説明

有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法

【課題】画素を区画する隔壁表面の処理方法を工夫することで、画素内にて均一な膜厚分布を得ることができる有機EL素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】有機EL素子は、少なくとも基板101上に、画素電極102と対向電極105と正孔輸送層及び有機発光層を含む発光媒体層104からなり、両電極から有機発光層に電流を流すことにより、有機発光層を発光させる有機EL素子であって、前記隔壁103は、前記発光媒体層104の液相材料である薄膜材料液に対し、同一材料からなる親和性を示す親和性隔壁領域と、非親和性を示す非親和性隔壁領域とが、前記隔壁層表面にて、交互に形成された構成であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に係り、特に有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略す)は、導電性の発光媒体層に電圧を印加することにより、発光媒体層中の有機発光層において注入された電子と正孔が再結合する。有機発光層中の有機発光分子は、再結合エネルギーによりいったん励起状態となり、その後、励起状態から基底状態に戻る。この際に放出されるエネルギーを光として取り出すことにより有機EL素子は発光する。有機媒体層に電圧を印加するために前記発光媒体層の両側には画素電極と対向電極が設けられており、発光層からの光を外部へ取り出すために少なくとも一方の電極は透光性を有する。
【0003】
このような従来の有機EL素子の構造の一例としては、透光性基板上に、透光性の画素電極、発光媒体層、対向電極を順次積層したものがある。ここで、基板上に形成される画素電極を陽極、発光媒体層上に形成される対向電極を陰極として利用する態様が挙げられる。
【0004】
さらに発光効率を増大させる等の目的から、陽極と有機発光層との間に設けられる正孔輸送層、正孔注入層に加え、有機発光層と陰極との間に電子輸送層、電子注入層が適宜選択して設けられ、有機EL素子として構成されることが多い。これら正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層はキャリア輸送層と呼ばれている。これらキャリア輸送層と有機発光層、さらには正孔ブロック層や電子ブロック層、絶縁層等を合わせて発光媒
体層と呼ぶ。上述のように発光媒体層を構成し、各機能を発揮する物質(発光媒体材料と呼ぶ)がいずれも低分子化合物の場合には、各層は抵抗加熱方式などの真空蒸着法などによって積層される。
【0005】
これに対し、低分子系または、高分子系材料を溶媒に溶解または分散させることで、塗布法や印刷法と言った湿式法により発光層を製膜することができる。そのため、前述の真空蒸着法を用いた有機EL素子と比較して、大気圧下での製膜が可能であり、設備コストが安いという利点がある。
【0006】
画像表示装置を作製する場合は、縦横に並べられている多数の画素によって、画像を表示する。そのためには発光材料や正孔注入材料などを画素電極上に選択的に配し、各画素に独立した有機EL素子を形成する必要がある。その際、材料を各画素に均一に配し、均一に発光させる為、予め各画素を区画する隔壁を設ける手法が一般的に用いられている。
【0007】
現在、上記隔壁構造の形状や層構造、また、処理方法を工夫することで、有機膜の膜厚分布等を改善する手法が盛んに検討されている。例えば、親和性隔壁と非親和性隔壁を二段隔壁構造したもの(特許文献1、特許文献2)や、非親和性隔壁部以外の画素内に紫外光照射を行うもの(特許文献3)などがある。二段隔壁構造の場合、材料や成膜プロセスの増加により、コストアップなどの問題がある。また、非親和性隔壁以外の画素内に紫外光照射を行うものに関しては、非親和性隔壁部分から中央部にかけて、膜面がお椀型形状になり易いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−9833号公報
【特許文献2】特開平11−329741号公報
【特許文献3】特開平9−230129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、画素を区画する隔壁表面の処理方法を工夫することで、画素内にて均一な膜厚分布を得ることができる有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に係る発明は、少なくとも基板上に、画素電極、対向電極、有機発光層を含む発光媒体層、前記画素電極に対応した発光領域を区画する隔壁が形成され、前記画素電極及び対向電極から前記発光媒体層に電流を流すことにより、有機発光層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記隔壁は、前記発光媒体層の液相材料である薄膜材料液に対し、同一材料からなる親和性を示す親和性隔壁領域と、非親和性を示す非親和性隔壁領域とが、前記隔壁層表面にて、交互に形成された構成であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記隔壁は、前記親和性隔壁領域と、前記非親和性隔壁領域との境界の高さが、前記発光媒体層の界面の高さに対し、等しいか、または10倍以内になるように調整されて形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記隔壁表面は、最端部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記隔壁表面は、最端部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記隔壁表面は、最端部に非親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記隔壁表面は、中心部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする。
【0016】
請求項7に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記画素電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする。
【0017】
請求項8に係る発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子において、前記対向電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする。
【0018】
請求項9に係る発明は、少なくとも基板上に、画素電極、対向電極、有機発光層を含む発光媒体層が形成され、前記画素電極及び対向電極から有機発光層に電流を流すことにより、有機発光層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
(a)少なくとも前記有機発光層を複数の画素に区画する非親和性隔壁を形成させる工程と、
(b)前記非親和性隔壁表面の所定の領域に、紫外光源を用いたパターン照射を行い、親和性隔壁領域を発現させる工程と、
(c)前記発光媒体層を湿式成膜法により形成させる工程と、
を含むことを特徴とする。
【0019】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記隔壁表面は、最端部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする。
【0020】
請求項11に係る発明は、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記隔壁表面は、最端部に非親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする。
【0021】
請求項12に係る発明は、請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記隔壁表面は、中心部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする。
【0022】
請求項13係る発明は、請求項9ないし12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記画素電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする。
【0023】
また、請求項14に係る発明は、請求項9ないし12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、前記対向電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、同一材料からなる隔壁を、発光媒体層の液相材料である薄膜材料液に対し、親和性を示す親和性隔壁領域と、非親和性を示す非親和性隔壁領域とが、隔壁表面にて、交互に形成された構成にすることで、画素内にて均一な膜厚分布を得られ、発光ムラの改善が可能になった。
【0025】
また、本発明によれば、二段隔壁構造のように材料を2種類用いる必要がなく、同一材料から作製することで、プロセス数が少なく、作製が簡便であり、且つ、親和性領域と非親和性領域を精度良くパターニングできることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る発光表示装置を示した断面模式図である。
【図2】本発明の実施形態に係る発光媒体層の層構成を示した断面模式図である。
【図3】本発明の実施形態に係る隔壁の製造工程断面模式図である。
【図4】本発明の実施形態に係る発光媒体層成膜後を示した断面模式図である。
【図5】従来の発光表示装置の断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明において参照する図面は、本発明の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さ、寸法の比率等についてはそのまま実施の形態を表すものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態を説明するための有機EL表示装置100の断面図である。図1に示す本発明の実施形態に係る有機EL表示素子を用いた有機EL表示装置100では、基板101に、画素毎に具備された画素電極(陽極)102と、画素電極102の画素間を区画する隔壁103と、画素電極102の上方に形成された発光媒体層104、この発光媒体層104上に全面を被覆するように形成された対向電極(陰極)105とを備えている。その他に、発光媒体層104として、正孔注入層、正孔輸送層、インターレイヤ、電子ブロック層、電子注入層等の層を適宜加えても良い。また、上記有機EL素子を覆うようにして、封止体をそなえても良い。
【0029】
図2(a)、(b)は、本発明の有機EL素子の発光媒体層104の積層部分の断面図である。図2(a)はボトムエミッション型の有機EL素子の例であり、基板201上に画素電極202、正孔輸送層204、有機発光層206、対向電極207の順で積層されている。この順番に積層されていれば、インターレイヤ205や、その他の層をそれぞれの間に積層しても良い。対向電極207は光不透過性電極であり、対向電極207側に放出された光は対向電極207で反射して光透過性電極である画素電極202側から外部へ出射する。
【0030】
図2(b)はトップエミッション型の有機EL素子の例であり、基板201上に反射層203、画素電極202、正孔輸送層204、インターレイヤ205、有機発光層206、対向電極207の順で積層されている。この順番に積層されていれば、その他の層をそれぞれの間に積層しても良い。対向電極207は光透過性電極であり、画素電極202側に放出された光は画素電極202を透過して反射層203で反射して対向電極207側から外部へ出射する。一方、対向電極207側に放出された光は、同じく対向電極207を透過して外部へ出射する。以降の説明は、ボトムエミッション型の有機EL素子を基に行うが、対向電極207を透明導電膜としたトップエミッション型についても適用される。
【0031】
基板101の材料は、例えば、ガラスや石英、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のプラスチックフィルムやシート、あるいは、トップエミッション型の有機発光電界素子の場合には、これに加えて、上記のプラスチックフィルムやシートに酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物や、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウムなどの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、アクリル樹脂やエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜を単層もしくは積層させた光透過性基板や、アルミニウムやステンレスなどの金属箔、シート、板、プラスチックフィルムやシートにアルミニウム、銅、ニッケル、ステンレスなどの金属膜を積層させた光不透過性基板などを用いることができるが、本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0032】
有機EL表示装置100の光取り出しを行う面はボトムエミッション型では基板101と隣接する電極側から行えばよい。トップエミッション型では基板101と対向する電極側から行えばよい。
【0033】
本発明の実施形態に係る画素電極102は、基板101上に成膜し、必要に応じてパターニングを行う。画素電極102は隔壁103によって区画され、各画素に対応した画素電極となる。
【0034】
画素電極102の材料としては、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、AZO(亜鉛アルミニウム複合酸化物)などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものをいずれも使用することができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0035】
画素電極102を陽極とする場合、ITOなど仕事関数の高い材料を選択することが好ましい。TFT駆動の有機EL表示装置において電極は低抵抗であればよく、シート抵抗で20Ω・sq以下であれば好適に用いることが可能となる。
【0036】
画素電極102の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0037】
画素電極102のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法などの既存のパターニング法を用いることができる。
【0038】
図2(b)に示したトップエミッション型の場合、画素電極202の下部に反射層203を形成することが好ましい。反射層203の材料としては、高反射率かつ低抵抗であることが好ましく、Cr、Mo、Al、Ag、Ta、Cu、Ti、Niを一種以上含んだ単膜及び積層膜、合金膜、前記材料を用いた膜にSiO、SiO、TiO等の保護膜を形成したものを用いる事が出来る。反射層203は、反射率として可視光波長領域の全平均で80%以上あればよく、90%以上であれば好適に用いることが可能となる。発光媒体層104または画素電極102が光不透過性材料である場合はこの限りではない。
【0039】
反射層203の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0040】
反射層203のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、マスク蒸着法、フォトリソグラフィ法、ウェットエッチング法、ドライエッチング法などの既存のパターニング法を用いることができる。
【0041】
本発明の実施形態に係る隔壁103は、各画素に対応した発光領域を区画するように形成することができ、画素電極102の端部を覆うように形成することが好ましい。一般的にアクティブ駆動型の有機EL表示装置100は、各画素に対して画素電極102が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとするため、画素電極102の端部を覆うように形成される。隔壁103の最も好ましい形状は各画素電極102を最短距離で区切る格子状を基本とする。
【0042】
隔壁103は、親和性隔壁領域103A、非親和性隔壁領域103Bによって形成されている。隔壁103の材料としては、絶縁性を有する必要があり、感光性材料等を用いることができる。感光性材料としては、ポジ型であってもネガ型であってもよく、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、ポリイミド樹脂、及びシアノエチルプルラン等を用いることができる。また、隔壁形成材料として、SiO、TiO等を用いることもできる。
【0043】
本発明では、親和性隔壁領域103Aと、非親和性隔壁領域103Bを得るために、予め隔壁103を非親和性隔壁として形成する必要がある。非親和性を付与する方法としては、材料に非親和性材料を付与するか、または、隔壁形成後に、プラズマ処理といった非親和性処理をすることが好ましい。非親和性材料として、含フッ素化合物もしくは含ケイ素化合物を用いることができ、これらを混合して用いることがより好ましい。前記含フッ素化合物の例として、具体的には、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、三フッ化エチレン等や、これらの共重合体等のフッ化樹脂などを挙げられることが出来る。また、これらの含フッ素化合物は、単独または二種類以上併用して用いることが出来る。前記含ケイ素化合物として、主鎖または側鎖に有機シリコンを有するもので、シロキサン成分を含むシリコン樹脂やシリコーンゴムなどを挙げられることが出来る。また、これらの含ケイ素化合物は、単独または二種類以上併用して用いることが出来る。さらに、前記含フッ素化合物と含シリコン化合物の成分を併用しても良い。
【0044】
本発明では、親和性隔壁領域103Aを発現させる方法として、非親和性隔壁へのエネルギー線の照射を行う。エネルギー線の具体的なものとして、低圧水銀灯やエキシマランプによる紫外光を例示できる。これら紫外光では、非親和性隔壁を親和性化、または非親和性の程度を領域ごとにコントロールすることができる。親和性の程度は、照射量をコントロールすることで可能であり、また、領域の程度は、フォトマスク等を用いたパターン照射により制御可能である。親和性の程度は、相対的なものであり、親和性隔壁領域103Aの親和性の程度が非親和性隔壁領域103Bよりも高くなるように設定する必要がある。例えば、接触角の大きさがどのような材料を用いても、常に親和性隔壁領域103Aよりも非親和性隔壁領域103Bの方が大きいという関係を満たすように調整されている。好ましくは、親和性隔壁領域103Aは、材料液に対し、接触角が30度以下となるように調整され、また、非親和性隔壁領域103Bは、材料液に対し、接触角が40度以上となるように調整される。
【0045】
親和性隔壁領域103Aと非親和性隔壁領域103Bの領域の程度は、発光媒体層104の厚みと等しいか、もしくは10倍、好ましくは5倍以内になるように調整されている。言い換えると、親和性隔壁領域103Aと非親和性隔壁領域103Bの境界を発光媒体層104の厚みと等しいか、もしくは10倍、好ましくは5倍以内になるように調整しておく。この理由として、発光媒体層104の厚みに対し、親和性隔壁領域103Aと非親和性隔壁領域103Bの境界の高さが20倍以上ある場合、発光媒体層104から隔壁103への乗り上げ領域が大きくなり、平坦性が悪くなるためである。非親和性隔壁領域103Bは発光媒体層104の元となる材料を十分にはじくような厚みに形成する。
【0046】
隔壁103の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0047】
隔壁103のパターニング方法としては、材料や成膜方法に応じて、基体(基板101及び画素電極102)上に無機膜を一様に形成し、レジストでマスキングした後、ドライエッチングを行う方法や、基体上に感光性樹脂を塗工し、フォトリソグラフィ法により所定のパターンとする方法があげられる。
【0048】
次に、正孔注入層は透明電極(陽極)から正孔を注入する機能を有する層であり、正孔輸送層204は有機発光層206に正孔を輸送する機能を有する層である。これらの層は、正孔注入機能と正孔輸送機能とを共に有する場合がある。この場合、これらの機能の程度に応じてどちらか一方の名称で、或いは両方の名称で機能層が称されている。本発明においては、正孔輸送層204と称されている層は、正孔注入層も含む。
【0049】
正孔輸送層204の物性値としては、画素電極202の仕事関数と同等以上の仕事関数を有することが好ましい。これは画素電極202からインターレイヤ205へ効率的に正孔注入を行うためである。画素電極102の材料により異なるが4.5eV以上6.5eV以下を用いる事ができ、画素電極102がITOやIZOの場合、5.0eV以上6.0eV以下が好適に用いる事が可能である。正孔輸送層204の比抵抗に関しては、膜厚30nm以上の状態で、1×10〜2×10Ω・mであることが好ましく、より好ましくは5×10〜1×10Ω・mである。また、ボトムエミッション構造では画素電極側から放出光を取り出すため、光透過性が低いと取り出し効率が低下してしまうため、可視光波長領域の全平均で75%以上が好ましく、85%以上ならば好適に用いることが可能である。
【0050】
正孔輸送層204を構成する材料としては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物等の高分子材料を用いることができる。この他にも、導電率が10−2〜10−6S/cmである導電性高分子を好ましく用いることができる。高分子材料は、湿式法による成膜工程に使用可能である。このため、正孔注入層又は正孔輸送層を形成する際に高分子材料を用いることが好ましい。このような高分子材料は、水又は溶剤によって分散或いは溶解され、分散液又は溶液として使用される。
【0051】
正孔輸送層204を形成する方法としては、基板201上の表示領域全面に、ノズルプリント、法インクジェット印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スピンコート法,ダイコート法,ディッピング法,又はスリットコート法等の湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができる。正孔輸送層204を形成する際には、前記正孔輸送材料が水、有機溶剤、或いはこれらの混合溶剤に溶解されたインキ(液体材料)が用いられる。有機溶剤としては、トルエン、キシレン、アニソール、メシチレン、テトラリン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル等が使用できる。また、インキには、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等を添加してもよい。
【0052】
本発明の実施形態に係るインターレイヤ205は、有機発光層206と正孔輸送層204の間に積層することで、素子の発光寿命を向上させることができる。トップエミッション型の素子構造では正孔輸送層204の形成後に積層することができる。通常は正孔輸送層204を被覆するように形成するが、必要に応じてパターニングを行っても良い。
【0053】
インターレイヤ205の材料としては、有機材料ではポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられる。
【0054】
これらの有機材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機インターレイヤインキとなる。有機インターレイヤ材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの単独またはこれらの混合溶媒が上げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が有機インターレイヤ材料の溶解性の面から好適である。また、有機インターレイヤインキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
【0055】
これらインターレイヤ205の材料としては、正孔輸送層204よりも仕事関数が同等以上の材料を選択することが好ましく、更に有機発光層206よりも仕事関数が同等以下であることがより好ましい。これは正孔輸送層204から有機発光層206へのキャリア注入時に不必要な注入障壁を形成しないためである。また有機発光層206から発光に寄与できなかった電荷を閉じ込める効果を得るため、バンドギャップが3.0eV以上であることが好ましく、より好ましくは3.5eV以上であると好適に用いることが出来る。
【0056】
インターレイヤ205の形成法としては、材料に応じて、ノズルプリント法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができる。
【0057】
本発明の実施形態に係る有機発光層206は、トップエミッション型の素子の場合、インターレイヤ205の形成後に積層することが出来る。有機発光層206から放出される表示光が単色の場合、インターレイヤ205を被覆するように形成するが、多色の表示光を得るには必要に応じてパターニングを行うことにより好適に用いることができる。
【0058】
有機発光層206を形成する有機発光材料は、例えばクマリン系、ペリレン系、ピラン系、アンスロン系、ポルフィレン系、キナクリドン系、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系、ナフタルイミド系、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系、イリジウム錯体系などの発光性色素をポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルカルバゾール等の高分子中に分散させたものや、ポリアリーレン系、ポリアリーレンビニレン系やポリフルオレン系の高分子材料が挙げられるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0059】
これらの有機発光材料は溶媒に溶解または安定に分散させ有機発光インキとなる。有機発光材料を溶解または分散する溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、アニソール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどの単独またはこれらの混合溶媒が上げられる。中でもトルエン、キシレン、アニソールといった芳香族有機溶媒が有機発光材料の溶解性の面から好適である。また、有機発光インキには必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤等が添加されてもよい。
【0060】
上述した高分子材料に加え、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノー8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス[8−(パラ−トシル)アミノキノリン]亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレンなどの低分子系発光材料が使用できる。
【0061】
有機発光層206の形成法としては、材料に応じて、ノズルプリント法、インクジェット印刷法、凸版印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができる。
【0062】
次に、上記有機発光層206上に本発明の実施の形態に係る対向電極105を形成する。対向電極105の具体的な材料にはMg、Al、Yb等の金属単体を用いたり、発光媒体層104と接する界面にLiや酸化Li、LiF等の化合物を1nm程度挟んで、安定性・導電性の高いAlやCuを積層して用いたりしてもよい。または電子注入効率と安定性とを両立させるため、仕事関数が低いLi、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb等の金属1種以上と、安定なAg、Al、Cu等の金属元素との合金系を用いてもよい。具体的にはMgAg、AlLi、CuLi等の合金を使用することができる。またITO(インジウムスズ複合酸化物)やIZO(インジウム亜鉛複合酸化物)、AZO(亜鉛アルミニウム複合酸化物)などの金属複合酸化物等の透明導電膜を用いることができる。
【0063】
図2(b)に示したトップエミッション構造におけるこれらの対向電極105は、発光媒体層104から放出される表示光を透過されるため、可視光波長領域に対して光透過性が必要である。Mg、Al、Yb等の金属単体では20nm以下であることが好ましく、更には2−7nm以内であることがより好ましい。透明導電膜においては可視光波長領域の平均光透過性として85%以上を保つように膜厚を調節し好適に用いることができる。
【0064】
対向電極105の形成法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、インクジェット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法など既存の成膜法を用いることができるが本発明ではこれらに限定されるわけではない。
【0065】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【実施例】
【0066】
次に、上述した本発明の有機EL表示装置の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例によって制限されない。
【0067】
[実施例]
まず、対角5インチのガラス基板101を準備した。このガラス基板101上にスパッタ法を用いてITO(インジウム―酸化錫)薄膜102を50nmの膜厚で形成し、フォトリソグラフィ法によりパターニングを行った。これによって、複数のラインパターンを有する画素電極を作製した。この複数のラインパターンにおいて、30μmピッチで136μm幅の320本のラインが形成されている。次にこのガラス基板101をアセトン、純水、ブラシ洗浄、超音波洗浄などの従来のウェットプロセスによる洗浄を行い、U V オゾン処理により洗浄を行った。
【0068】
次に、隔壁103を以下のように形成した。ガラス基板101の全面にポジ型感光性ポリイミドをスピンコートした。スピンコートの条件として、ガラス基板101を110rpmで5秒間回転させた後に、ガラス基板101を400rpmで20秒間回転させた。ポジ型感光性ポリイミドの膜厚は1.5μmである。隔壁103上のみ隠されたフォトマスクを準備し、フォトリソグラフィ法を用いてガラス基板101の全面に塗布された感光性材料の隔壁103部以外をi線ステッパーにより180mJ/cm露光した。露光した後現像を行い、オーブンを用いて、230℃30分の条件で焼成し隔壁103を得た。
【0069】
図3は、本実施形態に係る隔壁形成工程の例を示す概略構成図である。図3のように、フォトマスクを用いた低圧水銀灯を用いたUV光のパターン処理により、親和性隔壁領域103Aと非親和性隔壁領域103Bを発現させた。この時、親和性隔壁領域103Aと非親和性隔壁領域103Bの境界はITO表面から100nmの高さになるように調整した。
【0070】
次に、正孔輸送層204は、正孔輸送材料としてポリアリーレン誘導体を用いてこれをキシレン/CHB=2/8に溶解させて濃度を0.5重量%とした分散液をノズルプリント法を用いて隔壁103内に塗布し、乾燥させることによって形成した。
【0071】
次に、インターレイヤ205の材料であるポリビニルカルバゾール誘導体を濃度0.5%になるようにトルエンに溶解させたインキを用い、隔壁103に挟まれた正孔輸送層204の真上にインターレイヤ205を、画素電極202のラインパターンに一致するように、ノズルプリント法で成膜を行った。
【0072】
次に、有機発光材料として、ポリフェニレンビニレン誘導体を採用し、この材料の濃度が1%になるように、この材料がトルエンに溶解された有機発光インキを準備した。このインキ用いて、隔壁103に挟まれた画素電極102上に、画素電極102のラインパターンに一致するようにノズルプリント法を用いて有機発光層206を印刷した。正孔輸送層204、インターレイヤ205、有機発光層206の発光媒体層の合計膜厚が100nmとなり、図4に示すように親和性隔壁領域103Aと非親和性隔壁領域103Bの高さと同等になるように成膜した。
【0073】
次に、有機発光層206上にカルシウム膜と、アルミニウム膜からなる対向電極(陰極層)207をメタルマスクを用いてラインパターン状に形成した。具体的には、対向電極(陰極層)207のラインパターンと画素電極202のラインパターンとが直交するように、抵抗加熱蒸着法を用い、膜厚は100nmとなった。
【0074】
その後、封止体として対向電極(陰極層)207の上部を覆うように厚めのガラス中央部を凹状に加工したガラスを用いて封止を行った。ガラスの凹部には吸湿剤を設置し、封止環境による劣化を低減させた。
【0075】
このように得られた有機ELディスプレイパネルの表示部の周辺部においては、画素電極202毎に接続されている陽極側の取り出し電極と、陰極層に接続されている陰極側の取り出し電極とが設けられている。これら取り出し電極を電源に接続し、有機EL表示素子を点灯かつ表示させ、点灯状態及び表示状態を確認した。
【0076】
得られた有機EL表示素子を駆動し、表示確認を行ったところ、7Vの駆動電圧で、600cd/cmの輝度が得られ、発光状態は良好であった。
【0077】
[比較例1]
図5は、従来の方法により製造される発光表示装置の断面模式図である。
【0078】
まず、図5に示す発光表示装置の製造に際し、基板101上に、画素電極102を形成した後、前記実施例と同一の方法で、非親和性隔壁領域103Bからなる隔壁103を形成した。
【0079】
次に、フォトマスクを用いたパターン照射を行わず、隔壁103の親和性隔壁領域103Aを形成せずに、上記実施例と同一の方法で発光媒体層104を形成した。それにより、成膜後には、図5に示すように中央部で厚く周辺部で薄い膜の発光媒体層104が形成された。
【0080】
その後、陰極層を形成した。このように得られた有機EL表示素子を駆動したところ、7Vの駆動電圧で250cd/cmの輝度が得られたが、発光ムラが生じた。
【0081】
比較例1の評価結果から、隔壁103に親和性隔壁領域103Aが含まれていないため、発光ムラが生じた。前記実施例においては、隔壁103に親和性隔壁領域103Aがあるため、発光媒体層104の画素内平坦性が良く、表示特性の良い有機EL表示素子が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、発光ムラを抑制することのでき、且つEL特性も良好な有機EL表示装置及びその製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0083】
100…有機EL表示装置、101…基板、102…画素電極、103…隔壁、103A…親和性隔壁領域、103B…非親和性隔壁領域、104…発光媒体層、105…対向電極、106…フォトマスク、201…基板、202…画素電極、203…反射層、204…正孔輸送層、205…インターレイヤ、206…有機発光層、207…対向電極。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基板上に、画素電極、対向電極、有機発光層を含む発光媒体層、前記画素電極に対応した発光領域を区画する隔壁が形成され、前記画素電極及び対向電極から前記発光媒体層に電流を流すことにより有機発光層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス素子であって、
前記隔壁は同一材料からなり、且つ、前記発光媒体層の液相材料である薄膜材料液に対し、親和性を示す親和性隔壁領域と、非親和性を示す非親和性隔壁領域とが、前記隔壁層表面にて、交互に形成された構成であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
前記隔壁は、前記親和性隔壁領域と、前記非親和性隔壁領域との境界の高さが、前記発光媒体層の界面の高さに対し、等しいか、または10倍以内になるように調整されて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項3】
前記発光媒体層は、前記親和性隔壁領域と、前記非親和性隔壁領域との境界の高さが、その界面となるように厚みが調整されて形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項4】
前記隔壁表面は、最端部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項5】
前記隔壁表面は、最端部に非親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項6】
前記隔壁表面は、中心部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項7】
前記画素電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項8】
前記対向電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【請求項9】
少なくとも基板上に、画素電極、対向電極、有機発光層を含む発光媒体層が形成され、前記画素電極及び対向電極から有機発光層に電流を流すことにより、有機発光層を発光させる有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法において、
(a)少なくとも前記有機発光層を複数の画素に区画する非親和性隔壁を形成させる工程と、
(b)前記非親和性隔壁表面の所定の領域に、紫外光源を用いたパターン照射を行い、親和性隔壁領域を発現させる工程と、
(c)前記発光媒体層を湿式成膜法により形成させる工程と、
を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項10】
前記隔壁表面は、最端部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項11】
前記隔壁表面は、最端部に非親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項12】
前記隔壁表面は、中心部に親和性隔壁領域を備えていることを特徴とする請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項13】
前記画素電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
【請求項14】
前記対向電極が透明な電極であって、前記画素電極と該対向電極の間で、前記画素電極から正孔輸送層、有機発光層の順で積層されていることを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−204183(P2012−204183A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68605(P2011−68605)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】