説明

有機物質の分析方法

【課題】 PCBのような有機物質の分析は、従来のカラムクロマトグラフ法では分離するのに手間を要し、分析結果を得るまでに長時間を要していた。また、従来の飛行時間型二次イオン質量分析法を用いた分析では、短時間での測定が可能であるが、発生する二次イオンが少ないため、微量の有機物質の分析には感度が十分でなかった。
【解決手段】 本発明は、有機物質を付着させた試料台の表面に一次イオンを照射して放出される二次イオンを飛行時間型二次イオン質量分析法により検出する有機物質の分析方法であって、試料台の表面はCsを含有させたAg、Au、CuおよびPdのいずれかの金属からなることを特徴とする。Csを含有させた金属を試料台に使用することにより、発生する二次イオンが顕著に増加するため、PCBのような有機物質を短時間で高感度に分析することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ塩素化ビフェニル(この後PCBと記す)などの有機物質の分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
PCBは毒性の強い有機物質として知られている。一部の製造製品においては、このような毒性の強い有機物質を含有するかどうかを分析する必要がある。PCBを分析する方法として、例えば特許文献1に示されるようなカラムクロマトグラフ法がある。カラムクロマトグラフ法では絶縁油等のPCBを含有する母材からPCBを分離した後に、PCBをガスクロマトグラフ分析装置やガスクロマトグラフ質量分析計により測定する。カラムクロマトグラフ法の充填剤として例えば、アミノプロピルシラン、シアノプロピルシラン、2,3−ジヒドロキシプロキシプロピルシランから選ばれる1種または2種以上の混合物を担持した充填剤を利用する。
【0003】
カラムクロマトグラフ法の手順を簡単に説明する。カラムを準備した後、展開溶媒であるn−ヘキサンを用い、漏斗からカラムに十分な量を流し込んでコンディショニングを行う。PCB含有絶縁油からのヘキサン抽出液を充填剤の上部に垂らす。さらに、十分な量のn−ヘキサンを展開溶媒として漏斗からガラス管に流し込む。分離された有機成分はカラムの下部から順に滴下される。最初のうちは分析の妨害成分のみが流出するので、妨害成分採取用の容器を置き、溶出液を採取する。妨害成分がすべて溶出してから、採取容器をPCB分析用の容器に交換する。妨害成分がすべて溶出した後はPCBが溶出する。このPCB含有溶出液を容器に採取した後、ロータリーエバポレーターにより濃縮を行い、20〜50μlに定容し、ガスクロマトグラフ質量分析計に注入して測定する。
【0004】
また、他の有機物の分析方法として、非特許文献1に示されるような、飛行時間型二次イオン質量分析(Time−of−Flight Secondary Ion Mass Spectrometry、以下TOF−SIMS)がある。Agなどの金属表面に有機物質の薄い試料を作成し、その表面に一次イオンを高真空中で照射し、イオン化され放出される2次イオンの質量を分析して有機物質の情報を得る分析方法である。TOF−SIMSでは照射する一次イオンの量を表面分子よりも少なくすることにより、有機物の分子構造を保った二次イオンが放出されるので、試料表面に存在する有機物質の分析に適している。
【0005】
【特許文献1】特開2003−114222号公報
【非特許文献1】「TOF−SIMSによる材料表面の有機物の分析」村瀬篤、豊田中央研究所R&Dレビュー Vol.34、No.2、1999年6月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のカラムクロマトグラフ法では、一般にカラムのコンディショニングが必要であり、またカラムの中を流れる展開溶媒の速度が非常に遅いうえに、PCBが分離抽出される前に妨害成分が出るので、その妨害成分を除去する必要があるなど、PCBを分離するのに手間を要し、分析結果を得るまでに長時間を要する。例えば特許文献1の実施例ではPCBの分離に要するまでの時間は6時間以上である。
【0007】
特にPCBなどの毒性を有する有機物質の場合、微量でも分析できることが重要であるが、非特許文献1に示すような従来のTOF−SIMSでは、短時間での測定が可能であるものの、発生する二次イオンが少ないため微量の有機物質の分析には感度が十分でなかった。
【0008】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決するために、PCBのような有機物質を迅速で高感度に分析方法する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る有機物質の分析方法は、有機物質を付着させた試料台の表面に一次イオンを照射して放出される二次イオンを飛行時間型二次イオン質量分析法により検出する有機物質の分析方法であって、試料台の表面はCsを含有するAg、Au、CuおよびPdのいずれかの金属からなることを特徴とする有機物質の分析方法である。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、試料台の表面はCsを含有するAg、Au、CuおよびPdのいずれかの金属からなるため、一次イオンが照射された際に試料台のAg、Au、CuまたはPdの金属と有機物質とに由来する二次イオンの放出がCsの存在によって増加する。その二次イオンを時間飛行型の質量分析法で検出するので迅速で高感度の分析が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1.
本実施の形態1は、TOF−SIMSを用いたPCBの分析方法であって、PCBをAgにCsを含有させたAg−Cs合金を有する試料台の上に付着させた後に、TOF−SIMS分析する点が特徴である。TOF−SIMS分析では試料台に一次イオンを照射し、放出する試料台のAgとPCBとに由来する二次イオンを検出する。
【0012】
TOFーSIMSの分析装置について簡単に説明する。図1はTOF−SIMSの分析装置の概略図である。測定対象の試料1は試料台2の上に載置され、真空槽7中に設置される。この試料台2はAg−Cs合金板からなる。真空槽7には、試料1に一次イオン5を照射してイオン化させる一次イオンパルスビーム発生部6が設置されている。また、一次イオン5が照射されて試料1から放出する二次イオン4を後段の分析部に引き出すイオン引出部8と、イオンを質量数/イオン価数比(m/z)毎に分離する飛行時間型質量分析部9と、m/z毎に分離した二次イオンの量を検出する検出部10と、検出器10に接続されてm/zと二次イオンの量との関係を計数、保存するする計数部とを備えている。また図1には示さないが、試料台2上の一次イオン2の照射位置を観察するカメラ部を備えている。
【0013】
一次イオンパルスビーム発生部6は、イオン源としてガリウム液体金属イオン源が使用でき、イオン照射のエネルギーは15keVまで照射可能なものであって、イオンドーズ量を1013atoms/cm以下に調整可能なイオン源とすると、有機物質の検出に適している。試料台2には、試料台2を横方向と縦方向に移動させることが可能なX−Yステージが接続されていることが望ましい。イオン引出部8と飛行時間型質量分析部9とは質量数/イオン価数比(m/z)=0〜700範囲を検出可能なものであって、質量分解能はM/ΔM=5000以上あれば、有機物質の測定に適している。検出部10は、正イオンを検出可能なものであって光電子倍増管、シングルチャンネルプレートおよびシンチレータを組み合わせた検出器あるいは単独に具備されたものを用いることができる。計数部11は検出部10から出力される二次イオンの数量に応じた信号をデジタルデータに変換する部分と、そのデジタルデータを数値演算処理、表示や記録が可能なコンピュータ部分を備えている。また、カメラ部は光学顕微鏡とCCDカメラを組み合わせたものや単独に具備されたもの等でよい。
【0014】
本実施の形態1では試料台2がAgにCsを含有した金属からなるため、従来のCsを含有しないAgの試料台を使用した場合と比べて、放出する二次イオンの量が格段に増大し、その結果、微量のPCBも高感度に検出が可能となる。
【0015】
次に分析方法の手順について説明する。図2は、本発明における実施の形態1の分析方法の一工程を示す図である。PCBの含有の有無や含有量を調べたい部材をPCBを溶かすことのできる揮発性の溶剤、例えばヘキサンなど、に浸漬し、これを溶液Aとする。次いで図1に示すように、液体Aをマイクロピペット3を用いてAg−Cs合金板からなる試料台2の平坦な面に載置する。その後、液体Aの溶媒を乾燥して除去すると、溶剤によって部材から抽出された不揮発の有機物質は試料台2の表面に薄い層となって残る。この薄い層をTOF−SIMS分析用の試料1とする。
【0016】
次に試料台2を飛行時間型二次イオン質量分析装置の真空槽7にセットして分析する。試料台2のようにAgを含有する金属の上の有機物質に一次イオン5を照射すると、Agと有機物質とが結合した二次イオン4が放出する。PCBの含有は、TOF−SIMSによって得られたm/z比に対する二次イオン4の量の関係がPCB特有の関係を備えているかを検出することにより判断できる。また、二次イオン4の量はPCBの含有量が多いほど多くなるので、二次イオン4の量からPCBの含有量を求めることも可能である。本実施の形態1では試料台2の表面がCsを含有するAgからなるため、放出する二次イオンの量が格段に増大する。
【0017】
なお、PCBの検出にあたっては予めPCB特有のm/z比と二次イオンの量との関係のデータを計数部11のメモリに保存しておいて、PCB特有のm/z比に対してTOF−SIMSによって得られた二次イオンの量とメモリに保存した二次イオンの量の比を計数部11の演算装置に計算させ、演算装置によってその比が所定の範囲のバラツキ内にある場合にPCB特有を含有すると出力するように構成しても良い。判断結果が自動的に出力されるため検出が簡便となる。またTOF−SIMSによって得られた二次イオンの量とメモリに保存した二次イオンの量の比から、PCBの含有量を計算して出力させてもよい。PCBおよび試料台のAgに由来する二次イオンの検出強度と同時に検出されるAgのみに由来する二次イオンの検出強度との比は、後述するようにPCB濃度と直線関係があるため、その関係式から演算装置を用いてPCBの濃度を算出するなどの方法で定量分析を行っても良い。
【0018】
従来のカラムクロマトグラフ法と比較すると、カラムクロマトグラフ法で6時間程度であった分析時間を本実施の形態1では30分程度に短縮することができ、従来の約12倍の速度で高感度な分析が可能となる。
【0019】
なお、本実施の形態1では、Ag−Cs合金板の試料台2を用いたが、表面にAgとCsとが混在していればよいので、Ag−Cs合金板のかわりに、Csイオンを照射した後のAg板や、Csを含む溶液(例えば水溶液)を滴下し乾燥させたなどの方法で表面にCsを付着させる処理を行ったAg板を用いてもよい。また、図2に示した試料1の作製時に、溶液AにCsを含有させたものを試料台2に滴下し乾燥しても同様に表面にCsを付着させた試料台2とすることができる。
【0020】
また、Agのかわりに、Au、CuまたはPd、またはこれらを組み合わせた組成の金属板にCsを含有した試料台2を用いても効果がある。Au、CuまたはPdの金属はAgと同様にTOF-SIMSにおいて二次イオンの放出を増加する効果を有する金属であり、これらの金属にCsを含有させることで、さらに二次イオンの放出を著しく増加できるので、同様に高感度化を実現できる。
【0021】
Ag、Au、CuまたはPdの金属にCsを含有することで二次イオンの放出が格段に増加するメカニズムは定かではないが、Csは陽イオンになりやすいイオン化傾向の高い元素であることから、TOF−SIMSにおいて入射した一次イオンのエネルギーが表面の有機物質とAgなどの金属とに伝達して二次イオンとして放出する際に、Csがエネルギーの伝達を助けて二次イオンの生成を容易にする触媒的効果を果たしているのではないかと推測される。
【0022】
なお、TOF−SIMSででは、ほぼ同じ質量のモノマーが重合したポリマーではモノマーの整数倍の質量でイオン化が起こりやすいため、モノマーの質量を比較的容易に検出することが可能であり、高精度に検出しやすい。またPCBは塩素数の異なる二次イオンが既知の比率で検出される場合が多く、その質量比の関係からさらに高精度の検出が可能である。しかしながら、被測定物質としてPCB以外の有機物質についても分析が迅速に高感度で可能であることはいうまでもない。
【0023】
測定装置については、従来のTOF−SIMSの試料台2の金属をAg、Au、CuまたはPdにCsを含有させた金属に変更するだけでよいため、極めて簡便な方法で高感度化が実現できる。
【実施例】
【0024】
本発明の効果を明確にするため、実施例を挙げて、さらに詳細に説明する。
【0025】
実施例1
試料にはPCB原液(カネクロールKC−400 ジーエルサイエンス社製)を希釈用溶媒のヘキサン(和光純薬工業製 液体クロマトグラフィー用)で100倍重量に希釈した溶液を用いた。
【0026】
飛行時間型二次イオン質量分析装置による分析用の試料台2には、アルドリッチ社製銀基板(silver foil 0.125mm thick 純度99.99% 100mm×100mm)を、15mm×15mmに切断し、カメカインスツルメンツ社製ダイナミック二次イオン質量分析装置IMS−6Fを用いCsイオンを照射エネルギー5.5keV、電流量10nA、ラスター250μmの条件で100秒間スパッタすることで表面に高濃度のCsを添加させたものを予め準備して用いた。
【0027】
試料1の5μLをマイクロピペット3を用いて、試料台2である銀基板の上に載置し、自然放置し溶媒のヘキサンを乾燥させる。この一連の作業の前処理時間を1分程度要した。
【0028】
上記操作によってAg−Csの試料台2表面に載置されたPCBを飛行時間型二次イオン質量分析装置にて分析した。
【0029】
飛行時間型二次イオン質量分析装置は、アルバックファイ社製TRIFT2を使用した。測定条件は、一次イオンとして15keVの69Gaイオンを使用し、二次イオン極性を正、ラスターを50μm、測定質量範囲をm/z=300〜500とし、2分の積算時間で測定を行った。
【0030】
図3は、本実施例1の測定結果であり、縦軸をAg−Csの試料台表面から放出した正の二次イオンの信号強度、横軸をm/zとする質量スペクトルを示したグラフである。図3に示すように質量スペクトルには、m/z=363〜369付近にPCBの3塩素化物に由来する(C12Cl+Ag)イオンのピーク103、m/z=397〜405付近にPCBの4塩素化物に由来する(C12Cl+Ag)イオンのピーク104、m/z=431〜439付近にPCBの5塩素化物に由来する(C12Cl+Ag)イオンのピーク105が認められた。また、表1は実施例1で測定されたPCBの3〜5塩素化物の主なm/zピーク及びそのイオン式とピーク面積値(counts)との関係を示した表である。なお、図3には示されないが、Cs(質量数133)の二次イオンのピークも検出される。
【0031】
【表1】

【0032】
上記の図3および表1に示される正イオン質量スペクトルの測定結果から明らかなように、本実施例1の分析方法により、PCBが含有されていることを確認する定性分析が、塩素数毎に可能である。以上のように、実施例1の分析方法により、塩素数毎のPCBの有無が短時間にしかも少量の試料でも高感度に定性分析できる。
【0033】
実施例2
実施例2では、測定用試料としてPCB原液をヘキサンにてそれぞれ100倍、1000倍、10000倍重量に希釈した溶液を試料台2に滴下後、乾燥した試料を用いて実施例1と同様の方法で分析を行った。図4は3〜5塩素化物それぞれのピーク面積を基板由来の432Agイオンのピーク面積で規格化したピーク面積比をPCB濃度(wt%)に対してプロットしたグラフである。なお図4のプロットにおいて、文献(環境化学 Vol.5、No.3、pp647−675、1995のデータ)値のKC−400中の3〜5塩素化物濃度比である、3塩素化物濃度17.47%、4塩素化物濃度51.43%、および5塩素化物濃度27.92%を使用して算出した。
【0034】
図4で明らかなように、PCB3塩化物に由来するピーク面積比113、PCB4塩化物に由来するピーク面積比114、PCB5塩化物に由来するピーク面積比115、の各値とPCB濃度との間には良好な直線関係がある。また、この直線関係は432AgイオンのピークとのPCBのイオンのピーク面積比からPCBの含有量の定量分析が可能であることを示している。従って、実施例2の分析方法により、塩素数毎のPCBの含有量を短時間にしかも少量の試料でも高感度に定量分析できる。
【0035】
比較例1
比較例1ではCsを添加させずにAg板を試料台として用いること以外は実施例1と同様にしてPCB分析を行った。図5は比較例1で得られた正イオン質量スペクトルを示すグラフである。また、表2は表1と同様に、比較例1で測定されたPCBの3〜5塩素化物の主なm/zピーク及びそのイオン式とピーク面積値(counts)との関係を示した表である。実施例1とは異なり、PCBの3塩素化物に由来するイオンのピーク103、4塩素化物に由来するイオンのピーク104、5塩素化物に由来するイオンのピーク105のそれぞれの強度は微弱である。
【0036】
【表2】

【0037】
図6は実施例1と比較例1とにおける各イオン(m/z)のピーク面積を比較したグラフである。図6によれば、PCBの3塩素化物に由来するイオンのピーク103、4塩素化物に由来するイオンのピーク104、5塩素化物に由来するイオンのピーク105のそれぞれについて、実施例1の強度101のほうが比較例1の強度102と比較しておよそ2桁大きい。従って、実施例1のように試料台にCsを含ませることで2桁の感度増強が得られたことがわかる。
【0038】
以上ように、試料台のAgにCsを含ませることにより、TOF−SIMS法による質量スペクトル測定に置いて、PCBの2次イオンの放出が顕著に促進され、明瞭なピークを得ることができる。即ち、低濃度のPCBでもPCBに由来するピークを得ることができ、高感度で精度の良い定性分析および定量分析が短時間に可能となる。
【0039】
(表3) 比較例1のPCBのピーク面積値(counts)
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明における実施の形態1のTOF−SIMSの分析装置の概略図である。
【図2】本発明における実施の形態1のPCBの分析方法の工程を示す図である。
【図3】実施例1におけるPCBの正イオン質量スペクトルを示すグラフである。
【図4】実施例2における規格化したPCBの3〜5塩化物のピーク面積比とPCB濃度との関係を示すグラフである。
【図5】比較例1におけるPCBの正イオン質量スペクトルを示すグラフである。
【図6】実施例1及び比較例1においてPCBの各正イオンピーク面積を比較したグラフである。
【符号の説明】
【0041】
1 試料、2 試料台、3 マイクロピペット、4 二次イオン、5 一次イオン、6 一次イオンパルスビーム発生部、7 真空槽、8 イオン引出部、9 飛行時間型質量分析部、10 検出部、11 計数部、51 ガラス管、52 充填剤、53 充填剤保持材、101 実施例1の強度、102 比較例1の強度、103 PCB3塩化物に由来するピーク、104 PCB4塩化物に由来するピーク、105 PCB5塩化物に由来するピーク、113 PCB3塩化物に由来するピーク面積比、114 PCB4塩化物に由来するピーク面積比、115 PCB5塩化物に由来するピーク面積比

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機物質を付着させた試料台の表面に一次イオンを照射して放出される二次イオンを飛行時間型二次イオン質量分析法により検出する有機物質の分析方法であって、
前記試料台の表面はCsを含有するAg、Au、CuおよびPdのいずれかの金属からなることを特徴とする有機物質の分析方法。
【請求項2】
試料台の表面はAg、Au、CuおよびPdのいずれかの金属にCsイオンを照射して得られた金属からなることを特徴とする請求項1に記載の有機物質の分析方法。
【請求項3】
有機物質を付着させた試料台の表面に一次イオンを照射して放出される二次イオンを飛行時間型二次イオン質量分析法により検出する有機物質の分析方法であって、
前記試料台の表面はCsを付着させたAg、Au、CuおよびPdのいずれかの金属からなることを特徴とする有機物質の分析方法。
【請求項4】
有機物質はポリ塩化ビフェニルであることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の有機物質の分析方法。
【請求項5】
有機物質および試料台の表面の金属に由来する二次イオンの検出強度と、同時に検出される前記金属のみに由来する二次イオンの検出強度とを比較することにより前記有機物質を定量することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の有機物質の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−46071(P2008−46071A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224046(P2006−224046)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】