説明

有機発光ダイオード、及び光取り出しを促進する反射防止層を有するダイオードパネル

ダイオードは有機エレクトロルミネッセント層(6)を有し、前記有機エレクトロルミネッセント層(6)は、下部電極と、部分的に透明でかつ半反射性の上部電極との間に設けられ、前記下部電極それ自体は、透明な導電性層(4)、及びたとえば不透明なグリッドのような電流供給金属層(3)を有する。誘電性反射防止層(2)がグリッド上に堆積されることで、周辺光での発光コントラストが改善される。有利な実施例に従うと、そのグリッドは、上部電極の半反射特性を最適化するように設計されている。それにより、光共振器効果による発光の取り出しが改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光する能力を有する有機発光ダイオードに関する。当該ダイオードは:
基板;
下部電極と、部分的に透明な上部電極との間に設けられた有機エレクトロルミネッセント層であって、前記上部電極は、連続的でかつ厚さが均一である透明な導電性層、及び不透明な電流供給金属層を有し、前記電流供給金属層は前記エレクトロルミネッセント層によって放出される光を透過させる窓を有する、有機エレクトロルミネッセント層;及び
外部面を介して媒体、一般的には空気、と接し、かつ内部面を介して前記透明な導電性層及び前記不透明な金属層と接する、透明な誘電性反射防止層;
を有する。
【0002】
従ってこれは、“上部発光”ダイオード(つまり基板からみて反対側の面で発光するダイオード)と呼ばれる。上記のダイオードは、上部電極が陰極である、従来の構造を有して良いし、又は、上部電極が陽極である。逆構造を有しても良い。
【0003】
従ってこのダイオードの上部電極は少なくとも2層からなる層である。前記2層からなる層は、透明でかつ導電性を有する主たる層及び不透明な電流供給層を有する。前記主たる層は、エレクトロルミネッセント層への電荷が均一に供給することで、この層の厚さにわたって均一な電場が生成されることを保証する。前記電流供給層はたとえば金属グリッドである。前記金属グリッドは前記上部電極の電気伝導性を増大させるように基本的には機能する。前記エレクトロルミネッセント層内で発光した光は前記金属グリッドのバーの間を通過することができる。
【0004】
本発明はまた、これらのダイオードアレイにも関し、特に照明パネル又は特に画像を表示するディスプレイパネルを形成するダイオードアレイに関する。
【背景技術】
【0005】
たとえば上述のグリッドのバーのような、不透明な電流供給層での周辺光の反射は、周辺光中でのダイオードの発光コントラストを大きく減少させる。そのダイオードの活性表面全体にわたって、所謂“完全な層”である、均一な厚さの反射防止層を成膜することによって、この問題を解決することは可能であるが、この反射防止層は上部電極全体の透明度を劣化させ、その結果としてダイオードの発光効率を落としてしまう危険がある。
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/184982号明細書
【特許文献2】国際公開第03/052842号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ダイオードによって発光し、この電極を介して放出される光の取り出しについて最高の性能を得るため、上部電極の不透明領域内にある前記層の反射防止機能と、上部電極の全体としての光学特性との間で最適な妥協を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため、本発明の一の主題は、発光する能力を有する有機発光ダイオードである。当該ダイオードは:
基板;
下部電極と、部分的に透明な上部電極との間に設けられた発光する能力を有する有機エレクトロルミネッセント層であって、両電極は、電流が当該有機エレクトロルミネッセント層を通り抜けるように設計されるので、当該有機エレクトロルミネッセント層内で発光を引き起こし、前記上部電極は、厚さがほぼ均一である透明な少なくとも1層の導電層、及び電流を供給する金属層を有し、その電流は不透明領域内に供給され、前記電流供給金属層中のギャップが前記不透明領域間に存在し、前記ギャップは前記エレクトロルミネッセント層によって放出される光を透過させる窓を形成する、有機エレクトロルミネッセント層;及び
外部面を介して媒体、一般的には空気、と接し、かつ内部面を介して前記透明な導電層及び前記不透明な導電層と接する、透明な誘電性反射防止層;
を有する。前記透明な誘電性反射防止層の材料及び厚さは、550nmに近い波長λambでの法線入射の条件で測定された前記不透明領域の反射率が0.1未満となるように、前記電流供給金属層の材料と共に選ばれる。
【0008】
従って下部電極それ自体は、基板とエレクトロルミネッセント層との間に設けられている。
【0009】
ダイオードはまた、前記放出された光を反射するように設計された反射性の下部層をも有する。その層は、前記基板と前記有機エレクトロルミネッセント層との間に設けられているか、又は前記基板と一体化している。
【0010】
この反射性の下部層により、ダイオードによって発光した光の取り出し及びダイオードの発光効率は実質的に改善される。
【0011】
この反射性の下部層は、下部電極によって形成されるか、又は下部電極と一体化するので、一般的には金属的でかつ不透明である。
【0012】
他の可能な実施例に従うと:
この反射性の下部層は、基板と下部電極との間に設けられているので、透明又は半透明である;
この反射性の下部層は、下部電極と有機エレクトロルミネッセント層との間に設けられている;
この反射性の下部層は基板の一体部分である。アクティブマトリックスによって形成される基板の場合、反射性の下部層はアクティブマトリックス層のうちの1層によって形成されて良い。
【0013】
この反射性の下部層は、誘電体で作られて良く、かつ複数の層からなる構造を有して良い(ブラッグ反射体)。
【0014】
電流供給金属層はグリッドの形態をとることが好ましい。そのグリッドの柵は、電流の供給を実質的に改善するのに十分な厚さを有する一方で、これらの柵の間の窓は、エレクトロルミネッセント層によって発光した光が通り抜けるのに十分な広さのままにすることが好ましい。エレクトロルミネッセント層によって不透明領域、特に柵、の方向へ放出された光は一般的に、ダイオード内側に存在するこれらの不透明領域で反射される。従って上部電極は、特に電流供給金属層の不透明領域のため、部分的に透明である。
【0015】
電流供給金属層は、1層以上の透明又は半透明導電層のうちの1層の透明な導電層上に直接堆積される。電流供給層が直接堆積される透明な導電層は一般的に、たとえばITO(インジウムスズ酸化物)のような半導体酸化物に基づく。たとえば銀のような金属もまた、この透明な導電層に用いられて良い。その場合には、その透明な導電層の厚さは、事実上透明又は半透明になるように非常に薄くなる。一の層を他の層上に堆積させるように、つまり特に銀ベースの層に続いてITOベースの層を堆積させるように、2層の透明な導電層を用いることも可能である。前記少なくとも1層の透明又は半透明の導電層は、ダイオードの活性領域全体を覆い、かつ通常は穴を有していない。その厚さはダイオードの活性領域全体にわたって一定である。
【0016】
エレクトロルミネッセント層によって放出された光は、電流供給金属層の不透明領域間に作られた窓すなわち穴を介して上部電極を通り抜ける。上部電極を流れる電流が有効に供給されることを保証するため、この金属層の不透明領域、たとえば上述のグリッドの柵のような、での表面電気伝導度は、その金属層の下に存在する少なくとも1層の透明な導電層の表面電気伝導度の少なくとも10倍よりも大きいことが好ましい。
【0017】
透明な誘電反射防止層は、上述の電流供給金属層上に直接堆積される。従って一方ではその透明な誘電反射防止層は、不透明領域で内側の面を介して電流供給金属層と接し、他方では、その供給層の窓を介して、この透明な導電層と接する。本発明に従うと、この反射防止層によって不透明領域がコーティングされることで、これらの不透明領域での周辺光の反射率は0.1未満となる。より厳密には、この反射率は、550nmに近い波長λambでの法線入射の条件で測定された。人間の目のスペクトル感度を考慮して、波長λambは、周辺光での最大放射力を与える、大体の波長に対応する。
【0018】
よって本発明に従うと、透明な誘電層は、第1機能として、不透明な電流供給導電層の反射性表面に対する周辺光についての最適な反射防止効果を供する。従って、周辺光でのダイオードの発光効率が改善される。
【0019】
n1が波長λambでの前記媒体の屈折率である場合、波長λambで測定された屈折率n2amb)を有する材料、及び前記誘電反射防止層の厚さd2は、前記電流供給金属層の屈折率
【0020】
【数1】

(以降、読みやすさの便宜を考慮してn3*と表記する。)を有する材料と共に選択される。n3*は同一の波長λambで測定され、その振幅n3及び位相φは、n3*=n3exp(iφ)と定義され、近似的に以下の式が満足される。
【0021】
【数2】

特に反射防止層及び電流供給層の材料を選択したことにより、上部電極の不透明領域での周辺光の反射率が(非常に)低くなるので、周辺光でのダイオードの発光コントラストが顕著に改善される。
【0022】
さらに反射防止機能を補強するため、550nmに近い波長λambで測定された屈折率n2amb)を有する材料、及び前記誘電反射防止層の厚さd2は、以下の式を近似的に満足するように選ばれる。
【0023】
【数3】

ここで、pは任意の整数で、φ2-3は、誘電反射防止層と電流供給金属層との間の界面で反射した後の、波長λambの光線の位相シフトである。
【0024】
d2の値を与える式は、誘電反射防止層内での周辺光の建設的干渉を表す。
【0025】
反射防止層がこのような厚さを有するため、上部電極での周辺光の反射率が(非常に)低くなるので、周辺光でのダイオードの発光コントラストがさらに改善される。
【0026】
好適には、前記誘電反射防止層の材料及び前記電流供給金属層の材料はそれぞれ:
シリコン窒化物及びタンタル;
酸化チタン、及び、ニッケル、クロム、チタン及びバナジウムのうちの1種類;又は
セレン化亜鉛、及び、ニッケル、クロム、チタン及びバナジウムのうちの1種類;
のいずれかである。
【0027】
誘電反射防止層及び少なくとも1層の透明な導電層は、エレクトロルミネッセント層によって放出された前記光を部分的に反射するように設計された半反射性上部層を組成する。よって、反射性下部層、及び、このようにして組成されたこの半反射性上部層は、光共振器を画定する。前記誘電反射防止層の材料及び厚さは、透明な導電層の材料及び厚さと共に選ばれる。それにより、半反射性上部層は放出光を部分的に反射する。
【0028】
よってダイオードは半反射性上部層を有し、その半反射性上部層は、前記放出光を部分的に反射するように設計され、少なくとも部分的に上部電極と一体化している。よって本発明に従うと、この半反射性上部層に属する透明な誘電層は、第2機能として最適化効果を供する。それにより、この半反射性上部層の半反射特性は最適化される。従って、ほぼ均一な厚さを有するのでマスクなしで堆積される当該透明な誘電層は、反射防止層として、及び光共振器の壁面のうちの1面の反射率を改善する層として機能する。
【0029】
上部電極はまた、有機エレクトロルミネッセント層と透明な導電層との間に設けられている電荷注入層をも有して良く、また半反射性上部層の一部を形成しても良い。上部電極が陰極である場合には、たとえばカルシウムのような低仕事関数の金属が、その電極材料に選ばれて良い。LiF+Al型の混合物を用いることも可能である。上部電極が陽極である場合には、たとえば銀又は金のような高仕事関数の金属が、その電極材料に選ばれて良い。
【0030】
上部電極は第2半透明導電層を有して良い。その第2半透明導電層は特に、有機エレクトロルミネッセント層と他の透明な導電層との間に設けられるときには、拡散バリヤとして機能する。従ってこの第2半透明導電層はまた、上部電極の成分が有機エレクトロルミネッセント層へ拡散することで有機エレクトロルミネッセント層が劣化するのを防止することも意図されている。この層には銀が用いられることが好ましい。
【0031】
反射性下部層及び半反射性上部層が、有機エレクトロルミネッセント層によって放出される光の光共振器を画定するので、この共振器を画定するこれらの層間の距離d6は、この共振器内部で放出光の建設的干渉が起こるように適合されるのが好ましい。この建設的干渉は、上部電極を介して放出される光の取り出しを有利に促進する。それにより、ダイオードの発光効率は改善される。
【0032】
よって前記距離d6は以下の式を近似的に満足する。
【0033】
【数4】

ここで、
qは任意の整数;
λは放出光の最大放射力を与える波長に近い波長、かつn6はこの波長λでの有機エレクトロルミネッセント層の平均屈折率;及び
φtotは、反射性下部層及び半反射性上部層で反射された後の、放出光線の全位相シフト;
である。
【0034】
好適には、半反射性上部層については、波長λ及び前記誘電反射防止層の厚さd2の条件で測定された屈折率n2、波長λ及び透明な導電第1層の厚さd4の条件で測定された屈折率n4、及び、当てはまる場合には、波長λ及び透明な導電第2層の厚さd5の条件で測定された屈折率n5は組み合わせで選ばれる。それにより、この波長λでの法線入射で測定された、前記層の積層構造の反射率は最大となる。この結果、この積層構造の透明度と反射率との間での最善の妥協が有利に成立する。2つの因子である透明度及び反射率は、ダイオードの最善発光効率に寄与する。
【0035】
半反射性上部層に関する他の実施例に従うと、この層は、特許文献1で説明されている多層誘電体構造(ブラッグ反射体)を有して良い。この層は上部電極上に堆積される。この多層構造は、特許文献2で図示されているようにダイオードを覆う機能を有して良い。
【0036】
実際には、電気伝導性及び透明度に係る基準に従って、透明な導電層の材料を選択し、かつ、電荷注入及び有機エレクトロルミネッセント層への拡散に対するバリヤに影響を及ぼす性能の基準に従って、半反射性上部層の材料及び厚さを選択することで、透明な導電層の厚さが決定される。それにより、有機エレクトロルミネッセント層内で発光した光が、半反射性上部層との界面を外して法線入射したときの反射率が最大となる。
【0037】
前記反射性下部層は前記下部電極と前記有機エレクトロルミネッセント層との間の界面に存在し、かつ前記半反射性上部層は、前記上部電極と前記有機エレクトロルミネッセント層との間の界面に存在することが好ましい。
【0038】
この場合、各電極は反射機能を有する。
【0039】
よって距離d6は電極間の有機エレクトロルミネッセント層の厚さに対応し、d6の近似値を与える上記式は下部電極及び上部電極によって囲まれている光共振器内に放出される光の建設的干渉を表す。
【0040】
反射性下部層から有機エレクトロルミネッセント層を分離する距離は、前記放出光とこの反射性下部層によって反射された光との間での建設的干渉が得られるように適合されるのが好ましい。
【0041】
前記有機エレクトロルミネッセント層は発光有機層及び少なくとも1層の非発光下部有機層を有し、該少なくとも1層の非発光下部有機層は前記反射性下部層と前記発光層との間に設けられるのが好ましい。また(複数の)非発光下部有機層の厚さは、前記反射性下部層の前記発光有機層の中心を分離する距離zが以下の式を満足するように適合されることが好ましい。
【0042】
【数5】

ここで、
rは任意の整数;
λは放出光の最大放射力を与える波長に近い前記波長、かつn6はこの波長での有機エレクトロルミネッセント層の平均屈折率;及び
φinfは、反射性下部層で反射された後の放出光線の位相シフト;
である。
【0043】
一般的には、非発光下部有機層は、第1型のキャリアを注入及び/又は輸送するように設計されている。よってエレクトロルミネッセント層はまた、少なくとも1層の非発光上部有機層をも有するのが好ましい。前記少なくとも1層の非発光上部有機層は、上部電極と前記発光層との間に設けられ、かつ好適には第2型のキャリアを注入及び/又は輸送するように設計されている。キャリアの種類は電子と正孔に対応する。
【0044】
本発明の主題はまた、本発明に従った複数のダイオードを有する画像ディスプレイ又は照明パネルであって、これらのダイオードは同一基板によって支持されていることを特徴とする。
【0045】
よって上部電極はこれらの複数のダイオードにとって共通であることが好ましい。よってこの電極の透明な導電層はパネルの活性領域全体にわたって延在する。
【0046】
共通の上部電極の不透明な導電層はこの電極上に電流供給グリッドを形成することが好ましい。
【0047】
上述した主な特徴についてまとめると、本発明の主題は、有機発光ダイオード及びこれらのダイオードのアレイを有するパネルである。このダイオードは、下部電極と部分的に透明でかつ半反射性の上部電極を有し、該上部電極それ自体は透明な導電層、及びたとえば不透明グリッドのような電流供給層を有する。誘電反射防止層がグリッド上に堆積されることで、周辺光での発光コントラストが改善される。有利な実施例に従うと、誘電反射防止層は上部電極の半反射特性を最適化するように設計されているので、光共振器効果によって放出光の取り出しが改善される。
【0048】
本発明は、非限定的例を与えることにより、かつ添付の図を参照することにより、より明確に理解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
本発明に従ったダイオード又はダイオードアレイの第1実施例について、特に図1及び図2を参照しながら、その製造におけるいくつかの工程と一緒になったいくつかの非限定的実施例によって説明する。
【0050】
たとえばダイオード駆動装置を含むガラス板又はアクティブマトリックスのような基板8で、製造は開始される。この基板には、反射性金属下部電極7又は前記電極のアレイが供される。その電極は陰極として機能することが意図され、各下部電極は基板上で駆動装置の出力と接続する。1層以上の下部電極のうちの下部層はアルミニウム又はクロムによって作られる。その厚さは約0.1μmである。
【0051】
1層以上の反射性電極7のうちのこの下部層上に、図2に図示されているような以下の積層構造が形成されている有機エレクトロルミネッセント層6は堆積される。その方法自体は既知であり、その積層構造は:
電子を注入及び輸送する、セシウムドープされた、4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BPhen)からなる厚さd62の層62;
正孔を阻止する、ドープされていない、厚さd63=10nmの4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(BPhen)からなる層63;
電子を阻止する、厚さd64=10nmの2,2’,7,7’-テトラキス(N,N-ジフェニルアミノ)-9,9'-スピロ-ビフルオレン(Spiro-TAD)からなる層64;
正孔を注入及び輸送する、たとえばF4-TCNQ(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)のような、p型ドーパントがドープされた、厚さd65の2,2’,7,7’-テトラキス(N,N'-ジ-m-メチルフェニルアミノ)-9,9'-スピロビフルオレン(Spiro m-TTB)からなる層65;
を有する。層62、層63及び層65については後で詳述する。
【0052】
陽極として機能する上部電極層11を形成するため:
銀からなる、厚さd5=15nmの第2半透明導電層5;
“完全な”層である、つまり、層内には意図的に作られた穴が存在しない、混合したインジウムスズ酸化物(ITO)からなる厚さd4の第1半透明導電層4;及び、
平行な金属柵のアレイから形成される不透明な電流供給金属層3であって、その金属柵間には、エレクトロルミネッセント層6によって放出される光が通る大きな開口部すなわち窓をそのまま残り、柵の各々は100nm以上の厚さd3を有する、不透明な電流供給金属層3;
が堆積される。第2半透明導電層5は上部層からの原子拡散に対するバリヤを有利に供する。そのバリヤは、劣化の危険性から有機エレクトロルミネッセント層6を保護する。第1半透明導電層4については後で詳述する。不透明な電流供給金属層3については、電極中を流れる電流が有効に供給されることを保証するため、厚さd3は、選ばれた材料に依存して、その表面電気伝導度がITO層の表面電気伝導度の少なくとも10倍よりも大きくなるように設定される。柵の金属材料は屈折率n3*を有し、その屈折率n3*は波長λambで測定され、λambは人間の目の最大スペクトル感度にほぼ対応する、つまり約550nmである。
【0053】
続いて、波長λambで測定された屈折率n2amb)の透明な誘電層2が上部電極11上に堆積される。この層は連続的で、均一な厚さd2を有し、かつ穴を含まない。ただし欠陥の結果生じる恐れがある穴は除く。従って、反射防止機能を供するように設計されたこの層は、内側の面を介して電流供給金属層3の不透明領域すなわち柵と接し、また金属層3の柵間に位置する窓を介して、透明な導電層4とも接する。
【0054】
第1の透明な導電層4及び誘電反射防止層の材料に係る性質は、大気からの酸素及び/又は水蒸気による劣化の危険性から、下に存在する有機層6を保護するように、適合される。従ってこの導電層4及び/又はこの誘電層2はまた、ダイオードを覆う機能をも有する。
【0055】
透明な誘電層2は、外部面を介して、波長λambで測定された屈折率n1を有する媒体1と接する。この材料は一般的には空気である。第1代替実施例(詳細は図示されていない)に従うと、ダイオードは、気体又は流体で満たされた密閉パッケージ内に封入される。従って媒質1は画定される。第2代替実施例に従うと、追加の被覆層が透明な誘電層2上に加えられるので、媒質1はこの被覆層の材料に対応する。
【0056】
従って、下部層7のうちの少なくとも1層の電極、有機エレクトロルミネッセント層6、上部電極層11及び反射防止層2を基板8上に有する積層構造は、本発明の一実施例に従った、有機発光ダイオード又はダイオードのアレイを形成する。これらに係る特定のパラメータについてここで詳述する。
【0057】
本発明に従うと、屈折率n2amb)を有する材料及び誘電層2の厚さd2は、不透明な金属層3の屈折率n3*を有する材料と共に選ばれる。それにより、波長λamb(約550nm)での法線入射の条件で測定された、不透明金属層3の柵に係る反射率は0.1未満となる。よって誘電層2は、透明な上部電極内の不透明領域を形成する柵に対する反射防止機能を有する。周辺光のかなりの部分はもはや、ダイオードの上部電極の不透明領域で反射されない。それにより、周辺光でのダイオードの発光コントラスト性能が顕著に改善される。
【0058】
このような選択に係る第1方法についてここで説明する。ただしこの説明は限定的なものではない。
【0059】
図3は、電流供給層3を形成する能力を有する1組の金属について、波長λambでの最小反射率変化が、反射防止機能を供するためにこの金属を覆う誘電層材料の屈折率n2amb)の関数として図示されている。1組の金属とは具体的には、Ta、Cr、Ti、Ni及びVである。図中には、誘電体SiO2、SiN及びTiO2の屈折率n2amb)が示されている。
【0060】
本発明に従った選択は、誘電体の1つに係る屈折率n2に近い値であるn20で反射率が最小となるような金属/誘電体の対を選択することが原則である。よって次の2つの対が用いられる。
-酸化チタンとクロム、チタン、ニッケル又はバナジウムが用いられる。これらの金属の中では、マイクロエレクトロニクスにおいて広範に用いられているクロムが好ましい。
-シリコン窒化物とタンタルが用いられる。
【0061】
この方法に従うと、誘電反射防止層にシリカを用いることが、少なくとも上に挙げた金属では、避けられる。
【0062】
このような選択に係る第2方法についてここで説明する。ただしこの説明は限定的なものではない。
【0063】
当業者の間で一般知識として知られている事実として、反射防止層に用いられる誘電体が有していなければならない屈折率は次の式を満足する。
【0064】
【数6】

下の表1は、様々な金属についての、λambでの複素屈折率n3*及び屈折率n20を与える。様々な金属とは、具体的にはCr、Ta、Ti、Ni、V及びCoである。これらの値はこの式に従って計算された(n1=1としている)。表1の右側部分では、特定の誘電体に係る実際の屈折率が与えられている。特定の誘電体とは、具体的にSiO2、SiN及びTiO2である。
【0065】
【表1】

本発明に従った選択は、金属及び誘電体にそれぞれ対応する屈折率n20及びn2が可能な限り互いに近い値となるように金属/誘電体の対を選択することも原則である。よって次の2つの対が用いられる。
-酸化チタンとクロム、チタン、コバルト又はバナジウムが用いられる。これらの金属の中では、マイクロエレクトロニクスにおいて広範に用いられているクロムが好ましい。
-シリコン窒化物とタンタルが用いられる。
【0066】
この方法に従うと、誘電反射防止層にシリカを用いることが、少なくとも上に挙げた金属では、避けられる。
【0067】
以降の説明では、Cr-TiO2対を用いることにする。
【0068】
窓によって貫通する不透明な導電層3を形成するグリッドに用いられる材料(クロム)と誘電反射防止層2に用いられる材料(酸化チタン)の両方を選択しても、この誘電層の理想的な厚さd2を決定することが残っている。
【0069】
φ2-3が、誘電層2と金属層3との間の界面で反射された後の、波長λambの光線に係る位相シフトである場合、その厚さd2は、次の式を満足するように選ばれる。
【0070】
【数7】

ここでqは任意の偶数、λambは周辺光の最大放射力を与える波長に近い波長で、一般的には550nmである。よってd2の値を与える式は、電流供給金属層3の不透明領域上に設けられている誘電反射防止層内部での周辺光の建設的干渉を表す。
【0071】
表1に示されているように、結果はd2=27nmである(q=0について)。表はまた、クロム以外の金属上に酸化チタンを用いることによって得られたd2の値(常にq=0とする)についても示している。d2の変化は、各金属に固有なφ2-3の値を反映している。
【0072】
本発明に従ったダイオードでは、上部電極の不透明領域(つまりグリッドの柵)間で、半反射性上部層を形成する、3層からなる積層構造で、有機層6がコーティングされている。その3層とは具体的に、銀からなる厚さd5=15nmの第2半透明導電層5、ITOからなる厚さd4の第1半透明導電層4、及び、酸化チタンからなる厚さd2=27nmの誘電層2である。本発明の有利な変化型に従うと、上部電極の透明な導電層4の厚さd4は、エレクトロルミネッセント層によって放出される光にとって、その3層からなるこの積層構造の反射率が最大となるように選ばれる。この反射率は、発光層61の放射力が最大となる所定の波長λで測定される。従って誘電層2は2つの機能を供する。2つの機能とは具体的に、上述した周辺光の反射防止機能、及びエレクトロルミネッセント層によって放出された光にとっての、半反射性上部層の反射特性を改善する機能である。
【0073】
しかも、電流供給金属層3の柵の位置、つまりエレクトロルミネッセント層によって放出される光を反射する機能を有利に供する柵の下部表面では、電流供給金属層3もまた2つの機能を供する。2つの機能とは具体的に、電流を供給する機能、及びエレクトロルミネッセント層によって放出された光を反射する機能である。
【0074】
従って上部電極は、誘電層2と組み合わせることによって半反射性表面を形成する。その半反射性表面は、ダイオード内部へ向かって放出光を反射させる。従って、反射性下部電極と半反射性上部電極との間で得られるものは、エレクトロルミネッセント層内において波長λで発光した光に係る光共振器である。
【0075】
上述のようにして、誘電層2を有する上部電極の最大反射率が得られたことで、この光共振器効果が増大し、放出光の取り出し及びダイオードの発光効率が改善される。
【0076】
ここでITO導電性第1層4の厚さd4を選択する方法について説明する。ただいこの説明は、本発明を限定するものではない。図4は、上述の積層構造の反射率変化を、この厚さd4の関数として図示している。この図は3本の曲線を有する。赤色の波長を表す第1の曲線Rは赤色発光するダイオードで用いられて良く、緑色の波長を表す第2の曲線Gは緑色発光するダイオードで用いられて良く、そして青色の波長を表す第3の曲線Bは青色発光するダイオードで用いられて良い。最大反射率に対応するd4の値はこの図から選ばれる。よって下の表2は、選ばれたd4の値を示す。赤色では60nm、緑色では40nm、そして青色では30nmである。
【0077】
ここで、有機エレクトロルミネッセント層全体の厚さd6、及び、反射性下部電極7から発光有機層61の中心への大体の距離zを与える式が成立する。d6及びzがその式によって与えられるによって、2つの電極間で得られる光共振器効果は、ダイオードによって放出される光の取り出し効率を顕著に改善する。
【0078】
最初に、d6は次のようにして選ばれる。
【0079】
【数8】

ここで、qは任意の整数で、繰り返しになるがλはダイオードの最大発光波長を与える波長にほぼ等しく、n6はこの波長での有機エレクトロルミネッセント層6の平均屈折率で、かつ、φtotは、反射性下部電極7並びに層5、層4及び層2からなる上述の積層構造で反射された後の、放出光線の全位相シフトである。
【0080】
次に、層62の厚さが選択される。そのとき、距離zは次式で与えられる値にほぼ等しい。
【0081】
【数9】

ここで、rは任意の整数で、n6は波長λでの有機エレクトロルミネッセント層の平均屈折率で、かつ、φinfは、反射性下部電極7で反射された後の、放出光線の位相シフトである。ここでは、n6は1.7で、φinfは2.6rd.である。
【0082】
zの大体の値を調節するその式は、発光層61で発光した光と反射性下部電極7との間での建設的干渉を表す。
【0083】
上述した2種類の干渉は、非常に高い光取り出し因子を得るように有利に協働することで、ダイオードの発光効率を改善する。
【0084】
光共振器中での建設的干渉を供するd6の値を見いだす等価な手段は、図5に図示された曲線のうちの1つに係るデータを取り出すことを原則とする。このデータは、当業者の能力及び様々な幾何学的特性を有するダイオードの範囲内での単純な数値モデルによって与えられ、ダイオードによって実際に出力された光強度の変化をd6(単位nm)の値の関数として与える。これらのd6の値は、赤、緑、及び青の発光色について、下の表2で与えられる。
【0085】
-z=d61/2+d62+d63において、d61(=20nm)及びd63(=10nm)が既知であるので、d62を導くことが可能で、かつ、-d6= d61+d62+d63+d64+d65= z=d61/2+d64+d65において、d61(=20nm)及びd64(=10nm)が既知であるので、d65を導くことが可能である。
【0086】
得られた値のすべては、赤、緑、及び青の各色について、表2で与えられる。
【0087】
最後の列にある“強度”の表記は、任意単位での取り出された光強度を表す。
【0088】
上述した本発明に特有な特徴を組み合わせることによって、優れた発光効率を示す、上部発光の発光ダイオード又は発光ダイオードのアレイが得られる。
【0089】
【表2】

【実施例1】
【0090】
上述した第1実施例の変化型である、本発明の第2実施例についてここで説明する。第1実施例と第2実施例との唯一の違いは、第1透明導電層4が、ITOの代わりに酸化チタンで作られていることである。
【0091】
図4を置き換えた図6、及び図5を置き換えた図7から、表3で与えられた新たな結果が、上述した方法と同様の方法で得られる。
【0092】
【表3】

本発明はまた、ドープされた有機層を介して電荷が注入される有機発光ダイオード又はパネルにも適用される。「特許請求の範囲」に記載された請求項に係る技術的範囲から逸脱することなく、他の型のダイオード及び照明又は表示パネルに本発明を適用することが可能であることは、当業者には明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の第1実施例に従ったダイオード全体の概略的断面図である。
【図2】図1のダイオードにおいて、下部電極と上部電極との間に設けられている、複数の有機層からなる積層構造の詳細を示す断面図である。
【図3】金属の最小反射率変化が、反射防止機能を供するためにこの金属を覆う誘電層材料の“理論的な”屈折率の関数として図示されている。各曲線は各異なる金属についての最小反射率変化を表している。具体的には、Ta、Cr、Ti、Ni及びVである。
【図4】15nmのCa層、厚さd4(nm)のITO層及び27nmの酸化チタン誘電層からなる積層構造の反射率変化が、本発明の第1実施例に従ったダイオードにおいて上部層として用いられているITO層の厚さd4(nm)の関数として図示されている。各曲線は各異なる波長についての反射率変化を表している。具体的には、曲線Rは636nm、曲線Gは516nm、及び曲線Bは452nmである。
【図5】本発明の第1実施例に従ったダイオードの光強度(任意単位)変化が、このダイオードの有機層の厚さd6(nm)の関数として図示されている。各曲線は各異なる発光色についての光強度変化を表している。具体的には、曲線Rは赤、曲線Gは緑、及び曲線Bは青である。
【図6】15nmのCa層、厚さd4(nm)のITO層及び27nmの酸化チタン誘電層からなる積層構造の反射率変化が、本発明の第2実施例に従ったダイオードにおいて上部層として用いられている酸化チタン層の厚さd4(nm)の関数として図示されている。各曲線は各異なる波長についての反射率変化を表している。具体的には、曲線Rは636nm、曲線Gは516nm、及び曲線Bは452nmである。
【図7】本発明の第2実施例に従ったダイオードの光強度(任意単位)変化が、このダイオードの有機層の厚さd6(nm)の関数として図示されている。各曲線は各異なる発光色についての光強度変化を表している。具体的には、曲線Rは赤、曲線Gは緑、及び曲線Bは青である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光する能力を有する有機発光ダイオードであって:
基板;
下部電極と部分的に透明な上部電極との間に設けられた、発光する能力を有する有機エレクトロルミネッセント層であって、前記下部電極及び上部電極は、電流が当該有機エレクトロルミネッセント層を通り抜けるように設計されるので、当該有機エレクトロルミネッセント層内部で前記発光を引き起こし、前記上部電極は、厚さがほぼ均一である少なくとも1層の透明又は半透明導電層、及び前記電流を供給する金属層を有し、前記電流は前記電流供給金属層中の不透明領域内に供給され、かつ前記不透明領域間には当該エレクトロルミネッセント層によって放出された光を透過させる窓を形成するギャップが存在する、有機エレクトロルミネッセント層;
前記放出された光を反射するように設計され、前記基板と前記有機エレクトロルミネッセント層との間に設けられている、又は前記基板と一体化している、反射性下部層;及び
たとえば空気のような媒体と外部面を介して接し、かつ前記透明導電層及び前記不透明導電層とは内部面を介して接する、ほぼ均一な厚さを有する透明な誘電性反射防止層;
を有し、
前記透明な誘電性反射防止層の材料及び厚さは、550nmに近い波長λambでかつ法線入射の条件における、前記不透明領域での測定された反射率が0.1未満となるように、前記電流供給金属層の材料と共に選ばれ、
前記透明な誘電性反射防止層の材料及び厚さは、前記少なくとも1層の透明又は半透明導電層の材料及び厚さと共に選ばれることによって、前記放出された光を部分的に反射するように設計された半反射性上部層を構成し、
よってこのようにして構成された前記反射性下部層及び半反射性上部層は、前記有機エレクトロルミネッセント層によって放出された前記光の光共振器を画定し、
前記共振器を画定する前記下部層と上部層との間の距離d6は、前記有機エレクトロルミネッセント層内部で発光した前記光の建設的干渉が得られるように、適合される、
ことを特徴とするダイオード。
【請求項2】
λが前記放出された光の最大放射力に対応する波長に近い場合、前記波長λ及び前記誘電反射防止層の厚さd2の条件で測定された屈折率n2、並びに前記波長λ及び前記少なくとも1層の透明導電層の厚さ(d4、d5)の条件で測定された屈折率(n4、n5)が組み合わせで選択され、それにより、前記波長λで法線入射した条件で測定された、前記層からなる前記積層構造の反射率が最大となる、
ことを特徴とする、請求項1に記載のダイオード。
【請求項3】
n1が波長λambでの前記媒体の屈折率である場合、前記波長λambで測定された屈折率n2amb)を有する材料及び前記誘電反射防止層の前記厚さd2は、前記電流供給金属層の屈折率n3*を有する材料と共に選択され、前記屈折率n3*は前記波長λambで測定され、前記屈折率の振幅n3及び位相φは、n3*=n3exp(iφ)と定義され、近似的に:
【数1】

が満足される、請求項1又は2に記載のダイオード。
【請求項4】
550nmに近い波長λambで測定された屈折率n2amb)を有する材料、及び前記誘電反射防止層の厚さd2は:
【数2】

を近似的に満足するように選ばれ、
pは任意の偶数で、φ2-3は、前記誘電反射防止層と前記電流供給金属層との間の界面で反射した後の、波長λambの光線の位相シフトである、
ことを特徴とする、上記請求項のうちのいずれか1つに記載のダイオード。
【請求項5】
前記誘電反射防止層の材料及び前記電流供給金属層の材料はそれぞれ:
シリコン窒化物及びタンタル;
酸化チタン、及び、ニッケル、クロム、チタン及びバナジウムのうちの1種類の金属;又は
セレン化亜鉛、及び、ニッケル、クロム、チタン及びバナジウムのうちの1種類の金属;
のいずれかである、
ことを特徴とする、上記請求項のうちのいずれか1つに記載のダイオード。
【請求項6】
前記距離d6が:
【数3】

を近似的に満足し、
qは任意の整数;
n6は、この波長λでの前記有機エレクトロルミネッセント層の平均屈折率;及び
φtotは、前記反射性下部層及び前記半反射性上部層で反射された後の、放出光線の全位相シフト;
である、
ことを特徴とする、上記請求項のうちのいずれに記載のダイオード。
【請求項7】
前記反射性下部層から前記有機エレクトロルミネッセント層を隔てる距離は、前記放出された光とこの反射性下部層によって反射された光との間での建設的干渉が得られるように適合される、ことを特徴とする、上記請求項のうちのいずれか1つに記載のダイオード。
【請求項8】
前記有機エレクトロルミネッセント層が発光有機層及び少なくとも1層の非発光下部有機層を有し、
該少なくとも1層の非発光下部有機層は前記反射性下部層と前記発光層との間に設けられる、
前記(複数の)非発光下部有機層の厚さは、前記反射性下部層の前記発光有機層の中心を分離する距離zが:
【数4】

を満足するように適合され、
rは任意の整数;
λは放出された光の最大放射力を与える波長に近い前記波長で、かつn6はこの波長での前記有機エレクトロルミネッセント層の平均屈折率;及び
φinfは、前記反射性下部層で反射された後の放出光線の位相シフト;
である、
ことを特徴とする、請求項7に記載のダイオード。
【請求項9】
上記請求項のうちのいずれか1つに記載の複数のダイオードを有する画像表示又は照明パネルであって、これらのダイオードは同一基板によって支持されていることを特徴とする、画像表示又は照明パネル。
【請求項10】
前記上部電極が前記複数のダイオードで共通である、請求項9に記載のパネル。
【請求項11】
前記共通である上部電極の前記不透明導電層がこの電極上に電流供給グリッドを形成する、請求項10に記載のパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−523551(P2008−523551A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−544889(P2007−544889)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【国際出願番号】PCT/EP2005/056465
【国際公開番号】WO2006/061363
【国際公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(501263810)トムソン ライセンシング (2,848)
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing 
【住所又は居所原語表記】46 Quai A. Le Gallo, F−92100 Boulogne−Billancourt, France
【Fターム(参考)】