説明

有機物質の混合物から化石および天然有機物質を分離する方法および装置

本発明は、有機物質の混合物から化石および天然有機物質を分離する方法および装置に関する。本発明は、有機物質の混合物に脱水工程(30、31)、熱機械細胞溶解(32)、後の脱水工程(33)および最終篩分け工程を行うことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
住宅地廃棄物や工業廃棄物の廃棄は、政治的な要求の高まりと共に、持続可能性の観点で、問題である。これまでに採られた手法、すなわち、廃棄を回避し、貴重な材料を別々に収集することにより、廃棄物の量を減じることは、最初は成功していた。不活性物質、有機物質および水の3成分混合物から実質的になる、直接活用できない、残った廃棄物については、国際公開第2005/051547 A1号パンフレットに既に提案がなされている。材料的および/またはエネルギー的に活用できるフラクションを生成するため、そして、主に、埋め立てを回避するには、水溶性および生物学的に転換可能なフラクションを有する不活性物質、水そして有機物質からなる組成物の湿式機械処理が提案されている。まず、組成物を、ミキサーにおいて、分離および洗浄剤としての水と連続的に混合する。15%〜25%の乾燥物質含量となるまで、混合物の成分は分離しない。その後、第1の段階において、組成物を、コンベヤーを用いて、ミキサーから放出する。水の添加により、液体成分は、乾燥物質含量が10%〜20%の固体液体混合物中に溶解したままとなる。一方、重い成分は、粒径が>25mmの第1の重い不活性フラクションとして沈み、コンベヤーにより分離される。粒径が30mm〜120mmの軽い有機物質は、第1の軽い有機フラクションとして、残りの固体液体混合物から篩分けされて、濯がれて、プレスされる。このフラクションは、対応する限定値に保たれ、農業における材料の活用が考慮されない場合は、適宜、乾燥後、燃料またはガス化によりエネルギー的に活用できる。
【0002】
第2の段階において、粒径が2mm〜25mmの重い不活性物質を、まず、重力により、6%〜12%の調節した乾燥物質含量を有する残りの懸濁液から分離し、次に、粒径が3mm〜30mmの軽い有機物質を、篩分けおよび洗浄により分離する。篩分けされた有機フラクションも同様に、水で洗ってプレスオフすることができる。
【0003】
第3の段階において、粒径<2mmの重い不活性物質をさらに、遠心分離力により、3%〜8%の調節した乾燥物質含量を有する残りの懸濁液から分離した後、さらに、粒径150μm〜3μmの軽い有機物質を、篩分けおよび洗浄により分離する。細かい篩分けで形成されたろ過ケーキは、同様に、プレスオフされて、例えば、農業において、肥料や土壌改質剤として用いられる。そのため、有機物質は、堆肥化設備で堆肥化されるか、発酵設備で発酵され、堆肥化または乾燥され、緩い堆肥床または肥料として用いられる。
【0004】
化石だけでなく、天然有機物質も含有する有機組成物のさらなる処理で、本発明は始まる。
【0005】
先行技術によれば、押出しは、プラスチック処理および有機物質の裁断で知られている。このように、独国特許第44 44 745号明細書には、スクリュー押出し機を用いて、廃水スラッジ、液体肥料スラッジ、汚水スラッジまたは生物系廃棄物を含有する予め粉砕しておいた木材または廃材から、高品質の植物基質を製造する方法が記載されている。木材および粗い成分を裁断して、100℃を超える温度で、添加剤と激しく混合されるような処理量で、スクリュー押出し機に、前記物質を連続的に供給する。設定温度は、病原体、バクテリア、ウイルス、胞子または雑草種子を確実に死滅させるためのものであり、過剰な水分含量は蒸発し、材料は、実質的に無菌で、植物基質として特に直ちに好適な構造で押出し機ヘッドから出てくる。
【0006】
独国特許出願公開第10 2004 054 468A1号明細書には、バイオガスを製造するための植物基質の嫌気性発酵方法が記載されている。検出可能な高いガス形成率を達成するために、発酵プロセスの上流で、反応器外で植物基質を押出すことにより、調製事前段階が接続されていなければならない。それは、高品質の均質化されたバイオマスが形成され、その細胞構造が実質的に破壊されるようになされる。生体材料の表面を目標通りに広げることによって、メタン細菌がより迅速に栄養を利用できるようにしなければならない。ダブルスクリュー押出し機を用いるときは、密閉および外装された装置のスクリューシャフトの側部において、植物材料および/またはバイオマスの細胞構造を爆発的に破壊することのできる圧力条件および温度条件を形成する。ここでは、5×10Paを超える圧力および>120℃の温度が可能である。これらの条件において、例えば、プラスチックが材料中に存在していて大量に癒着し、凝集体が形成されて、物質を後に分離するのを難しくさせるのが問題である。前記公報に記載された方法は、さらに、出発材料の前処理なしでは実施できない。不活性物質の事前分離、すなわち、特に、石、砂利、砂および金属の除去なしでは、植物の高度の損耗を免れ得ないからである。実行できる好適な前処理は、上述の国際公開第2005/051547A1号パンフレットに記載されている。
【0007】
本発明の目的は、化石と天然有機物質を分離する最適化された方法を特定することである。
【0008】
この目的は、請求項1に記載の方法により達成され、有機組成物に、脱水、熱機械細胞溶解、再脱水および最終篩分けを行うことを特徴としている。細胞溶解、すなわち、細胞破砕によって、細胞膜および/または細胞壁が破壊され、その結果、細胞の中身(細胞溶解物とも呼ばれる)が放出される。全ての可能な細胞溶解の中でも、すなわち、酵素、化学、熱または機械のうち、ここでは、熱機械細胞溶解を、機械および熱細胞溶解の組み合わせとして選択する。細胞破砕は、高度の脱水、公衆衛生、そして生物的安定と共に、容易に分解する有機物質および細胞水を排出する可能性があるからである。
【0009】
本方法のさらなる発展形態は、請求項2〜8に記載されている。
【0010】
このように、熱機械細胞溶解は、好ましくは65℃〜最大で120℃、さらに好ましくは最大で100℃の温度で実施されるべきである。さらに、存在する圧力は、10Pa〜5×10Paとし、特に、5×10Paの上限値を超えてはならない。上述のパラメータを維持して、プラスチックを残りの有機物質から後に分離するのを難しくさせるので、特に、材料ストリームに含まれるプラスチックが、確実に癒着しないようにする。特に、有機物質フラクションをさらに用いる場合、プラスチックフラクションが望ましくない、または、法により許されない場合、これは必要である。例えば、有機物質フラクションを、製紙業界、農業で活用、バイオマスフラクション中に存在する繊維の材料に後に使用する場合等である。あるいは、特別なバイオマス発電所におけるエネルギー活用、既存のエネルギー生成プラントにおける結合燃焼、または発酵もしくはガス化プロセスによるエタノール生成に望ましい。同様に、技術的または物流的理由のために必要とされる後のペレット化またはブリケット化の場合には、プラスチックフラクションを予め分離しておくと有利である。状況によっては、プラスチックフラクションを分離することにより存在し得るポリ塩化ビニル(PVC)もまた分離されなければならず、これによって、塩素フラクションを減少させなければならない。塩素フラクションは、腐食の問題のために燃焼に、そして、排煙浄化用途に望ましくない。プラスチックの分離により、残りのバイオマスフラクションの発熱量は減じ、特別な燃焼技術、例えば、火格子燃焼には有利である。分離されたプラスチックフラクションは、発熱量のために、特別に提供されたプラントにおいて、効率的な方法で、エネルギーおよび材料の面で活用される。最後に、本方法の実施に際して、天然有機物質の高い純度が確保される。
【0011】
篩分けの結果を最適にするには、篩分けの前に乾燥を実施するのが好ましい。本発明による方法を用いて、天然有機物質の、大部分は、2mm〜5mm以下の粒径に粉砕され、一方、軟質および硬質プラスチックは、2mm〜5mmの粒径で存在する。有効な分離の前提条件であるこれらの異なる粒径フラクションとは別に、天然物質を化石物質および/またはプロセスから排出されるべきプラスチック部分に接合することにより、乾燥は、凝集物形成を防ぐ。
【0012】
本発明による方法の一実施形態によれば、篩分けプロセスから得られた天然有機物質は、脱水および後の熱機械細胞溶解に、または直接、熱機械細胞溶解に再循環される。すなわち、材料ストリームは、本発明による、脱水、細胞溶解、再脱水、必要に応じて、乾燥および篩分けの処理を繰り返し受ける。繰り返しの処理の前に、材料によっては、材料を再び湿らせる必要がある。
【0013】
あるいは、篩分けから得られた化石有機物質に、続く1段階または2段階熱機械細胞溶解、好ましくは、それぞれ、再脱水と最終篩分けを行って、まだ存在している残渣天然有機物質を排出して、得られる最終生成物の純度を増大することができる。
【0014】
本発明のさらなる実施形態によれば、導入された材料は予熱して、熱機械細胞溶解において、所望の最低温度である65℃に達するか、または大いに超えるが、上述した最大値は超えないようにすることができる。
【0015】
好ましくは、唯一または第1の篩分けにおいて設定した篩のサイズは、天然有機物質乾燥後に、2mm〜30mmの篩カットで篩分けされるようなものを選択する。好ましくは、このサイズの大きな物質を、破砕の程度を増大するために、回路において、熱機械細胞溶解に戻す。
【0016】
本発明は、また、請求項9に記載の装置にも関する。この装置は、スクリュープレスを有しており、連続して、少なくとも1つの脱水段階および細胞を破壊するための1つの溶解器具を有し、その下流に、化石と天然有機物質を分離するための篩分け器具が接続されている。
【0017】
本発明のさらなる実施形態および利点を、図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による方法のブロックフローチャートを示す。
【図2】溶解器具を有する多段階スクリュープレスの概略図である。
【0019】
天然有機成分と、硬質および軟質プラスチックも含有する、処理される材料は、妨害物質、特に、金属および不活性物質から、第1の段階11の開始で、矢印10の方向に供給される。供給された材料に、独国特許出願公開第103 54 627A1号明細書(国際公開第2005/051547A1号パンフレット)による分離方法を行う場合には、材料は、点線で示された経路12に従って、脱水13へと直接送ることができる。廃水と共に、既に溶解した有機物質が放出され、嫌気性および好気性廃水浄化に供給することができる。続く段階14で、用いたプレスされたスクリューの操作または加熱により、10〜5×10Paの圧力で、65℃〜120℃、好ましくは95℃の値まで、材料を昇温する。これらの処理条件下で、熱機械細胞溶解を進める。すなわち、天然有機フラクションを粉砕し、裁断する。最大温度120℃、好ましくは100℃未満に維持することを選択する。材料に含まれるプラスチックが癒着しないようにするためである。熱機械細胞溶解により、細胞水が遊離し、後に、再脱水15で放出される。その結果、プレスケーキの生物的安定性が改善され、乾燥物質含量が、機械的脱水では得られない値まで顕著に増大する。
【0020】
裁断され脱水された材料の稠度は、薄片状ないしふわふわとしており、充填した出発材料に応じて、乾燥16または(矢印17参照)直接、2mm〜30mmに篩分け切断される篩分け18に送られる。篩分けによって、選択的に粉砕された天然有機物質部分が、実質的に未粉砕のサイズの大きな物質のプラスチックから分離される。天然有機物質20は、直接、放出されるか、または(矢印21参照)プロセスを戻る。その後、天然有機物質は、再び、脱水(必要に応じて)されるか、または再び、熱機械細胞溶解がなされる。篩分けから得られた化石有機物質は、材料として放出され(矢印19参照)、さらに利用、好ましくは燃焼されるか、プロセス経路22に対応して、さらに、1段階〜2段階の熱機械細胞溶解23へと、適宜、再脱水される。最終段階前に、篩分け24によって、化石有機物質フラクション25を、天然有機物質フラクション26から高度の選択性で分離することができる。さらに1段階〜2段階熱機械細胞溶解23を実施するかについての重要な因子は、大量のプラスチックフラクションが、材料ストリームにまだ含まれているかどうかである。これは、段階24で、さらに細かく篩分け切断することによって除去できる。
【0021】
公衆衛生のために、温度および滞留時間に加えて、熱機械細胞溶解の影響を考慮に入れなければならない。製品の衛生要件は、場所と出発材料に応じて異なる。製品の事前の加熱、そして、状況によっては、プレスプロセス前後に追加して規定される保管が、最適な衛生に影響する可能性がある。
【0022】
熱機械細胞破砕については、圧力設定よりも、65℃という低温に保つことが非常に重要である。例えば、圧縮圧力を5×10Paより高く増大しても、65℃の温度を超えていないと、細胞破砕率に特に影響はないことが観察されている。65℃を超える温度で、細胞が不安定になるものと考えられる。細胞壁の安定性は、特に、例えば、セルロース、ヘミセルロース、ペクチンおよびリグニンからなるフィブリルにより得られる。フィブリルは、水素結合により互いに結合されている。水素結合は、高温だと不安定で、その結果、フィブリルは、互いに、容易に移動するため、細胞破砕には、低いせん断力が必要とされる。細胞を裁断する温度は、先行技術においてよく行われる電気的な加熱ではなく、主に、機械的なエネルギーによって製品に与えられる。エネルギーのコスト増大のために、経済的な理由から、細胞溶解中、所望の温度を設定するために任意の率が二次的に考慮される。加えて、公衆衛生を改善するには、温度制御が重要である。
【0023】
本発明の必須の構成は、図2に示すスクリュープレスである。ドライブ27を介して、スクリュー28を操作して、第1の段階30で、フィード29を介して導入された材料の事前脱水をし、第2の段階で脱水し、細胞溶解が実施される溶解器具である領域32の前にプレスする。このテーパのついた領域において、細胞は、約95℃までの加熱のために実質的に不安定となり、せん断力により破壊される。再脱水段階33において、放出される細胞水が除去され、(矢印19参照)プレスオフされた細胞水から遊離した化石有機物質を取り出すことができる。得られた材料ストリーム34は、後に、篩分けや乾燥に直接送ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化石および天然有機物質を、有機組成物から分離する方法であって、
前記有機組成物に、脱水(13)、熱機械細胞溶解(14)、再脱水(15)および最終篩分け(18)を行うことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記熱機械細胞溶解(14)が、65℃〜最大で120℃、好ましくは最大で100℃の温度で実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱機械細胞溶解(14)が、10〜5×10Paの圧力で実施されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
乾燥(16)を、篩分け(18)の前に実施することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記篩分けプロセスから得られた前記天然有機物質を、脱水(13)および後の熱機械細胞溶解(14)に、または直接、前記熱機械細胞溶解(14)に再循環することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の篩分け(18)から得られた>2mm〜30mmのサイズの大きな物質を、前記熱機械細胞溶解(14)へ再生するように再循環することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記篩分け(18)から得られた前記化石有機物質(22)に、続く1段階または2段階熱機械細胞溶解(23)、好ましくは、それぞれ、脱水および最終篩分け(24)を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記導入された材料(10)を予熱することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法を実施するためのスクリュープレスを有する装置であって、
前記スクリュープレスが、連続して、少なくとも1つの脱水段階(30、31)および細胞を破壊するための1つの溶解器具(32)を有し、その下流に、化石と天然有機物質を分離するための再脱水および篩分け器具が接続されていることを特徴とする装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−502426(P2010−502426A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527006(P2009−527006)
【出願日】平成19年7月14日(2007.7.14)
【国際出願番号】PCT/DE2007/001263
【国際公開番号】WO2008/028444
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(508036293)エコエナジー ゲゼルシャフト フュア エネルギー− ウント ウムヴェルトテヒニーク ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】EcoEnergy Gesellschaft fuer Energie− und Umwelttechnik mbH
【住所又は居所原語表記】Bei dem Gerichte 9, D−37445 Walkenried, Germany
【Fターム(参考)】