説明

有機ケイ素化合物の製造方法

【課題】シロキサン化合物の効率的な分解および分解物からの新たな有機ケイ素化合物を製造すること。
【解決手段】酸素がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物に、触媒の存在下、アセタールおよび活性水素基含有化合物を反応させ、アルコキシシランモノマー、および/またはアルコキシシランオリゴマーに分解することを特徴とする有機ケイ素化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ケイ素化合物、特にシロキサン化合物の製造方法に関し、さらにはポリシロキサン化合物をより低分子量のケイ素化合物に分解する方法および分解されたケイ素化合物を分析する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保護の観点から、製品のリサイクルに関する関心が高まっている。シリコーンに代表されるポリシロキサン化合物についても、製品寿命が終了した後、分解してシリコーン化合物や他のケイ素化合物の原料とすることが期待されている。
【0003】
一方、エレクトロニクス産業では、ケイ素化合物は多岐に渡り使用されている。しかしながら別のところで処理されたケイ素化合物が、本来あってはならないところに付着し、悪影響を与えることもあった。また予想されないケイ素化合物が付着していることもあった。このような背景から、ケイ素化合物の化学構造の同定、さらに可能であれば定量を行う技術の開発が期待されていた。ただしケイ素化合物は、ポリシロキサンだとしても、単にジメチルポリシロキサンに限られず、他の有機基や水素原子がケイ素原子に結合している場合がある。このような場合、高分子量のものを低分子量化して分析し、その知見をもとにもとのケイ素化合物の化学構造を推定することができ、さらにもともと存在していた場所の特定も可能となる。
【0004】
シリコーンは比較的化学的に安定であって、シリコーンを分解するためには高温で処理するか、あるいはアルカリ、酸の共存下、高温、高圧で処理することが必要である。その他、エトキシシラン化法(非特許文献1)、フルオロシラン化法(非特許文献2)、アルカリ融解法(非特許文献3)が挙げられる。また、最近ではオルトギ酸エチルによるヘキサメチルジシロキサン分解(非特許文献4)、オルトギ酸エステルを用いる分解法(特許文献1および2)、アルキルカーボネートを用いる方法(特許文献3)が報告されている。
しかしながら、従来の化学分解法によるシロキサンの分解方法以下のような問題点があった。
アルカリ、酸の共存下でシリコーンを分解する方法は、高温、高圧という非常に過酷な条件を要するため特殊な装置が必要である、また、ケイ素原子が1個という、いわゆるモノマー単位にまで簡単に分解できない、すなわちケイ素原子を2以上有する化合物で留まってしまうという問題点があった。
エトキシシラン化法はシリコーンに過剰のテトラエトキシシランと少量のアルカリを加え、加熱することにより、シロキサン結合を切断、エトキシシラン化する方法である。しかし、この方法では大量のテトラエトキシシランが必要、分解効率も低い、Si-H結合がエトキシシランに変性する問題があった。
フルオロシラン化法は、シリコーンと三フッ化ホウ素のエーテル錯体を密封化加熱処理し、フルオロシラン化する方法である。しかし、この方法は高温という過酷な条件が必要であり、ケイ素−フェニル基の結合を切断してしまい、もとのシリコーン化合物の化学構造を知る上で必要なケイ素原子に直結する官能基がわからなないという問題点があった。
【0005】
アルカリ融解法は、シリコーンをアルカリ融解することにより、Si-C結合を切断する方法である。しかし、この方法では、Si-C結合を切断するため、アルコキシシランが得られないという問題点があった。
【0006】
オルトギ酸エチルによるヘキサメチルジシロキサン分解法は、ヘキサメチルジシロキサンとオルトギ酸エチルを酸触媒下で反応させ、トリメチルエトキシシランを得る方法である。しかし、この方法は、反応促進効果を有する化合物が存在しないため反応速度、収率が低いという問題点があった。
【0007】
オルトギ酸エステルを用いるシリコーン分解法は、シリコーンとオルトギ酸エステルを活性水素基含有化合物、触媒共存下で反応させ、シロキサン結合を切断、アルコキシシランを得る方法である。この方法は、収率は高いが、反応速度が遅く、所望の分解程度まで時間がかかるという低いという問題点があった。
【0008】
アルキルカーボネートを用いる分解法は、シリコーンとアルキルカーボネートを活性水素基含有化合物、触媒共存下で反応させ、シロキサン結合を切断、アルコキシシランを得る方法である。この方法も、収率は高いが、反応速度が遅く、所望の分解程度まで時間がかかるという低いという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−59838号公報
【特許文献2】特開平8−59839号公報
【特許文献3】特開2000−169484号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】M.G.Voronkov, Zur.Obshchei Khim.,29,907(1959)
【非特許文献2】G.W.Heymun, J.Gas Chromatogr., 3,266(1965)
【非特許文献3】D.D.Schlueter et al., Anal.Chem., 49,2343(1977)
【非特許文献4】Metalloorg. Khim., 3,1283(1990)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、これら従来のケイ素化合物の分解において、シリコーンを高温、高圧を必要としない条件下で、反応速度、反応収率を高くモノマー単位であるアルコキシシランまで分解する方法を得ることを課題とする。その結果として、もとのケイ素化合物の化学構造を容易に推定する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は以下の手段からなる。
1.酸素がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物に、触媒の存在下、アセタールおよび活性水素基含有化合物を反応させ、アルコキシシランモノマー、および/またはアルコキシシランオリゴマーに分解することを特徴とする有機ケイ素化合物の製造方法、
2.触媒が酸であることを特徴とする前記有機ケイ素化合物の製造方法、
3.活性水素基含有化合物がアルコールであるとする前記いずれかの有機ケイ素化合物の製造方法、
4.酸素がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物がシロキサン化合物である前記いずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法、
5.酸素がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物が、ケイ素−酸素−金属の結合を有するものである前記いずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法、
6.前記いずれかに記載の方法で得られたアルコキシシランを分析することを特徴とする有機ケイ素化合物の分析方法、
7.分析がガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー/質量分析法、液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析法、核磁気共鳴分析法および赤外分光分析法のいずれかの手段である前記ケイ素化合物の分析方法、
8.前記いずれかの分析によって同定されたアルコキシシランの化学構造から、分解前の、酸素がケイ素原子に結合したケイ素化合物の化学構造および/または量を特定する方法。
9.前記いずれかの製造方法で得られた有機ケイ素化合物を加水分解、縮合させることを特徴とするケイ素化合物の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法によれば、シリコーンなどケイ素化合物を反応速度、反応収率を高くモノマー単位であるアルコキシシランまで分解することができる。得られたアルコキシシランは縮合することによりシロキサン化合物とすることができる。またアルコキシシランを分析することにより、高精度にもとのケイ素化合物の化学構造を推定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
酸素がケイ素原子に結合したケイ素化合物としては、ケイ素−酸素−ケイ素の構造を有するシロキサン構造、さらにはケイ素−酸素−が繰り返し結合したポリシロキサン構造のものが例示され、これらはシリコーン化合物とも呼ばれる。またケイ素に3つ、または4つの酸素原子が直結したものも本発明の分解反応では有効である。
【0015】
具体的には、いわゆる、シリコーンオイル、シリコーン生ゴム、加硫シリコーンゴム、シリコーンワニス、シリコーン樹脂、ポリシルセスキオキサン、アルコキシ基が3つ以上ケイ素化合物に結合したいわゆるシランカップリング剤と言われるものの加水分解縮合物が例示される。ケイ素上の置換基としては、水素原子、アルキル基、クロルメチル基のような置換アルキル基、ビニル基、アリル基などのようなアルケニル基、フェニル基、トリル基などのようなアリール基、メトキシ基、エトキシ基などのようなアルコキシ基などがあげられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明ではケイ素化合物に、触媒の存在下、アセタールおよび活性水素化合物を反応させる。
【0017】
アセタールとは、一つの炭素原子がエーテル結合をふたつ有する構造を有するエーテルである。
【0018】
ケイ素化合物とアセタールとは以下の式のとおりの化学反応を起こし、ケイ素化合物は分解しアルコキシシランを形成する。もちろんアルコキシ基が加水分解し、水酸基が生ずれば別のアルコキシシランと反応しアルコキシシランオリゴマーとなる。
【0019】
【化1】

【0020】
ここでR,Rは任意の基であり、有機基、酸素を介して結合した有機基が例示される。R、Rは有機基であり、望ましくはアルキル基、さらには炭素数が1〜3の範囲内、さらには炭素数が1であることが好ましい。R、Rは水素原子、または有機基であり、好ましくは水素原子または炭素数1〜3の炭化水素基である。
【0021】
この発明で使用できるアセタールとしては、(R3O) (R4O)CR5R6について上で述べたとおりであり、1,1-ジメトキシエタン、1,1-ジエトキシエタン、1,1-ジプロポキシエタン、2,2-ジメトキシプロパン、2,2-ジエトキシプロパン、ジメトキシメタン、ジエトキシメタンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらアセタールは単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、添加する量は、分解の目的となるケイ素化合物の−Si−O−の結合1モルに対し、アセタールを1モル以上とするのが好ましく、さらに2モル以上が好ましい。
【0022】
この発明で用いられる活性水素含有化合物としては、分子中に水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、ホルミル基、アミノ基などを含む化合物、もしくは、アセタールまたはホルマールと反応して分子中に水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、ホルミル基、アミノ基などを含む化合物を生成する化合物である。具体的には、水、アルコール、カルボン酸、メルカプタン、アミンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの活性水素含有化合物は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。これら活性水素含有化合物の内、反応速度が高いという点で、水、アルコール、カルボン酸が好ましい。活性水素含有化合物の添加量としては、分解の目的となるケイ素化合物の−Si−O−の結合1モルに対し0.01モル以上が好ましく、0.5モル以上がとくに好ましい。
【0023】
アルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコールなどの一価のアルコール、エチテングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが挙げられ、メチルアルコール、エチルアルコールが好ましい。カルボン酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などが挙げられ、なかでもギ酸、酢酸が好ましい。
【0024】
この発明で用いられる触媒としては、酸が好ましく、例えば塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸、ホウ酸などが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。反応性の点で、硫酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、p-トルエンスルフォン酸などのスルフォン酸化合物が特に好ましい。分解反応の系において0.01〜1.0質量%が好ましく、0.05〜0.5%質量がとくに好ましい。
【0025】
分解の反応温度は分解できる温度であれば任意である。常圧で反応が沸騰しない温度でもよい。
【0026】
分解して得られたアルコキシシランまたはアルコキシシランオリゴマーは、加水分解性基を有しているので、加水分解および縮合によって新たなシロキサン化合物を製造することができる。また、アルコキシシランまたはアルコキシシランオリゴマーはもとのシロキサン化合物のケイ素原子に直結した置換基をそのまま有している。そこで分解生成物を、ガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー/質量分析法、液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析法、核磁気共鳴(H、13C、29Si等の核)分析法および赤外分光分析法で分析することにより置換基の同定および場合によっては定量することができる。この知見から分解前のケイ素化合物の化学構造および/または量を推測することができる。
【0027】
さらに得られた有機ケイ素化合物は原料より分子量が低い。したがって有機ケイ素化合物を蒸留などにより化学構造の異なるものに分離することができる。さらにアルコキシ基を有しているので加水分解・縮合により新たなケイ素化合物を製造することができる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
市販品の架橋したシリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン)約0.005g、ジメトキシメタンとメタノール混合(2/1体積比)溶液2ml、硫酸0.01mlを耐圧ガラス製容器にとり、120℃で、5時間加熱・反応させた。反応開始後、20分でシリコーンゴムは完全に溶解し、透明な溶液となった。5時間反応後の溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ポリジメチルシロキサンの分解物であるジメチルジメトキシシランが主成分として検出され、シロキサン結合の分解反応が完全に進行していることが確認された。
[比較例1]
市販品の架橋したシリコーンゴム(ポリジメチルシロキサン)0.005g、オルトギ酸メチルとメタノール混合(2/1体積比)溶液2ml、硫酸0.01mlを肉厚ガラス製容器にとり、120℃で、5時間加熱した。反応開始後1時間でシリコーンゴムの固形物は見えなくなり全体が白濁した溶液となった。その後、5時間加熱したが白濁溶液の状態は変わらず、透明な溶液とはならなかった。5時間反応後の溶液をガスクロマトグラフィーで測定したところ、ジメチルジメトキシシランの生成が確認された。
【0030】
実施例1、比較例1の反応液の状態の経時変化を表1に示す。
【0031】
【表1】

【実施例2】
【0032】
市販の三元共重合ポリシロキサン[ジメチルシロキサン(58%)・ビニルメチルシロキサン(4%)・フェニルメチルシロキサン(38%)、(数値)はモル%]0.500mg、ジメトキシメタンとメタノール混合(2/1体積比)溶液1ml、硫酸0.005mlを肉厚ガラス製容器にとり、100℃で1時間加熱・分解した。
【0033】
次いで、分解して生成したモノマーを精度よくGC分析するためにトリメチルシロキサン誘導体化する目的で、水1ml、トリメチルメトキシシラン0.05ml、硫酸0.05mlを加え、100℃で1時間加熱した。さらに、ノルマルヘキサン1mlを加え、振とう後、ノルマルヘキサン溶液(反応液)を取り出した。
【0034】
この反応液(ノルマルヘキサン溶液)をガスクロマトグラフィー分析したところ、オクタメチルトリシロキサン、ビニルヘプタメチルトリシロキサン、フェニルヘプタメチルトリシロキサンの3成分が検出された。
【0035】
検出されたオクタメチルトリシロキサンは、ジメチルシロキサンの分解物であるジメチルジメトキシシランのビストリメチルシロキサン誘導体、ビニルヘプタメチルトリシロキサンは、ビニルメチルシロキサンの分解物であるビニルメチルジメトキシシランのビストリメチルシロキサン誘導体、フェニルヘプタメチルトリシロキサンは、フェニルメチルシロキサンの分解物であるフェニルメチルジメトキシシランのビストリメチルシロキサン誘導体である。
【0036】
三元共重合ポリシロキサンの3種のモノマー(ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン・フェニルメチルシロキサン)に相当する誘導体が検出されたので、各誘導体をGCで定量した。各化合物の定量値を元のモノマー量に換算して合計すると0.445mg(反応させた試料0.500mgに対し回収率89%)である。
【0037】
また、検出量をmol%に変換して求めた組成比は次表のとおりであり、元の組成を反映した組成となった。
【0038】
【表2】

【0039】
[比較例2]
市販の三元共重合ポリシロキサン[ジメチルシロキサン(58%)・ビニルメチルシロキサン(4%)・フェニルメチルシロキサン(38%)、(数値)はモル%]0.500mg、オルトギ酸メチルとメタノール混合(2/1体積比)溶液1ml、硫酸0.005mlを肉厚ガラス製容器にとり、100℃で1時間加熱した。
【0040】
次いで、分解して生成したモノマーを精度よくGC分析するためにトリメチルシロキサン誘導体化する目的で、水1ml、トリメチルメトキシシラン0.05ml、硫酸0.05mlを加え、100℃で1時間加熱した。さらに、ノルマルヘキサン1mlを加え、振とう後、ノルマルヘキサン溶液(反応液)を取り出した。
【0041】
この反応液(ノルマルヘキサン溶液)をガスクロマトグラフィー分析したところ、オクタメチルトリシロキサン、ビニルヘプタメチルトリシロキサン、フェニルヘプタメチルトリシロキサンの3成分が検出された。
【0042】
検出されたオクタメチルトリシロキサンは、ジメチルシロキサンの分解物であるジメチルジメトキシシランのビストリメチルシロキサン誘導体、ビニルヘプタメチルトリシロキサンは、ビニルメチルシロキサンの分解物であるビニルメチルジメトキシシランのビストリメチルシロキサン誘導体、フェニルヘプタメチルトリシロキサンは、フェニルメチルシロキサンの分解物であるフェニルメチルジメトキシシランのビストリメチルシロキサン誘導体である。
【0043】
三元共重合ポリシロキサンの3種のモノマー(ジメチルシロキサン・ビニルメチルシロキサン・フェニルメチルシロキサン)に相当する誘導体が検出されたので、各誘導体をGCで定量した。、各化合物の定量値を元のモノマー量に換算して合計すると0.283mg(反応させた試料0.500mgに対し回収率56%)である。
【0044】
また、検出量をmol%に変換して求めた組成比は次表のとおりであり、相対的にフェニルメチルシロキサンの回収率が低く、元の組成からややずれた組成となった。
【0045】
【表3】

【0046】
以上の結果から、本発明の有機ケイ素化合物の製造方法によれば、原料の有機ケイ素化合物の分解を行い、より効率的に目的とする有機ケイ素化合物を製造することができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の製造方法によれば、効率的に原料の有機ケイ素化合物を分解することができるので、シリコーン産業の分野、また化学分析の分野で有効に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物に、触媒の存在下、アセタールおよび活性水素基含有化合物を反応させ、アルコキシシランモノマー、および/またはアルコキシシランオリゴマーに分解することを特徴とする有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項2】
触媒が酸であることを特徴とする請求項1記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項3】
活性水素基含有化合物がアルコールであるとする請求項1または2記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項4】
酸素がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物がシロキサン化合物である請求項1〜3いずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項5】
酸素がケイ素原子に結合した有機ケイ素化合物が、ケイ素−酸素−金属の結合を有するものである請求項1〜3いずれかに記載の有機ケイ素化合物の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載の方法で得られたアルコキシシランを分析することを特徴とする有機ケイ素化合物の分析方法。
【請求項7】
分析がガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー/質量分析法、液体クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー/質量分析法、核磁気共鳴分析法および赤外分光分析法のいずれかの手段である請求項6記載のケイ素化合物の分析方法。
【請求項8】
請求項6または7の分析によって同定されたアルコキシシランの化学構造から、分解前の、酸素がケイ素原子に結合したケイ素化合物の化学構造および/または量を特定する方法。
【請求項9】
請求項1〜5いずれかの製造方法で得られた有機ケイ素化合物を加水分解、縮合させることを特徴とするケイ素化合物の製造方法。

【公開番号】特開2012−188398(P2012−188398A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53883(P2011−53883)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000151243)株式会社東レリサーチセンター (10)
【Fターム(参考)】