説明

有機無機複合体構造物及びその製造方法

【課題】 有機無機複合体構造物において、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることで、強度を大幅に向上させ、耐摩耗性等の諸特性も向上させること。
【解決手段】 樹脂・ゾル混合工程S1において第1の熱硬化性樹脂としてのレゾール型フェノール樹脂のメタノール溶液にシリカゾルを攪拌しながら添加して混合し、この混合液を熱硬化工程S2において加熱して硬化させ、次にこの有機無機複合体固形物を複合体粉砕工程S3において回転式粉砕機で微細粉末に粉砕し、この微細粉末を第2の熱硬化性樹脂としてのノボラック型フェノール樹脂(粉末)と均一に混合して、この混合粉末を加熱加圧成形工程S5において加熱加圧成形機によって加熱加圧して成形体として、アニーリング工程S6においてより高い温度で加熱してアフターキュアすることによって、高強度で優れた諸特性を有する有機無機複合体構造物が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機樹脂材料の諸特性を向上させるためにシリカ等の無機微粒子を均一分散させた有機無機複合体構造物とその製造方法に関するものであり、特に無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることができる有機無機複合体構造物及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、フェノール樹脂等の有機樹脂材料の性能を向上させるため、ゾル−ゲル法による有機無機ハイブリッド化が行われている。かかる複合材料は、高硬度・高耐火性の塗料として、或いは高強度の構造材料として、さらには耐フェード性の高い自動車用の摩擦材として、等の様々な用途がある。例えば、特許文献1に記載されたシリカ含有フェノール樹脂コーティング材及びその製造方法の発明においては、シリコンのアルコキシドに酸触媒を加えて加水分解し、それによってシリカヒドロゾルを生成させ、次いでフェノール樹脂を加え、シリカ微粒子をフェノール樹脂に分散含有させた高硬度・高耐火性を有するシリカ含有フェノール樹脂コーティング材が得られる。
【特許文献1】特開平7−268276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1に記載された発明を始めとして、ゾル−ゲル法による複合材料の作製は溶融状態または溶媒・溶液中でシリカのゲル化過程を必要とするため、流動性を維持することが困難である。また、固化・溶媒除去時におけるクラックの発生等の問題もある。このため、成形材やバルク体としての利用が難しく、実際の使用では薄膜のフィルムやコーティング剤としての利用が殆どであった。
【0004】
そこで、本発明は、これを解決するため有機物とシリカの有機無機コンポジット体を予め作製し、これを微細化して樹脂中に添加することで流動性、クラック等の問題を解決し樹脂中にシリカの微細構造を取り入れることができる有機無機複合体構造物及びその製造方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明にかかる有機無機複合体構造物は、第1の合成樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一に混合した後に固化させて得られる有機無機複合体を細かく粉砕して、第2の合成樹脂と均一に混合して固化させて得られるものである。
【0006】
請求項2の発明にかかる有機無機複合体構造物は、第1の熱硬化性樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一に混合した後に熱硬化させて得られる有機無機複合体を細かく粉砕して、第2の熱硬化性樹脂と均一に混合して熱硬化させ、アニーリングして得られるものである。
【0007】
請求項3の発明にかかる有機無機複合体構造物の製造方法は、第1の合成樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一な混合液を得る工程と、前記混合液を加熱して前記第1の合成樹脂を固化させて有機無機複合体を得る工程と、前記有機無機複合体を微細に粉砕して複合体微細粉末を得る工程と、第2の合成樹脂に前記複合体微細粉末を均一に混合して固化させる工程とを具備するものである。
【0008】
請求項4の発明にかかる有機無機複合体構造物の製造方法は、第1の熱硬化性樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一な混合液を得る工程と、前記混合液を加熱して前記第1の熱硬化性樹脂を熱硬化させて有機無機複合体を得る工程と、前記有機無機複合体を微細に粉砕して複合体微細粉末を得る工程と、第2の熱硬化性樹脂に前記複合体微細粉末を均一に混合して熱硬化させる工程と、より高温に加熱してアニーリングする工程とを具備するものである。
【0009】
請求項5の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、請求項2または請求項4の構成において、前記第1の熱硬化性樹脂と前記第2の熱硬化性樹脂とが同種の或いは架橋しうる熱硬化性樹脂であるものである。
【0010】
請求項6の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、請求項1乃至請求項5のいずれか1つの構成において、前記シリカゾルまたはチタニアゾルの粒径が1nm〜100nmの範囲内であるものである。
【0011】
請求項7の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記シリカゾルは水ガラスをイオン交換または酸中和して得られるものである。
【0012】
請求項8の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、請求項2乃至請求項7のいずれか1つの構成において、前記第1の熱硬化性樹脂はレゾール型フェノール樹脂であり、前記第2の熱硬化性樹脂はノボラック型フェノール樹脂であるものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明にかかる有機無機複合体構造物は、第1の合成樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一に混合した後に固化させて得られる有機無機複合体を細かく粉砕して、第2の合成樹脂と均一に混合して固化させて得られる。
【0014】
ここで、第1の合成樹脂及び第2の合成樹脂としては、フェノール樹脂・エポキシ樹脂・ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を始めとして、アクリル樹脂・ポリプロピレン樹脂・ポリスチレン樹脂・ナイロン等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン−ラテックス(SBR)ゴム等のエラストマー等の、種々の合成樹脂を用いることができる。
【0015】
このように、本発明にかかる有機無機複合体構造物は、まず第1の合成樹脂とシリカゾルまたはチタニアゾルを均一に混合した後、一旦固化させて粉砕することによって、シリカゾルまたはチタニアゾルに第1の合成樹脂が密着して有機樹脂との親和性が向上した有機無機複合体粉末が得られる。これを第2の合成樹脂と均一に混合して固化させることによって、有機無機複合体粉末が第2の合成樹脂中に均一に分散した有機無機複合体構造物となる。したがって、単にシリカ等の微粉末を合成樹脂中に混合して固化させたものとは異なり、緻密な構造が得られるため強度が大幅に向上し、耐摩耗性等の諸特性も向上する。
【0016】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができる有機無機複合体構造物となる。
【0017】
請求項2の発明にかかる有機無機複合体構造物は、第1の熱硬化性樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一に混合した後に熱硬化させて得られた有機無機複合体を細かく粉砕して、第2の熱硬化性樹脂と均一に混合して熱硬化させた後、より高温に加熱する等によってアニーリングして得られる。
【0018】
ここで、第1の熱硬化性樹脂及び第2の熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂を始めとして、種々の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0019】
このように、本発明にかかる有機無機複合体構造物は、まず第1の熱硬化性樹脂とシリカゾルまたはチタニアゾルを均一に混合した後、一旦熱硬化させて粉砕することによって、シリカゾルまたはチタニアゾルに第1の熱硬化性樹脂が密着して有機樹脂との親和性が向上した有機無機複合体粉末が得られる。これを第2の熱硬化性樹脂と均一に混合して熱硬化させることによって、有機無機複合体粉末が第2の熱硬化性樹脂中に均一に分散した有機無機複合体構造物となる。したがって、単にシリカ等の微粉末を熱硬化性樹脂中に混合して熱硬化させたものとは異なり、緻密な構造が得られるため強度が大幅に向上し、耐摩耗性等の諸特性も向上する。
【0020】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができる有機無機複合体構造物となる。
【0021】
請求項3の発明にかかる有機無機複合体構造物の製造方法は、第1の合成樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一な混合液を得る工程と、混合液を加熱して第1の合成樹脂を固化させて有機無機複合体を得る工程と、有機無機複合体を微細に粉砕して複合体微細粉末を得る工程と、第2の合成樹脂に複合体微細粉末を均一に混合して固化させる工程とを具備する。
【0022】
ここで、第1の合成樹脂及び第2の合成樹脂としては、フェノール樹脂・エポキシ樹脂・ウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂を始めとして、アクリル樹脂・ポリプロピレン樹脂・ポリスチレン樹脂・ナイロン等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン−ラテックス(SBR)ゴム等のエラストマー等の、種々の合成樹脂を用いることができる。
【0023】
このように、本発明にかかる有機無機複合体構造物の製造方法においては、まず第1の合成樹脂とシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌して均一に混合した後、一旦固化させて微細に粉砕することによって、シリカゾルまたはチタニアゾルに第1の合成樹脂が密着して有機樹脂との親和性が向上した複合体微細粉末が得られる。この複合体微細粉末を第2の合成樹脂と均一に混合して固化させることによって、有機無機複合体粉末が第2の合成樹脂中に均一に分散した有機無機複合体構造物となる。したがって、単にシリカ等の微粉末を合成樹脂中に混合して固化させる有機無機複合体構造物の製造方法とは異なり、緻密な構造が得られるため、強度が大幅に向上し、耐摩耗性等の諸特性も向上する。
【0024】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができる有機無機複合体構造物の製造方法となる。
【0025】
請求項4の発明にかかる有機無機複合体構造物の製造方法は、第1の熱硬化性樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一な混合液を得る工程と、混合液を加熱して第1の熱硬化性樹脂を熱硬化させて有機無機複合体を得る工程と、有機無機複合体を微細に粉砕して複合体微細粉末を得る工程と、第2の熱硬化性樹脂に複合体微細粉末を均一に混合して熱硬化させる工程と、より高温に加熱してアニーリングする工程とを具備する。
【0026】
ここで、第1の熱硬化性樹脂及び第2の熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂を始めとして、種々の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0027】
このように、本発明にかかる有機無機複合体構造物の製造方法においては、まず第1の熱硬化性樹脂とシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌して均一に混合した後、一旦熱硬化させて微細に粉砕することによって、シリカゾルまたはチタニアゾルに第1の熱硬化性樹脂が密着して有機樹脂との親和性が向上した複合体微細粉末が得られる。この複合体微細粉末を第2の熱硬化性樹脂と均一に混合して熱硬化させることによって、有機無機複合体粉末が第2の熱硬化性樹脂中に均一に分散した有機無機複合体構造物となる。したがって、単にシリカ等の微粉末を熱硬化性樹脂中に混合して熱硬化させる有機無機複合体構造物の製造方法とは異なり、緻密な構造が得られるため、強度が大幅に向上し、耐摩耗性等の諸特性も向上する。
【0028】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができる有機無機複合体構造物の製造方法となる。
【0029】
請求項5の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、第1の熱硬化性樹脂と第2の熱硬化性樹脂とが同種の或いは架橋しうる熱硬化性樹脂である。ここで、同種の熱硬化性樹脂とは、フェノール樹脂同士、エポキシ樹脂同士、等を意味するものであり、具体的には第1の熱硬化性樹脂がレゾール型のフェノール樹脂で第2の熱硬化性樹脂がノボラック型のフェノール樹脂であるような場合を意味し、全く同一の熱硬化性樹脂の場合をも含むものである。また、架橋しうる熱硬化性樹脂とは、例えばフェノール樹脂とエポキシ樹脂のような場合である。
【0030】
これによって、第1の熱硬化性樹脂が密着した複合体微細粉末と第2の熱硬化性樹脂との親和性がより高くなるため、より緻密な構造が得られ、強度が大幅に向上し、耐摩耗性等の諸特性も向上する。
【0031】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性をより向上させて緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法となる。
【0032】
請求項6の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、シリカゾルまたはチタニアゾルの粒径が1nm〜100nmの範囲内、より好ましくは5nm〜50nmの範囲内である。
【0033】
本発明者らが鋭意実験研究を行った結果、シリカゾルまたはチタニアゾルの粒径が1nm〜100nmの範囲内、より好ましくは5nm〜50nmの範囲内である場合に、得られる有機無機複合体構造物の強度を始めとする諸特性が最も向上することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成したものである。
【0034】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法となる。
【0035】
請求項7の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、シリカゾルが水ガラス(ケイ酸アルカリ塩水溶液)をイオン交換または酸中和して得られるものである。
【0036】
シリカゾルを得る方法としては、シリコンアルコキシドを加水分解する方法もあるが、シリコンアルコキシドは高価であるため、得られる有機無機複合体構造物のコストも高くなってしまう。そこで、シリコンアルコキシドに比較して遥かに安価な水ガラス(ケイ酸アルカリ塩水溶液)をイオン交換または酸中和して得られるシリカゾルを用いることによって、得られる有機無機複合体構造物のコストを低減することができる。
【0037】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性を向上させて緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができるとともに、低コスト化できる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法となる。
【0038】
請求項8の発明にかかる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法は、第1の熱硬化性樹脂はレゾール型フェノール樹脂であり、第2の熱硬化性樹脂はノボラック型フェノール樹脂である。
【0039】
レゾール型フェノール樹脂は通常メタノール溶液として市販されているため、シリカゾルまたはチタニアゾルと均一に混合するのが容易であり、ノボラック型フェノール樹脂は通常粉末状で市販されているため、粉砕して得られる複合体微細粉末と均一に混合するのが容易である。そして、第1の熱硬化性樹脂と第2の熱硬化性樹脂が同種のフェノール樹脂であるため、複合体微細粉末と第2の熱硬化性樹脂との親和性がより一層向上して、より緻密な有機無機複合体構造物を得ることができる。
【0040】
このようにして、無機微粒子と有機樹脂材料の親和性をより一層向上させてより緻密な複合体構造を得ることによって、強度を大幅に向上させることができ、耐摩耗性等の諸特性も向上させることができる有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図8を参照しつつ説明する。
【0042】
図1は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の製造方法の概略を示すフローチャートである。図2は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例1の曲げ強度を比較例1,比較例2,比較例5と比較して示した図である。図3は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例1の摩擦摩耗試験における摩耗量を比較例1,比較例2,比較例5と比較して示した図である。図4は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例1の摩擦摩耗試験におけるPV値と摩擦係数との関係を比較例1,比較例2,比較例5と比較して示した図である。
【0043】
図5は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例2の曲げ強度を比較例2,比較例3,比較例4と比較して示した図である。図6は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例2の摩擦摩耗試験におけるPV値と摩擦係数との関係を比較例2,比較例3,比較例4と比較して示した図である。図7は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例2の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。図8は有機無機複合体構造物の比較例3の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。
【0044】
まず、本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の製造方法について、図1を参照して説明する。本実施の形態にかかる有機無機複合体構造物においては、第1の熱硬化性樹脂としてレゾール型のフェノール樹脂を、第2の熱硬化性樹脂としてノボラック型のフェノール樹脂を用いている。
【0045】
図1に示されるように、本実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の製造方法は、まず樹脂・ゾル混合工程S1において、第1の熱硬化性樹脂としてのレゾール型のフェノール樹脂のメタノール溶液に、水ガラス(ケイ酸アルカリ塩水溶液)をイオン交換または酸中和して得られるシリカゾルを攪拌しながら添加して混合する。この混合液を、熱硬化工程S2において、加熱して硬化させ、有機無機複合体固形物を得る。次に、この有機無機複合体固形物を、複合体粉砕工程S3において、回転式粉砕機で微細粉末に粉砕する。
【0046】
続いて、この微細粉末を第2の熱硬化性樹脂としてのノボラック型のフェノール樹脂(粉末)と均一に混合する。そして、この混合粉末を加熱加圧成形工程S5において、加熱加圧成形機によって加熱加圧して成形体として、アニーリング工程S6において、より高い温度で加熱してアフターキュアすることによって、本実施の形態にかかる有機無機複合体構造物が得られる。本実施の形態においては、配合を変えて、実施例1及び実施例2の有機無機複合体構造物を製造した。
【0047】
本実施の形態にかかる実施例1の有機無機複合体構造物は、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)PR54562、レゾール型、メタノール溶剤、固形分50%)40重量部に対してメタノール60重量部を加え、均一になるように調整した溶液に、シリカゾルを固形分として2重量部になるように攪拌しながら添加した。この溶液を室温で30分間保持してシリカをゲル化させた後、150℃で硬化させた。こうして得られた複合体を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、5nm〜50nmのシリカ粒子が樹枝状に連鎖して分散している状態が観察された。
【0048】
この複合体を回転式粉砕機で粉砕し、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)、ノボラック型、粉末状、固形分100%)を80重量部に対して、複合体粉砕物を20重量部加え、さらにヘキサミン9.9重量部を加えて混合した後に、160℃で加圧硬化(ガス抜き前成形圧力400kgf/cm2 、ガス抜き回数3回、ガス抜き後成形圧力500kgf/cm2 、加圧時間15分間)させ、その後160℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間、アフターキュアさせて実施例1の有機無機複合体構造物が得られた。
【0049】
本実施の形態にかかる実施例2の有機無機複合体構造物は、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)PR54562、レゾール型、メタノール溶剤、固形分50%)60重量部に対してメタノール90重量部を加え、均一になるように調整した溶液に、シリカゾルを固形分として70重量部になるように攪拌しながら添加した。この溶液を室温で30分間保持してシリカをゲル化させた後、150℃で硬化させた。
【0050】
こうして得られた複合体を回転式粉砕機で粉砕し、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)、ノボラック型、粉末状、固形分100%)を80重量部に対して、複合体粉砕物を20重量部加えてシリカ分として14重量部になるようにし、さらにヘキサミン9.9重量部を加えて混合した後に160℃で加圧硬化(ガス抜き前成形圧力400kgf/cm2 、ガス抜き回数3回、ガス抜き後成形圧力500kgf/cm2 、加圧時間15分間)させ、その後160℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間、アフターキュアさせて実施例2の有機無機複合体構造物が得られた。
【0051】
一方、比較例1としては、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)PR54562、レゾール型、メタノール溶剤、固形分50%)を150℃で熱硬化させ、この硬化物を回転式粉砕機で粉砕し、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)、ノボラック型、粉末状、固形分100%)を80重量部に対して、粉砕物を20重量部加えて、さらにヘキサミン9.9重量部を加えて混合した後に160℃で加圧硬化(ガス抜き前成形圧力400kgf/cm2 、ガス抜き回数3回、ガス抜き後成形圧力500kgf/cm2 、加圧時間15分間)させ、その後160℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間、アフターキュアさせて比較例1の有機複合体構造物とした。
【0052】
また、比較例2としては、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)、ノボラック型、粉末状、固形分100%)を80重量部に対して、ヘキサミン9.9重量部を加えて混合した後に160℃で加圧硬化(ガス抜き前成形圧力400kgf/cm2 、ガス抜き回数3回、ガス抜き後成形圧力500kgf/cm2 、加圧時間15分間)させ、その後160℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間、アフターキュアさせて比較例2の有機構造物とした。
【0053】
また、比較例3としては、微細シリカ粒子(信越化学工業(株)KMP590、疎水性)をフェノール樹脂(住友ベークライト(株)、ノボラック型、粉末状、固形分100%)86重量部に対して14重量部加え、さらにヘキサミン9.9重量部を加えて混合した後に160℃で加圧硬化(ガス抜き前成形圧力400kgf/cm2 、ガス抜き回数3回、ガス抜き後成形圧力500kgf/cm2 、加圧時間15分間)させ、その後160℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間、アフターキュアさせて比較例3の有機無機複合体構造物とした。
【0054】
また、比較例4としては、微細シリカ粒子(信越化学工業(株)X−24−9163A、親水性)をフェノール樹脂(住友ベークライト(株)、ノボラック型、粉末状、固形分100%)86重量部に対して14重量部加え、さらにヘキサミン9.9重量部を加えて混合した後に160℃で加圧硬化(ガス抜き前成形圧力400kgf/cm2 、ガス抜き回数3回、ガス抜き後成形圧力500kgf/cm2 、加圧時間15分間)させ、その後160℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間、アフターキュアさせて比較例4の有機無機複合体構造物とした。
【0055】
さらに、比較例5としては、フェノール樹脂(住友ベークライト(株)、ノボラック型、粉末状、固形分100%)80重量部をメタノール320重量部に溶解させて、これにコロイダルシリカ(日産化学工業(株)スノーテックスO、SiO2 20%)を8重量部添加後、室温で48時間、さらに60℃で5時間減圧乾燥して溶媒を除去したものを粉砕し、ヘキサミン9.9重量部を加えて混合した後に160℃で加圧硬化(ガス抜き前成形圧力400kgf/cm2 、ガス抜き回数3回、ガス抜き後成形圧力500kgf/cm2 、加圧時間15分間)させ、その後160℃で1時間、180℃で1時間、200℃で1時間、アフターキュアさせて比較例5の有機無機複合体構造物とした。
【0056】
以上のようにして製造した本実施の形態にかかる実施例1及び実施例2の有機無機複合体構造物、並びに比較例1〜比較例5の各構造物の諸特性を測定した。その結果を、表1に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
まず、表1に示されるように、3点曲げ強度を測定した。3点曲げ強度の供試体の寸法は、幅10mm×長さ80mm×厚さ2.5mmであり、支点間距離50mmで行った。その結果は、実施例1の有機無機複合体構造物が137.5MPaであり、実施例2の有機無機複合体構造物が131.6MPaであったのに対して、比較例1は105.5MPa、比較例2は113.8MPa、比較例3は89.0MPa、比較例4は73.9MPa、比較例5は103.8MPaであり、実施例1及び実施例2の有機無機複合体構造物に比較して、比較例1〜比較例5の各構造物はいずれも低強度であった。
【0059】
また、鈴木式摩擦摩耗試験によって、PV値(摩擦圧力Pに摩擦速度Vを乗じたもの。単位kg・m/cm2 )=700のときの1時間当りの摩耗量を測定したところ、表1に示されるように、有機化合物のみの構造物である比較例1が27.7mg、比較例2が25.9mgといずれも摩耗量が多いのに対して、本実施の形態にかかる実施例1の有機無機複合体構造物が1.8mgであり、実施例2の有機無機複合体構造物が2.3mgといずれも非常に少なくなっており、ナノメートルレベルのシリカ微粒子が均一分散したことによって、耐摩耗性が向上していることが分かる。なお、比較例においても、有機無機複合体構造物である比較例3は2.2mg、比較例4は2.5mg、比較例5は2.5mgと、いずれも摩耗量は少なかった。
【0060】
さらに、摩擦係数を測定したところ、PV値=400の場合の摩擦係数が、有機化合物のみの構造物である比較例1が0.41、比較例2が0.56と大きい値であるのに対して、本実施の形態にかかる実施例1の有機無機複合体構造物が0.12であり、実施例2の有機無機複合体構造物が0.05と小さくなっており、ナノメートルレベルのシリカ微粒子が均一分散したことによって、滑りが良くなっていることが分かる。なお、比較例においても、有機無機複合体構造物である比較例3は0.09、比較例4は0.09、比較例5は0.17と、いずれも小さい値であった。
【0061】
また、鈴木式摩擦摩耗試験において、摩擦によって試料が炭化してしまうPV値を示すPV限界は、表1に示されるように、本実施の形態にかかる実施例1の有機無機複合体構造物が4900であり、実施例2の有機無機複合体構造物が3700といずれも大きな値を示したのに対して、比較例1は1900、比較例2は1900、比較例3は1900、比較例4は2500と、いずれも小さい値であった。なお、本実施の形態にかかる実施例1,実施例2に準じた製造方法を採った比較例5は、PV限界=4900と大きい値であった。
【0062】
次に、シリカ添加量が少なめの本実施の形態にかかる実施例1の有機無機複合体構造物と、有機化合物のみの構造物である比較例1,比較例2、及びコロイダルシリカを添加した有機無機複合体構造物である比較例5とを比較して、図2乃至図4を参照して、さらに詳しく説明する。
【0063】
図2に示されるように、3点曲げ強度は、実施例1の有機無機複合体構造物が137.5MPaと突出して大きく、比較例1は105.5MPa、比較例2は113.8MPa、比較例5は103.8MPaといずれも小さい。これは、実施例1の有機無機複合体構造物がレゾール型のフェノール樹脂にシリカゾルを混合して硬化させ、この有機無機複合体を一度粉砕してからノボラック型のフェノール樹脂に混合して加熱加圧して成形体とすることによって、シリカ微粒子を含む複合体とノボラック型のフェノール樹脂との相溶性が向上して、緻密な有機無機複合体構造物が形成されたためと考えられる。
【0064】
次に、図3に示されるように、鈴木式摩擦摩耗試験によるPV値=700のときの1時間当りの摩耗量については、有機化合物のみの構造物である比較例1が27.7mg、比較例2が25.9mgといずれも摩耗量が多いのに対して、本実施の形態にかかる実施例1の有機無機複合体構造物が1.8mgであり、比較例5は2.5mgと、いずれも摩耗量は少なかった。これによって、構造が緻密でなくてもシリカ微粒子を含む複合体とすることによって、耐摩耗性が向上することが分かる。
【0065】
さらに、図4に示されるように、鈴木式摩擦摩耗試験によるPV値と摩擦係数μとの関係については、本実施の形態にかかる実施例1の有機無機複合体構造物と比較例5がPV値=400からPV限界のPV値=4900まで一貫して摩擦係数μが小さいのに対して、比較例1,比較例2はPV限界のPV値=1900まで摩擦係数μが大きい。これは、実施例1と比較例5がシリカ微粒子を含む複合体であることによって、滑りが良くなったためと考えられる。
【0066】
次に、シリカ添加量が多めの本実施の形態にかかる実施例2の有機無機複合体構造物と、有機化合物のみの構造物である比較例2、及び微細シリカ粒子を混合した有機無機複合体構造物である比較例3,比較例4とを比較して、図5乃至図8を参照して、さらに詳しく説明する。
【0067】
図5に示されるように、3点曲げ強度は、実施例2の有機無機複合体構造物が131.6MPaと突出して大きく、比較例2は113.8MPa、比較例3は89.0MPa、比較例4は73.9MPaといずれも小さい。これは、実施例2の有機無機複合体構造物がレゾール型のフェノール樹脂にシリカゾルを混合して硬化させ、この有機無機複合体を一度粉砕してからノボラック型のフェノール樹脂に混合して加熱加圧して成形体とすることによって、シリカ微粒子を含む複合体とノボラック型のフェノール樹脂との相溶性が向上して、緻密な有機無機複合体構造物が形成されたためと考えられる。
【0068】
この点について、図7及び図8の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を参照して説明する。図7に示される実施例2にかかる有機無機複合体構造物の破断面の5000倍のSEM写真においては、構造が極めて緻密であり、シリカ粒子も写真では判別することができず、ナノメートルレベルの微細粒子として混合されていることが分かる。これに対して、図8に示される比較例3にかかる有機無機複合体構造物の破断面の5000倍のSEM写真においては、シリカ粒子が数ミクロンレベルで混在していることがはっきりと示されており、基材であるノボラック型フェノール樹脂との親和性も良くないことが分かる。
【0069】
また、図6に示されるように、鈴木式摩擦摩耗試験によるPV値と摩擦係数μとの関係については、本実施の形態にかかる実施例2及び微細シリカ粒子を混合した有機無機複合体構造物である比較例3,比較例4が、PV値=400から各PV限界まで一貫して摩擦係数μが小さいのに対して、比較例2はPV限界のPV値=1900まで摩擦係数μが大きい。これは、実施例2,比較例3,比較例4がシリカ微粒子を含む複合体であることによって、滑りが良くなったためと考えられる。
【0070】
このようにして、本実施の形態にかかる有機無機複合体構造物及びその製造方法においては、ナノメートルレベルの微細なシリカ粒子が均一にノボラック型フェノール樹脂中に分散して、曲げ強度・耐摩耗性・摩擦係数・PV限界の各種物性が向上して、優れた特性を有する有機無機複合体構造物を得ることができる。
【0071】
本実施の形態においては、有機無機複合体構造物を得るための合成樹脂として熱硬化性樹脂としてのフェノール樹脂を用いているが、アクリル樹脂・ポリプロピレン樹脂・ポリスチレン樹脂・ナイロン等の熱可塑性樹脂、スチレン−ブタジエン−ラテックス(SBR)ゴム等のエラストマー等の、種々の合成樹脂を用いることができる。
【0072】
また、本実施の形態においては、有機無機複合体構造物を得るための熱硬化性樹脂としてフェノール樹脂を用いているが、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂を始めとして、その他の熱硬化性樹脂を用いることもできる。
【0073】
さらに、本実施の形態においては、有機無機複合体構造物を得るための無機材料として水ガラスを原料としたシリカゾルを用いているが、シリコンアルコキシドを原料としたシリカゾルを用いても良いし、シリカゾルの代わりにチタニアゾルを用いることもできる。
【0074】
本発明を実施するに際しては、有機無機複合体構造物のその他の部分の構成、組成、材質、大きさ、形状、数量、製造方法等についても、また有機無機複合体構造物の製造方法のその他の工程についても、本実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明にかかる有機無機複合体構造物は、上述の如く、高強度で耐摩耗性が高く、摩擦係数が小さいという優れた特性を有しているため、自動車におけるブレーキパッドやクラッチディスクといった摩擦材や、高硬度・高耐火性を有するシリカ含有フェノール樹脂コーティング材、さらには摺動材、接着剤、等に応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の製造方法の概略を示すフローチャートである。
【図2】図2は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例1の曲げ強度を比較例1,比較例2,比較例5と比較して示した図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例1の摩擦摩耗試験における摩耗量を比較例1,比較例2,比較例5と比較して示した図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例1の摩擦摩耗試験におけるPV値と摩擦係数との関係を比較例1,比較例2,比較例5と比較して示した図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例2の曲げ強度を比較例2,比較例3,比較例4と比較して示した図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例2の摩擦摩耗試験におけるPV値と摩擦係数との関係を比較例2,比較例3,比較例4と比較して示した図である。
【図7】図7は本発明の実施の形態にかかる有機無機複合体構造物の実施例2の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。
【図8】図8は有機無機複合体構造物の比較例3の破断面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の合成樹脂の溶液に、シリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一に混合した後に固化させて得られる有機無機複合体を細かく粉砕して、第2の合成樹脂と均一に混合して固化させて得られることを特徴とする有機無機複合体構造物。
【請求項2】
第1の熱硬化性樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一に混合した後に熱硬化させて得られる有機無機複合体を細かく粉砕して、第2の熱硬化性樹脂と均一に混合して熱硬化させ、アニーリングして得られることを特徴とする有機無機複合体構造物。
【請求項3】
第1の合成樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一な混合液を得る工程と、
前記混合液を加熱して前記第1の合成樹脂を固化させて有機無機複合体を得る工程と、
前記有機無機複合体を微細に粉砕して複合体微細粉末を得る工程と、
第2の合成樹脂に前記複合体微細粉末を均一に混合して固化させる工程と
を具備することを特徴とする有機無機複合体構造物の製造方法。
【請求項4】
第1の熱硬化性樹脂の溶液にシリカゾルまたはチタニアゾルを攪拌しながら添加して均一な混合液を得る工程と、
前記混合液を加熱して前記第1の熱硬化性樹脂を熱硬化させて有機無機複合体を得る工程と、
前記有機無機複合体を微細に粉砕して複合体微細粉末を得る工程と、
第2の熱硬化性樹脂に前記複合体微細粉末を均一に混合して熱硬化させる工程と、
より高温に加熱してアニーリングする工程と
を具備することを特徴とする有機無機複合体構造物の製造方法。
【請求項5】
前記第1の熱硬化性樹脂と前記第2の熱硬化性樹脂とが同種の或いは架橋しうる熱硬化性樹脂であることを特徴とする請求項2に記載の有機無機複合体構造物または請求項4に記載の有機無機複合体構造物の製造方法。
【請求項6】
前記シリカゾルまたはチタニアゾルの粒径が1nm〜100nmの範囲内であることを特徴とする請求項1,請求項2若しくは請求項5に記載の有機無機複合体構造物または請求項3乃至請求項5のいずれか1つに記載の有機無機複合体構造物の製造方法。
【請求項7】
前記シリカゾルは水ガラスをイオン交換または酸中和して得られるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法。
【請求項8】
前記第1の熱硬化性樹脂はレゾール型フェノール樹脂であり、前記第2の熱硬化性樹脂はノボラック型フェノール樹脂であることを特徴とする請求項2乃至請求項7のいずれか1つに記載の有機無機複合体構造物または有機無機複合体構造物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−321843(P2006−321843A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−144109(P2005−144109)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(000100780)アイシン化工株式会社 (171)
【Fターム(参考)】