説明

有機化合物

【課題】新規結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリン;それを含む組成物;その製造法;および温血動物、とりわけヒトの診断法または治療的処置における、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの使用を提供することが本発明の課題である。本発明は無定形形態のN−ベンゾイル−スタウロスポリン;それを含む組成物;その製造法;および温血動物、とりわけヒトの診断法または治療的処置における、無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンの使用にも関する。
【解決手段】本発明は、スタウロスポリンと安息香酸無水物を反応させることによる、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法を提供することにより上記課題を解決する。この方法は、所望により、無定形または結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンのいずれかを製造するために、反応溶液に種晶添加する工程をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリン、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを含む組成物、および温血動物、とりわけヒトの診断法または治療的処置における結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの使用に関する。
【0002】
本発明は、無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリン、無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法、無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンを含む組成物、および温血動物、とりわけヒトの診断法または治療的処置における無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
薬剤N−ベンゾイル−スタウロスポリンは抗腫瘍剤として使用されている。一般に、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法は当分野で既知である。しかしながら、同じ薬剤の異なる結晶多形(polymorphic form)が、ある薬学的に重要な特性に著しい差異を有し得ることも知られている。従って、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの新規固体形態および新規製造法が必要とされ続けている。
【発明の概要】
【0004】
発明の要約
一つの局面によって、本発明は結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを提供する。好ましくは、本結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンは、図1に記載の通り8.7±0.2の屈折角2シータ(θ)でピークを有するX線回折パターンを有する。
【0005】
さらに別の局面によって、本発明は、固体形態のN−ベンゾイル−スタウロスポリンを含み、ここで、少なくとも80重量%の該固体N−ベンゾイル−スタウロスポリンが、図1に記載の通り8.7±0.2の屈折角2θでピークを有するX線回折パターンを有する、その結晶形IIである、組成物を提供する。種々の態様および変形が提供される。
【0006】
さらに別の局面によって、本発明は、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンおよび薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、本医薬組成物は経口投与用である。
【0007】
さらに別の局面によって、本発明はまた無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリン、無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法および無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンを含む組成物に関する。
【0008】
他の局面によって、本発明は予防的または治療的有効量の無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンおよび1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。本発明のこの局面の医薬組成物は、例えば、経口投与用に製剤され得る。
【0009】
さらに別の局面によって、本発明はスタウロスポリンの精製法を提供する。
【0010】
さらに別の局面によって、本発明は、スタウロスポリンと安息香酸無水物を反応させることによる、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法を提供する。この方法は、所望により、無定形または結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンのいずれかを製造するために、反応溶液に種晶添加する工程をさらに含む。
【0011】
さらに別の局面によって、本発明は、N−ベンゾイル−スタウロスポリンを含む溶液の噴霧乾燥を含む、無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法を提供する。
【0012】
予防的または治療的有効量の記載の方法で製造した無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリン、および1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物も提供される。
【0013】
さらに別の局面によって、本発明は:
(a)プロトン性または非プロトン性溶媒のいずれか中のN−ベンゾイル−スタウロスポリンの溶液を提供し;
(b)結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを種晶添加し、そして該反応混合物をアルコール溶媒と接触させて沈殿を形成させ;そして
(c)結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンである沈殿を単離する
工程を含む、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法を提供する。種々の態様および変形が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンのX線粉末回折図を示す。
【図2】図2は結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの特徴的赤外スペクトルを示す。
【図3】図3は、純粋に無定形形態のN−ベンゾイル−スタウロスポリンのX線粉末回折図を示す。
【図4】図4は、本質的に無定形形態のN−ベンゾイル−スタウロスポリンのX線粉末回折図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の詳細な記載
特記されない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に共通して理解されているのと同じ意味を有する。ここに記載のものと類似のまたは同等な任意の方法および材料を、本発明の実施または試験において使用できるが、好ましい方法および材料を記載する。
【0016】
本発明の目的のために、下記用語を以下に定義する。
【0017】
結晶化合物をここでは“結晶形II”と命名し、以後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンと呼ぶ。それはX線粉末回折、および/または赤外分光学を介して特徴付けられる。下記にさらに記載する。
【0018】
“薬学的に許容される”は、それが一般に非毒性であり、生物学的に望まれないものではない医薬組成物の製造に有用であることを意味し、獣医学での使用および/またはヒト医薬での使用に許容されるものを含む。
【0019】
“貧溶媒”は、既存の物質の溶液に添加したとき、該物質の溶解度を減少させる溶媒である。
【0020】
用語“組成物”は、粉末、溶液、懸濁液、ジェル、軟膏、エマルジョンおよび/またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されない。用語組成物は、特異的量の特異的成分を含む製品、ならびに、特異的量の特異的成分の組合せから、直接的または間接的にもたらされる全ての製品を含むことを意図する。“組成物”は1種の化合物または化合物の混合物を含み得る。“化合物”は同じ化学構造の分子を含む、化学物質である。
【0021】
用語“医薬組成物”は、活性成分(複数もある)、担体を構成する薬学的に許容される賦形剤を含む製品、ならびに2種以上の成分の組合せ、複合体化または凝集から、または1種以上の成分の解離から、または1種以上の成分の他のタイプの反応もしくは相互作用から、直接的または間接的にもたらされる全ての製品を含むことを意図する。従って、本発明の医薬組成物は、活性成分、付加的活性成分(複数もある)および薬学的に許容される賦形剤の混合により製造された全ての組成物を含む。
【0022】
用語“賦形剤”は、増量剤、希釈剤および担体のような活性成分ではない医薬製品の成分を意味する。医薬組成物の製造に有用な賦形剤は、好ましくは一般に安全であり、非毒性でありそして、生物学的にまたはその他でも望まれないものではなく、そして、獣医学での使用ならびにヒト医薬での使用に許容される。本明細書および特許請求の範囲において使用する“薬学的に許容される賦形剤”は、このような賦形剤の1種または1種以上の両方を含む。
【0023】
“治療的有効量”は、疾患の治療または予防のために投与したとき、疾患に対するこのような処置または予防を達成するのに十分な、化合物の量を意味する。“治療的有効量”は、化合物、疾患およびその重症度ならびに処置すべき患者の年齢、体重などに依存して変化する。
【0024】
化学反応について言及するとき、用語“処理”、“接触”および“反応”は、ここでは交換可能に使用され、指示されたおよび/または所望の生成物を産生するために適当な条件下で、2種以上の試薬を添加または混合することを意味する。指示されたおよび/または望む生成物を産生する反応は、必ずしも最初に添加した2種の薬剤の組合せから直接もたらさなくてもよく、すなわち、最終的に指示されたおよび/または望む生成物の形成に至る混合物で産生される1種以上の中間体が存在してよいことは認識されよう。
【0025】
ここで使用する組成物に関連する用語“実質的に存在しない”は、該組成物に存在しない物質が、当業者に既知の方法で検出されないことを意味する。
【0026】
用語“無定形”は、結晶性不純物が実質的に存在しないか、または相当量の結晶性不純物を含み得ることを意味する。相当量の結晶性物質を不純物として含む無定形物質は、ここでは、“本質的に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリン”と呼ぶ。図4に図説する通り、結晶性不純物の存在は、実質的に結晶性物質が存在しない無定形形態に典型的な良好なハロー形(halo shape)パターンを不可能にする。結晶形態を実質的に含まない無定形物質は、ここでは、“純粋に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリン”と呼ぶ。図3はこの形態のX線回折図パターンを図説し、これはハロー形のパターンが結晶構造の実質的な不存在を図説する。ピークは特に結晶形態に特徴的な領域で欠失している。
【0027】
本例は、“本質的に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリン”および“純粋に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリン”の両方を得るための方法をさらに図説する。
【0028】
N−ベンゾイル−スタウロスポリンは(9α,10β,11β,13α)−N−(2,3,10,11,12,13−ヘキサヒドロ−10−メトキシ−9−メチル−1−オキソ−9,13,−エポキシ−1h,9H−ジインドロ[1,2,3−gh:3',2',1'−1m]ピロロ[3,4−j][1,7]ベンゾジアゾニン−11−イル)−N−メチル−ベンズアミド)として知られ、下記化学構造を有する:
【化1】

【0029】
全体を引用により本明細書に包含する米国特許5,093,330('330特許)は、N−ベンゾイル−スタウロスポリンを請求している。本発明は、とりわけ特定の形態、好ましくは以後式(I)の化合物の結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリン誘導体と呼ぶもの、および無定形形態のN−ベンゾイル−スタウロスポリンに関する。
【0030】
同じ薬剤の異なる固体形態は、薬剤としてのそれらの使用に関して機能的に関係がある特徴を含み、異なる特性を示し得て、溶解速度およびバイオアベイラビリティのような薬学的に重要な特性において実質的な差異を有し得る。同様に、異なる多形は、市販品の活性医薬としてのそれらの適性に影響し得る、異なる加工特性、例えば吸湿性(hydroscopicity)、流動性などを有し得る。
【0031】
X線粉末回折パターンはBragg-Brentanoパラフォーカシング・ジオメトリー(parafocusing geometry)を使用して、Scintag INC X 1上で測定した。図1に記載するX線回折パターンを、表1に要約する。
【表1】

【0032】
観察される2θの角度または間隔値におけるわずかな変化が、用いる具体的な回折計、検体およびサンプル調製技術に基づき予測されることは注意すべきである。より大きな変化は、相対ピーク強度について予測される。化合物の正確な結晶形の同定は、主に観察された2θの角度に基づくべきであり、相対ピーク強度についてはそれより重要性は低い。
【0033】
幾分かの誤差の余地が、ここに報告する2θ角割り当ての各々に存在する。割り当てられた誤差の余地は、好ましい変法において、本結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの各ピーク割り当てについて約±0.2である。
【0034】
本結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンはまた赤外分光学により特徴付けられ得る。本結晶形IIは、赤外(IR)分光分析において、図2に記載の通りの特徴的吸収パターンを示す。IR分光分析は、Bruker IFS-55で測定した。本結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンは、IR分光分析において約789、773、743、704、1066、1026、1458、1398、1383、1602、1577、1497、1627、1680、2934および3055cm−1に特徴的吸収を有し、それは他の結晶多形のものから区別できる。幾分かの誤差の余地が、ここに報告する特徴的吸収の各々に存在する。特徴的吸収における割り当てられた誤差の余地は、1900−800cm−1の範囲内で、約2cm−1である。
【0035】
1種以上の物理的特性および/または分光学的特性は、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの結晶または結晶多形の特徴付けの基礎であり得る。
【0036】
本発明はまた、固体N−ベンゾイル−スタウロスポリンを含み、それが、組成物中の固体N−ベンゾイル−スタウロスポリンの総重量で少なくとも80%がその結晶形IIである、組成物を提供する。この組成物の好ましい形態は、医薬品の製剤における活性成分としての使用に適した固体N−ベンゾイル−スタウロスポリン粉末である。組成物中の固体N−ベンゾイル−スタウロスポリンの残り、すなわち、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの総重量の20%またはそれ未満は、例えば、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの他の結晶形態であり得る。一つの特異的態様において、本組成物は、組成物中の固体N−ベンゾイル−スタウロスポリンの総重量に関して少なくとも90%の結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを含む。他の特異的態様において、本組成物は、組成物中の固体N−ベンゾイル−スタウロスポリンの総重量に関して少なくとも95%の結晶形IIを含む。
【0037】
他の局面において、本発明はまたスタウロスポリンの精製法を提供する。本発明は何等特異的理論に縛られないが、本発明者らは下記工程を含むことを発見した:
(a)アルコール溶媒中のスタウロスポリンの懸濁液を提供し;
(b)該懸濁液とメタンスルホン酸を接触させて溶液を得て;
(c)さらに該溶液とトリエチルアミンを接触させ;そして
(d)生成物を単離する。
【0038】
本工程はプロトン性または非プロトン性溶媒中で生成物を洗浄する工程をさらに含む。プロトン性溶媒の非限定的例はエタノールであり、非プロトン性溶媒の非限定的例はテトラヒドロフラン(THF)である。本発明はまた:
(a)プロトン性または非プロトン性溶媒のいずれか中の粗スタウロスポリンの溶液を提供し;
(b)本溶液に精製スタウロスポリンを種晶添加し;
(c)該反応混合物とアルコール溶媒を接触させて、沈殿を形成させ;そして
(d)精製スタウロスポリンである生成物を単離する
工程を含む、方法を提供する。
【0039】
出発物質の精製後、本物質を結晶形IIまたは無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンのいずれかに変換できる。本物質は結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンに変換でき、その方法は:
(a)エタノールのようなアルコール溶媒中のスタウロスポリンを安息香酸無水物と反応させ;そして
(b)該反応溶液に結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを種晶添加して生成物を産生させ;
(c)結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンである生成物を単離する
工程を含む。
本物質は:
(a)エタノールまたはTHFのような溶媒中のスタウロスポリンと安息香酸無水物を反応させ;そして
(b)該反応物に無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンを種晶添加して生成物を産生させ;
(c)無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンである生成物を単離する
工程により、無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンに変換できる。
【0040】
本生成物を溶媒で複数回洗浄し、本質的に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリンを産生し得る。
【0041】
噴霧乾燥の技術も、純粋に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造のために使用できる。
【化2】

【0042】
本発明はまた、本質的に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリンを含む組成物を提供する。本発明はまた、純粋に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリンを含む組成物を提供する。
【0043】
結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法も提供する。本方法は:
(a)プロトン性または非プロトン性溶媒のいずれか中のN−ベンゾイル−スタウロスポリンの溶液を提供し;
(b)本溶液に結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを種晶添加し;
(c)該懸濁液とアルコール溶媒を接触させて沈殿を形成させ;そして
(d)結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンである沈殿を単離する
工程を含む。
【0044】
プロトン性または非プロトン性溶媒の非限定的例を、下記表に挙げる:
【表2】

【0045】
上に同定した溶媒から得られた中から弱強度である結晶形IIのX線粉末回折図のピークは、結晶格子構造内の異なる溶媒分子の存在のために、幾分変化を示し得る。
【0046】
一つの態様において、N−ベンゾイル−スタウロスポリンをベンジルアルコールに溶解し、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの結晶の種晶添加および貧溶媒としてのエタノールの添加により沈殿させ、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを得る。この方法は非常に再現性があり、得られる結晶性生成物は良好に濾過される。B6中に残る残留溶媒は、ほぼベンジルアルコールの4.3%wt/wtおよびエタノールの0.5−1%wt/wtである。本方法は、模式的に:
【化3】

【0047】
個々の結晶形態の選択的製造における上記条件は、決定的ではない。一般に、例えば、式(I)の化合物対溶媒および貧溶媒の重量比のようなパラメータを変えることは可能である。
【0048】
また提供されるのは、結晶形IIまたは無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンおよび薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物である。本活性化合物に加えて、本医薬組成物は、通常薬理活性はないが、例えば、医薬組成物の安定性、無菌性、バイオアベイラビリティおよび製剤の容易性を高め得る種々の有用な特性を有する、1種以上の薬学的に許容される担体(賦形剤としても既知)を含む。これらの担体は、適切に摂取されたときにヒトまたは動物に対して有害ではなく、所定の製剤中の他の成分と融和性であることを意味する、薬学的に許容される。本担体は、固体、半固体または液体であり得、そして、化合物と大量に製剤でき、しかし最終的に投与単位製剤に、すなわち、錠剤またはカプセルのような一定量の活性成分を含むまで物理的に分けられる。本医薬組成物は、本発明の化合物に加えて、1種以上の活性医薬化合物を含み得る。
【0049】
本医薬組成物は懸濁液、溶液、エリキシル、エアロゾルまたは固体投与形態の形であり得る。
【0050】
本医薬組成物は、吸入、経口、直腸、非経腸(皮下、皮内、筋肉内および静脈内を含む)、インプラントおよび経皮投与を含むが、これらに限定されない種々の投与形態に適した種々の製剤のために意図される。ある場合の最も適した投与経路は、対象の状態の持続時間、望む処置の長さ、処置している状態の性質および重症度、および使用している特定の製剤に依存する。本製剤は、大量または単位投与形態であり得、製剤の分野で既知の方法により製造できる。
【0051】
単位投与形態に含まれる活性成分の量は、その中に活性成分が存在する製剤のタイプに依存する。医薬組成物は、一般に経口投与のために約0.1重量%から約99重量%、好ましくは約1重量%から50重量%の活性成分を、および非経腸投与のために約0.2重量%から約20重量%の活性成分を含む。
【0052】
経口投与に適当な製剤は、カプセル(硬および軟)、カシェ剤、ロゼンジ、シロップ、および錠剤を含み、この各々予定量の化合物を;粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として;または水中油型または油中水型エマルジョンとして含む。このような製剤は、活性化合物と適当な1種または多種の担体を会合させる工程を含む、適当な調剤法で製造できる。固体製剤の単位投与あたりの活性成分の量は、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造について先行文献に記載の通りであり得る。
【0053】
他の局面において、本発明はまた本発明の化合物および医薬組成物を使用した処置法を提供する。本発明の化合物および組成物を、'330特許に記載の状態の処置および予防に使用するために有効量で対象に投与し得る。対象はヒトまたは動物、好ましくはヒトを意味する。本発明で意図される動物は、本発明の化合物により安全に処置できる全ての動物を含む。最も顕著なのは、本結晶形IIおよび無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンが、タンパク質キナーゼC(PKC)阻害の結果として高い抗増殖および抗腫瘍活性を示し、これは癌処置のために非常に有用であり得る。さらに、それらの非常に選択的かつ強力なPKC阻害は、同様に耐容性のレジメンで、患者のための優れた臨床結果、すなわち、疾患進行の遅延または抑制をもたらし得る。可能性のある適用は、種々の固形腫瘍およびより具体的には例えば乳癌、結腸癌、卵巣癌および白血病を含む。加えて、PKC活性により影響を受け得る他の適応症をこれらの組成物により効率的に処置し得、一般に現在用いられている癌化学療法および炎症性疾患で大きな問題である多剤耐性(MDR)を含む。
【0054】
本発明は、とりわけ上記疾患の1個の処置のための、またはその処置のための薬剤の製造における、ここに記載の結晶形IIおよび無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンに関する。
【0055】
本発明は、上記疾患、とりわけ腫瘍疾患を有する温血動物の処置法であって、関連する疾患に対して有効である一定量の、とりわけ抗増殖性およびとりわけ腫瘍阻害効果を有する量の、結晶形IIまたは無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンを、このような処置を必要とする温血動物に投与する方法に関する。本発明は、さらに上記PKCの阻害のための、またはヒトまたは動物の処置に、とりわけ種々の固形腫瘍およびより具体的に、例えば、乳癌、結腸癌、卵巣癌および白血病の処置において使用するための医薬組成物の製造のための、結晶形IIまたは無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンの使用に関する。種、年齢、個々の状態、投与形態および問題の臨床像に依存して、有効量、例えば、約1−2500mg、好ましくは1−1000mg、とりわけ5−500mgの一日量を、体重約70kgの温血動物に投与する。
【0056】
本発明は、有効量、とりわけ上記疾患の予防または処置のための有効量の結晶形IIまたは無定形の式(I)のN−ベンゾイル−スタウロスポリンを、局所;経腸、例えば、経口または直腸;または非経腸投与に適当であり、無機または有機および固体または液体であり得る薬学的に許容される担体と共に含む医薬製剤にも関する。とりわけ本活性物質を希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリセリン;および/または滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはその塩、典型的にステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム;および/またはPEGと共に含む錠剤またはゼラチンカプセルが、経口投与のために使用される。錠剤は、同様に結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプン、典型的にコーン、小麦またはコメデンプン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;および、望むのであれば、崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸またはその塩、典型的にアルギン酸ナトリウム;および/または起沸性混合物、または吸着剤、着色剤、香味剤および甘味剤を含み得る。本発明の薬理学的活性化合物は、さらに非経腸投与用製剤または輸液用溶液の形で使用し得る。このような溶液は、好ましくは等張性水性溶液または懸濁液であり、これらは、例えば、本活性物質を単独でまたは担体、例えば、マンニトールと共に含む凍結乾燥製剤の場合、投与前に製造することも可能である。本医薬物質は滅菌してよくおよび/または賦形剤、例えば、防腐剤、安定化剤、湿潤剤および/または乳化剤;可溶化剤;浸透圧調整用塩;および/または緩衝剤を含んでよい。望むのであれば、さらに抗生物質のような薬理学的活性物質を含み得る本医薬組成物を、それ自体既知の方法で、例えば、慣用の混合、造粒、コーティング、溶解または凍結乾燥法の手段により製造し、約1−100%、とりわけ約1%から約20%の1種もしくは多種の活性物質を含む。
【0057】
本発明を、本化合物の製造および本発明の組成物の製造、ならびにそれらの有用性について詳細に記載している下記実施例の引用によりさらに適宜する。当業者には、材料および方法の両方について多くの修飾が、本発明の目的および関心事から逸脱することなく為し得ることは、当業者には明白である。下記の実施例は、上記でまたは添付の特許請求の範囲で定義した通りの本発明の範囲を限定する意図はない。
【実施例】
【0058】
実施例1 メタンスルホン酸およびトリエチルアミンを使用したスタウロスポリンB1からのスタウロスポリンB2の精製
反応容器にスタウロスポリンB1およびエタノールを入れる。本懸濁液を約70℃に加熱する。メタンスルホン酸を本懸濁液に添加し、得られた溶液をさらに撹拌する(aged)。活性炭およびHyfloを添加し、混合物をさらに撹拌する。本懸濁液を濾過し、濾過器およびフィルターケーキをエタノールで数回洗浄する。透明濾液を他の反応容器に移し、約60℃に冷却する。エタノールで希釈したトリエチルアミンを、本反応混合物にゆっくり添加する。その後、本懸濁液を約20℃に冷却し、さらに撹拌する。スタウロスポリンB2を濾過により単離する。本生成物をエタノールで数回濯ぐ。
【0059】
実施例2 結晶化を介した粗スタウロスポリンB1からスタウロスポリンB2への精製
反応容器にスタウロスポリンB1およびベンジルアルコールを入れる。本懸濁液を約85℃に加熱し、さらに撹拌する。活性炭およびHyfloを溶液に添加し、本混合物を再びさらに撹拌する。本懸濁液を約90℃で濾過する。濾過器およびフィルターケーキをベンジルアルコールで数回洗浄する。透明濾液を他の反応容器に移し、約70℃に冷却する。本溶液にエタノール中に懸濁させたスタウロスポリンB2を種晶添加する。その後、エタノールを本懸濁液に添加し、本懸濁液をさらに撹拌し、次いで約0℃に冷却する。本懸濁液を少なくとも2時間、約0℃で再びさらに撹拌する。スタウロスポリンB2を濾過により単離する。本生成物をエタノールで数回濯ぐ。
【0060】
実施例3 本質的に無定形のN−ベンゾイル−スタウロスポリンを製造するための、スタウロスポリンB2のベンジル化
反応容器にスタウロスポリンB2と安息香酸無水物、エタノールおよび水を入れる。本反応混合物を約70℃に加熱し、さらに撹拌する。本溶液を濾過し、濾過器およびフィルターケーキをエタノールで数回洗浄する。本濾液を他の反応容器に移し、約60℃に冷却する。水を、本溶液にゆっくり添加する。本溶液に無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンを種晶添加する。本懸濁液をさらに撹拌し、次いで約20℃に冷却し、その後再びさらに撹拌する。N−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。N−ベンゾイル−スタウロスポリンの湿ったケーキを無水エタノールで数回濯ぐ。この湿ったケーキを次いで、濾過器中で、エタノールに再懸濁し、約25℃でさらに撹拌し、次いで約0−5℃に冷却し、再びさらに撹拌する。この方法を数回繰り返す。N−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。この湿ったケーキを約40℃の外部温度および約10−20mbarの真空で、約24時間真空オーブンで乾燥させ、生成物を得る:35−40gの乾燥ケーキ:27g 未精製(theory quell)。収率:B1 100%に関して理論値の約82%。
【0061】
上記反応におけるエタノールの使用を、THFに置き換え得る。
【0062】
実施例4 結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB4の製造のためのスタウロスポリンB2のベンジル化
反応容器にスタウロスポリンB2と安息香酸無水物、無水エタノールおよび水を入れる。本反応混合物を約70℃に加熱し、さらに撹拌する。この反応時間の終わりに、本反応混合物に無水エタノールに懸濁させた結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを種晶添加する。再びさらに撹拌し、無水エタノールおよび水を、本懸濁液にゆっくり添加する。本懸濁液を再びさらに撹拌し、次いで約0℃に冷却し、その後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。N−ベンゾイル−スタウロスポリンの湿ったケーキを無水エタノールで数回濯ぎ、次いで外部温度60℃で約5−30mbarの真空の真空オーブンで約16時間乾燥させて、生成物を得る:39.70g、乾燥ケーキ:27.2g 未精製。収率:B1 100%に関して、理論値の約91.5%。
【0063】
実施例5 ベンジルアルコールおよびエタノールを使用した、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造
反応容器に粗N−ベンゾイル−スタウロスポリンおよびベンジルアルコールを入れる。混合物を85℃に加熱し、本溶液をその後さらに撹拌する。本溶液を約70℃に冷却し、次いでエタノールに懸濁させた精製した結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB6を種晶添加する。その後、エタノールを添加し、本懸濁液をさらに撹拌し、次いで約0℃に冷却し、その後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。この湿ったケーキをエタノールで数回濯ぎ、乾燥させる。
【0064】
実施例6 酢酸およびエタノールを使用した、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造
反応容器に粗N−ベンゾイル−スタウロスポリンおよび酢酸を入れる。本混合物を約70℃に加熱し、本溶液をその後さらに撹拌する。本溶液に次いで、エタノールに懸濁させた精製した結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB6を種晶添加する。その後、エタノールを本懸濁液に添加し、本懸濁液をさらに撹拌し、次いで約20℃に冷却し、その後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。この湿ったケーキをエタノールで数回濯ぎ、乾燥させる。
【0065】
実施例7 PEGを使用した結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造
反応容器に粗N−ベンゾイル−スタウロスポリンおよびPEGを入れる。本混合物を約90℃に加熱し、本溶液をその後さらに撹拌する。本溶液を約70℃に冷却し、エタノールに懸濁させた精製した結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB6を種晶添加する。その後、1:1比のエタノール/水をゆっくり添加し、本懸濁液を次いでさらに撹拌し、その後20℃に冷却する。結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。この湿ったケーキをエタノールで数回濯ぎ、乾燥させる。
【0066】
実施例8 DMSOを使用した、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造
反応容器にN−ベンゾイル−スタウロスポリンおよびDMSOを入れる。本混合物を約70℃に加熱し、本溶液をその後さらに撹拌し、次いでエタノールに懸濁させた精製した結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB6を種晶添加する。その後、エタノールを本懸濁液に添加し、本懸濁液を70℃でさらに撹拌し、次いで約20℃に冷却する。本懸濁液を再びさらに撹拌し、その後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。本生成物をエタノールで数回濯ぎ、乾燥させる。
【0067】
実施例9 DMFを使用した、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造
反応容器にN−ベンゾイル−スタウロスポリンおよびDMFを入れる。本混合物を約70℃に加熱し、さらに撹拌し、次いでエタノール中の結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB8を種晶添加する。その後、エタノールを本懸濁液に添加し、本懸濁液を約70℃でさらに撹拌し、次いで約20℃に冷却する。本懸濁液を再びさらに撹拌し、その後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。本生成物をエタノールで数回濯ぎ、乾燥させる。
【0068】
実施例10 THFを使用した、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造
反応容器に無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンおよびTHFを入れる。本混合物を約65℃に加熱し、さらに撹拌し、次いでTHF中の結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB6を種晶添加する。本懸濁液をさらに撹拌し、次いで約20℃に冷却し、再びさらに撹拌して、その後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。本生成物をTHFで数回濯ぎ、乾燥させる。
【0069】
実施例11 エタノールを使用した、結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造
反応容器に無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンおよびエタノールを入れる。本混合物を約70℃に加熱し、さらに撹拌し、次いでエタノール中の結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンB6を種晶添加する。本懸濁液をさらに撹拌し、次いで約20℃に冷却し、再びさらに撹拌し、その後結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンを濾過により単離する。本生成物をエタノールで数回濯ぎ、乾燥させる。
【0070】
実施例12 無定形PKC412を得るための、噴霧乾燥実験
供給溶液を、10gのPKC412(結晶形II)を約160gのジクロロメタンに溶解することにより、製造する。この供給物は、液滴に容易に霧化でき、その液滴から有機溶媒が加熱窒素による乾燥チャンバー中で蒸発し、無定形PKC412の形成がもたらされる。入口温度を60℃に設定し、一方出口温度を40℃に設定する。噴霧乾燥後の残存溶媒含量は、約1%w/wであった。PKC412をさらに真空下乾燥させ、無溶媒物質を得る。
【0071】
実施例13 無定形PKC412を得るための、噴霧乾燥実験
供給溶液を、7gのPKC412(結晶形II)を約400gのTHFに溶解することにより、製造した。この供給物は、液滴に容易に霧化でき、その液滴から有機溶媒が加熱窒素による乾燥チャンバー中で蒸発し、無定形PKC412の形成がもたらされる。入口温度を110−120℃に設定し、一方出口温度を70−80℃に設定する。噴霧乾燥後の残存溶媒含量は、約3%w/wである。PKC412をさらに真空下乾燥させ、無溶媒物質を得る。
【0072】
実施例14 無定形PKC412を得るための、噴霧乾燥実験
供給溶液を、7gのPKC412(結晶形II)を約350gのエタノール/酢酸 70:30w/wに溶解することにより、製造する。この供給物は、液滴に容易に霧化でき、その液滴から有機溶媒が加熱窒素による乾燥チャンバー中で蒸発し、無定形PKC412の形成がもたらされる。入口温度を215℃に設定し、一方出口温度を120℃に設定する。噴霧乾燥後の残存溶媒含量は0.5%未満である。さらなる通常の乾燥は必要ではない。
【0073】
実施例15 結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンの錠剤
表題に挙げた100mgの活性物質を含む錠剤を、通常、下記組成で製造する:
【表3】

【0074】
製造:本活性物質を担体と混ぜ、打錠機上で圧縮する(Korsch EKO、パンチ直径10mm)。
【0075】
Avicelは微結晶セルロース(FMC, Philadelphia, USA)である。
【0076】
PVPPXLは、架橋ポリビニルポリピロリドン(BASF, Germany)である。
【0077】
Aerosilは二酸化ケイ素(Degussa, Germany)である。
【0078】
実施例16 結晶形IIのN−ベンゾイル−スタウロスポリンのカプセル
表題に挙げた100mgの化合物を含むカプセルを、通常、下記組成で製造する:
【表4】

【0079】
カプセルを、成分を混ぜ、サイズ1の硬ゼラチンカプセルに充填することにより製造する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)アルコール溶媒中のスタウロスポリンの懸濁液を提供し;
(b)該懸濁液とメタンスルホン酸を接触させ;
(c)さらに該溶液とトリエチルアミンを接触させ;そして
(d)生成物を単離する
工程を含む、スタウロスポリンの精製法。
【請求項2】
単離した生成物をアルコール溶媒で洗浄する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該アルコール溶媒がエタノールである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(a)第一溶媒中のスタウロスポリンの溶液を提供し;
(b)第二溶媒中で該溶液に精製スタウロスポリンを種晶添加し;そして
(c)生成物を単離する
工程を含む、スタウロスポリンの精製法。
【請求項5】
第一溶媒がベンジルアルコール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸またはポリエチレングリコール(PEG)から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
第二溶媒がエタノール、テトラヒドロフラン(THF)またはエタノール水溶液から選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
(a)スタウロスポリンと安息香酸無水物を反応させて溶液を形成させ;
(b)該溶液に無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンを種晶添加し;そして
(c)生成物を単離する
工程を含む、N−ベンゾイル−スタウロスポリンの製造法。
【請求項8】
該生成物を噴霧乾燥する工程をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法により製造した無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンである、化合物。
【請求項10】
無定形N−ベンゾイル−スタウロスポリンである、化合物。
【請求項11】
図3に示すものと実質的に同じX線回折パターンを有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
図4に示すものと実質的に同じX線回折パターンを有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
(a)請求項10に記載の化合物;および
(b)薬学的に許容される担体または希釈剤
を含む、医薬組成物。
【請求項14】
1種以上の薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
経口投与に適した投与形態である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
該投与形態が錠剤、カプセルまたは溶液から選択される、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
腫瘍疾患の処置用薬剤の製造のための、請求項10−12のいずれかに記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−149099(P2012−149099A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−109447(P2012−109447)
【出願日】平成24年5月11日(2012.5.11)
【分割の表示】特願2007−539535(P2007−539535)の分割
【原出願日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】