説明

有機繊維コードの水分率コントロール方法及び水分率コントロール装置、ゴム補強用コードの製造方法及び製造装置

【課題】ディップ液が付着した有機繊維コードの短時間での乾燥を可能にし、乾燥後の有機繊維コードの水分率が目標範囲になるようにコントロールしてばらつきを低減する。
【解決手段】ディップ液12が付着した有機繊維コード50を、乾燥装置31の一対のマイクロ波照射装置31B、31C間を通過させてマイクロ波を照射し、有機繊維コード50を乾燥する。乾燥した有機繊維コード50の水分率を非接触水分計32で測定して制御装置40に入力する。制御装置40は、水分率の測定値と予め定められた目標値を対比し、その対比結果に基づいて、マイクロ波の出力を各値の差に応じて増減させる等、マイクロ波の出力を変更してフィードバック制御し、乾燥後の有機繊維コード50の水分率が目標範囲となるようコントロールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤコード等のゴム補強用コードに用いられる有機繊維コードに対し、適切な物性及びゴムとの接着性を付与するための水分率コントロール方法及び水分率コントロール装置に関し、特に、ディップ液が付着した有機繊維コードを水分率が目標範囲内になるよう乾燥させて水分率のばらつきを低減する有機繊維コードの水分率コントロール方法及び装置、ゴム補強用コードの製造方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種繊維からなる繊維コードは、工業製品又はその原材料として幅広い分野で使用されており、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)やナイロン等の有機繊維からなるゴム補強用コードは、空気入りタイヤやコンベアベルト、ホース、空気バネ等のゴム工業製品の補強材料(例えばタイヤコード等)として広く使用されている。このゴム補強用コードは、一般に、有機繊維の原糸に撚糸装置で撚りを加えて有機繊維コードを製造した後、繊維材料とゴム間の接着等のために必要なディップ(ディッピング)処理やコード物性の改質処理等の各種処理により適正な物性及びゴムとの接着性が付与されてゴム補強用コード(ディップコード)となる。その後、そのまわりにゴムが被覆されてゴム製品または中間部材が製造される(特許文献1参照)。
【0003】
このようなゴム補強用コードの従来の一般的な製造装置は、1本又は複数本の長尺な有機繊維コードをロールから巻き出す等して供給する供給装置と、供給された有機繊維コードをディップ液(接着液)に浸漬してディップ液を付着させる付着装置と、ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させる乾燥装置と、乾燥させた有機繊維コードを改質する熱処理装置と、熱処理された有機繊維コード(ゴム補強用コード)を巻き取る巻取装置とを、有機繊維コードの移動経路に沿って順に備えている。
【0004】
この従来の製造装置では、供給される有機繊維コードを連続的に移動させて上記した各装置(工程)を順次通過させ、それぞれで各処理を施してゴム補強用コードを1本又は複数本同時に連続的に製造する。具体的には、まず、供給される有機繊維コードに対し、ディップ液内を通過させてディップ液を付着させた後、乾燥装置内を通過させて付着したディップ液を乾燥させる。次に、熱処理装置内を通過させてより高温の熱処理を施し、乾燥したディップ液を加熱により有機繊維コードに接着し、さらに張力を付与して高温・高張力の所定条件で熱延伸処理を行い、有機繊維の分子配列を整える等して有機繊維コードの物性を改質・調整し標準化する。
【0005】
以上の各処理を経て製造されたゴム補強用コード(ディップコード)は、表面に形成された接着層により、有機繊維コードと被覆されるゴムとが強固に接着するとともに、コード物性が適正化される。その結果、例えばタイヤコードの場合には、ゴムとの接着力が高くなりタイヤの耐久性を向上させることができ、かつコード物性の均一性が高くなりタイヤ性状を安定化させることができる。
【0006】
ここで、有機繊維コードに付着させるディップ液は、ゴムとの接着性を確保するために最適に配合された、例えばレゾルシン・フォルムアルデヒド縮合体(RF)樹脂溶液とゴム・ラテックス(L)水溶液とを混合したRFL液等であり、ゴムとの接着力を高めるための、水を媒体として多量に含む液状の接着剤(接着液)である。従って、有機繊維コードの乾燥工程では、コードの接着性等を確保するため、加熱により付着させたディップ液中の水分を蒸発・乾燥し、有機繊維コードの表面に樹脂皮膜を形成する必要がある。
【0007】
ところで、従来の乾燥装置では、装置内に熱風を循環させて有機繊維コードに吹き付け、その表面から内部に向かって徐々に熱を伝導させて、水分の蒸発及び乾燥を行うのが一般的である。そのため、熱効率及び乾燥効率が低く、先に乾燥したディップ液の表面部分が内部の水分の蒸発に伴い破壊され、或いは、長時間の加熱による酸化等によりブリスター(ディップスケール)が発生し、それが有機繊維コードや装置内に付着して作業性等が悪化することがある。加えて、有機繊維コードは、高温・高水分(高湿度)下に長時間置かれると、劣化して耐久性や強力が低下する傾向があるため、乾燥に比較的長時間を要するこの従来の乾燥装置では、有機繊維コードに劣化及び強力低下が発生して損傷が生じる恐れがある。
【0008】
そこで、近年では、マイクロ波を利用して有機繊維コードを乾燥処理し、このような問題に対処することが行われている。この乾燥方法では、ディップ液が付着した有機繊維コードに対してマイクロ波を照射し、ディップ液及び有機繊維コード内の水の分子を振動させて内部から熱を発生させ、この熱により加熱して水分の蒸発及び乾燥を行う。このマイクロ波は、水に対する誘電率が極めて高いため、ディップ液の他の成分や有機繊維コードに比べて水を選択的に加熱して速やかに蒸発させることができる。同時に、ディップ液の表面のみならず内部からも発熱してディップ液全体を高速に加熱できるため、ディップ液が付着した有機繊維コードを短時間で乾燥させることができる。その結果、乾燥処理時間を短縮してその効率を向上できるとともに、有機繊維コードの上記した湿熱劣化やスケールの発生を抑制することができる。
【0009】
しかしながら、この乾燥方法では、マイクロ波による乾燥で有機繊維コードが過乾燥状態となり、有機繊維コードの水分率(残存する水分の質量率である含水率)が所定値以下になって0%に近づくと、有機繊維コード自体がマイクロ波により発熱して加熱され、その温度が想定温度以上に上昇することがある。このような場合には、乾燥中の有機繊維コードが溶解等して溶断や強力低下等が生じる恐れが高くなるため、このマイクロ波による乾燥方法では、有機繊維コードの水分率が、低くなり過ぎず、かつ乾燥が不十分とならない適切な目標範囲にコントロールする必要がある。
【0010】
そこで、従来は、製造後の製品(ゴム補強用コード)の水分率を水分計により後確認で測定し、その測定結果を基に製造条件を修正して有機繊維コードの水分率が目標範囲になるように調整している。即ち、従来は、まず、予め設定した製造条件で乾燥装置を運転して有機繊維コードを乾燥処理し、上記した各処理を全て施して有機繊維コードを巻取装置で巻き取る。次に、全ての有機繊維コードの処理及び巻き取りを終了して装置全体を停止した後、巻き取った有機繊維コードからサンプルを抽出して水分率を測定し、その製造条件における有機繊維コードの水分率を把握する。次に、その情報に基づいて製造条件を修正し、修正した条件により装置を運転して次のゴム補強用コードの製造を行う。このような作業を、毎回又は定期的に行い、有機繊維コードの水分率が目標範囲になるようにコントロールしている。
【0011】
従って、この従来の水分率のコントロール方法では、処理中の有機繊維コードの品質のチェックや管理等をリアルタイムで行うことができず、かつ、処理中は製造条件を変更できないため、処理中の有機繊維コードの水分率の変動に対し柔軟に対応できないという問題がある。その結果、有機繊維コードの水分率に、その長手方向や幅方向で大きなばらつきが発生することがあり、処理後の有機繊維コードの品質の変動を抑制するのが難しい。また、有機繊維コードの水分率が目標範囲から外れる恐れもあり、水分率が目標範囲以下になり0%に近づいて、有機繊維コードの溶断や強力低下等が発生して品質が低下する恐れもある。
【0012】
【特許文献1】特開平11−323691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、ディップ液が付着した有機繊維コードを短時間で乾燥可能にして乾燥効率を向上させるとともに、乾燥後の有機繊維コードの水分率が予め定められた目標範囲になるようにコントロールしてばらつきを低減し、溶断等の発生を防止して品質の安定化を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1の発明は、ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする有機繊維コードの水分率コントロール方法であって、前記ディップ液が付着した有機繊維コードに対してマイクロ波を照射して乾燥する工程と、該乾燥させた有機繊維コードの水分率を測定する工程と、該水分率の測定値と予め定められた該水分率の目標値とを対比する工程と、該対比結果に基づいて、前記マイクロ波の出力を変更する工程と、を有することを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1に記載された有機繊維コードの水分率コントロール方法において、前記マイクロ波の出力を変更する工程は、前記マイクロ波の出力を前記水分率の測定値と前記水分率の目標値との差に応じて増強又は低下させることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載された有機繊維コードの水分率コントロール方法において、前記有機繊維コードは、1本又は複数本の緯糸を有さない単線の有機繊維コード又はすだれ織りされた有機繊維コードであることを特徴とする。
請求項4の発明は、有機繊維コードを改質してゴム補強用コードを製造するゴム補強用コードの製造方法であって、前記有機繊維コードにディップ液を付着させる工程と、請求項1ないし3のいずれかに記載された有機繊維コードの水分率コントロール方法により前記ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする工程と、該水分率がコントロールされた有機繊維コードを改質する熱処理工程と、を有することを特徴とする。
請求項5の発明は、ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする有機繊維コードの水分率コントロール装置であって、前記ディップ液が付着した有機繊維コードに対してマイクロ波を照射して乾燥する乾燥装置と、該乾燥させた有機繊維コードの水分率を測定する測定手段と、該水分率の測定値と予め定められた該水分率の目標値とを対比し、該対比結果に基づいて、前記乾燥装置のマイクロ波の出力を変更制御する制御装置と、を有することを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項5に記載された有機繊維コードの水分率コントロール装置において、前記有機繊維コードは、1本又は複数本の緯糸を有さない単線の有機繊維コード又はすだれ織りされた有機繊維コードであることを特徴とする。
請求項7の発明は、有機繊維コードを改質してゴム補強用コードを製造するゴム補強用コードの製造装置であって、前記有機繊維コードにディップ液を付着させる付着装置と、該ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする請求項5又は6に記載された有機繊維コードの水分率コントロール装置と、該水分率がコントロールされた有機繊維コードを改質する熱処理装置と、を有することを特徴とする。
【0015】
(作用)
本発明では、ディップ液が付着した有機繊維コードに対してマイクロ波を照射して短時間で乾燥させる。また、乾燥させた有機繊維コードの水分率を測定してその測定値と予め定められた目標値とを対比し、対比結果に基づいて、その差に応じてマイクロ波の出力を増強又は低下させる等、マイクロ波の出力を変更し、有機繊維コードの水分率が目標範囲となるように最適な条件へフィードバック制御して、有機繊維コードの水分率をコントロールする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ディップ液が付着した有機繊維コードを短時間で乾燥可能にして乾燥効率を向上できるとともに、乾燥後の有機繊維コードの水分率を予め定められた目標範囲になるようにコントロールしてばらつきを低減でき、溶断等の発生を防止して品質の安定化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態のゴム補強用コードの製造装置における要部の構成を示す模式図である。
この製造装置1は、1本又は複数本(例えば2本から250本)の緯糸を有さない単線の有機繊維コード50、又は、緯糸によりすだれ織りされた有機繊維コード(反物)50を連続して移動(図の矢印)させ、同時に各種処理を施して改質し、ゴム補強用コードを製造するものであり、図示しない生産管理システムからの運転開始指令及び運転終了指令に従って、動作を開始及び終了(停止)する。
【0018】
本実施形態の製造装置1は、図示のように、有機繊維コード50の移動経路に沿って複数箇所に配置された複数のロール2Rからなるプルロール2(図では1箇所のみ示す)、及び有機繊維コード50の移動を案内するフリーロール3、4、5を備えている。また、有機繊維コード50の移動経路に沿って、移動方向の上流側から下流側に向かって順次配置された、有機繊維コード50にディップ液12を付着させる付着装置10と、有機繊維コード50に付着したディップ液12を絞り取る絞取装置20と、ディップ液12が付着した有機繊維コード50の水分率コントロール装置30と、を備えている。
【0019】
更に、この製造装置1は、プルロール2に対して有機繊維コード50の移動方向上流側に配置された有機繊維コード50の供給装置(図示せず)や、水分率コントロール装置30に対して有機繊維コード50の移動方向下流側に配置された、有機繊維コード50を改質する熱処理装置(図示せず)、及び各処理を経て製造されたゴム補強用コードを巻き取る巻取装置(図示せず)等、一般的なゴム補強用コードの製造装置の公知の構成を備えている。
【0020】
プルロール2は、有機繊維コード50が上下方向にジグザグ状に交互に掛け渡された、軸線周りに回転可能な複数のロール2Rからなり、所定位置の複数のロール2Rを駆動手段(図示せず)により回転させて、有機繊維コード50を所定の張力を付与しつつ長手方向に移動させる。各フリーロール3、4、5は、支持部材(図示せず)により軸線周りに回転自在に支持されており、有機繊維コード50を外周面に掛け渡して、その移動を案内する。また、それぞれ、フリーロール3は、プルロール2と付着装置10との間に配置され、フリーロール4は、付着装置10のディップ液12内に配置され、フリーロール5は、絞取装置20と水分率コントロール装置30との間に配置されている。
【0021】
付着装置10は、ディップ液12を収容するディップ液槽11を有し、フリーロール4によりディップ液槽11内に案内された有機繊維コード50にディップ液12を付着させる。このとき、フリーロール4が、常にディップ液槽11のディップ液12内に位置するようにディップ液12の量を調節し、有機繊維コード50に対し確実にディップ液12を付着させて、その移動方向下流側の絞取装置20に送り出す。
【0022】
絞取装置20は、この有機繊維コード50に付着した過剰なディップ液12を絞り取り、その付着量を調節するためのもので、有機繊維コード50の移動方向上流側から順に直線状に配置された3つの絞りロール21、22、23を有する。これら各絞りロール21、22、23は、支持部材(図示せず)により軸線周りに回転自在に支持されており、有機繊維コード50を、上流側の絞りロール21の外周面に沿って移動させて中央の絞りロール22の外周面との間を通過させた後、中央の絞りロール22の外周面に沿って移動させて下流側の絞りロール23の外周面との間を通過させる。また、両端の絞りロール21、23は、それぞれピストン・シリンダ機構等の駆動手段により、中央の絞りロール22に対して接近・離間する方向(ここでは、図の矢印で示す上下方向)に変位可能に構成され、その位置に応じて、各絞りロール21、22、23の外周面間の隙間を変化させるようになっている。
【0023】
この絞取装置20は、ディップ液12が付着した有機繊維コード50を、各絞りロール21、22、23間で絞って過剰なディップ液12を絞り取るが、その際に、両端の絞りロール21、23の変位によりロール外周面間の隙間を変化させて調節する。これにより、各絞りロール21、22、23間を通過する有機繊維コード50に対する加圧力を変化させて、有機繊維コード50に付着したディップ液12の絞り取り量を変化させる。絞取装置20は、この絞りロール21、23の変位量を制御して有機繊維コード50からのディップ液12の絞り取り量を最適化し、過剰なディップ液12を有機繊維コード50から絞り取って付着量を適切な量に調節し、フリーロール5を経由して下流側の水分率コントロール装置30に送り出す。
【0024】
有機繊維コード50の水分率コントロール装置30は、ディップ液12が付着した有機繊維コード50を乾燥させるとともに、乾燥後の有機繊維コード50の水分率をコントロールするものである。本実施形態の水分率コントロール装置30は、フリーロール5に対し、有機繊維コード50の移動方向下流側に配置された乾燥装置31と、その下流側かつ次工程の熱処理装置前(ここでは、乾燥装置31の出口付近)に配置された非接触水分計32と、それらを含む水分率コントロール装置30の各部に接続された制御装置40と、からなる。
【0025】
乾燥装置31は、有機繊維コード50を挟んで対向して配置された一対のマイクロ波照射装置31B、31Cを有し、ディップ液12が付着した有機繊維コード50に対してマイクロ波を照射して乾燥する。即ち、この乾燥装置31は、各マイクロ波照射装置31B、31Cにより発生させた所定出力のマイクロ波を、その間を移動する有機繊維コード50に向かって両側から照射する。このマイクロ波により、付着したディップ液12や有機繊維コード50内の水の分子を選択的に振動させて内部から発熱させ、その熱により加熱して水分を蒸発させて有機繊維コード50を乾燥させる。また、この乾燥装置31では、各マイクロ波照射装置31B、31Cの出力が変更可能となっており、マイクロ波の出力を変化させて有機繊維コード50の発熱量を変化させることにより、水分の蒸発量を変化させてその乾燥の程度、即ち、その水分率を変化させることができる。
【0026】
非接触水分計32は、その非接触式センサ部を、有機繊維コード50に対して所定の間隔を開けて対向して配置し、乾燥装置31で乾燥させた有機繊維コード50の水分率を非接触で測定する測定手段である。この非接触水分計32は、物質の有する水分量に応じて誘電率が変化する性質を利用して、非接触でディップ液12が付着した有機繊維コード50の単位長毎の水分率をインラインで連続して計測し、その測定データを制御装置40に出力する。
【0027】
制御装置40は、水分率コントロール装置30全体の制御等を行うものであり、中央演算処理装置(CPU)41と、CPU41に接続された入出力部42及びメモリ43を備えている。また、この制御装置40(CPU41)は、入出力部42を介して乾燥装置31の各マイクロ波照射装置31B、31Cや非接触水分計32等に接続され、入出力部42を介して装置30各部との間で各種データを送受信し、それらの動作を制御する。
【0028】
CPU41は、この水分率コントロール装置30の制御に必要な各種データ処理や解析、演算等を行い、例えば入出力部42を介して入力された非接触水分計32の測定データから有機繊維コード50の水分率を演算処理する。また、その演算結果(水分率の測定値)やメモリ43に記憶された各種データ等に基づいて、乾燥した有機繊維コード50の水分率が目標範囲になるようなマイクロ波照射装置31B、31Cの出力を演算して乾燥条件を決定する。更に、この決定した条件と条件変更指示を、入出力部42を介してマイクロ波照射装置31B、31Cに出力し、マイクロ波の出力を変更制御する等、有機繊維コード50の乾燥及び水分率のコントロール動作をオンラインでフィードバック制御して実行させる。
【0029】
メモリ43には、水分率コントロール装置30の制御等に必要な各種プログラムに加えて、その制御に利用される各種データ、例えば目標水分率44、水分率変換テーブル45、目標水分率データ値46、標準条件テーブル47、及び出力制御テーブル48が記憶されている。
目標水分率44は、有機繊維コード50の溶断等を防止可能な適切な水分率を定めるもので、水分率の目標値と目標範囲(目標値の上下限値)を示すデータからなる。なお、ここでは、目標範囲の中央値を目標値として設定(以下、同様)している。
【0030】
水分率変換テーブル45は、非接触水分計32による有機繊維コード50の水分率の測定値(水分計32の指示値:以下、水分率データ値という)と、水分率の実測値との対応関係を示すテーブルであり、水分率データ値と水分率との相互の変換に使用される。このテーブル45は、有機繊維コード50に対する非接触水分計32の水分率データ値と、その有機繊維コード50の水分率の実測値(例えば、125℃×30分乾燥前後の質量差から算出)とを、予め複数サンプリングして両値の対応関係を求めて設定される。
【0031】
目標水分率データ値46は、上記した目標水分率44の目標値と目標範囲を、水分率変換テーブル45により変換したもので、有機繊維コード50の水分率データ値(非接触水分計32の指示値)の目標値と目標範囲を示すデータである。
【0032】
標準条件テーブル47は、乾燥装置31(マイクロ波照射装置31B、31C)により乾燥させる有機繊維コード50の水分率データ値を、目標値W付近にするための標準的な乾燥条件(マイクロ波の標準出力T)を示すテーブル(図2A参照)である。
出力制御テーブル48は、非接触水分計32により測定された有機繊維コード50の水分率データ値と目標値Wとの差分値ΔWと、マイクロ波の出力の増減量ΔTとの関係を示すテーブル(図2B参照)である。
【0033】
本実施形態では、これら各テーブル47、48は、事前に、複数の出力でマイクロ波を照射して有機繊維コード50を乾燥させて各水分率を測定等し、それらの結果に基づいて設定又は作成する。また、この制御装置40は、水分率コントロール装置30以外の、ゴム補強用コードの製造装置1の各部(プルロール2やディップ液12の付着装置10、絞取装置20等)に接続され、それらとの間でデータを送受信して、有機繊維コード50の移動やディップ液の付着及び付着量の調整等、各部を連動して作動させて製造のための各処理を実行させる。
【0034】
次に、以上の構成を有するゴム補強用コードの製造装置1の動作について説明する。
図3は、この製造装置1の動作の内、特に水分率コントロール装置30の動作を示すフローチャートである。
【0035】
まず、図示しない生産管理システムから製造装置1に運転開始指令が入力されると、制御装置40は、絞取装置20(図1参照)の両端側の絞りロール21、23を変位させて各ロール外周面間の隙間を変化させ、乾燥装置31の入口付近における有機繊維コード50へのディップ液12の付着量が適切になるよう調節する。また、制御手段40は、メモリ43の標準条件テーブル47(図2A)を参照して、乾燥後の有機繊維コード50の水分率データ値を目標値W付近にコントロールするためのマイクロ波の標準出力Tを読み出し、読み出した値に従って、乾燥装置31のマイクロ波照射装置31B、31Cの出力を設定する。制御手段40は、以上の各設定を含めた製造装置1各部の設定を行い、プルロール2を含む複数のプルロールを駆動して有機繊維コード50の移動及び製造装置1の運転を開始する(S101)。
【0036】
これにより、まず、供給される有機繊維コード50を付着装置10(ディップ液槽11)内のディップ液12に浸漬し、有機繊維コード50にディップ液12を付着させる。次に、絞取装置20の各絞りロール21、22、23により、有機繊維コード50に付着した過剰なディップ液12を絞り取って除去し、ディップ液12の付着量を適切な量に調整して乾燥装置31の入口側に移送する。乾燥装置31では、マイクロ波照射装置31B、31Cにより上記した標準出力Tでマイクロ波を発生し、その間を通過して移動するディップ液12が付着した有機繊維コード50に対してマイクロ波を照射して乾燥する。
【0037】
次に、乾燥装置31で乾燥させた有機繊維コード50の水分率を、非接触水分計32により測定し、その水分率データ値を制御装置40に出力する。この入力を受けた制御装置40は(S102)、水分率の測定値(入力された水分率データ値)と、メモリ43に記憶している予め定められた水分率の目標値(ここでは、図1の目標水分率データ値46の目標値、又は目標範囲(目標値の上下限値))とを対比し、その対比結果に基づいて、乾燥装置31のマイクロ波の出力を変更制御する。
【0038】
具体的には、制御装置40は、測定した水分率データ値と目標値とを対比して水分率データ値が目標範囲か否かを判定し(S103)、目標範囲内であれば(S103、Yes)、生産管理システムから運転終了指示が入力された否かを判定する(S106)。この判定の結果、入力がない場合(S106、No)にはS102に戻り、乾燥装置31のマイクロ波の出力を運転開始時(S101)に設定した値に維持し、その条件で有機繊維コード50の乾燥を続行する。
【0039】
一方、入力され水分率データ値が目標範囲の下限値よりも小さい場合、即ち、有機繊維コード50の水分率が低く目標よりも乾燥し過ぎである場合(S103、No(小))には、まず、目標値との差(差分値ΔW)に対応する乾燥装置31(マイクロ波照射装置31B、31C)のマイクロ波の出力の増減量(ΔT)(図2B参照)をメモリ43の出力制御テーブル48から読み出す。次に、読み出した値に従って、乾燥装置31を制御してマイクロ波の出力を変更し、マイクロ波照射装置31B、31Cの出力を低下させる(S104)。これにより、有機繊維コード50の発熱量及び水分の蒸発量を低下させ、非接触水分計32の位置に達した乾燥後の有機繊維コード50の水分率が増加する方向(目標範囲となる方向)にコントロールする。このとき、制御装置40は、マイクロ波の出力を水分率の測定値と目標値との差に応じて低下させて、その差に応じて出力の変更量を調節し、有機繊維コード50の水分率が迅速に目標範囲まで増加する最適な条件に制御する。
【0040】
また、入力され水分率データ値が目標範囲の上限値よりも大きい場合、即ち、有機繊維コード50の水分率が高く目標よりも乾燥が不充分である場合(S103、No(大))には、まず、目標値との差(差分値ΔW)に対応する乾燥装置31のマイクロ波の出力の増減量(ΔT)をメモリ43の出力制御テーブル48から読み出す。次に、読み出した値に従って、乾燥装置31を制御してマイクロ波の出力を変更し、マイクロ波照射装置31B、31Cの出力を増強させる(S105)。これにより、有機繊維コード50の発熱量及び水分の蒸発量を増加させ、乾燥後の有機繊維コード50の水分率が低下する方向(目標範囲となる方向)にコントロールする。このとき、制御装置40は、マイクロ波の出力を水分率の測定値と目標値との差に応じて増強させて、その差に応じて出力の変更量を調節し、有機繊維コード50の水分率が迅速に目標範囲まで低下する最適な条件に制御する。
【0041】
この水分率コントロール装置30は、以上のように、乾燥させた有機繊維コード50の水分率の測定値と目標値との対比結果に基づいて、マイクロ波の出力を変更し、有機繊維コード50の水分率が目標範囲となるように最適な条件にフィードバック制御して、有機繊維コード50の乾燥及び水分率をオンラインでコントロールする。この動作を生産管理システムから運転終了指示が入力されるまで連続して実行し(S102〜S106、No)、運転終了指示が入力された場合(S106、Yes)には運転を終了して装置を停止する(S107)。
【0042】
従って、本実施形態によれば、処理中の有機繊維コード50の水分率等の品質のチェックや管理等をリアルタイムで行うことができ、かつ、処理中でも製造条件(マイクロ波の出力)を変更できるため、処理中の有機繊維コード50の水分率の変動に対し柔軟に対応できる。また、乾燥後の有機繊維コード50の水分率を測定し、その水分率が予め定められた目標範囲になるように最適条件にフィードバック制御してコントロールするため、有機繊維コード50の長手方向や幅方向で生じる水分率のばらつきを低減でき、処理後の有機繊維コード50の品質を安定化させることができる。同時に、有機繊維コード50の水分率が目標範囲から外れるのを抑制でき、特に水分率が目標範囲以下になり0%に近づくのを防止できるため、有機繊維コード50に、その水分率が0%に近づくことで発生する溶断や強力低下等が生じるのを防止でき、品質の安定化を図ることができる。
【0043】
また、この乾燥装置31では、有機繊維コード50の乾燥にマイクロ波を使用するため、ディップ液12が付着した有機繊維コード50を短時間で、かつムラなく乾燥させることができる。その結果、乾燥処理時間を短縮して乾燥効率を向上できるとともに、有機繊維コード50の水分率の幅方向のばらつきを効果的に低減できる。従って、有機繊維コード50の上記した湿熱劣化やスケールの発生を抑制することもできる。
【0044】
ここで、有機繊維コード50の適切な水分率は、繊維の材質(例えばナイロン、レーヨン、PET等)により異なり、その目標値及び目標範囲も異なるため、上記した水分率コントロール装置30の制御には、有機繊維コード50の材質毎に異なる水分率の目標値及び目標範囲を使用する。従って、制御装置40のメモリ43に、複数の材質毎の各目標値及び目標範囲を予め記憶しておき、有機繊維コード50の材質に合わせて使用する各目標値及び目標範囲を選択できるようにする。
【0045】
また、以上の実施形態では、有機繊維コード50の水分率の測定値(ここでは、非接触水分計32の指示値である水分率データ値)を、その目標範囲の中央値である目標値と対比したが、その他に、例えば目標範囲(目標値の上下限値)と対比して、その差に応じて出力を変更制御してもよい。同様に、対比の対象である水分率の測定値は、水分率データ値以外に、その値に対応する水分率をメモリ43の水分率変換テーブル45を用いて変換して算出し、算出した測定値とその目標値又は目標範囲(図1の目標水分率44)とを対比し、その対比結果に基づいて、マイクロ波の出力を変更制御してもよい。
【0046】
更に、この水分率コントロール装置30では、有機繊維コード50の水分率の測定値が、その目標範囲から外れたときにマイクロ波の出力を変更したが、水分率の測定値が目標範囲内であっても、目標範囲の中央値である目標値との差に応じて、マイクロ波の出力を変更制御するようにしてもよい。この場合には、有機繊維コード50の水分率が、常に目標値に近づくようにフィードバック制御されるため、その変動をより抑制することができる。
【0047】
なお、以上のようにして適切な水分率にコントロールされた有機繊維コード50は、次工程である熱処理装置に向かって移動し、熱処理装置内で高温加熱処理や熱延伸処理等が施される。これにより、有機繊維コード50を改質して物性を調整した後、巻取装置で巻き取ってゴム補強用コードを連続的に製造する。この熱処理装置は、熱風加熱式等の一般的なものでもよいが、有機繊維コード50に対して遠赤外線を照射して加熱処理する装置を用いた場合には、有機繊維コード50の表面を効果的かつ均一に加熱して処理時間を短縮できるとともに、その内部の加熱による温度上昇を抑制して特性劣化を防止できるため、より望ましい。
【0048】
また、本実施形態の乾燥装置31では、マイクロ波照射装置31B、31Cのみにより有機繊維コード50の乾燥を行ったが、乾燥装置31に熱風発生装置を併設し、マイクロ波による乾燥と、熱風による乾燥とを組み合わせて併用してもよい。
【0049】
(水分率コントロール試験)
本発明の効果を確認するため、以上説明した有機繊維コード50の水分率コントロール装置30を備えたゴム補強用コードの製造装置(以下、実施例という)と、従来の製造装置(以下、比較例という)とを使用し、有機繊維コード50に対し各種処理を施してゴム補強用コードを製造し、その水分率等を比較した。
【0050】
実施例と比較例の各装置はともに、有機繊維コード50にディップ液12を付着させるディップ液槽11を備えた付着装置10(図1参照)に加えて、同様に構成される乾燥装置31及び熱処理装置とを有する。乾燥装置31には、マイクロ波を発生して有機繊維コード50に照射するマイクロ波照射装置31B、31C(芝浦メカトロニクス社製TMG−490C(水冷式)、波長2450MHz)に熱風発生装置を併設して使用した。熱処理装置には、遠赤ヒータ(出力16kW/m)を使用し、有機繊維コード50に対し遠赤外線を照射して加熱するとともに、循環ファンにより装置内の気体を循環させた。
【0051】
以上に加えて、実施例の装置には、乾燥装置31の出口部に非接触水分計32(Sensortech Systems Inc.製ST2200A)を設置するとともに、マイクロ波の出力を変更制御する上記した制御装置40(図1参照)を設けた。これにより、有機繊維コード50の水分率コントロール装置30を構成し、以上説明した方法で、非接触水分計32の測定値に基づいて、マイクロ波の出力を変更制御してディップ液12が付着した有機繊維コード50を乾燥させ、その水分率をコントロールした。一方、比較例の装置には、これら非接触水分計32とマイクロ波の制御装置40を設けずに、乾燥装置31のマイクロ波照射装置31B、31Cの出力を一定値にして有機繊維コード50を乾燥させた。
【0052】
また、実施例及び比較例に用いた有機繊維コード50は、何れもPET、1100dtex、撚り構造1100dtex/2で撚数47回/10cm(上下共)の有機繊維コード50である。この有機繊維コード50を実施例及び比較例の各装置で処理してゴム補強用コードを製造し、その水分率を島津製作所製の電子式水分計を用いて測定した。
【0053】
まず、実施例の装置では、乾燥装置31のマイクロ波の出力を変化させて有機繊維コード50の水分率を測定し、マイクロ波の出力と水分率との関係を確認した。
図4は、この測定結果を示すグラフである。
図示のように、乾燥装置31のマイクロ波の出力が大きくなるほど有機繊維コード50の水分率が低下しており、マイクロ波の変化に連動して水分率が変化することが確認できる。
【0054】
次に、実施例及び比較例の装置によりゴム補強用コードを製造し、そのコード水分率の長手方向及び幅方向のばらつき(標準偏差:σ)を求めて比較するとともに、有機繊維コード50の水分率が0%に近づくことによる溶断確率(%)を求めて比較した。この結果を、表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
表1に示すように、比較例のコード水分率のばらつき(σ)は、長手方向及び幅方向共に0.07であるのに対し、実施例では共に0.03と低下していることが分かった。また、有機繊維コード50の水分率が0%に近づくことによる溶断確率は、比較例では3%であるのに対し、実施例では0%であり、このような溶断を完全に防止できることが分かった。
【0057】
以上の結果から、本発明により、乾燥後の有機繊維コード50の水分率が予め定められた目標範囲になるようにコントロール可能であり、その水分率の長手方向及び幅方向のばらつきを低減できるとともに、溶断の発生を防止して品質を安定化できることが証明された。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態のゴム補強用コードの製造装置における要部の構成を示す模式図である。
【図2】制御装置のメモリに記憶された有機繊維コードの水分率とマイクロ波の出力の対応関係を示すテーブルである。
【図3】水分率コントロール装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】マイクロ波の出力と水分率との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0059】
1・・・ゴム補強用コードの製造装置、2・・・プルロール、3、4、5・・・フリーロール、10・・・ディップ液の付着装置、11・・・ディップ液槽、12・・・ディップ液、20・・・絞取装置、21、22、23・・・絞りロール、30・・・有機繊維コードの水分率コントロール装置、31・・・乾燥装置、31B、31C・・・マイクロ波照射装置、32・・・非接触水分計、40・・・制御装置、50・・・有機繊維コード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする有機繊維コードの水分率コントロール方法であって、
前記ディップ液が付着した有機繊維コードに対してマイクロ波を照射して乾燥する工程と、
該乾燥させた有機繊維コードの水分率を測定する工程と、
該水分率の測定値と予め定められた該水分率の目標値とを対比する工程と、
該対比結果に基づいて、前記マイクロ波の出力を変更する工程と、
を有することを特徴とする有機繊維コードの水分率コントロール方法。
【請求項2】
請求項1に記載された有機繊維コードの水分率コントロール方法において、
前記マイクロ波の出力を変更する工程は、前記マイクロ波の出力を前記水分率の測定値と前記水分率の目標値との差に応じて増強又は低下させることを特徴とする有機繊維コードの水分率コントロール方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された有機繊維コードの水分率コントロール方法において、
前記有機繊維コードは、1本又は複数本の緯糸を有さない単線の有機繊維コード又はすだれ織りされた有機繊維コードであることを特徴とする有機繊維コードの水分率コントロール方法。
【請求項4】
有機繊維コードを改質してゴム補強用コードを製造するゴム補強用コードの製造方法であって、
前記有機繊維コードにディップ液を付着させる工程と、
請求項1ないし3のいずれかに記載された有機繊維コードの水分率コントロール方法により前記ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする工程と、
該水分率がコントロールされた有機繊維コードを改質する熱処理工程と、
を有することを特徴とするゴム補強用コードの製造方法。
【請求項5】
ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする有機繊維コードの水分率コントロール装置であって、
前記ディップ液が付着した有機繊維コードに対してマイクロ波を照射して乾燥する乾燥装置と、
該乾燥させた有機繊維コードの水分率を測定する測定手段と、
該水分率の測定値と予め定められた該水分率の目標値とを対比し、該対比結果に基づいて、前記乾燥装置のマイクロ波の出力を変更制御する制御装置と、
を有することを特徴とする有機繊維コードの水分率コントロール装置。
【請求項6】
請求項5に記載された有機繊維コードの水分率コントロール装置において、
前記有機繊維コードは、1本又は複数本の緯糸を有さない単線の有機繊維コード又はすだれ織りされた有機繊維コードであることを特徴とする有機繊維コードの水分率コントロール装置。
【請求項7】
有機繊維コードを改質してゴム補強用コードを製造するゴム補強用コードの製造装置であって、
前記有機繊維コードにディップ液を付着させる付着装置と、
該ディップ液が付着した有機繊維コードを乾燥させ、該乾燥後の有機繊維コードの水分率をコントロールする請求項5又は6に記載された有機繊維コードの水分率コントロール装置と、
該水分率がコントロールされた有機繊維コードを改質する熱処理装置と、
を有することを特徴とするゴム補強用コードの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−31563(P2008−31563A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−202880(P2006−202880)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】