度差を小さくすることにより、ウェットプロセスにより形成された有機発光層中のキャリアの移動度が向上し、上記性能が向上したものと考えられる。
【0031】
6.前記減圧環境の圧力が0.05kPa以上0.5kPa以下であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【0032】
圧力が0.05kPa以上であれば、有機発光層の発泡による故障が起こりにくく、0.5kPa以下であれば、短絡故障が低減し、有機発光層の膜密度が高くなる。
【0033】
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によって作成された有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。
【発明の効果】
【0034】
本発明により、高い発光効率、低い駆動電圧に加え、連続駆動時の電圧上昇が小さい有機エレクトロルミネッセンス素子を、収率良く連続的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の有機EL素子の各構成要素の詳細について順次説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0036】
本発明においては、ホスト−ゲスト型の発光層を有する有機EL素子を、電極として金属ナノワイヤを含む透明導電膜を用い、かつ、少なくとも有機発光層をウェットプロセスで作製し、該有機発光層は塗布後、減圧環境下で加熱されることを特徴とする。
【0037】
特許文献2、特許文献3にあるような透明導電膜は、膜保持機能をポリマー等の有機物により発現し、かつ、導電機能を金属ナノワイヤにて確保する構造となっているため、透明導電膜のひび割れを回避し、高い歩留まりで生産することが可能となったと考えられる。
【0038】
また、このような素子を作製することにより、発光効率や駆動電圧が改善する理由は定かではないが、有機層積層体作製時において乾燥時の加熱・圧力条件を制御することにより、素子作製時には必要不可欠である一方作製後には不要となり残存することで性能劣化の主原因の一つとなりうる残存溶媒を徹底的に除去し、膜密度を高めることで、正孔とエレクトロンの再結合の機会の減少を抑制できると考えられる。あるいは、膜のモルフォロジーをより真空蒸着法で作製したものに近似させていると予想される。
【0039】
尚、本発明に関する膜密度は、X線反射率測定法により求めることができる。極低角度、例えば0.2〜2度の範囲の反射率を測定し、得られた反射率曲線をフレネルの式より求められる多層膜試料の反射率の式にフィッティングすることにより求められる。フィッティングの方法については、L.G.Parratt.Phis.Rev.,95 359(1954年)を参考にすることができる。
【0040】
《有機EL素子の層構成》
次に、本発明の有機EL素子の層構成の好ましい具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
【0041】
(i)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
(v)陽極/陽極バッファー層/正孔輸送層/発光層/正孔阻止層/電子輸送層/陰極バッファー層/陰極
この内、陽極と陰極を除いた各層を総称して有機積層体とも言う。
【0042】
以下に各層について説明する。
【0043】
《発光層》
発光層とは、電極または電子輸送層、正孔輸送層から注入されてくる電子及び正孔が再結合して発光する層であり、発光する物質が有機化合物である場合に有機発光層という。発光する部分は発光層の層内であっても発光層と隣接層との界面であってもよいが、層間での励起子の失活等が考えられることから発光層の層内であることが好ましい。
【0044】
発光層の膜厚は特に制限はないが、形成する膜の均質性や、発光時に不必要な高電圧を印加するのを防止し、且つ駆動電流に対する発光色の安定性向上の観点から、2〜200nmの範囲に調整することが好ましく、更に好ましくは5〜100nmの範囲に調整される。
【0045】
以下に発光層に含まれるホスト化合物(発光ホストとも言う)と発光ドーパントについて説明する。
【0046】
《ホスト化合物》
ホスト化合物とは、発光層に含有される化合物の内でその層中での質量比が20%以上であり、かつ室温(25℃)においてリン光発光のリン光量子収率が0.1未満の化合物と定義される。好ましくはリン光量子収率が0.01未満である。また、発光層に含有される化合物の中で、その層中での質量比が20%以上であることが好ましい。
【0047】
ホスト化合物としては、公知のホスト化合物を単独で用いてもよく、または複数種併用して用いてもよい。ホスト化合物を複数種用いることで、電荷の移動を調整することが可能であり、有機EL素子を高効率化することができる。また、後述する発光ドーパントを複数種用いることで、異なる発光を混ぜることが可能となり、これにより任意の発光色を得ることができる。
【0048】
また、前記ホスト化合物としては、従来公知の低分子化合物でも、繰り返し単位をもつ高分子化合物でもよく、ビニル基やエポキシ基のような重合性基を有する低分子化合物(重合性発光ホスト)でもよい。
【0049】
併用してもよい公知のホスト化合物としては、正孔輸送能、電子輸送能を有しつつ、かつ発光の長波長化を防ぎ、なおかつ高Tg(ガラス転移温度)である化合物が好ましい。公知のホスト化合物の具体例としては、以下の文献に記載されている化合物が挙げられる。
【0050】
特開2001−257076号公報、同2002−308855号公報、同2001−313179号公報、同2002−319491号公報、同2001−357977号公報、同2002−334786号公報、同2002−8860号公報、同2002−334787号公報、同2002−15871号公報、同2002−334788号公報、同2002−43056号公報、同2002−334789号公報、同2002−75645号公報、同2002−338579号公報、同2002−105445号公報、同2002−343568号公報、同2002−141173号公報、同2002−352957号公報、同2002−203683号公報、同2002−363227号公報、同2002−231453号公報、同2003−3165号公報、同2002−234888号公報、同2003−27048号公報、同2002−255934号公報、同2002−260861号公報、同2002−280183号公報、同2002−299060号公報、同2002−302516号公報、同2002−305083号公報、同2002−305084号公報、同2002−308837号公報等。
【0051】
《発光ドーパント》
前記発光ドーパントについて説明する。
【0052】
前記発光ドーパントとしては、蛍光ドーパント、リン光ドーパントを用いることができるが、より発光効率の高い有機EL素子を得る観点からは、有機EL素子の発光層や発光ユニットに使用される発光ドーパントとしては、上記のホスト化合物を含有すると同時にリン光ドーパントを含有することが好ましい。
【0053】
前記リン光ドーパントは、有機EL素子の発光層に使用される公知のものの中から適宜選択して用いることができる。
【0054】
前記リン光ドーパントとしては、好ましくは元素の周期表で8〜10族の金属を含有する錯体系化合物であり、更に好ましくはイリジウム化合物、オスミウム化合物、または白金化合物(白金錯体系化合物)、希土類錯体であり、中でも最も好ましいのはイリジウム化合物である。
【0055】
以下に、前記リン光ドーパントとして用いられる化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。これらの化合物は、例えば、Inorg.Chem.40巻、1704〜1711に記載の方法等により合成できる。
【0056】
【化1】

【0057】
【化2】

【0058】
【化3】

【0059】
【化4】

【0060】
【化5】

【0061】
【化6】

【0062】
《注入層:電子注入層、正孔注入層》
注入層は必要に応じて設け、電子注入層と正孔注入層があり、正孔注入層は陽極と発光層または正孔輸送層の間、電子注入層は陰極と発光層または電子輸送層との間に存在させてもよい。
【0063】
注入層とは、駆動電圧低下や発光輝度向上のために電極と有機層間に設けられる層のことで、「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の第2編第2章「電極材料」(123〜166頁)に詳細に記載されており、正孔注入層(陽極バッファー層)と電子注入層(陰極バッファー層)とがある。
【0064】
陽極バッファー層(正孔注入層)は、特開平9−45479号公報、同9−260062号公報、同8−288069号公報等にもその詳細が記載されており、具体例として、銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニンバッファー層、酸化バナジウムに代表される酸化物バッファー層、アモルファスカーボンバッファー層、ポリアニリン(エメラルディン)やポリチオフェン等の導電性高分子を用いた高分子バッファー層等が挙げられる。
【0065】
陰極バッファー層(電子注入層)は、特開平6−325871号公報、同9−17574号公報、同10−74586号公報等にもその詳細が記載されており、具体的にはストロンチウムやアルミニウム等に代表される金属バッファー層、フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物バッファー層、フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物バッファー層、酸化アルミニウムに代表される酸化物バッファー層等が挙げられる。上記バッファー層(注入層)はごく薄い膜であることが望ましく、素材にもよるがその膜厚は0.1nm〜5μmの範囲が好ましい。
【0066】
《阻止層:正孔阻止層、電子阻止層》
阻止層は、上記の如く有機化合物薄膜の基本構成層の他に必要に応じて設けられるものである。例えば、特開平11−204258号公報、同11−204359号公報、及び「有機EL素子とその工業化最前線(1998年11月30日エヌ・ティー・エス社発行)」の237頁等に記載されている正孔阻止(ホールブロック)層がある。
【0067】
正孔阻止層とは広い意味では電子輸送層の機能を有し、電子を輸送する機能を有しつつ正孔を輸送する能力が著しく小さい正孔阻止材料からなり、電子を輸送しつつ正孔を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する電子輸送層の構成を必要に応じて、本発明に係わる正孔阻止層として用いることができる。
【0068】
本発明の有機EL素子の正孔阻止層は、発光層に隣接して設けられていることが好ましい。
【0069】
正孔阻止層には、前述のホスト化合物として挙げたアザカルバゾール誘導体を含有することが好ましい。
【0070】
また、本発明においては、複数の発光色の異なる複数の発光層を有する場合、その発光極大波長が最も短波にある発光層が、全発光層中、最も陽極に近いことが好ましいが、このような場合、該最短波層と該層の次に陽極に近い発光層との間に正孔阻止層を追加して設けることが好ましい。更には、該位置に設けられる正孔阻止層に含有される化合物の50質量%以上が、前記最短波発光層のホスト化合物に対しそのイオン化ポテンシャルが0.3eV以上大きいことが好ましい。
【0071】
イオン化ポテンシャルは化合物のHOMO(最高被占分子軌道)レベルにある電子を真空準位に放出するのに必要なエネルギーで定義され、例えば、下記に示すような方法により求めることができる。
【0072】
(1)米国Gaussian製の分子軌道計算用ソフトウェアであるGaussian98(Gaussian98、Revision A.11.4,M.J.Frisch,et al,Gaussian,Inc.,Pittsburgh PA,2002.)を用い、キーワードとしてB3LYP/6−31G*を用いて構造最適化を行うことにより算出した値(eV単位換算値)の小数点第2位を四捨五入した値としてイオン化ポテンシャルを求めることができる。この計算値が有効な背景には、この手法で求めた計算値と実験値の相関が高いためである。
【0073】
(2)イオン化ポテンシャルは光電子分光法で直接測定する方法により求めることもできる。例えば、理研計器製の低エネルギー電子分光装置「Model AC−1」を用いて、あるいは紫外光電子分光として知られている方法を好適に用いることができる。
【0074】
一方、電子阻止層とは広い意味では正孔輸送層の機能を有し、正孔を輸送する機能を有しつつ電子を輸送する能力が著しく小さい材料からなり、正孔を輸送しつつ電子を阻止することで電子と正孔の再結合確率を向上させることができる。また、後述する正孔輸送層の構成を必要に応じて電子阻止層として用いることができる。本発明に係る正孔阻止層、電子輸送層の膜厚としては、好ましくは3〜100nmであり、更に好ましくは5〜30nmである。
【0075】
《正孔輸送層》
正孔輸送層とは正孔を輸送する機能を有する正孔輸送材料からなり、広い意味で正孔注入層、電子阻止層も正孔輸送層に含まれる。正孔輸送層は単層または複数層設けることができる。
【0076】
正孔輸送材料としては、正孔の注入または輸送、電子の障壁性のいずれかを有するものであり、有機物、無機物のいずれであってもよい。例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体及びピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、また導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマー等が挙げられる。
【0077】
正孔輸送材料としては上記のものを使用することができるが、ポルフィリン化合物、芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物、特に芳香族第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
【0078】
芳香族第3級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノフェニル;N,N′−ジフェニル−N,N′−ビス(3−メチルフェニル)−〔1,1′−ビフェニル〕−4,4′−ジアミン(TPD);2,2−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン;N,N,N′,N′−テトラ−p−トリル−4,4′−ジアミノビフェニル;1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン;ビス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)フェニルメタン;N,N′−ジフェニル−N,N′−ジ(4−メトキシフェニル)−4,4′−ジアミノビフェニル;N,N,N′,N′−テトラフェニル−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル;4,4′−ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル;N,N,N−トリ(p−トリル)アミン;4−(ジ−p−トリルアミノ)−4′−〔4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル〕スチルベン;4−N,N−ジフェニルアミノ−(2−ジフェニルビニル)ベンゼン;3−メトキシ−4′−N,N−ジフェニルアミノスチルベンゼン;N−フェニルカルバゾール、更には米国特許第5,061,569号明細書に記載されている2個の縮合芳香族環を分子内に有するもの、例えば、4,4′−ビス〔N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、特開平4−308688号公報に記載されているトリフェニルアミンユニットが3つスターバースト型に連結された4,4′,4″−トリス〔N−(3−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)等が挙げられる。
【0079】
更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。また、p型−Si、p型−SiC等の無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
【0080】
また、特開平11−251067号公報、J.Huang et.al.著文献(Applied Physics Letters 80(2002),p.139)に記載されているような、所謂p型正孔輸送材料を用いることもできる。本発明においては、より高効率の発光素子が得られることからこれらの材料を用いることが好ましい。
【0081】
正孔輸送層は上記正孔輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。正孔輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。この正孔輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0082】
また、不純物をドープしたp性の高い正孔輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報の各公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
【0083】
本発明においては、このようなp性の高い正孔輸送層を用いることが、より低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
【0084】
《電子輸送層》
電子輸送層とは電子を輸送する機能を有する材料からなり、広い意味で電子注入層、正孔阻止層も電子輸送層に含まれる。電子輸送層は単層または複数層設けることができる。
【0085】
従来、単層の電子輸送層、及び複数層とする場合は発光層に対して陰極側に隣接する電子輸送層に用いられる電子輸送材料(正孔阻止材料を兼ねる)としては、陰極より注入された電子を発光層に伝達する機能を有していればよく、その材料としては従来公知の化合物の中から任意のものを選択して用いることができ、例えば、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体等が挙げられる。更に上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も、電子輸送材料として用いることができる。更にこれらの材料を高分子鎖に導入した、またはこれらの材料を高分子の主鎖とした高分子材料を用いることもできる。
【0086】
また、8−キノリノール誘導体の金属錯体、例えば、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、ビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)等、及びこれらの金属錯体の中心金属がIn、Mg、Cu、Ca、Sn、GaまたはPbに置き替わった金属錯体も、電子輸送材料として用いることができる。その他、メタルフリーもしくはメタルフタロシアニン、またはそれらの末端がアルキル基やスルホン酸基等で置換されているものも、電子輸送材料として好ましく用いることができる。
【0087】
また、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体も、電子輸送材料として用いることができるし、正孔注入層、正孔輸送層と同様にn型−Si、n型−SiC等の無機半導体も電子輸送材料として用いることができる。
【0088】
電子輸送層は上記電子輸送材料を、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法を含む印刷法、LB法等の公知の方法により、薄膜化することにより形成することができる。電子輸送層の膜厚については特に制限はないが、通常は5nm〜5μm程度、好ましくは5〜200nmである。電子輸送層は上記材料の1種または2種以上からなる一層構造であってもよい。
【0089】
また、不純物をゲスト材料としてドープしたn性の高い電子輸送層を用いることもできる。その例としては、特開平4−297076号公報、同10−270172号公報、特開2000−196140号公報、同2001−102175号公報、J.Appl.Phys.,95,5773(2004)等に記載されたものが挙げられる。
【0090】
本発明においては、このようなn性の高い電子輸送層を用いることがより低消費電力の素子を作製することができるため好ましい。
【0091】
《電極》
本発明の有機EL素子は、有機発光層を挟んで一対の電極を有する。該電極一方は、陽極であり、もう一方は陰極である。また、該電極の少なくとも一方は金属ナノワイヤを含む透明導電膜である。
【0092】
《陽極》
本発明では、ウェットプロセスにて高密度な膜を得るための生産性の観点より陽極として金属ナノワイヤを含む透明導電膜を用いることが好ましい。
【0093】
本発明の透明導電性フィルムの全光線透過率は、60%以上、好ましくは70%以上、特に好ましくは80%以上であることが望ましい。全光透過率は、分光光度計等を用いた公知の方法に従って測定することができる。
【0094】
本発明の透明導電性フィルムにおける電気抵抗値としては、表面比抵抗として表面抵抗率として1000Ω/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることが特に好ましい。
【0095】
前記表面比抵抗は、例えば、JIS K6911、ASTM D257、などに準拠して測定することができ、また市販の表面抵抗率計を用いて簡便に測定することができる。
【0096】
《金属ナノワイヤを含む透明導電膜》
本発明における金属ナノワイヤを含む透明導電膜とは、金属ナノワイヤを含有する液を塗布乾燥することにより、自発的に金属ナノワイヤの無秩序な網目構造を形成して導電性を発現するような透明導電膜である。
【0097】
金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする繊維状構造体のことをいう。特に、本発明において金属ナノワイヤとは、原子スケールからnmサイズの短径を有する多数の繊維状構造体を意味する。
【0098】
金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均短径には特に制限はないが、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。金属ナノワイヤの平均短径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、短径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。金属ナノワイヤの目付け量は0.005g/m〜0.5g/mであるのが好ましく、0.01g/m〜0.2g/mであるのがより好ましい。
【0099】
金属ナノワイヤに用いられる金属としては、例えば、Ag,Cu,Au,Al,Rh,Ir,Co,Zn,Ni,In,Fe,Pd,Pt,Sn,Ti等を挙げることができるが、銅、鉄、コバルト、金、銀等を用いることが好ましく、導電性および透明性の観点から銀が最も好ましい。また、金属は単一で用いてもよいが、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、主成分となる金属と1種類以上の他の金属を任意の割合で含んでもよい。
【0100】
金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、銀ナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745、金ナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、銅ナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、コバルトナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した銀ナノワイヤの製造方法は、水溶液中で簡便に銀ナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、好ましく適用することができる。
【0101】
また、透明導電膜の構成としては、例えば、導電体の大部分が導電体支持層より露出したものであっても、逆に導電体の大部分が導電体支持層に埋没したものであっても、いかなる構造のものでもよい。
【0102】
《陰極》
陰極としては仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
【0103】
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。陰極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
【0104】
また、陰極としてのシート抵抗は数百Ω/□以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。なお、発光した光を透過させるため、有機EL素子の陽極または陰極のいずれか一方が透明または半透明であれば発光輝度が向上し好都合である。
【0105】
また、陰極として、陽極の説明で挙げた透明導電膜をその上に作製することで、陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することもできる。
【0106】
《基板》
前記基板(以下、支持基板とも言う)としては、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定はなく、また透明であっても不透明であってもよい。基板側から光を取り出す場合には、基板は透明であることが好ましい。好ましく用いられる透明な基板としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルムを挙げることができる。特に好ましい基板は、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能な樹脂フィルムである。
【0107】
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート(TAC)、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類またはそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(JSR製)あるいはアペル(三井化学製)といったシクロオレフィン系樹脂等を挙げられる。
【0108】
樹脂フィルムの表面には、無機物、有機物の被膜またはその両者のハイブリッド被膜が形成されていてもよく、水蒸気透過度が0.01g/m/日・atm以下のバリア性フィルムであることが好ましく、更には酸素透過度10−3g/m/日以下、水蒸気透過度10−5g/m/日以下の高バリア性フィルムであることが好ましい。
【0109】
バリア膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることがより好ましい。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
【0110】
バリア膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができるが、特開2004−68143号公報に記載されているような大気圧プラズマ重合法によるものが特に好ましい。
【0111】
不透明な基板としては、例えば、アルミ、ステンレス等の金属板、フィルムや不透明樹脂基板、セラミック製の基板等が挙げられる。
【0112】
本発明の有機EL素子の発光の室温における外部取り出し量子効率は、1%以上であることが好ましく、より好ましくは5%以上である。ここに、外部取り出し量子効率(%)=(有機EL素子外部に発光した光子数)/(有機EL素子に流した電子数)×100である。
【0113】
また、カラーフィルター等の色相改良フィルター等を併用しても、有機EL素子からの発光色を蛍光体を用いて多色へ変換する色変換フィルターを併用してもよい。色変換フィルターを用いる場合においては、有機EL素子の発光のλmaxは480nm以下が好ましい。
【0114】
《封止》
本発明の有機EL素子の封止手段としては、例えば、封止部材と電極、支持基板とを接着剤で接着する方法を挙げることができる。
【0115】
封止部材としては、有機EL素子の表示領域を覆うように配置されておればよく、凹板状でも平板状でもよい。また透明性、電気絶縁性は特に問わない。
【0116】
具体的には、ガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等が挙げられる。ガラス板としては、特にソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英等を挙げることができる。また、ポリマー板としては、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルファイド、ポリサルフォン等を挙げることができる。金属板としては、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム及びタンタルからなる群から選ばれる一種以上の金属または合金からなるものが挙げられる。
【0117】
本発明においては、有機EL素子を薄膜化できるということからポリマーフィルム、金属フィルムを好ましく使用することができる。更には、ポリマーフィルムは、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/m/24h以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m/24h)以下のものであることが好ましい。
【0118】
封止部材を凹状に加工するのは、サンドブラスト加工、化学エッチング加工等が使われる。
【0119】
接着剤として具体的には、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を挙げることができる。また、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を挙げることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを挙げることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を挙げることができる。
【0120】
なお、有機EL素子が熱処理により劣化する場合があるので、室温から80℃までに接着硬化できるものが好ましい。また、前記接着剤中に乾燥剤を分散させておいてもよい。封止部分への接着剤の塗布は市販のディスペンサーを使ってもよいし、スクリーン印刷のように印刷してもよい。
【0121】
また、有機層を挟み基板と対向する側の電極の外側に該電極と有機層を被覆し、基板と接する形で無機物、有機物の層を形成し封止膜とすることも好適にできる。この場合、該膜を形成する材料としては、水分や酸素等素子の劣化をもたらすものの浸入を抑制する機能を有する材料であればよく、例えば、酸化珪素、二酸化珪素、窒化珪素等を用いることができる。更に該膜の脆弱性を改良するために、これら無機層と有機材料からなる層の積層構造を持たせることが好ましい。
【0122】
これらの膜の形成方法については特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。
【0123】
封止部材と有機EL素子の表示領域との間隙には、気相及び液相では、窒素、アルゴン等の不活性気体やフッ化炭化水素、シリコンオイルのような不活性液体を注入することが好ましい。また、真空とすることも可能である。また、内部に吸湿性化合物を封入することもできる。
【0124】
吸湿性化合物としては、例えば、金属酸化物(例えば、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム等)、硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルト等)、金属ハロゲン化物(例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、沃化バリウム、沃化マグネシウム等)、過塩素酸類(例えば、過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウム等)等が挙げられ、硫酸塩、金属ハロゲン化物及び過塩素酸類においては無水塩が好適に用いられる。
【0125】
《有機EL素子の作製方法》
本発明の有機EL素子の作製方法は、陽極と陰極に挟まれた有機積層体の内、有機発光層はウェットプロセスで成膜し、さらに好ましくは発光層を含め4層以上をウェットプロセスで成膜することである。有機積層体全てをウェットプロセスで形成することは、生産性の観点から特に好ましい。本発明で言うウェットプロセスとは、層を形成する際に層形成材料を溶液の形態で供給し、層形成を行うものである。
【0126】
本発明の有機EL素子の作製方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極からなる有機EL素子の作製法を説明する。
【0127】
まず、適当な基板上に金属ナノワイヤを含む透明導電膜を作製する。次に、この上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層、正孔阻止層等の有機化合物薄膜(有機層)を形成させる。
【0128】
これら各層の形成方法としては、スピンコート法、ダイコート法、キャスト法、インクジェット法、スプレー法、印刷法、等のウェットプロセスが挙げられる。更には均質な膜が得られやすく、且つピンホールが生成しにくい等の点から、本発明においてはスピンコート法、ダイコート法、インクジェット法、スプレー法、印刷法等の塗布法による成膜が好ましい。
【0129】
ウェットプロセスにおいては、塗布後に溶媒を出来る限り除去することが好ましい。乾燥方法としては、減圧環境下の加熱乾燥が用いられる。
【0130】
《減圧環境下の加熱》
前記有機発光層は減圧環境下で加熱される。
【0131】
加熱の温度としては、80℃以上160℃以下が好ましく、フレキシブル性を有する樹脂基材を用いる場合は140℃以下が好ましい。
【0132】
減圧環境としては、大気圧より低ければ塗布層の表面温度を低くできるので良いが、好ましくは0.05kPa以上0.5kPa以下である。
【0133】
前記減圧環境下で加熱されることにより、膜密度(体積密度)が向上する。一般的にウェットプロセスで作製した有機発光層の膜密度は同じ化合物を蒸着により形成した有機発光層のまく密度より低い。同じ組成の材料を蒸着して形成した有機発光層の膜密度との差が0〜0.15g/mであることが好ましく、0〜0.10g/mであることが更に好ましい。
【0134】
《張力》
また、フレキシブル性を有する樹脂基材を用いる場合、乾燥時に一定の張力を与えることが好ましい。張力としては、基材や塗布膜面が破断しない限り特に制限はないが、1N/m以上30N/m以下が好ましく、10N/m以上30N/m以下が更に好ましい。
【0135】
張力が30N/m以下であれば、ピンホールが生じにくく、ピンホールによる短絡も少なく、歩留まりも良い。また、張力が1N/m以上であれば、膜密度が向上し、外部取り出し効率が向上し、駆動電圧が低下する。張力が10N/m以上であれば、更に膜密度が向上し、外部取り出し効率の向上および駆動電圧の低下が見られる。これら外部取り出し効率の向上および駆動電圧の低下は、張力を掛けて加熱することにより、有機発光層の配向が生じ、膜密度が向上することにより、生じたものと考えられる。
【0136】
また、10N/m以上の張力を掛けることにより、短絡故障が低減する。これは金属ナノワイヤが張力を掛けることにより配向して対向する電極に接触しにくくなるためと考えられる。
【0137】
乾燥工程において、樹脂基材のウェッブの搬送方向に張力を掛ける場合は、上流の搬送ローラーの周速度に対して、下流の搬送ローラーの周速度を早くする方法がある。また、幅方向に張力を掛ける場合は、テンターの左右把持手段によって樹脂基材の両端を把持し、張力を掛ける方法が好ましい。
【0138】
《溶媒》
本発明の有機EL素子を作製する際に、材料を溶解または分散する液媒体としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等の脂肪酸エステル類、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類、トルエン、キシレン、メシチレン、シクロヘキシルベンゼン、アニソール等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサン、デカリン、ドデカン等の脂肪族炭化水素類、DMF、DMSO等の有機溶媒や、あるいは水を用いることができる。
【0139】
これらの層を形成後、その上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法により形成させ、陰極を設けることにより所望の有機EL素子が得られる。
【0140】
また、作製順序を逆にして、陰極、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。このようにして得られた多色の表示装置に、直流電圧を印加する場合には陽極を+、陰極を−の極性として電圧2〜40V程度を印加すると発光が観測できる。また、交流電圧を印加してもよい。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0141】
《保護膜、保護板》
有機層を挟み基板と対向する側の前記封止膜、あるいは前記封止用フィルムの外側に、素子の機械的強度を高めるために保護膜、あるいは保護板を設けてもよい。特に封止が前記封止膜により行われている場合には、その機械的強度は必ずしも高くないため、このような保護膜、保護板を設けることが好ましい。これに使用することができる材料としては、前記封止に用いたのと同様なガラス板、ポリマー板・フィルム、金属板・フィルム等を用いることができるが、軽量且つ薄膜化ということからポリマーフィルムを用いることが好ましい。
【0142】
《光取り出し》
有機EL素子は空気よりも屈折率の高い(屈折率が1.7〜2.1程度)層の内部で発光し、発光層で発生した光の内15%から20%程度の光しか取り出せないことが一般的に言われている。これは、臨界角以上の角度θで界面(透明基板と空気との界面)に入射する光は、全反射を起こし素子外部に取り出すことができないことや、透明電極ないし発光層と透明基板との間で光が全反射を起こし、光が透明電極ないし発光層を導波し、結果として光が素子側面方向に逃げるためである。
【0143】
この光の取り出しの効率を向上させる手法としては、例えば、透明基板表面に凹凸を形成し、透明基板と空気界面での全反射を防ぐ方法(米国特許第4,774,435号明細書)、基板に集光性を持たせることにより効率を向上させる方法(特開昭63−314795号公報)、有機EL素子の側面等に反射面を形成する方法(特開平1−220394号公報)、基板と発光体の間に中間の屈折率を持つ平坦層を導入し、反射防止膜を形成する方法(特開昭62−172691号公報)、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法(特開2001−202827号公報)、基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法(特開平11−283751号公報)等がある。
【0144】
本発明においては、これらの方法を本発明の有機EL素子と組み合わせて用いることができるが、基板と発光体の間に基板よりも低屈折率を持つ平坦層を導入する方法、あるいは基板、透明電極層や発光層のいずれかの層間(含む、基板と外界間)に回折格子を形成する方法を好適に用いることができる。
【0145】
本発明はこれらの手段を組み合わせることにより、更に高輝度あるいは耐久性に優れた有機EL素子を得ることができる。
【0146】
透明電極と透明基板の間に低屈折率の媒質を光の波長よりも長い厚みで形成すると、透明電極から出てきた光は、媒質の屈折率が低いほど外部への取り出し効率が高くなる。
【0147】
低屈折率層としては、例えば、エアロゲル、多孔質シリカ、フッ化マグネシウム、フッ素系ポリマー等が挙げられる。透明基板の屈折率は一般に1.5〜1.7程度であるので、低屈折率層は屈折率がおよそ1.5以下であることが好ましい。また、更に1.35以下であることが好ましい。
【0148】
また、低屈折率媒質の厚みは媒質中の波長の2倍以上となるのが望ましい。これは低屈折率媒質の厚みが、光の波長程度になってエバネッセントで染み出した電磁波が基板内に入り込む膜厚になると、低屈折率層の効果が薄れるからである。
【0149】
全反射を起こす界面もしくはいずれかの媒質中に回折格子を導入する方法は、光取り出し効率の向上効果が高いという特徴がある。この方法は回折格子が1次の回折や2次の回折といった所謂ブラッグ回折により、光の向きを屈折とは異なる特定の向きに変えることができる性質を利用して、発光層から発生した光の内、層間での全反射等により外に出ることができない光をいずれかの層間、もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)に回折格子を導入することで光を回折させ、光を外に取り出そうとするものである。
【0150】
導入する回折格子は、二次元的な周期屈折率を持っていることが望ましい。これは発光層で発光する光はあらゆる方向にランダムに発生するので、ある方向にのみ周期的な屈折率分布を持っている一般的な1次元回折格子では、特定の方向に進む光しか回折されず、光の取り出し効率がそれほど上がらない。しかしながら、屈折率分布を二次元的な分布にすることにより、あらゆる方向に進む光が回折され、光の取り出し効率が上がる。
【0151】
回折格子を導入する位置としては、前述の通りいずれかの層間もしくは媒質中(透明基板内や透明電極内)でもよいが、光が発生する場所である有機発光層の近傍が望ましい。このとき、回折格子の周期は媒質中の光の波長の約1/2〜3倍程度が好ましい。
【0152】
回折格子の配列は、正方形のラチス状、三角形のラチス状、ハニカムラチス状等、2次元的に配列が繰り返されることが好ましい。
【0153】
《集光シート》
本発明の有機EL素子は基板の光取り出し側に、例えば、マイクロレンズアレイ状の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより、特定方向、例えば、素子発光面に対し正面方向に集光することにより、特定方向上の輝度を高めることができる。
【0154】
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付く、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
【0155】
集光シートとしては、例えば、液晶表示装置のLEDバックライトで実用化されているものを用いることが可能である。このようなシートとして、例えば、住友スリーエム製輝度上昇フィルム(BEF)等を用いることができる。プリズムシートの形状としては、例えば、基板に頂角90度、ピッチ50μmの△状のストライプが形成されたものであってもよいし、頂角が丸みを帯びた形状、ピッチをランダムに変化させた形状、その他の形状であってもよい。
【0156】
また、発光素子からの光放射角を制御するために、光拡散板・フィルムを集光シートと併用してもよい。例えば、(株)きもと製拡散フィルム(ライトアップ)等を用いることができる。
【0157】
《用途》
本発明の有機EL素子は、表示デバイス、ディスプレイ、各種発光光源として用いることができる。発光光源として、例えば、照明装置(家庭用照明、車内照明)、時計や液晶用バックライト、看板広告、信号機、光記憶媒体の光源、電子写真複写機の光源、光通信処理機の光源、光センサーの光源等が挙げられるがこれに限定するものではないが、特に液晶表示装置のバックライト、照明用光源としての用途に有効に用いることができる。
【0158】
本発明の有機EL素子においては、必要に応じ成膜時にメタルマスクやインクジェットプリンティング法等でパターニングを施してもよい。パターニングする場合は、電極のみをパターニングしてもよいし、電極と発光層をパターニングしてもよいし、素子全層をパターニングしてもよく、素子の作製においては、従来公知の方法を用いることができる。
【0159】
本発明の有機EL素子や本発明に係る化合物の発光する色は、「新編色彩科学ハンドブック」(日本色彩学会編、東京大学出版会、1985)の108頁の図4.16において、分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)で測定した結果をCIE色度座標に当てはめたときの色で決定される。
【0160】
また、本発明の有機EL素子が白色素子の場合には、白色とは、2度視野角正面輝度を上記方法により測定した際に、1000Cd/mでのCIE1931表色系における色度がX=0.33±0.07、Y=0.33±0.1の領域内にあることを言う。本発明の有機EL素子の発光層には、発光ホスト化合物とゲスト材料としての発光ドーパントの少なくとも一種を含有することが好ましい。
【実施例】
【0161】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0162】
また、以下に実施例で使用する化合物の構造を示す。
【0163】
【化7】

【0164】
(透明導電性フィルム1の形成)
(銀ナノワイヤ分散液、AGW−1の作製)
金属微粒子として、Adv.Mater.,2002,14,833〜837に記載の方法を参考に、還元剤としてEG(エチレングリコール;関東化学社製)を、形態制御剤兼保護コロイド剤としてPVP(ポリビニルピロリドン K30、分子量5万;ISP社製)を使用し、かつ核形成工程と粒子成長工程とを分離して粒子形成を行い、銀ナノワイヤ分散液を調製した。以下に各工程について記載する。
【0165】
(核形成工程)
反応容器内で160℃に保持した100mlのEGを攪拌しながら、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:0.1モル/L)2.0mlを一定の流量で1分間かけて添加した後、160℃で10分間保持し銀イオンを還元して銀の核粒子を形成した。反応液は、ナノサイズの銀微粒子の表面プラズモン吸収に由来する薄黄色を呈しており、銀イオンが還元されて銀の微粒子(核粒子)が形成されたことが確認できた。続いて、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.24g/L)10.0mlを一定の流量で10分間かけて添加した。
【0166】
(粒子成長工程)
上記核形成工程終了後の核粒子を含む反応液を攪拌しながら160℃に保持し、硝酸銀のEG溶液(硝酸銀濃度:1.0×10−1モル/L)100mlと、PVPのEG溶液(PVP濃度:3.24g/L)100mlを、ダブルジェット法を用いて一定の流量で120分間かけて添加した。粒子成長工程において、30分毎に反応液を採取して電子顕微鏡で確認したところ、核形成工程で形成された核粒子が時間経過に伴ってワイヤ状の形態に成長しており、粒子成長工程における新たな微粒子の生成は認められなかった。最終的に得られた銀ナノワイヤについて、電子顕微鏡写真を撮影し、300個の銀ナノワイヤ粒子像の長軸方向及び短軸方向の粒径を測定して算術平均を求めた。短軸方向の平均粒径は75nm、長軸方向の平均粒径は35μmであった。
【0167】
(脱塩水洗工程)
上記粒子形成工程を終了した反応液を室温まで冷却した後、0.2μmの限外濾過膜を用いて脱塩水洗処理を施した。これを更に水洗処理し、乾燥して銀ナノワイヤを得た。
【0168】
(分散液の調整)
その後、エタノール中に再分散して銀ナノワイヤ分散液AGW−1(銀ナノワイヤ含有量0.8質量%)を調製した。
【0169】
(透明導電膜の形成)
調製した銀ナノワイヤ分散液AGW−1を、120mm×80mmの大きさで厚さ0.1mmのPEN基材支持体上に、銀ナノワイヤの目付け量が0.05g/mとなるように、銀ナノワイヤ分散液をスピンコーターを用いて塗布、乾燥させた後、銀ナノワイヤの塗布層にカレンダー処理を施して銀ナノワイヤ塗布フィルムを作製した。次いで、易接着加工を施したポリエチレンテレフタレートフィルム支持体の易接着面に、樹脂層として紫外線硬化型樹脂(オプトマーNN、JSR製)を、スピンコーターを用いて3μmの厚みに塗布し、樹脂層と、先に準備した銀ナノワイヤ塗布フィルムの塗布面側とが対面するように圧着し、易接着フィルム支持体側から紫外線を照射して紫外線硬化型樹脂を硬化させ、その後PEN基材支持体を剥離し、銀ナノワイヤ転写フィルムを得た。なお、この時の転写面の銀ナノワイヤを含む導電層の平均膜厚は250nmであった。各層の膜厚は、透過型電子顕微鏡(日立製作所社製、H9000NAR)による断層写真撮影を行い測定した。
【0170】
得られた銀ナノワイヤ転写フィルムに、公知のフォトリソグラフィー法を用いてパターニングを行い、電極パターン幅10mmのストライプ状パターン電極を有する透明導電性フィルム1を得た。
【0171】
表面比抵抗を、ダイアインスツルメンツ製抵抗率計ロレスタGPを用いて、ストライプ状パターン部の表面比抵抗を四端子法で測定したところ、10Ω/□であった。また、透過率を、東京電色社製AUTOMATICHAZEMETER(MODEL TC−HIIIDP)を用いて、ストライプ状パターン部の全光線透過率を測定したところ、81%であった。
【0172】
実施例1
《有機EL素子101の作製》(比較例)
陽極として、ポリエチレンテレフタレートフィルム支持体の上にITO(インジウムチンオキシド)を100nm製膜した基板にパターニングを行った後、このITO透明電極を設けた透明支持基板をノルマルプロピルアルコールで超音波洗浄し、乾燥窒素ガスで乾燥し、UVオゾン洗浄を5分間行い、ITO基板を作成した。
【0173】
このITO基板に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer製、Baytron P Al 4083)を純水で70%に希釈した溶液を膜厚が40nmになるように、スピンコート条件を調整して製膜した。塗布後120℃にて1時間乾燥し、正孔注入層を設けた。
【0174】
次いで、基板を真空蒸着装置に取付け、真空槽を4×10−4Paまで減圧し、化合物HT−1を蒸着法により製膜して正孔輸送層とした。膜厚は27nmとした。次に、同じく真空蒸着装置内で、同様の真空度を保ち、ホスト化合物として前記H−1、青色発光ドーパント化合物として前記D−1とを共蒸着した。合計で43nmの厚さとなるようにし、D−1はH−1に対し、22.3体積%となるようにした。
【0175】
次いで、電子注入層としてLiFを蒸着法により1nmで成膜し、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し、最後に凹状に加工したポリエチレンテレフタレートフィルムの封止部材を、シアノアクリレート系接着剤により有機EL素子を作成した基板に貼り付け封止することで有機EL素子101を作製した。
【0176】
《有機EL素子102の作製》(比較例)
前記のようにして作製、洗浄したITO基板上に、有機EL素子101の作製と同様にしてPEDOT/PSSを塗布、乾燥した。
【0177】
次いで、基板を窒素雰囲気下のグローブボックスへと移動し、化合物HT−1(50mg)をモノクロロベンゼン10mlに溶解させた溶液を用い、スピンコート法にて膜厚が27nmとなる条件で製膜し、室温にて窒素下で溶媒を揮発させ、正孔輸送層とした。
【0178】
次いで、グローブボックス中で発光ホスト化合物であるH−1(100mg)と青色発光ドーパント化合物であるD−1(19mg)とをエチルベンゼン10mlに溶解させた溶液を用いて、スピンコート法にて乾燥後の膜厚が43nmとなる条件で製膜し、室温にて窒素下で溶媒を揮発させ、青色発光層とした。
【0179】
その後に電子注入層としてLiFを蒸着法により1nmで成膜し、アルミニウム110nmを蒸着して陰極を形成し封止することにより、有機EL素子102を作製した。
【0180】
《有機EL素子103の作製》(比較例)
有機EL素子102の作製において、前記ITO基板に替えて、前記透明導電性フィルム1を用いた以外は素子102と同様にして、有機EL素子103を作製した。
【0181】
《有機EL素子104の作製》(比較例)
有機EL素子102の作製において、H−1とD−1のエチルベンゼン溶液を製膜した後の乾燥条件を、表1、表2に記載の通り、圧力0.1kPa、120℃で60分間とした他は同様にして有機EL素子104を作製した。
【0182】
なお、表1、表2の乾燥条件において、窒素下は大気圧の窒素雰囲気を言い、kPa単位で記載されている圧力は、乾燥工程の塗布層を囲む空気圧を表す。
【0183】
《有機EL素子105〜114の作製》(比較例、本発明)
有機EL素子103の作製において、H−1とD−1のエチルベンゼン溶液を塗布した後の乾燥条件を表1、表2に示したものに変更した以外は有機EL素子103と同様にして、有機EL素子105〜114を作製した。
【0184】
《有機EL素子115〜117の作製》(比較例、本発明)
有機EL素子103の作製において、発光ホスト化合物H−1を発光ホスト化合物H−2に替え、H−2とD−1のエチルベンゼン溶液を塗布した後の乾燥条件を表1、表2に示した通りに変更した他は有機EL素子103と同様にして、有機EL素子115〜117を作製した。
【0185】
《張力を加える方法》
有機EL素子110〜114、116、117は有機発光層の塗布液を塗布後、乾燥工程で張力を加えながら、表1、表2の条件で乾燥している。張力は、水平に置いた試料の周囲をクリップで把持し、クリップに繋いだ糸を滑車と錘で引っ張ることにより、試料の縦横両方向に加えた。
【0186】
《有機EL素子の評価》
作製した有機EL素子について、下記のようにして外部取り出し量子効率、駆動電圧、連続駆動時の電圧上昇、短絡故障および歩留まりの評価を行った。
【0187】
(膜密度差)
膜密度は、X線反射率測定法により求めた。X線発生源は銅をターゲットとし、50kV−300mAで作動させ、多層膜ミラーとGe(111)チャンネルカットモノクロメーターにて単色化したX線を使用した。測定は、ソフトウェア−ATX−Crystal Guide Ver.6.5.3.4を用い、アライメント調整後、2θ/ω=0〜1度を0.002度/stepで0.05度/minで走査した。上記の測定条件で反射率曲線を測定した後、株式会社リガク製GXRR Ver.2.1.0解析ソフトウェアを用いて測定し、膜密度差を下記式により算出した。蒸着法で作成した膜の密度と、蒸着以外の方法で作製した膜の密度との差を求めた。尚、塗布膜部分の膜密度は、素子101は1.20、素子106は1.09であった。膜密度差を表1、表2に記した。
【0188】
膜密度差=(蒸着で作製した有機発光層の密度)−(ウェットプロセスで作製した有機発光層の密度)
ただし、前記ウェットプロセスと蒸着は、溶媒の他は同じ組成の材料を用いる。
【0189】
(外部取り出し量子効率)
作製した有機EL素子に対し、2.5mA/cm定電流を印加したときの外部取り出し量子効率(%)を測定した。外部取り出し量子効率は以下の式により算出される。
【0190】
外部取り出し量子効率(%)=有機EL素子外部に発光した光子数/有機EL素子に流した電子数×100
なお、測定には分光放射輝度計CS−1000(コニカミノルタセンシング製)を用いた。有機EL素子101〜111の外部取り出し量子効率は、有機EL素子101(比較例)の測定値を100とした相対値で表した。外部取り出し量子効率の相対値を表1、表2に記した。
【0191】
(駆動電圧)
有機EL素子を室温(約23℃〜25℃)、2.5mA/cmの定電流条件下により駆動したときの電圧を各々測定し、測定結果を下記に示すように、有機EL素子101(比較例)を100として各々相対値で示した。駆動電圧の相対値を表1、表2に記した。
【0192】
(連続駆動時の電圧上昇)
作製した有機EL素子に対し、正面輝度2000cd/mとなるような電流を与え、正面輝度が初期の半減値(1000cd/m)になるまで連続駆動し、駆動終了時から駆動前の電圧を差し引いた値を連続駆動時の電圧上昇として求めた。
【0193】
A:連続駆動時の電圧上昇が0.5V未満
B:連続駆動時の電圧上昇が0.5V以上1.0V未満
C:連続駆動時の電圧上昇が1.0V以上2.0V未満
D:連続駆動時の電圧上昇が2.0V以上。
【0194】
連続駆動時の電圧上昇の評価結果を表1、表2に記した。
【0195】
(短絡故障率)
作製した有機EL素子に対し、順方向に0.5mA/cmの電流が流れるような電圧を順方向と逆方向に印加し、流れる電流の比率を整流比として求め、リーク電流の大小の指標とした。整流比が10以下の場合を短絡故障とし、各水準につき10サンプル作製し、10サンプル中短絡故障が発生するサンプル数を短絡故障率として評価した。
【0196】
短絡故障率=「(整流比が10以下のサンプル数/全作製・評価サンプル数)×100」(%)
短絡故障率を表1、表2に記した。
【0197】
(歩留まり)
ロール径10cmおよび20cmのロールtoロール生産を想定して、次のような歩留まり評価を行った。ロール径10cmおよび20cmのロールに巻きつけて1時間保持した後にロールから外し、2.5mA/cmの定電流条件下により駆動したときに発光故障がないかどうかを確認した。発光故障とは、電極のひび割れによる短絡等により素子の少なくとも一部分が発光しなくなる現象のことをいう。各水準につき10サンプル作製し、10サンプル中故障が発生するサンプル数を歩留まりとして評価した。故障数が少ないほど生産時の故障が少なく、歩留まりが高いことをあらわしている。
【0198】
歩留まり=(故障が発生したサンプル数/全作製・評価サンプル数)×100」(%)
ロール径10cmおよび20cmにおける歩留まりを表1、表2に記した。
【0199】
【表1】

【0200】
【表2】

【0201】
表1、表2に示す通り、金属ナノワイヤを含む透明導電膜上に有機発光層を含む有機積層体を設けた素子において、ウェットプロセスで有機発光層を塗布したときの乾燥を、減圧をしながら加熱して行うことにより、蒸着で作成した有機層との膜密度の差をより少なくすることで、外部取り出し効率(発光効率)、駆動電圧、連続駆動時の電圧上昇が抑制されて各々が蒸着で作製された素子に近似した性能となり、短絡故障を防止でき、かつ歩留まりよく作製できることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、一対の電極と、該電極間に有機発光層を含む有機積層体を有し、該電極の少なくとも1つが、金属ナノワイヤを含む透明導電膜であり、該有機発光層がウェットプロセスで作製される有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、該有機発光層の塗布液が、塗布された後、減圧環境下で加熱される工程を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項2】
前記基板上に前記有機発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、該有機発光層を塗布した後、該基板に張力をかけながら、減圧環境下で加熱する工程を有することを特徴とする、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項3】
前記基板が、フレキシブル性を有する材料を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項4】
前記有機発光層の膜密度(A)と、該有機発光層と同じ組成の材料を蒸着することにより形成された有機発光層の膜密度(B)とが下記式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
0g/cm≦(B)−(A)≦0.15g/cm
【請求項5】
前記有機発光層の膜密度(A)と、該有機発光層と同じ組成の材料を蒸着することにより形成された有機発光層の膜密度(B)とが下記式を満足することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
0g/cm≦(B)−(A)≦0.10g/cm
【請求項6】
前記減圧環境の圧力が0.05kPa以上0.5kPa以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法によって作成された有機エレクトロルミネッセンス素子を具備することを特徴とする照明装置。

【公開番号】特開2011−171092(P2011−171092A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−33301(P2010−33301)
【出願日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】