説明

有機発光装置及びその製造方法

【課題】有機発光装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】有機発光部が形成された素子基板と封止基板との間に備わった充填材;有機発光部と充填材との間に介在され、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質からなる有機保護層を具備した有機発光装置及びその製造方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光装置及びその製造方法に係り、さらに具体的には、有機発光部が形成された素子基板と封止基板との間に備わった充填材、及び前記有機発光部と前記充填材との間に介在され、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質からなる有機保護層を具備した有機発光装置並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光装置は、自発光型素子である有機発光素子(organic light emitting diode)を少なくとも一つ含む。前記有機発光素子は、1対の電極及び前記1対の電極間に介在された有機層を具備し、軽量であり、部品が簡素であって、製作工程が簡単である構造を有しており、高画質の上に広視野角を確保することができる。また、高色純度を提供し、かつ動映像を完璧に具現でき、低消費電力、低電圧駆動であって、携帯用電子機器に適した電気的特性を有しており、このような有機発光素子を具備した有機発光装置は、携帯が可能な薄型の平板表示装置などに有用に使われうる。
【0003】
前記有機発光素子は、電極として使われるITO(indium tin oxide)からの酸素による発光層の劣化、発光層と界面との反応による劣化など、内的要因による劣化があると共に、外部の水分、酸素、紫外線及び素子の製作条件など、外的要因によっても容易に劣化しうる。特に、素子外部の酸素と水分は、有機発光素子の寿命に致命的な影響を与えるので、有機発光装置の製作時に、有機発光素子のパッケージングが非常に重要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、有機発光部が形成された素子基板と封止基板との間に充填材を介在させるが、前記充填材によって有機発光部が損傷されない有機発光装置並びにその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、素子基板と、前記素子基板上に配され、1対の電極と、前記1対の電極間に介在された有機層とを含んだ有機発光素子を一つ以上含んだ有機発光部と、前記有機発光部上部に配される封止基板と、前記素子基板と前記封止基板とを接合させるシーラントと、前記素子基板と前記封止基板との間に備わった充填材と、前記有機発光部と前記充填材との間に介在され、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質からなる有機保護層とを具備した有機発光装置が提供される。
【0006】
また、素子基板の一面に1対の電極と、前記1対の電極間の有機層とを具備した有機発光素子を一つ以上含んだ有機発光部を形成する段階と、前記有機発光部上部に一つ以上の熱蒸着可能な有機物質を熱蒸着させ、有機保護層を形成する段階と、封止基板を準備する段階と、前記有機発光部と前記保護層とが備わった素子基板と、前記封止基板とのうち、一つ以上に充填材とシーラントとを提供する段階と、前記素子基板と前記封止基板とを接合させる段階とを含む有機発光装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の有機発光装置は、有機発光部が備わった素子基板と封止基板との間に充填材;前記有機発光部と前記充填材との間に一つ以上の熱蒸着可能な有機物質からなる有機保護層を具備し、前記有機保護層によって、前記充填材による有機発光部の損傷が防止され、長寿命を有する有機発光装置を得ることができる。また、前記有機保護層は、熱蒸着法によって形成されうるので、有機発光部の有機層の形成時に使用した物質及び装備を利用でき、有機発光装置の製造コストが節減されうる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一具現例による有機発光装置を概略的に図示した断面図である。
【図2】本発明の一具現例による有機発光装置を概略的に図示した断面図である。
【図3A】本発明の一具現例による有機発光装置の製造方法について順次に説明した図面である。
【図3B】本発明の一具現例による有機発光装置の製造方法について順次に説明した図面である。
【図3C】本発明の一具現例による有機発光装置の製造方法について順次に説明した図面である。
【図3D】本発明の一具現例による有機発光装置の製造方法について順次に説明した図面である。
【図4A】本発明の一具現例による有機発光装置の発光写真である。
【図4B】従来の有機発光装置の発光写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施例について詳細に説明すれば、次の通りである。
【0010】
図1は、本発明の一実施例による有機発光装置を概略的に図示した断面図である。
【0011】
図1の有機発光装置は、素子基板100、前記素子基板上に配された有機発光部200、前記有機発光部200の上部に配された封止基板300、前記素子基板100と前記封止基板300とを接合させるシーラント410、前記素子基板100と前記封止基板300との間に備わった充填材430、及び前記有機発光部200と前記充填材430との間に介在された有機保護層450を具備する。
【0012】
前記素子基板100は、SiOを主成分とする透明なガラス材質の無機物からなるか、あるいは透明なプラスチック材料の絶縁性有機物からなりうる。前記絶縁性有機物は、例えば、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリレート(PAR)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリアリレート(polyallylate)、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、三酢酸セルロース(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)からなるグループから選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0013】
図1の有機発光装置が、有機発光部200から放出された光が素子基板100側に具現される背面発光型装置である場合に、素子基板100は、透明な材質によって形成しなければならない。しかし、有機発光部200から放出された光が素子基板100の反対側に具現される前面発光型装置である場合に、素子基板100は、必ずしも透明な材質によって形成する必要はない。その場合、金属で素子基板100を形成できる。金属で素子基板100を形成する場合、素子基板100は、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ステンレススチール(SUS)、Invar(登録商標)合金、Inconel(登録商標)合金及びKovar(登録商標)合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができ、さらに炭素によっても形成可能であるが、それらに限定されるものではない。基板100は、金属ホイルによって形成可能である。
【0014】
たとえ図1には図示されていないにしても、素子基板100の上面には、素子基板100の平滑性と不純元素の浸透の遮断とのために、バッファ層がさらに備わることもできる。
【0015】
有機発光部200は、一つ以上の有機発光素子を含むことができる。前記有機発光素子は、第1電極及び第2電極を含んだ1対の電極と、前記1対の電極間に介在された有機層とを含む。
【0016】
前記有機発光素子の有機層は、正孔注入層(HIL)、正孔輸送層(HTL)、発光層(EML)、正孔阻止層(HBL)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)のうち、一層以上を含むことができる。
【0017】
前記第1電極は、素子基板100の上部に形成され、正孔注入電極であるアノードでありうる。このとき、前記第1電極は、大きい仕事関数を有する物質を利用し、蒸着法またはスパッタリング法などによって形成されうる。前記第1電極をなす物質は、透過型電極または反射型電極として備わりうる。透過型電極として備わるときには、ITO(indium tin oxide)、IZO(indium zinc oxide)、ZnOまたはInを利用でき、反射型電極として備わるときにはAg、Mg、Al、Pt、Pd、Au、Ni、Nd、Ir、Crまたはそれらの組み合わせによって形成された反射膜と、その上にITO、IZO、ZnOまたはInによって形成された膜とを具備できるなど、多様な変形が可能である。
【0018】
正孔注入層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB(Langmuir Blodgett)法のような公知の多様な方法のうち、任意に選択された方法によって形成されうる。このとき、真空蒸着法を選択する場合、蒸着条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、一般的に、蒸着温度100ないし500℃、真空度10−10ないし10−3torr、蒸着速度0.01ないし100Å/secの範囲で適切に選択できる。一方、スピンコーティング法を選択する場合、コーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性によって異なるが、約2,000rpmないし5,000rpmのコーティング速度、コーティング後の溶媒除去のための熱処理温度としては、約80℃ないし200℃の温度範囲で適切に選択することが望ましい。
【0019】
正孔注入層物質としては、公知の正孔注入材料を使用できるが、例えば、銅フタロシアニンなどのフタロシアニン化合物、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン(NPB)、TDATA、2T−NATA、ポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸(Pani/DBSA)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PEDOT/PSS)、ポリアニリン/カンファースルホン酸(Pani/CSA)、またはポリアニリン/ポリ(4−スチレンスルホネート)(PANI/PSS)などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
【化1】

【0021】
前記正孔注入層の厚さは、約10Åないし10,000Å、望ましくは100Åないし1,000Åでありうる。前記正孔注入層の厚さが10Å未満である場合、正孔注入特性が低下し、前記正孔注入層の厚さが10,000Åを超える場合、駆動電圧が上昇しうるのである。
【0022】
前記正孔輸送層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうち、任意に選択された方法によって形成されうる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0023】
正孔輸送層物質は、公知の正孔輸送材料を利用して形成できるが、例えば、N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾールのようなカルバゾール誘導体;N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)のような芳香族縮合環を有するアミン誘導体;4,4′,4″−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)のようなトリフェニルアミン系物質のような公知の正孔輸送物質を使用できる。このうち、例えば、TCTAの場合、正孔輸送の役割以外にも、発光層からのエキシトン(励起子)拡散を防止する役割も行うことが可能である。
【0024】
【化2】

【0025】
前記正孔輸送層の厚さは、約50Åないし1,000Å、望ましくは100Åないし600Åでありうる。前記正孔輸送層の厚さが50Å未満である場合、正孔輸送の特性が低下し、前記正孔輸送層の厚さが1,000Åを超える場合、駆動電圧が上昇しうるのである。
【0026】
前記発光層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうち、任意に選択された方法によって形成されうる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0027】
前記発光層は、単一発光材料からなり、ホスト及びドーパントを含むこともできる。
【0028】
前記ホストの例としては、トリス(8−キノラト)アルミニウム(Alq3)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、ポリ(n−ビニルカルバゾール)(PVK)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、TCTA、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3などを使用できるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
【化3】

【0030】
一方、公知の赤色ドーパントとして、PtOEP、Ir(piq)、BtpIr(acac)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
【化4】

【0032】
また、公知の緑色ドーパントとして、Ir(ppy)(ppy=フェニルピリジン)、Ir(ppy)(acac)、Ir(mpyp)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
【化5】

【0034】
一方、公知の青色ドーパントとして、FIrpic、(Fppy)Ir(tmd)、Ir(dfppz)、ter−フルオレン、4,4′−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)などを利用できるが、これらに限定されるものではない。
【0035】
【化6】

【0036】
前記発光層の厚さは、約100Åないし1,000Å、望ましくは100Åないし600Åでありうる。前記発光層の厚さが100Å未満である場合、発光特性が低下し、前記発光層の厚さが1,000Åを超える場合、駆動電圧が上昇しうるのである。
【0037】
正孔阻止層は、発光層の三重項励起子または正孔がカソードなどに拡散する現象を防止する役割を果たすものであり、発光層上部にさらに形成され、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうち、任意に選択された方法によって形成されうる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0038】
前記正孔阻止の材料は、公知の正孔阻止材料のうちから任意に選択されうる。例えば、オキサジアゾール誘導体やトリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などを使用できる。
【0039】
前記正孔阻止層の厚さは、約50Åないし1,000Å、望ましくは100Åないし300Åでありうる。前記正孔阻止層の厚さが50Å未満である場合、正孔阻止特性が低下し、前記正孔阻止層の厚さが1,000Åを超える場合、駆動電圧が上昇しうるのである。
【0040】
前記電子輸送層は、真空蒸着法、スピンコーティング法、キャスト法、LB法のような公知の多様な方法のうち、任意に選択された方法によって発光層または正孔阻止層の上部に形成されうる。このとき、蒸着条件及びコーティング条件は、目的化合物、目的とする層の構造及び熱的特性などによって異なるが、前述のような正孔注入層形成のための条件と類似した範囲内で選択される。
【0041】
前記電子輸送層の物質としては、公知の電子輸送材料を使用できるが、例えば、Alq3、TAZ、TPQ1、TPQ2、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)、BCP、BeBq2、BAlqのような公知の材料を使用することもできる。
【0042】
【化7】

【0043】
前記電子輸送層の厚さは、約100Åないし1,000Å、望ましくは200Åないし500Åでありうる。前記電子輸送層の厚さが100Å未満である場合、電子輸送特性が低下し、前記電子輸送層の厚さが1,000Åを超える場合、駆動電圧が上昇しうるのである。このうち、例えば、BPhenは、正孔阻止特性も同時に有する物質である。
【0044】
前記電子輸送層の上部には、電子注入層が形成されるが、前記電子注入層の形成材料としては、公知の電子注入材料であるLiF、NaCl、CsF、LiO、BaOなどが使われ、前記電子注入層の蒸着条件は、使用する化合物によって異なるが、一般的に、正孔注入層の形成とほぼ同じ条件範囲中から選択される。
【0045】
前記電子注入層の厚さは、約1Åないし100Å、望ましくは5Åないし50Åでありうる。前記電子注入層の厚さが前述のような範囲を満足する場合、実質的な駆動電圧の低下なしに、満足すべき電子注入特性を得ることができる。
【0046】
第2電極は、カソード(電子注入電極)であって、相対的に小さい仕事関数を有する金属、合金、電気伝導性化合物及びそれらの組み合わせを使用できる。具体的な例としてはリチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、アルミニウム−リチウム(Al−Li)、カルシウム(Ca)、マグネシウム−インジウム(Mg−In)、マグネシウム−銀(Mg−Ag)などを挙げることができる。また前面発光素子を得るために、ITO、IZOを使用した透過型カソードを使用することもできる。
【0047】
再び、図1を参照して、有機発光部200が備わった素子基板100の上部には、封止基板300が配されている。前記封止基板300は、シーラント410によって前記素子基板100と合着されている。前記封止基板300もやはり、ガラス材基板だけではなく、アクリルのような多様なプラスチック材基板を使用することができ、さらに金属板を使用することもできる。
【0048】
前記素子基板100と封止基板300は、シーラント410によって合着される。前記シーラント410の材料としては、熱硬化性樹脂またはUV(ultraviolet)硬化性樹脂(具体的に、エポキシ樹脂)のような有機物、またはシーリングガラスフリット(sealing glass frit)のような無機物を使用できる。
【0049】
前記素子基板100と前記封止基板300との間には、充填材430が備わっている。具体的に、前記充填材430は、前記素子基板100と封止基板300との間の空間を充填するように備わり、有機発光部200の内部に、酸素及び/または水分が浸透することを防止する役割を行う。前記充填材430は、公知の充填材のうちから任意に選択されうるが、例えば、ウレタン系樹脂、メタクリレート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリイソプレン、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂及びセルロース系樹脂からなる群から選択された有機充填材であるか、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウムのような金属及び金属酸化物に基づいた無機充填材であるか、有機/無機の複合充填剤でありうる。
【0050】
前記ウレタン系樹脂としては、ウレタンアクリレートなどを利用でき、前記メタクリレート系樹脂としては、プロピレングリコールメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレートなどを利用でき、アクリル系樹脂としては、ブチルアクリレート、エチルヘキシルアクリレートなどを利用でき、ビニル系樹脂としては、ビニルアセテート、N−ビニルピロリドンなどを利用でき、エポキシ樹脂としては、例えば、脂環式エポキシ化合物などを利用でき、セルロース系樹脂としては、例えば、硝酸セルロースなどを利用できるが、これに限定されるものではない。
【0051】
一方、前記充填材430が無機充填剤である場合、これは、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、チタニア、シリコン酸化物、ジルコニア、アルミナ及びそれらの前駆体からなる群から選択された一つ以上を使用できる。望ましくは、前記充填材430は、シリコン系ゲルでありうるが、これに限定されるものではない。
【0052】
また、有機/無機の複合充填材としては、シリコン、アルミニウム、チタン、ジルコニウムのような金属及び非金属と有機部分とが共有結合で連結されている物質を使用できる。例えば、前記有機/無機の複合充填材は、エポキシシランまたはその誘導体、ビニルシランまたはその誘導体、アミンシランまたはその誘導体、メタクリレートシラン、またはそれらの部分硬化反応結果物からなる群から選択された一つ以上でありうる。エポキシシランまたはその誘導体の具体的な例として、3−グリシドキシプロピルトリメチルオキシシランまたはその重合体を挙げることができる。ビニルシランまたはその誘導体の具体的な例としては、ビニルトリエトキシシランまたはその重合体を挙げることができる。また、アミンシランまたはその誘導体の具体的な例としては、3−アミノプロピルトリメチルオキシシラン及びその重合体を挙げることができ、メタクリレートシランまたはその誘導体の具体的な例としては、3−トリ(メチルオキシシリル)プロピルアクリレート及びその重合体などを挙げることができる。
【0053】
前述のような充填材430は、素子基板100と封止基板300との間に介在されるが、充填材430として、蒸気圧の低い物質を選択する場合、有機発光装置の製作及び/または駆動中に、充填材430の脱ガスが起こりうる。これによって発生したガスは、有機発光部200を損傷させることがある。また、前記充填材430自体が極微量ではあるが、溶媒を含むことがあるが、前記溶媒もまた、有機発光部200と接触(すなわち、有機発光素子のカソード)して有機発光部200を損傷させることがある。一方、前記充填材430自体が有機発光部200と少しではあるが反応性がある場合、やはり充填材430による有機発光部200の損傷が可能である。
【0054】
このような充填材430による有機発光部200の損傷を防止するために、前記有機発光部200と前記充填材430との間には、有機保護層450が介在される。ここで、前記有機保護層450は、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質からなっている。すなわち、前記有機保護層450は、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質を、有機発光部200の上部に蒸着させて形成された層でありうる。
【0055】
本明細書において、「熱蒸着可能な有機物質」とは、熱蒸着法によって成膜可能であり、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール(aryl)基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基などのように、化学分野の当業者に一般的に周知の有機部分を一つ以上有する物質を指す。
【0056】
前記熱蒸着可能な有機物質は、10−10torrないし10−3torrの真空度及び100℃ないし500℃の温度範囲で昇華可能な物質でありうる。例えば、前記熱蒸着可能な有機物質は、例えば、10−8torrないし10−3torrの真空度及び200℃ないし400℃の温度範囲で昇華可能な物質であるが、これらに限定されるものではない。本発明の一具現例によれば、前記熱蒸着可能な有機物質は、10−7torrの真空度で300℃条件で昇華可能な物質でありうる。
【0057】
本発明による一具現例で、前述のような熱蒸着可能な有機物質の真空度及び昇華温度範囲の条件は、有機発光部200に含まれた一つ以上の有機発光素子に備わった有機層を、熱蒸着法で形成するとき使われうる真空度及び昇華温度範囲の条件と一部以上重複するものでありうる。従って、例えば、前記熱蒸着可能な有機物質は、一般的な有機発光素子の有機層に使われうる物質のうちから選択されうる。
【0058】
本発明による他の一具現例で、前記熱蒸着可能な有機物質は、前記有機発光部200に含まれた一つ以上の有機発光素子に備わった有機層に含まれた複数の物質のうち、一つを含むことができる。
【0059】
例えば、前記有機発光部200の一つ以上の有機発光素子の有機層が正孔注入層を含む場合、前記有機保護層は、前記正孔注入層の物質を含んでなりうる。
【0060】
また、前記有機発光部200の一つ以上の有機発光素子の有機層が正孔輸送層を含む場合、前記有機保護層は、前記正孔輸送層物質を含むことができる。
【0061】
また、前記有機発光部200の一つ以上の有機発光素子の有機層が発光層を含む場合、前記有機保護層は、前記発光層物質を含むことができる。
【0062】
また、前記有機発光部200の一つ以上の有機発光素子の有機層が正孔阻止層を含む場合、前記有機保護層は、前記正孔阻止層材料からなりうる。
【0063】
また、前記有機発光部200の一つ以上の有機発光素子の有機層が電子輸送層を含む場合、前記有機保護層は、前記電子輸送層材料からなりうる。
【0064】
また、前記有機発光部200の一つ以上の有機発光素子の有機層が電子注入層を含む場合、前記有機保護層は、前記電子注入層材料からなりうる。
【0065】
これとは別途に、前記有機保護層450は、有機発光部200の一つ以上の有機発光素子の有機層に含まれた物質とは異なるが、前述のような真空度での昇華温度の範囲を満足し、熱蒸着法で成膜可能な熱蒸着性物質を含むこともできる。
【0066】
ここで、金属錯体の形態を有する物質は、前記有機保護層450に含まれた熱蒸着可能な有機物質から除外されうる。例えば、金属錯体形態のリン光ドーパント、金属錯体形態の電子輸送材料(例えば、Alq3など)は、前記熱蒸着可能な有機物質から除外されうる。これは、前記金属錯体中の金属物質は充填材物質と反応でき、有機保護層としての役割を行えないためである。そればかりではなく、充填材物質は、充填後に熱工程あるいはUV工程により硬化がなされうるが、金属錯体と反応した充填材物質は、硬化がなされない。また、充填材物質の硬化開始剤は、ほとんど金属触媒からなりうるが、前記金属触媒は、金属錯体の他の金属と反応が可能であるために、充填材物質の硬化を妨害しうる。
本発明による一具現例で、前記有機保護層は、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン(NPB)、TDATA、2T−NATA、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、4,4′,4″−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3、ter−フルオレン、4,4′−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)、TAZ、TPQ1、TPQ2、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)及びBCPからなる群から選択された物質を含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0067】
前記有機保護層450の厚さは、200Åないし1,200Å、望ましくは、400Åないし1,000Åでありうる。前記範囲を満足する場合、平坦でありつつも充填材430による有機発光部200の損傷を効果的に防止できる層を得ることができる。
【0068】
前記有機保護層430は、1種の熱蒸着可能な物質からなったり、互いに異なる二種以上の熱蒸着可能な物質が混合された単一層であったり、互いに異なる二種以上の熱蒸着可能な物質からなる二層以上の層からなる多層構造を有することができるなど、多様な変形が可能である。
【0069】
前記充填材430を、素子基板100と封止基板300との間の空間を充填するように具備することによって、外部酸素及び/または水分による有機発光部200の損傷を最小化できる。
【0070】
また、前記有機保護層450を前記有機発光部200を覆うように形成することによって、充填材430による有機発光部200の損傷を最小化できる。
【0071】
図2は、図1の有機発光装置の一部を概略的に図示する断面図であり、有機発光部200の具体的な構成を例示的に図示している。
【0072】
図2を参照すれば、素子基板100上に、複数個の薄膜トランジスタ220が備わっており、この薄膜トランジスタ220の上部には、複数個の有機発光素子230が備わっている。有機発光素子230は、薄膜トランジスタ220に電気的に連結された画素電極231と、素子基板100の全面にわたって配された対向電極235と、画素電極231と対向電極235との間に配された有機層233とを具備する。
【0073】
素子基板100上には、ゲート電極221、ソース電極及びドレイン電極223、半導体層227、ゲート絶縁膜213及び層間絶縁膜215を具備した薄膜トランジスタ220が備わっている。もちろん、薄膜トランジスタ220もまた、図2に図示された形態に限定されるものではなく、半導体層227が有機物で備わった有機薄膜トランジスタ、シリコンで備わったシリコン薄膜トランジスタなど、多様な薄膜トランジスタが利用されうる。この薄膜トランジスタ220と素子基板100との間には、必要によってシリコン酸化物またはシリコン窒化物などから形成されたバッファ層211がさらに備わりうる。
【0074】
有機発光素子230は、相互対向した画素電極231及び対向電極235と、それら電極間に介在された有機層233とを具備する。画素電極231は、アノード電極の機能を行い、対向電極235は、カソード電極の機能を行う。もちろん、この画素電極231と対向電極235との極性は、反対にもなりうる。
【0075】
一方、画素定義膜(PDL:pixel defining layer)219が画素電極231のエッジを覆い、画素電極231の外側に厚みを有するように備わる。この画素定義膜219は、発光領域を定義する役割以外に、画素電極231のエッジと対向電極235との間の間隔を広げ、画素電極231のエッジ部分で電界が集中する現象を防止することによって、画素電極231と対向電極235との短絡を防止する役割を行う。
【0076】
画素電極231と対向電極235との間には、有機層233が備わっている。前記有機層233に係わる詳細な説明は、前述のところを参照する。
【0077】
このような有機発光素子230は、その下部の薄膜トランジスタ220に電気的に連結されるが、このとき、薄膜トランジスタ220を覆う平坦化膜217が備わる場合、有機発光素子230は、平坦化膜217上に配され、有機発光素子230の画素電極231は、平坦化膜217に備わったコンタクトホールを介して薄膜トランジスタ220に電気的に連結される。
【0078】
一方、有機発光素子230は、封止基板300によって密封される。封止基板300は、前述のように、ガラスまたはプラスチック材などの多様な材料によって形成されうる。
【0079】
一方、有機発光素子230と封止基板300との間には、充填材430が備わり、有機発光素子230と封止基板300との間の空間を充填する。
【0080】
有機発光素子230と充填材430との間には、有機保護層450が備わっている。前記有機保護層450は、充填材430による有機発光素子230の損傷を防止する役割を行い、これについての詳細な説明は、前述のところ参照する。
【0081】
前述のような有機発光装置の製造方法は、素子基板の一面に1対の電極と、前記1対の電極間の有機層とを具備した有機発光素子を一つ以上含んだ有機発光部を形成する段階、前記有機発光部の上部に、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質を熱蒸着させ、有機保護層を形成する段階、封止基板を準備する段階、前記有機発光部と前記保護層とが備わった素子基板と、前記封止基板とのうち、一つ以上に充填材とシーラントとを提供する段階、及び前記素子基板と前記封止基板とを接合させる段階を含むことができる。
【0082】
図3Aないし図3Dは、本発明の一具現例による有機発光装置の製造方法を順に図示した図面である。
【0083】
まず、図3Aに図示されているように、素子基板100上部に、有機発光部200を形成する。
【0084】
その後、図3Bに図示されているように、有機発光部200上部に、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質を熱蒸着させ、有機保護層450を形成する。前記熱蒸着可能な有機物質についての詳細な説明は、前述のところを参照する。
【0085】
前記有機保護層450は、熱蒸着法によって形成されるので、有機保護層450の形成時に、有機発光部200を損傷させずに、工程時間などが節減されうる。
【0086】
充填材430による有機発光部200の損傷は、必然的に発生せざるを得ないので、有機発光部200上部の保護層の形成は、必須な工程である。しかし、有機発光部200上部に、無機物からなる無機保護層を形成するためには、強いエネルギーを有するプラズマ発生を伴う化学気相蒸着法(CVD)またはスパッタリング法を利用せねばならないなので、このような無機保護層の形成時に、むしろ有機発光部200の損傷が伴いうる。これを防止するために、無機保護層の形成時に、CVD法またはスパッタリング法のエネルギーを弱く調節する場合には、工程上タックタイム(tack time)が長くならざるを得ず、工程コスト上昇の原因になりうる。一方、有機保護層をアクリル系樹脂のような硬化性物質を利用し、コーティング法で形成する場合、成膜のためのコーティング及び熱処理のような工程が伴われねばならないので、これもまた、有機発光装置の製造コスト上昇の原因になりうる。
【0087】
しかし、有機保護層450を熱蒸着可能な物質を利用した熱蒸着法で使用する場合、前述のような問題点が解消されうるだけではなく、有機保護層450の材料として、有機発光部200に含まれた一つ以上の有機発光素子に使われた有機層物質を使用し、前記有機層形成時に使用した蒸着チャンバをそのまま利用できるなど、工程上の利点もさらに得られ、有機発光部200の損傷防止及び工程コスト節減のいずれでも利点を得ることができる。
【0088】
その次に、図3Cに図示されているように、封止基板300を準備し、その上部に充填材430及びシーラント形成用物質410′を提供する。
【0089】
その後、図3Bで設けられた素子基板100と、図3Cで設けられた封止基板300を、素子基板100と封止基板300との間に有機発光部200が配されるように配列し、シーラント410によって、素子基板100と封止基板300が合着されるようにする。これにより、有機発光部200が密封されうる。ここで、シーラント形成用物質410’がUV硬化処理されたり、または熱処理されることにより、シーラントに転換しつつ、素子基板100と封止基板300とが合着されうる。
【0090】
図4Aは、本発明による有機発光装置の一実施例の発光を観察した写真である。前記有機発光装置は、ガラス基板上部に、第1電極、有機層及び第2電極を具備した有機発光素子を形成した後、前記有機発光素子を覆うように10−7torr、300℃条件で、NPBを熱蒸着させ、700Å厚の有機保護層を形成した後、封止基板として、無アルカリ基板を準備し、前記封止基板上部に、充填材としてシリコン系ゲルとエポキシ樹脂とを提供し、前記素子基板と前記封止基板とを合着させた後、前記エポキシ樹脂をUV硬化させて製作されたものである。
【0091】
一方、図4Bは、前記有機発光装置の製造方法のうち、有機保護層を形成しなかったという点を除いては、前記有機発光装置の製造方法と同じ方法で製造した有機発光装置の発光を観察した写真である。
【0092】
図4A及び図4Bの発光写真は、前述のような有機発光装置を、85℃条件下で24時間駆動させた後で発光を観察したものである。図4A及び図4Bによれば、本発明の一具現例による有機発光装置は、駆動後にも暗点などの発生なしに優秀な発光状態を維持することが分かり、長寿命を有していることが分かる。
【0093】
本発明は、図面に図示された実施例を参考に説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当技術分野で当業者ならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施例が可能であるという点を理解することができるであろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決まるのである。
【符号の説明】
【0094】
100 素子基板
200 有機発光部
211 バッファ層
213 ゲート絶縁膜
215 層間絶縁膜
217 平坦化膜
219 画素定義膜
220 薄膜トランジスタ
221 ゲート電極
223 ソース及びドレイン電極
227 半導体層
230 有機発光素子
231 画素電極
233 有機層
235 対向電極
300 封止基板
410 シーラント
410’ シーラント形成用物質
430 充填材
450 有機保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
素子基板と、
前記素子基板上に配され、1対の電極と、前記1対の電極間に介在された有機層とを含んだ有機発光素子を一つ以上含んだ有機発光部と、
前記有機発光部上部に配される封止基板と、
前記素子基板と前記封止基板とを接合させるシーラントと、
前記素子基板と前記封止基板との間に備わった充填材と、
前記有機発光部と前記充填材との間に介在され、一つ以上の熱蒸着可能な有機物質からなる有機保護層とを具備した有機発光装置。
【請求項2】
前記熱蒸着可能な有機物質が、10−10torrないし10−3torrの真空度及び100℃ないし500℃の温度範囲で昇華可能な物質であることを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項3】
前記熱蒸着可能な有機物質が、前記有機発光素子の有機層に含まれた複数の物質のうち、一つを含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項4】
前記有機発光素子の有機層が正孔注入層を含み、前記有機保護層が前記正孔注入層物質を含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項5】
前記有機発光素子の有機層が正孔輸送層を含み、前記有機保護層が前記正孔輸送層物質を含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項6】
前記有機発光素子の有機層が発光層を含み、前記有機保護層が前記発光層物質を含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項7】
前記有機発光素子の有機層が正孔阻止層を含み、前記有機保護層が前記正孔阻止層物質を含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項8】
前記有機発光素子の有機層が電子輸送層を含み、前記有機保護層が前記電子輸送層物質を含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項9】
前記有機発光素子の有機層が電子注入層を含み、前記有機保護層が前記電子注入層物質を含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項10】
前記有機保護層が、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン(NPB)、TDATA、2T−NATA、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、4,4′,4″−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3、ter−フルオレン、4,4′−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)、TAZ、TPQ1、TPQ2、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)及びBCPからなる群から選択された物質を含んだことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項11】
前記有機保護層の厚さが200Åないし1,200Åであることを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項12】
前記充填材は、前記素子基板と前記封止基板との間の空間を充填するように備わることを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項13】
前記有機保護層は、前記有機発光部を覆うように備わり、前記充填材は、前記有機保護層を覆うことを特徴とする請求項1に記載の有機発光装置。
【請求項14】
素子基板の一面に1対の電極と、前記1対の電極間の有機層とを具備した有機発光素子を一つ以上含んだ有機発光部を形成する段階と、
前記有機発光部上部に一つ以上の熱蒸着可能な有機物質を熱蒸着させ、有機保護層を形成する段階と、
封止基板を準備する段階と、
前記有機発光部と前記保護層とが備わった素子基板と、前記封止基板とのうち、一つ以上に充填材とシーラントとを提供する段階と、
前記素子基板と前記封止基板とを接合させる段階とを含む有機発光装置の製造方法。
【請求項15】
前記熱蒸着可能な物質を10−10torrないし10−3torrの真空度及び100℃ないし500℃の温度範囲で蒸着させて有機保護層を形成することを特徴とする請求項に記載14の有機発光装置の製造方法。
【請求項16】
前記有機保護層が、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N′−ジ(1−ナフチル)−N,N′−ジフェニルベンジジン(NPB)、TDATA、2T−NATA、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(α−NPD)、4,4′,4″−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、9,10−ジ(ナフタレン−2−イル)アントラセン(ADN)、1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(TPBI)、3−tert−ブチル−9,10−ジ(ナフト−2−イル)アントラセン(TBADN)、E3、ter−フルオレン、4,4′−ビス[4−(ジ−p−トリルアミノ)スチリル]ビフェニル(DPAVBi)、2,5,8,11−テトラ−tert−ブチルペリレン(TBP)、TAZ、TPQ1、TPQ2、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(Bphen)及びBCPからなる群から選択された一つ以上を含んだことを特徴とする請求項14に記載の有機発光装置の製造方法。
【請求項17】
前記有機発光素子の有機層形成のための複数の真空蒸着チャンバのうちの一つで、前記有機保護層を形成することを特徴とする請求項14に記載の有機発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2010−147023(P2010−147023A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285687(P2009−285687)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【Fターム(参考)】