説明

有機発光部材

【課題】改良された有機発光部材を提供する。
【解決手段】有機発光部材は、発光素子1、2と、上記発光素子1、2に取り囲まれた発光面1f、2fとを有し、上記発光面1f、2fは、電極1a、2a、背面電極1d、2d、および、有機層の積層構造1e、2eによって形成されており、上記有機層の積層構造1e、2eは、上記電極1a、2aと上記背面電極1d、2dとの間に配置され、単一の有機材料構成を有するとともに、上記部分は、複数の電気的に並列接続された、上記電極1a、2aの部分電極1b、2b上に形成されており、上記部分電極1b、2bは、一方において端部が互いに電気的に接続され、上記部分電極1b、2bでは、隣接する部分電極1b、2b間の横方向の間隔が、隣接する部分電極1b、2bの幅よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光部材に関し、特に、発光素子および該発光素子に取り囲まれた発光面を有する有機発光ダイオードに関する。
【背景技術】
【0002】
有色光、特に白色光を放射する有機発光ダイオード(OLED)としての有機発光部材は、近年益々注目されている。有機発光部材の技術が、照明技術の領域における想定され得る用途に関して大きな可能性を有していることは、一般的に認められていることである。現在までに有機発光ダイオードの性能は、従来の電球が有する高度の性能の領域に到達している(例えば、非特許文献1等参照)。
【0003】
有機発光ダイオードは、通常、基板上に配置された層構成によって形成されている。上記層構成では、1つの電極と1つの背面電極との間に、有機層の積層構造が配置されており、上記有機層の積層構造は、上記電極と上記背面電極とを介して、電圧が印加され得る。上記有機層の積層構造は、有機材料から形成されており、発光領域を含んでいる。上記発光領域では、電荷キャリア、すなわち、複数の電子と複数のホールとが再結合する。上記電荷キャリアは、上記電極と上記背面電極とに電圧を印加する場合に、上記有機層の積層構造の中に注入され、そこで上記発光領域に輸送される。上記有機層の積層構造に電気的にドープされた複数の層を組み込むことによって、発光の効率を顕著に高めることができる。
【0004】
有機発光部材は、任意の光を生成する目的で、実に様々な範囲の用途に用いることが可能であり、かかる用途には、特に広告装置、照明装置、信号装置等が属する。
【0005】
一つの用途では、上記有機発光部材は、白色光を放射するように構成され得る。かかる有機発光部材は、現在市場において優勢を占めている照明技術(例えば、電球、ハロゲンランプ、低電圧蛍光管等)の1つの重要な代替物になる可能性を有している。
【0006】
しかしながら、上記有機発光部材技術が商業化において大きな成功を収めるためには、解決すべき本質的な技術的課題がいまだ存在している。特に、OLED部材を用いて、一般的な照明用途に必要とされる大光量を生成することは、1つの挑むべき課題である。1つのOLED部材から放射される光量は、2つの因子によって決定される。これらは、上記部材の発光面の領域内の輝度と、該発光面の大きさである。有機発光部材の上記輝度は任意には上昇されない。さらにまた、有機発光部材の寿命は、主として上記輝度に影響される。例えばOLED部材の輝度を2倍にするならば、その寿命は、1/2〜1/4にまで低減される。なお、ここでは寿命として、一定の電流によって作動している上記OLED部材の出力輝度が半分の出力輝度に低下するまでに経過する時間が定義される。
【0007】
照明用途のためのOLED部材の発光面は、所望される光量に応じて選択される必要がある。上記発光面は、数平方センチメートルから、1平方メートルを超える範囲内にあるようにする必要がある。
【0008】
OLED部材は、電気部材として典型的には約2Vから約20Vの範囲内の低電圧において作動される。上記OLED部材を介して流れる電流は、上記発光面によって決定される。上記OLED部材の発光面が約100cmと比較的小さい場合でも、50cd/Aの想定電流効率、および、5000cd/mの使用輝度(anwendungshelligkeit)では、1Aの電流が必要である。
【0009】
しかしながら、有機発光部材にこのような電流を供給するためには、重大な技術的課題が存在し、商業的な照明用途においては、該課題を安価な方法によって解決することは困難である。電流供給の電力損失は、リード線の電気抵抗、および、流れている電流の2乗に比例することが知られている。従って、電流が大きな場合であっても上記電力損失を少なく抑えるために、極めて低い抵抗を有する、すなわち、断面が大きなリード線を用いる必要がある。しかしまさにこのことは、平坦な構成という特性がとりわけ望まれる場合には回避される必要がある。より大きな部品面が必要とされる限り、供給電流はさらに増大される必要があり、これによって、電流供給における課題はさらに深刻化すると考えられる。
【0010】
このような理由から、1つの有機発光部材において多数のOLED素子を電気的に直列接続することが提案されている(例えば、特許文献1等参照)。かかる有機発光部材では、上記有機発光部材の総面積が、複数のOLED発光素子に分けられており、該複数個のOLED発光素子は、1つまたは複数の直列接続によって相互に電気的に接続されている。この方法によって、上記有機発光部材の作動電圧は、およそ、直列接続されたOLED発光素子の数をかけた値に高められる。この場合、流れている電流は、これと同一の数で割った値に低減される。上記作動電流を低減させ、同時に作動電圧を上昇されることによって、同じ電力で、上記発光素子の作動を極めて安易に達成することが可能である。なぜなら、一般的に、高電流の代わりに高電圧を電気部材に使用することは、明らかにより容易であるからである。OLED発光素子の直列接続を用いることにより得られるさらなる利点は、上記OLED発光素子のうちの1つのOLED発光素子の両電極、つまりカソードとアノードとの間がショートした場合、正確に言うと上記有機発光部材の発光面の一部が停止(発光を停止)した場合でも、全体としてその有機発光部材が引き続いて発光し、全体として放射された光量は、停止せずに残ったOLED発効素子のために高められた作動電圧によって、引き続き不変の状態を保持する点である。従って、OLED発光素子が直列接続されたこのような有機発光部材は、上記OLED発光素子のうちの1つのOLED発光素子がショートした後も、引き続き使用可能である。その反対に、1つのOLED発光素子だけからなる有機発光部材は、アノードとカソードとの間がショートした場合には使用不可能である。
【特許文献1】GB2392023A
【非特許文献1】Forrest et al.,Adv. Mat.7(2004)624
【発明の開示】
【0011】
しかしながら、直列接続された複数のOLED発光素子を有するOLED発光部材を製造するには、複雑な製造工程が必要である。まず、直列接続される個々のOLED発光素子に割り当てられる複数の電極を特定するために、支持する基板上に構成される1つの電極を形成することが必要である。さらにまた、上記個々のOLED発光素子の有機層の積層構造、および、その上に形成される1つの被覆電極を形成することが必要である。このために、様々な公知の方法が考慮されている。
【0012】
真空気化による堆積が可能な有機材料が用いられているOLEDの場合には、形成に適した方法は、シャドーマスクによる蒸着法である。さらなる方法は、例えばLITI(レーザー励起熱転写法)を用いた堆積方法である。この方法では、有機材料を搭載したキャリアフィルムを位置をあわせて(punktgenau)レーザーによって加熱することにより、上記有機材料の少なくとも一部が上記基板に移される。しかしながら、上記LITI法は、上記OLED発光素子の有機層の積層構造を形成するためだけに用いられ得る。通常銀、アルミニウム、もしくは、マグネシウムのような金属、または、インジウムスズ酸化物(ITO)のような導電性の透明な酸化物からなる被覆電極を形成するためには、他の形成工程を用いる必要がある。
【0013】
上記形成工程は、上記有機発光部材の製造の範囲において、結果として著しく手間がかかり、それによってコストが高くなる。さらにまた、シャドーマスクを用いる場合には、解像度が制限されるという課題が存在する。つまり、上記個々の直列接続されたOLED発光素子間の間隔は、上記シャドーマスクの複数の枠の寸法によって制限される。この場合、上記シャドーマスクの機械的安定性を確保するために、上記シャドーマスクの枠間の空隙の大きさに依存して、所定の上記シャドーマスクの枠幅が必要とされる。
【0014】
従って、シャドーマスクを用いた形成を容易にするためには、シャドーマスクによって形成された領域の精密な解像度を断念することが賢明である。これは、直列接続されたOLED発光素子を比較的大きく、例えば約1cmの大きさに構成することによって達成され得る。これによって、シャドーマスクを最低限の正確性を伴って用いることが可能になり、該シャドーマスクは、例えば保持ピンを用いた配列方法のような容易な方法によって配列できる。このような方法は、大量生産においては、例えば顕微鏡下での位置決めマークを用いた配列に基づいた精密調節をするための方法よりも明らかに安価である。
【0015】
さらに、シャドーマスクを用いることは、完成までのプロセスにかかる時間に関して制限を加える1つの要因となる。なぜなら、上記シャドーマスクの精密調整は、全プロセスにかかる時間のうちで無視できない割合を有しているからである。より正確性に欠ける方法を用いることによって、位置決めに関連するプロセス時間は短縮され得る。
【0016】
例えば連続的なロールトゥーロール法のような、特定の有機発光部材製造方法では、公知の方法でシャドーマスクを利用する際にさらなる問題が生じる。一方では、このような方法では、上記シャドーマスクは、その上に上記電極および有機層の積層構造によって層堆積が形成される基板と共に運ばれる必要がある。この場合、該基板に対する該シャドーマスクの位置が変えられることがあってはならない。他方では、上記ロールトゥーロール法では、上記シャドーマスクは上記基板に対して配列されている必要があるが、ロールトゥーロール法では、場合によっては、上記基板は停止される必要がある。従って、解像度の高い、シャドーマスクを用いる必要のないプロセスが行われることが望ましい。
【0017】
正確性を欠くシャドーマスクを用いることによって、実際には最適化を得ることができるわけではない。なぜならこれは、重大な欠点に結びついているからである。この場合、より大きなOLED部分面だけが形成され得る。この部分面のうちの1つがショートによって停止する限り、上記部材の発光面の大部分は非アクティブになり、これはつまり、該発光面は、発光部材が作動している場合でも暗いままであることになる。このため、この全部材は、その機能性に関して大幅に妨げられる。直列接続において、ショートされたOLED発光素子を介して電圧が少し低下するが、他のOLED発光素子のための電圧は高められる。そのために、その後全体的に放射された光はほとんど変化しないが、上記有機発光部材の目に見える印象は、大幅に悪化される。これは、使用目的にとって容認し難いことである。観察者は、上記発光部材を欠陥のある物として認知する。さらにまた、OLED部材における電気的ショートによって、通常は全平面上に分けられて流れるほぼ全電流が、上記ショートの場所を介して送られることになる。これによって、局所的に強く加熱されることになり、オームの損失が生じ、上記ショートの場所の抵抗が大幅に上昇し、例えば有機層または非有機層の層間剥離によって、上記ショートの場所が絶縁される恐れがある。
【0018】
上記発光部材の保護のために形成された封止が、特に薄層封止体を用いる場合に、この局所的な熱応力に耐えられないという恐れが生じる。これは現在、将来のOLED照明素子にとっての考慮すべき点である。この悪作用は、上記OLED部材の面が大きくなればなるほど、より大きくなる。
【0019】
〔発明の要約〕
本発明の目的は、前述の種類の改良された有機発光部材を提供することにあり、これにより、前述の技術的問題が回避される。
【0020】
この目的は、独立請求項1の発明に係る有機発光部材によって達成される。本発明のさらに有利な構成は、従属請求項の構成である。
【0021】
本発明は、有機発光部材、特に、有機発光ダイオードを、発光素子と、該発光素子に取り囲まれた発光面とで形成するという思想を含んでいる。該発光面は、電極、背面電極および有機層の積層構造から構成され、該有機層の積層構造は、上記電極と背面電極との間に配置されて上記電極および背面電極と電気的に接触している。上記発光面の領域に配置され、上記電極および背面電極の電圧の印加時に発光する有機層の積層構造の部分は、単一の有機材料構成を示し、上記電極の複数の部分電極であって、電気的に並列に接続された部分電極上に形成されている。隣接する該部分電極間の横方向の距離は、隣接する該部分電極の幅よりも小さい。並列に接続された部分電極上の部位の上記有機層の積層構造の単一(同一)の有機材料構成とは、同種の材料組成に基づいて同じ色の光が放出されることを意味する。この光は、可視スペクトルの任意の色を示すことができる。上記部位は、異なる色の光を放出する放出材料を個別に含むことができ、該光は各部位で個々に混合光、特に白色光へと混合される。
【0022】
上記電極の複数の部分電極であって、電気的に並列接続された複数の部分電極の構成は、例えば、部分電極のうちの一つの領域で局所的に電気的ショートが起こったときに、有機発光部材全体の発光効率が高く保たれるという利点を持っている。操作時の発光部材の光学的外観は、このような局所的な電気的ショート時においても、観察者にとっては、十分に完璧なままである。並列回路は発光部材の全体が停止するのを妨ぐことができる。隣接する部分電極の横の距離と隣接する部分電極の幅との間の意図された関係により、ショート時でも同じく、発光面の観察者に対し、望まれる光学的外観が保たれる。
【0023】
複数の電気的に並列接続された部分電極の意図された構造は工程技術的には、基本的に出費増加なしで販売可能である。電極の基板側における形成の場合、フォトリソグラフィを用いても形成することが可能であるが、印刷プロセスを使って形成することもできる。しかし、位置精度は劣るが、公知の単純なシャドーマスク技術を用いることも可能である。特に、最後に挙げた技術を用いる場合は、有機層の積層構造に占められる領域が、複数の部分電極に占められる領域と基本的に同じ大きさであることが好ましい。位置精度の劣るシャドーマスクは簡単で、早く、コスト的に有利に、製造工程に適用することができる。
【0024】
発明のさらに好ましい構成は、隣接する部分電極の間の横の距離が、隣接する部分電極の幅の半分より小さいことを意図する。発明の有用な設計としては、隣接する部分電極の間の横の距離が、隣接する部分電極の幅の3分の1より小さいことを意図してもよい。隣接する部分電極の間の距離が、部分電極の幅と比べて小さくなればなるほど、観察者にとって、電気的ショート時に一つまたは複数の部分電極が停止しても、観察者の光学的外観としては目立たなくなる。それゆえ、隣接する部分電極の間の距離も、隣接する部分電極の幅との関係において、ある部分電極に隣接している二つの部分電極でいまだに光っている二つの部分電極の間のそのある電極の停止が、人間の目からは光学的外観において解像できないように選択されることが有効である。
【0025】
発明の有利な実施形態は、上記複数の部分電極が、ストライプ電極として形成されていることである。ストライプ電極とは、本明細書においては、部分電極が、その広がりに沿って、ストライプ状であるように、基本的に常に同じ材料幅を示すということである。このストライプは、例えば1回又は複数回曲がった線や、ジグザグ線に沿って伸びるものとすることができる。より好適には、隣接する部分電極の曲げまたはジグザグのかどは、対向する窪みをつかみ、それによって、発光面の、可能な限り均一な光画像が改善される。
【0026】
本発明の一発展形態は、上記ストライプ電極が直線に伸びて形成されて設けられていることが好ましい。これによって、プロセス技術的にできる限り手間をかけずに製造可能な構成を達成する。
【0027】
本発明の有利な構成では、上記有機層の積層構造は、上記発光面の領域においてほぼ貫通して(全般的に、連続的に)形成されて提供され得る。上記有機層の積層構造が上記発光面の領域をほぼ貫通して(全般的に、連続的に)形成されるなら、上記有機層の積層構造は基本的に1つの共通の製造ステップにおいて堆積され得るので、この製造は容易になる。しかしその後発光されるのは、上記部分電極が配置された領域内にある、上記有機層の積層構造の部分的領域のみである。その間の領域は暗いままである。上記部分電極の領域には、有機発光ダイオード(OLED)とも呼ばれて共に発光面に寄与する複数の有機部材が形成される。従って、上記発光素子を製造する際に、上記その間の領域が損傷される場合でも、(つまりこれは、上記電極が被覆電極として形成され、これに伴い、上記被覆電極を上記有機層の積層構造上に堆積した後、レーザーリソグラフィを用いて上記部分電極内に形成する場合に発生し得る)、不利益にはならない。
【0028】
本発明の一発展形態では、上記電極の複数の部分電極の数は少なくとも10であり、好ましくは少なくとも30であり、さらに好ましくは少なくとも100であるように提供され得る。部分電極の数は10個が最低値であり、この値以上であることにより、ショートの場合に上記発光部材の完全な停止を意図的に回避することを達成できる。部分電極の数を約30個とすると、ショートの場合に、適切な散乱膜または他の散乱素子を用いることによって、1つの部分電極の欠陥は、適した最低間隔にいる観察者の裸眼には、認知され得ない結果に既に成り得る。上記部分電極の数が約100であると、ショートがおこった場合に、散乱膜を用いなくても、ある所定の最低間隔にいる裸眼の観察者にはもはや見えない。上記部分電極の数の記載は、近似値としてみなされるものである。なぜなら、ショートの効果に関する正確な記載には、上記電極材料の電気的なシート抵抗、背面電極の電気的抵抗、作動電圧および作動電流、および、上記部分電極の数や寸法のような上記発光部材の技術的詳細に加えて、作動輝度の知見も求められるからである。
【0029】
本発明の好ましい一形態では、上記発光素子のための最大作動電圧は、10V未満、より好ましくは6V未満、さらに好ましくは4V未満である。10Vは、簡素なiii型の有機発光部材の大よその作動電圧である。6Vは、従来技術においてそのようなものとして公知であるように、より複雑なiii型の有機発光部材の大よその作動電圧に相当する。4Vは、従来技術においてそのようなものとして公知であるように、pin型の有機発光部材の大よその作動電圧である。さらにまた、10V、6V、および、4Vは、1重のpin−OLED、2重に堆積されたpin−OLED、及び、3重に堆積されたpin−OLEDの大よその作動電圧ともみなされる。
【0030】
本発明の好ましい一実施形態では、上記発光面の領域内の最大作動輝度が少なくとも500cd/m、より好ましくは少なくとも1000cd/m、さらに好ましくは少なくとも5000cd/mである。500cd/mの値は、輝度限界値を示し、この値以上の場合に、照明技術において本発明を用いることが、特に有効であるとみなされる。照明部材が1平方メートルの発光している全面積を有する場合、輝度が500cd/mの場合の光効率(Lichtleistung)は、100Wの電球の約半分の光効率に相当する。1000cd/mの輝度は、例えば、照明素子が天井の照明としての照明状態において用いられている場合に、該照明素子をちょうどまぶしくないと観察者が認知する閾値に相当する。5000cd/mは、上記発光部材の1発光面毎の光効率と、上記発光部材の寿命とを最大にするための有効値としてみなされる輝度に相当する。製品を商業的に最適化するために、輝度をこの範囲内にするように努力することは有意義である。これによって、一方では、上記部品の原価コストと製造コストとの間のバランスをとることと、他方では、作動効率と上記寿命との間のバランスをとることとを達成することが可能である。
【0031】
本発明の有利な実施形態によれば、複数の部分電極は、それぞれ、そのシート抵抗とその幅との積が、10〜1000mm*Ω/□、より好ましくは、100〜1000mm*Ω/□となるようなシート抵抗及びその幅を有するように構成される。
【0032】
本発明のより好ましい実施形態によれば、光散乱素子が、その面が発光面に重なるように形成される。上記構成によれば、1または複数の部分電極およびそれに結合された有機領域の停止、特に、これらの電気的ショートによる停止は、有機発光部材の可動時、観察者の光学的外観としては目立たなくなる。
【0033】
本発明の有利な実施形態によれば、上記光散乱素子は、光散乱基板を含んでいる。上記基板上に、電極、背面電極、および、有機層の積層構造が堆積される。
【0034】
本発明の他の実施形態によれば、上記光散乱素子は、散乱膜を含んでいる。
【0035】
本発明の好ましい他の実施形態によれば、上記発光素子の構造は、少なくとも次に示す構造からなる群、すなわち、透明発光素子、上面放出型発光素子、下面放出型発光素子、および、両面放出型発光素子からなる群より選ばれた構造を有する。
【0036】
本発明の有用な実施形態によれば、上記発光面の面積は、数平方センチメートルである。
【0037】
本発明の有利な実施形態によれば、上記有機層の積層構造は、1または複数のドープされた電荷キャリア輸送層である。ドープされた有機層を、有機発光部材の実質的な発光効率の改善に役立てることができる(例えば、DE 100 58 578 C1)。pまたはnドーピング、もしくは、その組合せ用いてもよい。ドーピング材料によって、電気的なドープ領域における導電性を高めることができる。
【0038】
本発明の好ましい実施形態によれば、上記発光素子は、同じ構造を有する少なくとも1つの別の発光素子と電気的に直列に接続されている。これにより、個々の発光素子における複数の部分電極の電気的な並列接続と、有機発光部材に含まれる複数の発光素子による電気的な直列接続とが互いに組み合わされる。
【0039】
本発明の有利な実施形態によれば、上記発光素子は、同じ構造を有する少なくとも10個の別の発光素子と電気的に直列に接続されている。上記発光素子は、より好ましくは少なくとも27個の別の発光素子、さらに好ましくは少なくとも55個の別の発光素子と電気的に直列に接続されている。10個の発光素子の直列接続によって、発光素子ごとに4Vの作動電圧が生じ、その結果、総電圧として40Vが生じる。したがって、上記構成部材は、保護低電圧領域(Schutzkleinspannungsbereich)に相当する電圧源(Spannungsquelle)によって作動させることができる。上記領域の一般的な電圧限界は、交流電圧で42Vである。作動電圧がそれぞれ4Vの約27個の構成部材を組み合わせた場合は、結果として、発光素子の総電圧は約110Vであり、普通に使用することができる配電電圧である。作動電圧がそれぞれ4Vの約55個の構成部材を組み合わせた場合は、結果として、発光素子の総電圧は約220Vとなり、かかる電圧も普通に使用することができる配電電圧である。発光部材の作動電圧を配電電圧と一致させることによって、電圧源と部材との間さえ、整流管で接続されていればよく、部材の装着を簡単にすることができる。さまざまな色で発光するように、複数の発光素子で構成してもよい。
【0040】
さらには、1つの発光部材において、配電される交流電圧が使用できるように、すなわち、隣接している両方の位相で、直列接続の一つが光を放出するように、2つの直列接続を組み合わされてもよい。このような配置によれば、供給交流電圧の周波数を上昇させて、観察者にとって光のちらつきをなくし、光を放出し続けるようにすることができる。
【0041】
上記複数の電気的に並列接続された部分電極を有する電極は、様々な材料から製造することが可能である。この材料には、特に変性された半導体酸化物材料または金属が属する。一発展形態では、上記電極はインジウムスズ酸化物(ITO)から形成されている。ITOのプロセスは、フォトリソグラフィを用いて行うことが可能であり、上記部分電極を形成するための精密形成は、問題を生じさせず、追加コストを発生させることなしに行うことが可能であるため、上記電極を部分電極に分割することに、追加的な手間はかからない。上記ITOの部分電極間の間隔は、極めて小さく(例えば10μm)保持されることが可能である。これは、人間の目に、全体として上記発光面の均一な画像をもたらす。このような配置において、上記電極間にショートが生じるとしても、部分電極内に上記ITOを形成することによって、全領域にわたる発光素子の完全な停止は回避される。これは、ITOが比較的高いシート抵抗を有しており、このことから上記部分電極のアスペクト比が高いために、上記ITO部分電極も高い抵抗を示す。しかしながら、通常の作動時には、上記部分電極が並列接続されているために、個々の上記部分電極を介して極めて少ない電流だけが流れるので、上記有機発光部材の効率は高いままである。上記電極と上記背面電極との間がショートした瞬間に始めて、局所的により高い電流が生じるが、これは上記ITO部分電極の抵抗が高いために制限される。従ってショートの場合、該当するITO部分電極の平面上だけは光が放射されない。上記発光素子の発光面の残りの領域は、ほぼ不変のままの輝度を伴って引き続き発光される。
【0042】
本発明の実施の発展形態では、隣接する発光素子の背面電極の互いに隣接して形成された端部断面間の間隔は、複数の部分電極の各幅よりも大きく設けられており、より好ましくは該複数の部分電極の各幅の3倍よりも大きく、さらに好ましくは該複数の部分電極の各幅の10倍よりも大きく設けられている。隣接する発光素子の上記背面電極の互いに隣接して形成された端部断面は、上から観察した場合には、互いに向かい合って配置されている。
【0043】
ここに提案する有機発光部材は、様々な用途目的に用いること可能である。この目的には、特に、照明装置およびディスプレイのような広告装置が含まれる。広告装置の場合には、ここに提案する有機発光部材の構成のいずれか1つに従って個々に実施される画素構成要素を、例えばRGBディスプレイのような多色のディスプレイを生成するために、互いに組み合わせることが可能である。
【0044】
ここに提案する発光部材は、機械的にひどい損傷を受けた場合にも、まだ機能可能である。その部品が、いわゆる薄層封止によって、空気中の酸素および水分のような環境による影響に対して遮断されうる。かかる場合には、上記封止は上記部品の表面に直接形成され、封止と有機層の積層構造との間に空洞は存在しない。これは、従来の封止の場合では、例えば貼り付けられたガラスカバーを用いていることと同様である。このような構成では、上記部品がある対象を突き破ったり、または、通り抜けたりした際に生じるような機械的な破損の場合にも、続行して作動することが可能である。このように作動が続行可能となっていることは、特に車両技術、または、軍事用の用途において望ましいことである。
【0045】
〔発明の好ましい実施形態の説明〕
本発明を、以下に、図面を参照しながら、好ましい実施形態を用いてさらに詳細に説明する。
【0046】
図1は、電気的に直列接続された2つの発光素子を有する有機発光部材を概略的に示す図である。
【0047】
図2は、図1の上記有機発光部材の一部分の拡大図である。
【0048】
図1は、電気的に直列接続された2つの発光素子1、2を有する有機発光部材を概略的に示す図である。この両発光素子1、2はそれぞれ電極1a、2aを有し、これらの電極は、平行に伸びてストライプ状に形成された複数の部分電極1b、2bによる配置として形成されている。部分電極1b、2bは、各コンタクト接続部1c、2cに接続されており、電気的に並列接続されている。さらに両発光素子1、2は、平坦な電極として形成されている各背面電極1d、2dを有している。簡素化した実施形態(図示していない)では、上記有機発光部材は、1つの発光素子だけによって形成されており、これは発光素子1、2に相当するように実施される。
【0049】
図1の構成では、部分電極1b、2bを有する電極1a、2aと背面電極1d、2dとの間に、有機層の積層構造1e、2e、つまり有機材料からなる層の配置が、それぞれ、電極1a、2aおよび背面電極1d、2dと接触を形成している。有機層の積層構造1e、2eは発光領域を含むので、電極1a、2aおよび背面電極1d、2dに電圧を印加する場合に、発光素子1、2に光を放射させることが可能である。発光素子1、2の内部では、属する有機層の積層構造1e、2eが、ほぼ一致する材料組成を有している。そのため、部分電極1d、2dおよび有機層の積層構造1e、2eを用いて両発光素子1、2にそれぞれ形成された発光面1f、2fは、同じ色の光をそれぞれ放射する。なお、この放射される光の色を、これら両発光素子1、2によって異なる色とすることは可能である。また、発光面1f、2fを、白色光を放射するように構成することも可能である。該白色光は、異なる有機エミッタ材料から有機層の積層構造1e、2eの中に放射される、様々な色の光の組み合わせとして生成されるものである。
【0050】
図2は、図1の上記有機発光部材の一部分の拡大図である。部分電極1b、2bは、幅Dを有する。隣接する部分電極20、21間の間隔は、図2ではCによって示されている。部分電極1b、2bは、長さBを有している。図2では、Aが2つの発光素子の背面電極1d、2dの互いに隣接して形成された端部断面間の間隔を示している。
【0051】
上述して説明したパラメータに加えて、さらなるパラメータが、上記有機発光部材を最適化するために用いられ得る。これはつまり、直列接続された発光素子の数M、電極毎の部分電極の数N、作動中の上記有機発光部材の(1面毎の)抵抗R、シート抵抗S、作動輝度H、および、作動電圧Uである。本発明の一般的な原理を具体的な用途のケースに応じて整合するために、1つまたは複数の上述したパラメータを個々に整合させることが可能である。
【0052】
以下にさらなる実施形態を詳細に説明する。
【0053】
ガラス基板(図示していない)上に、5つの直列接続された発光素子が堆積されている。これらは共に、上記有機発光部材を形成している。ITOからなる基本電極が、フォトリソグラフィによってストライプ状の部分電極に形成される。上記部分電極は、それぞれ、1つの接続コンタクトに接続されている。上記部分電極の長さBは、20mmである。部分電極の幅Dは、それぞれ1mmである。上記ITOのシート抵抗は、20オーム/□である。平行の部分電極の数は、N=100であり、その間隔Cは、20μmである。上記発光素子上に、それぞれ広面積にわたって、緑色光を放射する有機層領域が60cd/Aの電流効率Eで蒸着される。ここには、そのようなものとして公知の、緑色光を放射する燐光のエミッタ材料Ir(ppy)を有する有機層堆積が用いられる(He et al.,Appl.Phys.Lett.,85(2004)3911参照)。6000cd/mの輝度Hには、4Vの電圧Uおよび約10mA/cmの電流密度の場合に到達する。隣接する発光素子の金属の被覆電極間の間隔Aは、3mmである。
【0054】
ITOからなる部分電極のうちの1つの部分電極の中心に、ショートが生じたとすると、この部分電極の領域内に形成されたOLED素子を通った電流は、上記ITOの上記素子までのリード線の経路抵抗によってのみ制限される。この具体的なS*(B/2D)である場合の上記リード線の抵抗は、つまり200オームである。係数1/2は、上記ショートが上記部分電極の中心にあることに起因する。
【0055】
残りの部分電極内に形成されたOLED素子は全て、まだ機能可能である。その全抵抗は、上記ITOの経路抵抗を含めて約20オームである。これは、上記作動電圧、上記平面、および、上記電流密度から容易に算出される。ここでは、上記OLED素子が全発光面の上に均一な輝度を伴って発光することが近似的に考えられる。実際に、上記OLED素子の領域では、上記電極を介した電流供給に起因して、ある程度の電圧の低下が生じており、少し暗く発光する。
【0056】
上記電流の10%弱がショート回路を通って流れ、90%以上が残りのOLED素子を通って流れるようになる。これはさらに、このようなショートの場合にも、上記発光素子はまだ90%以上の光を放射していることを意味している。5つのそのような発光素子からなる全有機発光部材にとっては、ショートにも関わらず、まだ約98%の光放射が観察されることが可能である。これは、上記ショートが部分電極の中心に発生した場合に当てはまる。上記ショートの発生が上記接続コンタクトから遠く離れている場合は、上記ITO経路抵抗はより大きくなり、それによって上記ショートの電流は、指数が最大で2までより小さくなる(1/2まで低下しうる)。つまりこの場合、上記照明素子からは、99%の光がまだ放射されるのである。
【0057】
ショートにとって最も不都合な位置は、上記部分電極の上記接続コンタクトに隣接した領域内である。その場合には、(2つの重なり合って続いている金属電極の間隔に応じて)3mmの部分電極幅だけが有効である。これはつまり、60オームのリード線抵抗である。これは、上記発光素子が、約75%の輝度を伴って引き続き発光し、それどころか全有機発光部材は、95%の輝度を伴って発光することを意味している。つまり、ショートの際の不都合な状況であっても、上記有機発光部材は、極めて良好に機能可能であることが分かる。
【0058】
AとDとの比率が小さければ小さいほど、隣接した上記接続コンタクトに近い場所でのショートの作用は益々大きくなる。従って、比率A:Dは、1よりも大きく、より好ましくは3よりも大きく、さらに好ましくは10より大きい。比率A:Dが1である場合、例えば100の部分電極を有する発光部材は、上記接続コンタクトに近い場所でのショートの場合にも散乱膜を用いることによって、十分な間隔を取った観察者に、均一に発光しているように依然として映る。これは、裸眼で観察する場合であって、つまり特別な拡大手段(例えばルーペ)を用いていない。この場合に上記比率A:Dが3であるなら、散乱膜を用いなくとも均一に映る画像が得られるであろう。比率が10の場合には、散乱膜を用いることによって、十分な間隔を取った観察者は、ストライプの数が10の場合に既に均一な輝度を認知することができる。
【0059】
有機発光部材上に、または、ひとつの発光素子上にでも、同時に複数のショートが発生したとしても、上記部材は、ショートが発生するたび効率が低下するけれども、機能可能な状態を保持する。
【0060】
上記発光部材をショートの場合でもより効率的に形成するための発展形態は、上記部分電極をさらに薄く形成することである。そうすることによって、上記ショート回路を通った電流と上記発光素子の残りの領域を通った電流との関係は、さらに改善される。確かに、ストライプ状の部分電極を、ショートの典型的な横方向の拡張(lateral Ausdehnung)より薄くすることは適切ではない。従って、10μmよりも薄い部分電極は有意義ではない。
【0061】
本発明によって、特に、製品の収益を大幅に上昇させることが可能である。なぜなら、細分化されたショート回路が形成された場合でも、その後に発光部材はまだ利用可能であるからである。
【0062】
視覚的な外観をさらに改善するために、散乱素子を上記発光部材内に組み込んでもよい。これによって、一方では上記部分電極間の発光していない領域と、他方ではショートによって停止した領域とは、他の発光している領域の散乱光によって覆われる。
【0063】
基板側の基本電極でなく被覆電極を、特にストライプ状に構成してもよい。これは例えば平面状の被覆電極をレーザー処理することによって構成し、該被覆電極は、その後、いわばストライプ状に切断される。この場合、上記被覆電極が除去される領域の下にある、上記有機層の積層構造の領域は損傷されるが、これによっては、この全部材の機能性は阻害されない。なぜなら、このように処理された領域は、いずれにしても発光していないからである。
【0064】
本発明の有機発光部材は、1つの発光素子を有しても、複数の電気的に直列接続された発光素子を有しても、ディスプレイ内に用いられ、画素構成要素を形成することが可能である。特に、例えばスタジアムのスクリーンまたはそれと同等のもののように、数平方センチメートルの大きさの極めて大きな画素構成要素を有するディスプレイに用いることが可能である。ここでは、上記発光素子のために、ショートと同時に1つの全画素が停止することは回避される。その代わりに、それほど重要ではない画素の輝度がわずかに低減したことを観察者は確認する。
【0065】
上記作動輝度の場合に、ストライプ電極の領域に形成された部材自体が、よりわずかなオームの抵抗を有するならば、上記発光部材の効率損失は、極めてわずかに低下する。これには、特に、上記有機層の積層構造内に電気的にドープされた領域を有するOLED部材の場合が当てはまる。
【0066】
上記作動輝度の範囲内において輝度電圧特性曲線の起伏が険し過ぎない場合に、上記発光部材の光放射は特に均一である。これは例えば、0,4Vの電圧差が最大40%、好ましくは最大20%の輝度の違いを引き起こすような場合である。
【0067】
ショートが隣接する発光素子の接続コンタクトから距離Kだけ離れた位置に発生した場合の、本発明にかかる発光部材の百分率の効率損失Vは、以下の単純化された近似式により表される。ここで、A<K<Bである。
V=U*E/(M*N*B*H*S*K)
これによって、一連のさらなる設計法則が導き出される。唯一の制御できない大きさは、ショートの位置であるKである。それ以外は、以下の場合に、ショート時の効率損失が、極めてわずかしか低下しないということが言える。
(a)上記部分電極上に形成されたOLED部材の上記作動電圧が小さい場合。有利であるのは上記作動電圧が10Vよりも小さく、より好ましくは6Vよりも小さく、さらに好ましくは4Vよりも小さい場合。
(b)上記有機発光部材の上記発光素子の数が多い場合。有利であるのは上記発光素子の数が10よりも多く、より好ましくは27よりも多く、さらに好ましくは55よりも多い場合。
(c)上記ストライプ状の部分電極の数が多い場合。有利であるのは部分電極の数が、10よりも多く、より好ましくは30よりも多く、さらに好ましくは100よりも多い場合。
(d)上記部分電極上に形成されたOLED部材を十分に明るく作動させる場合。有利であるのは少なくとも500cd/mの輝度を伴って、より好ましくは少なくとも1000cd/mの輝度を伴って、さらに好ましくは少なくとも5000cd/mの輝度を伴って作動する場合。
【0068】
SとBとの積は、別個に検討される。Sが大きくなればなるほど、Bは短くなる必要がある。なぜなら、そうでなければ、上記ITOを介した通常作動時では上記オームの損失が大きくなりすぎ、それによって上記部材は効率が悪くなりすぎる。積S*Bが10〜1000mm*オーム/□、より好ましくは100〜1000mm*オーム/□であれば、良好な結果を得ることができる。
【0069】
上述の明細書、特許請求の範囲、および、図面に開示した本発明の特徴は、単独および任意に組み合わされ、本発明を実施するために様々な実施形態において意義を成すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】電気的に直列接続された2つの発光素子を有する有機発光部材を概略的に示す図である。
【図2】図1の上記有機発光部材の一部分の拡大図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光部材、特に、有機発光ダイオードであって、
上記有機発光部材は、発光素子(1、2)と、上記発光素子(1、2)に取り囲まれた発光面(1f、2f)とを有し、
上記発光面(1f、2f)は、電極(1a、2a)、背面電極(1d、2d)、および、有機層の積層構造(1e、2e)によって形成されており、
上記有機層の積層構造(1e、2e)は、上記電極(1a、2a)と上記背面電極(1d、2d)との間に配置され、上記電極(1a、2a)と上記背面電極(1d、2d)とに電気的に接触しており、
上記有機層の積層構造(1e、2e)の部分であって、上記発光面(1f、2f)の領域に配置され、上記電極(1a、2a)および背面電極(1d、2d)に電圧を印加する場合に光を放射する、当該部分は、単一の有機材料構成を有するとともに、
上記部分は、複数の電気的に並列接続された、上記電極(1a、2a)の部分電極(1b、2b)上に形成されており、
上記部分電極(1b、2b)は、一方において端部が互いに電気的に接続され、
上記部分電極(1b、2b)では、隣接する部分電極(1b、2b)間の横方向の間隔が、隣接する部分電極(1b、2b)の幅よりも小さい、有機発光部材。
【請求項2】
上記隣接する部分電極(1b、2b)間の横方向の間隔は、上記隣接する部分電極(1b、2b)の幅の半分よりも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の有機発光部材。
【請求項3】
上記隣接する部分電極(1b、2b)間の横方向の間隔は、上記隣接する部分電極(1b、2b)の幅の1/3よりも小さいことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の有機発光部材。
【請求項4】
上記複数の部分電極(1b、2b)は、ストライプ電極として形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項5】
上記ストライプ電極は、直線に伸びて形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の有機発光部材。
【請求項6】
上記発光面(1f、2f)の領域内の上記有機層の積層構造(1e、2e)は、ほぼ貫通して形成されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項7】
上記電極(1a、2a)の複数の上記部分電極(1b、2b)の数は、少なくとも10、より好ましくは少なくとも30、さらに好ましくは少なくとも100であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項8】
上記発光素子(1、2)の最大作動電圧は、10V未満、より好ましくは6V未満、さらに好ましくは4V未満であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項9】
上記発光面(1f、2f)の領域内の最大作動輝度は、少なくとも500cd/m、より好ましくは少なくとも1000cd/m、さらに好ましくは少なくとも5000cd/mであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項10】
上記複数の部分電極(1b、2b)は、それぞれ、シート抵抗と幅との積が、10〜1000mm*オーム/□、好ましくは100〜1000mm*オーム/□となるような、シート抵抗と上記幅とを有していることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項11】
上記発光面(1f、2f)と平面状に重なるように、光散乱素子が形成されていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項12】
上記光散乱素子は、光を散乱する基板を含んでおり、該基板上に、上記電極(1a、2a)、背面電極(1d、2d)、および、有機層の積層構造(1e、2e)が堆積されていることを特徴とする、請求項11に記載の有機発光部材。
【請求項13】
上記光散乱素子は、散乱膜を含んでいることを特徴とする、請求項11または請求項12に記載の有機発光部材。
【請求項14】
上記発光素子(1、2)は、透明発光素子、上面放出型発光素子、下面放出型発光素子、および、両面放出型発光素子からなる群より選ばれた少なくともひとつの構造を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項15】
上記発光面(1f、2f)は、数平方センチメートルの面積を有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項16】
上記有機層の積層構造(1e、2e)は、1つまたは複数のドープされた電荷キャリア輸送層を有することを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項17】
上記発光素子(1)は、同一の構造を有する少なくとも1つのさらなる発光素子(2)と電気的に直列接続されていることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機発光部材。
【請求項18】
上記発光素子は、同一の構造を有する少なくとも10個のさらなる発光素子、より好ましくは少なくとも27個のさらなる発光素子、さらに好ましくは少なくとも55個のさらなる発光素子と電気的に直列接続されていることを特徴とする、請求項17に記載の有機発光部材。
【請求項19】
隣接する発光素子(1、2)の上記背面電極(1d、2d)の2つの互いに隣接して形成された端部断面間の間隔は、上記複数の部分電極(1b、2b)のそれぞれの幅よりも大きく、より好ましくは上記複数の部分電極(1b、2b)のそれぞれの幅の3倍よりも大きく、さらに好ましくは上記複数の部分電極(1b、2b)のそれぞれの幅の10倍よりも大きいことを特徴とする、請求項17または請求項18に記載の有機発光部材。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載の有機発光部材の、照明装置または広告装置としての使用。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−153224(P2008−153224A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−324024(P2007−324024)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(503180100)ノヴァレッド・アクチエンゲゼルシャフト (47)
【Fターム(参考)】