説明

有機発光表示装置及びその製造方法

【課題】有機発光表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】カソード配線120を表面上に含む基板10と、基板上に形成され、カソード配線120と電気的に絶縁されたアノード電極130と、アノード電極上に形成され、複数の単位画素を形成する有機物質層140と、有機物質層を覆うカソード電極160と、カソード配線とカソード電極とを電気的に連結する少なくとも一つの電気的連結部150と、を備える有機発光表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置及びその製造方法に係り、さらに詳細には、カソード電極の電圧降下を防止できる有機発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置のうち、有機発光表示装置は、視野角が広く、コントラストが優秀であるだけでなく、応答速度が速いという長所を有していて、次世代ディスプレイ装置として注目されている。有機発光表示装置は、アノード電極とカソード電極との間に有機物からなる発光層を有する表示装置である。このような有機発光表示装置は、光の透過方向によって、背面発光方式と前面発光方式とに区分される。背面発光方式に比べて、前面発光方式は、高い開口率を有しうる。しかし、前面発光方式において、光がカソード電極を透過して伝えられるので、前記カソード電極は、導電物質であると同時に、透過性を有さなければならない。したがって、カソード電極で電圧降下(すなわち、IR drop)現象が生じる虞があり、特に、有機発光表示装置のサイズが増大するにつれて、前記現象が顕著になる虞がある。
【0003】
下記特許文献1には、配線負荷に起因する輝度むらの発生を抑える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−62464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、カソード電極における電圧降下を防止できる有機発光表示装置を提供することである。
【0006】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、カソード電極における電圧降下を防止できる有機発光表示装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を達成するための本発明による有機発光表示装置は、カソード配線を表面上に含む基板と、前記基板上に形成され、前記カソード配線と電気的に絶縁されたアノード電極と、前記アノード電極上に形成され、複数の単位画素を形成する有機物質層と、前記有機物質層を覆うカソード電極と、前記カソード配線と前記カソード電極とを電気的に連結する少なくとも一つの電気的連結部と、を備える。
【0008】
前記電気的連結部は、前記有機物質層を貫通できる。また、前記有機物質層は、有機発光層を備え、前記電気的連結部は、前記有機発光層と電気的に絶縁されうる。
【0009】
前記電気的連結部は、前記カソード電極の電圧降下が発生する領域に電気的に連結されるように位置しうる。また、前記電気的連結部は、前記カソード電極の中央部と電気的に連結されるように位置しうる。また、前記電気的連結部は、前記複数の単位画素の間の領域に位置しうる。また、前記電気的連結部は、前記複数の単位画素のそれぞれに対応して位置しうる。また、前記電気的連結部は、前記複数の単位画素のそれぞれの一側面に沿って延びうる。また、前記電気的連結部は、前記複数の単位画素のそれぞれの外面を取り囲める。
【0010】
前記電気的連結部は、前記カソード電極と同じ物質を含みうる。前記電気的連結部は、前記カソード電極と異なる物質を含みうる。
【0011】
前記カソード電極は、透明電極でありうる。
【0012】
前記有機物質層は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、及び電子注入層が積層された層でありうる。
【0013】
前記基板は、駆動配線をさらに含み、前記カソード配線と前記駆動配線とは、同一平面上に形成されうる。
【0014】
前記他の課題を達成するための本発明による有機発光表示装置の製造方法は、カソード配線を表面上に含む基板を設ける工程と、前記基板上に前記カソード配線と電気的に絶縁されたアノード電極を形成する工程と、前記アノード電極上に有機物質層を形成する工程と、前記有機物質層を貫通し、前記カソード配線を露出する開口部を形成する工程と、導電物を利用して前記開口部を充填し、前記カソード配線と電気的に連結される電気的連結部を形成する工程と、前記有機物質層を覆い、前記電気的連結部と電気的に連結されるカソード電極を形成する工程と、を含む。
【0015】
前記開口部を形成する工程は、前記開口部に相応するサイズの突出部が形成されたマスクを準備する工程と、前記突出部を前記有機物質層に圧着して前記開口部を形成する工程と、をさらに含みうる。
【0016】
前記開口部を形成する工程は、前記有機物質層にレーザを照射し、前記有機物質層を除去する工程をさらに含みうる。
【0017】
前記電気的連結部を形成する工程と前記カソード電極を形成する工程とは、同時に行われうる。
【0018】
前記他の課題を達成するための本発明による有機発光表示装置の製造方法は、カソード配線を表面上に含む基板を設ける工程と、前記基板上に前記カソード配線と電気的に絶縁されたアノード電極を形成する工程と、前記アノード電極上に有機物質層を形成する工程と、前記有機物質層を覆うカソード電極を形成する工程と、前記カソード電極及び前記有機物質層を貫通し、前記カソード配線を露出する開口部を形成する工程と、導電物を利用して前記開口部を充填し、前記カソード配線と前記カソード電極とを電気的に連結する電気的連結部を形成する工程と、を含む。
【0019】
前記開口部を形成する工程は、前記カソード電極上にマスクパターンを形成する工程と、前記マスクパターンを利用して前記カソード電極及び前記有機物質層をエッチングする工程と、前記カソード電極及び前記有機物質層を貫通し、前記カソード配線を露出する開口部を形成する工程と、をさらに含みうる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の有機発光表示装置は、基板内にカソード配線を形成し、これをカソード電極と電気的に連結することによって、カソード電極の外側部に電圧を印加すると同時に、内側部に電圧を印加できるので、これにより、カソード電極の電圧降下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態による有機発光表示装置を示す断面図である。
【図2】図1のII領域の拡大断面図である。
【図3A】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の上面図である。
【図3B】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の上面図である。
【図3C】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の上面図である。
【図3D】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の上面図である。
【図4A】本発明の一実施形態による有機発光表示装置の製造方法を順次に示す断面図である。
【図4B】図4Aに後続する断面図である。
【図4C】図4Bに後続する断面図である。
【図4D】図4Cに後続する断面図である。
【図4E】図4Dに後続する断面図である。
【図5A】図4Cに後続する断面図である。
【図5B】図5Aに後続する断面図である。
【図5C】図5Bに後続する断面図である。
【図6A】図2の電気的連結部の形成方法を概略的に示す図である。
【図6B】図2の電気的連結部の形成方法を概略的に示す図である。
【図6C】図2の電気的連結部の形成方法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付した図面を参照して、本発明の望ましい実施形態を詳細に説明する。本発明の実施形態は、当業者に本発明をさらに完全に説明するために提供されるものであり、下記の実施形態は、多様な異なる形態に変形でき、本発明の範囲が下記の実施形態に限定されるものではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示をさらに充実させて完全にし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供される。また、図面で、各層の厚さやサイズは、説明の便宜及び明確性のために誇張されたものである。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態による有機発光表示装置1を示す断面図である。図2は、図1のII領域の拡大断面図である。
【0024】
図1を参照すれば、有機発光表示装置1は、基板10、基板10上に形成された表示部20、及び表示部20を封止する封止部30を備える。図示していないが、有機発光表示装置1は、カラーフィルタ層及びブラックマトリックスをさらに備えうる。
【0025】
図2を参照すれば、図1の有機発光表示装置1のII領域、すなわち、基板10と表示部20とが拡大されて示されている。基板10は、カソード配線120を表面上に備える。表示部20は、アノード電極130、有機物質層140、及びカソード電極160を備える。また、表示部20は、カソード配線120とカソード電極160とを電気的に連結する電気的連結部150を備える。
【0026】
基板10は、透明または不透明な物質で構成されうる。例えば、画像が基板10に向かう方向に具現される背面発光型または両面発光型の有機発光表示装置である場合には、基板10は、透明な物質で構成されなければならない。しかし、画像が基板10に対向する方向に具現される前面発光型の有機発光表示装置である場合には、基板10は、不透明な物質で構成されうる。基板10は、シリコン酸化物(SiO)を含む透明なガラス物質または透明なプラスチック物質で形成されることもできる。例えば、基板10は、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリーレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択される有機物のようなプラスチック物質を含みうる。また、基板10は、金属物質で形成されうる。例えば、基板10は、炭素(C)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、ステンレススチール、インバー(Invar)合金、インコネル(Inconel)合金及びコバール(Kovar)合金からなる群から選択された一つ以上を含みうる。また、基板10は、金属ホイールで形成されうる。前記のような基板10を形成する物質は、例示であり、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0027】
図示していないが、基板10は、複数の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Trasistor)及び複数のキャパシタを備えうる。前記TFTは、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、半導体活性層、及びゲート絶縁膜を備えうる。前記TFT及び前記キャパシタは、表示部20と電気的に連結されて表示部20の発光を制御できる。通常、表示部20に形成されたアノード電極は、前記TFTのドレイン電極(図示せず)と電気的に連結される。
【0028】
基板10は、表面上にカソード配線120を含んでもよく、また、選択的に駆動配線122を含んでもよい。カソード配線120は、アノード電極130とは電気的に絶縁され、カソード電極160に電気的に連結され、カソード電極160に電圧を印加する機能を有する。駆動配線122は、前記TFTに電気的に連結された一般的な駆動電圧源Vddでありうる。カソード配線120と駆動配線122とは、同じ工程で、同じ平面に、また、同じ物質で形成されうる。また、カソード配線120は、後続工程で形成される単位画素が形成されていない領域内に形成されうる。しかし、これは、例示であり、本発明は、これに限定されるものではない。カソード配線120は、透明または不透明でありうる。
【0029】
また、基板10は、その上に保護層110を選択的にさらに備えうる。前記保護層110は、前記TFTを保護し、基板10を平坦化し、不純物元素が基板10内に浸透することを防止できる。保護層110は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition:CVD)法、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD:PECVD)法、常圧CVD(Atmospheric Pressure CVD:APCVD)法、低圧CVD(Low Pressure CVD:LPCVD)法のような多様な方法によって形成されうる。保護層110は、無機物及び/または有機物を使用して形成できる。前記無機物は、SiO、SiNx、SiON、Al、TiO、Ta、HfO、ZrO、BST、PZTを含みうる。前記有機物は、一般汎用高分子(PMMA(Polymethylmethacrylate)、PS(Polystyrene))、フェノールグループを有する高分子誘導体、アクリル系高分子、イミド系高分子、アリールエーテル系高分子、アミド系高分子、フッ素系高分子、p−キシレン系高分子、ビニルアルコール系高分子及びこれらの組合せを含みうる。また、保護層110は、前記無機物を含む無機絶縁膜と、前記有機物を含む有機絶縁膜との複合積層体でも形成できる。保護層110は、一般的なバッファ層またはパッシベーション層でありうる。
【0030】
表示部20は、光を発して所定の画像情報を表示する機能を有し、アノード電極130、有機物質層140、及びカソード電極160を備える。
【0031】
アノード電極130は、基板10上に、または保護層110上に位置し、基板10内に形成された前記TFT(図示せず)と電気的に連結される。アノード電極130は、透明電極または反射電極で形成されうる。アノード電極130が透明電極で形成される場合には、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZnOまたはInを含みうる。アノード電極130が反射電極で形成される場合には、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはこれらの化合物で形成された反射膜と、前記反射膜上に位置するITO、IZO、ZnOまたはInで形成された透明電極層とを備えうる。しかし、このような物質は、例示であり、本発明は、これらに限定されるものではない。また、アノード電極130は、単一層または多重層で構成されうる。アノード電極130は、一般的な蒸着方法、例えば、CVD法、またはスパッタリングを利用して蒸着された後、フォトリソグラフィ法によってパターニングされて形成されうる。アノード電極130は、以後に形成される前記単位画素に相応するサイズを有するように形成されうる。
【0032】
図示していないが、アノード電極130のエッジを覆い、アノード電極130の外側に所定の厚さを有する画素定義膜(Pixed Defining Layer:PDL)をさらに備えうる。前記PDLは、単位画素を区画でき、アノード電極130が形成された基板10の表面を平坦化する。また、前記PDLは、アノード電極130とカソード電極160との短絡を防止する機能を行える。
【0033】
アノード電極130に対向して、カソード電極160が位置する。カソード電極160は、透明電極または反射型電極で形成されうる。カソード電極160が透明電極で形成される場合には、金属、例えば、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mgまたはこれらの化合物がアノード電極130に向かうように蒸着された膜と、その上にITO、IZO、ZnOまたはInのような透明電極を形成するための物質で形成された補助電極やバス電極ラインとを形成できる。そして、反射型電極で備えられる時には、Li、Ca、LiF/Ca、LiF/Al、Al、Ag、Mgまたはこれらの化合物を前面蒸着することによって備えられうる。カソード電極160は、一般的な蒸着方法、例えば、CVD法、またはスパッタリングを利用して形成されうる。
【0034】
アノード電極130とカソード電極160との位置関係は、例示であり、互いに逆に位置することもできる。アノード電極130は、相対的に仕事関数の高い物質で形成されてもよい。一方、カソード電極160は、相対的に仕事関数の低い物質で形成されてもよい。また、アノード電極130は、それぞれの単位画素の領域に対応するようにパターニングされてもよく、カソード電極160は、すべての単位画素を覆うように形成されてもよい。
【0035】
アノード電極130とカソード電極160との間には、有機物質層140が位置する。アノード電極130とカソード電極160との間に電圧を印加すれば、有機物質層140は、発光する。
【0036】
有機物質層140は、低分子有機物を利用して形成されうる。このような場合には、図2に示したように、順次に積層された正孔注入層141(HIL:Hole Injection Layer)、正孔輸送層143(HTL:Hole Transport Layer)、有機発光層145(EML:Emission Layer)、電子輸送層147(ETL:Electron Transport Layer)、及び電子注入層149(EIL:Electron Injection Layer)を備え、それぞれの層は、単一層または多重層でありうる。また、有機物質層140に使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)を始めとして多様に適用可能である。これらの低分子有機物は、マスクを利用した真空蒸着の方法で形成されうる。また、高分子有機物を利用して有機物質層140を形成できる。このような場合には、正孔輸送層と有機発光層とを備える構造を有しうる。この時、前記正孔輸送層としてPEDOTを使用でき、前記発光層としてPPV(Poly−Phenylene Vinylene)系及びポリフルオレン系など高分子有機物質を使用できる。有機物質層140は、スピンコーティング法、LITI(Laser Induced Thermal Imaging)法、インクジェットプリンティング法、真空蒸着法など通常の方法で形成されうる。
【0037】
カソード電極160は、導電性を有する少なくとも一つの電気的連結部150を通じてカソード配線120と電気的に連結されうる。電気的連結部150は、透明または不透明でありうる。また、電気的連結部150は、カソード電極160と同じ物質を含むか、または異なる物質を含みうる。外部電源(図示せず)から伝えられた電圧は、カソード配線120から電気的連結部150を通じてカソード電極160に印加される。したがって、カソード電極160は、多様な領域で電圧が印加されるので、全面にわたって均一な電圧分布が得られる。
【0038】
図3Aないし図3Dは、本発明の一実施形態による有機発光表示装置1の上面図である。図3Aないし図3Dは、図2に示された電気的連結部150の形状及び配列についての多様な例を示す。図において、単位画素Pは、有機物質層140に相応し、特に、有機発光層145のサイズに相応して形成されうる。
【0039】
図3Aを参照すれば、電気的連結部150は、カソード電極160の一部領域と電気的に連結されるように位置しうる。このような電気的連結部150は、カソード電極160の電圧降下が発生する領域に電気的に連結されるように位置することが望ましい。例えば、電気的連結部150は、カソード電極160の全体領域に対して中央部と電気的に連結されるように位置しうる。また、電気的連結部150は、単位画素Pの間の領域に位置しうる。本明細書では、電気的連結部150と単位画素Pとは、直接電気的に連結されないことに留意する。電気的連結部150は、円形、多角形など多様な形状を有しうる。
【0040】
図3Bないし図3Dを参照すれば、単位画素Pにそれぞれに対応して一つの電気的連結部150が位置しうる。図3Bを参照すれば、電気的連結部150は、単位画素Pの少なくとも一側面の一部に対応して位置する。図3Cを参照すれば、電気的連結部150は、単位画素Pの少なくとも一側面に沿って延びる。図3Cで、電気的連結部150の延長された長さは、電気的単位画素Pの前記一側面の長さと同一か、またはさらに大きい。図3Dを参照すれば、電気的連結部150は、単位画素Pの外側面を取り囲むように位置しうる。このように、単位画素Pのそれぞれに対応して電気的連結部150を形成することによって、単位画素Pに連結されるカソード電極160のカソード電圧を均一に具現することがさらに容易になりうる。
【0041】
図4Aないし図4Eは、本発明の一実施形態による有機発光表示装置1の製造方法を順次に示した断面図である。
【0042】
図4Aを参照すれば、カソード配線120及び駆動配線122を表面上に備える基板10を設ける。基板10は、その上に保護層110を選択的にさらに備えうる。図示していないが、基板10は、複数のTFT(図示せず)及び複数のキャパシタ(図示せず)を備えうる。
【0043】
図4Bを参照すれば、基板10上にアノード電極130を形成する。アノード電極130は、カソード配線120が形成された基板10上の領域には形成されないことに留意する。アノード電極130は、例えば、通常の蒸着方法を利用して、基板10上に導電層を形成した後、前記導電層をパターニングして形成できる。アノード電極130は、後続工程で形成される単位画素に相応するサイズを有しうる。アノード電極130は、基板10内に位置した前記TFTと電気的に連結されうる。
【0044】
図4Cを参照すれば、基板10上に有機物質層140を形成する。有機物質層140は、アノード電極130を覆うことができる。有機物質層140は、例えば、基板10上に正孔注入層141、正孔輸送層143、有機発光層145、電子輸送層147、及び電子注入層149を順次に形成することによって具現できる。正孔注入層141、正孔輸送層143、電子輸送層147、及び電子注入層149は、オープンマスクまたはファインメタルマスク(Fine Metal Mask:FMM)を利用して形成できる。一方、有機発光層145は、FMMを利用して形成する。有機発光層145のサイズは、アノード電極130のサイズに相応でき、単位画素のサイズを決定できる。図4Cには、正孔注入層141、正孔輸送層143、電子輸送層147、及び電子注入層149は、オープンマスクを利用して形成し、有機発光層145は、FMMを利用して形成した場合が例示的に示されている。また、有機物質層140の一部は、カソード配線120を覆うことができる。この時、有機発光層145は、カソード配線120上に形成されないのに留意しなければならない。
【0045】
図4Dを参照すれば、有機物質層140を貫通し、カソード配線120を露出する第1開口部152を形成する。第1開口部152は、圧着方法、レーザ照射、エッチング、またはこれらの組合せによって形成でき、これについては、下記の図6Aないし図6Cを参照して詳細に説明する。
【0046】
図4Eを参照すれば、導電物質を利用して第1開口部152を充填し、電気的連結部150を形成する。これにより、電気的連結部150は、カソード配線120と電気的に連結される。次いで、有機物質層140を覆い、電気的連結部150と電気的に連結されるカソード電極160を形成する。その結果、図2の構造が完成する。電気的連結部150とカソード電極160とは、同じ工程で形成されうる。また、電気的連結部150は、カソード電極160と同じ物質で形成されるか、または異なる物質で形成されうる。
【0047】
図5Aないし図5Cは、本発明の一実施形態による有機発光表示装置1の製造方法を順次に示した断面図である。本実施形態による製造方法は、前記実施形態の図4Cに後続して行われる。
【0048】
図5Aを参照すれば、図4Cに示された構造上、すなわち、有機物質層140上に全体的にカソード電極160を形成する。
【0049】
図5Bを参照すれば、カソード電極160及び有機物質層140を貫通してカソード配線120を露出する第2開口部154を形成する。第2開口部154は、圧着方法、レーザ照射、エッチング、またはこれらの組合せによって形成でき、これについては、下記の図6Aないし図6Cを参照して詳細に説明する。
【0050】
図5Cを参照すれば、導電物質を利用して第2開口部150を充填し、電気的連結部150aを形成する。これにより、電気的連結部150aは、カソード配線120及びカソード電極160に電気的に連結される。
【0051】
図6Aないし図6Cは、図2の電気的連結部150を形成する方法を概略的に示す図である。
【0052】
図6Aを参照すれば、突出部172を備えるマスク170を、有機物質層140が形成された基板10に圧着することによって、有機物質層140を貫通して、カソード配線120を露出する第1開口部152を形成する。マスク170は、一般的なガラス、またはプラスチックであり、有機物質層140を形成するために使われるFMMでありうる。突出部172は、第1開口部152に相応するサイズを有しうる。突出部172の幅は、第1開口部152の幅と相応し、突出部の長さは、第1開口部152の長さと同一か、または大きくなければならない。すなわち、突出部172の長さは、カソード配線120が露出されるのに十分である必要があり、例えば、有機物質層140の厚さの総計に比べて、大きい。また、突出部172は、多様な形状を有することができ、例えば、直六面体のような多面体、円柱、円錐、または切断円錐(truncated cone)、及びこれらの組合せの形状を有することができる。突出部172は、マスク170に圧着されて付着により形成されるか、またはマスク170をエッチングして形成できる。
【0053】
図6Bを参照すれば、有機物質層140の第1開口部152が形成される領域にレーザを照射し、有機物質層140を除去する。これにより、有機物質層140を貫通してカソード配線120を露出する第1開口部152が形成される。
【0054】
図6Cを参照すれば、カソード電極160上にフォトレジストパターンのようなマスクパターン180を形成する。次いで、マスクパターン180を利用して、カソード電極160及び有機物質層140をエッチングする。これにより、カソード電極160及び有機物質層140を貫通して、カソード配線120を露出する第2開口部154を形成する。
前述したような第1開口部152及び第2開口部154を形成する方法は、例示的に説明され、したがって、図6A及び図6Bを参照して説明された方法を利用して、第2開口部154を形成でき、図6Cを参照して説明した方法を利用して、第1開口部152を形成できる。前述したように、第1開口部152及び第2開口部154を、導電物を利用して充填することによって、電気的連結部150,150aを形成する。
【0055】
以上で説明した本発明が前述した実施形態及び添付図面に限定されず、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で多様な置換、変形及び変更が可能であるということは、当業者ならば、明白に分かるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、表示装置関連の技術分野に好適に適用可能である。
【符号の説明】
【0057】
10 基板、
20 表示部、
30 封止層、
40 カラーフィルタ層、
50 封止層、
60 ブラックマトリックス、
70 カバー層、
110 保護層、
120 カソード配線、
122 駆動配線、
130 アノード電極、
140 有機物質層、
141 正孔注入層、
143 正孔輸送層、
145 有機発光層、
147 電子輸送層、
149 電子注入層、
150,150a 電気的連結部、
152 第1開口部、
154 第2開口部、
160 カソード電極、
170 マスク、
172 突出部、
180 マスクパターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード配線を表面上に含む基板と、
前記基板上に形成され、前記カソード配線と電気的に絶縁されたアノード電極と、
前記アノード電極上に形成され、複数の単位画素を形成する有機物質層と、
前記有機物質層を覆うカソード電極と、
前記カソード配線と前記カソード電極とを電気的に連結する少なくとも一つの電気的連結部と、
を備える有機発光表示装置。
【請求項2】
前記電気的連結部は、前記有機物質層を貫通することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記有機物質層は、有機発光層を備え、
前記電気的連結部は、前記有機発光層と電気的に絶縁されることを特徴とする請求項1または2に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記電気的連結部は、前記カソード電極の電圧降下が発生する領域に電気的に連結されるように位置することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記電気的連結部は、前記カソード電極の中央部と電気的に連結されるように位置することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記電気的連結部は、前記複数の単位画素の間の領域に位置することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記電気的連結部は、前記複数の単位画素のそれぞれに対応して位置することを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
前記電気的連結部は、前記複数の単位画素のそれぞれの一側面に沿って延びていることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
前記電気的連結部は、前記複数の単位画素のそれぞれの外側面を取り囲むことを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記電気的連結部は、前記カソード電極と同じ物質を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記電気的連結部は、前記カソード電極と異なる物質を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
前記カソード電極は、透明電極であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項13】
前記有機物質層は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、及び電子注入層が積層された層であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記基板は、駆動配線をさらに含み、
前記カソード配線と前記駆動配線とは、同一平面上に形成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
カソード配線を表面上に含む基板を設ける工程と、
前記基板上に前記カソード配線と電気的に絶縁されたアノード電極を形成する工程と、
前記アノード電極上に有機物質層を形成する工程と、
前記有機物質層を貫通し、前記カソード配線を露出する開口部を形成する工程と、
前記開口部を、導電物を利用して充填し、前記カソード配線と電気的に連結される電気的連結部を形成する工程と、
前記有機物質層を覆い、前記電気的連結部と電気的に連結されるカソード電極を形成する工程と、
を含む有機発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記開口部を形成する工程は、
前記開口部に相応するサイズの突出部が形成されたマスクを準備する工程と、
前記突出部を前記有機物質層に圧着して前記開口部を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記開口部を形成する工程は、
前記有機物質層にレーザを照射し、前記有機物質層を除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記電気的連結部を形成する工程及び前記カソード電極を形成する工程は、同時に行われることを特徴とする請求項15に記載の有機発光表示装置の製造方法。
【請求項19】
カソード配線を表面上に含む基板を設ける工程と、
前記基板上に前記カソード配線と電気的に絶縁されたアノード電極を形成する工程と、
前記アノード電極上に有機物質層を形成する工程と、
前記有機物質層を覆うカソード電極を形成する工程と、
前記カソード電極及び前記有機物質層を貫通し、前記カソード配線を露出する開口部を形成する工程と、
導電物を利用して前記開口部を充填し、前記カソード配線と前記カソード電極とを電気的に連結する電気的連結部を形成する工程と、
を含む有機発光表示装置の製造方法。
【請求項20】
前記開口部を形成する工程は、
前記カソード電極上にマスクパターンを形成する工程と、
前記マスクパターンを利用して前記カソード電極及び前記有機物質層をエッチングする工程と、
前記カソード電極及び前記有機物質層を貫通し、前記カソード配線を露出する開口部を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項19に記載の有機発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【公開番号】特開2011−222485(P2011−222485A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286174(P2010−286174)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】