説明

有機電界発光素子

【課題】発光効率が高く、長寿命を有する有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】
陽極と陰極との間に配置された発光層と、該陰極と該発光層との間に配置された電子輸送層と、該陽極と該発光層との間に配置された正孔輸送層と、該電子輸送層と該発光層との間に配置され、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含むバッファー層と、を有する有機電界発光素子により解決する。
【化92】



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子に関する。より詳しくは、特定の化合物を含むバッファー層を用いることによって、発光効率、寿命などを改善させた有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、自己発光型の発光素子であり、表示用または照明用の発光素子として期待されている。有機電界発光素子としては、例えば、蛍光発光を利用する蛍光発光素子や、燐光発光を利用する有機電界燐光発光素子(以下、燐光発光素子と称することがある)が知られている(例えば、米国特許第6097147号明細書:特許文献1参照)。蛍光発光素子のように蛍光のみを利用して発光させる場合は、励起一重項状態を利用する。一方、燐光発光素子は三重項状態の励起エネルギーが発光に寄与する。
【0003】
有機電界発光素子の発光効率を向上させたり、発光色を望ましいものに制御したりするために、発光層と陰極の間に、発光層からの正孔の移動を制限する正孔阻止層を設けることが提案されている。この正孔阻止層によって、正孔を発光層中に蓄積させ、電子との再結合確率を向上させ、発光の高効率化を達成することができる。正孔阻止材料としてフェナントロリン誘導体(特開平10−79297号公報:特許文献2参照)、トリアゾール誘導体(特開平10−233284号公報:特許文献3参照)が有効であると報告されている。また、燐光発光素子においても、フェナントロリン(Appl.Phys.Lett.75,4(1999):非特許文献1参照)やBAlq等のアルミキレート(Proc.SPIE,Vol.4105,p175−182(2000):非特許文献2参照)が正孔阻止層として用いられている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第6097147号明細書
【特許文献2】特開平10−79297号公報
【特許文献3】特開平10−233284号公報
【特許文献4】特開2005−93425号公報
【特許文献5】特表2004−525878号公報
【特許文献6】特表2005−501372号公報
【特許文献7】特開2001−93670号公報
【特許文献8】特開2000−294373号公報
【非特許文献1】Appl.Phys.Lett.75,4(1999)
【非特許文献2】Proc.SPIE,Vol.4105,p175−182(2000)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの正孔阻止材料を有機電界発光素子に用いても、必ずしも十分な発光効率と長寿命を有する有機電界発光素子は得られておらず、逆効果として、駆動電圧が高くなってしまうという問題がある。また、この問題は、特に発光層に青色の発光材料を用いた場合に顕著である。このような状況下、発光効率、素子寿命、駆動電圧などにおいて改善された有機電界発光素子の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、電子輸送層と発光層との間に一般式(I)から一般式(III)で表される化合物の少なくとも一つを含ませたバッファー層を設けることにより、発光効率、素子寿命、駆動電圧などにおいて改善された有機電界発光素子が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、以下のような有機電界発光素子を提供する。
[1]
陽極と陰極との間に配置された発光層と、
該陰極と該発光層との間に配置された電子輸送層と、
該陽極と該発光層との間に配置された正孔輸送層と、
該電子輸送層と該発光層との間に配置され、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含むバッファー層と、
を有する有機電界発光素子。
【化42】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
Xは、置換されていてもよいアリーレン基であり、
Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール基、置換ボリル基、または置換されていてもよいカルバゾール基であり、そして、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。)
【0008】
[2]
前記有機電界発光素子が、有機電界蛍光発光素子である、上記[1]に記載の有機電界発光素子。
【0009】
[3]
前記発光層が、少なくとも1つのアントラセン環を分子構造中に含む少なくとも1つの材料と、発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料とを含む、上記[2]に記載の有機電界発光素子。
【0010】
[4]
前記発光層が、少なくとも1つのピレン環を分子構造中に含む少なくとも1つの材料と、発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料とを含む、上記[2]に記載の有機電界発光素子。
【0011】
[5]
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つの置換アミノ基を分子構造中に含む、上記[3]に記載の有機電界発光素子。
【0012】
[6]
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つの置換アミノ基を分子構造中に含む、上記[4]に記載の有機電界発光素子。
【0013】
[7]
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのペリレン環を分子構造中に含む、上記[3]に記載の有機電界発光素子。
【0014】
[8]
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのペリレン環を分子構造中に含む、上記[4]に記載の有機電界発光素子。
【0015】
[9]
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのクマリン骨格を分子構造中に含む、上記[3]に記載の有機電界発光素子。
【0016】
[10]
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのクマリン骨格を分子構造中に含む、上記[4]に記載の有機電界発光素子。
【0017】
[11]
前記バッファー層が、下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種を含む上記[2]ないし上記[10]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化43】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
21およびR22は、それぞれ独立して、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレン基であり、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、
mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。)
【0018】
[12]
前記バッファー層が、下記一般式(III)で表される化合物の少なくとも一種を含む上記[2]ないし上記[10]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化44】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレン基であり、そして、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。)
【0019】
[13]
前記バッファー層が、下記一般式(IV)で表される化合物の少なくとも一種を含む上記[2]ないし上記[10]のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化45】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
は、置換されていてもよい炭素数10以下のアリーレン基であり、
は、置換されていてもよい炭素数14以下のアリール基であり、そして、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。)
【0020】
[14]
で表される、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレン基のうち、アリーレン部位は、それぞれ独立に、下記式(X-1)〜(X-9)のいずれかである、上記[11]又は上記[12]に記載の有機電界発光素子。
【化46】

(式中、
は、それぞれ独立してアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基である。)
【0021】
[15]
で表される、置換されていてもよい炭素数10以下のアリーレン基のうち、アリール部位は、フェニレン基またはナフチレン基であり、そして、
で表される、置換されていてもよい炭素数14以下のアリール基のうち、アリール部位は、下記式(Y-1)〜(Y-3)のいずれかである、上記[13]に記載の有機電界発光素子。
【化47】

【0022】
[16]
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-1)で表される化合物である、上記[11]に記載の有機電界発光素子。
【化48】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【0023】
[17]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、上記[16]に記載の有機電界発光素子。
【化49】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【0024】
[18]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、上記[16]に記載の有機電界発光素子。
【化50】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0025】
[19]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、上記[16]に記載の有機電界発光素子。
【化51】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0026】
[20]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、上記[16]に記載の有機電界発光素子。
【化52】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【0027】
[21]
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-2)で表される化合物である、上記[11]に記載の有機電界発光素子。
【化53】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【0028】
[22]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、上記[21]に記載の有機電界発光素子。
【化54】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【0029】
[23]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、上記[21]に記載の有機電界発光素子。
【化55】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0030】
[24]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、上記[21]に記載の有機電界発光素子。
【化56】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0031】
[25]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、上記[21]に記載の有機電界発光素子。
【化57】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【0032】
[26]
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-3)で表される化合物である、上記[11]に記載の有機電界発光素子。
【化58】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【0033】
[27]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、上記[26]に記載の有機電界発光素子。
【化59】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【0034】
[28]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、上記[26]に記載の有機電界発光素子。
【化60】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0035】
[29]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、上記[26]に記載の有機電界発光素子。
【化61】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0036】
[30]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、上記[26]に記載の有機電界発光素子。
【化62】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【0037】
[31]
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-4)で表される化合物である、上記[11]に記載の有機電界発光素子。
【化63】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【0038】
[32]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、上記[31]に記載の有機電界発光素子。
【化64】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【0039】
[33]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、上記[31]に記載の有機電界発光素子。
【化65】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0040】
[34]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、上記[31]に記載の有機電界発光素子。
【化66】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0041】
[35]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、上記[31]に記載の有機電界発光素子。
【化67】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【0042】
[36]
上記一般式(III)で表される化合物が、下記式(III-1)で表される化合物である、上記[12]に記載の有機電界発光素子。
【化68】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【0043】
[37]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、上記[36]に記載の有機電界発光素子。
【化69】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【0044】
[38]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、上記[36]に記載の有機電界発光素子。
【化70】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0045】
[39]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、上記[36]に記載の有機電界発光素子。
【化71】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0046】
[40]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、上記[36]に記載の有機電界発光素子。
【化72】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【0047】
[41]
上記一般式(IV)で表される化合物が、下記式(IV-1)で表される化合物である、上記[13]に記載の有機電界発光素子。
【化73】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【0048】
[42]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、上記[41]に記載の有機電界発光素子。
【化74】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【0049】
[43]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、上記[41]に記載の有機電界発光素子。
【化75】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0050】
[44]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、上記[41]に記載の有機電界発光素子。
【化76】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0051】
[45]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、上記[41]に記載の有機電界発光素子。
【化77】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【0052】
[46]
上記一般式(IV)で表される化合物が、下記式(IV-2)で表される化合物である、上記[13]に記載の有機電界発光素子。
【化78】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【0053】
[47]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、上記[46]に記載の有機電界発光素子。
【化79】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【0054】
[48]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、上記[46]に記載の有機電界発光素子。
【化80】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0055】
[49]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、上記[46]に記載の有機電界発光素子。
【化81】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【0056】
[50]
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、上記[46]に記載の有機電界発光素子。
【化82】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【0057】
[51]
上記[1]ないし上記[50]のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
【0058】
[52]
上記[1]ないし上記[50]のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。
【発明の効果】
【0059】
本発明の好ましい態様によれば、発光効率が高く、素子寿命が長く、また駆動電圧が低減した有機電界発光素子を提供することができる。特に、青色の蛍光発光素子として適用した場合には、従来の高い駆動電圧で素子寿命が短いなどの問題を解決することができる。さらに、この有効な有機電界発光素子を備えた表示装置および照明装置などを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
本発明の実施形態に係る有機電界発光素子について詳細に説明する。
本発明に係る有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に配置された発光層と、該陰極と該発光層との間に配置された電子輸送層と、該陽極と該発光層との間に配置された正孔輸送層と、該電子輸送層と該発光層との間に配置され、一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含むバッファー層と、を有する有機電界発光素子である。
本実施形態に係る有機電界発光素子としては、有機電界発光素子であれば特に制限はないが、蛍光発光素子が好ましい。
【0061】
以下、前記一般式(I)で表される化合物および有機電界発光素子について詳細に説明する。
1.一般式(I)で表される化合物
まず、前記一般式(I)で表される化合物について説明する。
【0062】
一般式(I)のR11およびR12における「アルキル基」としては、直鎖、分枝鎖、環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基または環状のアルキル基があげられる。具体的な「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基などがあげられる。好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜12のアルキル基である。より好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜6のアルキル基である。特に好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0063】
11およびR12における置換されていてもよいアリール基における「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基があげられる。具体的な「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などがあげられる。好ましい「アリール基」は、炭素数6〜12のアリール基である。さらに好ましい「アリール基」は、炭素数6〜10のアリール基である。特に好ましい「アリール基」は、フェニル基である。
【0064】
11およびR12における「置換シリル基」としては、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などがあげられる。
【0065】
11およびR12における置換されていてもよい窒素含有複素環基における「複素環基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に少なくとも1つの窒素原子を含み、それ以外として、酸素原子および硫黄原子から選ばれるヘテロ原子を含有してもよい複素環基などがあげられる。
【0066】
「複素環基」としては、例えば、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサジアゾリル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H−ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、キナゾリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、インドリジニル基などがあげられ、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、インドリル基、イソインドリル基、キノリル基、イソキノリル基、キナゾリル基、などが好ましい。
【0067】
13〜R16(R13,R14,R15及びR16)における「アルキル基」としては、直鎖、分枝鎖、環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基または環状のアルキル基があげられる。具体的な「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基などがあげられる。好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜12のアルキル基である。さらに好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜6のアルキル基である。特に好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0068】
13〜R16における置換されていてもよいアリール基における「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基があげられる。具体的な「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などがあげられる。好ましい「アリール基」は、炭素数6〜12のアリール基である。さらに好ましい「アリール基」は、炭素数6〜10のアリール基である。特に好ましい「アリール基」は、フェニル基である。
【0069】
11およびR12における「置換基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、トリフルオロメチル基などのアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などのアリール基;メチルフェニル基、エチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、1−メチルナフチル基、2−メチルナフチル基、4−メチルナフチル基、1,6−ジメチルナフチル基、4−t−ブチルナフチル基などのアルキルアリール基;ピリジル基、キナゾリニル基、キノリル基、ピリミジニル基、フリル基、チエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基、フェナントロリニル基などのヘテロ環基;シアノ基などがあげられる。置換基の数は、例えば、最大置換可能な数であり、好ましくは1個である。
【0070】
13〜R16における「置換基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基、トリフルオロメチル基などのアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などのアリール基;メチルフェニル基、エチルフェニル基、s−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、1−メチルナフチル基、2−メチルナフチル基、4−メチルナフチル基、1,6−ジメチルナフチル基、4−t−ブチルナフチル基などのアルキルアリール基などがあげられる。
【0071】
置換されていてもよいアリール基における好ましい「置換基」は、アルキル基およびアリール基である。さらに好ましい「置換基」は、炭素数1から12のアルキル基および炭素数6から10のアリール基である。特に好ましい「置換基」は、メチル基、t−ブチル基およびフェニル基である。
【0072】
好ましいR11およびR12は、水素原子、アルキル基、アリール基である。さらに好ましいR11およびR12は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜10の置換されていてもよいアリール基である。特に好ましいR11およびR12は、水素原子、メチル基、イソプロピル基および炭素数1〜12のアルキル基もしくは炭素数6〜12のアリール基で置換されていてもよい炭素数6〜10のアリール基である。とりわけ好ましいR11およびR12は、水素原子、メチル基およびイソプロピル基である。
【0073】
nは、それぞれ独立して0〜3の整数であり、それぞれ独立して、0,1,2,又は3の値をとり、好ましくは1である。特に、nが1であることが好ましく、nが1のときには、ホウ素が結合する位置を基準として、2つのオルト位及びパラ位に置換基を有することが好ましい。
【0074】
Xにおける「アリーレン基」としては、例えば、炭素数6〜70のアリーレン基があげられる。具体的な「アリーレン基」としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、ピレニレン基、トリフェニレニレン基などがあげられる。好ましい「アリーレン基」は、炭素数6〜44のアリーレン基である。さらに好ましい「アリーレン基」は、炭素数6〜20のアリーレン基である。
【0075】
また、Xにおける「アリーレン基」としては、複素環基が挙げられる。
【0076】
「複素環基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する芳香族複素環基などがあげられる。
【0077】
「芳香族複素環基」としては、例えば、フリレン基、チエニレン基、ピロリレン基、オキサゾリレン基、イソオキサゾリレン基、チアゾリレン基、イソチアゾリレン基、イミダゾリレン基、ピラゾリレン基、オキサジアゾリレン基、フラザニレン基、チアジアゾリレン基、トリアゾリレン基、テトラゾリレン基、ピリジレン基、ピリミジニレン基、ピリダジニレン基、ピラジニレン基、トリアジニレン基、ベンゾフラニレン基、イソベンゾフラニレン基、ベンゾ[b]チエニレン基、インドリレン基、イソインドリレン基、1H−インダゾリレン基、ベンズイミダゾリレン基、ベンゾオキサゾリレン基、ベンゾチアゾリレン基、1H−ベンゾトリアゾリレン基、キノリレン基、イソキノリレン基、シンノリレン基、キナゾリレン基、キノキサリニレン基、フタラジニレン基、ナフチリジニレン基、プリニレン基、プテリジニレン基、カルバゾリレン基、アクリジニレン基、フェノキサジニレン基、フェノチアジニレン基、フェナジニレン基、フェノキサチイニレン基、チアントレニレン基、インドリジニレン基などがあげられる。
【0078】
Xにおける「置換基」としては、例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい複素環基、またはシアノ基などがあげられる。
【0079】
置換されていてもよいアルキル基における「アルキル基」としては、直鎖、分枝鎖、環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基または環状のアルキル基があげられる。具体的な「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基などがあげられる。好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜12のアルキル基である。さらに好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜6のアルキル基である。特に好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0080】
置換されていてもよいアリール基における「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基があげられる。具体的な「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などがあげられる。好ましい「アリール基」は、炭素数6〜12のアリール基である。さらに好ましい「アリール基」は、炭素数6〜10のアリール基である。特に好ましい「アリール基」は、フェニル基である。
【0081】
「置換シリル基」としては、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などがあげられる。
【0082】
置換されていてもよい複素環基における「複素環基」としては、芳香族複素環基があげられる。
【0083】
「芳香族複素環基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する芳香族複素環基などがあげられる。
【0084】
「芳香族複素環基」としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾ[b]チエニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H−ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、キナゾリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、フェノキサチイニル基、チアントレニル基、インドリジニル基などがあげられる。
【0085】
置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換シリル基、および置換されていてもよい複素環基における「置換基」としては、R11およびR12における「置換基」と同様のものがあげられる。
【0086】
Xにおける好ましい「置換基」は、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、およびシアノ基である。さらに好ましい「置換基」は、炭素数6〜12の置換されていてもよいアリール基である。特に、置換基がない状態が最も好ましい。
【0087】
Yにおける置換されていてもよいアリール基の「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜16のアリール基があげられる。具体的な「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基などがあげられる。好ましい「アリール基」は、炭素数6〜10のアリール基である。
【0088】
Yにおける置換されていてもよいアリール基の「置換基」としては、例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい複素環基、またはシアノ基などがあげられる。
【0089】
置換されていてもよいアルキル基における「アルキル基」としては、直鎖、分枝鎖、環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基または環状のアルキル基があげられる。具体的な「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基などがあげられる。好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜12のアルキル基である。さらに好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜6のアルキル基である。特に好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0090】
置換されていてもよいアリール基における「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基があげられる。具体的な「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などがあげられる。好ましい「アリール基」は、炭素数6〜12のアリール基である。さらに好ましい「アリール基」は、炭素数6〜10のアリール基である。特に好ましい「アリール基」は、フェニル基である。
【0091】
「置換シリル基」としては、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などがあげられる。
【0092】
置換されていてもよい複素環基における「複素環基」としては、芳香族複素環基があげられる。
【0093】
「芳香族複素環基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する芳香族複素環基などがあげられる。
【0094】
「芳香族複素環基」としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾ[b]チエニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H−ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、キナゾリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、フェノキサチイニル基、チアントレニル基、インドリジニル基などがあげられる。
【0095】
置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換シリル基、および置換されていてもよい複素環基における「置換基」としては、R11およびR12における「置換基」と同様のものがあげられる。
【0096】
Yにおける好ましい「置換基」は、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、およびシアノ基である。さらに好ましい「置換基」は、炭素数6〜12の置換されていてもよいアリール基である。特に、置換基がない状態が最も好ましい。
【0097】
Yにおける置換ボリル基の「置換基」としては、例えば、オルトジ置換フェニル基があげられる。具体的な「置換基」としては、キシリル基、メシチル基、ジイソプロピルフェニル基、トリイソプロピルフェニル基、ターフェニル基などがあげられる。好ましい「置換基」は、キシリル基、メシチル基、ターフェニル基である。
【0098】
Yにおける置換されていてもよいカルバゾリル基の「カルバゾリル基」としては、例えば、9−カルバゾリル基およびN−フェニルカルバゾリル基があげられる。具体的な「カルバゾリル基」としては、9−カルバゾリル基、N−フェニル−2−カルバゾリル基などがあげられる。好ましい「カルバゾリル基」は、9−カルバゾリル基である。
【0099】
Yにおける置換されていてもよいカルバゾリル基の「置換基」としては、例えば、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい複素環基、またはシアノ基などがあげられる。
【0100】
置換されていてもよいアルキル基における「アルキル基」としては、直鎖、分枝鎖、環状のいずれでもよく、例えば、炭素数1〜20の直鎖もしくは分枝鎖状のアルキル基または環状のアルキル基があげられる。具体的な「アルキル基」としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘプチル基、オクチル基、シクロオクチル基などがあげられる。好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜12のアルキル基である。さらに好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜6のアルキル基である。特に好ましい「アルキル基」は、炭素数1〜4のアルキル基である。
【0101】
置換されていてもよいアリール基における「アリール基」としては、例えば、炭素数6〜18のアリール基があげられる。具体的な「アリール基」としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基などがあげられる。好ましい「アリール基」は、炭素数6〜12のアリール基である。さらに好ましい「アリール基」は、炭素数6〜10のアリール基である。特に好ましい「アリール基」は、フェニル基である。
【0102】
「置換シリル基」としては、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基などがあげられる。
【0103】
置換されていてもよい複素環基における「複素環基」としては、芳香族複素環基があげられる。
【0104】
「芳香族複素環基」としては、例えば環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし5個含有する芳香族複素環基などがあげられる。
【0105】
「芳香族複素環基」としては、例えば、フリル基、チエニル基、ピロリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、オキサジアゾリル基、フラザニル基、チアジアゾリル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾ[b]チエニル基、インドリル基、イソインドリル基、1H−インダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、1H−ベンゾトリアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、シンノリル基、キナゾリル基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、プリニル基、プテリジニル基、カルバゾリル基、アクリジニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジニル基、フェノキサチイニル基、チアントレニル基、インドリジニル基などがあげられる。
【0106】
置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換シリル基、および置換されていてもよい複素環基における「置換基」としては、R11およびR12における「置換基」と同様のものがあげられる。
【0107】
Yにおける好ましい「置換基」は、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、およびシアノ基である。さらに好ましい「置換基」は、炭素数6〜12の置換されていてもよいアリール基である。特に、置換基がない状態が最も好ましい。
【0108】
一般式(I)で表される化合物の具体例としては、例えば、上記式(II)〜(IV)で表される化合物をあげることができる。式中、R11〜R16(R11,R12,R13,R14,R15及びR16)としては、前記一般式(I)について例示したR11〜R16と同様のものがあげられ、同様のものが好ましい。また、R21及びR22としては、前記一般式(I)について例示したR11〜R16と同様のものがあげられる。
【0109】
上記式(II)〜(IV)中、nは、上記一般式(I)について例示したnと同様のものが好ましい。また、mは、それぞれ独立して0〜4の整数であり、それぞれ独立して、0,1,2,3又は4の値をとり、好ましくは0〜2である。特に、mが0であることが好ましい。
【0110】
上記式(II)〜(IV)中、Xで表される、置換されていてもよいアリーレン基のうち、アリーレン部位は、なかでも、上記式(X-1)〜(X-9)で表されるアリーレン部位が好ましく、特に、上記式(X-1)〜(X-4)で表されるアリーレン部位が好ましい。式中、Rとしては、アルキル基もしくは置換されていてもよいアリール基があげられ、メチル基、ヘキシル基およびフェニル基が好ましい。また、Yで表される、置換されていてもよいアリール基のうち、アリール部位は、上記式(Y-1)〜(Y-3)で表されるアリール部位が好ましい。
【0111】
一般式(I)で表される化合物の、更なる具体例としては、例えば、上記式(II-1)〜(II-4)、(III-1)、および(IV-1)〜(IV-2)で表される化合物をあげることができる。式中、R31〜R36(R31,R32,R33,R34,R35及びR36)としては、前記一般式(I)について例示したR11〜R16と同様のものがあげられ、同様のものが好ましい。特に好ましくは、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。
【0112】
2.一般式(I)で表される化合物の製造方法
一般式(I)で表される化合物は、公知の化合物を用いて、公知の合成法により製造することができる。例えば、下記一般式(a)で表される、ハロゲン化アリールに塩基を作用させた後、一般式(b)で表されるボラン誘導体を反応させることにより合成することができる。式(a)及び式(b)で表す化合物は、それぞれ公知の化合物を用いるか、又は公知の化合物を用いて公知の合成法により製造することができる。
【0113】
【化83】

式中、X、Yは前記と同じ意味を表わし、Wはハロゲン原子、Wは塩素、フッ素、メトキシ基、イソプロポキシ基を表わす。また、この製造法において用いられる塩基とは、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウムなどの有機リチウム試薬、マグネシウム、マグネシウムブロマイドなどのマグネシウム試薬等である。
【0114】
更に、Yが置換されていてもよい炭素数16以下のアリール基の場合は、下記一般式(c)で表されるハロゲン化アリールに塩基を作用させた後、一般式(b)のボラン誘導体を反応させて一般式(d)の化合物を得、続いて、この一般式(d)の化合物に下記一般式(e)の化合物を反応させることによっても合成することができる。式(c)及び式(e)で表す化合物は、それぞれ公知の化合物を用いるか、又は公知の化合物を用いて公知の合成法により製造することができる。
【0115】
【化84】

式中、X、Yは前記と同じ意味を表わし、Wはハロゲン原子を表わす。Wはハロゲン原子または、ハロゲン原子、トリフラート、ボロン酸およびボロン酸エステルを表わす。また、Wは、ハロゲン原子、トリフラート、ボロン酸およびボロン酸エステル等である。なお、一般式(d)と一般式(e)との反応には、鈴木カップリング反応や根岸カップリング反応が利用できるが、特にこの合成法に制限されない。
【0116】
また、一般式(I)の化合物に結合する種々の置換基については、式(a)、式(b)、式(c)及び式(e)の化合物のように最初に置換基を結合させた状態で上記反応を行ってもよいし、上記反応を行った後にこれらの置換基を結合させてもよい。
【0117】
反応温度及び反応時間については、ハロゲンと塩基とを反応させる場合には、反応温度は例えば−120℃〜0℃、好ましくは−90〜−50℃であり、反応時間は10分〜1時間程度であり、反応速度に応じて反応時間を調整することができる。また、鈴木カップリング反応や根岸カップリング反応の場合、反応温度は例えば還流温度であり、例えば、150℃〜0℃、好ましくは100〜40℃であり、反応時間は30分〜2時間程度であり、反応速度に応じて反応時間を調整することができる。
【0118】
これらの反応に用いられる溶媒としては、塩基に不活性な溶媒であれば特に制限はなく、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル系、ベンゼン、トルエンなどの芳香族系、ヘキサンなどの炭化水素系、またはDMFやNMPがあげられ、適宜用いることができる。
【0119】
一般式(II)〜(IV)で表される化合物は、一般式(I)の合成法における、X、Yを適宜、公知の化合物又は公知の化合物を用いて公知の合成法により製造した化合物に置き換えることで、合成することができる。
【0120】
3.有機電界発光素子
次に、本実施形態に係る有機電界発光素子を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。
【0121】
<有機電界発光素子の構造>
図1に示された有機電界発光素子100は、基板101と、基板101上に設けられた陽極102と、陽極102の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられたバッファー層106と、バッファー層106の上に設けられた電子輸送層107と、電子輸送層107の上に設けられた陰極108とを有する。
【0122】
なお、正孔注入層103および正孔輸送層104は、いずれか一つ以上を設けるのが好ましく、さらに二つとも設けるのが好ましい。また、有機電界発光素子100には、陰極108と発光層105との間、陰極108とバッファー層106との間、または陰極108と電子輸送層107との間に、さらに電子注入層が設けられてもよい。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
【0123】
なお、有機電界発光素子100は、作製順序を逆にして、例えば、基板101と、基板101上に設けられた陰極108と、陰極108の上に設けられた電子輸送層107と、電子輸送層107の上に設けられたバッファー層106と、バッファー層106の上に設けられた発光層105と、発光層105の上に設けられた正孔輸送層104と、正孔輸送層104の上に設けられた正孔注入層103と、正孔注入層103の上に設けられた陽極102とを有する構成としてもよい。この場合も、正孔注入層103および正孔輸送層104は、いずれか一つ以上を設けるのが好ましく、さらに二つとも設けるのが好ましい。また、有機電界発光素子100には、陰極108と発光層105との間、陰極108とバッファー層106との間、または陰極108と電子輸送層107との間に、さらに電子注入層が設けられてもよい。また、上記各層は、それぞれ単一層からなってもよいし、複数層からなってもよい。
【0124】
有機電界発光素子を構成する層の態様としては、上述する「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/バッファー層/電子輸送層/陰極」の構成態様の他に、「基板/陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/バッファー層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/バッファー層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/バッファー層/電子輸送層/陰極」、「基板/陽極/正孔注入層/発光層/バッファー層/陰極」又は「基板/陽極/正孔輸送層/発光層/バッファー層/陰極」の構成態様であってもよい。
【0125】
<有機電界発光素子における基板>
基板101は、有機電界発光素子100の支持体となるものであり、通常、石英、ガラス、金属、プラスチックなどが用いられる。基板101は、目的に応じて板状、フィルム状、またはシート状に形成され、例えば、ガラス板、金属板、金属箔、プラスチックフィルム、プラスチックシートなどが用いられる。なかでも、ガラス板、および、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂製の板が好ましい。ガラス基板であれば、ソーダライムガラスや無アルカリガラスなどが用いられ、また、厚みも機械的強度を保つのに十分な厚みがあればよいので、例えば、0.2mm以上あればよい。厚さの上限値としては、例えば、2mm以下、好ましくは1mm以下である。ガラスの材質については、ガラスからの溶出イオンが少ない方がよいので無アルカリガラスの方が好ましいが、SiOなどのバリアコートを施したソーダライムガラスも市販されているのでこれを使用することができる。また、基板101には、ガスバリア性を高めるために、少なくとも片面に緻密なシリコン酸化膜などのガスバリア膜を設けてもよく、特にガスバリア性が低い合成樹脂製の板、フィルムまたはシートを基板101として用いる場合にはガスバリア膜を設けるのが好ましい。
【0126】
<有機電界発光素子における陽極>
陽極102は、発光層105へ正孔を注入する役割を果たすものである。なお、陽極102と発光層105との間に正孔注入層103および/または正孔輸送層104が設けられている場合には、これらを介して発光層105へ正孔を注入することになる。
【0127】
陽極102を形成する材料としては、無機化合物および有機化合物があげられる。無機化合物としては、例えば、金属(アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、クロムなど)、金属酸化物(インジウムの酸化物、スズの酸化物、インジウム−スズ酸化物(ITO)など)、ハロゲン化金属(ヨウ化銅など)、硫化銅、カーボンブラック、ITOガラスやネサガラスなどがあげられる。有機化合物としては、例えば、ポリ(3−メチルチオフェン)などのポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性ポリマなどがあげられる。その他、有機電界発光素子の陽極として用いられている物質の中から適宜選択して用いることができる。
【0128】
透明電極の抵抗は、発光素子の発光に十分な電流が供給できればよいので限定されないが、発光素子の消費電力の観点からは低抵抗であることが望ましい。例えば、300Ω/cm以下のITO基板であれば素子電極として機能するが、現在では10Ω/cm程度の基板の供給も可能になっていることから、例えば100〜5Ω/cm、好ましくは50〜5Ω/cmの低抵抗品を使用することが特に望ましい。ITOの厚みは抵抗値に合わせて任意に選ぶ事ができるが、通常100〜300nmの間で用いられることが多い。
【0129】
<有機電界発光素子における正孔注入層、正孔輸送層>
正孔注入層103は、陽極102から移動してくる正孔を、効率よく発光層105内または正孔輸送層104内に注入する役割を果たすものである。正孔輸送層104は、陽極102から注入された正孔または陽極102から正孔注入層103を介して注入された正孔を、効率よく発光層105に輸送する役割を果たすものである。正孔注入層103および正孔輸送層104は、それぞれ、正孔注入・輸送材料の一種または二種以上を積層、混合するか、正孔注入・輸送材料と高分子結着剤の混合物により形成される。また、正孔注入・輸送材料に塩化鉄(III)のような無機塩を添加して層を形成してもよい。
【0130】
正孔注入・輸送性物質としては電界を与えられた電極間において正極からの正孔を効率よく注入・輸送することが必要で、正孔注入効率が高く、注入された正孔を効率よく輸送することが望ましい。そのためにはイオン化ポテンシャルが小さく、しかも正孔移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。
【0131】
正孔注入層103および正孔輸送層104を形成する材料としては、光導電材料において、正孔の電荷輸送材料として従来から慣用されている化合物、p型半導体、有機電界発光素子の正孔注入層および正孔輸送層に使用されている公知のものの中から任意のものを選択して用いることができる。それらの具体例は、カルバゾール誘導体(N−フェニルカルバゾール、ポリビニルカルバゾール等)、ビス(N−アリルカルバゾール)またはビス(N−アルキルカルバゾール)などのビスカルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体(芳香族第3級アミンを主鎖あるいは側鎖に持つポリマー、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジアミノビフェニル、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジナフチル−4,4’−ジアミノビフェニル(以下、NPDと略記する。)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、N,N’−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン、4,4’,4”−トリス(3−メチルフェニル(フェニル)アミノ)トリフェニルアミンなどのトリフェニルアミン誘導体、スターバーストアミン誘導体等、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体(無金属、銅フタロシアニン等)、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン系化合物、ベンゾフラン誘導体やチオフェン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ポルフィリン誘導体などの複素環化合物、ポリシラン等である。ポリマー系では前記単量体を側鎖に有するポリカーボネートやスチレン誘導体、ポリビニルカルバゾールおよびポリシランなどが好ましいが、発光素子の作製に必要な薄膜を形成し、陽極から正孔が注入できて、さらに正孔を輸送できる化合物であれば特に限定されるものではない。
【0132】
また、有機半導体の導電性は、そのドーピングにより、強い影響を受けることも知られている。このような有機半導体マトリックス物質は、電子供与性の良好な化合物、または、電子受容性の良好な化合物から構成されている。電子供与物質のドーピングのために、テトラシアノキノンジメタン(TCNQ)または2,3,5,6−テトラフルオロテトラシアノ−1,4−ベンゾキノンジメタン(F4TCNQ)などの強い電子受容体が知られている(例えば、文献「M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998)」及び文献「J.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)」を参照)。M.Pfeiffer,A.Beyer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(22),3202-3204(1998).およびJ.Blochwitz,M.Pheiffer,T.Fritz,K.Leo,Appl.Phys.Lett.,73(6),729-731(1998)。これらは、電子供与型ベース物質(正孔輸送物質)における電子移動プロセスによって、いわゆる正孔を生成する。正孔の数および移動度によって、ベース物質の伝導性が、かなり大きく変化する。正孔輸送特性を有するマトリックス物質としては、例えばベンジジン誘導体(TPDなど)またはスターバーストアミン誘導体(TDATAなど)、あるいは、特定の金属フタロシアニン(特に、亜鉛フタロシアニンZnPcなど)が知られている(特開2005−167175号公報)。
【0133】
<有機電界発光素子における発光層>
発光層105は、電界を与えられた電極間において、陽極102から注入された正孔と、陰極108から注入された電子とを再結合させることにより発光するものである。発光層105を形成する材料としては、正孔と電子との再結合によって励起されて発光する化合物(発光性化合物)であればよく、安定な薄膜形状を形成することができ、かつ、固体状態で強い発光効率を示す化合物であるのが好ましい。
【0134】
発光層は単一層でも複数層からなってもどちらでもよく、それぞれ発光材料(ホスト材料、ドーパント材料)により形成され、これはホスト材料とドーパント材料との混合物であっても、ホスト材料単独であっても、いずれでもよい。すなわち、発光層の各層において、ホスト材料もしくはドーパント材料のみが発光してもよいし、ホスト材料とドーパント材料がともに発光してもよい。ホスト材料とドーパント材料は、それぞれ一種類であっても、複数の組み合わせであっても、いずれでもよい。ドーパント材料はホスト材料の全体に含まれていても、部分的に含まれていても、いずれであってもよい。ドーパント材料の量は、多すぎると濃度消光現象が起きるため、ホスト材料に対して10〜1重量%で用いることが好ましく、さらに好ましくは5〜2重量%以下である。ドーピング方法としては、ホスト材料との共蒸着法によって形成することができるが、ホスト材料と予め混合してから同時に蒸着してもよい。
【0135】
好ましい青色系発光としては、ピーク波長が400〜500nmにあればよく、好ましくは400〜480nm、より好ましくは420〜480nm、更に好ましくは430〜480nmである。発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料としては、少なくとも1つの置換アミノ基を分子構造中に含む材料、少なくとも1つのペリレン環を分子構造中に含む材料又は少なくとも1つのクマリン骨格を分子構造中に含む材料などがあげられる。また、これらの材料を用いる場合、発光層には、少なくとも1つのアントラセン環を分子構造中に含む材料又は少なくとも1つのピレン環を分子構造中に含む材料を含ませることが好ましい。なお、蛍光発光とは、スピン多重度が同じ状態間の遷移による発光を指し、燐光発光とはスピン多重度の異なる状態間の遷移による発光を指す。例えば、一重項励起状態から基底状態(一般に、有機化合物の基底状態は一重項である)への遷移に伴う発光は蛍光発光であり、三重項励起状態から基底状態への遷移に伴う発光は燐光発光である。
【0136】
ドーパント材料としては、特に限定されるものではなく、既知の化合物を用いることができ、所望の発光色に応じて様々な材料の中から選択することができる。具体的には、例えば、フェナンスレン、アントラセン、ピレン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ナフトピレン、ジベンゾピレンおよびルブレンなどの縮合環誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズトリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、スチルベン誘導体、チオフェン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体(特開平1−245087号公報)、ビススチリルアリーレン誘導体(特開平2−247278号公報)、ジアザインダセン誘導体、フラン誘導体、ベンゾフラン誘導体、フェニルイソベンゾフラン、ジメシチルイソベンゾフラン、ジ(2−メチルフェニル)イソベンゾフラン、ジ(2−トリフルオロメチルフェニル)イソベンゾフラン、フェニルイソベンゾフランなどのイソベンゾフラン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、7−ジアルキルアミノクマリン誘導体、7−ピペリジノクマリン誘導体、7−ヒドロキシクマリン誘導体、7−メトキシクマリン誘導体、7−アセトキシクマリン誘導体、3−ベンズチアゾリルクマリン誘導体、3−ベンズイミダゾリルクマリン誘導体、3−ベンズオキサゾリルクマリン誘導体などのクマリン誘導体、ジシアノメチレンピラン誘導体、ジシアノメチレンチオピラン誘導体、ポリメチン誘導体、シアニン誘導体、オキソベンズアンスラセン誘導体、キサンテン誘導体、ローダミン誘導体、フルオレセイン誘導体、ピリリウム誘導体、カルボスチリル誘導体、アクリジン誘導体、オキサジン誘導体、フェニレンオキサイド誘導体、キナクリドン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、フロピリジン誘導体、1,2,5−チアジアゾロピレン誘導体、ピロメテン誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、アクリドン誘導体およびジアザフラビン誘導体などが挙げられる。
【0137】
発色光ごとに例示すると、青〜青緑色ドーパント材料としては、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、トリフェニレン、ペリレン、フルオレン、インデンなどの芳香族炭化水素化合物やその誘導体、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン、チオキサンテンなどの芳香族複素環化合物やその誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、スチルベン誘導体、アルダジン誘導体、クマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾールなどのアゾール誘導体およびその金属錯体およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミンに代表される芳香族アミン誘導体などが挙げられる。
【0138】
また、緑〜黄色ドーパント材料としては、クマリン誘導体、フタルイミド誘導体、ナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、ピロロピロール誘導体、シクロペンタジエン誘導体、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体およびルブレンなどのナフタセン誘導体などが挙げられ、さらに上記青〜青緑色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
【0139】
さらに、橙〜赤色ドーパント材料としては、ビス(ジイソプロピルフェニル)ペリレンテトラカルボン酸イミドなどのナフタルイミド誘導体、ペリノン誘導体、アセチルアセトンやベンゾイルアセトンとフェナントロリンなどを配位子とするEu錯体などの希土類錯体、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピランやその類縁体、マグネシウムフタロシアニン、アルミニウムクロロフタロシアニンなどの金属フタロシアニン誘導体、ローダミン化合物、デアザフラビン誘導体、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、フェノキサジン誘導体、オキサジン誘導体、キナゾリン誘導体、ピロロピリジン誘導体、スクアリリウム誘導体、ビオラントロン誘導体、フェナジン誘導体、フェノキサゾン誘導体およびチアジアゾロピレン誘導体など挙げられ、さらに上記青〜青緑色および緑〜黄色ドーパント材料として例示した化合物に、アリール基、ヘテロアリール基、アリールビニル基、アミノ基、シアノ基など長波長化を可能とする置換基を導入した化合物も好適な例として挙げられる。
【0140】
その他、ドーパントとしては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
【0141】
また、ホスト材料としては、特に限定されるものではないが、以前から発光体として知られていたアントラセンやピレンなどの縮合環誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムをはじめとする金属キレート化オキシノイド化合物、ビススチリルアントラセン誘導体やジスチリルベンゼン誘導体などのビススチリル誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピロロピリジン誘導体、ペリノン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、ピロロピロール誘導体、ポリマー系では、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、そして、ポリチオフェン誘導体が好適に用いられる。
【0142】
その他、ホスト材料としては、化学工業2004年6月号13頁、および、それにあげられた参考文献などに記載された化合物などの中から適宜選択して用いることができる。
【0143】
<有機電界発光素子におけるバッファー層>
バッファー層106は、下記述べる種々の機能を有し得る層である。例えば、バッファー層106は、発光層105内での正孔及び電子などから形成されるエネルギー状態を発光層内に閉じ込めておく、エネルギーブロッキング効果を有する層である。また、バッファー層106は、正孔と電子とを発光層105内に閉じ込めて、発光効率を向上させる役割を果たす、正孔を阻止する機能を有していてもよい。また、バッファー層106は、特開平2005−93425に開示されているような、第1電子輸送層からの電子を効率よく発光層に伝達する役割を有する「第2電子輸送層」の機能を有していてもよい。
【0144】
本実施形態におけるバッファー層106は、一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物を含み、さらに、他の物質を含んでもよい。一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物と共にバッファー層106を形成する材料としては、例えば、金属錯体(混合配位子錯体、二核金属錯体など)、スチリル化合物(ジスチリルビフェニル誘導体など)、トリアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体などがあげられる。正孔を阻止する機能を有する場合には、バッファー層106は、陽極102から移動してくる正孔が陰極108に到達するのを阻止し、陰極108から注入された電子を効率よく発光層105の方向に輸送することができる物質を用いてもよい。
【0145】
バッファー層106における一般式(I)、一般式(II)、一般式(III)又は一般式(IV)で表される化合物の含有量は、1〜100重量%、さらに10〜100重量%、特に50〜100重量%、とりわけ80〜100重量%が好ましい。
【0146】
<有機電界発光素子における電子注入層、電子輸送層>
電子輸送層107は、陰極108から注入された電子を、効率よく発光層105またはバッファー106に輸送する役割を果たすものである。電子注入層は、陰極108から移動してくる電子を、効率よく発光層105内、バッファー層106内または電子輸送層107内に注入する役割を果たすものである。
【0147】
電子注入・輸送層とは、陰極から電子が注入され、さらに電子を輸送することを司る層であり、電子注入効率が高く、注入された電子を効率よく輸送することが望ましい。そのためには電子親和力が大きく、しかも電子移動度が大きく、さらに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時および使用時に発生しにくい物質であることが好ましい。しかしながら、正孔と電子の輸送バランスを考えた場合に、陽極からの正孔が再結合せずに陰極側へ流れるのを効率よく阻止できる役割を主に果たす場合には、電子輸送能力がそれ程高くなくても、発光効率を向上させる効果は電子輸送能力が高い材料と同等に有する。したがって、本実施形態における電子注入・輸送層は、正孔の移動を効率よく阻止できる層の機能も含まれてもよい。
【0148】
電子輸送層および電子注入層を形成する材料としては、光導電材料において電子伝達化合物として従来から慣用されている化合物、有機電界発光素子の電子注入層および電子輸送層に使用されている公知の化合物の中から任意に選択して用いることができる。
【0149】
電子輸送層および電子注入層に用いられる材料としては、炭素、水素、酸素、硫黄、ケイ素およびリンの中から選ばれる一種以上の原子で構成される芳香環もしくは複素芳香環からなる化合物、ピロール誘導体およびその縮合環誘導体および電子受容性窒素を有する金属錯体の中から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましい。具体的には、ナフタレン、アントラセンなどの縮合環系芳香環誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルに代表されるスチリル系芳香環誘導体、ペリノン誘導体、クマリン誘導体、ナフタルイミド誘導体、アントラキノンやジフェノキノンなどのキノン誘導体、リンオキサイド誘導体、カルバゾール誘導体およびインドール誘導体などが挙げられる。電子受容性窒素を有する金属錯体としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどのキノリノール錯体やヒドロキシフェニルオキサゾール錯体などのヒドロキシアゾール錯体、アゾメチン錯体、トロポロン金属錯体、フラボノール金属錯体およびベンゾキノリン金属錯体などが挙げられる。これらの材料は単独でも用いられるが、異なる材料と混合して使用しても構わない。中でも、トリス(8−キノリノラト)アルミニウムなどのキノリノール錯体、9,10−ビス(2−ナフチル)アントラセンなどのアントラセン誘導体、4,4’−ビス(ジフェニルエテニル)ビフェニルなどのスチリル系芳香環誘導体、4,4’−ビス(N−カルバゾリル)ビフェニル、1,3,5−トリス(N−カルバゾリル)ベンゼンなどのカルバゾール誘導体が、耐久性の観点から好ましく用いられる。
【0150】
また、他の電子伝達化合物の具体例として、ピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ペリレン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チオフェン誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキシン誘導体の金属錯体、キノリノール系金属錯体、キノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体のポリマー、ベンザゾール類化合物、ガリウム錯体、ピラゾール誘導体、パーフルオロ化フェニレン誘導体、トリアジン誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、イミダゾピリジン誘導体、ボラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、ベンズオキサゾール誘導体、ベンズチアゾール誘導体、キノリン誘導体、ビピリジンやターピリジンなどのオリゴピリジン誘導体、ナフチリジン誘導体、アルダジン誘導体、ビススチリル誘導体などが挙げられる。
【0151】
中でもピリジン誘導体(例えば、2,5−ビス(6’−(2’,2”−ビピリジル))−1,1−ジメチル−3,4−ジフェニルシロール(以下、PyPySPyPyと略記する)、9,10−ジ(2’,2”−ビピリジル)アントラセン、2,5−ジ(2’,2”−ビピリジル)チオフェン、2,5−ジ(3’,2”−ビピリジル)チオフェン、6’6”−ジ(2−ピリジル)2,2’:4’,3”:2”,2”−クアテルピリジン等)、フェナントロリン誘導体(例えば、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチルー4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、9,10−ジ(1,10−フェナントロリン−2−イル)アントラセン、2,6−ジ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ピリジン、1,3,5−トリ(1,10−フェナントロリン−5−イル)ベンゼン、9,9’−ジフルオル−ビス(1,10−フェナントロリン−5−イル)、バソクプロインや1,3−ビス(2−フェニル−1,10−フェナントロリン−9−イル)ベンゼン等)、キノリノール系金属錯体(例えば、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(以下、Alq3と略記する。)、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリン)ベリリウム、トリス(4−メチル−8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム、ビス(2−メチル−8−ヒドロキシキノリン)−(4−フェニルフェノール)アルミニウム等)、トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼンなどのイミダゾール誘導体、1,3−ビス[(4−t−ブチルフェニル)1,3,4−オキサジアゾリル]フェニレンなどのオキサジアゾール誘導体、N−ナフチル−2,5−ジフェニル−1,3,4−トリアゾールなどのトリアゾール誘導体、2,2’−ビス(ベンゾ[h]キノリン−2−イル)−9,9’−スピロビフルオレンなどのベンゾキノリン誘導体、1,3−ビス(4’−(2,2’:6’2”−ターピリジニル))ベンゼンなどのターピリジン誘導体、ビス(1−ナフチル)−4−(1,8−ナフチリジン−2−イル)フェニルホスフィンオキサイドなどのナフチリジン誘導体が好適である。
特にピリジン誘導体、フェナントロリン誘導体を電子輸送層または電子注入層に用いると、低電圧、高効率を実現できる。
【0152】
また、フェナントロリン骨格を有する有機蛍光体を電子輸送層に用いた場合について説明する。長時間にわたって安定な発光を得るには、熱的安定性や薄膜形成性に優れた材料が望まれ、フェナントロリン骨格を有する有機蛍光体の中でも、置換基自身が三次元的立体構造を有するか、フェナントロリン骨格とのあるいは隣接置換基との立体反発により三次元的立体構造を有するもの、あるいは複数のフェナントロリン骨格を連結したものが好ましい。さらに、複数のフェナントロリン骨格を連結する場合、連結ユニット中に共役結合、置換もしくは無置換の芳香族炭化水素、置換もしくは無置換の芳香複素環を含んでいる化合物がより好ましい。上記のフェナントロリン骨格を有する有機蛍光体の具体例としては下記式(ETM-1)〜(ETM-31)のような構造があげられるが、これに限定されるものではない。
【0153】
【化85】

【0154】
【化86】

【0155】
【化87】

【0156】
<有機電界発光素子における陰極>
陰極108は、電子輸送層107およびバッファー層106を介して、発光層105に電子を注入する役割を果たすものである。なお、電子注入層が設けられる場合には、この層も介して発光層105に電子を注入することになる。
【0157】
陰極108を形成する材料としては、電子を有機層に効率よく注入できる物質であれば特に限定されないが、陽極102を形成する材料と同様のものを用いることができる。なかでも、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、アルミニウム、銀、銅、ニッケル、クロム、金、白金、鉄、錫、亜鉛、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウムおよびマグネシウムなどの金属またはそれらの合金(マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、フッ化リチウム/アルミニウムなどのアルミニウム−リチウム合金など)などが好ましい。電子注入効率をあげて素子特性を向上させるためには、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウムまたはこれら低仕事関数金属を含む合金が有効である。しかしながら、これらの低仕事関数金属は、一般に大気中で不安定であることが多く、例えば、有機層に微量のリチウム、セシウムやマグネシウム(真空蒸着の膜厚計表示で1nm以下)をドーピングして安定性の高い電極を使用する方法が好ましい例として挙げることができるが、フッ化リチウム、フッ化セシウム、酸化リチウムおよび酸化セシウムのような無機塩の使用も可能であることから特にこれらに限定されるものではない。
【0158】
更に、電極保護のために白金、金、銀、銅、鉄、錫、アルミニウムおよびインジウムなどの金属、またはこれら金属を用いた合金、そしてシリカ、チタニアおよび窒化ケイ素などの無機物、ポリビニルアルコール、塩化ビニル、炭化水素系高分子化合物などを積層することが、好ましい例として挙げられる。これらの電極の作製法も、抵抗加熱、電子線ビーム、スパッタリング、イオンプレーティングおよびコーティングなど、導通を取ることができれば特に制限されない。
【0159】
<各層で用いてもよい結着剤>
以上の正孔注入層、正孔輸送層、発光層、バッファー層および電子輸送層に用いられる材料は単独で各層を形成することができるが、高分子結着剤としてポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリエステル、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイド、ポリブタジエン、炭化水素樹脂、ケトン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリサルフォン、ポリアミド、エチルセルロース、酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリウレタン樹脂などの溶剤可溶性樹脂や、フェノール樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂などの硬化性樹脂などに分散させて用いることも可能である。
【0160】
<有機電界発光素子の作製方法>
有機電界発光素子を構成する各層は、各層を構成すべき材料を蒸着法、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング、分子積層法、印刷法、スピンコート法またはキャスト法、コーティング法等の方法で薄膜とすることにより、形成することができる。このようにして形成された各層の膜厚については特に限定はなく、材料の性質に応じて適宜設定することができるが、通常2nm〜5000nmの範囲である。膜厚は通常、水晶発振式膜厚測定装置などで測定できる。蒸着法を用いて薄膜化する場合、その蒸着条件は、材料の種類、膜の目的とする結晶構造および会合構造等により異なる。蒸着条件は一般的に、ボート加熱温度50〜400℃、真空度10-6〜10-3Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−150〜+300℃、膜厚2nm〜5μmの範囲で適宜設定することが好ましい。
【0161】
次に、有機電界発光素子を作製する方法の一例として、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光ホスト材料とドーパントからなる発光層/バッファー層/電子輸送層/陰極からなる有機電界発光素子の作製法について説明する。適当な基板上に、陽極材料の薄膜を蒸着法等により形成させて陽極を作製した後、この陽極上に正孔注入層および正孔輸送層の薄膜を形成させる。この上に発光ホスト材料とドーパントを共蒸着し薄膜を形成させて発光層とし、この発光層の上にバッファー層、電子輸送層を形成させ、さらに陰極用物質からなる薄膜を蒸着法等により形成させて陰極とすることにより、目的の有機電界発光素子が得られる。なお、上述の有機電界発光素子の作製においては、作製順序を逆にして、陰極、電子輸送層、バッファー層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に作製することも可能である。更に、電子注入層を設ける場合には、電子注入層の下層を形成した後、その上に電子注入層を蒸着法等により形成させればよい。
【0162】
このようにして得られた有機電界発光素子に直流電圧を印加する場合には、陽極を+、陰極を−の極性として印加すればよく、電圧2〜40V程度を印加すると、透明または半透明の電極側(陽極または陰極、および両方)より発光が観測できる。また、この有機電界発光素子は、パルス電流や交流電流を印加した場合にも発光する。なお、印加する交流の波形は任意でよい。
【0163】
<有機電界発光素子の応用例>
また、本発明は、有機電界発光素子を備えた表示装置または有機電界発光素子を備えた照明装置などにも関する。
有機電界発光素子を備えた表示装置または照明装置は、本実施形態にかかる有機電界発光素子と公知の駆動装置とを接続するなど公知の方法によって製造することができ、直流駆動、パルス駆動、交流駆動など公知の駆動方法を適宜用いて駆動することができる。
【0164】
表示装置としては、例えば、カラーフラットパネルディスプレイなどのパネルディスプレイ、フレキシブルカラー有機電界発光(EL)ディスプレイなどのフレキシブルディスプレイなどがあげられる(例えば、特開平10−335066号公報、特開2003−321546号公報、特開2004−281086号公報など参照)。また、ディスプレイの表示方式としては、例えば、マトリクスおよび/またはセグメント方式などが挙げられる。なお、マトリクス表示とセグメント表示は同じパネルの中に共存していてもよい。
【0165】
マトリクスとは、表示のための画素が格子状やモザイク状など二次元的に配置されたものをいい、画素の集合で文字や画像を表示する。画素の形状やサイズは用途によって決まる。例えば、パソコン、モニター、テレビの画像および文字表示には、通常一辺が300μm以下の四角形の画素が用いられ、また、表示パネルのような大型ディスプレイの場合は、一辺がmmオーダーの画素を用いることになる。モノクロ表示の場合は、同じ色の画素を配列すればよいが、カラー表示の場合には、赤、緑、青の画素を並べて表示させる。この場合、典型的にはデルタタイプとストライプタイプがある。そして、このマトリクスの駆動方法としては、線順次駆動方法やアクティブマトリックスのどちらでもよい。線順次駆動の方が構造が簡単であるという利点があるが、動作特性を考慮した場合、アクティブマトリックスの方が優れる場合があるので、これも用途によって使い分けることが必要である。
【0166】
セグメント方式(タイプ)とは、予め決められた情報を表示するようにパターンを形成し、決められた領域を発光させることになる。例えば、デジタル時計や温度計における時刻や温度表示、オーディオ機器や電磁調理器などの動作状態表示および自動車のパネル表示などが挙げられる。
【0167】
照明装置としては、例えば、室内照明などの照明装置、液晶表示装置のバックライトなどがあげられる(例えば、特開2003−257621号公報、特開2003−277741号公報、特開2004−119211号公報など参照)。バックライトは、主に自発光しない表示装置の視認性を向上させる目的に使用され、液晶表示装置、時計、オーディオ装置、自動車パネル、表示板および標識などに使用される。特に、液晶表示装置、中でも薄型化が課題となっているパソコン用途のバックライトとしては、従来方式のものが蛍光灯や導光板からなっているため薄型化が困難であることを考えると、本実施形態に係る発光素子を用いたバックライトは薄型で軽量が特徴になる。
【実施例】
【0168】
実施例1〜4に係る電界発光素子及び比較例1〜5に係る電界発光素子を作製し、それぞれ、10mA/cmの電流が流れる際の印加電圧(V)、輝度(cd/m)、発光効率(Lm/W)及び輝度半減時間(時間)の性能評価及び発光波長の測定を行った。以下、各実施例及び比較例について詳細に説明する。
【0169】
[実施例1]
ガラス基板上にITOを150nmの厚さに蒸着したものを透明支持基板とした。この透明支持基板を市販の蒸着装置の基板ホルダーに固定し、銅フタロシアニン(以下、記号CuPcで表記する)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニルベンジジン(以下、記号NPDで表記する)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、下記化合物(1)9−フェニル−10−[6−([1,1’;3,1'']ターフェニル−5’−イル)ナフタレン−2−イル]アントラセン(以下、記号BH1で表記する)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、下記化合物(2)で示すスチリルアミン誘導体であるN,N,N’,N’−テトラ(4−ビフェニリル)−4,4’−ジアミノスチルベン(以下、記号BD1で表記する)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、下記化合物(4)9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)フェニル]カルバゾール(以下、記号buffer1で表記する)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、化合物(6)2,5−ビス(6’−(2’,2’’−ビピリジル)−1,1−ジメチルー3,4−ジメシチルシロール(以下記号ETM1で表記する)を入れたモリブデン製蒸着用ボート、弗化リチウムを入れたモリブデン製蒸着用ボート、およびアルミニウムを入れたタングステン製蒸着用ボートを装着した。
【0170】
【化88】

【0171】
【化89】

【0172】
【化90】

【0173】
【化91】

【0174】
透明支持基板のITO膜の上に順次、下記各層を形成した。真空槽を1×10−3Paまで減圧し、まず、CuPcが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚20nmになるように蒸着して正孔注入層を形成し、ついで、NPDが入った蒸着用ボートを加熱して膜厚30nmになるように蒸着して正孔輸送層を形成した。次に、BH1が入った蒸着用ボートとBD1の入った蒸着用ボートを同時に加熱して膜厚20nmになるように蒸着して発光層を形成した。BH1とBD1の重量比がおよそ95対5になるように蒸着速度を調節した。次に、buffer1の入った蒸着用ボートを加熱して膜厚10nmになるように蒸着してバッファー層を得た。その後、ETM1を入れた蒸着用ボートを加熱して膜厚15nmになるように加熱して電子輸送層を形成した。各層の蒸着速度は0.001〜3.0nm/秒であった。
【0175】
その後、弗化リチウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚0.5nmになるように0.003〜0.01nm/秒の蒸着速度で蒸着し、次いで、アルミニウム入りの蒸着用ボートを加熱して膜厚100nmになるように0.1〜1nm/秒の蒸着速度で蒸着することにより、陰極を形成し、電界発光素子を得た。
【0176】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、4.29Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は800cd/m、発光効率は5.95Lm/Wで、波長455nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また11mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は1000時間以上であった。
【0177】
[比較例1]
実施例1で用いたバッファー層を形成するbuffer1の代わりに、ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニル−フェノラート)−アルミニウム(以下、記号BAlqで表記する)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0178】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、4.31Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は625cd/m、発光効率は4.55Lm/Wで、波長455nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また16mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は約150時間であった。
【0179】
[比較例2]
実施例1におけるバッファー層をなくし、発光層を20nmから30nmへ変更した以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0180】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、3.8Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は560cd/m、発光効率は4.64Lm/Wで、波長455nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また17mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は約100時間であった。
【0181】
[実施例2]
実施例1で用いた電子輸送層を形成するETM1の代わりに、上記化合物(7)9,10−ジ(2’,2’’−ビピリジル)アントラセン(以下、記号ETM2で表記する)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0182】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、4.18Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は709cd/m、発光効率は5.33Lm/Wで、波長455nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また13mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は1000時間以上であった。
【0183】
[比較例3]
実施例2におけるバッファー層をなくし、発光層を20nmから30nmへ変更した以外は、実施例2と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0184】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、3.52Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は383cd/m、発光効率は3.42Lm/Wで、波長455nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また23mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は約150時間であった。
【0185】
[実施例3]
実施例1で用いたバッファー層を形成するbuffer1の代わりに、上記化合物(5)9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)ナフタレン−1−イル]カルバゾール(以下、記号buffer2で表記する)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0186】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、4.17Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は650cd/m、発光効率は4.89Lm/Wで、波長455nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また16mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は約300時間であった。
【0187】
[比較例4]
実施例3で用いたバッファー層を形成するbuffer2の代わりに、10−(ジメシチルボリル)アントラセン(以下、記号MBAで表記する)を用いた以外は、実施例3と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0188】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、3.74Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は544cd/m、発光効率は4.56Lm/Wで、波長455nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また18mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は約150時間であった。
【0189】
[実施例4]
実施例1で用いたドーパントを構成するBD1の代わりに、上記化合物(3)3,10−ビス(2,6−ジメチルフェニル)ペリレン(以下、記号BD2で表記する)を用いた以外は、実施例1と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0190】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、4.22Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は600cd/m、発光効率は4.46Lm/Wで、波長468nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また17mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は約600時間であった。
【0191】
[比較例5]
実施例4におけるバッファー層をなくし、発光層を20nmから30nmへ変更した以外は、実施例4と全く同様にして電界発光素子を得た。
【0192】
ITO電極を陽極、弗化リチウム/アルミニウム電極を陰極として、4.19Vの直流電圧を印加すると、10mA/cmの電流が流れ、輝度は580cd/m、発光効率は4.34Lm/Wで、波長468nmをピークとするスペクトルを有する青色発光を得た。また18mA/cmの電流密度で連続駆動すると、初期輝度は約1000cd/mで、輝度半減時間は約290時間であった。
【0193】
下記表1は、上述した実施例1〜4に係る電界発光素子及び比較例1〜5に係る電界発光素子の性能評価及び測定した発光波長をまとめたものである。
【表1】

【参考例】
【0194】
なお、実施形態に係るバッファー層に用いることができる化合物のいくつかについて、製造例を説明する。
【0195】
(A) 9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)フェニル]カルバゾール(一般式(II-1)で表される化合物系)の製造方法
窒素ガス気流化、1−ブロモ−4−ジメシチルボリルナフタレン2.5gを含むテトラヒドロフラン溶液50mlを、−78℃に冷却し、これにn−ブチルリチウム1.6mol/Lのヘキサン溶液5mLを加えた。この溶液を−78℃で30分間攪拌した後、塩化亜鉛テトラメチルエチレンジアミン2.1gを加え、室温で15分間攪拌した。次に、PdCl(PPhを116mgと9−(4−ヨードフェニル)−カルバゾール3gを加えた後、還流温度で1時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、エバポレーターで濃縮したものを、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製し、目的物1gを得た。
【0196】
なお、1−ブロモ−4−ジメシチルボリルナフタレンの製造方法については以下のとおりである。
1,4−ジブロモナフタレン15gを含む、t−ブチルメチルエーテル350mL溶液を、−50℃に冷却し、この溶液にn−ブチルリチウム1.6mol/Lのヘキサン溶液36mlを加えた。この溶液を−70℃で30分間攪拌した後、ジメシチルボランフルオリド20gを加えた。次に、室温で16時間攪拌した後、純水を加え、有機層を抽出した。この有機層をエバポレータにより濃縮したものを、カラムクロマトグラフィーにより精製して、目的物を18g得た。
【0197】
(B) 9−[4−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)ナフタレン−1−イル]カルバゾール(一般式(II-2)で表される化合物系)の製造方法
1−ジメシチルボリル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキサボラン−2−イル)ナフタレン2g、9−(4−ブロモナフタレン−1−イル)−カルバゾール1.5g、酢酸パラジウム54mg、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル198mg、及びリン酸カリウム3.4gを含む、トルエン40mL、エタノール10mL及び純水10mLの混合溶液を、還流温度で16時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、純水を加え、有機層を抽出した。この有機層をエバポレーターにより濃縮したものを、カラムクロマトグラフィー、再結晶により精製し、目的物を1.4g得た。
【0198】
なお、1−ジメシチルボリル−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3−ジオキサボラン−2−イル)ナフタレンの製造方法については以下のとおりである。
1−ブロモ−4−ジメシチルボリルナフタレン14g、ビス(ピナコラート)ジボロン9.5g、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド760mg、及び酢酸カリウム9.1gを含む、ジメチルスルホキシド175ml溶液を、80℃で加熱し、2時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、純水を加え、有機層を抽出した。有機層をエバポレーターにより濃縮したものを、カラムクロマトグラフィーにより精製して、目的物を13g得た。
【0199】
また、9−(4−ブロモナフタレン−1−イル)−カルバゾールの製造方法については以下のとおりである。
窒素ガス気流化、カルバゾール3.1g、1−ブロモ−4−フルオロナフタレン5g、及び炭酸セシウム7.2gを含む、ジメチルスルホキシド100mL溶液を、150℃に加熱し、3時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、析出してきた沈殿物を濾別し、濾液をエバポレーターで濃縮した。次に、カラムクロマトグラフフィー及び再結晶により精製し、目的物を5.8g得た。
【0200】
(C) 9−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)−カルバゾール(一般式(II-3)で表される化合物系)の製造方法
上記製造方法(A)において、「9−(4−ブロモナフタレン−1−イル)−カルバゾール」と「ジメシチルボランフルオリド」との反応によって製造することができる。
【0201】
(D) 4,4’−ビスジメシチルボリル−1,1’−ビナフチル(一般式(III)にアリーレン部位(X-2)を適用した化合物系)の製造方法
1−ブロモ−4−ジメシチルボリルナフタレン0.91gを含む、テトラヒドロフラン溶液を、−78℃に冷却し、n−ブチルリチウム1.6mol/Lのヘキサン溶液1.25mLを加えた。この溶液を−78℃で30分間攪拌した後、塩化亜鉛テトラメチルエチレンジアミン0.5gを加え、室温で25分間攪拌した。次に、PdCl(PPhを28mg及び1−ブロモ−4−ジメシチルボリルナフタレン0.91gを加えた後、還流温度で2時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、純水を加え、有機層を抽出した。この有機層をエバポレーターで濃縮したものを、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製し、目的物475mgを得た。
【0202】
(E) 1,4−ビスジメシチルボリルナフタレン(一般式(III)にアリーレン部位(X-3)を適用した化合物系)の製造方法
1−ブロモ−4−ジメシチルボリルナフタレン5gを含む、t−ブチルメチルエーテル120mL溶液を、−78℃に冷却し、これにn−ブチルリチウム1.6mol/Lのヘキサン溶液8.3mLを加えた。この溶液を−78℃で40分間攪拌した後、ジメシチルボランフルオリド5.9gを加えた。次に、室温で17時間攪拌した後、純水を加え、有機層を抽出した。この有機層をエバポレータにより濃縮したものを、カラムクロマトグラフィー及び再結晶により精製して、目的物を2.1g得た。
【0203】
(F) 9−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)−アントラセン(一般式(IV)にアリール部位(Y-2)を適用した化合物系)の製造方法
1−ブロモ−4−ジメシチルボリルナフタレン1.37g、9−アントラセンボロン酸0.73g、及びPd(PPhを含む、トルエン20mL及びエタノール5mLの混合溶液に、純水5mLに炭酸ナトリウム0.64gを溶解させた溶液を加えた。次に、還流温度で3時間攪拌した。反応終了後、室温まで冷却し、純水を加え、有機層を抽出したものを、再結晶により精製し、目的物550mgを得た。
【0204】
(G) 9−(4−ジメシチルボリルナフタレン−1−イル)−10−フェニルアントラセン(一般式(IV)にアリール部位(Y-3)を適用した化合物系)の製造方法
上記製造方法(F)において、「9−アントラセンボロン酸」を「9−(10−フェニル)アントラセンボロン酸」に置き換えることにより製造した。
【産業上の利用可能性】
【0205】
本発明の好ましい態様によれば、例えば、発光効率が高く、長寿命を有する有機電界発光素子(特に、蛍光発光素子)、それを備えた表示装置およびそれを備えた照明装置などを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0206】
【図1】本実施形態に係る有機電界発光素子を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0207】
100 有機電界発光素子
101 基板
102 陽極
103 正孔注入層
104 正孔輸送層
105 発光層
106 バッファー層
107 電子輸送層
108 陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に配置された発光層と、
該陰極と該発光層との間に配置された電子輸送層と、
該陽極と該発光層との間に配置された正孔輸送層と、
該電子輸送層と該発光層との間に配置され、下記一般式(I)で表される化合物の少なくとも一種を含むバッファー層と、
を有する有機電界発光素子。
【化1】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
Xは、置換されていてもよいアリーレン基であり、
Yは、置換されていてもよい炭素数16以下のアリール基、置換ボリル基、または置換されていてもよいカルバゾール基であり、そして、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。)
【請求項2】
前記有機電界発光素子が、有機電界蛍光発光素子である、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記発光層が、少なくとも1つのアントラセン環を分子構造中に含む少なくとも1つの材料と、発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料とを含む、請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記発光層が、少なくとも1つのピレン環を分子構造中に含む少なくとも1つの材料と、発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料とを含む、請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つの置換アミノ基を分子構造中に含む、請求項3に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つの置換アミノ基を分子構造中に含む、請求項4に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのペリレン環を分子構造中に含む、請求項3に記載の有機電界発光素子。
【請求項8】
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのペリレン環を分子構造中に含む、請求項4に記載の有機電界発光素子。
【請求項9】
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのクマリン骨格を分子構造中に含む、請求項3に記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
前記発光波長が400〜500nmにピークを有する蛍光性発光材料が、少なくとも1つのクマリン骨格を分子構造中に含む、請求項4に記載の有機電界発光素子。
【請求項11】
前記バッファー層が、下記一般式(II)で表される化合物の少なくとも一種を含む請求項2ないし10のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化2】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
21およびR22は、それぞれ独立して、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレン基であり、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、そして、
mはそれぞれ独立して0〜4の整数である。)
【請求項12】
前記バッファー層が、下記一般式(III)で表される化合物の少なくとも一種を含む請求項2ないし10のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化3】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
は、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレン基であり、そして、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。)
【請求項13】
前記バッファー層が、下記一般式(IV)で表される化合物の少なくとも一種を含む請求項2ないし10のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化4】

(式中、
11およびR12は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、置換されていてもよいアリール基、置換シリル基、置換されていてもよい窒素含有複素環基、またはシアノ基の少なくとも一つであり、
13〜R16は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基であり、
は、置換されていてもよい炭素数10以下のアリーレン基であり、
は、置換されていてもよい炭素数14以下のアリール基であり、そして、
nはそれぞれ独立して0〜3の整数である。)
【請求項14】
で表される、置換されていてもよい炭素数20以下のアリーレン基のうち、アリーレン部位は、それぞれ独立に、下記式(X-1)〜(X-9)のいずれかである、請求項11又は12に記載の有機電界発光素子。
【化5】

(式中、
は、それぞれ独立してアルキル基又は置換されていてもよいフェニル基である。)
【請求項15】
で表される、置換されていてもよい炭素数10以下のアリーレン基のうち、アリール部位は、フェニレン基またはナフチレン基であり、そして、
で表される、置換されていてもよい炭素数14以下のアリール基のうち、アリール部位は、下記式(Y-1)〜(Y-3)のいずれかである、請求項13に記載の有機電界発光素子。
【化6】

【請求項16】
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-1)で表される化合物である、請求項11に記載の有機電界発光素子。
【化7】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【請求項17】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、請求項16に記載の有機電界発光素子。
【化8】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【請求項18】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、請求項16に記載の有機電界発光素子。
【化9】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項19】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、請求項16に記載の有機電界発光素子。
【化10】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項20】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、請求項16に記載の有機電界発光素子。
【化11】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【請求項21】
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-2)で表される化合物である、請求項11に記載の有機電界発光素子。
【化12】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【請求項22】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、請求項21に記載の有機電界発光素子。
【化13】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【請求項23】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、請求項21に記載の有機電界発光素子。
【化14】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項24】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、請求項21に記載の有機電界発光素子。
【化15】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項25】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、請求項21に記載の有機電界発光素子。
【化16】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【請求項26】
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-3)で表される化合物である、請求項11に記載の有機電界発光素子。
【化17】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【請求項27】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、請求項26に記載の有機電界発光素子。
【化18】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【請求項28】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、請求項26に記載の有機電界発光素子。
【化19】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項29】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、請求項26に記載の有機電界発光素子。
【化20】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項30】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、請求項26に記載の有機電界発光素子。
【化21】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【請求項31】
上記一般式(II)で表される化合物が、下記式(II-4)で表される化合物である、請求項11に記載の有機電界発光素子。
【化22】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【請求項32】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、請求項31に記載の有機電界発光素子。
【化23】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【請求項33】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、請求項31に記載の有機電界発光素子。
【化24】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項34】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、請求項31に記載の有機電界発光素子。
【化25】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項35】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、請求項31に記載の有機電界発光素子。
【化26】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【請求項36】
上記一般式(III)で表される化合物が、下記式(III-1)で表される化合物である、請求項12に記載の有機電界発光素子。
【化27】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【請求項37】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【化28】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【請求項38】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【化29】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項39】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【化30】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項40】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、請求項36に記載の有機電界発光素子。
【化31】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【請求項41】
上記一般式(IV)で表される化合物が、下記式(IV-1)で表される化合物である、請求項13に記載の有機電界発光素子。
【化32】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【請求項42】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、請求項41に記載の有機電界発光素子。
【化33】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【請求項43】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、請求項41に記載の有機電界発光素子。
【化34】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項44】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、請求項41に記載の有機電界発光素子。
【化35】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項45】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、請求項41に記載の有機電界発光素子。
【化36】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【請求項46】
上記一般式(IV)で表される化合物が、下記式(IV-2)で表される化合物である、請求項13に記載の有機電界発光素子。
【化37】

(式中、
31〜R34は、それぞれ独立して、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかであり、そして、
35及びR36は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、イソプロピル基又はフェニル基のいずれかである。)
【請求項47】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(V)で表されるキノリノール錯体を含む、請求項46に記載の有機電界発光素子。
【化38】

(式中、
〜Rは、水素原子、フッ素、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、シアノ基、アルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、
Mは、Al、Ga、またはZnであり、そして、
nは、2または3の整数である。)
【請求項48】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VI)で表されるビピリジル化合物を含む、請求項46に記載の有機電界発光素子。
【化39】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8と2,2′−ビピリジル核で形成される2,2′−ビピリジル残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項49】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VII)で表されるフェナンスロリン化合物を含む、請求項46に記載の有機電界発光素子。
【化40】

(式中、
Gは、単なる結合手またはn価の連結基を表し、
nは、2〜8の整数であり、そして、
1〜R8は、それぞれ独立に水素原子または置換基またはGを表す。
ただし、R1〜R8のうち少なくとも1つはGを表す。またn個の、R1〜R8とフェナントロリン核で形成されるフェナントロリン残基は、同一であっても異なっていても良く、さらにR1〜R8の隣接する置換基同士は互いに縮合して環を形成しても良い。)
【請求項50】
前記電子輸送層が、少なくとも1つの下記式(VIII)で表されるイミダゾール化合物を含む、請求項46に記載の有機電界発光素子。
【化41】

(式中、
nは、2〜8の整数であり、
R及びR’は、それぞれ独立に、水素、1〜24の炭素原子をもつアルキル、アリールまたはヘテロ原子置換アリールであり、そして、
Lは、置換されていてもよいアリール基である。)
【請求項51】
請求項1ないし50のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた表示装置。
【請求項52】
請求項1ないし50のいずれかに記載の有機電界発光素子を備えた照明装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−27587(P2007−27587A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−210638(P2005−210638)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】