有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法、並びに電子機器
【課題】 良好な封止効果を得られるとともに、発光素子に接続される配線を良好且つ円滑に設けることができる有機エレクトロルミネッセンス装置を提供する。
【解決手段】 有機エレクトロルミネッセンス装置Sは、基板1と、基板1の第1領域Rと貼り合わせられる第2領域Cを有し、基板1との間で発光素子3を封止する封止空間K1を形成する封止部材2とを備えている。第1領域R及び第2領域Cのそれぞれは互いに異なる方向を向く複数の面を有し、複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状である。
【解決手段】 有機エレクトロルミネッセンス装置Sは、基板1と、基板1の第1領域Rと貼り合わせられる第2領域Cを有し、基板1との間で発光素子3を封止する封止空間K1を形成する封止部材2とを備えている。第1領域R及び第2領域Cのそれぞれは互いに異なる方向を向く複数の面を有し、複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL:electroluminescence)装置及びその製造方法、並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、発光物質を含む発光層を陽極及び陰極の電極層で挟んだ構成の発光素子を有しており、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とを発光能を有する発光層内で再結合し、励起状態から失括する際に発光する現象を利用して、光を射出する。発光素子は大気中の水分によって劣化し易いため、有機EL装置においては、発光素子を大気から保護するために封止することが行われている。下記特許文献1には封止に関する技術の一例が開示されている。
【特許文献1】特開2001−210464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、基板と封止部材との貼り合わせ領域に凹部及び凸部を設け、これら凹部と凸部とを噛み合わせる構成である。これによれば、発光素子が設けられた封止空間とその封止空間の外側の外部空間との間の気体(空気)が通る流路の実質的な距離(実効封止長)を大きくすることができるため、封止効果を高めることができる。ところが、封止空間に設けられた発光素子とその封止空間の外側の外部空間に設けられた外部素子とを接続する配線の一部が基板と封止部材との貼り合わせ領域に設けられる場合、基板と封止部材との貼り合わせ領域に鋭利な角部があると、角部によって配線が劣化し易くなる可能性がある。また、配線を形成するときには、例えば蒸着やスパッタリングなどの所定の手法で基板上にアルミニウム等の金属膜を成膜し、その後、所定の手法を用いてパターニングするが、角部が鋭利であると、角部において金属膜を円滑に成膜することが困難となる可能性がある。また、角部が鋭利で凹部又は凸部の段差が大きいと、パターニングを円滑に行うことができなくなる可能性もある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、良好な封止効果を得られるとともに、発光素子に接続される配線を良好且つ円滑に設けることができる有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法、並びに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、第1部材と、前記第1部材上に形成された発光素子と、前記第1部材の第1領域と貼り合わせられる第2領域を有し、前記第1部材との間で前記発光素子を封止する封止空間を形成する第2部材とを備え、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは互いに異なる方向を向く複数の面を有し、前記複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状であることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、第1領域及び第2領域のそれぞれは、互いに異なる方向を向く複数の面によって構成されているので、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を得ることができる。また、複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状なので、第1領域又は第2領域に設けられた配線の劣化を抑制することができる。
ここで、「実効封止長」とは、発光素子が設けられた封止空間とその封止空間の外側の外部空間との間の気体が通る流路の実質的な距離(長さ)であって、第1領域と第2領域との間において封止空間と外部空間とを最短距離で結ぶ直線に沿う流路の総延長を意味する。換言すれば、第1領域と第2領域との間で形成される流路の断面視における総延長を意味する。実効封止長が大きければ、封止空間と外部空間との間の流路も長くなり、第1領域と第2領域との間に設けられる接着剤の量も多くなるため、良好な封止効果を得ることができる。
【0007】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記第1領域及び前記第2領域の一方は、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを有する構成を採用することができる。
【0008】
これによれば、第1、第2領域に設けられる複数の面は、第1、第2斜面を含んで構成されるので、第1、第2斜面によって形成される段差の上部と下部との距離を小さくすることができる。したがって、第1、第2領域に配線を円滑に形成することができる。
【0009】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を有し、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせた状態において前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記凹部及び前記凸部が形成されている構成を採用することができる。
【0010】
これによれば、第1、第2領域に互いに噛み合う凹部及び凸部を設けたので、第1部材と第2部材との位置ずれを防止し、良好な封止効果を得ることができる。
【0011】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記凹部又は前記凸部は前記発光素子を囲むように環状に形成されている構成を採用することができる。
【0012】
これによれば、発光素子を囲む周方向のいずれの方向においても良好な封止効果を得ることができる。
【0013】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記凹部又は前記凸部は複数同心状に設けられている構成を採用することができる。
【0014】
これによれば、更に高い封止効果を得ることができる。
【0015】
本発明の電子機器は、上記記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、発光素子を良好に封止し、配線の劣化を防止できるので、高性能の電子機器を提供することができる。
【0017】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、第1部材の第1領域及び第2部材の第2領域のそれぞれに、互いに異なる方向を向く複数の面を形成する工程と、前記第1部材の前記第1領域と前記第2部材の前記第2領域とを貼り合わせ、前記第1部材と前記第2部材との間に発光素子を封止するための封止空間を形成する工程とを有し、前記複数の面どうしの接続部を鈍角又は円弧状に形成することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、第1領域及び第2領域のそれぞれは、互いに異なる方向を向く複数の面によって構成されているので、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を有する有機EL装置を製造することができる。また、複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状なので、第1領域又は第2領域に配線を円滑に形成することができる。
【0019】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1領域及び前記第2領域の一方に、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを形成する構成を採用することができる。
【0020】
これによれば、第1、第2斜面によって形成される段差の上部と下部との距離を小さくすることができ、第1、第2領域に配線を円滑に形成することができる。
【0021】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせたとき、前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれに、前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を設ける構成を採用することができる。
【0022】
これによれば、第1、第2領域に互いに噛み合う凹部及び凸部を設けることにより、第1部材と第2部材との位置ずれを防止しつつ、第1領域と第2領域を貼り合わせることができ、良好な封止効果を得ることができる。
【0023】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせるときに、前記第1領域及び前記第2領域の一方の前記凹部又は前記凸部のエッジ部と、他方に設けられたマークとを用いて、前記第1領域と前記第2領域とを位置合わせする構成を採用することができる。
【0024】
これによれば、複数の面を有する第1領域と第2領域とを所望の位置関係で良好に貼り合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。更には、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0026】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る有機EL装置の要部断面図である。図1において、有機EL装置Sは、基板(第1部材)1と、基板1上に設けられた発光素子3と、基板1との間で発光素子3を封止する封止空間K1を形成する封止部材(第2部材)2とを備えている。封止部材2は断面視下向きコ字状に形成されている。封止部材2は、基板1の第1領域Rと対向し、第1領域Rと貼り合わせられる第2領域Cを有している。第1領域Rは、基板1の上面のうち発光素子3が設けられている部分の外側に設定されている。第2領域Cは、封止部材2の下端面に設定されている。そして、第1領域Rと第2領域Cとが接着剤8を介して貼り合わせられることによって、平板状の基板1と封止部材2との間で発光素子3を封止する封止空間K1が形成される。
【0027】
発光素子3は、基板1上に形成された陽極4と、正孔輸送層5と、発光層6と、陰極7とを備えている。封止空間K1に設けられた発光素子3の陽極4と、封止空間K1の外側の外部空間K2に設けられた駆動素子30とは配線31を介して電気的に接続されている。また、不図示ではあるが、封止空間K1に設けられた発光素子3の陰極7と、外部空間K2に設けられた駆動素子30とも配線31を介して電気的に接続されている。駆動素子30は基板1上に設けられており、配線31の一部は基板1上に設けられている。また、封止空間K1にはゲッター剤と呼ばれる乾燥剤9が設けられている。乾燥剤9により、封止空間K1に配置されている発光素子3の水分による劣化が抑制される。
【0028】
図2は第1領域R及び第2領域C近傍を示す要部拡大断面図、図3は図1のA−A線断面矢視図、図4は封止空間K1の−X側の第1領域Rを示す斜視図である。これらの図に示すように、第1領域Rは、互いに異なる方向を向く複数の面11、12を有している。第1領域Rは、第2領域Cと対向しており、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第2領域Cに対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面11と、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第2領域Cに対して漸次近づくように傾斜する第2斜面12とを有している。そして、第1斜面11の下部(−Z側端部)及び第2斜面12の下部(−Z側端部)において凹部13が形成され、第1斜面11の上部(+Z側端部)及び第2斜面12の上部(+Z側端部)において凸部14が形成されている。換言すれば、凹部13及び凸部14によって、互いに異なる方向を向く第1、第2斜面11、12が形成されている。
【0029】
第2領域Cも、互いに異なる方向を向く複数の面15、16を有している。第2領域Cは、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第1領域Rに対して漸次近づくように傾斜する第3斜面15と、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第1領域Rに対して漸次遠ざかるように傾斜する第4斜面16とを有している。そして、第3斜面15の下部(−Z側端部)及び第4斜面16の下部(−Z側端部)において下方(−Z方向)に突出する凸部17が形成され、第3斜面15の上部(+Z側端部)及び第4斜面16の上部(+Z側端部)において凹部18が形成されている。換言すれば、凸部17及び凹部18によって、互いに異なる方向を向く第3、第4斜面15、16が形成されている。
【0030】
第1領域Rの斜面11、12と、第2領域Cの斜面15、16とは対応するように設けられており、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせたとき、斜面11、12と斜面15、16とは互いに対向し、且つほぼ平行となるように設けられている。すなわち、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせた状態において、第1領域Rと第2領域Cとが互いに噛み合うように、凹部13、凸部14、及び凸部17、凹部18のそれぞれが形成されている。具体的には、第1領域Rの凸部14と第2領域Cの凹部18とが噛み合い、第1領域Rの凹部13と第2領域Cの凸部17とが噛み合っている。
【0031】
そして、第1斜面11の下部と第2斜面12の下部との接続部は、断面視において鈍角となっている。また、第1斜面11の上部と第2斜面12の上部との接続部は、断面視において鈍角となっている。
【0032】
同様に、第3斜面15の上部と第4斜面16の上部との接続部は、断面視において鈍角となっている。また、第3斜面15の下部と第4斜面16の下部との接続部は、断面視において鈍角となっている。
【0033】
図3に示すように、第1領域Rの凹部13は、発光素子3(封止空間K1)を囲むように環状に形成されている。また、凸部14も、発光素子3(封止空間K1)を囲むように環状に形成されている。本実施形態においては、凹部13及び凸部14は、XY平面に対して垂直な方向から見たとき、矩形状の環状に形成されている。更に、凹部13及び凸部14のそれぞれは複数同心状に設けられている。すなわち、第1斜面11と第2斜面12とが、封止空間K1と外部空間K2との間で交互に設けられている。本実施形態においては、凹部13は3つ同心状に設けられ、凸部14は2つ同心状に設けられている。
【0034】
また、第2領域Cの凸部17及び凹部18は、第1領域Rの凹部13及び凸部14に対応して設けられ、凹部13及び凸部14と噛み合うように設けられており、発光素子3(封止空間K1)を囲むように環状に設けられ、複数同心状に設けられている。すなわち、第3斜面15と第4斜面16とが、封止空間K1と外部空間K2との間で交互に設けられている。
【0035】
本実施形態の有機EL装置Sは、発光素子3からの発光を基板1側から装置外部に取り出す形態、所謂ボトム・エミッションである。基板1は、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などによって形成されている。
【0036】
陽極4は、印加された電圧によって正孔を正孔輸送層5に注入するものであり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)などの透明導電膜により形成されている。
【0037】
正孔輸送層5は、陽極4の正孔を発光層6に輸送・注入するためのものであり、公知の材料を用いることができる。例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどを用いることができる。更に具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)などを用いることができる。
【0038】
発光層6は、陽極4から正孔輸送層5を経て注入された正孔と、陰極7からの注入された電子とを結合して蛍光を発生させる機能を有する。発光層6を形成する材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。例えば、ポリフルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などを用いることができる。
【0039】
また、発光層6と陰極7との間に電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層は、発光層6に電子を注入する役割を果たすものである。電子輸送層を形成する材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体などを用いることができる。
【0040】
陰極7は、発光層6へ効率的に電子注入を行うことができる仕事関数の低い金属、例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)又はカルシウム(Ca)等の金属材料から形成されている。
【0041】
そして、駆動素子30が配線31を介して発光素子3に駆動信号を供給すると、陽極4と陰極7との間に電流が流れ、発光素子3が発光して透明な基板1の外面側に光が射出される。
【0042】
封止部材2は、外部空間K2から封止空間K1に対して大気が侵入するのを遮断するものであって、ガラスや石英、合成樹脂、あるいは金属など水分透過率の小さい材料によって形成されている。ガラスとしては、例えば、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラスなどを用いることができる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などを用いることができる。金属としては、アルミニウムやステンレス等を用いることができる。
【0043】
乾燥剤9としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、酸化カルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウムなどを用いることができる。
【0044】
接着剤8は、ロ字状に設定された第1領域R(又は第2領域C)の全域に設けられる。接着剤8としては、安定した接着強度を維持することができ、気密性が良好なものであれば特に限定されない。本実施形態の接着剤8には、紫外光(UV)の照射により硬化する光硬化性エポキシ樹脂が用いられている。
【0045】
次に、上述した構成を有する有機EL装置Sを製造する方法について、図5のフローチャート図、及び図6〜図10に示す模式図を参照しながら説明する。
【0046】
以下で説明する製造工程は、基板1の第1領域R及び封止部材2の第2領域Cのそれぞれを加工する加工装置40と、基板1を支持可能なステージ80と、基板1の第1領域Rと封止部材2の第2領域Cとを位置合わせするアライメント装置50と、基板1に対して接着剤8を塗布可能な塗布装置60と、所定の波長を有する光を射出可能な照射装置70とを備えた製造装置100によって行われる。また、以下で説明する製造工程の一部は、光学素子3の劣化を防ぐために、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。
【0047】
まず、製造装置100は、加工装置40を用いて、基板1の第1領域Rに、互いに異なる方向を向く第1、第2斜面11、12を形成して凹部13及び凸部14を形成する(ステップSP1)。
【0048】
図6は加工装置40によって基板1の第1領域Rに凹部13及び凸部14が形成される様子を示す図である。本実施形態の加工装置40は、所望の形状を有するモールド(型)41を備えたナノインプリント装置を有している。まず、図6(A)に示すように、加工装置40は、モールド41と基板1とを、基板1のガラス転移温度以上に加熱する。次いで、図6(B)に示すように、加工装置40は、モールド41を基板1に押し付け、一定時間保持する。その後、図6(C)に示すように、加工装置40は、モールド41と基板1とを、基板1のガラス転移温度以下に冷却し、モールド41と基板1とを離す。これにより、基板1の第1領域Rに、所望の形状を有する凹部13及び凸部14が形成される。製造装置100は、加工装置40を用いて、第1斜面11と第2斜面12との接続部を鈍角に形成する。
【0049】
なお、加工装置40は、マイクロブラスト装置を有していてもよい。マイクロブラスト装置は、図7の模式図に示すように、圧縮空気等のキャリアガスにより加速された微細な砥粒43をノズル42から噴出させ、基板1に衝突させることにより、加工を行うものである。
【0050】
なお、基板1に対して凹部13及び凸部14を形成する方法としては、上述の方法に限られず、例えば、エッチング法、レーザ加工法、掘削法など公知のあらゆる方法を用いることができる。
【0051】
同様に、加工装置40は、封止部材2の下端面に設定された第2領域Cを加工し、この第2領域Cに凸部17及び凹部18を形成する。製造装置100は、加工装置40を用いて、第3斜面15と第4斜面16との接続部を鈍角に形成する。また、製造装置100は、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせたとき、第1領域Rと第2領域Cとが互いに噛み合うように、凹部13及び凸部14、並びに凸部17及び凹部18のそれぞれを形成する。
【0052】
次に、製造装置100は、基板1上に配線31を形成する。配線31を形成する場合、製造装置100は、例えば蒸着やスパッタリングなどの所定の手法で基板1上にアルミニウム等の金属膜を成膜する。第1領域Rの第1斜面11と第2斜面12との接続部は鈍角なので、金属膜は第1領域Rにおいてムラ無く形成される。
【0053】
次いで、製造装置100は、フォトリソグラフィ法などの所定の手法を用いて金属膜をパターニングする。図8(A)の模式図に示すように、第1領域Rに設けられた角部が鋭利で凹部(又は凸部)の段差が大きく、段差の上部と下部との距離L1が大きいと、例えばフォトリソグラフィ法で使用される投影レンズの焦点深度内に段差の上部と下部とを一緒におさめることが困難となり、パターニングを円滑に行うことができなくなる可能性がある。ところが、本実施形態では、図8(B)の模式図に示すように、第1領域Rは第1斜面11及び第2斜面12を含んで構成されるので、第1、第2斜面11、12の上部と下部との距離L2、すなわち段差の上部と下部との距離L2を小さくすることができる。したがって、パターニングを円滑に行うことができる。こうして、図4に示したように、配線31の一部が第1領域Rに形成される。
【0054】
次に、製造装置100は、基板1上に陽極4及び陰極7を含む発光素子3を設けた後、図9(A)に示すように、発光素子3を備えた基板1をステージ80上に載置する。ステージ80は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向のそれぞれに移動可能となっている。ステージ80は、例えば真空チャック等によって基板1を保持する。
【0055】
また、製造装置100は、所定の搬送装置90を用いて、封止部材2をステージ80近傍まで搬送する。搬送装置90は、封止部材2とステージ80上の基板1とを対向させる。製造装置100は、基板1を保持したステージ80のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向に関する位置を計測可能な第1計測装置81と、封止部材2を保持した搬送装置90のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向に関する位置を計測可能な第2計測装置91とを備えている。製造装置100は、第1計測装置81及び第2計測装置91を用いて、基板1及び封止部材2の位置を計測可能である。製造装置100は、第1、第2計測装置81、91の計測結果をモニタしつつ、アライメント装置50を用いて、第1領域Rと第2領域Cとを位置合わせする(ステップSP2)。
【0056】
図10は、アライメント装置50が第1領域Rと第2領域Cとを位置合わせしている様子を示す図である。アライメント装置50はCCDカメラを有しており、所定の計測領域を有している。第1領域Rに対応する基板1の下面にはマーク51が設けられている。なお、マーク51は基板1の上面の第1領域Rに設けられていてもよい。アライメント装置50のCCDカメラはステージ80の内部に設けられており、基板1の下面に設けられたマーク51を下方(−Z側)から観察可能である。また、図10(B)に示すように、封止部材2の第2領域Cの隅部において、凸部17はXY平面内においてほぼ90°に曲げられており、その90°に曲げられた部分はマークとして機能する。以下の説明においては、凸部17の所定角度に曲げられた部分を適宜、「エッジ部52」と称する。本実施形態においては、基板1は透明であるため、アライメント装置50のCCDカメラは、エッジ部52を基板1の下方からマーク51と同時に観察可能である。なお、エッジ部52は第2領域Cの4隅のそれぞれに設けられており、マーク51は4つのエッジ部52のうち少なくとも2つに対応するように設けられている。そして、アライメント装置50のCCDカメラも複数のマーク51に応じて複数設けられている。
【0057】
製造装置100は、アライメント装置50を用いて、第2領域Cの凸部17のエッジ部52と、第1領域Rのマーク51とを同時に観察する。上述のように、アライメント装置50は複数のCCDカメラを有しており、複数のCCDカメラのそれぞれの計測領域上においてマーク51の位置とエッジ部52の位置とが合致したとき、第1領域Rと第2領域Cとが所望の位置関係となるように、マーク51や凹部13、凸部14、凸部17、凹部18の位置などが予め形成されている。すなわち、アライメント装置50の計測領域上においてマーク51とエッジ部52とが合致したとき、第1領域Rの凹部13、凸部14と、第2領域Cの凸部17、凹部18とが互いに噛み合うようになっている。製造装置100は、第1、第2計測装置81、91の出力をモニタしつつ、基板1を保持したステージ80と封止部材2を保持した搬送装置90とを相対的に移動し、マーク51とエッジ部52とをアライメント装置50の計測領域上において合致させる。製造装置100は、マーク51とエッジ部52とが合致したときのステージ80及び搬送装置90の位置、すなわち第1、第2計測装置81、91の計測結果を記憶する。
【0058】
なお、ここでは凸部17のエッジ部52を用いて位置合わせを行っているが、凹部18のエッジ部(所定角度に曲げられた部分)を用いて位置合わせを行ってもよい。あるいは、凸部17や凹部18のエッジ部を用いずに、基板1及び封止部材2のそれぞれに位置合わせ用のマークを設け、これらマークを用いて第1領域Rと第2領域Cとの位置合わせを行うようにしてもよい。
【0059】
次に、図9(B)に示すように、製造装置100は、封止部材2を保持した搬送装置90を所定位置に退避させた後、塗布装置60を用いて、ステージ80上に保持されている基板1の第1領域Rに接着剤8を塗布する(ステップSP3)。
【0060】
塗布装置60は、液状体の接着剤8を定量的に吐出する液滴吐出装置を有している。液滴吐出装置としては、ディスペンサやインクジェット装置が挙げられる。塗布装置60は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向に移動可能に設けられている。塗布装置60は、ステージ80上に保持されている基板1に対して相対的に移動しつつ接着剤8を吐出することにより、基板1上に接着剤8を所定のパターンで配置(塗布)する。なお、接着剤8を基板1上に塗布するに際し、ステージ80側を移動させつつ塗布してもよいし、塗布装置60とステージ80とのそれぞれを移動させつつ塗布してもよい。
【0061】
基板1の第1領域Rに接着剤8を塗布した後、製造装置100は、第1領域Rと第2領域Cとが所望の位置関係となるように、第1、第2計測装置81、91の出力をモニタしつつ、ステージ80及び搬送装置90を移動する。上述のように、ステップSP2において、製造装置100は、アライメント装置50の計測領域上においてマーク51とエッジ部52とが合致したときのステージ80及び搬送装置90の位置、すなわち第1領域Rと第2領域Cとが所望の位置関係にあるときの第1、第2計測装置81、91の計測結果を記憶している。したがって、製造装置100は、第1、第2計測装置81、91の出力をモニタしつつ、この第1、第2計測装置81、91の出力(計測結果)と前記記憶情報とが一致するように、ステージ80及び搬送装置90の位置を調整することにより、第1領域Rと第2領域Cとを所望の位置関係にすることができる。この所望の位置関係とは、上述のように、第1領域Rの凹部13、凸部14と、第2領域Cの凹部18、凸部17とを互いに噛み合わせることができる位置関係である。
【0062】
次に、図9(C)に示すように、製造装置100は、搬送装置90に保持された封止部材2の第2領域Cと、ステージ80に保持された基板1の第1領域Rとを接近させ、基板1と封止部材2とを所定の力で押圧し、第1領域Rと第2領域Cとを接着剤8を介して貼り合わせる(ステップSP4)。製造装置100は、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせるときに、第2領域Rの凸部17のエッジ部52と第1領域Rに設けられたマーク51とを用いて、第1領域Rと第2領域Cとを位置合わせしているので、第1領域Rと第2領域Cとを所望の位置関係で良好に貼り合わせることができる。
【0063】
次いで、製造装置100は、照射装置70を用いて、接着剤8に対して所定の波長を有する光(紫外光)を照射する(ステップSP5)。なお、図9(C)においては、照射装置70は、封止部材2の上方から光を照射しており、封止部材2が透明な場合、照射装置70から射出された光を接着剤8まで到達させることができる。この場合、照射装置70から射出された光が発光素子3に照射されないように、所定位置に光を遮るマスク71を配置することができる。また、照射装置70から射出された光を光ファイバなどで接着剤8近傍まで導くようにしてもよい。また、封止部材2が不透明な場合には、照射装置70は、基板1の下方、もしくは側方から接着剤8に対して光を照射することにより、接着剤8を硬化することができる。この場合も、照射装置70から射出された光が発光素子3に照射されないように、所定位置に光を遮るマスク71を配置することができる。
【0064】
以上説明したように、第1領域R及び第2領域Cのそれぞれは、互いに異なる方向を向く複数の斜面によって構成されているので、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を得ることができる。そして、実効封止長を長くすることができるため、図1に示すように、封止部材2の側壁部の幅D1、ひいては第1、第2領域R、Cの幅D1を小さくしても、良好な封止効果を得ることができる。したがって、幅D1を小さくして、光取り出し領域の幅D2、ひいては光取り出し領域の面積を大きくすることができる。
【0065】
また、複数の斜面どうしの接続部は鈍角なので、第1領域Rに設けられた配線31の劣化を抑制することができる。また、配線31を製造するときに金属膜を第1領域R上に形成するときも、成膜ムラなどの不都合を防止しつつ成膜することができる。
【0066】
また、第1、第2領域R、Cは、斜面11、12、15、16によって形成されたV溝状の凹部13、18を有しているので、図8を参照して説明したように、凹部13、18を深く彫り込むこと無く、斜面の上部と下部との距離L2を小さくすることができる。したがって、配線31をパターニングする際、配線31を円滑に形成することができる。
【0067】
また、第1、第2領域R、Cに互いに噛み合う凹部13、18及び凸部14、17を設けたので、基板1と封止部材2との位置ずれを防止し、良好な封止効果を得ることができる。また、凹部13、18及び凸部14、17は発光素子3を囲むように環状に形成されているため、発光素子3を囲む周方向のいずれの方向においても良好な封止効果を得ることができる。更に、凹部13、18及び凸部14、17は複数同心状に設けられており、第1斜面11(第3斜面15)と第2斜面12(第4斜面16)とは封止空間K1と外部空間K2との間において、外部空間K2から内部空間K1に向かって交互に並んで設けられているので、より一層高い封止効果を得ることができる。
【0068】
なお、本実施形態において、接着剤8は基板1の第1領域Rに塗布される構成であるが、封止部材2の第2領域Cに接着剤8を塗布してから基板1と封止部材2とを貼り合わせてもよいし、第1領域R及び第2領域Cのそれぞれに接着剤8を塗布してもよい。
【0069】
なお、本実施形態においては、搬送装置90が封止基板2を保持して基板1に対して押圧する構成であるが、ステージ80が基板1を保持して封止基板2に対して押圧する構成とすることももちろん可能である。
【0070】
なお、本実施形態においては、接着剤8として光硬化性接着剤を用いているが、基板1と封止部材2とを接着可能な接着剤であればよく、熱硬化性接着剤、あるいはEB(エレクトロンビーム)硬化性接着剤などを用いることも可能である。
【0071】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図11を参照して説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については説明を簡略若しくは省略する。図11に示すように、第1斜面11と第2斜面12との接続部は断面視円弧状であってもよい。こうすることによっても、第1領域R又は第2領域Cに設けられた配線31の劣化を抑制しつつ、良好な封止効果を得ることができる。
【0072】
なお、本実施形態において、第1斜面11と第2斜面12との複数の接続部において、鈍角の接続部と円弧状の接続部とが混在していてもよい。
【0073】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図12を参照して説明する。図12に示すように、第1領域Rは、第1斜面11と第2斜面12との間に、XY平面とほぼ平行な平坦面19を有している。第2領域Cも、第1領域Rと対応するように、第3斜面15と第4斜面16との間に平坦面19’を有している。この場合においても、第1斜面11と平坦面19との接続部、及び第2斜面12と平坦面19との接続部は鈍角に形成されている。同様に、第3斜面15と平坦面19’との接続部、及び第4斜面16と平坦面19’との接続部は鈍角に形成されている。こうすることによっても、第1領域R又は第2領域Cに設けられた配線31の劣化を抑制しつつ、良好な封止効果を得ることができる。
【0074】
なお、本実施形態において、第1斜面11と平坦面19との接続部、及び第2斜面12と平坦面19との接続部は円弧状であってもよいし、第3斜面15と平坦面19’との接続部、及び第4斜面16と平坦面19’との接続部は円弧状であってもよい。また、鈍角の接続部と円弧状の接続部とが混在していてもよい。
【0075】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図13を参照して説明する。図13に示すように、第1領域R及び第2領域Cのそれぞれは、複数の凹部及び凸部を有する曲面状に形成されている。こうすることによっても、第1領域R又は第2領域Cに設けられた配線31の劣化を抑制しつつ、良好な封止効果を得ることができる。
【0076】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図14を参照して説明する。図14において、第1領域Rは、X軸方向(又はY軸方向)に対して傾斜方向に沿って設けられたV溝状の凹部13を有している。また、第2領域Cは、第1領域Rの凹部13と噛み合う複数の凸部を有している。こうすることによっても、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を得ることができる。また、第1領域R上に配線31を良好に設けることができる。
【0077】
なお、上記第1〜第5実施形態においては、第1領域Rのほぼ全域に凹部(凸部)が設けられ、第2領域Cのほぼ全域に凸部(凹部)が設けられ、第1領域Rと第2領域Cとはほぼ全域にわたって噛み合っているが、第1領域Rの一部に凹部(凸部)を設け、第2領域Cの一部に凸部(凹部)を設ける構成であってもよい。そして、第1領域Rと第2領域Cとが噛み合う領域は、第1、第2領域R、Cの一部であってもよい。
【0078】
<電子機器>
次に、上記実施の形態の有機EL装置Sを備えた電子機器の例について説明する。
図15(A)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図15(A)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
【0079】
図15(B)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図15(B)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
【0080】
図15(C)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図15(C)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
【0081】
図15(A)〜(C)に示す電子機器は、上記実施の形態の有機EL装置Sを備えているので、高寿命の有機EL表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0082】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0083】
例えば、上記実施形態では、発光素子3の発光が基板1を介して外面側に射出される形式、所謂ボトム・エミッションの例を用いて説明したが、発光素子3の発光が基板1と逆側の陰極7側から封止部材2を介して射出される形式、所謂トップ・エミッションであっても適用可能である。この場合、封止部材2や陰極7としては、光の取り出しが可能な透明あるいは半透明材料が用いられる。
【0084】
また、本発明の有機EL装置は、図15に示した表示装置に用いられるばかりでなく、感光体に光を照射する光書き込みヘッドのような発光装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置を示す要部断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】図1のA−A線断面矢視図である。
【図4】基板の第1領域を模式的に示す斜視図である。
【図5】有機EL装置の製造方法を説明するためのフローチャート図である。
【図6】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図7】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図8】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図9】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図10】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図11】第2実施形態に係る有機EL装置を示す要部拡大断面図である。
【図12】第3実施形態に係る有機EL装置を示す要部拡大断面図である。
【図13】第4実施形態に係る有機EL装置を示す要部拡大断面図である。
【図14】第5実施形態に係る基板の第1領域を模式的に示す斜視図である。
【図15】有機EL装置を備えた電子機器の一例を示す図であり、(A)は携帯電話、(B)は腕時計型電子機器、(C)は携帯型情報処理装置のそれぞれ斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
1…基板(第1部材)、2…封止部材(第2部材)、3…発光素子、11…第1斜面、12…第2斜面、13…凹部、14…凸部、15…第3斜面、16…第4斜面、17…凸部、18…凹部、19、19’…平坦面、C…第2領域、K1…封止空間、K2…外部空間、R…第1領域、S…有機EL装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL:electroluminescence)装置及びその製造方法、並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、発光物質を含む発光層を陽極及び陰極の電極層で挟んだ構成の発光素子を有しており、陽極側から注入された正孔と、陰極側から注入された電子とを発光能を有する発光層内で再結合し、励起状態から失括する際に発光する現象を利用して、光を射出する。発光素子は大気中の水分によって劣化し易いため、有機EL装置においては、発光素子を大気から保護するために封止することが行われている。下記特許文献1には封止に関する技術の一例が開示されている。
【特許文献1】特開2001−210464号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の技術は、基板と封止部材との貼り合わせ領域に凹部及び凸部を設け、これら凹部と凸部とを噛み合わせる構成である。これによれば、発光素子が設けられた封止空間とその封止空間の外側の外部空間との間の気体(空気)が通る流路の実質的な距離(実効封止長)を大きくすることができるため、封止効果を高めることができる。ところが、封止空間に設けられた発光素子とその封止空間の外側の外部空間に設けられた外部素子とを接続する配線の一部が基板と封止部材との貼り合わせ領域に設けられる場合、基板と封止部材との貼り合わせ領域に鋭利な角部があると、角部によって配線が劣化し易くなる可能性がある。また、配線を形成するときには、例えば蒸着やスパッタリングなどの所定の手法で基板上にアルミニウム等の金属膜を成膜し、その後、所定の手法を用いてパターニングするが、角部が鋭利であると、角部において金属膜を円滑に成膜することが困難となる可能性がある。また、角部が鋭利で凹部又は凸部の段差が大きいと、パターニングを円滑に行うことができなくなる可能性もある。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、良好な封止効果を得られるとともに、発光素子に接続される配線を良好且つ円滑に設けることができる有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法、並びに電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置は、第1部材と、前記第1部材上に形成された発光素子と、前記第1部材の第1領域と貼り合わせられる第2領域を有し、前記第1部材との間で前記発光素子を封止する封止空間を形成する第2部材とを備え、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは互いに異なる方向を向く複数の面を有し、前記複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状であることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、第1領域及び第2領域のそれぞれは、互いに異なる方向を向く複数の面によって構成されているので、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を得ることができる。また、複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状なので、第1領域又は第2領域に設けられた配線の劣化を抑制することができる。
ここで、「実効封止長」とは、発光素子が設けられた封止空間とその封止空間の外側の外部空間との間の気体が通る流路の実質的な距離(長さ)であって、第1領域と第2領域との間において封止空間と外部空間とを最短距離で結ぶ直線に沿う流路の総延長を意味する。換言すれば、第1領域と第2領域との間で形成される流路の断面視における総延長を意味する。実効封止長が大きければ、封止空間と外部空間との間の流路も長くなり、第1領域と第2領域との間に設けられる接着剤の量も多くなるため、良好な封止効果を得ることができる。
【0007】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記第1領域及び前記第2領域の一方は、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを有する構成を採用することができる。
【0008】
これによれば、第1、第2領域に設けられる複数の面は、第1、第2斜面を含んで構成されるので、第1、第2斜面によって形成される段差の上部と下部との距離を小さくすることができる。したがって、第1、第2領域に配線を円滑に形成することができる。
【0009】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を有し、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせた状態において前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記凹部及び前記凸部が形成されている構成を採用することができる。
【0010】
これによれば、第1、第2領域に互いに噛み合う凹部及び凸部を設けたので、第1部材と第2部材との位置ずれを防止し、良好な封止効果を得ることができる。
【0011】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記凹部又は前記凸部は前記発光素子を囲むように環状に形成されている構成を採用することができる。
【0012】
これによれば、発光素子を囲む周方向のいずれの方向においても良好な封止効果を得ることができる。
【0013】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置において、前記凹部又は前記凸部は複数同心状に設けられている構成を採用することができる。
【0014】
これによれば、更に高い封止効果を得ることができる。
【0015】
本発明の電子機器は、上記記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えたことを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、発光素子を良好に封止し、配線の劣化を防止できるので、高性能の電子機器を提供することができる。
【0017】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、第1部材の第1領域及び第2部材の第2領域のそれぞれに、互いに異なる方向を向く複数の面を形成する工程と、前記第1部材の前記第1領域と前記第2部材の前記第2領域とを貼り合わせ、前記第1部材と前記第2部材との間に発光素子を封止するための封止空間を形成する工程とを有し、前記複数の面どうしの接続部を鈍角又は円弧状に形成することを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、第1領域及び第2領域のそれぞれは、互いに異なる方向を向く複数の面によって構成されているので、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を有する有機EL装置を製造することができる。また、複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状なので、第1領域又は第2領域に配線を円滑に形成することができる。
【0019】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1領域及び前記第2領域の一方に、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを形成する構成を採用することができる。
【0020】
これによれば、第1、第2斜面によって形成される段差の上部と下部との距離を小さくすることができ、第1、第2領域に配線を円滑に形成することができる。
【0021】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせたとき、前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれに、前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を設ける構成を採用することができる。
【0022】
これによれば、第1、第2領域に互いに噛み合う凹部及び凸部を設けることにより、第1部材と第2部材との位置ずれを防止しつつ、第1領域と第2領域を貼り合わせることができ、良好な封止効果を得ることができる。
【0023】
本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法において、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせるときに、前記第1領域及び前記第2領域の一方の前記凹部又は前記凸部のエッジ部と、他方に設けられたマークとを用いて、前記第1領域と前記第2領域とを位置合わせする構成を採用することができる。
【0024】
これによれば、複数の面を有する第1領域と第2領域とを所望の位置関係で良好に貼り合わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内における所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。更には、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。
【0026】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態に係る有機EL装置の要部断面図である。図1において、有機EL装置Sは、基板(第1部材)1と、基板1上に設けられた発光素子3と、基板1との間で発光素子3を封止する封止空間K1を形成する封止部材(第2部材)2とを備えている。封止部材2は断面視下向きコ字状に形成されている。封止部材2は、基板1の第1領域Rと対向し、第1領域Rと貼り合わせられる第2領域Cを有している。第1領域Rは、基板1の上面のうち発光素子3が設けられている部分の外側に設定されている。第2領域Cは、封止部材2の下端面に設定されている。そして、第1領域Rと第2領域Cとが接着剤8を介して貼り合わせられることによって、平板状の基板1と封止部材2との間で発光素子3を封止する封止空間K1が形成される。
【0027】
発光素子3は、基板1上に形成された陽極4と、正孔輸送層5と、発光層6と、陰極7とを備えている。封止空間K1に設けられた発光素子3の陽極4と、封止空間K1の外側の外部空間K2に設けられた駆動素子30とは配線31を介して電気的に接続されている。また、不図示ではあるが、封止空間K1に設けられた発光素子3の陰極7と、外部空間K2に設けられた駆動素子30とも配線31を介して電気的に接続されている。駆動素子30は基板1上に設けられており、配線31の一部は基板1上に設けられている。また、封止空間K1にはゲッター剤と呼ばれる乾燥剤9が設けられている。乾燥剤9により、封止空間K1に配置されている発光素子3の水分による劣化が抑制される。
【0028】
図2は第1領域R及び第2領域C近傍を示す要部拡大断面図、図3は図1のA−A線断面矢視図、図4は封止空間K1の−X側の第1領域Rを示す斜視図である。これらの図に示すように、第1領域Rは、互いに異なる方向を向く複数の面11、12を有している。第1領域Rは、第2領域Cと対向しており、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第2領域Cに対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面11と、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第2領域Cに対して漸次近づくように傾斜する第2斜面12とを有している。そして、第1斜面11の下部(−Z側端部)及び第2斜面12の下部(−Z側端部)において凹部13が形成され、第1斜面11の上部(+Z側端部)及び第2斜面12の上部(+Z側端部)において凸部14が形成されている。換言すれば、凹部13及び凸部14によって、互いに異なる方向を向く第1、第2斜面11、12が形成されている。
【0029】
第2領域Cも、互いに異なる方向を向く複数の面15、16を有している。第2領域Cは、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第1領域Rに対して漸次近づくように傾斜する第3斜面15と、封止空間K1から外部空間K2に向かうにつれて第1領域Rに対して漸次遠ざかるように傾斜する第4斜面16とを有している。そして、第3斜面15の下部(−Z側端部)及び第4斜面16の下部(−Z側端部)において下方(−Z方向)に突出する凸部17が形成され、第3斜面15の上部(+Z側端部)及び第4斜面16の上部(+Z側端部)において凹部18が形成されている。換言すれば、凸部17及び凹部18によって、互いに異なる方向を向く第3、第4斜面15、16が形成されている。
【0030】
第1領域Rの斜面11、12と、第2領域Cの斜面15、16とは対応するように設けられており、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせたとき、斜面11、12と斜面15、16とは互いに対向し、且つほぼ平行となるように設けられている。すなわち、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせた状態において、第1領域Rと第2領域Cとが互いに噛み合うように、凹部13、凸部14、及び凸部17、凹部18のそれぞれが形成されている。具体的には、第1領域Rの凸部14と第2領域Cの凹部18とが噛み合い、第1領域Rの凹部13と第2領域Cの凸部17とが噛み合っている。
【0031】
そして、第1斜面11の下部と第2斜面12の下部との接続部は、断面視において鈍角となっている。また、第1斜面11の上部と第2斜面12の上部との接続部は、断面視において鈍角となっている。
【0032】
同様に、第3斜面15の上部と第4斜面16の上部との接続部は、断面視において鈍角となっている。また、第3斜面15の下部と第4斜面16の下部との接続部は、断面視において鈍角となっている。
【0033】
図3に示すように、第1領域Rの凹部13は、発光素子3(封止空間K1)を囲むように環状に形成されている。また、凸部14も、発光素子3(封止空間K1)を囲むように環状に形成されている。本実施形態においては、凹部13及び凸部14は、XY平面に対して垂直な方向から見たとき、矩形状の環状に形成されている。更に、凹部13及び凸部14のそれぞれは複数同心状に設けられている。すなわち、第1斜面11と第2斜面12とが、封止空間K1と外部空間K2との間で交互に設けられている。本実施形態においては、凹部13は3つ同心状に設けられ、凸部14は2つ同心状に設けられている。
【0034】
また、第2領域Cの凸部17及び凹部18は、第1領域Rの凹部13及び凸部14に対応して設けられ、凹部13及び凸部14と噛み合うように設けられており、発光素子3(封止空間K1)を囲むように環状に設けられ、複数同心状に設けられている。すなわち、第3斜面15と第4斜面16とが、封止空間K1と外部空間K2との間で交互に設けられている。
【0035】
本実施形態の有機EL装置Sは、発光素子3からの発光を基板1側から装置外部に取り出す形態、所謂ボトム・エミッションである。基板1は、光を透過可能な透明あるいは半透明材料、例えば、透明なガラス、石英、サファイア、あるいはポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などによって形成されている。
【0036】
陽極4は、印加された電圧によって正孔を正孔輸送層5に注入するものであり、例えば、ITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)などの透明導電膜により形成されている。
【0037】
正孔輸送層5は、陽極4の正孔を発光層6に輸送・注入するためのものであり、公知の材料を用いることができる。例えば、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリピロールなどを用いることができる。更に具体的には、3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)などを用いることができる。
【0038】
発光層6は、陽極4から正孔輸送層5を経て注入された正孔と、陰極7からの注入された電子とを結合して蛍光を発生させる機能を有する。発光層6を形成する材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料を用いることができる。例えば、ポリフルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などを用いることができる。
【0039】
また、発光層6と陰極7との間に電子輸送層を設けてもよい。電子輸送層は、発光層6に電子を注入する役割を果たすものである。電子輸送層を形成する材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン及びその誘導体、ベンゾキノン及びその誘導体、ナフトキノン及びその誘導体、アントラキノン及びその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタン及びその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン及びその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリン及びその誘導体の金属錯体などを用いることができる。
【0040】
陰極7は、発光層6へ効率的に電子注入を行うことができる仕事関数の低い金属、例えばアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)又はカルシウム(Ca)等の金属材料から形成されている。
【0041】
そして、駆動素子30が配線31を介して発光素子3に駆動信号を供給すると、陽極4と陰極7との間に電流が流れ、発光素子3が発光して透明な基板1の外面側に光が射出される。
【0042】
封止部材2は、外部空間K2から封止空間K1に対して大気が侵入するのを遮断するものであって、ガラスや石英、合成樹脂、あるいは金属など水分透過率の小さい材料によって形成されている。ガラスとしては、例えば、ソーダ石灰ガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラスなどを用いることができる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルケトンなどの透明な合成樹脂などを用いることができる。金属としては、アルミニウムやステンレス等を用いることができる。
【0043】
乾燥剤9としては、シリカゲル、ゼオライト、活性炭、酸化カルシウム、酸化ゲルマニウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、五酸化リン、塩化カルシウムなどを用いることができる。
【0044】
接着剤8は、ロ字状に設定された第1領域R(又は第2領域C)の全域に設けられる。接着剤8としては、安定した接着強度を維持することができ、気密性が良好なものであれば特に限定されない。本実施形態の接着剤8には、紫外光(UV)の照射により硬化する光硬化性エポキシ樹脂が用いられている。
【0045】
次に、上述した構成を有する有機EL装置Sを製造する方法について、図5のフローチャート図、及び図6〜図10に示す模式図を参照しながら説明する。
【0046】
以下で説明する製造工程は、基板1の第1領域R及び封止部材2の第2領域Cのそれぞれを加工する加工装置40と、基板1を支持可能なステージ80と、基板1の第1領域Rと封止部材2の第2領域Cとを位置合わせするアライメント装置50と、基板1に対して接着剤8を塗布可能な塗布装置60と、所定の波長を有する光を射出可能な照射装置70とを備えた製造装置100によって行われる。また、以下で説明する製造工程の一部は、光学素子3の劣化を防ぐために、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気下で行われる。
【0047】
まず、製造装置100は、加工装置40を用いて、基板1の第1領域Rに、互いに異なる方向を向く第1、第2斜面11、12を形成して凹部13及び凸部14を形成する(ステップSP1)。
【0048】
図6は加工装置40によって基板1の第1領域Rに凹部13及び凸部14が形成される様子を示す図である。本実施形態の加工装置40は、所望の形状を有するモールド(型)41を備えたナノインプリント装置を有している。まず、図6(A)に示すように、加工装置40は、モールド41と基板1とを、基板1のガラス転移温度以上に加熱する。次いで、図6(B)に示すように、加工装置40は、モールド41を基板1に押し付け、一定時間保持する。その後、図6(C)に示すように、加工装置40は、モールド41と基板1とを、基板1のガラス転移温度以下に冷却し、モールド41と基板1とを離す。これにより、基板1の第1領域Rに、所望の形状を有する凹部13及び凸部14が形成される。製造装置100は、加工装置40を用いて、第1斜面11と第2斜面12との接続部を鈍角に形成する。
【0049】
なお、加工装置40は、マイクロブラスト装置を有していてもよい。マイクロブラスト装置は、図7の模式図に示すように、圧縮空気等のキャリアガスにより加速された微細な砥粒43をノズル42から噴出させ、基板1に衝突させることにより、加工を行うものである。
【0050】
なお、基板1に対して凹部13及び凸部14を形成する方法としては、上述の方法に限られず、例えば、エッチング法、レーザ加工法、掘削法など公知のあらゆる方法を用いることができる。
【0051】
同様に、加工装置40は、封止部材2の下端面に設定された第2領域Cを加工し、この第2領域Cに凸部17及び凹部18を形成する。製造装置100は、加工装置40を用いて、第3斜面15と第4斜面16との接続部を鈍角に形成する。また、製造装置100は、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせたとき、第1領域Rと第2領域Cとが互いに噛み合うように、凹部13及び凸部14、並びに凸部17及び凹部18のそれぞれを形成する。
【0052】
次に、製造装置100は、基板1上に配線31を形成する。配線31を形成する場合、製造装置100は、例えば蒸着やスパッタリングなどの所定の手法で基板1上にアルミニウム等の金属膜を成膜する。第1領域Rの第1斜面11と第2斜面12との接続部は鈍角なので、金属膜は第1領域Rにおいてムラ無く形成される。
【0053】
次いで、製造装置100は、フォトリソグラフィ法などの所定の手法を用いて金属膜をパターニングする。図8(A)の模式図に示すように、第1領域Rに設けられた角部が鋭利で凹部(又は凸部)の段差が大きく、段差の上部と下部との距離L1が大きいと、例えばフォトリソグラフィ法で使用される投影レンズの焦点深度内に段差の上部と下部とを一緒におさめることが困難となり、パターニングを円滑に行うことができなくなる可能性がある。ところが、本実施形態では、図8(B)の模式図に示すように、第1領域Rは第1斜面11及び第2斜面12を含んで構成されるので、第1、第2斜面11、12の上部と下部との距離L2、すなわち段差の上部と下部との距離L2を小さくすることができる。したがって、パターニングを円滑に行うことができる。こうして、図4に示したように、配線31の一部が第1領域Rに形成される。
【0054】
次に、製造装置100は、基板1上に陽極4及び陰極7を含む発光素子3を設けた後、図9(A)に示すように、発光素子3を備えた基板1をステージ80上に載置する。ステージ80は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向のそれぞれに移動可能となっている。ステージ80は、例えば真空チャック等によって基板1を保持する。
【0055】
また、製造装置100は、所定の搬送装置90を用いて、封止部材2をステージ80近傍まで搬送する。搬送装置90は、封止部材2とステージ80上の基板1とを対向させる。製造装置100は、基板1を保持したステージ80のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向に関する位置を計測可能な第1計測装置81と、封止部材2を保持した搬送装置90のX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向に関する位置を計測可能な第2計測装置91とを備えている。製造装置100は、第1計測装置81及び第2計測装置91を用いて、基板1及び封止部材2の位置を計測可能である。製造装置100は、第1、第2計測装置81、91の計測結果をモニタしつつ、アライメント装置50を用いて、第1領域Rと第2領域Cとを位置合わせする(ステップSP2)。
【0056】
図10は、アライメント装置50が第1領域Rと第2領域Cとを位置合わせしている様子を示す図である。アライメント装置50はCCDカメラを有しており、所定の計測領域を有している。第1領域Rに対応する基板1の下面にはマーク51が設けられている。なお、マーク51は基板1の上面の第1領域Rに設けられていてもよい。アライメント装置50のCCDカメラはステージ80の内部に設けられており、基板1の下面に設けられたマーク51を下方(−Z側)から観察可能である。また、図10(B)に示すように、封止部材2の第2領域Cの隅部において、凸部17はXY平面内においてほぼ90°に曲げられており、その90°に曲げられた部分はマークとして機能する。以下の説明においては、凸部17の所定角度に曲げられた部分を適宜、「エッジ部52」と称する。本実施形態においては、基板1は透明であるため、アライメント装置50のCCDカメラは、エッジ部52を基板1の下方からマーク51と同時に観察可能である。なお、エッジ部52は第2領域Cの4隅のそれぞれに設けられており、マーク51は4つのエッジ部52のうち少なくとも2つに対応するように設けられている。そして、アライメント装置50のCCDカメラも複数のマーク51に応じて複数設けられている。
【0057】
製造装置100は、アライメント装置50を用いて、第2領域Cの凸部17のエッジ部52と、第1領域Rのマーク51とを同時に観察する。上述のように、アライメント装置50は複数のCCDカメラを有しており、複数のCCDカメラのそれぞれの計測領域上においてマーク51の位置とエッジ部52の位置とが合致したとき、第1領域Rと第2領域Cとが所望の位置関係となるように、マーク51や凹部13、凸部14、凸部17、凹部18の位置などが予め形成されている。すなわち、アライメント装置50の計測領域上においてマーク51とエッジ部52とが合致したとき、第1領域Rの凹部13、凸部14と、第2領域Cの凸部17、凹部18とが互いに噛み合うようになっている。製造装置100は、第1、第2計測装置81、91の出力をモニタしつつ、基板1を保持したステージ80と封止部材2を保持した搬送装置90とを相対的に移動し、マーク51とエッジ部52とをアライメント装置50の計測領域上において合致させる。製造装置100は、マーク51とエッジ部52とが合致したときのステージ80及び搬送装置90の位置、すなわち第1、第2計測装置81、91の計測結果を記憶する。
【0058】
なお、ここでは凸部17のエッジ部52を用いて位置合わせを行っているが、凹部18のエッジ部(所定角度に曲げられた部分)を用いて位置合わせを行ってもよい。あるいは、凸部17や凹部18のエッジ部を用いずに、基板1及び封止部材2のそれぞれに位置合わせ用のマークを設け、これらマークを用いて第1領域Rと第2領域Cとの位置合わせを行うようにしてもよい。
【0059】
次に、図9(B)に示すように、製造装置100は、封止部材2を保持した搬送装置90を所定位置に退避させた後、塗布装置60を用いて、ステージ80上に保持されている基板1の第1領域Rに接着剤8を塗布する(ステップSP3)。
【0060】
塗布装置60は、液状体の接着剤8を定量的に吐出する液滴吐出装置を有している。液滴吐出装置としては、ディスペンサやインクジェット装置が挙げられる。塗布装置60は、X軸、Y軸、Z軸、θX、θY、θZ方向に移動可能に設けられている。塗布装置60は、ステージ80上に保持されている基板1に対して相対的に移動しつつ接着剤8を吐出することにより、基板1上に接着剤8を所定のパターンで配置(塗布)する。なお、接着剤8を基板1上に塗布するに際し、ステージ80側を移動させつつ塗布してもよいし、塗布装置60とステージ80とのそれぞれを移動させつつ塗布してもよい。
【0061】
基板1の第1領域Rに接着剤8を塗布した後、製造装置100は、第1領域Rと第2領域Cとが所望の位置関係となるように、第1、第2計測装置81、91の出力をモニタしつつ、ステージ80及び搬送装置90を移動する。上述のように、ステップSP2において、製造装置100は、アライメント装置50の計測領域上においてマーク51とエッジ部52とが合致したときのステージ80及び搬送装置90の位置、すなわち第1領域Rと第2領域Cとが所望の位置関係にあるときの第1、第2計測装置81、91の計測結果を記憶している。したがって、製造装置100は、第1、第2計測装置81、91の出力をモニタしつつ、この第1、第2計測装置81、91の出力(計測結果)と前記記憶情報とが一致するように、ステージ80及び搬送装置90の位置を調整することにより、第1領域Rと第2領域Cとを所望の位置関係にすることができる。この所望の位置関係とは、上述のように、第1領域Rの凹部13、凸部14と、第2領域Cの凹部18、凸部17とを互いに噛み合わせることができる位置関係である。
【0062】
次に、図9(C)に示すように、製造装置100は、搬送装置90に保持された封止部材2の第2領域Cと、ステージ80に保持された基板1の第1領域Rとを接近させ、基板1と封止部材2とを所定の力で押圧し、第1領域Rと第2領域Cとを接着剤8を介して貼り合わせる(ステップSP4)。製造装置100は、第1領域Rと第2領域Cとを貼り合わせるときに、第2領域Rの凸部17のエッジ部52と第1領域Rに設けられたマーク51とを用いて、第1領域Rと第2領域Cとを位置合わせしているので、第1領域Rと第2領域Cとを所望の位置関係で良好に貼り合わせることができる。
【0063】
次いで、製造装置100は、照射装置70を用いて、接着剤8に対して所定の波長を有する光(紫外光)を照射する(ステップSP5)。なお、図9(C)においては、照射装置70は、封止部材2の上方から光を照射しており、封止部材2が透明な場合、照射装置70から射出された光を接着剤8まで到達させることができる。この場合、照射装置70から射出された光が発光素子3に照射されないように、所定位置に光を遮るマスク71を配置することができる。また、照射装置70から射出された光を光ファイバなどで接着剤8近傍まで導くようにしてもよい。また、封止部材2が不透明な場合には、照射装置70は、基板1の下方、もしくは側方から接着剤8に対して光を照射することにより、接着剤8を硬化することができる。この場合も、照射装置70から射出された光が発光素子3に照射されないように、所定位置に光を遮るマスク71を配置することができる。
【0064】
以上説明したように、第1領域R及び第2領域Cのそれぞれは、互いに異なる方向を向く複数の斜面によって構成されているので、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を得ることができる。そして、実効封止長を長くすることができるため、図1に示すように、封止部材2の側壁部の幅D1、ひいては第1、第2領域R、Cの幅D1を小さくしても、良好な封止効果を得ることができる。したがって、幅D1を小さくして、光取り出し領域の幅D2、ひいては光取り出し領域の面積を大きくすることができる。
【0065】
また、複数の斜面どうしの接続部は鈍角なので、第1領域Rに設けられた配線31の劣化を抑制することができる。また、配線31を製造するときに金属膜を第1領域R上に形成するときも、成膜ムラなどの不都合を防止しつつ成膜することができる。
【0066】
また、第1、第2領域R、Cは、斜面11、12、15、16によって形成されたV溝状の凹部13、18を有しているので、図8を参照して説明したように、凹部13、18を深く彫り込むこと無く、斜面の上部と下部との距離L2を小さくすることができる。したがって、配線31をパターニングする際、配線31を円滑に形成することができる。
【0067】
また、第1、第2領域R、Cに互いに噛み合う凹部13、18及び凸部14、17を設けたので、基板1と封止部材2との位置ずれを防止し、良好な封止効果を得ることができる。また、凹部13、18及び凸部14、17は発光素子3を囲むように環状に形成されているため、発光素子3を囲む周方向のいずれの方向においても良好な封止効果を得ることができる。更に、凹部13、18及び凸部14、17は複数同心状に設けられており、第1斜面11(第3斜面15)と第2斜面12(第4斜面16)とは封止空間K1と外部空間K2との間において、外部空間K2から内部空間K1に向かって交互に並んで設けられているので、より一層高い封止効果を得ることができる。
【0068】
なお、本実施形態において、接着剤8は基板1の第1領域Rに塗布される構成であるが、封止部材2の第2領域Cに接着剤8を塗布してから基板1と封止部材2とを貼り合わせてもよいし、第1領域R及び第2領域Cのそれぞれに接着剤8を塗布してもよい。
【0069】
なお、本実施形態においては、搬送装置90が封止基板2を保持して基板1に対して押圧する構成であるが、ステージ80が基板1を保持して封止基板2に対して押圧する構成とすることももちろん可能である。
【0070】
なお、本実施形態においては、接着剤8として光硬化性接着剤を用いているが、基板1と封止部材2とを接着可能な接着剤であればよく、熱硬化性接着剤、あるいはEB(エレクトロンビーム)硬化性接着剤などを用いることも可能である。
【0071】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について図11を参照して説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については説明を簡略若しくは省略する。図11に示すように、第1斜面11と第2斜面12との接続部は断面視円弧状であってもよい。こうすることによっても、第1領域R又は第2領域Cに設けられた配線31の劣化を抑制しつつ、良好な封止効果を得ることができる。
【0072】
なお、本実施形態において、第1斜面11と第2斜面12との複数の接続部において、鈍角の接続部と円弧状の接続部とが混在していてもよい。
【0073】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について図12を参照して説明する。図12に示すように、第1領域Rは、第1斜面11と第2斜面12との間に、XY平面とほぼ平行な平坦面19を有している。第2領域Cも、第1領域Rと対応するように、第3斜面15と第4斜面16との間に平坦面19’を有している。この場合においても、第1斜面11と平坦面19との接続部、及び第2斜面12と平坦面19との接続部は鈍角に形成されている。同様に、第3斜面15と平坦面19’との接続部、及び第4斜面16と平坦面19’との接続部は鈍角に形成されている。こうすることによっても、第1領域R又は第2領域Cに設けられた配線31の劣化を抑制しつつ、良好な封止効果を得ることができる。
【0074】
なお、本実施形態において、第1斜面11と平坦面19との接続部、及び第2斜面12と平坦面19との接続部は円弧状であってもよいし、第3斜面15と平坦面19’との接続部、及び第4斜面16と平坦面19’との接続部は円弧状であってもよい。また、鈍角の接続部と円弧状の接続部とが混在していてもよい。
【0075】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について図13を参照して説明する。図13に示すように、第1領域R及び第2領域Cのそれぞれは、複数の凹部及び凸部を有する曲面状に形成されている。こうすることによっても、第1領域R又は第2領域Cに設けられた配線31の劣化を抑制しつつ、良好な封止効果を得ることができる。
【0076】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について図14を参照して説明する。図14において、第1領域Rは、X軸方向(又はY軸方向)に対して傾斜方向に沿って設けられたV溝状の凹部13を有している。また、第2領域Cは、第1領域Rの凹部13と噛み合う複数の凸部を有している。こうすることによっても、実効封止長を大きくすることができ、良好な封止効果を得ることができる。また、第1領域R上に配線31を良好に設けることができる。
【0077】
なお、上記第1〜第5実施形態においては、第1領域Rのほぼ全域に凹部(凸部)が設けられ、第2領域Cのほぼ全域に凸部(凹部)が設けられ、第1領域Rと第2領域Cとはほぼ全域にわたって噛み合っているが、第1領域Rの一部に凹部(凸部)を設け、第2領域Cの一部に凸部(凹部)を設ける構成であってもよい。そして、第1領域Rと第2領域Cとが噛み合う領域は、第1、第2領域R、Cの一部であってもよい。
【0078】
<電子機器>
次に、上記実施の形態の有機EL装置Sを備えた電子機器の例について説明する。
図15(A)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図15(A)において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
【0079】
図15(B)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図15(B)において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
【0080】
図15(C)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図15(C)において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の有機EL装置Sを用いた表示部を示している。
【0081】
図15(A)〜(C)に示す電子機器は、上記実施の形態の有機EL装置Sを備えているので、高寿命の有機EL表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0082】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0083】
例えば、上記実施形態では、発光素子3の発光が基板1を介して外面側に射出される形式、所謂ボトム・エミッションの例を用いて説明したが、発光素子3の発光が基板1と逆側の陰極7側から封止部材2を介して射出される形式、所謂トップ・エミッションであっても適用可能である。この場合、封止部材2や陰極7としては、光の取り出しが可能な透明あるいは半透明材料が用いられる。
【0084】
また、本発明の有機EL装置は、図15に示した表示装置に用いられるばかりでなく、感光体に光を照射する光書き込みヘッドのような発光装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置を示す要部断面図である。
【図2】図1の要部拡大断面図である。
【図3】図1のA−A線断面矢視図である。
【図4】基板の第1領域を模式的に示す斜視図である。
【図5】有機EL装置の製造方法を説明するためのフローチャート図である。
【図6】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図7】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図8】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図9】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図10】有機EL装置の製造方法を説明するための模式図である。
【図11】第2実施形態に係る有機EL装置を示す要部拡大断面図である。
【図12】第3実施形態に係る有機EL装置を示す要部拡大断面図である。
【図13】第4実施形態に係る有機EL装置を示す要部拡大断面図である。
【図14】第5実施形態に係る基板の第1領域を模式的に示す斜視図である。
【図15】有機EL装置を備えた電子機器の一例を示す図であり、(A)は携帯電話、(B)は腕時計型電子機器、(C)は携帯型情報処理装置のそれぞれ斜視図である。
【符号の説明】
【0086】
1…基板(第1部材)、2…封止部材(第2部材)、3…発光素子、11…第1斜面、12…第2斜面、13…凹部、14…凸部、15…第3斜面、16…第4斜面、17…凸部、18…凹部、19、19’…平坦面、C…第2領域、K1…封止空間、K2…外部空間、R…第1領域、S…有機EL装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材上に形成された発光素子と、
前記第1部材の第1領域と貼り合わせられる第2領域を有し、前記第1部材との間で前記発光素子を封止する封止空間を形成する第2部材とを備え、
前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは互いに異なる方向を向く複数の面を有し、
前記複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状である有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域の一方は、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを有する請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を有し、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせた状態において前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記凹部及び前記凸部が形成されている請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
前記凹部又は前記凸部は前記発光素子を囲むように環状に形成されている請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
前記凹部又は前記凸部は複数同心状に設けられている請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた電子機器。
【請求項7】
第1部材の第1領域及び第2部材の第2領域のそれぞれに、互いに異なる方向を向く複数の面を形成する工程と、
前記第1部材の前記第1領域と前記第2部材の前記第2領域とを貼り合わせ、前記第1部材と前記第2部材との間に発光素子を封止するための封止空間を形成する工程とを有し、
前記複数の面どうしの接続部を鈍角又は円弧状に形成する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1領域及び前記第2領域の一方に、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを形成する請求項7記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせたとき、前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれに、前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を設ける請求項7又は8記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせるときに、前記第1領域及び前記第2領域の一方の前記凹部又は前記凸部のエッジ部と、他方に設けられたマークとを用いて、前記第1領域と前記第2領域とを位置合わせする請求項9記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項1】
第1部材と、
前記第1部材上に形成された発光素子と、
前記第1部材の第1領域と貼り合わせられる第2領域を有し、前記第1部材との間で前記発光素子を封止する封止空間を形成する第2部材とを備え、
前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは互いに異なる方向を向く複数の面を有し、
前記複数の面どうしの接続部は鈍角又は円弧状である有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項2】
前記第1領域及び前記第2領域の一方は、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを有する請求項1記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項3】
前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれは前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を有し、前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせた状態において前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記凹部及び前記凸部が形成されている請求項1又は2記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項4】
前記凹部又は前記凸部は前記発光素子を囲むように環状に形成されている請求項3記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項5】
前記凹部又は前記凸部は複数同心状に設けられている請求項4記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか一項記載の有機エレクトロルミネッセンス装置を備えた電子機器。
【請求項7】
第1部材の第1領域及び第2部材の第2領域のそれぞれに、互いに異なる方向を向く複数の面を形成する工程と、
前記第1部材の前記第1領域と前記第2部材の前記第2領域とを貼り合わせ、前記第1部材と前記第2部材との間に発光素子を封止するための封止空間を形成する工程とを有し、
前記複数の面どうしの接続部を鈍角又は円弧状に形成する有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1領域及び前記第2領域の一方に、前記封止空間から該封止空間の外側の外部空間に向かうにつれて他方に対して漸次遠ざかるように傾斜する第1斜面と、前記封止空間から前記外部空間に向かうにつれて前記他方に対して漸次近づくように傾斜する第2斜面とを形成する請求項7記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせたとき、前記第1領域と前記第2領域とが互いに噛み合うように、前記第1領域及び前記第2領域のそれぞれに、前記複数の面を形成するための凹部又は凸部を設ける請求項7又は8記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【請求項10】
前記第1領域と前記第2領域とを貼り合わせるときに、前記第1領域及び前記第2領域の一方の前記凹部又は前記凸部のエッジ部と、他方に設けられたマークとを用いて、前記第1領域と前記第2領域とを位置合わせする請求項9記載の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−236880(P2006−236880A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52604(P2005−52604)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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