説明

有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器、光書き込みヘッド、および画像形成装置

【課題】有機EL素子間を区分するセパレーターは、有機機能層材を含む溶液に対して撥液性を備え、かつフォトリソグラフ法で形成可能な材料であることが望ましいが、この厳しい制約条件では、透湿性等の性能を犠牲にした材料を用いる必要がある。また、撥液性を備えたセパレーターと有機EL材との界面の密着性は低く、セパレーターと有機機能層との界面は水分の拡散性が大きくなるという課題がある。
【解決手段】セパレーター104と有機機能層110との間に吸湿性や耐湿性においてセパレーター104よりも優れた充填層114を配置する。セパレーター104からの有機機能層110への水分の浸入を、充填層114により阻止することで、信頼性に優れた有機EL素子を備えた有機EL装置50Aを得ることが可能となった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス装置、電子機器、光書き込みヘッド、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、有機エレクトロルミネッセンス(以下、エレクトロルミネッセンスをELとも記載する)装置を使用した製品が市場に供給されてきている。たとえば液晶パネルはバックライトの透過率を制御することで階調表示を行うため、バックライトを完全に遮蔽することは困難であることから黒が浮いたように表示され、コントラストの高い画像を得ることは難しい。一方、有機EL装置をディスプレイに用いた場合、有機EL装置に用いられる有機EL素子は自発光性の素子であることから、有機EL素子に流す電流を止めれば黒が表示され、液晶パネルを用いた場合に生じるバックライトの漏れ光は生じない。そのため、高いコントラストを獲得することができる。また、視野角の広さについても有機EL装置は液晶パネルと比べ優れている。
【0003】
有機EL装置は、有機EL材料として高分子系の有機材料を用いる場合には、まず当該有機材料を所定の溶媒に溶解または分散させた液状組成物を用意する。そして、この液状組成物をたとえば液滴吐出法を用いて塗布することで製造することができる。液滴吐出法は、低分子系有機材料を用いた蒸着法と比べ、液状組成物を印刷技術の応用により塗布することで有機EL素子を多数備えた大型の有機EL装置を均一に、しかも安く生産できる。また、蒸着法では高価な有機EL材料の利用効率はきわめて低い(5%以下程度)が、液滴吐出法は、高い効率(フラッシング等の損失を除けば、全ての液滴が有効に付着するため原理的には100%)で液状組成物(有機EL材料)を利用することができ、コスト面や環境負荷面においても優れている。
【0004】
液滴吐出法を用いて有機機能層を形成する場合、たとえば特許文献1に示すように、複数の有機EL素子を一つの隔壁(周状のセパレーター)内に配置し、広い面積に対して層厚や電気的性質に関して均一性の高い有機機能層を形成する技術が提案されている。
【0005】
また、特許文献2では、逆テーパー型の隔壁を形成することで、隔壁の側壁での撥液性を保った状態で、隔壁内側に位置する液状組成物の親液性を高くする方法が提案されている。具体的には、このセパレーターは逆テーパー形状を備えており、基板面の法線に対して平行に紫外線を照射することでセパレーター側面を、セパレーター頂上部(基板から遠い側)の影に入れ、撥液性を保持させている。そのため、液状組成物が隣接する他の有機EL素子に伝っていくことで生じる色ムラ等の発生を抑えることが可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−310257号公報
【特許文献2】特開2008−210540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した構成を用いた場合、セパレーター材としては、液状組成物との間に撥液性を備え、かつ感光性を備え、フォトリソグラフ法で形成可能な材料であることが望ましいが、これらの条件を全て満たすことは難しく、たとえば耐湿性等を犠牲にした材料を用いることが必要となる場合がある。この場合、特許文献1及び2のいずれの構成においても、電子注入層や有機発光層はセパレーターと接しているため、セパレーターを介して電子注入層や有機発光層への水分の拡散(浸入)が発生するおそれがある。また特許文献1の構成では、電子注入層及び有機発光層が全ての有機EL素子に対して共通かつ連続的に形成されているため、局所的に侵入した水分が、電子注入層と有機発光層との界面を介して拡散し、水分による電子注入層や有機発光層の劣化拡大を引き起こすという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。なお、基板とは、能動素子や他の構成を備えたものも含むものとする。また、第2電極は、キャリア注入層としての機能を備えていても良い。また、逆テーパー型とは、基板側にあるセパレーターの幅と比べ、基板と離れた側にあるセパレーターの幅が広い状態を示す。また、「上」とは、基板から見て有機機能層が配置された方向を示し、「○○上に」と記載された場合、○○の上に直接接する場合または○○の上に他の構成物を介して配置される場合をあらわすものとする。また、「島状」とは、同一工程で形成された同一材料からなる膜と平面的に見て分離されている状態を指すものとする。
【0009】
[適用例1]本適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板上に、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置された有機機能層と、を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記基板上に第1の方向に配列された複数の前記第1電極を形成する工程と、前記基板上に電流供給線を形成する工程と、前記基板上に短手方向の断面形状が、前記基板と離れた側の幅と比べ前記基板に近い側の幅が狭い逆テーパー型を有し、前記基板における平面視にて、前記第1の方向に沿って延在すると共に、複数の前記第1電極を間に挟むように配置された島状の2つのセパレーターを形成する工程と、液状の有機機能層前駆体を前記基板上に塗布した後、固化させ、有機機能層を形成する工程と、第1開口部を備える第1マスクを、前記基板における平面視にて、前記第1開口部が少なくとも一つの前記第1電極と重なるように前記基板と重ねる工程と、気相法を用い、前記第1マスクによって前記有機機能層の一部と重なると共に前記2つのセパレーターから離間した位置に島状の第2電極を形成する工程と、前記第2電極をマスクとして、前記有機機能層の一部を除去し、前記第1電極上に位置する有機機能層を前記2つのセパレーターと離間しつつ島状に分離する工程と、遮蔽部と第2開口部とを備える第2マスクを、前記基板における平面視にて、前記第2開口部が、複数の前記遮蔽部が前記基板の周辺部と重なると共に前記2つのセパレーターと重ならないように第2マスクを前記基板と重ねる工程と、気相法により、前記第2マスクによって前記第2電極と前記電流供給線とを電気的に接続する配線層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、有機機能層に第2電極を形成する場合に用いる第1マスクはセパレーターにより支持され、第1電極が形成される領域にある有機機能層と第1マスクとは接触しない。そのため、第1マスクが有機機能層と触れることで発生する傷の発生や、第1マスクの端部に付着している異物の転写による汚染の発生を抑えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0011】
[適用例2]本適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、基板上に設けられた有機機能層に電流注入を行う第1電極と、前記基板における平面視にて少なくとも一つの前記第1電極を囲うセパレーターと、前記有機機能層を覆う第2電極と、前記基板における平面視にて、接続口を介して前記第2電極と電気的に接続される電流供給線と、を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記基板上に前記電流供給線を形成する工程と、前記基板上に前記第1電極を形成する工程と、前記基板上に前記接続口を形成する工程と、前記セパレーターの内側と外側とを結ぶ方向における断面形状が、前記基板と離れた側の幅と比べ前記基板に近い側の幅が狭い逆テーパー型を有し、前記電流供給線の上側を含む領域に前記セパレーターを形成する工程と、液状の有機機能層前駆体を前記基板表面に塗布した後、固化させ、有機機能層を形成する工程と、前記基板における平面視にて、第1遮蔽部は、前記セパレーターの少なくとも一部の領域と前記接続口と重なり、第1開口部は、前記第1電極を含む領域に重なるよう配置された第1パターンを備える第1マスクを、上記した位置関係を保ちながら前記基板と重ねる工程と、気相法を用い、前記有機機能層の一部と重なるよう配置され、前記セパレーターと離れた領域に第2電極を形成する工程と、前記第2電極をマスクとして、前記有機機能層を開口する工程と、第2開口部を備え、前記基板における平面視にて、前記第2開口部は、前記第2電極と前記接続口との間を電気的に接続させる第2パターンを備える第2マスクを、上記した位置関係を保ちながら前記基板と重ねた後気相法により、前記第2パターンに基づいた配線層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0012】
これによれば、有機機能層に第2電極を形成する場合に用いる第1マスクはセパレーターにより支持され、第1電極が形成される領域にある有機機能層と第1マスクとは接触しない。そのため、第1マスクが有機機能層と触れることで発生する傷の発生や、第1マスクの端部に付着している異物の転写による汚染の発生を抑えた有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0013】
また、電流供給線を介することで、セパレーターで囲われた領域を含む場合においてもセパレーター下、またはセパレーターに囲われた領域外と上部電極との間で電気的導通を取ることができるため、設計自由度を向上させることが可能となる。
【0014】
[適用例3]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1電極は、前記有機機能層前駆体に対して親液性を有する、開口部を備えた絶縁層により前記基板面方向に対して囲われていることを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、絶縁層が液状の有機機能層前駆体に対して親液性を有していることから、有機機能層前駆体を乾燥して得られる有機機能層と絶縁層とは緊密に結合されることから、高い機械的強度を持って密接する。そのため、機械的強度が強く、接触抵抗が低い結合状態を保つことが可能となる。
【0016】
[適用例4]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1電極は、前記セパレーターに沿って、一列に並んでいることを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、有機機能層の層厚は、短手方向に対して同じ条件で液状の有機機能層前駆体が充填されるため、有機機能層前駆体を固化させて形成される有機機能層の層厚を短手方向に対して揃えられる。そのため、発光強度の均一性が高い有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0018】
[適用例5]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第2電極を形成した後に、前記セパレーターの幅を減らす工程をさらに備えたことを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、セパレーターの幅を減らす工程を行うことで、気相法を用いた場合に生じるセパレーター側壁への付着物による第1電極と、第2電極や第3電極とのリーク電流を抑えることが可能となる。
【0020】
[適用例6]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記セパレーターの幅を減らす工程は、前記有機機能層の一部を除去する工程と同時に行うことを特徴とする。
【0021】
上記した適用例によれば、セパレーターの幅を減らす工程を別に設けることなく行うことが可能となる。そのため、工程を増やすことなくセパレーターの幅を減らすことが可能となる。
【0022】
[適用例7]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、少なくとも前記セパレーターと前記有機機能層との間隙を充填層で埋める工程をさらに含むことを特徴とする。
【0023】
上記した適用例によれば、セパレーターと有機機能層との間は充填層で埋められている。セパレーターは、その製造工程において、感光処理を行える機能材料を用いることが好適である。そのためセパレーターには材質上の制約がある。たとえばセパレーターの撥液性に起因し、セパレーターと有機機能層との密着性が悪い場合、セパレーターと有機機能層との界面に沿って、浸入してきた水分が拡散する場合があるが、材料自由度が高い充填層材料を用いることで、水分がセパレーターと有機機能層界面での拡散を防止できることができ、複数の発光領域に跨る不良発生を防ぐことが可能となる。
【0024】
[適用例8]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記充填層は、乾燥剤または透湿防止剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0025】
上記した適用例によれば、充填層が乾燥剤を含むことで、浸入してきた水分は乾燥剤に吸収される。そのため、有機機能層への水分の浸入をより確実に抑制することが可能となる。また、充填層が透湿防止剤を含むことで、やはり有機機能層への水分の浸入をより確実に抑制することが可能となる。
【0026】
[適用例9]本適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置は、少なくとも発光層を含む有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、基板上に設けられた第1電極と、前記第1電極上に設けられた前記有機機能層と、前記基板の平面方向に対して前記有機機能層を区画し、かつ前記有機機能層と離間した位置に配置されたセパレーターと、前記セパレーターと前記有機機能層との間を少なくとも埋めている充填層と、前記有機機能層を挟んで、少なくとも前記第1電極と対向する位置に配置された第2電極と、前記第2電極と電気的に接続され、前記第2電極に電流を供給する配線層と、を備えることを特徴とする。
【0027】
これによれば、セパレーターと有機機能層との間は充填層で埋められている。セパレーターは、その製造工程において、感光処理を行える機能材料を用いることが好適である。そのためセパレーターには材質上の制約がある。たとえばセパレーターと有機機能層との密着性が悪い場合、セパレーターと有機機能層との界面に沿って、浸入してきた水分が拡散する場合があるが、材料自由度が高い充填層材料を用いることで、水分がセパレーターと有機機能層界面で拡散する現象を防止できることができ、一箇所からの水分浸入により複数の発光領域に跨る不良発生を防ぐことが可能となる。
【0028】
[適用例10]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、厚さ方向に対する前記セパレーターと前記基板との間に、前記配線層と電気的に接続された電流供給線をさらに備えることを特徴とする。
【0029】
上記した適用例によれば、セパレーターにより基板の平面方向に対して囲われた領域に対しても電流供給線を介して外部から電流を供給することが可能となり、セパレーターにより囲われた領域に対しても充填層材料がセパレーターと有機機能層との間に充填された構造を適用することが可能となる。
【0030】
[適用例11]上記適用例にかかる有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記充填層は、乾燥剤または透湿防止剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする。
【0031】
上記した適用例によれば、充填層が乾燥剤を含むことで、浸入してきた水分は乾燥剤に吸収される。そのため、有機機能層への水分の浸入を抑制することが可能となる。また、充填層が透湿防止剤を含むことで、有機機能層への水分の浸入を抑制することが可能となる。
【0032】
[適用例12]本適用例にかかる電子機器は、上記した有機エレクトロルミネッセンス装置、または上記した有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする。
【0033】
これによれば、有機機能層への水分の浸入を抑制されるため、信頼性に優れた電子機器を提供することができる。
【0034】
[適用例13]本適用例にかかる光書き込みヘッドは、上記した有機エレクトロルミネッセンス装置、または上記した有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする。
【0035】
これによれば、有機機能層への水分の浸入を抑制されるため、信頼性に優れた光書き込みヘッドを提供することができる。
【0036】
[適用例14]本適用例にかかる画像形成装置は、上記した光書き込みヘッドを備えることを特徴とする。
【0037】
これによれば、信頼性に優れた光書き込みヘッドを用いるので、信頼性に優れた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(a)は、第1の実施形態にかかる有機EL装置の構造を示すための平面図、(b)は、(a)のA−A’線における断面図。
【図2】(a)は、第2の実施形態にかかる有機EL装置の構造を示すための平面図、(b)は、(a)のA−A’線における断面図、(c)は、(a)のB−B’線における断面図。
【図3】(a)は、第2の実施形態の変形例にかかる有機EL装置の構造を示すための平面図、(b)は、(a)のA−A’線における断面図、(c)は、(a)のB−B’線における断面図。
【図4】(a)〜(c)は、第3の実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図。
【図5】(a)、(b)は、第3の実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図。
【図6】(a)〜(c)は、第3の実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図。
【図7】(a)、(b)は、第4の実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図。
【図8】(a)、(b)は、第4の実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図。
【図9】(a)、(b)は、第4の実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図。
【図10】(a)、(b)は、第4の実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図。
【図11】(a)は、第4の実施形態の変形例にかかる有機EL装置の平面図、(b)は、(a)のA−A’線における断面図、(c)は、(a)のB−B’線における断面図。
【図12】(a)は、携帯電話の一例を示す斜視図、(b)は携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図、(c)は、腕時計型電子機器の一例を示す斜視図。
【図13】画像形成装置としての光プリンターの要部を示す断面図。
【図14】ブラック用有機EL露光ヘッドの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0039】
(第1の実施形態:有機EL装置−1)
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図においては、各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材の縮尺は実際のものとは異なるように表している。
【0040】
図1(a)は、有機EL装置の構造を示すための平面図、図1(b)は、(a)のA−A’線における断面図である。なお、缶封止部や乾燥剤等については表示を省略している。また、平面図においては、構造の視認性を向上させるため、主要な要素を表示させている。即ち、いくつかの構造については透過(省略)させている。
【0041】
有機EL装置50Aは、基板100、第1電極としての画素電極(陽極)101、絶縁層102、開口部103、セパレーター104、有機機能層110、第2電極としての対向電極(陰極)111、配線層113、充填層114と、を含む。画素電極101の上に位置する開口部103の内側は第1電極103Aとして機能する。
【0042】
基板100は、基板本体90と、TFT(薄膜トランジスター)91および図示せぬ導電配線層等を備え、絶縁層102や、有機機能層110等を支えている。また、画素電極101等を支持する機能をしている。ここで、平面レイアウトについて図1(a)について説明する。有機EL装置50Aは、第1電極103Aを第1の方向(基板の短辺の延在方向)に一列に並べた列が第1の方向と交差する第2の方向(基板の長辺の延在方向)に複数列並べられて、各列の間及び両端の列の外側にセパレーター104が介在し、セパレーター104と有機機能層110との間は、充填層114で埋められている。本実施形態では、有機機能層110を覆う領域にも充填層114を充填した構造について図示している。次に、図1(a)、(b)を共に用いて各々の構成要素についてその機能を説明する。
【0043】
画素電極101は絶縁層102と協働して第1電極103Aを形成し、第1電極103Aから有機機能層110に電流を供給することで有機機能層110を発光させている。なお、絶縁層102は省略可能であり、この場合には画素電極101の全面が第1電極103Aとして機能する。
【0044】
セパレーター104は、複数存在する有機機能層110(有機EL素子)を区画するために形成されており、有機機能層110の層厚均一性を保つべく、形成されている。セパレーター104と有機機能層110との間には、後述する充填層114が形成されている。
【0045】
有機機能層110は、対向電極111と、開口部103により電流経路が絞られた画素電極101(第1電極103A)との間に流れる電流値に対応した強度で発光し、電流−光変換を行う。ここで、有機機能層110は、第1電極103Aから供給される電流により、電流−光変換が行えるよう、第1電極103Aを覆っている。
【0046】
配線層113は、複数の対向電極111を電気的に接続し、図示せぬ電流供給線と電気的に接続することで電源から電流を受け、各々の対向電極111に電流を供給しており、有機機能層110を介して少なくとも第1電極103Aと対向する領域に形成されている。配線層113は、図示せぬ電源供給線を介して電源から電流を受け、対向電極111へ供給する接続配線としても機能している。
【0047】
充填層114は、セパレーター104と有機機能層110との間隙を少なくとも充填し、有機機能層110への水分の浸入を防いでいる。本実施形態では、セパレーター104と有機機能層110との間を充填すると共に、配線層113も充填層114により充填した場合について図示している。充填層114としては、充填層114の製造に伴う制約条件の影響を受けないことから、透湿防止性が高いポリウレタンやPET(ポリエチレンテレフタレート)等を用いることができる。そのため、高い耐湿性を得ることが可能となる。また、充填層114としてオーレドライ(双葉電子工業製)等の乾燥剤を用いることも可能であり、この場合においても高い耐湿性を得ることが可能となる。また、セパレーター104に沿って水分が拡散する場合があるが、充填層114を介在させることで、このような水分の拡散も抑制することが可能となる。
【0048】
第1の実施例では、1つの対向電極111が複数の第1電極103Aを覆うように形成されているが、各第1電極103Aに対応して一つの対向電極111を形成するようにしても良い。
【0049】
(第2の実施形態:有機EL装置−2)
次に、本実施形態にかかる、別の構成を備える有機EL装置について説明する。
図2(a)は、有機EL装置の構造を示すための平面図、図2(b)は、(a)のA−A’線における断面図、図2(c)は、(a)のB−B’線における断面図である。
【0050】
有機EL装置50Bは、基板としての基板100、第1電極としての画素電極101、絶縁層102、開口部103、セパレーター104、有機機能層110、第2電極としての対向電極111、配線層113、充填層114、電流供給線120、接続口121と、を含む。電流供給線120と接続口121以外の要素については、第1の実施形態と同様な構成を有しているため、説明を省略する。
【0051】
セパレーター104が環状に形成されている場合には、対向電極111および配線層113はセパレーター104により分離され、セパレーター104による環状の領域外とセパレーター104の上層を介して電気的導通を取ることは困難である。そこで、予めセパレーター104の下側に電流供給線120を配置しておくことで、配線層113から、接続口121を介してセパレーター104の下を潜ってセパレーター104による環状の領域外と電気的導通を取ることを可能としている。ここで、電流供給線120は、セパレーター104を抜けてセパレーター104の外側から電流の供給を受けても良い。またセパレーター104の下側で電流の供給を受けても良い。
【0052】
(変形例:第2の実施形態)
ここで、第2の実施形態にかかる変形例について説明する。構成要素は第2の実施形態と同じものを用いている。図3(a)は、有機EL装置の構造を示すための平面図、図3(b)は、(a)のA−A’線における断面図、図3(c)は、(a)のB−B’線における断面図である。構成要素、機能は第2の実施形態と基本的に同じであるため、説明を省略する。有機EL装置50Cは、セパレーター104の内部で複数の第1電極103Aがセパレーター104内で複数列に整列されている。そのため、セパレーター104の面積を減らすことが可能となる。従って、その分第1電極103Aを高密度で配置することが可能となる。そのため、画像形成装置としての光プリンターの光書き込みヘッド等、緻密なドットパターンを必要とする装置に対して好適となる。
【0053】
また、セパレーター104と有機機能層110との間には、吸湿性や耐湿性においてセパレーター104よりも優れた充填層114が形成することができ、有機機能層110への水分の浸入を防ぐことを可能としている。本実施形態では、セパレーター104と有機機能層110との間を充填すると共に、配線層113も埋め込むよう充填層114を形成した場合について図示している。
【0054】
(第3の実施形態:有機EL装置の製造方法−1)
ここで、有機EL装置の製造方法について説明する。図4(a)〜(c)、図5(a)、(b)、図6(a)〜(c)は、本実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図である。なお、平面図においては、構造の視認性を向上させるため、主要な要素を表示させている。即ち、いくつかの構造については透過(省略)させている。
【0055】
まず、工程1として、基板本体90にTFT91や図示せぬ配線構造を備えた基板100上にスパッタ法やフォトリソグラフ法等に代表される公知の方法によって第1電極としての画素電極101を形成し、次いで画素電極101上にCVD(化学気相堆積)法等に代表される公知の方法によって酸化珪素等を用いた絶縁層102を形成する。ここで、基板100は、たとえばガラス、石英ガラス、Siウェハ、プラスチックフィルム、金属板等を用いることができる。ただし、本実施形態に主として示す、基板100側から光を射出するボトムエミッション型の構成をとる場合には、基板100は光に対して透明であることが必要となる。基板100と反対側に光を射出するトップエミッション型の構成をとる場合には、このような制約は生じない。画素電極101はボトムエミッション型の構成をとる場合、光透過性を備え、かつ正孔注入に適した導体が好ましく、ITO(インジウム・錫・酸化物)やIZO(インジウム−亜鉛・酸化物)等を用いることができる。ITOを用いた場合には、層厚としては、透光性と電気抵抗とを考慮して、20nm以上500nm以下程度の層厚を備えることが好適である。また、ここでは基板100に近い画素電極101側が正極になる場合について記載しているが、画素電極101側が負極になる構成を用いても差し支えはなく、この場合には、画素電極101を構成する物質として電子注入性に優れたMgAg(マグネシウム・銀)合金の薄膜を使う等により対応可能である。
【0056】
次に、工程2として、基板100上の絶縁層102をパターニングして開口部103を形成する。画素電極101を、開口部103を備えた絶縁層102で覆うことで開口部103を介して有機機能層110(図5(a)参照)に電流を供給する第1電極103Aが複数形成される。ここまでの工程を終えた状態での平面図を図4(a)、A−A’線に沿った(a)の断面図を図4(b)に示す。以降、断面図はこのA−A’線に沿った面について記載する。なお、開口部103を備えた絶縁層102で覆う工程は必須ではなく、省略することも可能であり、この場合には、第1電極103Aは画素電極101そのものとなる。
【0057】
次に、工程3として、絶縁層102上にフッ素系樹脂を、たとえば高さが1〜2μm程度になるようにパターニングして逆テーパー型のセパレーター104を開口部103の脇に沿って、島状に形成する。ここで、基板100の平面視に対して複数の第1電極103Aを挟む形状となるよう、セパレーター104の平面パターンを構成することが、後述する有機機能層110(図5(a)参照)の層厚分布を揃えるためには好適である。本実施形態では、セパレーター104は第1電極103Aを一列毎に分離するよう配置されている。このように配置することで、第1電極103A上に形成される有機機能層110(図5(a)参照)をセパレーター104で分離し、水分の拡散を防ぐことができる。なお、セパレーター104の基板100上における平面方向での密度は下げても良く、セパレーター104の長手方向と交差する方向に複数列並べて第1電極103Aを配置しても良い。この場合、水分の拡散リスクが若干上昇するが、たとえば光プリンター用の光書き込みヘッド等、高い密度で第1電極103Aを形成することが好ましいアプリケーションに対して有効である。
【0058】
ここで、セパレーター104の形成材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂等の高分子材料、ポリシラザン、ポリシロキサン等を含有した有機・無機ハイブリッド材料等が用いられる。セパレーター104の形成方法としては、リソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができるが、逆テーパー形状を少ない工程数で形成するには、リソグラフィ法が好適な形成手段となる。リソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板100上にネガ型のセパレーター前駆体104Aを形成した後、全面硬化する条件と比べ少ない露光量を用いて露光を行う。このように露光を行うことで、光吸収による光強度減少が少ない露光光源側と比べ、基板100側の露光量は小さくなるため、このように露光されたセパレーター前駆体104Aを現像すると、逆テーパー状のセパレーター104を得ることが可能となる。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図4(c)に示す。
【0059】
次に、工程4として、正孔注入層110A、有機発光層110B、電子輸送層110Cを備える有機機能層110を形成する。有機機能層110は、液状の有機機能層前駆体を塗布し、乾燥させ、次の有機機能層前駆体を塗布し、乾燥させるという工程を用いる液相法を用いて形成している。ここでは、有機機能層110として上記した層構成をとった例について記載するが、これは、有機発光層110B以外は省略、あるいは追加が可能で、たとえば正孔注入層110Aの上に正孔輸送層を形成したり、正孔注入層110Aを省略するなど適宜変更が可能である。
【0060】
正孔注入層110Aを塗布法を用いて10nm以上60nm以下程度の厚さに形成した後、一旦、乾燥させる。その後、同様に有機発光層110B、電子輸送層110Cを積層し、有機機能層110が形成される。正孔注入層110Aとしてはポリチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)、銅フタロシアニン、無金属フタロシアニン、芳香族ジアミン(TPAC,2Me−TPD,α−NPD)等の物質を例示することができる。
【0061】
また、有機発光層110Bとしては、蛍光或いは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料である、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシラン系などを好適に用いることができる。また、これらの発光材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0062】
電子輸送層110Cとしては、キノリノールアルミ錯体ガリウム錯体、アントラキノジメタン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレンテトラカルボン酸誘導体等を用いることができる。
【0063】
また、溶媒としては、上記した正孔注入層110A、有機発光層110B、電子輸送層110Cを構成する物質を溶解、分散させ、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼン等の炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサン等のエーテル系化合物、更にプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン等の極性化合物を例示できる。
【0064】
正孔注入層110A、有機発光層110B、電子輸送層110Cを正孔注入層110A、有機発光層110B、電子輸送層110Cを構成する物質を溶解、分散させた機能溶液を用いて層を形成する方法としては、たとえば液滴吐出法やスリットコート法、ディスペンス法を挙げることができる。ここでは、機能溶液の利用効率が高い液滴吐出法を用いた場合について説明する。液滴吐出法としては、帯電制御方式、加圧振動方式、電気機械変換方式、電気熱変換方式、静電吸引方式等が挙げられる。
【0065】
ここで、帯電制御方式は、機能溶液に帯電電極で電荷を付与し、偏向電極で材料の飛翔方向を制御してノズルから吐出させるものである。また、加圧振動方式は、機能溶液に30kg/cm2程度の超高圧を印加してノズル先端側に機能溶液を吐出させるものであり、制御電圧をかけない場合には材料が直進してノズルから吐出される。そして、制御電圧をかけると材料間に静電的な反発が起こり、材料が飛散してノズルから吐出されない。また、電気機械変換方式は、ピエゾ素子(圧電素子)がパルス的な電気信号を受けて変形する性質を利用したもので、ピエゾ素子が変形することによって機能溶液を貯留した空間に可撓物質を介して圧力を与え、この空間から機能溶液を押し出してノズルから吐出させるものである。
【0066】
電気熱変換方式は、機能溶液を貯留した空間内に設けたヒーターにより、機能溶液を急激に気化させてバブル(泡)を発生させ、バブルの発生に伴う圧力増によって空間内の機能溶液を吐出させるものである。静電吸引方式は、機能溶液を貯留した空間内に微小圧力を加え、ノズルに機能溶液のメニスカスを形成し、この状態で静電引力を加えてから機能溶液を引き出すものである。また、この他に、電場による流体の粘性変化を利用する方式や、放電火花で飛ばす方式等の技術も適用可能である。液滴吐出法は、機能溶液の使用に無駄が少なく、しかも所望の位置に所望の量の機能溶液を的確に配置できるという利点を有する。なお、液滴吐出法により吐出される機能溶液の一滴の量は、たとえば1〜300ngである。以下に例示した条件は、電気熱変換方式と比べ、加熱による機能溶液の劣化がない電気機械変換方式を用いた場合のものである。
【0067】
電気機械変換方式による液滴吐出法を用いる場合、機能溶液の表面張力は0.02N/m以上0.07N/m以下の範囲内であることが好ましい。液滴吐出法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、有機機能層前駆体のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、機能溶液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系等の表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、層のレベリング性を改良し、層の微細な凹凸の発生等の防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0068】
また、機能溶液の粘度は1mPa・s以上50mPa・s以下程度の値であることが好ましい。液滴吐出法を用いて機能溶液を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部が機能溶液の流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となる。正孔注入層110A、有機発光層110B、電子輸送層110Cを備える有機機能層110を形成する工程を終えた状態での断面図を図5(a)に示す。なお、セパレーター104が撥液性を備えている場合には、セパレーター104により弾かれるため、セパレーター104上には有機機能層は形成されない。ここで、有機機能層がセパレーター104上に残った場合においても、この場所に残った有機機能層は電気的には浮いた状態となるので電流が流れることはなく、有機EL装置の動作に対する影響は生じない。
【0069】
次に、工程5として、第2電極としての対向電極111を形成する。対向電極111の形成はマスクを用いた気相法により行われる。第1マスク112は、第1遮蔽部112Aがセパレーター104の両端に重なり、セパレーター104により高さ方向の位置決めが行われている。そして、セパレーター104で挟まれた領域にある有機機能層110は第1開口部112Bと重なるパターンを有している。第1マスク112と基板100とを重ねた状態を示す平面図を図5(b)に示す。
【0070】
第1マスク112はセパレーター104により高さ方向の位置決めが行われているため、セパレーター104より低い位置(基板100寄り)にある有機機能層110と第1マスク112とは接触しない。そのため、第1マスク112を基板100と重ねる場合に、第1マスク112のエッジによる傷や、マスクエッジに堆積した異物が有機機能層110に付着する不良発生を防止することが可能となる。
【0071】
そして、この位置関係を保った状態で、スパッタ法や蒸着法等の気相法を用いて電子注入性に優れたLiFや、Ca,Cs,Srを含む物質を0.5nm以上50nm以下程度の層厚で積層した後、Alを層厚50nm以上500nm以下程度でスパッタ法や蒸着法等の気相法を用いて積層し、対向電極111を形成する。ここで、セパレーター104は逆テーパー形状を備えているため、基板100側に位置する対向電極111は、セパレーター104の影となる領域で分断される。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図6(a)に示す。図6(a)に示すように、セパレーター104上に対向電極111の形成に伴う金属層が残される場合があるが、この金属層は電気的に孤立しているため、有機EL装置の動作に対する影響は生じない。
【0072】
次に、工程6として、対向電極111をマスクとして有機機能層110のアッシングを行う。アッシングは酸素ガスを含むプラズマアッシングを用いて行う。ここで、アッシング条件に若干等方性を持たせ、セパレーター104が若干エッチングされるよう設定しても良く、この場合にはセパレーター104の側壁に付着した有機機能層110の残滓等を確実に除去することが可能となる。また、対向電極111が寄生的にセパレーター104の影に回り込んだ場合においても、確実にセパレーター104と有機機能層110を分離することが可能となる。
【0073】
ここで、セパレーター104のエッチングは、アッシングと同時に行わせる必要はなく、別の工程で行っても良い。また、セパレーター104を若干エッチングする工程は必須ではない。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図6(b)に示す。
【0074】
次に、工程7として、配線層113を形成する。配線層113の形成はマスクを用いた気相法により行われる。第2マスクは、第2開口部として、対向電極111と少なくとも一部で重なり、対向電極111同士を電気的に接続させる第2パターンを備えている。ここでは、第2パターンとして対向電極111をすべて覆うパターンを用いた例について説明している。そして、この位置関係を保った状態で、スパッタ法等、気相法を用いてAlを層厚50nm以上500nm以下程度で積層し、配線層113を形成する。
【0075】
第2マスクは対向電極111をすべて覆うパターンを用いているため、有機機能層110と接触することとなるが、有機機能層110のうち発光に関与する第1電極103Aおよびその周辺は、対向電極111により覆われているため、第2マスクと接触した場合に生じる損傷による影響は現れない。ここで、第2マスクの遮蔽部は、たとえば基板の周囲を覆うように配置されることが好ましい。このようにすることで、余分な影を作らずに蒸着が行える。かつ第2マスクが基板の周囲を覆うことで第2マスクの位置決めが容易に行える。また、基板の周囲により第2マスクが支えられることから、第2マスクとの接触に起因する損傷をより確実に抑えることが可能となる。ここまでの工程を終えた状態での断面図を図6(c)に示す。
【0076】
次に、工程8として、セパレーター104と有機機能層110との間隙を含めた領域を乾燥剤または透湿防止剤を用いて充填層114を形成する。充填に用いる乾燥剤としては、たとえばオーレドライ(双葉電子工業製)を例示することができる。透湿防止剤としては、たとえばポリウレタンやPET(ポリエチレンテレフタレート)を用いることができる。なお、充填層114には、その他の樹脂を用いても良く、この場合においても有機機能層110が露出している場合と比べ、水分に対する保護機能が期待できる。
【0077】
そして、たとえば缶封止(図示せず)する工程を行うことで、図1(a)、(b)に示す有機EL装置50Aが製造可能となる。上記したように、セパレーター104と有機機能層110との間に乾燥剤や透湿防止剤を含む充填層114が形成されるので、耐湿性に優れた有機EL装置50Aを提供することが可能となる。
【0078】
(第4の実施形態:有機EL装置の製造方法−2)
ここで、別の構造を備える有機EL装置の製造方法について説明する。図7(a)、(b)、図8(a)、(b)、図9(a)、(b)、図10(a)、(b)は、本実施形態における有機EL装置の製造方法を示す工程図である。説明にあたって、有機EL装置の製造方法−1と同様の工程を行う部分については、前記工程の番号を挙げ、説明の重複を避けることとする。
【0079】
まず、工程1として、基板本体90にTFT91(図4(b)参照)や図示せぬ配線構造を備えた基板100上にスパッタ法やフォトリソグラフ法等に代表される公知の方法によって第1電極としての画素電極101と電流供給線120、接続口121を形成する。ここで、画素電極101と電流供給線120は同時に形成すると、製造工程の短縮という面で好適である。また、別の工程で形成しても良く、この場合は、電流供給線120の設計自由度を向上させることが可能となる。次に、画素電極101、電流供給線120を覆うようCVD(化学気相堆積)法等に代表される公知の方法によって酸化珪素等を用いた絶縁層102を形成する。ボトムエミッション型、トップエミッション型、画素電極101の極性等についての対応は有機EL装置の製造方法−1の工程1に準ずるものとなる。
【0080】
次に、工程2として、基板100上の絶縁層102をパターニングして開口部103と接続口121とを形成する。ここまでの工程を終えた状態での平面図を図7(a)、A−A’線に沿った断面図を図4(b)、B−B’線に沿った断面図を図7(b)に示す。以降、断面図はこのB−B’線に沿った面について記載する。ここで、A−A’線に沿った断面図は有機EL装置の製造方法−1と同様の断面形状を示すため図面を省略し、説明の重複を避ける。
【0081】
次に、工程3として、絶縁層102上にフッ素系樹脂を、たとえば高さが1〜2μm程度になるようにパターニングして逆テーパー型のセパレーター104を形成する。ここで、基板100の平面視に対して第1電極103Aを挟む形状となるよう、セパレーター104の平面パターンを構成することが、後述する有機機能層110(図8(b)参照)の層厚分布を揃えるためには好適である。本実施形態では、セパレーター104は第1電極103Aを一列毎に分離し、基板100における平面視にて開口部103と接続口121とを囲い、電流供給線120と重なるよう配置されている。このように配置することで、電流供給線120を介して接続口121と電気的に結合される、配線層113(図2(c)参照)へ電流を供給することが可能となる。第1電極103Aのレイアウトや、セパレーター104の材質、製造工程等は有機EL装置の製造方法−1における工程3中での記載に準ずる。
【0082】
次に、有機EL装置の製造方法−1における工程4に準じて、有機機能層110を形成する。ここまでの工程を終えた状態での平面図を図8(a)、B−B’線に沿った断面図を図8(b)に示す。
【0083】
次に、有機EL装置の製造方法−1における工程5に準じて、第2電極としての対向電極111を形成する。ここで、第1マスク112と基板100とを重ねた状態を示す平面図を図9(a)に示す。そして、対向電極111を形成し終えた状態でのB−B’線に沿った断面図を図9(b)に示す。
【0084】
次に、有機EL装置の製造方法−1における工程6に準じ、対向電極111をマスクとして有機機能層110のアッシングを行う。
【0085】
ここまでの工程を終えた状態での、B−B’線に沿った断面図を図10(a)に示す。
【0086】
次に、有機EL装置の製造方法−1における工程7に準じ、配線層113を形成する。ここまでの工程を終えた状態での、B−B’線に沿った断面図を図10(b)に示す。
【0087】
次に、有機EL装置の製造方法−1における工程8に準じて、充填層114を形成する。
【0088】
そして、たとえば缶封止(図示せず)する工程を行うことで、図2(a)、(b)、(c)に示す有機EL装置50Bが製造可能となる。この場合においても、セパレーター104と有機機能層110との間に乾燥剤や透湿防止剤を形成できるので、耐湿性に優れた有機EL装置50Bを提供することが可能となる。
【0089】
(変形例:第4の実施形態)
ここで、第4の実施形態にかかる変形例について説明する。製造工程としては、開口部103のパターン以外では第4の実施形態と同じ製造工程を用いている。図11(a)は、有機EL装置における開口部の配置を示すための平面図、(b)は、有機EL装置のA−A’線における断面図、(c)は、有機EL装置のB−B’線における断面図である。開口部103のパターン以外は第4の実施形態と基本的に同じであるため、説明を省略する。有機EL装置50C(図3(a)、(b)、(c)参照)は、セパレーター104の内部で複数の開口部103がセパレーター104内で複数列に整列されている。そのため、セパレーター104のパターン面積が減り、その分発光を司る第1電極103Aを高密度で配置することが可能となる。そのため、画像形成装置としての光プリンターの光書き込みヘッド等、緻密なドットパターンを必要とする装置に対して好適となる。
【0090】
(第5の実施形態:電子機器)
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照して説明する。図12は、電子機器の一例を示す図である。図12(a)は、携帯電話の一例を示す斜視図である。図12(a)において500は携帯電話機本体であり、この携帯電話機本体500は以上説明した有機EL表示装置50等の電気光学装置を有する表示部501を備えている。
【0091】
また、図12(b)は、ワードプロセッサー、パーソナルコンピューター等の携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図12(b)において600は情報処理装置であり、この情報処理装置600は、キーボード等の入力部601、情報処理装置本体602、及び以上説明した有機EL装置50等の電気光学装置を有する表示部603を備えている。また、図12(c)は、腕時計型電子機器の一例を示す斜視図である。図12(c)において、700は時計本体を示しており、この時計本体700は、以上説明した有機EL表示装置50等の電気光学装置を有する表示部701を備えている。図12(a)〜図12(c)に示す電子機器は、以上説明した有機EL表示パネル等を備えているため、色むら等が低減された良好な表示を得ることができる。
【0092】
なお、以上説明した有機EL装置50等の電気光学装置は、図12(a)〜図12(c)に例示した電子機器以外にも種々の電子機器に適用することができる。例えば、液晶プロジェクター、及びエンジニアリング・ワークステーション(EWS)、ページャー、テレビ、ビューファインダー型またはモニター直視型のビデオテープレコーダー、電子手帳、電子卓上計算機、カーナビゲーション装置、POS端末、タッチパネルを備えた装置等の電子機器に適用することが可能である。
【0093】
(第6の実施形態:画像形成装置)
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照して説明する。図13は、本発明の一実施形態による画像形成装置としての光プリンターの要部を示す断面図である。図13に示す光プリンター1は、フルカラー表示が可能なタンデム方式の光プリンターである。図13に示す通り、光プリンター1は、光書き込みヘッドとしてのブラック用有機EL露光ヘッド2K、シアン用有機EL露光ヘッド2C、マゼンタ用有機EL露光ヘッド2M、及びイエロー用有機EL露光ヘッド2Yを備えている。
【0094】
また、光プリンター1は、各露光ヘッド2K,2C,2M,2Yの下方に、ブラック用感光ドラム3K、シアン用感光ドラム3C、マゼンタ用感光ドラム3M、イエロー用感光ドラム3Yをそれぞれ備えている。更に、光プリンター1は、駆動ローラー4、従動ローラー18、テンションローラー6、及びテンションローラー6によりテンションを加えられて張架されながら図13中反時計回り方向へ循環駆動される中間転写ベルト7を備える。
【0095】
上記の各感光ドラム3K,3C,3M,3Yは、中間転写ベルト7に対して所定間隔に配置されている。各感光ドラム3K,3C,3M,3Yは、中間転写ベルト7の駆動と同期して図13中時計回り方向へ回転駆動されるようになっている。そして、各露光ヘッド2K,2C,2M,2Yは、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの外周面を各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの回転に同期して順次ライン走査することで、描画データに応じた静電潜像を対応する感光ドラム3K,3C,3M,3Y上に形成する。また、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの周囲には、感光ドラム3K,3C,3M,3Yの各外周面を一様に帯電させるコロナ帯電器8K,8C,8M,8Yが設けられている。
【0096】
また、光プリンター1は、ブラック用感光ドラム3Kの周囲にブラック用現像装置9Kを、シアン用感光ドラム3Cの周囲にシアン用現像装置9Cを、マゼンタ用感光ドラム3Mの周囲にマゼンタ用現像装置9Mを、イエロー用感光ドラム3Yの周囲にイエロー用現像装置9Yをそれぞれ備えている。これら各現像装置9K,9C,9M,9Yは、対応する有機EL露光ヘッド2K,2C,2M,2Yによって各感光ドラム3K,3C,3M,3Y上に形成された静電潜像に対応する色の現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)を形成するものである。例えば、シアン用現像装置9Cは、シアン用有機EL露光ヘッド2Cによってシアン用感光ドラム3C上に形成された静電潜像にシアン色のトナーを付与して可視像(トナー像)を形成する。
【0097】
詳しくは、各現像装置9K,9C,9M,9Yは、例えば、トナーとして非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を、例えば供給ローラーで現像ローラーへ搬送し、現像ローラー表面に付着したトナーの膜厚を規制ブレードで規制する。この規制により、現像ローラーを各感光ドラム3K,3C,3M,3Yに接触或いは押圧させることにより、各感光ドラム3K,3C,3M,3Y上に形成された静電潜像の電位レベルに応じて現像剤を付着させて可視像(トナー像)として現像する。
【0098】
更に、光プリンター1は、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの周囲に、各現像装置9K,9C,9M,9Yで現像された可視像(トナー像)を一次転写対象である中間転写ベルト7に順次転写する一次転写ローラー10K,10C,10M,10Yを備えている。更にまた、光プリンター1は、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの周囲に、クリーニング装置11K,11C,11M,11Yを備えている。クリーニング装置11K,11C,11M,11Yは、一次転写の後に、各感光ドラム3K,3C,3M,3Yの表面に残留しているトナーを除去するためのものである。
【0099】
このような各感光ドラム3K,3C,3M,3Y上に形成されたブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各可視像(トナー像)は、一次転写ローラー10K,10C,10M,10Yによって中間転写ベルト7上に順次一次転写される。この一次転写により中間転写ベルト7上で順次重ね合わされてフルカラーとなった可視像(トナー像)は、二次転写ローラー5によって用紙等の記録媒体P上に二次転写され、一対の定着ローラー12を通ることで記録媒体P上に定着される。可視像(トナー像)が定着した記録媒体Pは、排紙ローラー13によって案内されて光プリンター1の上部に形成された排紙トレイ14上へ排出される。
【0100】
また、光プリンター1は、多数枚の記録媒体Pを保持する給紙カセット15、給紙カセット15から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラー16、二次転写ローラー5の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラー17を備えている。更に、光プリンター1は、中間転写ベルト7とで二次転写部を形成する二次転写ローラー5、及び二次転写後に中間転写ベルト7の表面に残留しているトナーを除去するクリーニングブレード19を備えている。
【0101】
(第7の実施形態:画像形成装置用の光書き込みヘッド)
以下、本発明を具体化した各実施形態について図面を参照して説明する。ここで図13に示したブラック用有機EL露光ヘッド2K、シアン用有機EL露光ヘッド2C、マゼンタ用有機EL露光ヘッド2M、及びイエロー用有機EL露光ヘッド2Yは、ほぼ同じ構造をしているので、説明の便宜上、ブラック用有機EL露光ヘッド2Kについて説明し、他の有機EL露光ヘッド2C,2M,2Yについては、その詳細な説明を省略する。
【0102】
図14は、ブラック用有機EL露光ヘッド2Kの斜視図である。ブラック用有機EL露光ヘッド2Kは、一方向、即ち中間転写ベルト7(図13参照)の搬送方向に対して直交する方向に配設された箱体21と、箱体21とブラック用感光ドラム3Kとの間に位置するように箱体21に支持固定された光学部材23とを備えている。箱体21は、ブラック用感光ドラム3K側に開口部を有しており、その開口部に向かって光が出射するように有機EL装置50(A,B,C)を固定している。どの有機EL装置を用いても、ブラック用有機EL露光ヘッド2Kを構成することができるが、発光に関与する領域を定める第1電極103Aの密度を高く取ることができる有機EL装置50Cが、例えば好適である。開第1電極103Aの密度を高く取ることで、微細なパターンに対応した印刷が可能となる。
【符号の説明】
【0103】
1…光プリンター、2C…シアン用有機EL露光ヘッド、2K…ブラック用有機EL露光ヘッド、2M…マゼンタ用有機EL露光ヘッド、2Y…イエロー用有機EL露光ヘッド、3C…シアン用感光ドラム、3K…ブラック用感光ドラム、3M…マゼンタ用感光ドラム、3Y…イエロー用感光ドラム、4…駆動ローラー、5…二次転写ローラー、7…中間転写ベルト、8K…コロナ帯電器、9C…シアン用現像装置、9K…ブラック用現像装置、9M…マゼンタ用現像装置、9Y…イエロー用現像装置、10C…一次転写ローラー、10K…一次転写ローラー、10M…一次転写ローラー、10Y…一次転写ローラー、12…定着ローラー、13…排紙ローラー、14…排紙トレイ、15…給紙カセット、16…ピックアップローラー、17…ゲートローラー、18…従動ローラー、19…クリーニングブレード、21…箱体、23…光学部材、50…有機EL装置、50A…有機EL装置、50B…有機EL装置、50C…有機EL装置、90…基板本体、91…TFT、100…基板、101…画素電極、102…絶縁層、103…開口部、103A…第1電極、104…セパレーター、104A…セパレーター前駆体、110…有機機能層、110A…正孔注入層、110B…有機発光層、110C…電子輸送層、111…対向電極、112…第1マスク、112A…第1遮蔽部、112B…第1開口部、113…配線層、114…充填層、120…電流供給線、121…接続口、500…携帯電話機本体、501…表示部、600…情報処理装置、601…入力部、602…情報処理装置本体、603…表示部、700…時計本体、701…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に配置された有機機能層と、を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記基板上に第1の方向に配列された複数の前記第1電極を形成する工程と、
前記基板上に電流供給線を形成する工程と、
前記基板上に短手方向の断面形状が、前記基板と離れた側の幅と比べ前記基板に近い側の幅が狭い逆テーパー型を有し、前記基板における平面視にて、前記第1の方向に沿って延在すると共に、複数の前記第1電極を間に挟むように配置された島状の2つのセパレーターを形成する工程と、
液状の有機機能層前駆体を前記基板上に塗布した後、固化させ、有機機能層を形成する工程と、
第1開口部を備える第1マスクを、前記基板における平面視にて、前記第1開口部が少なくとも一つの前記第1電極と重なるように前記基板と重ねる工程と、
気相法を用い、前記第1マスクによって前記有機機能層の一部と重なると共に前記2つのセパレーターから離間した位置に島状の第2電極を形成する工程と、
前記第2電極をマスクとして、前記有機機能層の一部を除去し、前記第1電極上に位置する有機機能層を前記2つのセパレーターと離間しつつ島状に分離する工程と、
遮蔽部と第2開口部とを備える第2マスクを、前記基板における平面視にて、前記第2開口部が、複数の前記遮蔽部が前記基板の周辺部と重なると共に前記2つのセパレーターと重ならないように第2マスクを前記基板と重ねる工程と、
気相法により、前記第2マスクによって前記第2電極と前記電流供給線とを電気的に接続する配線層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項2】
基板上に設けられた有機機能層に電流注入を行う第1電極と、
前記基板における平面視にて少なくとも一つの前記第1電極を囲うセパレーターと、
前記有機機能層を覆う第2電極と、前記基板における平面視にて、接続口を介して前記第2電極と電気的に接続される電流供給線と、を備える有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
前記基板上に前記電流供給線を形成する工程と、
前記基板上に前記第1電極を形成する工程と、
前記基板上に前記接続口を形成する工程と、
前記セパレーターの内側と外側とを結ぶ方向における断面形状が、前記基板と離れた側の幅と比べ前記基板に近い側の幅が狭い逆テーパー型を有し、前記電流供給線の上側を含む領域に前記セパレーターを形成する工程と、
液状の有機機能層前駆体を前記基板表面に塗布した後、固化させ、有機機能層を形成する工程と、
前記基板における平面視にて、第1遮蔽部は、前記セパレーターの少なくとも一部の領域と前記接続口と重なり、第1開口部は、前記第1電極を含む領域に重なるよう配置された第1パターンを備える第1マスクを、上記した位置関係を保ちながら前記基板と重ねる工程と、
気相法を用い、前記有機機能層の一部と重なるよう配置され、前記セパレーターと離れた領域に第2電極を形成する工程と、
前記第2電極をマスクとして、前記有機機能層を開口する工程と、
第2開口部を備え、前記基板における平面視にて、前記第2開口部は、前記第2電極と前記接続口との間を電気的に接続させる第2パターンを備える第2マスクを、上記した位置関係を保ちながら前記基板と重ねた後気相法により、前記第2パターンに基づいた配線層を形成する工程と、
を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1電極は、前記有機機能層前駆体に対して親液性を有する、開口部を備えた絶縁層により前記基板面方向に対して囲われていることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第1電極は、前記セパレーターに沿って、一列に並んでいることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記第2電極を形成した後に、前記セパレーターの幅を減らす工程をさらに備えたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記セパレーターの幅を減らす工程は、前記有機機能層の一部を除去する工程と同時に行うことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、少なくとも前記セパレーターと前記有機機能層との間隙を充填層で埋める工程をさらに含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記充填層は、乾燥剤または透湿防止剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項9】
少なくとも発光層を含む有機機能層を備えた有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
基板上に設けられた第1電極と、
前記第1電極上に設けられた前記有機機能層と、
前記基板の平面方向に対して前記有機機能層を区画し、かつ前記有機機能層と離間した位置に配置されたセパレーターと、
前記セパレーターと前記有機機能層との間を少なくとも埋めている充填層と、
前記有機機能層を挟んで、少なくとも前記第1電極と対向する位置に配置された第2電極と、
前記第2電極と電気的に接続され、前記第2電極に電流を供給する配線層と、
を備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項10】
請求項9に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、厚さ方向に対する前記セパレーターと前記基板との間に、前記配線層と電気的に接続された電流供給線をさらに備えることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記充填層は、乾燥剤または透湿防止剤の少なくとも一方を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項12】
請求項9から11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置、または請求項1から8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置、または請求項1から8のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法により製造された有機エレクトロルミネッセンス装置を備えることを特徴とする光書き込みヘッド。
【請求項14】
請求項13に記載の光書き込みヘッドを備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−3285(P2011−3285A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143009(P2009−143009)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】