説明

有機エレクトロルミネッセンス素子

【課題】優れた発光効率で高輝度発光する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供する。
【解決手段】一対の電極2,6間に発光層4もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層が式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電界発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)に関する。
【背景技術】
【0002】
低電圧で高輝度発光が可能である有機エレクトロルミネッセンス素子は次世代の表示素子としてその開発が検討されている。しかしながら、フルカラーディスプレイに必須な青色発光素子に関しては発光特性が十分なものがなく、発光輝度及び発光効率の向上が求められている。
発光輝度及び発光効率を向上させるため有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層に使用する有機金属化合物が検討されている。このうち、有機ゲルマニウム化合物を使用する例としては、特許文献1に、ゲルマニウム−ゲルマニウム金属結合を有する有機金属化合物の使用について触れられているが、式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物に関しては全く知られていなかった。
また、有機エレクトロルミネッセンス素子への有機ゲルマニウム化合物の使用としては、特許文献2にテトラフェニルゲルマニウムの正孔注入層への使用が記載されているが、正孔注入層以外への使用は全く知られていなかった。
【0003】
【化1】

【0004】
(式中、Lは0〜2の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、kは0〜3の整数を表す。Arはアリール基又は複素アリール基を表し、同一もしくは異なっていても良く、その任意の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基に置換されていても良い。また、隣接したArは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アルキレン基、オキサアルキレン基、チアアルキレン基を介して結合していても良い。また、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。Xはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−77666号公報
【特許文献2】特開平10−95971号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】日本化学雑誌,第84巻,1963年,p.272
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は優れた発光効率で高輝度発光する有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは鋭意検討した結果、一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子において、発光層が式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物を含有する場合に、青色発光素子の効率が著しく向上することを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は、1対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層が式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の1対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層が式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物を含有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子は、優れた発光効率で高輝度発光する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1記載の素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極とした電極間電圧を+10Vとしたときの発光スペクトル
【図2】実施例1記載のエレクトロルミネッセンス素子概略図
【図3】実施例3記載のエレクトロルミネッセンス素子概略図
【図4】実施例5記載の素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極とした電極間電圧を+15Vとしたときの発光スペクトル
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に含有される式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物において、Lは0〜2の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、kは0〜3の整数を表し、Arはアリール基又は複素アリール基を表し、同一もしくは異なっていても良く、その任意の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基に置換されていても良い。また、隣接したArは、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アルキレン基、オキサアルキレン基、チアアルキレン基を介して結合していても良い。
Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。
Xはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。
【0012】
ここでArがアリール基の場合、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントラセニル基等が挙げられる。
【0013】
また、Arが複素アリール基の場合、複素アリール基としては、フリル基、チオフェニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、ピリジル基、チアゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基、キノキサリル基等が挙げられる。
【0014】
上記のAr(アリール基もしくは複素アリール基)の任意の水素原子は、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基に置換されていても良く、また、隣接したAr(アリール基もしくは複素アリール基)は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アルキレン基、オキサアルキレン基、もしくはチアアルキレン基を介して結合しても良い。
【0015】
ここで、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
【0016】
アルキル基としては、炭素数1〜20のアルキル基、特に炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等が挙げられる。なお、これら置換基は、その異性体も含む。
【0017】
シクロアルキル基としては、炭素数5〜8のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
【0018】
アルケニル基としては、炭素数2〜20、特に炭素数2〜12のアルケニル基が好ましく、例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等が挙げられる。なお、これら置換基は、その異性体も含む。
【0019】
アリール基としては、炭素数6〜12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、トリル基(及びその異性体)、キシリル基(及びその異性体)、ナフチル基(及びその異性体)、ジメチルナフチル基(及びその異性体)等が挙げられる。
【0020】
アラルキル基としては、炭素数7〜20のアラルキル基が好ましく、例えばベンジル基、ナフチルメチル基、インデニルメチル基、ビフェニルメチル基などが挙げられる。
【0021】
アルコキシ基としては、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンタノキシ基、ヘキサノキシ基、ヘプタノキシ基、オクタノキシ基、ノナノキシ基、デカノキシ基等が挙げられる。なお、これら置換基は、その異性体も含む。
【0022】
アリールオキシ基としては、炭素数6〜14のアリールオキシ基が好ましく、フェノキシ基、トリロキシ基、キシリロキシ基、ナフトキシ基、ジメチルナフトキシ基等が挙げられる。なお、これら置換基は、その異性体も含む。
【0023】
隣接したAr(アリール基もしくは複素アリール基)がアルキレン基を介して結合する場合、アルキレン基は、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、メチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、およびヘキサメチレン基等が挙げられる。
【0024】
隣接したAr(アリール基もしくは複素アリール基)がオキサアルキレン基を介して結合する場合、オキサアルキレン基としては炭素数1〜5のオキサアルキレン基が好ましく、オキサメチレン基、オキサプロピレン基、オキサブチレン基、オキサペンタメチレン基、オキサヘキサメチレン基、ジオキサメチレン基、ジオキサプロピレン基、ジオキサブチレン基、ジオキサペンタメチレン基、ジオキサヘキサメチレン基等が挙げられる。なお、これら置換基は、その異性体も含む。
【0025】
隣接したAr(アリール基もしくは複素アリール基)がチアアルキレン基を介して結合する場合、チオアルキレン基としては炭素数1〜5のチオアルキレン基が好ましく、チアメチレン基、チアプロピレン基、チアブチレン基、チアペンタメチレン基、チアヘキサメチレン基、ジチアメチレン基、ジチアプロピレン基、ジチアブチレン基、ジチアペンタメチレン基、ジチアヘキサメチレン基等が挙げられる。なお、これら置換基は、その異性体も含む。
【0026】
上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、および隣接したArを連結するアルキレン基、オキサアルキレン基、チアアルキレン基は、さらにその炭素原子に結合している水素原子が、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ニトロ基、シアノ基又はジアルキルアミノ基等で更に置換されていても良い。これらの置換基は、前記のAr(アリール基もしくは複素アリール基)の置換基として定義されているものと同様のものが挙げられる。
【0027】
Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。これらは前記のAr(アリール基もしくは複素アリール基)の置換基として定義されているものと同様のものが挙げられる。
【0028】
Xはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基を表わし、これら置換基は、前記のArの置換基として定義されているものと同様のものが挙げられる。
【0029】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子に含有される式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物は、例えば非特許文献1の記載に従って、式(3)、(4)もしくは(5)で表わされる有機金属化合物と、有機ゲルマニウム塩化物(式(2))とを反応させることにより合成しても良く、テトラフェニルゲルマニウム等は、市販されているものを用いることもできる。
【0030】
【化2】

【0031】
(式中、jは0〜3の整数である。Arは前記と同義である。)
【0032】
【化3】

【0033】
(式中、Arは前記と同義であり、MはLiもしくはMgYを表す。ここでYは塩素、臭素、ヨウ素を表す。)
【0034】
【化4】

【0035】
(式中、Rは前記と同義であり、MはLiもしくはMgYを表す。ここでYは塩素、臭素、ヨウ素を表す。)
【0036】
【化5】

【0037】
(式中、Xは前記と同義であり、lは2〜3、kは0〜3の整数を表し、MはLiもしくはMgYを表す。ここでYは前記と同義である。)
【0038】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、一対の電極間に単層もしくは多層の有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層が式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物のうち、少なくとも1種を含有する。
また、有機化合物層は、発光層、電子注入層、もしくは正孔輸送層であり、芳香族置換基を有する有機ゲルマニウム化合物は発光層に加えて電子注入層、正孔輸送層に含有されても良い。
なお、一対の電極間に単層の有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を単層型の有機エレクトロルミネッセンス素子、一対の電極間に多層の有機化合物層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を多層型の有機エレクトロルミネッセンス素子と以下記載する。
【0039】
単層型の有機エレクトロルミネッセンス素子は、陽極と陰極との間に発光層を有する。発光層は、発光材料を含有し、更に、陽極から注入した正孔、もしくは陰極から注入した電子を発光材料まで輸送させるための正孔注入材料もしくは電子注入材料を含有しても良い。
【0040】
多層型の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば、(陽極/正孔注入層/発光層/陰極)、(陽極/発光層/電子注入層/陰極)、(陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極)等の多層構成で積層したものが挙げられる。
【0041】
発光層には、式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物の他に、公知の発光材料、ドーピング材料、正孔注入材料(フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾールチオン、ピラゾリン、ピラゾロン、テトラヒドロイミダゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ヒドラゾン、アシルヒドラゾン、ポリアリールアルカン、スチルベン、ブタジエン、ベンジジン型トリフェニルアミン、スチリルアミン型トリフェニルアミン、ジアミン型トリフェニルアミン等及びそれらの誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシラン、導電性高分子等の高分子材料等)、電子注入材料(フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等及びそれらの誘導体等)を使用しても良い。
【0042】
式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物の発光層への添加量は、濃度5〜98重量%である。また、式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物は、発光層以外の有機化合物層に添加されても良く、発光層以外の有機化合物層に添加する場合の添加量は、5〜98重量%である。
【0043】
本発明の多層型有機エレクトロルミネッセンス素子では、発光材料、他のドーピング材料、正孔注入材料や電子注入材料を組み合わせて使用することもできる。また、更に、正孔注入層、発光層、電子注入層は、それぞれ二層以上の層構成により形成されても良い。その際には、正孔注入層の場合、電極から正孔を注入する層を正孔注入層、正孔注入層から正孔を受け取り発光層まで正孔を輸送する層を正孔輸送層と呼ぶ。同様に、電子注入層の場合、電極から電子を注入する層を電子注入層、電子注入層から電子を受け取り発光層まで電子を輸送する層を電子輸送層と呼ぶ。これらの各層は、材料のエネルギー準位、耐熱性、有機化合物層もしくは金属電極との密着性等の各要因により選択されて使用される。
【0044】
前記式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物と共に発光層に使用できる発光材料もしくはホスト材料としては、縮合多環芳香族(アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、コロネン、クリセン、フルオレセイン、ペリレン、ルブレン及びそれらの誘導体等)、フタロペリレン、ナフタロペリレン、ペリノン、フタロペリノン、ナフタロペリノン、ジフェニルブタジエン、テトラフェニルブタジエン、クマリン、オキサジアゾール、アルダジン、ビスベンゾキサゾリン、ビススチリル、ピラジン、シクロペンタジエン、キノリン金属錯体、アミノキノリン金属錯体、ベンゾキノリン金属錯体、キノリルアセチレン金属錯体、キノキサリルアセチレン金属錯体、キナゾリルアセチレン金属錯体、イミン、ジフェニルエチレン、ビニルアントラセン、ジアミノカルバゾール、ピラン、チオピラン、ポリメチン、メロシアニン、イミダゾールキレート化オキシノイド化合物、キナクリドン、ルブレン、スチルベン系誘導体及び蛍光色素等が挙げられる。
【0045】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において使用できる公知の正孔注入材料の中で、更に効果的な正孔注入材料は、芳香族三級アミン誘導体もしくはフタロシアニン誘導体である。芳香族三級アミン誘導体の具体的な態様は、トリフェニルアミン、トリトリルアミン、トリルジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(以下、TPDと記載)、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−フェニル−4,4’−ジアミン、N,N,N’,N’−(4−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−(メチルフェニル)−N,N’−(4−n−ブチルフェニル)−フェナントレン−9,10−ジアミン、N,N−ビス(4−ジ−4−トリルアミノフェニル)−4−フェニル−シクロヘキサン等、もしくはこれらの芳香族三級アミン骨格を有したオリゴマーもしくはポリマーであるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
フタロシアニン(Pc)誘導体の具体的な態様は、H2Pc、CuPc、CoPc、NiPc、ZnPc、PdPc、FePc、MnPc、ClAlPc、ClGaPc、ClInPc、ClSnPc、Cl2 SiPc、(HO)AlPc、(HO)GaPc、VOPc、TiOPc、MoOPc、GaPc−O−GaPc等のフタロシアニン誘導体およびナフタロシアニン誘導体であるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子において、更に効果的な公知の電子注入材料は、金属錯体化合物もしくは含窒素五員環誘導体である。金属錯体化合物の具体的な態様は、8−ヒドロキシキノリナートリチウム、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8−ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム(以下、Alqと記載。)、トリス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8−ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2−メチル−8−キノリナート)クロロガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(o−クレゾラート)ガリウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(1−ナフトラート)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−キノリナート)(2−ナフトラート)ガリウム等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0048】
また、含窒素五員誘導体は、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、チアジアゾールもしくはトリアゾール誘導体が好ましい。具体的には、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサゾール、ジメチルPOPOP(ここでPOPOPは1,4−ビス(5−フェニルオキサゾール−2−イル)ベンゼンを表す。)、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−チアゾール、2,5−ビス(1−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)]ベンゼン、1,4−ビス[2−(5−フェニルオキサジアゾリル)−4−tert−ブチルベンゼン]、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−チアジアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルチアジアゾリル)]ベンゼン、2−(4’−tert−ブチルフェニル)−5−(4”−ビフェニル)−1,3,4−トリアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−トリアゾール、1,4−ビス[2−(5−フェニルトリアゾリル)]ベンゼン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0049】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、電荷注入性向上のために発光層と電極との間に無機化合物層を設けることもできる。
【0050】
この無機化合物層としては、LiF、LiO、RaO、SrO、BaF、SrF等の、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等を挙げられる。
【0051】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子の陽極に使用される導電性材料としては、4eVより大きな仕事関数を持つものが適しており、炭素原子、アルミニウム、バナジウム、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、銀、金、白金、パラジウム及びそれらの合金、ITO(酸化インジウムに酸化スズを5〜10%添加した物質)基板、NESA基板に使用される酸化スズ、酸化インジウム等の酸化金属、更にポリチオフェンやポリピロール等の有機導電性樹脂を用いることができる。
【0052】
陰極に使用される導電性物質としては、4eVより小さな仕事関数を持つものが適しており、マグネシウム、カルシウム、錫、鉛、チタニウム、イットリウム、リチウム、ルテニウム、マンガン、アルミニウム等およびそれらの合金を用いられる。ここで合金とは、マグネシウム/銀、マグネシウム/インジウム、リチウム/アルミニウム等が挙げられる。合金の比率は、蒸着源の温度、雰囲気、真空度等により制御され、特に限定されない。
【0053】
陽極および陰極は、必要があれば二層以上の層構成により形成されていても良い。
【0054】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、少なくとも一方の面は素子の発光波長領域において透明であることが望ましい。また、基板も透明であることが望ましい。
【0055】
透明電極は、前記の導電性材料を使用して、蒸着あるいはスパッタリング等の方法で所定の透光性が確保するように設定して得られる。
【0056】
発光面の電極は、光透過率を10%以上にすることが望ましい。
【0057】
基板は、機械的、熱的強度を有し、透明性を有するものであれば特に限定されるものではないが、ガラス基板あるいは透明性樹脂フィルムが挙げられる。
【0058】
透明性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリプロピレン等が挙げられる。
【0059】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、温度、湿度、雰囲気等に対する安定性の向上のために、素子の表面に保護層を設けるか、或いは、シリコンオイル、樹脂等により素子全体を保護することもできる。
【0060】
また、有機エレクトロルミネッセンス素子の各層の形成は、真空蒸着、スパッタリング、プラズマ、イオンプレーティング等の乾式成膜法、或いはスピンコーティング、ディッピング、フローコーティング等の湿式成膜法のいずれかを適用することができる。膜厚は特に限定されるものではないが、通常の膜厚は5nm〜10μmの範囲であり、更には10nm〜0.2μmの範囲が好ましい。
【0061】
湿式成膜法の場合、各層上に前記式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物を、エタノール、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の溶媒に溶解又は分散させて薄膜を調製することができる。
【0062】
乾式成膜法としては、真空蒸着が好ましく、真空蒸着装置を用い、真空度2×10−3Pa以下、基板温度を室温にして、蒸着セルに入れた本発明の前記式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物を加熱し、該材料を蒸発させることにより薄膜を調製することができる。このとき、蒸着源の温度をコントロールするために、蒸着セルに接触させた熱電対や非接触の赤外線温度計等が好適に用いられる。また蒸着量をコントロールするために蒸着膜厚計が好適に用いられる。
【0063】
蒸着膜厚計としては、蒸着源に対向して設置された水晶振動子を用い、前記水晶振動子表面に付着した蒸着膜の重量を該振動子の発振周波数の変化から計測し、この計測重量から膜厚をリアルタイムに求める形式のものが好適に用いられる。
【0064】
前記式(1)で表わされる有機ゲルマニウム化合物と発光材料もしくは他のホスト材料の共蒸着は、それぞれに蒸着源を用い、且つ温度をそれぞれ独立に制御することによって行うことができる。
【0065】
ここで、いずれの有機薄膜層も、成膜性向上、膜のピンホール防止等のためポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、セルロース等の絶縁性樹脂およびそれらの共重合体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン等の光導電性樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール等の導電性樹脂などの樹脂、あるいは酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を使用することができる。
【0066】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、例えば壁掛けテレビや携帯電話のフラットパネルディスプレイ等の平面発光体、複写機、プリンター、液晶ディスプレイのバックライト、又は計器類等の光源、表示板、標識灯等に利用できる。
【0067】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【実施例】
【0068】
参考例1.発光材料原料(5−フルオロ−8−キノリルアセチレン[5F8QE])の合成
(第1工程)
25mlのシュレンク管内をアルゴンガスにて置換し、5−フルオロ−8−トリフルオロメタンスルホニルオキシキノリン 592mg(2mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム46.2mg(0.04mmol)、ピペリジン6mL、2−メチル−3−ブチン−2−オール290μL(3mmol)を加え、80℃で1時間半攪拌した。
反応混合物に飽和塩化アンモニウム水溶液(60ml)を加えた後、塩化メチレン(40ml)で抽出し、エバポレーターで溶媒を減圧留去した。反応粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=100/0〜1/1)によって精製することで、ジメチルヒドロキシメチル−(5−フルオロ−8−キノリル)アセチレンを黄色油状物として0.27g得た。(収率59%)
【0069】
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:1.71(s,6H),
3.85([s,1H],7.14−7.18(m,1H),
7.44−7.49(m,1H),7.78−7.83(m,1H),
8.42(dd,1H),9.10−9.12(m,1H)
【0070】
EI−MS(M/e):229(M),CI−MS(M/z):230(MH
【0071】
(第2工程)
還流管を備えた50mLの2口フラスコ内をアルゴンガスにて置換し、ジメチルヒドロキシメチル−(5−フルオロ−8−キノリル)アセチレン0.27g(1.17mmol)、水酸化ナトリウム56mg(1.37mmol)を入れた。ここにトルエン9mlを加え、120℃で0.5時間還流した。反応混合液にジエチルエーテル(20ml)を加え、飽和塩化アンモニウム水溶液(40ml)で洗浄し、エバポレーターで溶媒を減圧留去することで5−フルオロ−8−キノリルエチンを黄色固体として0.19g得た。(収率95%)
【0072】
H−NMR(300MHz,CDCl)δ:3.55(s,1H),
7.17−7.23(m,1H),7.51−7.55(m,1H),
7.90−7.95(m,1H),8.44−8.49(m,1H),
9.10−9.12(m,1H)
【0073】
EI−MS(M/e):171(M),CI−MS(M/e):172(MH
【0074】
参考例2.青色発光材料(5−フルオロ−8−キノリルエチニル)(トリフェニルホスフィン)金[Au(PPh)(5F8QE)]の合成
アルゴン雰囲気下、25mlシュレンク管にAu(PPh)Cl(0.20g,0.40mmol)、5−フルオロ−8−キノリルエチン(103mg,0.60mmol)、エタノール(8ml)を加えた後、ナトリウムエトキシド(165μl,0.42mmol:濃度2.55mol/L(リットル)のエタノール溶液)を滴下し、室温で17時間攪拌した。反応後得られた白色沈殿をろ過し、エタノール(5ml×3回)、水(5ml×4回)、及びエタノール(5ml×3)で順次洗浄し、真空乾燥することにより薄黄色粉末として目的化合物を0.22g得た。(収率88%)
【0075】
本錯体をクロロホルムに溶解し、励起光330nmで励起したときの発光強度を測定し、励起光330nmで励起したときの蛍光量子収率Φが既知(Φ=0.55)である濃度0.05モル/L(リットル)の硫酸水溶液中の硫酸キニーネとの比較から、本錯体の発光の相対量子収率Φrを測定したところΦr=0.50であった。
【0076】
H−NMR(400MHz,CDCl)δ:9.11(dd,1H),
8.40(dd,1H),7.91(dd,1H),7.62−7.42(m,16H),7.13(dd,1H)
【0077】
31P−NMR(160MHz,CDCl):42.8
(FAB−MS)(M/z):630(M+H)
(Emission)(CHCl,77K,Ex250nm)λ(nm):392,534
【0078】
(EA)観測値 C:55.26,H:3.34,N:2.31
理論値 C:55.34,H:3.20,N:2.23
【0079】
参考例3.4−オクチルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePhC)の合成
アルゴン雰囲気下、乾燥した20mlシュレンク管に1−ブロモ−4−n−オクチルベンゼン540μl(2.3mmol)、テトラヒドロフラン8.5mlを加えた無色透明溶液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウムのペンタン溶液(f=1.48)3.8ml(5.7mmol)を滴下した。滴下後、黄色に変化した反応溶液を反応温度−78℃に維持したまま1時間攪拌した後、トリフェニルゲルマニウムクロライド848mg(2.5mmol)を加えた。−78℃に維持したまま10分間攪拌した後、氷浴中0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水40mlと塩化メチレン80mlを加えて分液し、水層を塩化メチレン20mlで2回抽出し得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム1.2gで乾燥した。ろ過後、ろ液から塩化メチレンを減圧留去し、得られた残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)によって精製することで目的化合物を白色固体として得た。(収量1.0g、収率89%)
【0080】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.56−7.51(m、6H)、
7.45−7.42(m、2H)、7.41−7.32(m、9H)、
7.22−7.18(m、2H)、2.61(t、2H)、
1.62−1.59(m、2H)、1.31−1.27(m、10H)、
0.874(t、3H)
【0081】
EI−MS(m/e):494(M
【0082】
実施例1.テトラフェニルゲルマニウム(以下PhGe)を発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
イーエッチシー製インジウム錫酸化物(以下ITOと略す)被膜付きガラスを透明電極基板として用い、アルバック機工製真空蒸着装置を使用して、同基板上に2×10−3Pa以下の真空度で、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン(以下TPDと略す)からなる正孔注入層3を膜厚40nm、PhGe中にAu(PPh)(5F8QE)を9重量%含む発光層4を膜厚20nm、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−tert−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(以下TAZと略す)からなるホールブロック層5を30nm、電極6としてアルミニウム(Al)を100nm、順次真空蒸着させてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
なお、真空蒸着は、基板に対向して置かれた坩堝に原料を仕込み、坩堝ごと原料を加熱することによって行った。
【0083】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+9V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+15Vにおいて16cd/mで発光した。この素子の発光に係る電流の効率を以下の式で求めた。
【0084】
【数1】

【0085】
このようにして求めた電流効率は+15Vで0.017cd/Aであった。
【0086】
この素子の発光スペクトルを、日本分光製FP−6300分光蛍光光度計を用いて測定した。測定は上記分光計の検出部にエレクトロルミネッセンス素子を対面して配置した後、素子に所定電圧を印加して発光させることにより行った。電極間電圧+10Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.16,y=0.03,z=0.81であった。
【0087】
実施例2.PhGeを発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(2)
PhGe中にAu(PPh)(5F8QE)を20重量%含む発光層4を真空蒸着した以外は実施例1と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0088】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+16Vにおいて16cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+11Vで0.02cd/Aであった。
【0089】
実施例3.PhGeを発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(3)
ホールブロック層5と電極6の間に、トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以下Alqと略す)からなる電子注入層7を30nm、真空蒸着した以外は実施例2と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0090】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+11V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+21Vにおいて64cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+19Vで0.14cd/Aであった。
【0091】
実施例4.PhGeを発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(4)
Ph4Ge中にAu(PPh)(5F8QE)を5重量%含む発光層4を真空蒸着した以外は実施例3と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0092】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+11V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+20Vにおいて91cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+14Vで0.25cd/Aであった。
【0093】
実施例5.PhGeを発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(5)
Ph4Ge中にAu(PPh)(5F8QE)を9重量%含む発光層4を真空蒸着した以外は実施例4と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+16Vにおいて102cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+14Vで0.87cd/Aであった。
【0094】
この素子の電極間電圧を+15Vとしたときの発光スペクトルより求めた色度座標の値はx=0.15,y=0.09,z=0.76であった。前記色度座標の値は電極間電圧を変えても殆ど変化しなかった。
【0095】
実施例6.PhGePhCを発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
PhGePhC中にAu(PPh)(5F8QE)を9重量%含む発光層4を真空蒸着した以外は実施例1と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
【0096】
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+13V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+18Vにおいて79cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+17Vで0.18cd/Aであった。
【0097】
実施例7.PhGePhCを発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(2)
PhGePhC中にAu(PPh)(5F8QE)を9重量%含む発光層4を真空蒸着した以外は実施例5と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+11V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+22Vにおいて135cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+19Vで0.73cd/Aであった。
【0098】
比較例1.芳香族置換基を有する有機ゲルマニウム化合物の代わりに4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
一般的な発光層材料であるCBP中にAu(PPh)(5F8QE)を9重量%含む発光層4を真空蒸着した以外は実施例5と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
この素子の最大電流効率は0.12cd/Aと実施例5に比べて著しく低い効率しか得られなかった。
【0099】
比較例2.芳香族置換基を有する有機ゲルマニウム化合物の代わりに1,3−ビスカルバゾリルベンゼン(mCP)を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
一般的な発光層材料であるmCP中にAu(PPh)(5F8QE)を9重量%含む発光層4を真空蒸着した以外は実施例5と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
この素子の最大電流効率は0.21cd/Aと実施例5に比べて低い効率しか得られなかった。
【0100】
実施例8.4−メチルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePhC1)をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
イーエッチシー製インジウム錫酸化物(以下ITOと略す)被膜付きガラスを透明電極基板として用い、アルバック機工製真空蒸着装置を使用して、同基板上に2×10−3Pa以下の真空度で、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(以下αNPDと略す)からなるホール輸送層3を膜厚40nm、Ph3GePhC1中にAu(PPh3)(5F8QE)を9.7重量%含む発光層4を膜厚30nm、3−(4−ビフェニルイル)−4−フェニル−5−tert−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(以下TAZと略す)からなるホールブロック層5を20nm、トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以下Alqと略す)からなる電子輸送層6を30nm、電極7としてアルミニウム(Al)を100nm、順次真空蒸着させてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
なお、真空蒸着は、基板に対向して置かれた坩堝に原料を仕込み、坩堝ごと原料を加熱することによって行った。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+6V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+20Vにおいて142cd/mで発光した。この素子の電流効率は+13Vにおいて0.33cd/Aであった。
この素子の発光色を電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.16,y=0.12であった。
【0101】
実施例9.Ph3GePhC1をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(2)
PhGePhC1中にAu(PPh)(5F8QE)を9.6重量%含む発光層4を膜厚20nm、TAZからなるホールブロック層5を30nm、真空蒸着した以外は実施例8と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+9V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+22Vにおいて6.8cd/mで発光した。この素子の発光に係る最大電流効率は+20Vにおいて0.18cd/Aであった。このとき得られた素子の発光スペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.22,y=0.16であった。
【0102】
実施例10.1−ナフチルトリフェニルゲルマニウム(PhGe−1−Nap)をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
PhGe−1−Nap中にAu(PPh)(5F8QE)を9.6重量%含む発光層4を膜厚20nm真空蒸着した以外は実施例9と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+11V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+27Vにおいて12.9cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+24Vで0.17cd/Aであった。
【0103】
実施例11.3−フェニルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePh−3−Ph)をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
ITO基板上にαNPDからなるホール輸送層3を膜厚40nm、PhGePh−3−Ph中にAu(PPh)(5F8QE)を9.6重量%含む発光層4を膜厚20nm、TAZからなるホールブロック層5を30nm、電極7としてAlを100nm、順次真空蒸着させてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+8V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+18Vにおいて22cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+17Vで0.12cd/Aであった。
【0104】
実施例12.PhGePh−3−Phをホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(2)
TAZからなるホールブロック層5とアルミニウム電極7の間に、Alqからなる電子輸送層7を30nm、真空蒸着した以外は実施例11と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+12V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+26Vにおいて1.3cd/mで発光した。この素子の発光に係る電流効率は+20Vで0.11cd/Aであった。
【0105】
実施例13.4−フェニルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePh−4−Ph)をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
ITO基板上に、αNPDからなるホール輸送層3を膜厚40nm、Ph3GePh−4−Ph中にAu(PPh)(5F8QE)を9.7重量%含む発光層4を膜厚20nm、TAZからなるホールブロック層5を30nm、Alqからなる電子輸送層6を30nm、順次真空蒸着させた以外は実施例8と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+24Vにおいて1.9cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+15Vで0.08cd/Aであった。
【0106】
実施例14.4−フェノキシフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePhOPh)をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
ITO基板上に2×10−3Pa以下の真空度で、αNPDからなるホール輸送層3を膜厚40nm、PhGePhOPh中にAu(PPh)(5F8QE)を9.8重量%含む発光層4を膜厚30nm、TAZからなるホールブロック層5を20nm、電極7としてAlを100nm、順次真空蒸着させた以外は実施例8と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+10V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+18Vにおいて23.1cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+16Vで0.11cd/Aであった。
電極間電圧+20Vにおいて測定した素子の発光スペクトルよりJIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.16,y=0.097であった。
【0107】
実施例15.PhGePhOPhをホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(2)
TAZからなるホールブロック層5とアルミニウム電極6の間に、Alqからなる電子輸送層7を30nm、真空蒸着した以外は実施例14と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+12V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+22Vにおいて1.1cd/mで発光した。この素子の発光に係る電流効率は+22Vで0.03cd/Aであった。
電極間電圧+20Vにおいて得られたスペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.14,y=0.17であった。
【0108】
実施例16.4−ベンジルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePhCHPh)をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
ITO基板上に、αNPDからなるホール輸送層3を膜厚40nm、PhGePhCHPh中にAu(PPh)(5F8QE)を9.4重量%含む発光層4を膜厚30nm、TAZからなるホールブロック層5を30nm、Alqからなる電子輸送層6を30nm、電極7としてAlを100nm、順次真空蒸着させた以外は実施例8と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+5V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+22Vにおいて135cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+10Vで1.03cd/Aであった。
電極間電圧+20Vにおいて得られたこの素子の発光スペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.22,y=0.16であった。
【0109】
実施例17.n−ブチルトリフェニルゲルマニウム(nBuGePh)をホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製
ITO基板上に、αNPDからなるホール輸送層3を膜厚40nm、nBuGePh中にAu(PPh)(5F8QE)を9.6重量%含む発光層4を膜厚30nm、TAZからなるホールブロック層5を20nm、順次真空蒸着させた以外は実施例8と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極7を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+6V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+21Vにおいて144cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+15Vで0.32cd/Aであった。
電極間電圧+20Vにおいて得られたこの素子の発光スペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.16,y=0.12であった。
【0110】
実施例18.nBuGePhをホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(2)
ITO基板上に、αNPDからなるホール輸送層3を膜厚40nm、nBuGePh中にAu(PPh)(5F8QE)を9.7重量%含む発光層4を膜厚20nm、TAZからなるホールブロック層5を30nm、電極7としてAlを100nm、順次真空蒸着させてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
なお、真空蒸着は、基板に対向して置かれた坩堝に原料を仕込み、坩堝ごと原料を加熱することによって行った。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+5V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+17Vにおいて41.6cd/mで発光した。この素子の最大電流効率は+11Vで0.13cd/Aであった。
電極間電圧+20Vにおいて得られたこの素子の発光スペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.16,y=0.097であった。
【0111】
実施例19.nBuGePhをホストとして有機発光層に含む有機エレクトロルミネッセンス素子の作製(3)
TAZからなるホールブロック層5とアルミニウム電極6の間に、Alqからなる電子輸送層7を30nm、真空蒸着した以外は実施例18と同様にしてエレクトロルミネッセンス素子を作製した。
前記素子のITO電極2を正極、Al電極6を負極として通電し電極間電圧を上げていくと、+9V付近から素子は肉眼ではっきりと分かる程度の青色発光を開始し、+22Vにおいて126cd/mで発光した。この素子の発光に係る電流効率は+12Vで0.58cd/Aであった。
電極間電圧+20Vにおいて得られたこの素子の発光スペクトルより、JIS Z8701によって求めた色度座標の値はx=0.17,y=0.16であった。
【0112】
参考例4.4−メチルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePhC1)の合成
Ar雰囲気下、乾燥した20mlシュレンク管にp−ブロモトルエン388μl(2.3mmol)、テトラヒドロフラン8.5mlを加えた無色透明溶液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウムのペンタン溶液(f=1.48)3.8ml(5.7mmol)を滴下した。滴下後、黄色に変化した反応溶液を反応温度−78℃に維持したまま0.5時間攪拌した後、トリフェニルゲルマニウムクロライド848mg(2.5mmol)を加えた。−78℃に維持したまま5分間攪拌した後、氷浴中0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水40mlと塩化メチレン80mlを加えて分液し、水層を塩化メチレン20mlで2回抽出し得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム1.2gで乾燥した。ろ過後、ろ液から塩化メチレンを減圧留去し、得られた残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)によって精製することで目的化合物を白色固体として得た。(収量0.86g、収率96%)
【0113】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.55−6.90(m、19H)、2.37(S、3H)
EI−MS(m/e):396(M
【0114】
参考例5.1−ナフチルトリフェニルゲルマニウム(PhGe−1−Nap)の合成
Ar雰囲気下、乾燥した20mlシュレンク管に1−ブロモナフタレン 298μl(2.1mmol)、テトラヒドロフラン8mlを加えた無色透明溶液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウムのペンタン溶液(f=1.48)3.6ml(5.4 mmol)を滴下した。滴下後、黄色に変化した反応溶液を反応温度−78℃に維持したまま1時間攪拌した後、トリフェニルゲルマニウムクロライド800mg(2.4mmol)を加えた。−78℃に維持したまま10分間攪拌した後、氷浴中0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水40mlと塩化メチレン80mlを加えて分液し、水層を塩化メチレン20mlで2回抽出し得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム1.2gで乾燥した。ろ過後、ろ液から塩化メチレンを減圧留去し、得られた残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン→酢酸エチル)によって精製することで目的化合物を白色固体として得た。(収量0.74g、収率80%)
【0115】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.94−7.83(m、3H)、7.56−7.20(m、19H)
EI−MS(m/e):431(M
【0116】
参考例6.3−フェニルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePh−3−Ph)の合成
Ar雰囲気下、乾燥した20mlシュレンク管に3−ブロモビフェニル354μl(2.1mmol)、テトラヒドロフラン8mlを加えた無色透明溶液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウムのペンタン溶液(f=1.48)3.6ml(5.4mmol)を滴下した。滴下後、黄色に変化した反応溶液を反応温度−78℃に維持したまま1時間攪拌した後、トリフェニルゲルマニウムクロライド800mg(2.4mmol)を加えた。−78℃に維持したまま10分間攪拌した後、氷浴中0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水40mlと塩化メチレン80mlを加えて分液し、水層を塩化メチレン20mlで2回抽出し得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム1.2gで乾燥した。ろ過後、ろ液から塩化メチレンを減圧留去し、得られた残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)によって精製することで目的化合物を白色固体として得た。(収量0.9g、収率91%)
【0117】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.78−7.77(m、1H)、7.62−7.24(m、23H)
CI−MS(m/e):458(M+1
【0118】
参考例7.4−フェニルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePh−4−Ph)の合成
3−ブロモビフェニルを4−ブロモビフェニル499mg(2.1mmol)と変更するほかは参考例6と同様の操作を行い、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン→n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)によって精製することで目的化合物を白色固体として得た。(収量0.5g、収率54%)
【0119】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.62−7.53(m、12H)、7.47−7.27(m、12H)
CI−MS(m/e):458(M+1
【0120】
参考例8.4−フェノキシフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePhOPh)の合成
アルゴン雰囲気下、乾燥した20mlシュレンク管に4−ブロモジフェニルエーテル400μl(2.3mmol)、テトラヒドロフラン8.5mlを加えた無色透明溶液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウムのペンタン溶液(f=1.7)3.4ml(5.7mmol)を滴下した。滴下後、黄色に変化した反応溶液を反応温度−78℃に維持したまま1時間攪拌した後、トリフェニルゲルマニウムクロライド848mg(2.5mmol)を加えた。−78℃に維持したまま10分間攪拌した後、氷浴中0℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水40mlと塩化メチレン80mlを加えて分液し、水層を塩化メチレン20mlで2回抽出し得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム1.2gで乾燥した。ろ過後、ろ液から塩化メチレンを減圧留去し、得られた残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=30/1)によって精製した後、n−ヘキサンから再結晶することで目的化合物を白色固体として得た。(収量0.93g、収率87%)
【0121】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.55−7.00(m、24H)
EI−MS(m/e):474(M
【0122】
参考例9.4−ベンジルフェニルトリフェニルゲルマニウム(PhGePhCHPh)の合成
アルゴン雰囲気下、乾燥した20mlシュレンク管に4−ブロモジフェニルメタン420μl(2.3mmol)、テトラヒドロフラン8.5mlを加えた無色透明溶液をドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、tert−ブチルリチウムのペンタン溶液(f=1.48)3.8ml(5.7mmol)を滴下した。滴下後、オレンジ色に変化した反応溶液を反応温度−78℃に維持したまま1時間攪拌した後、トリフェニルゲルマニウムクロライド848mg(2.5mmol)を加えた。−78℃に維持したまま10分間攪拌した後、氷浴中0℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水40mlと塩化メチレン80mlを加えて分液し、水層を塩化メチレン20mlで2回抽出し得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム1.2gで乾燥した。ろ過後、ろ液から塩化メチレンを減圧留去し、得られた残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)によって精製の後、再結晶(n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)することで目的化合物を白色固体として得た。(収量0.4g、収率37%)
【0123】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.54−7.19(m、24H)、3.99(s、2H)
EI−MS(m/e):472(M
【0124】
参考例10.n−ブチルトリフェニルゲルマニウム(nBuGePh)の合成
Ar雰囲気下、乾燥した20mlシュレンク管にテトラヒドロフラン8.5mlをドライアイス−エタノールで−78℃に冷却し、n−ブチルリチウムのヘキサン溶液(f=1.59)1.6ml(2.5mmol)を滴下した。滴下後、トリフェニルゲルマニウムクロライド848mg(2.5mmol)を加えた。−78℃に維持したまま10分間攪拌した後、氷浴中0℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に水40mlと塩化メチレン80mlを加えて分液し、水層を塩化メチレン20mlで2回抽出し得られた有機層を合わせて無水硫酸マグネシウム1.2gで乾燥した。ろ過後、ろ液から塩化メチレンを減圧留去し、得られた残滓をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン)によって精製することで目的化合物を白色固体として得た。(収量0.5g、収率55%)
【0125】
H−NMR(300MHz、CDCl)δ:7.52−7.23(m、15H)、1.54−1.48(m、6H)、0.866(t、3H)
CI−MS(M/E):305(M+−C)
【産業上の利用可能性】
【0126】
本発明は電界発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)に関する。
【符号の説明】
【0127】
1:ガラス基板
2:ITO被膜(正極)
3:正孔注入層
4:発光層
5:ホールブロック層
6:Al電極
7:電子注入層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に発光層もしくは発光層を含む複数の有機化合物薄層を形成した有機エレクトロルミネッセンス素子であって、発光層が芳香族置換基を有する有機ゲルマニウム化合物を含有することを特徴とするエレクトロルミネッセンス素子。
【請求項2】
芳香族置換基を有する有機ゲルマニウム化合物が式(1)で表される有機ゲルマニウム化合物である請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
【化1】

(式中、Lは0〜2の整数、mは1〜3の整数、nは1〜3の整数、kは0〜3の整数を表す。Arはアリール基又は複素アリール基を表し、同一もしくは異なっていても良く、その任意の水素原子がハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基に置換されていても良い。また、隣接したArは単結合、エーテル結合、チオエーテル結合、アルキレン基、オキサアルキレン基、チアアルキレン基を介して結合していても良い。また、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。Xはアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基、またはアリールオキシ基を表す。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−233912(P2011−233912A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145479(P2011−145479)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【分割の表示】特願2005−30294(P2005−30294)の分割
【原出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】