有機発光表示装置
【課題】有機発光表示装置を提供する。
【解決手段】外光反射を防止し、かつ外光の透過率をさらに高めるために、基板と、基板の第1面上に形成され、それぞれ基板の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、第1絶縁膜上に形成され、各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、第1電極に対向してあらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、各ピクセルで少なくとも第1領域に形成された第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、基板の第1面と対向する密封部材と、基板の第2面に位置している反射防止膜と、を備え、反射防止膜は、第1領域に対応する反射防止部及び第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置。
【解決手段】外光反射を防止し、かつ外光の透過率をさらに高めるために、基板と、基板の第1面上に形成され、それぞれ基板の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、第1絶縁膜上に形成され、各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、第1電極に対向してあらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、各ピクセルで少なくとも第1領域に形成された第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、基板の第1面と対向する密封部材と、基板の第2面に位置している反射防止膜と、を備え、反射防止膜は、第1領域に対応する反射防止部及び第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に係り、さらに詳細には、透明な有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、視野角、コントラスト、応答速度、消費電力などの側面で特性が優秀なため、MP3プレーヤや携帯電話などの個人用携帯機器からテレビ(TV)に至るまで応用範囲が拡大しつつある。これらの有機発光表示装置に対して、装置内部の薄膜トランジスタや有機発光素子を透明な形態に作ることで、透明表示装置として形成しようとする試みがある。
【0003】
ところが、かかる透明表示装置では、スイッチオフ状態である時に反対側に位置している事物またはイメージが、有機発光素子だけでなく薄膜トランジスタ及びいろいろな配線などのパターン、及びこれら間の空間を透過してユーザに伝えられるが、たとえ透明表示装置であるとしても、前記有機発光素子、薄膜トランジスタ及び配線自体の透過率があまり高くなく、これら間の空間も非常に小さくて全体ディスプレイの透過率は高くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2009−0122138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外光の反射を防止し、外光に対する透過度の高い透明な有機発光表示装置を提供するところに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような目的を達成するために、本発明は、基板と、前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、前記基板の第1面と対向する密封部材と、前記基板の第2面に位置している反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置を提供する。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域及び前記回路領域は互いに隣接して配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに連結され、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする。
【0017】
前記のような目的を達成するために、本発明は、基板と、前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の逆の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成されて前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、前記基板の第1面と対向する密封部材と、前記密封基板の外面に位置している反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置を提供する。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記第1電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域は、前記回路領域を遮蔽できるように前記回路領域と重なって配置されることを特徴とする。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする。
【0025】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は互いに連結され、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の他の特徴によれば、前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、反射電極による外光の反射を防止して、ユーザが高コントラストのイメージを観察可能にし、外光に対する透過率低下を最大限低減させることができ、これにより、ユーザの外部イメージの観察がさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【図2】本発明の望ましい他の一実施形態による有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【図3】図1または図2の一実施形態をさらに詳細に示す断面図である。
【図4】図1または図2の他の一実施形態をさらに詳細に示す断面図である。
【図5A】反射防止部で外光反射を防止する原理を示す概念図である。
【図5B】反射防止部で外光反射を防止する原理を示す概念図である。
【図6】図3または図4の有機発光部の望ましい一実施形態の概略的な平面図である。
【図7】図3または図4の有機発光部の望ましい他の一実施形態の概略的な平面図である。
【図8】図3または図4の有機発光部の一ピクセルを示す断面図である。
【図9】図3または図4の有機発光部の望ましい他の一実施形態の概略的な平面図である。
【図10】図3または図4の有機発光部の望ましいさらに他の一実施形態の概略的な平面図である。
【図11】図3または図4の有機発光部の他の一実施形態による一ピクセルを示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による反射防止膜を示す平面図である。
【図13】本発明の一実施形態による反射防止膜を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、多様な変換を加えることができ、かついろいろな実施形態を持つことができる。以下、特定の実施形態を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。本発明を説明するに当って、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0031】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われうるが、構成要素はこれらの用語により限定されてはならない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0032】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現が、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本出願で、’’含む’’または’’持つ’’などの用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するということを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されねばならない。
【0033】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
【0035】
図1を参照すれば、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置は、基板1上に有機発光部(図示せず)が備えられ、有機発光部を覆う密封基板2が備えられる。一方、画像が具現される側である基板の外面に反射防止膜4が備えられることを特徴とする。
【0036】
これらの有機発光表示装置において、外光は、基板1、有機発光部及び密封基板2を透過して入射される。
【0037】
そして、有機発光部及び密封基板2は、後述するように外光が透過可能に備えられたものであり、図1を見れば、画像が具現される側に位置するユーザが基板1の上部外側のイメージを観察できるように備えられる。図1に示した実施形態で、画像が基板1の方向に具現される背面発光型として開示されたが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、図2に示したように、画像が基板1の逆方向に具現される前面発光型にも同様に適用できるということはいうまでもない。この場合、ユーザは基板1の上部で画像を見るか、または、下部外側のイメージを観察できる。本発明はまた、必ずしも図1及び図2による実施形態に限定されるものではなく、画像が基板1の方向及び基板1の逆方向に具現される両面発光型にも同様に適用できる。
【0038】
図1及び図2では、本発明の有機発光表示装置の互いに隣接する2つのピクセルである第1ピクセルP1及び第2ピクセルP2を示した。
【0039】
各ピクセルP1P2は、第1領域31及び第2領域32を備えている。
【0040】
第1領域31を通じては画像が具現され、第2領域32を通じては外光が透過される。
【0041】
すなわち、本発明は、各ピクセルP1P2がいずれも画像を具現する第1領域31と、外光が透過される第2領域32とが備えられていて、ユーザは、有機発光装置から具現される画像を見ていない時には、外部イメージを見ることができる。
【0042】
この時、第2領域32には薄膜トランジスタ、キャパシタ、有機発光素子などの素子を形成しないことで、この第2領域32における外光透過率を極大化して、結果的に有機発光表示装置全体の外光透過率を高めることができ、透過イメージが薄膜トランジスタ、キャパシタ、有機発光素子などの素子により干渉されて歪曲が生じることを最大限低減させることができる。
【0043】
図3は、図1の有機発光表示装置をさらに具体的に示す一実施形態であり、基板1の第1面11に形成された有機発光部21と、この有機発光部21を密封する密封基板2、基板1と密封基板2を接合する密封材24とを備える。
【0044】
前記密封基板2は、透明な部材で形成されて有機発光部21からの画像を具現させ、有機発光部21への外気及び水分の浸透を遮断する。
【0045】
前記基板1と前記密封基板2とは、そのエッジが密封材24により結合されて、前記基板1と密封基板2との間の空間25が密封される。前記空間25には、吸湿剤や充填材などが位置する。
【0046】
前記密封基板2の代りに、図4に示すように、薄膜の密封フィルム23を有機発光部21上に形成することで、有機発光部21を外気から保護できる。前記密封フィルム23は、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの無機物からなる膜と、エポキシ、ポリイミドなどの有機物からなる膜とが交互に成膜された構造をとることができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、透明な薄膜上の密封構造ならば、いかなるものでも適用できる。
【0047】
図示していないが、前記有機発光部21についての密封構造として、図4の密封フィルム23を形成した上に再び図3の密封基板2をさらに備えてもよい。
【0048】
一方、図3及び図4は、図1の有機発光表示装置をさらに具体的に示した一実施形態を示す図面である。図1の有機発光表示装置は基板1の下面に画像を具現するため、基板1の下面、すなわち、第2面12に、外光に対する反射を防止する反射防止膜4を形成する。一方、図示されていないが、図2の有機発光表示装置では基板1の逆方向に画像を具現するため、密封基板2または密封フィルム23の外面に、外光に対する反射を防止する反射防止膜4を形成する。
【0049】
前述したように、本発明の有機発光表示装置は、第2領域32における外光透過率を極大化して有機発光表示装置全体の外光透過率を高めるのに最も大きい特徴を持つ。また、第1領域31に反射防止膜4を配置して外光の反射を防止することで、有機発光表示装置のコントラストを高めて鮮明な映像を表示させる特徴を持つ。
【0050】
次いで、図8及び図11で詳細に後述するが、第1領域31には、少なくとも一つの薄膜トランジスタを備えるピクセル回路部が位置する。また、第1領域31には、第1電極及び第2電極を備える有機発光素子が位置する。ピクセル回路部や電極を備える有機発光素子などの構造物は、外光を反射して有機発光表示装置のコントラストを低下させるという問題がある。特に、第1電極または第2電極のうち一つの電極は、背面発光または前面発光を具現するための反射電極の機能を行うため、これらの電極による外光反射で、有機発光表示装置のコントラストはさらに低下する。したがって、第1領域31に対応する部分は、外光反射を除去できる構造が要求される。一方、第2領域32にはできるだけ絶縁膜や電極及び光学フィルムなどの構造物を少なく配置することで、外光に対する透過率を高める必要がある。
【0051】
したがって、本発明は反射防止膜4を用いて、特に第1領域31における外光に対する反射率を低め、第2領域32において外光に対する透過率を高めた。具体的に、反射防止膜4は、第1領域31に対応する部分には、外光に対する反射率を低めるための反射防止部41を形成し、第2領域32に対応する部分には、外光に対する透過率をさらに高めるために透過部42を形成することを特徴とする。
【0052】
反射防止部41は円偏光フィルタを備えるか、または直線偏光膜及び位相差膜が積層された膜を備えることを特徴とする。ここで、外光は、円偏光フィルタを通過しつつ所定の回転方向を持つ円偏光に変換される。また外光は、直線偏光膜を通過しつつ所定の方向の直線偏光に変換され、変換された直線偏光は、位相差膜を通過しつつ波長の1/4ほど位相が変化することで、所定の回転方向を持つ円偏光に変換する。ここで位相差膜は、例えば、ラムダ(Lamda)/4リターダ(retarder)でありうる。したがって、直線偏光膜及び位相差膜が積層された膜は円偏光フィルタと同じ機能を行う。
【0053】
一方、反射防止膜4はフィルム形態でもあり、コーティングされた薄膜上に線形構造物を直接成形して形成してもよい。例えば、反射防止部41の円偏光フィルタ、直線偏光膜及び位相差膜は、フィルム形態の膜に付着したものでありうる。但し、反射防止部41の位相差膜は、複数層の有機または無機薄膜を形成した後、膜の厚さを調節して位相を変化させるものであり、この時、直線偏光膜は、金属性材質を持つナノサイズの線形構造物を位相差膜上に周期的に配置して形成できる。
【0054】
図5A及び図5Bを参照すれば、反射防止部41で外光反射を防止する原理が図示されている。
【0055】
まず、図5Aを参照して、円偏光フィルタ47を備える反射防止部41で外光反射を防止する原理を説明する。
【0056】
まず、外光51が、反射防止部41を通過して所定の方向に回転する第1円偏光51’に変換される。第1円偏光51’は、第1領域31に配置された有機発光素子ELに含まれ、光を反射する第1電極または第2電極に到達して反射される。ここで、有機発光表示装置が背面発光型である時は第2電極が光反射電極であり、有機発光表示装置が前面発光型である時は第1電極が光反射電極でありうる。この時、反射された第1円偏光51’は、回転方向が逆に変わりつつ第2円偏光51’’に変換される。例えば、第1円偏光51’が時計回り方向に回転する右円偏光であれば、第2円偏光51’’は、逆時計回り方向に回転する左円偏光になる。第2円偏光51’’は回転方向が逆であるため、円偏光フィルタ47を備える反射防止部41を再び通過できない。結局、外光51は反射せずに消滅し、有機発光表示装置の第1領域31で発光する映像は、外光反射によるコントラストの低下なしに鮮明に表示される。
【0057】
次いで、図5Bを参照して、直線偏光膜45及び位相差膜43が積層された膜を備える反射防止部41で外光反射を防止する原理を説明する。ここで、有機発光素子ELの向かう方向に位相差膜43が配置され、位相差膜43の外面に直線偏光膜45が積層される。
【0058】
まず、外光51が、直線偏光膜45を通過して所定の軸方向に振動する第1直線偏光51xに変換される。次いで、第1直線偏光51xは、位相差膜43により波長の1/4ほど位相が変化することで、所定の回転方向を持つ第1円偏光51’に変換される。第1円偏光51’は、第1領域31に配置された有機発光素子ELに含まれ、光を反射する第1電極または第2電極に到達して反射される。この時、反射された第1円偏光51’は、回転方向が逆に変わって第2円偏光51’’に変換される。第2円偏光51’’は、再び位相変換膜43を通過しつつ第2直線偏光51yに変換するが、第2直線偏光51yは、第1直線偏光51xと垂直する成分を持つ。したがって、第2直線偏光51yは、直線偏光膜45を再び通過できない。結局、外光51は反射せずに消滅し、有機発光表示装置の第1領域31で発光する映像は、外光反射によるコントラストの低下なしに鮮明に表示される。
【0059】
一方、透過部42は、反射防止部41とは異なって直線偏光膜45または位相差膜43のうちいずれか一つのみを含むか、またはいかなる光学膜も含まずに第2領域32に対して穴のあいていることを特徴とする。透過部42は、偏光機能なしに外光を透過することで、有機発光表示装置の外光透過率をさらに向上させる。一方、透過部42は、穴をあけて形成することがさらに望ましいが、これは直線偏光膜45または位相差膜43が、外光を一部吸収するか、または一部のみ透過できるためである。
【0060】
透過部42は、反射防止膜4のうちピクセルの第2領域32に対応する部分に穴をあけて形成できる。これらの穴は、微細刃の形成された金型で反射防止膜を押して形成できる。他の例として、穴は、微細なレーザーで反射防止膜の一部分に熱を加えて形成することもある。
【0061】
次いで、本発明の有機発光部21のさらに具体的な実施形態を説明する。
【0062】
図6は、本発明の有機発光部21の一実施形態で、互いに隣接する赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbを示す平面図である。
【0063】
各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbは、第1領域31に回路領域311及び発光領域312をそれぞれ備える。これら回路領域311及び発光領域312は、互いに隣接して配置される。
【0064】
そして、第1領域31に隣接しては、外光を透過する第2領域32が配置される。
【0065】
前記第2領域32は、図6に示したように、各ピクセルPr、Pg、Pb別に独立して備えられてもよく、図7に示したように、各ピクセルPr、Pg、Pbにかけて互いに連結されるように備えられてもよい。図7による実施形態の場合、外光が透過される第2領域32の面積が広くなる効果があるため、有機発光表示装置全体の透過率を高めることができる。一方、図6では、独立した第2領域32間の空間に配線(データ配線、電源配線)が通過するが、図7では、第2領域32が連結されるように備えられるため、配線(データ配線、電源配線)は、透過領域の両外側のみに片寄せられて配置される。すなわち、配線(データ配線、電源配線)は、第2領域32を横切るように配置されない。
【0066】
図7には、赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbの第2領域32がいずれも連結されたと図示したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbのうち、互いに隣接するいずれか2つのピクセルの第2領域のみ互いに連結されるように備えられてもよい。
【0067】
図8は、図6または図7に図示されたピクセルPr、Pg、Pbのうち、いずれか一ピクセルの断面を示す図面である。
【0068】
図8に示したように、回路領域311には薄膜トランジスタTRが配置されるが、図面に示したように、必ずしも一つの薄膜トランジスタTRが配置されるのに限定されず、この薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCが備えられうる。このピクセル回路部PCには、薄膜トランジスタTR以外にも複数の薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタがさらに備えられ、これらと連結されたスキャンライン、データライン及びVddラインなどの配線がさらに備えられうる。
【0069】
発光領域312には、発光素子である有機発光素子ELが配置される。この有機発光素子ELは、ピクセル回路部PCの薄膜トランジスタTRと電気的に連結されている。
【0070】
前記基板1上にはバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に薄膜トランジスタTRを備えるピクセル回路部PCが形成される。
【0071】
まず、前記バッファ膜211上には半導体活性層212が形成される。
【0072】
前記バッファ膜211は透明な絶縁物で形成されるが、不純元素の浸透を防止して表面を平坦化する役割を行うものであって、このような役割を行える多様な物質で形成できる。一例として、前記バッファ膜211は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタンまたは窒化チタンなどの無機物や、ポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物またはこれらの積層体で形成できる。前記バッファ膜211は必須構成要素ではなく、必要に応じては備えられないこともある。
【0073】
前記半導体活性層212は多結晶シリコンで形成できるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、酸化物半導体で形成できる。例えば、G−I−Z−O層[(In2O3)a(Ga2O3)b(ZnO)c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす実数)でありうる。このように半導体活性層212を酸化物半導体で形成する場合には、第1領域31の回路領域311における透光度がさらに高くなり、これにより、有機発光表示装置全体の外光透過度を上昇させることができる。
【0074】
前記半導体活性層212を覆うように、透明な絶縁物としてゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上にゲート電極214が形成される。
【0075】
ゲート電極214を覆うように、ゲート絶縁膜213上に透明な絶縁物として層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上にソース電極216及びドレイン電極217が形成されて、それぞれ半導体活性層212とコンタクトホールを通じてコンタクトされる。
【0076】
前記のような薄膜トランジスタTRの構造は必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な形態の薄膜トランジスタの構造が適用できるということはいうまでもない。
【0077】
これらの薄膜トランジスタTRを備えるピクセル回路部PCを覆うように、パッシベーション膜218が形成される。前記パッシベーション膜218は、上面の平坦化した単一または複数層の絶縁膜になりうる。このパッシベーション膜218は、透明な無機絶縁物及び/または有機絶縁物で形成できる。前記パッシベーション膜218は、あらゆるピクセルにかけて連結されるように形成できる。
【0078】
前記パッシベーション膜218上には、図8に示したように、薄膜トランジスタTRと電気的に連結された有機発光素子ELの第1電極221が形成される。前記第1電極221は、あらゆるピクセル別に分離及び独立した島状で形成される。
【0079】
前記パッシベーション膜218上には、有機及び/または無機絶縁物で備えられた画素定義膜219が形成される。
【0080】
前記画素定義膜219は、前記第1電極221のエッジを覆い、中央部は露出させる。この画素定義膜219は、第1領域31を覆うように備えられるが、必ずしも第1領域31全体を覆う必要はなく、少なくとも一部、特に、第1電極221のエッジだけ覆えば十分である。
【0081】
前記第1電極221上には、有機膜223と第2電極222とが順に積層される。前記第2電極222は、前記有機膜223と絶縁膜である画素定義膜219とを覆い、あらゆるピクセルにかけて互いに電気的に連結されている。
【0082】
前記有機膜223は、低分子または高分子有機膜が使われる。低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成でき、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc:copper phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成できる。この時、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は共通層であって、赤色、緑色、青色のピクセルに共通に適用できる。
【0083】
前記第1電極221はアノード電極の機能を行い、前記第2電極222はカソード電極の機能を行うことができるが、もちろん、これら第1電極221と第2電極222との極性は互いに逆になってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極221は透明電極になり、前記第2電極222は反射電極になりうる。前記第1電極221は、仕事関数の高いITO、IZO、ZnOまたはIn2O3などを含んで備えられうる。そして前記第2電極222は、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、LiまたはCaなどで形成できる。したがって、前記有機発光素子ELは、第1電極221の方向に画像を具現する背面発光型になる。
【0085】
しかし、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、前記第2電極222も透明電極で備えられてもよい。
【0086】
前記パッシベーション膜218、ゲート絶縁膜213、層間絶縁膜215及び画素定義膜219は、前述したように、外光に対する透過率を高めるために透明な絶縁膜で形成することが望ましい。
【0087】
前記第2電極222の上部には密封基板2が配置されうる。この密封基板2は外郭で、図3に示したように、別途の密封材24により基板1と接合されて、有機発光部21を外気に対して密封可能にする。密封基板2と第2電極222との間の空間には別途の充填材(図示せず)が充填され、吸湿剤も介在される。有機発光部21に対する密封構造は、必ずしも図8に示した密封基板2の使用に限定されるものではなく、図4で説明した密封フィルム23構造も適用できる。
【0088】
一方、本発明にあって、前記第2電極222及び画素定義膜219には、それぞれ第1透過窓224及び第2透過窓225がさらに形成できる。前記第1透過窓224は、前記第2電極222のうち、前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成でき、前記第2透過窓225は、前記画素定義膜219のうち、前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成できる。前記第1透過窓224及び第2透過窓225は、互いに連結されるように形成できる。
【0089】
前記第2透過窓225は、パッシベーション膜218、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも一つにさらに形成されてもよい。
【0090】
本発明はまた、必ずしも前記第1透過窓224と第2透過窓225とが共に存在すべきものではなく、2つのうちいずれか一つのみ存在するようにしてもよい。もちろん、この場合には、外光に対する透過率を高めるために、金属で形成する第2電極222に第1透過窓224のみ形成することが望ましい。
【0091】
図9は、本発明の有機発光部21の他の一実施形態で、互いに隣接する赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbを示す平面図である。
【0092】
各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbの第1領域31には回路領域311及び発光領域312が備えられるが、これら回路領域311と発光領域312とは互いに重なって配置される。図9に示す本発明の望ましい一実施形態によれば、前記発光領域312の面積は回路領域311のピクセル回路部PCの面積より大きくて、前記回路領域311のピクセル回路部PCは発光領域312に完全に遮蔽された状態になる。
【0093】
そして、第1領域31に隣接しては、外光を透過する第2領域32が配置される。前記第2領域32は、図9に示したように、各ピクセルPr、Pg、Pb別に独立して備えられる。しかし、本発明はこれに限定されず、図10に示したように、第2領域32が各ピクセルPr、Pg、Pbにかけて互いに連結されるように備えられてもよい。図10による実施形態の場合、外光が透過される第2領域32の面積が広くなる効果があるため、有機発光表示装置全体の透過率を高めることができる。
【0094】
図11は、図9または図10に示したピクセルPr、Pg、Pbのうち、いずれか一ピクセルの断面を示す図面である。
【0095】
図11に示したように、回路領域311には薄膜トランジスタTRが配置されるが、図面に示したように、必ずしも一つの薄膜トランジスタTRが配置されるのに限定されるものではなく、この薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCが備えられうる。このピクセル回路部PCには、薄膜トランジスタTR以外にも複数の薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタがさらに備えられ、これらと連結されたスキャンライン、データライン及びVddラインなどの配線がさらに備えられる。
【0096】
一方、回路領域311と重畳して回路領域311を遮蔽するように形成された発光領域312には、発光素子である有機発光素子ELが配置される。この有機発光素子ELは、ピクセル回路部PCの薄膜トランジスタTRと電気的に連結されている。
【0097】
前記基板1上にはバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCが形成される。
【0098】
まず、前記バッファ膜211上には半導体活性層212が形成される。
【0099】
前記半導体活性層212は多結晶シリコンで形成できるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、酸化物半導体で形成できる。例えば、G−I−Z−O層[(In2O3)a(Ga2O3)b(ZnO)c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす実数)でありうる。
【0100】
前記半導体活性層212を覆うように、透明な絶縁物としてゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上にゲート電極214が形成される。
【0101】
ゲート電極214を覆うように、ゲート絶縁膜213上に透明な絶縁物として層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上にソース電極216及びドレイン電極217が形成されて、それぞれ半導体活性層212とコンタクトホールとを通じてコンタクトされる。
【0102】
前記のような薄膜トランジスタTRの構造は、必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な形態の薄膜トランジスタの構造が適用できるということはいうまでもない。
【0103】
これらの薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCを覆うように、パッシベーション膜218が形成される。前記パッシベーション膜218は、上面の平坦化した単一または複数層の絶縁膜になりうる。このパッシベーション膜218は、透明な無機絶縁物及び/または有機絶縁物で形成できる。前記パッシベーション膜218は、あらゆるピクセルにかけて連結されるように形成できる。
【0104】
前記パッシベーション膜218上には、図11に示すように、薄膜トランジスタTRを遮蔽するように有機発光素子ELの第1電極221が形成される。前記第1電極221は、あらゆるピクセル別に分離及び独立した島状に形成される。
【0105】
前記パッシベーション膜218上には、有機及び/または無機絶縁物で備えられた画素定義膜219が形成される。
【0106】
前記画素定義膜219は、前記第1電極221のエッジを覆い、中央部は露出させる。この画素定義膜219は第1領域31を覆うように備えられるが、必ずしも第1領域31全体を覆うように備えられるものではなく、少なくとも一部、特に、第1電極221のエッジを覆うようにすれば十分である。
【0107】
前記第1電極221上には、有機膜223と第2電極222とが順に積層される。前記第2電極222は、前記有機膜223と絶縁膜である画素定義膜219とを覆い、あらゆるピクセルにかけて互いに電気的に連結されている。第2電極は、全体第1領域と第2領域とにかけて形成されてもよい。
【0108】
前記第1電極221はアノード電極の機能を行い、前記第2電極222はカソード電極の機能を行うことができるが、もちろん、これら第1電極221と第2電極222との極性は、互いに逆になってもよい。
【0109】
前記第1電極221は、各ピクセルごとに第1領域31に対応するサイズで形成される。前記第2電極222は、有機発光部全体のあらゆるピクセルを覆うように共通電極で形成できる。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極221は反射電極になり、前記第2電極222は透明電極になる。したがって、前記有機発光部21は、第2電極222の方向に画像を具現する前面発光型になる。
【0111】
このために、前記第1電極221は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で形成された反射膜と、仕事関数の高いITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などで備えられる。そして、前記第2電極222は、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caまたはこれらの合金などで形成できる。前記第2電極222は、透過率を高くするために薄膜で形成することが望ましい。
【0112】
このように第1電極221が反射電極で備えられる場合、その下部に配置されたピクセル回路部は第1電極221により遮蔽された状態になり、これにより、図11からみれば、第2電極222の上部外側からユーザは、第1電極221の下部の薄膜トランジスタと図示されていないキャパシタの各パターンとスキャンライン、データライン及びVddラインの一部を観察できなくなる。
【0113】
このように第1電極221が反射電極で備えられることで、発光した光が観察者側、すなわち、上部のみに発散するため、観察者の逆方向に消失する光量を低減させる。また、前述したように、第1電極221がその下部のピクセル回路の多様なパターンを遮蔽する役割を行うため、観察者がさらに鮮明な透過イメージを見ることができる。
【0114】
前記パッシベーション膜218、ゲート絶縁膜213、層間絶縁膜215及び画素定義膜219は、前述したように、外光に対する透過率を高めるために透明な絶縁膜で形成することが望ましい。
【0115】
一方、本発明において、前記第2電極222及び画素定義膜219には、それぞれ第1透過窓224及び第2透過窓225がさらに形成される。前記第1透過窓224は、前記第2電極222のうち前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成でき、前記第2透過窓225は、前記画素定義膜219のうち前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成できる。前記第1透過窓224及び第2透過窓225は、互いに連結されるように形成できる。
【0116】
しかし、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、パッシベーション膜218、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも一つに、画素定義膜219に形成された第2透過窓225と連結された開口部または透過窓をさらに形成して、第2領域32における光透過率をさらに高めることができる。
【0117】
図12及び図13は、本発明の一実施形態による反射防止膜4を示す平面図である。
【0118】
図12は、図6及び図9に対応して第2領域32がピクセル別に独立して形成された、有機発光表示装置に含まれる反射防止膜4を示す図面である。一方、図12は、図6及び図9に示したピクセルセットが4つ合わせられた形態を示すものである。図12を参照すれば、透過部42は、第2領域32に対応するように、隣接する他の透過部42と互いに独立して形成されたことを特徴とする。
【0119】
図13は、図7及び図10に対応して互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域32がお互い連結されて形成された有機発光表示装置に含まれる反射防止膜4を示す図面である。一方、図13は、図7及び図10に示したピクセルセットが4つ合わせられた形態を示す図面である。図13を参照すれば、透過部42は、第2領域32に対応するように、隣接する他の透過部42と互いに連結されるように形成されたことを特徴とする。
【0120】
本発明は、添付した図面に図示された一実施形態を参考までに説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲のみにより定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、有機発光表示装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0122】
1 基板、
2 密封基板、
11 第1面、
12 第2面、
21 有機発光部、
23 密封フィルム、
24 密封材、
25 空間、
31 第1領域、
32 第2領域、
4 反射防止膜、
47 円偏光フィルタ、
45 直線偏光膜、
43 位相差膜、
41 反射防止部、
42 透過部、
211 バッファ膜、
221 第1電極、
222 第2電極、
223 有機膜、
224 第1透過窓、
225 第2透過窓、
311 回路領域、
312 発光領域、
TR 薄膜トランジスタ、
PC ピクセル回路部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置に係り、さらに詳細には、透明な有機発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置は、視野角、コントラスト、応答速度、消費電力などの側面で特性が優秀なため、MP3プレーヤや携帯電話などの個人用携帯機器からテレビ(TV)に至るまで応用範囲が拡大しつつある。これらの有機発光表示装置に対して、装置内部の薄膜トランジスタや有機発光素子を透明な形態に作ることで、透明表示装置として形成しようとする試みがある。
【0003】
ところが、かかる透明表示装置では、スイッチオフ状態である時に反対側に位置している事物またはイメージが、有機発光素子だけでなく薄膜トランジスタ及びいろいろな配線などのパターン、及びこれら間の空間を透過してユーザに伝えられるが、たとえ透明表示装置であるとしても、前記有機発光素子、薄膜トランジスタ及び配線自体の透過率があまり高くなく、これら間の空間も非常に小さくて全体ディスプレイの透過率は高くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2009−0122138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外光の反射を防止し、外光に対する透過度の高い透明な有機発光表示装置を提供するところに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記のような目的を達成するために、本発明は、基板と、前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成され、前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、前記基板の第1面と対向する密封部材と、前記基板の第2面に位置している反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置を提供する。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える。
【0009】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える。
【0010】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする。
【0012】
本発明の他の特徴によれば、前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域及び前記回路領域は互いに隣接して配置されることを特徴とする。
【0013】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする。
【0014】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに連結され、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする。
【0015】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする。
【0016】
本発明の他の特徴によれば、前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする。
【0017】
前記のような目的を達成するために、本発明は、基板と、前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の逆の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に形成されて前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、前記基板の第1面と対向する密封部材と、前記密封基板の外面に位置している反射防止膜と、を備え、前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置を提供する。
【0018】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明の他の特徴によれば、前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える。
【0020】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える。
【0021】
本発明の他の特徴によれば、前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記第1電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする。
【0023】
本発明の他の特徴によれば、前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域は、前記回路領域を遮蔽できるように前記回路領域と重なって配置されることを特徴とする。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする。
【0025】
本発明の他の特徴によれば、互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は互いに連結され、前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする。
【0026】
本発明の他の特徴によれば、前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする。
【0027】
本発明の他の特徴によれば、前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、反射電極による外光の反射を防止して、ユーザが高コントラストのイメージを観察可能にし、外光に対する透過率低下を最大限低減させることができ、これにより、ユーザの外部イメージの観察がさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【図2】本発明の望ましい他の一実施形態による有機発光表示装置の概略的な断面図である。
【図3】図1または図2の一実施形態をさらに詳細に示す断面図である。
【図4】図1または図2の他の一実施形態をさらに詳細に示す断面図である。
【図5A】反射防止部で外光反射を防止する原理を示す概念図である。
【図5B】反射防止部で外光反射を防止する原理を示す概念図である。
【図6】図3または図4の有機発光部の望ましい一実施形態の概略的な平面図である。
【図7】図3または図4の有機発光部の望ましい他の一実施形態の概略的な平面図である。
【図8】図3または図4の有機発光部の一ピクセルを示す断面図である。
【図9】図3または図4の有機発光部の望ましい他の一実施形態の概略的な平面図である。
【図10】図3または図4の有機発光部の望ましいさらに他の一実施形態の概略的な平面図である。
【図11】図3または図4の有機発光部の他の一実施形態による一ピクセルを示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態による反射防止膜を示す平面図である。
【図13】本発明の一実施形態による反射防止膜を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、多様な変換を加えることができ、かついろいろな実施形態を持つことができる。以下、特定の実施形態を図面に例示して詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変換、均等物ないし代替物を含むと理解されねばならない。本発明を説明するに当って、関連する公知技術についての具体的な説明が本発明の趣旨を不明にすると判断される場合、その詳細な説明を省略する。
【0031】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われうるが、構成要素はこれらの用語により限定されてはならない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0032】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現が、文脈上明白に異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。本出願で、’’含む’’または’’持つ’’などの用語は、明細書上に記載された特徴、数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在するということを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されねばならない。
【0033】
以下、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0034】
図1は、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置を概略的に示す断面図である。
【0035】
図1を参照すれば、本発明の望ましい一実施形態による有機発光表示装置は、基板1上に有機発光部(図示せず)が備えられ、有機発光部を覆う密封基板2が備えられる。一方、画像が具現される側である基板の外面に反射防止膜4が備えられることを特徴とする。
【0036】
これらの有機発光表示装置において、外光は、基板1、有機発光部及び密封基板2を透過して入射される。
【0037】
そして、有機発光部及び密封基板2は、後述するように外光が透過可能に備えられたものであり、図1を見れば、画像が具現される側に位置するユーザが基板1の上部外側のイメージを観察できるように備えられる。図1に示した実施形態で、画像が基板1の方向に具現される背面発光型として開示されたが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、図2に示したように、画像が基板1の逆方向に具現される前面発光型にも同様に適用できるということはいうまでもない。この場合、ユーザは基板1の上部で画像を見るか、または、下部外側のイメージを観察できる。本発明はまた、必ずしも図1及び図2による実施形態に限定されるものではなく、画像が基板1の方向及び基板1の逆方向に具現される両面発光型にも同様に適用できる。
【0038】
図1及び図2では、本発明の有機発光表示装置の互いに隣接する2つのピクセルである第1ピクセルP1及び第2ピクセルP2を示した。
【0039】
各ピクセルP1P2は、第1領域31及び第2領域32を備えている。
【0040】
第1領域31を通じては画像が具現され、第2領域32を通じては外光が透過される。
【0041】
すなわち、本発明は、各ピクセルP1P2がいずれも画像を具現する第1領域31と、外光が透過される第2領域32とが備えられていて、ユーザは、有機発光装置から具現される画像を見ていない時には、外部イメージを見ることができる。
【0042】
この時、第2領域32には薄膜トランジスタ、キャパシタ、有機発光素子などの素子を形成しないことで、この第2領域32における外光透過率を極大化して、結果的に有機発光表示装置全体の外光透過率を高めることができ、透過イメージが薄膜トランジスタ、キャパシタ、有機発光素子などの素子により干渉されて歪曲が生じることを最大限低減させることができる。
【0043】
図3は、図1の有機発光表示装置をさらに具体的に示す一実施形態であり、基板1の第1面11に形成された有機発光部21と、この有機発光部21を密封する密封基板2、基板1と密封基板2を接合する密封材24とを備える。
【0044】
前記密封基板2は、透明な部材で形成されて有機発光部21からの画像を具現させ、有機発光部21への外気及び水分の浸透を遮断する。
【0045】
前記基板1と前記密封基板2とは、そのエッジが密封材24により結合されて、前記基板1と密封基板2との間の空間25が密封される。前記空間25には、吸湿剤や充填材などが位置する。
【0046】
前記密封基板2の代りに、図4に示すように、薄膜の密封フィルム23を有機発光部21上に形成することで、有機発光部21を外気から保護できる。前記密封フィルム23は、酸化シリコンまたは窒化シリコンなどの無機物からなる膜と、エポキシ、ポリイミドなどの有機物からなる膜とが交互に成膜された構造をとることができるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、透明な薄膜上の密封構造ならば、いかなるものでも適用できる。
【0047】
図示していないが、前記有機発光部21についての密封構造として、図4の密封フィルム23を形成した上に再び図3の密封基板2をさらに備えてもよい。
【0048】
一方、図3及び図4は、図1の有機発光表示装置をさらに具体的に示した一実施形態を示す図面である。図1の有機発光表示装置は基板1の下面に画像を具現するため、基板1の下面、すなわち、第2面12に、外光に対する反射を防止する反射防止膜4を形成する。一方、図示されていないが、図2の有機発光表示装置では基板1の逆方向に画像を具現するため、密封基板2または密封フィルム23の外面に、外光に対する反射を防止する反射防止膜4を形成する。
【0049】
前述したように、本発明の有機発光表示装置は、第2領域32における外光透過率を極大化して有機発光表示装置全体の外光透過率を高めるのに最も大きい特徴を持つ。また、第1領域31に反射防止膜4を配置して外光の反射を防止することで、有機発光表示装置のコントラストを高めて鮮明な映像を表示させる特徴を持つ。
【0050】
次いで、図8及び図11で詳細に後述するが、第1領域31には、少なくとも一つの薄膜トランジスタを備えるピクセル回路部が位置する。また、第1領域31には、第1電極及び第2電極を備える有機発光素子が位置する。ピクセル回路部や電極を備える有機発光素子などの構造物は、外光を反射して有機発光表示装置のコントラストを低下させるという問題がある。特に、第1電極または第2電極のうち一つの電極は、背面発光または前面発光を具現するための反射電極の機能を行うため、これらの電極による外光反射で、有機発光表示装置のコントラストはさらに低下する。したがって、第1領域31に対応する部分は、外光反射を除去できる構造が要求される。一方、第2領域32にはできるだけ絶縁膜や電極及び光学フィルムなどの構造物を少なく配置することで、外光に対する透過率を高める必要がある。
【0051】
したがって、本発明は反射防止膜4を用いて、特に第1領域31における外光に対する反射率を低め、第2領域32において外光に対する透過率を高めた。具体的に、反射防止膜4は、第1領域31に対応する部分には、外光に対する反射率を低めるための反射防止部41を形成し、第2領域32に対応する部分には、外光に対する透過率をさらに高めるために透過部42を形成することを特徴とする。
【0052】
反射防止部41は円偏光フィルタを備えるか、または直線偏光膜及び位相差膜が積層された膜を備えることを特徴とする。ここで、外光は、円偏光フィルタを通過しつつ所定の回転方向を持つ円偏光に変換される。また外光は、直線偏光膜を通過しつつ所定の方向の直線偏光に変換され、変換された直線偏光は、位相差膜を通過しつつ波長の1/4ほど位相が変化することで、所定の回転方向を持つ円偏光に変換する。ここで位相差膜は、例えば、ラムダ(Lamda)/4リターダ(retarder)でありうる。したがって、直線偏光膜及び位相差膜が積層された膜は円偏光フィルタと同じ機能を行う。
【0053】
一方、反射防止膜4はフィルム形態でもあり、コーティングされた薄膜上に線形構造物を直接成形して形成してもよい。例えば、反射防止部41の円偏光フィルタ、直線偏光膜及び位相差膜は、フィルム形態の膜に付着したものでありうる。但し、反射防止部41の位相差膜は、複数層の有機または無機薄膜を形成した後、膜の厚さを調節して位相を変化させるものであり、この時、直線偏光膜は、金属性材質を持つナノサイズの線形構造物を位相差膜上に周期的に配置して形成できる。
【0054】
図5A及び図5Bを参照すれば、反射防止部41で外光反射を防止する原理が図示されている。
【0055】
まず、図5Aを参照して、円偏光フィルタ47を備える反射防止部41で外光反射を防止する原理を説明する。
【0056】
まず、外光51が、反射防止部41を通過して所定の方向に回転する第1円偏光51’に変換される。第1円偏光51’は、第1領域31に配置された有機発光素子ELに含まれ、光を反射する第1電極または第2電極に到達して反射される。ここで、有機発光表示装置が背面発光型である時は第2電極が光反射電極であり、有機発光表示装置が前面発光型である時は第1電極が光反射電極でありうる。この時、反射された第1円偏光51’は、回転方向が逆に変わりつつ第2円偏光51’’に変換される。例えば、第1円偏光51’が時計回り方向に回転する右円偏光であれば、第2円偏光51’’は、逆時計回り方向に回転する左円偏光になる。第2円偏光51’’は回転方向が逆であるため、円偏光フィルタ47を備える反射防止部41を再び通過できない。結局、外光51は反射せずに消滅し、有機発光表示装置の第1領域31で発光する映像は、外光反射によるコントラストの低下なしに鮮明に表示される。
【0057】
次いで、図5Bを参照して、直線偏光膜45及び位相差膜43が積層された膜を備える反射防止部41で外光反射を防止する原理を説明する。ここで、有機発光素子ELの向かう方向に位相差膜43が配置され、位相差膜43の外面に直線偏光膜45が積層される。
【0058】
まず、外光51が、直線偏光膜45を通過して所定の軸方向に振動する第1直線偏光51xに変換される。次いで、第1直線偏光51xは、位相差膜43により波長の1/4ほど位相が変化することで、所定の回転方向を持つ第1円偏光51’に変換される。第1円偏光51’は、第1領域31に配置された有機発光素子ELに含まれ、光を反射する第1電極または第2電極に到達して反射される。この時、反射された第1円偏光51’は、回転方向が逆に変わって第2円偏光51’’に変換される。第2円偏光51’’は、再び位相変換膜43を通過しつつ第2直線偏光51yに変換するが、第2直線偏光51yは、第1直線偏光51xと垂直する成分を持つ。したがって、第2直線偏光51yは、直線偏光膜45を再び通過できない。結局、外光51は反射せずに消滅し、有機発光表示装置の第1領域31で発光する映像は、外光反射によるコントラストの低下なしに鮮明に表示される。
【0059】
一方、透過部42は、反射防止部41とは異なって直線偏光膜45または位相差膜43のうちいずれか一つのみを含むか、またはいかなる光学膜も含まずに第2領域32に対して穴のあいていることを特徴とする。透過部42は、偏光機能なしに外光を透過することで、有機発光表示装置の外光透過率をさらに向上させる。一方、透過部42は、穴をあけて形成することがさらに望ましいが、これは直線偏光膜45または位相差膜43が、外光を一部吸収するか、または一部のみ透過できるためである。
【0060】
透過部42は、反射防止膜4のうちピクセルの第2領域32に対応する部分に穴をあけて形成できる。これらの穴は、微細刃の形成された金型で反射防止膜を押して形成できる。他の例として、穴は、微細なレーザーで反射防止膜の一部分に熱を加えて形成することもある。
【0061】
次いで、本発明の有機発光部21のさらに具体的な実施形態を説明する。
【0062】
図6は、本発明の有機発光部21の一実施形態で、互いに隣接する赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbを示す平面図である。
【0063】
各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbは、第1領域31に回路領域311及び発光領域312をそれぞれ備える。これら回路領域311及び発光領域312は、互いに隣接して配置される。
【0064】
そして、第1領域31に隣接しては、外光を透過する第2領域32が配置される。
【0065】
前記第2領域32は、図6に示したように、各ピクセルPr、Pg、Pb別に独立して備えられてもよく、図7に示したように、各ピクセルPr、Pg、Pbにかけて互いに連結されるように備えられてもよい。図7による実施形態の場合、外光が透過される第2領域32の面積が広くなる効果があるため、有機発光表示装置全体の透過率を高めることができる。一方、図6では、独立した第2領域32間の空間に配線(データ配線、電源配線)が通過するが、図7では、第2領域32が連結されるように備えられるため、配線(データ配線、電源配線)は、透過領域の両外側のみに片寄せられて配置される。すなわち、配線(データ配線、電源配線)は、第2領域32を横切るように配置されない。
【0066】
図7には、赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbの第2領域32がいずれも連結されたと図示したが、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbのうち、互いに隣接するいずれか2つのピクセルの第2領域のみ互いに連結されるように備えられてもよい。
【0067】
図8は、図6または図7に図示されたピクセルPr、Pg、Pbのうち、いずれか一ピクセルの断面を示す図面である。
【0068】
図8に示したように、回路領域311には薄膜トランジスタTRが配置されるが、図面に示したように、必ずしも一つの薄膜トランジスタTRが配置されるのに限定されず、この薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCが備えられうる。このピクセル回路部PCには、薄膜トランジスタTR以外にも複数の薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタがさらに備えられ、これらと連結されたスキャンライン、データライン及びVddラインなどの配線がさらに備えられうる。
【0069】
発光領域312には、発光素子である有機発光素子ELが配置される。この有機発光素子ELは、ピクセル回路部PCの薄膜トランジスタTRと電気的に連結されている。
【0070】
前記基板1上にはバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に薄膜トランジスタTRを備えるピクセル回路部PCが形成される。
【0071】
まず、前記バッファ膜211上には半導体活性層212が形成される。
【0072】
前記バッファ膜211は透明な絶縁物で形成されるが、不純元素の浸透を防止して表面を平坦化する役割を行うものであって、このような役割を行える多様な物質で形成できる。一例として、前記バッファ膜211は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコン、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタンまたは窒化チタンなどの無機物や、ポリイミド、ポリエステル、アクリルなどの有機物またはこれらの積層体で形成できる。前記バッファ膜211は必須構成要素ではなく、必要に応じては備えられないこともある。
【0073】
前記半導体活性層212は多結晶シリコンで形成できるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、酸化物半導体で形成できる。例えば、G−I−Z−O層[(In2O3)a(Ga2O3)b(ZnO)c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす実数)でありうる。このように半導体活性層212を酸化物半導体で形成する場合には、第1領域31の回路領域311における透光度がさらに高くなり、これにより、有機発光表示装置全体の外光透過度を上昇させることができる。
【0074】
前記半導体活性層212を覆うように、透明な絶縁物としてゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上にゲート電極214が形成される。
【0075】
ゲート電極214を覆うように、ゲート絶縁膜213上に透明な絶縁物として層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上にソース電極216及びドレイン電極217が形成されて、それぞれ半導体活性層212とコンタクトホールを通じてコンタクトされる。
【0076】
前記のような薄膜トランジスタTRの構造は必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な形態の薄膜トランジスタの構造が適用できるということはいうまでもない。
【0077】
これらの薄膜トランジスタTRを備えるピクセル回路部PCを覆うように、パッシベーション膜218が形成される。前記パッシベーション膜218は、上面の平坦化した単一または複数層の絶縁膜になりうる。このパッシベーション膜218は、透明な無機絶縁物及び/または有機絶縁物で形成できる。前記パッシベーション膜218は、あらゆるピクセルにかけて連結されるように形成できる。
【0078】
前記パッシベーション膜218上には、図8に示したように、薄膜トランジスタTRと電気的に連結された有機発光素子ELの第1電極221が形成される。前記第1電極221は、あらゆるピクセル別に分離及び独立した島状で形成される。
【0079】
前記パッシベーション膜218上には、有機及び/または無機絶縁物で備えられた画素定義膜219が形成される。
【0080】
前記画素定義膜219は、前記第1電極221のエッジを覆い、中央部は露出させる。この画素定義膜219は、第1領域31を覆うように備えられるが、必ずしも第1領域31全体を覆う必要はなく、少なくとも一部、特に、第1電極221のエッジだけ覆えば十分である。
【0081】
前記第1電極221上には、有機膜223と第2電極222とが順に積層される。前記第2電極222は、前記有機膜223と絶縁膜である画素定義膜219とを覆い、あらゆるピクセルにかけて互いに電気的に連結されている。
【0082】
前記有機膜223は、低分子または高分子有機膜が使われる。低分子有機膜を使用する場合、ホール注入層(HIL:Hole Injection Layer)、ホール輸送層(HTL:Hole Transport Layer)、発光層(EML:Emission Layer)、電子輸送層(ETL:Electron Transport Layer)、電子注入層(EIL:Electron Injection Layer)などが単一あるいは複合の構造で積層されて形成でき、使用可能な有機材料も、銅フタロシアニン(CuPc:copper phthalocyanine)、N,N−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPB)、トリス−8−ヒドロキシキノリンアルミニウム(Alq3)などをはじめとして多様に適用できる。これら低分子有機膜は、真空蒸着の方法で形成できる。この時、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層、及び電子注入層は共通層であって、赤色、緑色、青色のピクセルに共通に適用できる。
【0083】
前記第1電極221はアノード電極の機能を行い、前記第2電極222はカソード電極の機能を行うことができるが、もちろん、これら第1電極221と第2電極222との極性は互いに逆になってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極221は透明電極になり、前記第2電極222は反射電極になりうる。前記第1電極221は、仕事関数の高いITO、IZO、ZnOまたはIn2O3などを含んで備えられうる。そして前記第2電極222は、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、LiまたはCaなどで形成できる。したがって、前記有機発光素子ELは、第1電極221の方向に画像を具現する背面発光型になる。
【0085】
しかし、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、前記第2電極222も透明電極で備えられてもよい。
【0086】
前記パッシベーション膜218、ゲート絶縁膜213、層間絶縁膜215及び画素定義膜219は、前述したように、外光に対する透過率を高めるために透明な絶縁膜で形成することが望ましい。
【0087】
前記第2電極222の上部には密封基板2が配置されうる。この密封基板2は外郭で、図3に示したように、別途の密封材24により基板1と接合されて、有機発光部21を外気に対して密封可能にする。密封基板2と第2電極222との間の空間には別途の充填材(図示せず)が充填され、吸湿剤も介在される。有機発光部21に対する密封構造は、必ずしも図8に示した密封基板2の使用に限定されるものではなく、図4で説明した密封フィルム23構造も適用できる。
【0088】
一方、本発明にあって、前記第2電極222及び画素定義膜219には、それぞれ第1透過窓224及び第2透過窓225がさらに形成できる。前記第1透過窓224は、前記第2電極222のうち、前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成でき、前記第2透過窓225は、前記画素定義膜219のうち、前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成できる。前記第1透過窓224及び第2透過窓225は、互いに連結されるように形成できる。
【0089】
前記第2透過窓225は、パッシベーション膜218、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも一つにさらに形成されてもよい。
【0090】
本発明はまた、必ずしも前記第1透過窓224と第2透過窓225とが共に存在すべきものではなく、2つのうちいずれか一つのみ存在するようにしてもよい。もちろん、この場合には、外光に対する透過率を高めるために、金属で形成する第2電極222に第1透過窓224のみ形成することが望ましい。
【0091】
図9は、本発明の有機発光部21の他の一実施形態で、互いに隣接する赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbを示す平面図である。
【0092】
各赤色ピクセルPr、緑色ピクセルPg及び青色ピクセルPbの第1領域31には回路領域311及び発光領域312が備えられるが、これら回路領域311と発光領域312とは互いに重なって配置される。図9に示す本発明の望ましい一実施形態によれば、前記発光領域312の面積は回路領域311のピクセル回路部PCの面積より大きくて、前記回路領域311のピクセル回路部PCは発光領域312に完全に遮蔽された状態になる。
【0093】
そして、第1領域31に隣接しては、外光を透過する第2領域32が配置される。前記第2領域32は、図9に示したように、各ピクセルPr、Pg、Pb別に独立して備えられる。しかし、本発明はこれに限定されず、図10に示したように、第2領域32が各ピクセルPr、Pg、Pbにかけて互いに連結されるように備えられてもよい。図10による実施形態の場合、外光が透過される第2領域32の面積が広くなる効果があるため、有機発光表示装置全体の透過率を高めることができる。
【0094】
図11は、図9または図10に示したピクセルPr、Pg、Pbのうち、いずれか一ピクセルの断面を示す図面である。
【0095】
図11に示したように、回路領域311には薄膜トランジスタTRが配置されるが、図面に示したように、必ずしも一つの薄膜トランジスタTRが配置されるのに限定されるものではなく、この薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCが備えられうる。このピクセル回路部PCには、薄膜トランジスタTR以外にも複数の薄膜トランジスタ及びストレージキャパシタがさらに備えられ、これらと連結されたスキャンライン、データライン及びVddラインなどの配線がさらに備えられる。
【0096】
一方、回路領域311と重畳して回路領域311を遮蔽するように形成された発光領域312には、発光素子である有機発光素子ELが配置される。この有機発光素子ELは、ピクセル回路部PCの薄膜トランジスタTRと電気的に連結されている。
【0097】
前記基板1上にはバッファ膜211が形成され、このバッファ膜211上に薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCが形成される。
【0098】
まず、前記バッファ膜211上には半導体活性層212が形成される。
【0099】
前記半導体活性層212は多結晶シリコンで形成できるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、酸化物半導体で形成できる。例えば、G−I−Z−O層[(In2O3)a(Ga2O3)b(ZnO)c層](a、b、cは、それぞれa≧0、b≧0、c>0の条件を満たす実数)でありうる。
【0100】
前記半導体活性層212を覆うように、透明な絶縁物としてゲート絶縁膜213がバッファ膜211上に形成され、ゲート絶縁膜213上にゲート電極214が形成される。
【0101】
ゲート電極214を覆うように、ゲート絶縁膜213上に透明な絶縁物として層間絶縁膜215が形成され、この層間絶縁膜215上にソース電極216及びドレイン電極217が形成されて、それぞれ半導体活性層212とコンタクトホールとを通じてコンタクトされる。
【0102】
前記のような薄膜トランジスタTRの構造は、必ずしもこれらに限定されるものではなく、多様な形態の薄膜トランジスタの構造が適用できるということはいうまでもない。
【0103】
これらの薄膜トランジスタTRを含むピクセル回路部PCを覆うように、パッシベーション膜218が形成される。前記パッシベーション膜218は、上面の平坦化した単一または複数層の絶縁膜になりうる。このパッシベーション膜218は、透明な無機絶縁物及び/または有機絶縁物で形成できる。前記パッシベーション膜218は、あらゆるピクセルにかけて連結されるように形成できる。
【0104】
前記パッシベーション膜218上には、図11に示すように、薄膜トランジスタTRを遮蔽するように有機発光素子ELの第1電極221が形成される。前記第1電極221は、あらゆるピクセル別に分離及び独立した島状に形成される。
【0105】
前記パッシベーション膜218上には、有機及び/または無機絶縁物で備えられた画素定義膜219が形成される。
【0106】
前記画素定義膜219は、前記第1電極221のエッジを覆い、中央部は露出させる。この画素定義膜219は第1領域31を覆うように備えられるが、必ずしも第1領域31全体を覆うように備えられるものではなく、少なくとも一部、特に、第1電極221のエッジを覆うようにすれば十分である。
【0107】
前記第1電極221上には、有機膜223と第2電極222とが順に積層される。前記第2電極222は、前記有機膜223と絶縁膜である画素定義膜219とを覆い、あらゆるピクセルにかけて互いに電気的に連結されている。第2電極は、全体第1領域と第2領域とにかけて形成されてもよい。
【0108】
前記第1電極221はアノード電極の機能を行い、前記第2電極222はカソード電極の機能を行うことができるが、もちろん、これら第1電極221と第2電極222との極性は、互いに逆になってもよい。
【0109】
前記第1電極221は、各ピクセルごとに第1領域31に対応するサイズで形成される。前記第2電極222は、有機発光部全体のあらゆるピクセルを覆うように共通電極で形成できる。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、前記第1電極221は反射電極になり、前記第2電極222は透明電極になる。したがって、前記有機発光部21は、第2電極222の方向に画像を具現する前面発光型になる。
【0111】
このために、前記第1電極221は、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Ca及びこれらの化合物で形成された反射膜と、仕事関数の高いITO、IZO、ZnO、またはIn2O3などで備えられる。そして、前記第2電極222は、仕事関数の小さな金属、すなわち、Ag、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Cr、Li、Caまたはこれらの合金などで形成できる。前記第2電極222は、透過率を高くするために薄膜で形成することが望ましい。
【0112】
このように第1電極221が反射電極で備えられる場合、その下部に配置されたピクセル回路部は第1電極221により遮蔽された状態になり、これにより、図11からみれば、第2電極222の上部外側からユーザは、第1電極221の下部の薄膜トランジスタと図示されていないキャパシタの各パターンとスキャンライン、データライン及びVddラインの一部を観察できなくなる。
【0113】
このように第1電極221が反射電極で備えられることで、発光した光が観察者側、すなわち、上部のみに発散するため、観察者の逆方向に消失する光量を低減させる。また、前述したように、第1電極221がその下部のピクセル回路の多様なパターンを遮蔽する役割を行うため、観察者がさらに鮮明な透過イメージを見ることができる。
【0114】
前記パッシベーション膜218、ゲート絶縁膜213、層間絶縁膜215及び画素定義膜219は、前述したように、外光に対する透過率を高めるために透明な絶縁膜で形成することが望ましい。
【0115】
一方、本発明において、前記第2電極222及び画素定義膜219には、それぞれ第1透過窓224及び第2透過窓225がさらに形成される。前記第1透過窓224は、前記第2電極222のうち前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成でき、前記第2透過窓225は、前記画素定義膜219のうち前記第2領域32に対応する位置の部分を除去して形成できる。前記第1透過窓224及び第2透過窓225は、互いに連結されるように形成できる。
【0116】
しかし、本発明は必ずしもこれらに限定されるものではなく、パッシベーション膜218、層間絶縁膜215、ゲート絶縁膜213及びバッファ膜211のうち少なくとも一つに、画素定義膜219に形成された第2透過窓225と連結された開口部または透過窓をさらに形成して、第2領域32における光透過率をさらに高めることができる。
【0117】
図12及び図13は、本発明の一実施形態による反射防止膜4を示す平面図である。
【0118】
図12は、図6及び図9に対応して第2領域32がピクセル別に独立して形成された、有機発光表示装置に含まれる反射防止膜4を示す図面である。一方、図12は、図6及び図9に示したピクセルセットが4つ合わせられた形態を示すものである。図12を参照すれば、透過部42は、第2領域32に対応するように、隣接する他の透過部42と互いに独立して形成されたことを特徴とする。
【0119】
図13は、図7及び図10に対応して互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域32がお互い連結されて形成された有機発光表示装置に含まれる反射防止膜4を示す図面である。一方、図13は、図7及び図10に示したピクセルセットが4つ合わせられた形態を示す図面である。図13を参照すれば、透過部42は、第2領域32に対応するように、隣接する他の透過部42と互いに連結されるように形成されたことを特徴とする。
【0120】
本発明は、添付した図面に図示された一実施形態を参考までに説明したが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これより多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の保護範囲は、特許請求の範囲のみにより定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本発明は、有機発光表示装置関連の技術分野に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0122】
1 基板、
2 密封基板、
11 第1面、
12 第2面、
21 有機発光部、
23 密封フィルム、
24 密封材、
25 空間、
31 第1領域、
32 第2領域、
4 反射防止膜、
47 円偏光フィルタ、
45 直線偏光膜、
43 位相差膜、
41 反射防止部、
42 透過部、
211 バッファ膜、
221 第1電極、
222 第2電極、
223 有機膜、
224 第1透過窓、
225 第2透過窓、
311 回路領域、
312 発光領域、
TR 薄膜トランジスタ、
PC ピクセル回路部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、
前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、
前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、
前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、
前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、
前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、
前記基板の第1面と対向する密封部材と、
前記基板の第2面に位置している反射防止膜と、
を備え、
前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置。
【請求項2】
前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える請求項1または請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第2電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域及び前記回路領域は互いに隣接して配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに連結され、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
基板と、
前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の逆の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、
前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、
前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成されて前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、
前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、
前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、
前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、
前記基板の第1面と対向する密封部材と、
前記密封基板の外面に位置している反射防止膜と、
を備え、
前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置。
【請求項13】
前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える請求項12または請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記第1電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域は、前記回路領域を遮蔽できるように前記回路領域と重なって配置されることを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は互いに連結され、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする請求項12〜20のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項22】
前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする請求項21に記載の有機発光表示装置。
【請求項1】
基板と、
前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、
前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、
前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成され、前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、
前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、
前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、
前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、
前記基板の第1面と対向する密封部材と、
前記基板の第2面に位置している反射防止膜と、
を備え、
前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置。
【請求項2】
前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項3】
前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える請求項1に記載の有機発光表示装置。
【請求項4】
前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える請求項1または請求項2に記載の有機発光表示装置。
【請求項5】
前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項6】
前記第2電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の有機発光表示装置。
【請求項7】
前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域及び前記回路領域は互いに隣接して配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項8】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項9】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに連結され、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項10】
前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項11】
前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする請求項10に記載の有機発光表示装置。
【請求項12】
基板と、
前記基板の第1面上に形成され、それぞれ前記基板の逆の方向に発光する第1領域と、外光が透過される第2領域とを持つ複数のピクセルと、
前記各ピクセルの第1領域に配置され、それぞれ少なくとも一つの薄膜トランジスタを備える複数のピクセル回路部と、
前記ピクセル回路部を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成されて前記各ピクセルの第1領域に互いに独立して配置され、前記各ピクセル回路部と電気的に連結された複数の第1電極と、
前記第1電極の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、
前記第1電極に対向して前記あらゆるピクセルにかけて連結されるように備えられ、前記各ピクセルで少なくとも前記第1領域に形成された第2電極と、
前記第1電極と第2電極との間に介在された有機膜と、
前記基板の第1面と対向する密封部材と、
前記密封基板の外面に位置している反射防止膜と、
を備え、
前記反射防止膜は、前記第1領域に対応する反射防止部及び前記第2領域に対応する透過部を備える有機発光表示装置。
【請求項13】
前記反射防止部は、直線偏光膜及び位相差膜を備えることを特徴とする請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項14】
前記反射防止部は、円偏光フィルタを備える請求項12に記載の有機発光表示装置。
【請求項15】
前記透過部は、直線偏光膜または位相差膜のうちいずれか一つのみを備える請求項12または請求項13に記載の有機発光表示装置。
【請求項16】
前記透過部は、穴のあいていることを特徴とする請求項12〜14のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項17】
前記第1電極は、光反射電極で備えられたことを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項18】
前記各ピクセルの第1領域は発光領域及び回路領域を備え、前記ピクセル回路部は前記回路領域に配置され、前記第1電極は前記発光領域に配置され、前記各ピクセルの前記発光領域は、前記回路領域を遮蔽できるように前記回路領域と重なって配置されることを特徴とする請求項12〜17のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項19】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は、互いに独立しており、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに独立していることを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項20】
互いに隣接する少なくとも2つのピクセルの第2領域は互いに連結され、
前記透過部は、互いに隣接する他の透過部と互いに連結されることを特徴とする請求項12〜18のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項21】
前記第2電極は、前記各第2領域に対応する位置に複数の第1透過窓を備えることを特徴とする請求項12〜20のいずれか一項に記載の有機発光表示装置。
【請求項22】
前記第2絶縁膜は、前記第1透過窓と連結された複数の第2透過窓を備えることを特徴とする請求項21に記載の有機発光表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−234798(P2012−234798A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−52076(P2012−52076)
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]