説明

有機プラスチック材料の親水化用薬剤

本発明は、親水化剤が、酸の形態におけるもしくは塩の形態における、必要に応じてポリアルコキシル化されているリン酸エステルから選択されている、熱可塑性ポリマーなどの有機プラスチック材料を親水化する薬剤に関する。本発明はまた、本発明の薬剤によって親水化された表面を有する熱可塑性ポリマー製の物体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性ポリマーなどの有機プラスチックを親水化する薬剤に関し、前記プラスチックにおけるその使用に関し、また前記プラスチックにより製造された物品が親水性の表面性状を得ることを可能にする、有機プラスチック、特に熱可塑性ポリマーの調製方法に関する。
【0002】
本発明はまた、本発明による薬剤によって親水化された表面を有する熱可塑性ポリマー製の物品にも関する。
【背景技術】
【0003】
ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、より具体的にはポリプロピレンなどの有機プラスチックは通常、非常に疎水性の表面を有し、このことが、これらのプラスチックから製造した物品の多くの用途についての欠点である。
【0004】
例えば、いわゆる不織技術から得られたポリプロピレンもしくはポリエステル糸または繊維から製造した多孔性のもしくは不連続なボイルまたはフィルムは、本質的に疎水性の表面挙動を有し、一般的用語「不織布表面材(nonwoven textile surface)」のもとに知られている。この挙動のため、それらは、衛生用、拭き取り用、おむつ用などの用途に使用可能とするため、後処理として可溶性界面活性剤組成物により表面被覆されることを要する。
【0005】
この表面処理は、耐久性がなく、また水と接触する場合、処理層中に使用された界面活性剤の溶解を許容するという不利な点を有する。おむつなどの身体衛生用途では、この現象は特に避けるべきである。このことが、プラスチック中に親水化剤を組み込む方法がこの型の用途にとって特に利益があり、WO2006/056706およびWO2006/056707の特許に記載されている理由である。
【0006】
また、物品の表面を親水性にすることは、他の用途、例えば自動車業界向け部品などの嵩のある物品(bulky articles)に関する用途でも所望されることである。
【0007】
これらの部品を塗装し得ることが所望され、ポリプロピレンなどのプラスチックは塗装することができない。この場合、親水性もしくは両親媒性塗料で表面処理することは、この親水化処理が耐久性でも密着性でもないので、実行可能な解決策ではない。
【0008】
他のタイプの用途では、親水性である場合、問題の表面を水で清浄にすることが可能になるため、親水性が所望される。特にポリオレフィン(PE、PP)製の食品使用向け容器は、これらを自動皿洗い機で洗浄することが所望される場合、洗浄問題を提起する。ガラスまたは陶磁器の台所用品は皿洗い機で清浄になりまた乾燥されるが、ポリオレフィン製台所用品では、問題の台所用品または容器が高度に疎水性であるため水滴が一面に広がらずまだ濡れている。
【0009】
最後に、ポリプロピレン製包装もしくはフィルムの親水性も、小売店においてポリプロピレンフィルムで包装した製品を貯蔵する間、これらが汚れてくるのを防止するため、またほこりの堆積および凝集を防止するために所望されることである。このレベルでは、親水性は、油脂性のほこりおよびちりを付着させない一助となるだけでなく、あるタイプの汚れの原因となる静電気電荷が流出する一助となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2006/056706号
【特許文献2】国際公開第2006/056707号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的の1つは、より親水性の表面を有し、この親水性が、溶融したプラスチック中に組み込む方法または表面処理のいずれかによって得られる可能性のある、プラスチックを調製する手段を見出すことである。
【0012】
本発明の他の目的は、親水化剤および、プラスチックにおいてより親水性の表面が得られることを可能にするその使用を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらおよび他の目的は、有機プラスチック、特に熱可塑性ポリマーを親水化する薬剤として、酸の形態におけるもしくは塩の形態における、ポリアルコキシル化されていてもよいリン酸エステルから選択される化合物の使用を提案する本発明により達成される。
【0014】
本発明の他の主題は、プラスチック、特に熱可塑性ポリマーおよび、酸の形態におけるもしくは塩の形態における、ポリアルコキシル化されていてもよいリン酸エステルから選択される親水化剤を含む組成物である。
【0015】
本発明はまた、親水化剤が、プラスチック本体中に組み込まれている、さもなければ前記プラスチックの表面上に堆積されている、そのいずれかである熱可塑性ポリマーの調製方法にも関する。本発明はまた、この表面親水性を得るのに使用されるその添加剤にも関し、前記添加剤は、プラスチックとブレンドまたは同時溶融される(本体中への添加剤の添加)、または前記プラスチックの表面への塗布による、そのいずれかとする。
【0016】
熱可塑性ポリマーおよび添加剤の溶融ブレンドは、所望の物品を得るため、任意の従来の手段(押出し、射出成形、フィルム延伸など)によって成形される。他方で、表面塗布処理は、既に成形され、仕上げられた物品上に直接行われる。
【0017】
表現「熱可塑性ポリマー」は、より詳細には、ポリエステル、ポリアミドおよびポリオレフィン(ポリエチレンおよびポリプロピレンなど)を意味すると理解される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
親水化剤は、酸の形態におけるもしくは塩の形態における、ポリアルコキシル化されていてもよいリン酸エステルから選択される。より詳細には、本親水化剤は、下記の式:
[R”−(O−A”)−O]x”P(=O)(OM)x’
[式中、
−Mは、プロトン、カチオンまたは混合物、例えばH、K、Naから選択され;
−x’およびx”は、x’およびx”の合計が3に等しいという条件で、1または2に等しく;
−y(平均値である。)は、0と100の間であり、好ましくは1と15の間であり;
−R”基は、同一でありまたは異なり、炭素原子1から35個を含む炭化水素系基を表し;また
−A”基は、同一でありまたは異なり、炭素原子2から4個を含む直鎖もしくは分枝鎖アルキレン基を表す。]に対応する。
【0019】
R”基は、同一でありまたは異なり、C−C35、好ましくはC−C20のアルキル、アルキルアリール、ポリアルキルアリールまたは(ポリアリールアルキル)アリール基を表し、アルキル基は直鎖もしくは分枝鎖、飽和もしくは不飽和であり得る。ポリアルコキシル化化合物については、これらはポリエトキシル化化合物とすることができる。アルコキシル化度は、特に0と100の間、好ましくは1と15の間とすることができる。
【0020】
より詳細には、R”基は、炭素原子8から26個を含有し、直鎖もしくは分枝鎖である、1個以上のエチレン性不飽和基を有するアルキルまたはアルケニル基である。このような基の例として、ステアリル、オレイル、リノレイルおよびリノレニル基を特に挙げることができる。さらに、R”基は、同一でありまたは異なり、アルキル、アリールアルキルまたはアルキルアリール置換基を有する芳香族基(これらの基は炭素原子6から30個を含む。)とすることができる。このような基の例として、なかんずく、ノニルフェニル、モノスチリルフェニル、ジスチリルフェニルおよびトリスチリルフェニル基を挙げることができる。
【0021】
より詳細には、(O−A”)基は、同一でありまたは異なり、オキシエチレン化、オキシプロピレン化もしくはオキシブチレン化基またはこれらの混合物に相当する。前記基は、オキシエチレン化および/もしくはオキシプロピレン化基に相当することが好ましい。
【0022】
有用な親水化剤は、特に、Lubrhophos(登録商標)およびRhodafac(登録商標)の名称のもとにRhodia社から販売されている。
【0023】
親水化剤は、塩化され、中和された形態で配合物中に存在することが好ましいと言われている。中和は、任意の有機もしくは無機塩基、例えばNaOHまたはKOH(M=K、Na)を使用して得ることができる。有機アミン、例えばポリアルコキシル化されていてもよい脂肪族アミンを特に挙げることができる。より詳しい点は、以下に示される。
【0024】
ポリマーの本体にまたはその表面に導入される親水化剤の量は、親水化剤と熱可塑性ポリマーの間の重量比が0.5/99.5と10/90の間、より具体的には1/99と3/97の間であるようなものである。
【0025】
リン酸エステル化合物は、プラスチックを含む組成物中に含まれる。
【0026】
熱可塑性ポリマーは、ポリエステル、ポリアミド、またはポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンから選択される。
【0027】
本発明はまた、表面の親水性を得るために使用される親水化剤にも関し、前記添加剤は、プラスチックとブレンドされ、同時溶融される(本体中への添加剤の添加)。
【0028】
熱可塑性ポリマーおよび添加剤の溶融ブレンドは、任意の従来の手段(押出し、射出成形、フィルム延伸など)によって成形されて、所望の物品を得る。
【0029】
第1の実施形態により、親水化剤は、プラスチック好ましくは熱可塑性ポリマーとブレンドされ、同時溶融される。
【0030】
熱可塑性ポリマーは一般に、固体顆粒の状態で存在する。
【0031】
親水化剤は、室温でポリマー顆粒とブレンドされ、次いで温度を上げた混合装置に導入される。
【0032】
親水化剤は、ポリマーが既に溶融状態で存在している混合装置に導入されることもできる。
【0033】
親水化剤は、溶融前の熱可塑性ポリマーとのブレンドによって、溶融した熱可塑性ポリマーへの直接導入によって、および/またはマスターバッチを経て、必要に応じて他の成分、例えば充填材または安定剤と一緒に熱可塑性ポリマーとブレンドされることができる。
【0034】
温度を上げた混合装置は、回転子を取り付けた、流体の流れによって加熱されるチャンバーとすることができる。したがって、これは密閉式混合機(internal mixer)と呼ばれる。これは「バッチ」方法である。例えばBrabender混合機を挙げることができる。冷却後、圧縮成形によって金型内で成形することができる固体材料の予備成形物が回収される。
【0035】
温度を上げた混合装置は、その中で、回転するスクリュー部分によって材料が運ばれ、加熱され、混練りされる押出し機とすることもできる。これは「連続」方法である。例えばWerner ZSK30押出し機を挙げることができる。溶融材料のロッドが回収されるが、このロッドは冷却され次いで切断されて、顆粒が得られる。
【0036】
次いで、これらの顆粒は、試験片または仕上がり材料の形態で射出成形されることができる。
【0037】
親水化剤が固体形態で、すなわち粉末、フレークまたは顆粒の状態で存在する場合、上記において示した通り容易に組み込まれる。
【0038】
親水化剤が液体状態で存在し、前記液体が親水化剤100%を含む場合、さもなければ親水化剤が溶媒中溶液である場合、それを組み込むためのいくつかの可能性がある。
【0039】
この液体(親水化剤または溶媒)の沸点が、転移温度(180℃前後)未満またはこれを超えるかどうかに応じて、溶媒を蒸発させまたは溶媒を蒸発させずに、この液体を直接組み込むことが可能である。
【0040】
粉末を得るためにこの液体を、沈降性シリカなどの多孔性担体中に含浸させることも可能である。次いで、この粉末は、その使用を促進するため、成形することができる。
【0041】
例えば、熱可塑性ポリマー中に液体を組み込む手段を記述する資料仏国特許第2843122号明細書を挙げることができる。
【0042】
したがって、本発明の他の主題は、親水化剤および熱可塑性ポリマーが溶融ブレンドされることを特徴とする、熱可塑性ポリマーおよび親水化剤を含む組成物の調製方法である。
【0043】
したがって、本発明の他の主題は、親水化剤が、溶融前の熱可塑性ポリマーとのブレンドによって、溶融した熱可塑性ポリマーへの直接導入によって、および/またはマスターバッチを経て、必要に応じて他の成分、例えば充填材または安定剤と一緒に熱可塑性ポリマーとブレンドされることを特徴とする、熱可塑性ポリマーおよび親水化剤を含む組成物の調製方法である。
【0044】
熱可塑性ポリマーおよび親水化剤の溶融ブレンドは、所望の物品を得るため、任意の従来の手段(押出し、射出成形、フィルム延伸など)によって成形することができる。
【0045】
こうして、熱可塑性ポリマーおよび親水化剤の溶融ブレンドは、成形される粉末の形態、押出しおよび/またはブロー成形および/または射出成形された物品の形態、フィルムの形態、または必要に応じて織布もしくは不織布表面材として集成される繊維、糸もしくはフィラメントの形態にすることができる。
【0046】
第2の実施形態により、親水化剤は、任意の適正な方法によってプラスチックの一表面の全部もしくは一部に塗布することができる。この方法は特に、その表面を処理しようとする物品の形態、物品の大きさに、この物品を製造する工場の配置に、物品を処理するセンターの配置に、および/または入手可能な設備または製造もしくは処理ラインに適応させることのできる設備に応じて決まり得る。
【0047】
塗布は特に、開放もしくは密閉された環境において、浸し塗りによってまたは吹付け塗りによって行うことができる。
【0048】
親水化剤は、溶液の形態で塗布されることが好ましい。この溶液は、溶媒およびポリビニルアルコールを含むことが好ましい。溶媒は、いくつかの溶媒の混合物とすることができる。この溶液は水溶液(溶媒は水である。)であることが好ましい。単独でまたはそれら自体とのもしくは水との混合物として使用できる他の溶媒として、エタノールまたはイソプロパノールなどのアルコールが挙げられる。
【0049】
ポリビニルアルコールの濃度は、0.01重量%と10重量%の間、好ましくは0.2重量%と5重量%の間であることが好ましい。この濃度は特に、塗布方法、所望される処理量および/または所望の有効性の関数として調節することができる。
【0050】
本発明はまた、親水化された表面を有する熱可塑性ポリマー製のこれらの物品の用途にも関する。
【0051】
親水化された表面を有する熱可塑性ポリマー製の物品の例として、本発明による組成物に基づく繊維を含む不織布表面材を特に挙げることができる。
【0052】
特に、熱可塑性ポリマーがポリプロピレンを主成分とする、本発明による組成物に基づく繊維を含む不織布表面材を特に挙げることができる。
【0053】
この布地表面材は、乳児用おむつの、女性衛生製品のまたは成人失禁を処理する製品の製造において使用することができる。
【0054】
親水化された表面を有する熱可塑性ポリマー製の物品の例として、自動車業界向け部品などの嵩のある物品を挙げることもできる。
【0055】
親水化された表面を有する熱可塑性ポリマー製の物品の例として、ポリオレフィン(ポリエチレンまたはポリプロピレン)製の食品使用向け容器を挙げることもできる。
【0056】
親水化された表面を有する熱可塑性ポリマー製の物品の例として、ポリプロピレン製包装もしくはフィルムを挙げることもできる。
【0057】
本発明は、最後に、有機プラスチック、特に熱可塑性ポリマーを含む組成物のための親水化剤として以前に定義した、ポリアルコキシル化されていてもよいリン酸エステルの使用に関する。
【0058】
表面親水性は、1滴の精製蒸留水と前記表面の間の接触角の測定によって評価される。検定された大きさの1滴の蒸留水が、標準化された反復性条件下で試験される表面上に置かれる。この水滴は、表面の親水性に応じてより大きいもしくはより小さい度合いで広がりまたは収縮し、適切な装置により、置かれた水滴とその表面とによって形成される角度を測定することが可能である。
【0059】
使用される装置は、例えば、濡れ角を測定するための、例えばTantec社ブランドのゴニオメーターとすることができる。IT Concept社の光学台による液滴張力計(drop tensiometer)などの自動測定デバイスを使用することも可能である。これは、以下に示した実施例で行われた測定についての場合である。その実験は、注射器を使用して、2マイクロリットルに等しい検定された体積の1滴の水を、試料の清浄な平滑表面上に置くことである。この水滴は、積分球型の均一な光源によって照らされ、そのプロフィル画像が、テレセントリックテレフォトレンズによりCCDカメラに投影される。それがデジタル化され、次いで、右および左接触角(支持体によって形成される平面と、水滴の基部の両側の正接平面との角度として定義される。)を1秒当り数回測定するため、ソフトウエアによって処理される。
【0060】
通例、純粋なポリプロピレンは、純水との接触角105°を有する。
【0061】
本発明による親水化剤は、ポリプロピレン熱可塑性ポリマーとブレンドされる場合、極めて顕著に、70°と85°の間のレベルまでこの値を低下させることを可能にする。
【0062】
本発明の主題である製品の他の態様および利点は、例証として以下に示される、決して限定的ではない実施例に鑑みて明らかになる。
【0063】
特に示されない限り、本出願中に示される百分率はすべて、重量百分率である。
【実施例1】
【0064】
これらの製品の処理
構成成分(94.9%の顆粒としてのアイソタクチックポリプロピレンホモポリマー(名称PPH4060のもとにATOFINA社により販売される。)、5%の親水化添加剤および0.1%のIRGANOX B225熱安定剤)を、温度150℃まで上げた「Brabender」ブランドの密閉式混合機のチャンバーに導入した。
【0065】
このチャンバーには、125rpmの速度で回転する、W50熱可塑性型の逆回転する2個の回転子を取り付けた。内部せん断を考慮して、混合物の最終温度は180℃と190℃の間であった。混合時間5分の後、充填されているポリマー予備成形物はチャンバーから取り出され、200℃に加熱した2枚の圧縮プレート間で厚さ800μmを有する金型内において圧力200バール下で2分間加圧された。次いで、この金型は、2枚のプレート間において圧力200バール下で4分間18℃まで冷却された。
【0066】
冷却および強化した後、これらの試験片は、それらの表面の親水性、およびその結果得られる性状を立証することを意図した種々の物理化学的試験の対象であった。
【0067】
溶融ブレンドへの処理および添加剤の効果についての所見:
Brabender混練機中における混合の間、種々の物理的効果が注目され、これらは、この準備段階に著しい利益をもたらすことができた。
【0068】
使用した親水化剤:
使用した2種の薬剤は、以下の表(I)において定義される:
【0069】
【表1】

【0070】
Repel−o−tex SRP6剤は、前述の国際公開第2006/056706号中に記載のRhodia社製品である。
【実施例2】
【0071】
親水性効果
親水性効果(蒸留水での接触角の測定による。)は、以下の表(II)中に示される。
【0072】
測定は、IT Concept社のSDT 200として知られる光学台による液滴張力計を使用することにより、以下に示した実施例について行われた。
【0073】
その実験は、注射器を使用して、2マイクロリットルに等しい検定された体積の1滴の水を、試料の清浄な平滑表面上に置くことである。この水滴は、積分球型の均一な光源によって照らされ、そのプロフィル画像が、テレセントリックテレフォトレンズによりCCDカメラに投影される。それがデジタル化され、次いで、右および左接触角(支持体によって形成される平面と、水滴の基部の両側の正接平面との角度として定義される。)を1秒当り数回測定するため、ソフトウエアによって処理される。表(II)中に示した結果は、10から15回の測定の平均に相当する。
【0074】
得られた結果は、以下の表(II)中に、順序立てて示される:
【0075】
【表2】

【0076】
PPはポリプロピレンを意味する。
【0077】
表面の親水性が、明確に得られていることが観察される。
【0078】
本発明による親水化剤が、対照Cよりも有効であることも観察されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機プラスチック、特に熱可塑性ポリマーを親水化する薬剤としての、酸の形態におけるもしくは塩の形態における、ポリアルコキシル化されていてもよいリン酸エステルから選択される化合物の使用。
【請求項2】
親水化剤が、下記の式(I):
[R”−(O−A”)−O]x”P(=O)(OM)x’、(I)
[式中、
−Mは、プロトン、カチオンまたは混合物から選択され;
−x’およびx”は、x’およびx”の合計が3に等しいという条件で、1または2に等しく;
−y(平均値である。)は、0と100の間であり、好ましくは1と15の間であり;
−R”基は、同一でありまたは異なり、炭素原子1から35個を含む炭化水素系基を表し;また
−A”基は、同一でありまたは異なり、炭素原子2から4個を含む直鎖もしくは分枝鎖アルキレン基を表す。]
を有することを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)において、R”基が、C−C35、好ましくはC−C20のアルキル、アルキルアリール、ポリアルキルアリールまたは(ポリアリールアルキル)アリール基であり、前記アルキル基が、直鎖もしくは分枝鎖、飽和もしくは不飽和であり得ることを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
式(I)において、R”基が、炭素原子8から26個を含有し、直鎖もしくは分枝鎖である、1個以上のエチレン性不飽和基を有するアルキルまたはアルケニル基であることを特徴とする、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
式(I)において、R”基が、ステアリル、オレイル、リノレイルまたはリノレニル;ノニルフェニル、モノスチリルフェニル、ジスチリルフェニルまたはトリスチリルフェニルであることを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項6】
式(I)において、(O−A”)基が、オキシエチレン化、オキシプロピレン化もしくはオキシブチレン化基またはこれらの混合物に相当することを特徴とする、請求項2から5のいずれか一項に記載の使用。
【請求項7】
プラスチックが、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリマーを含む組成物であることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の使用。
【請求項8】
熱可塑性ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、またはポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンを主成分とすることを特徴とする、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
リン酸エステル化合物が、プラスチックを含む組成物中に含まれることを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の使用。
【請求項11】
プラスチックが、成形される粉末の形態、押出しおよび/またはブロー成形および/または射出成形された物品の形態、フィルムの形態、または必要に応じて織布もしくは不織布表面材として集成される繊維、糸もしくはフィラメントの形態である熱可塑性ポリマーを含む組成物であることを特徴とする、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
親水化剤と熱可塑性ポリマーの間の重量比が0.5/99.5と10/90の間、より具体的には1/99と3/97の間であることを特徴とする、請求項10または11に記載の使用。
【請求項13】
組成物が、熱可塑性ポリマーを含む組成物であり、また親水化剤および熱可塑性ポリマーを溶融ブレンドするステップにより得られることを特徴とする、請求項11または12に記載の使用。
【請求項14】
親水化剤が、溶融前の熱可塑性ポリマーとのブレンドによって、溶融した熱可塑性ポリマーへの直接導入によって、および/またはマスターバッチを経て、必要に応じて他の成分、例えば充填材または安定剤と一緒に熱可塑性ポリマーとブレンドされることを特徴とする、請求項13に記載の使用。
【請求項15】
リン酸エステル化合物が、前記親水化剤を含む処理組成物を、プラスチックの一表面の全部もしくは一部に塗布するステップによって使用されることを特徴とする、請求項1から9の一項に記載の使用。
【請求項16】
親水化剤が、溶媒およびポリビニルアルコールを含む溶液の形態で塗布されることを特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
ポリビニルアルコールの含量が、0.01重量%と10重量%の間、好ましくは0.2重量%と5重量%の間であることを特徴とする、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
有機プラスチック、特に熱可塑性ポリマー、および酸の形態におけるもしくは塩の形態における、ポリアルコキシル化されていてもよいリン酸エステルから選択される化合物を含む組成物。
【請求項19】
親水化剤が、下記の式(I):
[R”−(O−A”)−O]x”−P(=O)(OM)x”、(I)
[式中、
−Mは、プロトン、カチオンまたは混合物から選択され;
−x’およびx”は、x’およびx”の合計が3に等しいという条件で、1または2に等しく;
−y(平均値である。)は、0と100の間であり、好ましくは1と15の間であり;
−R”基は、同一でありまたは異なり、炭素原子1から35個を含む炭化水素系基を表し;また
−A”基は、同一でありまたは異なり、炭素原子2から4個を含む直鎖もしくは分枝鎖アルキレン基を表す。]
を有することを特徴とする、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
式(I)において、R”基が、C−C35、好ましくはC−C20のアルキル、アルキルアリール、ポリアルキルアリールまたは(ポリアリールアルキル)アリール基であり、前記アルキル基が、直鎖もしくは分枝鎖、飽和もしくは不飽和であり得ることを特徴とする、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
式(I)において、R”基が、炭素原子8から26個を含有し、直鎖もしくは分枝鎖である、1個以上のエチレン性不飽和基を有するアルキルまたはアルケニル基であることを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
式(I)において、R”基が、ステアリル、オレイル、リノレイルまたはリノレニル;ノニルフェニル、モノスチリルフェニル、ジスチリルフェニルまたはトリスチリルフェニルであることを特徴とする、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
式(I)において、(O−A”)基が、オキシエチレン化、オキシプロピレン化もしくはオキシブチレン化基またはこれらの混合物に相当することを特徴とする、請求項18から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
プラスチックが、熱可塑性ポリマー、または熱可塑性ポリマーを含む組成物であることを特徴とする、請求項18から23の一項に記載の組成物。
【請求項25】
熱可塑性ポリマーが、ポリエステル、ポリアミド、またはポリエチレンおよびポリプロピレンなどのポリオレフィンから選択されることを特徴とする、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレンを主成分とすることを特徴とする、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
リン酸エステル化合物が、プラスチックを含む組成物中に含まれることを特徴とする、請求項18から26の一項に記載の組成物。
【請求項28】
親水化剤と熱可塑性ポリマーの間の重量比が0.5/99.5と10/90の間、より具体的には1/99と3/97の間であることを特徴とする、請求項18から27の一項に記載の組成物。
【請求項29】
プラスチックが、成形される粉末の形態、押出しおよび/またはブロー成形および/または射出成形された物品の形態、フィルムの形態、または必要に応じて織布もしくは不織布表面材として集成される繊維、糸もしくはフィラメントの形態である熱可塑性ポリマーを含む組成物であることを特徴とする、請求項28に記載の組成物から調製された物品。
【請求項30】
乳児用おむつ、女性衛生製品または成人失禁を処理する製品に含まれる布地表面材であることを特徴とする、請求項29に記載の物品。

【公表番号】特表2011−500929(P2011−500929A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530406(P2010−530406)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063959
【国際公開番号】WO2009/053306
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(508183151)ロデイア・オペラシヨン (70)
【Fターム(参考)】