説明

有機廃棄物処理システム及びその運転方法

【課題】 堆肥化させる有機廃棄物の量を増やした場合であっても、大型の内燃機関を用いる必要のない有機廃棄物処理システム及びその運転方法を提供する。
【解決手段】 有機廃棄物Fを発酵させて堆肥化する堆肥化装置10と、堆肥化装置10から発生する臭気ガスGを燃料とともに燃焼して脱臭及び発電を行う脱臭発電装置20と、を有する有機廃棄物処理システムSにおいて、堆肥化装置10から排出される臭気ガスGから水分を除去した後に、脱臭発電装置20に送気される臭気ガスGの一部或いは全てを堆肥化装置10に戻し入れる戻入部42を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物を発酵させた際に発生する臭気ガスを脱臭するとともに発電を行う有機廃棄物処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
養鶏場や養豚場において発生する家畜糞(糞尿を含む)、又は生ゴミ等の有機廃棄物を発酵させて堆肥化する技術において、処理過程で発生する排ガスの悪臭対策は、大きな問題となっている。
例えば、水(あるいは薬液)洗浄法、オガ粉吸着法、微生物分解法等が知られているが、これらの脱臭方法は、水(薬液)処理を伴ったり、比較的広い敷地面積を必要としたりすることから、導入が困難な場合が多く、しかもアンモニア以外の臭気成分を除去することが難しい。
また、近年、臭気ガスを炉(脱臭炉)内で燃焼させて臭気成分を高温で熱分解する燃焼脱臭法が検討されているものの、燃焼装置及びその運転コストが高いため、普及は進んでいない。
そこで、特許文献1に示すように、堆肥化装置から発生する臭気ガスを内燃機関(ディーゼルエンジン)に導入して燃料とともに燃焼させることにより、臭気成分を高温で熱分解し、同時に、その内燃機関を駆動源として発電を行うことにより、低コスト化を図ることができる有機廃棄物処理システムが提案されている。
【特許文献1】特開2003−148186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した技術では、堆肥化させる有機廃棄物の量を増やすと、発生する臭気ガスの量も増大するので、大型の内燃機関を用意する必要がある。このため、装置コストが上昇してしまい、上記技術のメリットが薄れてしまうという問題がある。
また、堆肥化した有機廃棄物から発生する臭気ガスには、大量の水分が含まれているため、このような臭気ガスを内燃機関に取り込むと、不完全燃焼を引き起したり、内燃機関の寿命低下の原因となったりするという問題がある。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、堆肥化させる有機廃棄物の量を増やした場合であっても、大型の内燃機関を用いることなく、効率的に有機廃棄物の堆肥化と発電を行うことができる有機廃棄物処理システム及びその運転方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る有機廃棄物処理システム及びその運転方法では、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
第1の発明は、有機廃棄物を発酵させて堆肥化する堆肥化装置と、前記堆肥化装置から発生する臭気ガスを燃料とともに燃焼して脱臭及び発電を行う脱臭発電装置と、を有する有機廃棄物処理システムにおいて、前記堆肥化装置から排出される前記臭気ガスから水分を除去した後に、前記脱臭発電装置に送気される前記臭気ガスの一部或いは全てを前記堆肥化装置に戻し入れる戻入部を備えるようにした。
この発明によれば、脱臭発電装置の処理能力以上に堆肥化装置から臭気ガスが発生した場合であっても、臭気ガスの一部或いは全てを堆肥化装置に戻し入れることができるので、脱臭発電装置に処理能力に応じた臭気ガスを導入することができる。更に、臭気ガスを脱臭発電装置や堆肥化装置を気送するに先立って、臭気ガスに含まれる水分を除去しているので、脱臭発電装置の燃焼効率の向上や長寿命化を図ることができると共に、堆肥化装置における堆肥の発酵の促進を図ることができる。
【0006】
また、前記堆肥化装置から排出される前記臭気ガスに含まれる水分を分離する脱水処理部を備えるものでは、確実に臭気ガスに含まれる水分を除去することができる。
また、前記戻入部が、前記堆肥化装置の大気導入部に連結されるものでは、堆肥化装置から脱臭発電装置に臭気ガスを送気するガス送管と堆肥化装置に設けられた大気導入部とが連結されるので、臭気ガスの一部或いは全てを堆肥化装置に戻し入れることが容易に実現できる。
また、前記戻入部が、前記脱臭発電装置に設置されると共に前記臭気ガスの温度を計測する温度センサの計測結果に基づいて動作する制御弁を備えるものでは、堆肥化装置内で発生する臭気ガスの量が臭気ガスの温度に略比例することから、脱臭発電装置に臭気ガスの温度を計測する温度センサを設けることにより、臭気ガスの発生量を求めることができる。そして、求められた臭気ガスの発生量に応じて、脱臭発電装置に導入する臭気ガスの量と、堆肥化装置に戻し入れる臭気ガスの量とを最適に制御することができる。
【0007】
第2の発明は、有機廃棄物を発酵させて堆肥化する堆肥化装置と、前記堆肥化装置から発生する臭気ガスを燃料とともに燃焼して脱臭及び発電を行う脱臭発電装置と、を有する有機廃棄物処理方法システムの運転方法において、前記堆肥化装置から排出される前記臭気ガスに含まれる水分を除去すると共に、前記臭気ガスの発生量を計測し、その計測結果と前記脱臭発電装置のガス処理能力とに基づいて、前記脱臭発電装置に送気する前記臭気ガスの流量を制御するようにした。
この発明によれば、脱臭発電装置の処理能力以上に堆肥化装置から臭気ガスが発生した場合であっても、臭気ガスの一部或いは全てを堆肥化装置に戻し入れることにより、脱臭発電装置に処理能力に応じた臭気ガスを導入することができる。更に、臭気ガスを脱臭発電装置や堆肥化装置を気送するに先立って、臭気ガスに含まれる水分を除去しているので、脱臭発電装置の燃焼効率の向上や長寿命化を図ることができると共に、堆肥化装置における堆肥の発酵の促進を図ることができる。
【0008】
また、前記脱臭発電装置に送気されずに残った前記臭気ガスが、前記堆肥化装置に送り戻されるものでは、臭気ガスの大気放出を防止することができる。
また、前記臭気ガスの発生量が、前記堆肥化装置内の臭気ガス温度から推定されるものでは、堆肥化装置内で発生する臭気ガスの量が臭気ガスの温度に略比例することから、臭気ガスの温度を測定することにより、容易に臭気ガスの発生量を求めることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば以下の効果を得ることができる。
臭気ガスの一部或いは全てを堆肥化装置に戻し入れることができるので、脱臭発電装置に処理能力に応じた臭気ガスを導入することができる。したがって、臭気ガスの発生量に応じて脱臭発電装置の大型化する必要がなく、設備コストを抑制することができる。また、臭気ガスを低湿化するので、脱臭発電装置の燃焼効率の向上、堆肥化装置における堆肥の発酵の促進を図ることができ、ランニングコストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の有機廃棄物処理システム及びその運転方法の実施形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明に係る有機廃棄物処理システムSの実施形態の一例を示す構成図である。
有機廃棄物処理システムSは、畜糞(有機廃棄物)Fを発酵させて堆肥化させる堆肥化装置10、畜糞Fの発酵により発生した臭気ガスGを燃焼して脱臭するとともに発電を行う脱臭発電装置20、臭気ガスGから水分(アンモニアを含む)を分離する脱水処理装置30、臭気ガスGを堆肥化装置10から脱臭発電装置20等に送気するガス送管40、有機廃棄物処理システムSの運転を制御する制御装置50等を備えて構成される。
【0011】
図2は、本実施形態に係る堆肥化装置10の一例を示す構成図である。
堆肥化装置10としては、例えば、畜糞Fを連続的に好気性発酵させる連続式発酵機が用いられる。堆肥化装置10は、約10〜30m程度の容量の発酵槽11、畜糞Fの投入口12、畜糞Fを攪拌する攪拌機13、加熱用の電気ヒータ14、発酵槽11内に外気を取り込むための送風管(大気導入部)15及び給気ブロア16等を含んで構成される。
そして、堆肥化装置10は、発酵熱及び電気ヒータ14の熱を利用して発酵槽11内の温度を調整しつつ、給気ブロア16によって発酵槽11内に強制的に空気を導入し、畜糞Fの発酵を促進させる。
畜糞Fが発酵すると、臭気成分(アンモニア、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル等)を含む気体(以下、臭気ガスG)が、発酵槽11の容量の約10〜30%程度の量だけ発生する。したがって、発酵槽11を大容量化すると、臭気ガスGの発生量も増大する。
なお、発酵槽11の上部空間には、発酵槽11内で発生する臭気ガスGの温度を検出する温度センサ52が設けられる。
【0012】
脱臭発電装置20は、臭気ガスGを高温(約1000℃)で熱分解する燃焼機関21と、燃焼機関21を駆動源とする発電機22とを含んで構成される。なお、図1に示すように、脱臭発電装置20を複数配置してもよい。
燃焼機関21としては、例えば、ディーゼル機関やガスタービン等が用いられる。適用される燃焼機関の種類やその特性については、畜糞Fの処理量や設置スペース等の周囲環境等に応じて定められる。
例えば、総排気量2000ccのディーゼル機関を用いた場合には、堆肥化装置10において発生する臭気ガスGを給気口から毎分約2m程度取り込んで灯油等の燃料とともに燃焼させることにより脱臭する。
なお、臭気ガスとともに空気を燃焼機関21に導入してもよい。そして、燃焼機関21からの排気ガス(臭気ガスGの分解ガス)は、触媒を経由してクリーンガスとなって、大気中に放出される。
発電機22は、燃焼機関21の出力軸の回転を駆動源として駆動され発電(最大約22kW)を行う。そして、発電機22において発電された電力は、電圧調整器(不図示)を介して堆肥化装置10(攪拌機13や電気ヒータ14等)や養鶏・養豚設備(電灯設備等)に送られ、これらの設備において消費される。
このように、脱臭発電装置20は、堆肥化装置から発生する臭気ガスの脱臭を低コストに行うことができるようになっている。
【0013】
脱水処理装置30は、臭気ガスGに含まれる水分を分離(除去)する装置であって、凝縮器32と冷却塔(不図示)と冷媒Rを流通させる冷媒配管36とを含んで構成される。
凝縮器32は、臭気ガスG及び汚水Wを収容する容器32aと冷媒配管36とを含んで構成され、冷媒配管36の周囲の気体を液化するものである。冷却塔は、冷媒配管36とを含んで構成され、冷媒配管36内を流通する冷媒Rから熱を奪って冷却させるものである。また、冷媒配管36は、冷媒Rを流通させる配管であって、冷媒Rとして水等を用いることができる。
そして、容器32a内にガス送管40を介して臭気ガスGが圧送されると、臭気ガスGは冷媒配管36に触れることにより冷却され、臭気ガスGに含まれる水分(アンモニアを含む)が液化し、容器32a内の底部に汚水Wとして収容される。
また、凝縮器32の容器32aの上部には、容器32a内の上部に収容された気体、すなわち、水分が除去された臭気ガスGを排気する排気口が設けられる。更に、凝縮器32の容器32aの底部には、容器32a内の底部に収容された液体、すなわち、臭気ガスGから分離されたアンモニアを含む汚水Wを排出する汚水配管38が接続される。
【0014】
ガス送管40は、発酵槽11内の排気口と凝縮器32の容器32aの給気口とを連通し、発酵槽11内で発生する臭気ガスGを排気ブロア41により容器32a内に圧送する。
更に、凝縮器32の容器32aの排気口と燃焼機関21の給気口とを連通し、水分が除去された臭気ガスGを燃焼機関21の燃焼室に送気する。
また、凝縮器32と燃焼機関21との間に配置されるガス送管40には、堆肥化装置10の送風管15と連通するバイパス管(戻入部)42が接続される。なお、このバイパス管42には、開度が調整可能な制御弁43が設けられる。
これにより、制御弁43の開度を調整することにより、堆肥化装置10から凝縮器32を経由して脱臭発電装置20に送気される臭気ガスGの一部或いは全てを、堆肥化装置10の発酵槽11内に戻し入れることができる。また、燃焼機関21の燃焼室に圧送する臭気ガスGの流量を制御することができる。更に、臭気ガスGが凝縮器32を経由していることから、発酵槽11及び燃焼機関21に、低湿の臭気ガスGを導入させることができる。
【0015】
制御装置50は、有機廃棄物処理システムSの運転を制御するものであって、攪拌機13、電気ヒータ14、給気ブロア16等を制御して、畜糞Fの発酵サイクルを促進させる。また、燃焼機関21、排気ブロア41を制御して、臭気ガスGの脱臭(燃焼)と発電を行う。
また、制御装置50は、発酵槽11に設けた温度センサ52からの情報を演算処理し、その演算結果等に基づいて制御弁43の開度を制御する。なお、制御弁43の制御方法については、後述する。
【0016】
以上のような構成を備える有機廃棄物処理システムSでは、発酵槽11に投入された畜糞Fは、発酵槽11において所定のサイクルで発酵されて堆肥となり、堆肥は発酵槽11から随時取り出される。例えば、発酵槽11に畜糞Fを投入してから約2日後には、当初60〜70%あった水分が好気性発酵により乾燥して30%まで減り、有機肥料が出来上がる。
また、畜糞Fの発酵と同時に、臭気成分(アンモニア等)を含む臭気ガスGが発生する。そして、発生した臭気ガスGは、発酵槽11の排気口からガス送管40を介して脱水処理装置30に圧送される。
【0017】
脱水処理装置30に圧送される臭気ガスGは、発酵熱により、最大75℃程度の温度を有している。また、畜糞Fの水分も含んでいるため、高湿である。
このような高温高湿の臭気ガスGは、凝縮器32の容器32aに流入すると、容器32a内に配置された冷媒配管36により冷却されて、臭気ガスGに含まれる水分が液化して、容器32a内の底部に汚水Wとして収容される。この際、臭気ガスGに含まれていたアンモニア成分も汚水Wとして容器32a内の底部に収容される。
このようにして、容易かつ確実に、臭気ガスGからアンモニア成分を含む水分が分離される。
具体的には、発酵槽11の排出された臭気ガスGには、約3000ppm程度のアンモニア成分が含まれていたが、排気口から排出された臭気ガスGのアンモニア成分は、約1000ppm程度まで低減された。
そして、臭気が低減した臭気ガスGは、凝縮器32の容器32aの排気口からガス送管40を介して燃焼機関21に向けて排気される。
なお、凝縮器32の容器32aの底部に収容された汚水Wは、汚水配管38を介して不図示の汚水処理装置に送られる。例えば、浄化槽や下水処理施設等に送られる。そして、汚水処理装置において、浄化処理が行われる。
【0018】
脱臭発電装置20に送気された臭気ガスGは、空気源として燃焼機関21内に導入され、燃料とともに燃焼される。臭気ガスGは、この燃焼により臭気成分が熱分解され、脱臭される。
なお、燃焼機関21内の燃焼温度が高い程、脱臭効果も向上し、これに従って、発電機22からの発電出力も増大する。具体的には、発電出力が7kWの場合には約90〜99%、9kW以上の場合には100%の臭気成分が熱分解される。
【0019】
このように、脱臭発電装置20では、燃焼機関21において脱臭を行うと共に、燃焼機関21を駆動源として発電機22を駆動して発電を行う。すなわち、使用される燃料は、脱臭目的だけでなく、発電にも利用される。この発電により、有機廃棄物処理システムSでは、運転コストが軽減され、低コストで畜糞Fを処理することができる。
また、臭気ガスの脱臭処理に際して、水(薬液)処理や、広い敷地面積を必要としないため、一般農家にも容易に実施できる。
【0020】
ところで、大量の畜糞Fを処理する必要がある場合には、発酵槽11を大容量化する必要がある。これに従い、臭気ガスGの発生量も増大するため、燃焼機関21を大型化する必要がある。
しかしながら、燃焼機関21を大型化させると、燃焼機関21の装置コスト及び灯油等の消費量も多くなる。更に、発電機22により発電される電力も高くなり、電力消費量を上回って余ってしまう場合が少なくない。
したがって、燃焼機関21を大型化すると、低運転コストで畜糞Fを処理することができる有機廃棄物処理システムSのメリットが損なわれてしまうおそれがある。
【0021】
そこで、燃焼機関21のガスの処理能量に応じて、燃焼機関21に送気する臭気ガスGの流量を制御することにより、発酵槽11を大容量化した際の燃焼機関21の大型化を抑制する。
具体的には、燃焼機関21は、上述したガス処理能力(毎分約2m)を維持する。そして、発酵槽11において発生した臭気ガスGの量が燃焼機関21のガス処理能量以上となった場合には、制御装置50からの指令により制御弁43を開放し、燃焼機関21において処理しきれない臭気ガスGをバイパス管42及び送風管15を介して発酵槽11に送り戻す。
これにより、送り戻された臭気ガスGは、外気とともに、発酵槽11の畜糞F内に拡散される。すなわち、処理しきれないで残った臭気ガスGを、発酵槽11、ガス送管40、脱水処理装置30、ガス送管40、バイパス管42、送風管15からなる経路内で循環させる。
【0022】
なお、発酵槽11で発生する臭気ガスGは、畜糞Fを発酵槽11に投入してから12〜24時間後に、発酵槽11内は発酵熱によって70℃程の温度となり、臭気ガスGの発生がピークとなる。このため、制御弁43の開度は、燃焼機関21に圧送される臭気ガスGが一定量となるように、臭気ガスGの発生量に連動させる。すなわち、臭気ガスGの発生量が多い場合には、制御弁43を開いてバイパス管42に送る臭気ガスGの流量を多くする。一方、臭気ガスGの発生量が少ない場合には、制御弁43を絞ってバイパス管42に送る臭気ガスGの流量を少なくする。
【0023】
また、臭気ガスGの発生量は、発酵槽11に設置した温度センサ52の検出値から推定される。すなわち、臭気ガスGの発生量は、臭気ガスGの温度に比例することが知られている。そこで、臭気ガスGの温度を測定することにより、容易に臭気ガスGの発生量を推定(演算)することができる。
したがって、制御装置50は、求めた臭気ガスGの発生量と、燃焼機関21のガス処理能力とを比較して、制御弁43開度を決定し、制御弁43に駆動信号を送る。これにより、上述したように、臭気ガスGの発生量が増大した場合であっても、燃焼機関21に圧送される臭気ガスGの量が略一定となる。
【0024】
以上、説明したように、本発明によれば、脱臭発電装置20のガス処理能力以上に堆肥化装置10から臭気ガスGが発生した場合であっても、臭気ガスGの一部或いは全てを堆肥化装置10に戻し入れることができるので、脱臭発電装置20にガス処理能力に応じた臭気ガスGを導入することができる。
したがって、堆肥化装置10を大型化した場合であっても、燃焼機関21を大型化させる必要はなくなる。これにより、低運転コストで畜糞Fを処理することができる有機廃棄物処理システムSのメリットを維持することができる。
更に、臭気ガスGは、燃焼機関21に導入され、また、発酵槽11に再導入されるが、これらの装置への導入に先立って、含有する水分が除去(分離)される。したがって、燃焼機関21の不完全燃焼が防止でき、燃焼効率の向上が図られる。また、長寿命化を図ることもできる。更に、堆肥化装置10に水分量の少ない臭気ガスを戻すことができるので、水分が堆肥Fの発酵の促進を阻害してしまうことを防止でき、効率的な発酵を図ることができる。
【0025】
なお、図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0026】
例えば、脱臭発電装置20において、脱臭成分のうちのいずれかの成分が燃焼機関21内で充分に熱分解されない場合等には、燃焼機関21から排出される排出ガスに対して脱臭処理をさらに施してもよい。
また、燃焼機関21からの排熱を発酵槽11に戻して、畜糞Fの加熱に用いてもよい。
【0027】
また、本発明は、畜糞Fに限らず、生ゴミ等の有機廃棄物の処理であれば良好に適用することができる。
【0028】
また、発酵槽11として、嫌気性処理用発酵槽を用いてもよい。更に、電気ヒータ14に替えて、燃焼機関21の排熱を加熱源として用いてもよい。排熱を利用することにより、電気ヒータの削減、または電力削減を図ることができる。
【0029】
また、発酵槽11の排出された臭気ガスGから水分を分離する脱水処理装置30として、凝縮器32を用いる場合について説明したが、これに限らない。例えば、遠心分離機を用いてもよい。遠心分離機を用いることにより、臭気ガスGから水分を容易かつ確実に分離することができる。
【0030】
また、脱水処理装置30として、例えば、凝縮器32の下流側に遠心分離機を連結してもよい。同様に、遠心分離機の下流側に凝縮器32を連結してもよい。或いは、凝縮器32と遠心分離機とを並列に配置して、いずれの装置に臭気ガスGを圧送するかを選択できるように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態の有機廃棄物処理システムSを示す模式図である。
【図2】本実施形態に係る堆肥化装置10の一例を示す構成図である。
【符号の説明】
【0032】
S…有機廃棄物処理システム
F…畜糞(有機廃棄物)
G…臭気ガス
10…堆肥化装置
11…発酵槽
15…送風管(大気導入部)
16…給気ブロア
20…脱臭発電装置
21…燃焼機関
22…発電機
30…脱水処理装置(脱水処理部)
32…凝縮器
40…ガス送管
41…排気ブロア
42…バイパス管(戻入部)
43…制御弁
50…制御装置
52…温度センサ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を発酵させて堆肥化する堆肥化装置と、前記堆肥化装置から発生する臭気ガスを燃料とともに燃焼して脱臭及び発電を行う脱臭発電装置と、を有する有機廃棄物処理システムにおいて、
前記堆肥化装置から排出される前記臭気ガスから水分を除去した後に、前記脱臭発電装置に送気される前記臭気ガスの一部或いは全てを前記堆肥化装置に戻し入れる戻入部を備えることを特徴とする有機廃棄物処理システム。
【請求項2】
前記堆肥化装置から排出される前記臭気ガスに含まれる水分を分離する脱水処理部を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機廃棄物処理システム。
【請求項3】
前記戻入部は、前記堆肥化装置の大気導入部に連結されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機廃棄物処理システム。
【請求項4】
前記戻入部は、前記脱臭発電装置内に設置されると共に前記臭気ガスの温度を計測する温度センサの計測結果に基づいて動作する制御弁を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の有機廃棄物処理システム。
【請求項5】
有機廃棄物を発酵させて堆肥化する堆肥化装置と、前記堆肥化装置から発生する臭気ガスを燃料とともに燃焼して脱臭及び発電を行う脱臭発電装置と、を有する有機廃棄物処理方法システムの運転方法において、
前記堆肥化装置から排出される前記臭気ガスに含まれる水分を除去すると共に、
前記臭気ガスの発生量を計測し、その計測結果と前記脱臭発電装置のガス処理能力とに基づいて、前記脱臭発電装置に送気する前記臭気ガスの流量を制御することを特徴とする有機廃棄物処理システムの運転方法。
【請求項6】
前記脱臭発電装置に送気されずに残った前記臭気ガスは、前記堆肥化装置に送り戻されることを特徴とする請求項5に記載の有機廃棄物処理システムの運転方法。
【請求項7】
前記臭気ガスの発生量は、前記堆肥化装置内の臭気ガス温度から推定されることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の有機廃棄物処理システムの運転方法。




【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−273633(P2006−273633A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93069(P2005−93069)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000198318)石川島検査計測株式会社 (132)
【Fターム(参考)】