説明

有機電界発光素子

【課題】高色純度と高効率とを兼備した有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】陽極(透明電極14)と陰極(金属電極11)と、該陽極と該陰極との間に挟持され、少なくとも発光層12を有する有機化合物層と、から構成され、発光層12に、下記(a)乃至(d)のいずれかの結合形式を含む金属錯体化合物が含まれることを特徴とする、有機電界発光素子。
(a)Ir−SO
(b)Ir−SO2
(c)Pt−SO
(d)Pt−SO2

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、透明基板上に、上下2層の電極と、これら電極の間に挟持され発光層を含む1つまたは複数の有機化合物層を積層した積層体と、を有する電子素子である。有機電界発光素子は、高速応答性、高効率、フレキシブル性を有することから次世代のフルカラーディスプレイ技術の一つとして注目されており、材料や素子の技術開発が精力的に行われている。
【0003】
近年、素子の高効率化を目的として、三重項励起子を経由したリン光発光を利用する形式の有機電界発光素子の開発が盛んである。例えば、非特許文献1や2にて開示されている有機電界発光素子が挙げられる。非特許文献1や2にて開示されている有機電界発光素子は、有機化合物層が4層ある素子であり、具体的には、陽極側からホール輸送層、発光層、励起子拡散防止層、電子輸送層からなる積層体を有している。しかし非特許文献1や2にて開示されている有機電界発光素子を構成する発光層において、リン光発光材料として使用される材料は、Ir(ppy)3等の緑色発光のリン光発光材料に限定されていた。
【0004】
ところで、リン光発光を利用した材料及び素子における技術開発のターゲットは、最近では、高色純度、高効率を兼備した青色リン光発光素子にシフトしている。非特許文献3で開示されているbis[3,5−difluoro−2−(2−pyridinyl−・N)phenyl−・C](2,4−pentanedionato−・O,・O’)−Iridium(III)(俗称:FIrpic,Registry Number:710307−36−1)は、青色発光のリン光発光材料の代表例である。しかし、この材料の0−0遷移による発光ピーク波長は470nmであるため色純度に問題があった。
【0005】
特許文献1には、金属(イリジウム原子又は白金原子)とリン原子間に配位結合又は共有結合を有する金属錯体を使用した青色リン光発光素子が開示されている。ここで特許文献1には、配位子に含まれるリン原子と金属とが1:1又は2:1の割合で配位結合する金属錯体が開示されている。ここで配位子に含まれるリン原子と金属とが1:1の割合で配位結合する金属錯体は、ハロゲン原子等の単座で共有結合する配位子が少なくとも1個必要である。しかし、ハロゲン原子を含む金属錯体(例えば、Ir錯体)を使用した有機電界発光素子は発光効率が低いという問題があった。また配位子に含まれるリン原子と金属とが2:1の割合で配位結合する金属錯体では、Ir錯体がイオン化するという問題があった。
【0006】
上述したように、有機電界発光素子は次世代のフルカラーディスプレイ技術の一つであるが、それに使用可能な、高色純度と高効率を兼備した青色リン光材料及び素子は未だに無いのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4067286号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Improved energy transfer in electrophosphorescent device(D.F.O’Brien他,Applied Physics Letters Vol.74,No.3,p422(1999))
【非特許文献2】Very high−efficiency green organic light−emitting devices basd on electrophosphorescence(M.A.Baldo他,Applied Physics Letters Vol.75,No.1,p4(1999))
【非特許文献3】Endothermic energy transfer:A mechanism for generating very efficient high−energy phosphorescent emission in organic materials(M.A.Thompson他,Applied Physics Letters Vol.79,No.13,p2082(2001))
【非特許文献4】G.Wilkinson等著,Comprehensive Coordination Chemistry(Pergamon Press社、1987年発行)
【非特許文献5】H.Yersin著,「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」(Springer−Verlag社、1987年発行)
【非特許文献6】山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」(裳華房社、1982年発行)
【非特許文献7】M.Maestri他,Advances in photochemistry,Vol.17,1,John Wiley&Sons,1992
【非特許文献8】Tuning iridium(III) phenylpyridine complexes in the “almost blue” region」Chemical Communications (Cambridge,United Kingdom)(2004),(15),1774−1775.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、高色純度と高効率とを兼備した有機電界発光素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極と、
該陽極と該陰極との間に挟持され、少なくとも発光層を有する有機化合物層と、から構成され、
該発光層に、下記(a)乃至(d)のいずれかの結合形式
(a)Ir−SO
(b)Ir−SO2
(c)Pt−SO
(d)Pt−SO2
を含む金属錯体化合物が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高色純度と高効率とを兼備した有機電界発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の有機電界発光素子における実施形態の例を示す断面図である。
【図2】表示装置の一形態である、本発明の有機電界発光素子と駆動手段とを備えた表示装置の構成例を模式的に示す図である。
【図3】図2の表示装置に配置されている1つの画素を構成する回路を示す回路図である。
【図4】図2の表示装置で使用されるTFT基板の断面構造の一例を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の有機発光電界素子について詳細に説明する。
【0014】
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極と、
該陽極と該陰極との間に挟持され、少なくとも発光層を有する有機化合物層と、から構成される。
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の有機発光電界素子について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の有機電界発光素子における実施形態の例を示す断面図である。ここで、(a)は第一の実施形態を、(b)は第二の実施形態を、(c)は第三の実施形態をそれぞれ示す。
【0017】
図1(a)の有機電界発光素子1aは、上から金属電極11、発光層12、ホール輸送層13、透明電極14の順番で構成されている積層体が、透明基板15の上に設けられている。
【0018】
図1(b)の有機電界発光素子1bは、図1(a)の有機電界発光素子1aにおいて、金属電極11と発光層12との間に、電子輸送層16が設けられている。図1(b)の有機電界発光素子1bは、発光機能を有する層と電子及びホール輸送のいずれかの機能を有する層とを分離している。この構成にすると、キャリアブロッキングをより効果的に行うことができるので、発光効率をより向上させることが可能である。
【0019】
図1(c)の有機電界発光素子1cは、図1(b)の有機電界発光素子1bにおいて、電子輸送層16と発光層12との間に励起子拡散防止層17が設けられている。図1(c)の有機電界発光素子1cは、励起子拡散防止層17を設けることで、発光層12の中で励起子を効率よく閉じ込めることができるので、発光効率のさらなる向上を図ることが可能である。
【0020】
本発明の有機電界発光素子は、上記の実施形態に限定されない。例えば、ホール輸送層と発光層の間に、電子ブロッキング層や酸拡散防止層等を設けても良い。これらは発光層からの電子の漏れ出しを抑制したり、ホール輸送層側からのイオン成分(酸成分)をブロックして発光層に到達しないようにしたりする等の機能を有する。
【0021】
一般に有機電界発光素子は、透明基板15上に、50nm以上200nm以下の膜厚を持つ透明電極14と、複数の有機化合物からなる層と、この有機化合物からなる層の上に形成される金属電極11とが順次積層して構成されている。
【0022】
図1(a)の有機電界発光素子1aは、電気的整流性を示す。即ち、金属電極11を陰極に透明電極14を陽極になるようにして電界を印加すると、金属電極11から電子が、透明電極15からはホールが、それぞれ発光層12に向けて注入される。注入されたホールと電子は、発光層12に到達し、発光層12内の発光性分子中で再結合する。この時発光性分子の励起子が生じ、この励起子が基底状態に戻る際に発光する。この時ホール輸送層13は電子をブロッキングする役割を果たすので、発光層12とホール輸送層13との間の界面における再結合効率が上がる。このため、電極間に設けられている層が発光層のみである有機電界発光素子と比較して発光効率が向上する。
【0023】
本発明の有機電界発光素子は、発光層12に、リン光発光材料であり、下記(a)乃至(d)のいずれかの結合形式を含む金属錯体化合物が含まれる。
(a)Ir−SO
(b)Ir−SO2
(c)Pt−SO
(d)Pt−SO2
【0024】
つまり、本発明の有機電界発光素子において、発光層12には、中心金属であるIr(イリジウム原子)又はPt(白金原子)と、スルフィド(SO)又はスルホン(SO2)を有する配位子と、からなる金属錯体化合物が含まれている。
【0025】
ただし、発光層12に、リン光発光材料として含まれる金属錯体化合物において、この金属錯体化合物に含まれる配位子は、スルフィド(SO)又はスルホン(SO2)を有する配位子のみに限定されるものではない。
【0026】
スルフィド(SO)又はスルホン(SO2)を有する配位子の他に、例えば、非特許文献4乃至6等に記載されている公知の配位子、下記に示される配位子(配座数は任意)等を含ませてもよい。
【0027】
【化1】

【0028】
上述した公知の配位子のうち、好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子(例えば、フェニルピリジン、ベンゾキノリン、キノリノール、ビピリジル、フェナントロリン等)、ジケトン配位子(例えば、アセチルアセトン等)、カルボン酸配位子(例えば、酢酸配位子等)である。より好ましくは、含窒素ヘテロ環配位子である。
【0029】
発光層12に含まれる金属錯体化合物の好適例を以下に説明する。発光層12に含まれる金属錯体化合物として、下記一般式(1)に示される化合物が好ましい。
【0030】
【化2】

【0031】
式(1a)及び(1b)において、Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。
【0032】
式(1a)及び(1b)において、nは、1又は2である。
【0033】
式(1a)及び(1b)において、Q1乃至Q12は、窒素原子又はCR1を表す。Q1乃至Q12がCR1の場合、R1は、水素原子、フッ素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基又は置換あるいは無置換のアリール基を表す。
【0034】
1で表わされるアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0035】
1で表わされるアルケニル基として、アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
【0036】
1で表わされるアリール基として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0037】
上記アルキル基、アルケニル基及びアリール基がさらに有してもよい置換基として、具体的には、下記に示す置換基が挙げられる。ただし本発明においては、これに限定されるものではない。
(a)アルキル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)
(b)アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルケニル基である。例えば、プロペニル基等が挙げられる。)
(c)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルキニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキニル基である。例えば、エチニル基等が挙げられる)
(d)アリール基(好ましくは、炭素数6〜40のアリール基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリール基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリール基である。例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。)
(e)ヘテロアリール基(具体的には、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むヘテロアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜40のヘテロアリール基、より好ましくは、炭素数2〜20のヘテロアリール基、さらに好ましくは、炭素数3〜12のヘテロアリール基である。例えば、ピリジル基、チエニル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等が挙げられる。)
(f)アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30のアルコキシ基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。)
(g)アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜40のアリールオキシ基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリールオキシ基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリールオキシ基である。例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピレニルオキシ基等が挙げられる。)
(h)シリル基(好ましくは、炭素数1〜30のシリル基、より好ましくは、炭素数3〜20のシリル基、さらに好ましくは、炭素数3〜12シリル基である。例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。)
(i)ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)
(j)重水素
【0038】
式(1a)及び(1b)において、mは、0乃至2の整数であり、lは、1乃至3の整数である。ただしm+lは2又は3である。
【0039】
式(1a)において、X1は、窒素原子又はリン原子である。該窒素原子、該リン原子は置換基を有していてもよい。具体的には、下記に示す置換基が挙げられる。ただし本発明においては、これに限定されるものではない。
(a)アルキル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)
(b)アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルケニル基である。例えば、プロペニル基等が挙げられる。)
(c)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルキニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキニル基である。例えば、エチニル基等が挙げられる)
(d)アリール基(好ましくは、炭素数6〜40のアリール基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリール基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリール基である。例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。)
(e)ヘテロアリール基(具体的には、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むヘテロアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜40のヘテロアリール基、より好ましくは、炭素数2〜20のヘテロアリール基、さらに好ましくは、炭素数3〜12のヘテロアリール基である。例えば、ピリジル基、チエニル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等が挙げられる。)
(f)アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30のアルコキシ基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。)
(g)アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜40のアリールオキシ基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリールオキシ基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリールオキシ基である。例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピレニルオキシ基等が挙げられる。)
(h)シリル基(好ましくは、炭素数1〜30のシリル基、より好ましくは、炭素数3〜20のシリル基、さらに好ましくは、炭素数3〜12シリル基である。例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。)
(i)ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)
(j)重水素
【0040】
式(1a)において、X1は、窒素原子又はリン原子である。該窒素原子、リン原子は上記の置換基を有してもよい。また、式(1b)において、X2は、酸素原子又は硫黄原子である。
【0041】
発光層12に含まれる金属錯体化合物の他の好適例として、下記一般式(2)に示される化合物が挙げられる。
【0042】
【化3】

【0043】
式(2)において、Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。
【0044】
式(2)において、nは、1又は2である。
【0045】
式(2)において、Yは、酸素原子又はC(R22を表す。YがC(R22の場合、R2は、水素原子、フッ素原子、置換基あるいは無置換のアルキル基、置換基あるいは無置換のアルケニル基又は置換基あるいは無置換のアリール基を表す。
【0046】
2で表わされるアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0047】
2で表わされるアルケニル基として、アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
【0048】
2で表わされるアリール基として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0049】
上記アルキル基、アルケニル基及びアリール基がさらに有してもよい置換基として、具体的には、下記に示す置換基が挙げられる。ただし本発明においては、これに限定されるものではない。
(a)アルキル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)
(b)アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルケニル基である。例えば、プロペニル基等が挙げられる。)
(c)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルキニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキニル基である。例えば、エチニル基等が挙げられる)
(d)アリール基(好ましくは、炭素数6〜40のアリール基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリール基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリール基である。例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。)
(e)ヘテロアリール基(具体的には、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むヘテロアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜40のヘテロアリール基、より好ましくは、炭素数2〜20のヘテロアリール基、さらに好ましくは、炭素数3〜12のヘテロアリール基である。例えば、ピリジル基、チエニル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等が挙げられる。)
(f)アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30のアルコキシ基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。)
(g)アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜40のアリールオキシ基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリールオキシ基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリールオキシ基である。例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピレニルオキシ基等が挙げられる。)
(h)シリル基(好ましくは、炭素数1〜30のシリル基、より好ましくは、炭素数3〜20のシリル基、さらに好ましくは、炭素数3〜12シリル基である。例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。)
(i)ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)
(j)重水素
【0050】
式(2)において、Q13乃至Q24は、窒素原子又はCR3を表す。Q13乃至Q24がCR3の場合、R3は、水素原子、フッ素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基又は置換あるいは無置換のアリール基を表す。
【0051】
3で表わされるアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0052】
3で表わされるアルケニル基として、アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
【0053】
3で表わされるアリール基として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0054】
上記アルキル基、アルケニル基及びアリール基がさらに有してもよい置換基として、具体的には、下記に示す置換基が挙げられる。ただし本発明においては、これに限定されるものではない。
(a)アルキル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)
(b)アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルケニル基である。例えば、プロペニル基等が挙げられる。)
(c)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルキニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキニル基である。例えば、エチニル基等が挙げられる)
(d)アリール基(好ましくは、炭素数6〜40のアリール基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリール基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリール基である。例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。)
(e)ヘテロアリール基(具体的には、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むヘテロアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜40のヘテロアリール基、より好ましくは、炭素数2〜20のヘテロアリール基、さらに好ましくは、炭素数3〜12のヘテロアリール基である。例えば、ピリジル基、チエニル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等が挙げられる。)
(f)アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30のアルコキシ基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。)
(g)アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜40のアリールオキシ基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリールオキシ基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリールオキシ基である。例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピレニルオキシ基等が挙げられる。)
(h)シリル基(好ましくは、炭素数1〜30のシリル基、より好ましくは、炭素数3〜20のシリル基、さらに好ましくは、炭素数3〜12シリル基である。例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。)
(i)ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)
(j)重水素
【0055】
式(2)において、mは、0乃至2の整数であり、lは、1乃至3の整数である。ただしm+lは2又は3である。
【0056】
発光層12に含まれる金属錯体化合物の他の好適例として、下記一般式(3)に示される化合物も挙げられる。
【0057】
【化4】

【0058】
式(3a)及び(3b)において、Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。
【0059】
式(3a)及び(3b)において、nは、1又は2である。
【0060】
式(3a)及び(3b)において、Zは、窒素原子又は炭素原子である。
【0061】
式(3a)及び(3b)において、Q25乃至Q37は、窒素原子又はCR4を表す。Q252乃至Q37がCR4の場合、R4は、水素原子、フッ素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基又は置換あるいは無置換のアリール基を表す。
【0062】
4で表わされるアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、第二級ブチル基、第三級ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0063】
4で表わされるアルケニル基として、アルケニル基とは、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基等が挙げられる。
【0064】
4で表わされるアリール基として、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられる。
【0065】
上記アルキル基、アルケニル基及びアリール基がさらに有してもよい置換基として、具体的には、下記に示す置換基が挙げられる。ただし本発明においては、これに限定されるものではない。
(a)アルキル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)
(b)アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルケニル基である。例えば、プロペニル基等が挙げられる。)
(c)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルキニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキニル基である。例えば、エチニル基等が挙げられる)
(d)アリール基(好ましくは、炭素数6〜40のアリール基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリール基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリール基である。例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。)
(e)ヘテロアリール基(具体的には、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むヘテロアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜40のヘテロアリール基、より好ましくは、炭素数2〜20のヘテロアリール基、さらに好ましくは、炭素数3〜12のヘテロアリール基である。例えば、ピリジル基、チエニル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等が挙げられる。)
(f)アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30のアルコキシ基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。)
(g)アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜40のアリールオキシ基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリールオキシ基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリールオキシ基である。例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピレニルオキシ基等が挙げられる。)
(h)シリル基(好ましくは、炭素数1〜30のシリル基、より好ましくは、炭素数3〜20のシリル基、さらに好ましくは、炭素数3〜12シリル基である。例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。)
(i)ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)
(j)重水素
【0066】
式(3a)及び式(3b)において、mは、0乃至2の整数であり、lは、1乃至3の整数である。ただしm+lは2又は3である。
【0067】
式(3a)において、窒素原子又はリン原子である。該窒素原子、該リン原子は置換基を有していてもよい。具体的には、下記に示す置換基が挙げられる。ただし本発明においては、これに限定されるものではない。
(a)アルキル基(好ましくは、炭素数1〜30のアルキル基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜6のアルキル基である。例えば、メチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。)
(b)アルケニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルケニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルケニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルケニル基である。例えば、プロペニル基等が挙げられる。)
(c)アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30のアルキニル基、より好ましくは、炭素数2〜12のアルキニル基、さらに好ましくは、炭素数2〜6のアルキニル基である。例えば、エチニル基等が挙げられる)
(d)アリール基(好ましくは、炭素数6〜40のアリール基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリール基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリール基である。例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アントラセニル基等が挙げられる。)
(e)ヘテロアリール基(具体的には、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を含むヘテロアリール基であり、好ましくは、炭素数1〜40のヘテロアリール基、より好ましくは、炭素数2〜20のヘテロアリール基、さらに好ましくは、炭素数3〜12のヘテロアリール基である。例えば、ピリジル基、チエニル基、カルバゾリル基、ピペリジル基、モルホリノ基等が挙げられる。)
(f)アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30のアルコキシ基、より好ましくは、炭素数1〜12のアルコキシ基、さらに好ましくは、炭素数1〜6のアルコキシ基である。例えば、メトキシ基、イソプロポキシ基等が挙げられる。)
(g)アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜40のアリールオキシ基、より好ましくは、炭素数6〜20のアリールオキシ基、さらに好ましくは、炭素数6〜12のアリールオキシ基である。例えば、フェノキシ基、ナフトキシ基、ピレニルオキシ基等が挙げられる。)
(h)シリル基(好ましくは、炭素数1〜30のシリル基、より好ましくは、炭素数3〜20のシリル基、さらに好ましくは、炭素数3〜12シリル基である。例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基等が挙げられる。)
(i)ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等)
(j)重水素
【0068】
式(3a)において、X1は、窒素原子又はリン原子である。該窒素原子、リン原子は上記の置換基を有してもよい。また、式(3b)において、X2は、酸素原子又は硫黄原子である。
【0069】
本発明において、発光層12に含まれる金属錯体化合物は、0−0遷移による発光ピーク波長が400nm以上480nm以下であることが好ましい。480nmより長波長化すると緑色の発光色となり、400nmより短波長化すると視感度(分光視感効果度という)が悪くなるという問題が生じる。上記発光ピーク波長は、より好ましくは、420nm以上460nm以下である。
【0070】
本発明のリン光発光素子は、発光色の青色色純度の観点から、発光のCIE色度値のx値及びy値は小さい方が好ましい。具体的には、発光のCIE色度値のx値は0.25以下であるのが好ましく、0.20以下であるのがより好ましい。x値が0.25より大きくなると青白い色になるために好ましくない。また、発光のCIE色度値のy値は0.35以下であるのが好ましく、0.30以下であるのがより好ましい。y値は0.35より大きくなると緑色化するために好ましくない。
【0071】
ところで、イリジウム又は白金と、スルフィド又はスルホンに含まれる硫黄原子との結合は、金属錯体化合物が発するリン光の発光色を短波長化させるのに大きく寄与する。以下に、想定され得るメカニズムについて説明する。
【0072】
まず、スルフィド又はスルホンを有する配位子が、配位子自体のLUMOレベルが大きくなることに起因するワイドギャップ化により、配位子の三重項エネルギーレベルが大きくなる。これにより、間接的に金属錯体化合物の短波化が起こると考えられる。
【0073】
他には、配位子に含まれるスルフィド又はスルホンの強い電子吸引効果によって、中心金属のHOMOレベルが下がり、配位子のLUMOとのエネルギーギャップが大きくなる。これによりリン光発光の短波長化が起こると考えられる。尚、上記電子吸引効果は、Hammett効果というものであり、Hammette効果の指標となるδp値は、安息香酸エチルの加水分解に及ぼす置換基の電子的効果から求めた置換基定数である。そしてこの値が大きければ大きいほど電子吸引効果が大きくなる。代表例を下記表に列挙する。
【0074】
【表1】

【0075】
上記表に示されるように、スルホンを有するメタンスルホニル基(メシル基)の電子吸引効果は非常に大きい。
【0076】
この他にも、スルフィド又はスルホンを有する配位子の配位子場強度が大きく、配位子場効果(非特許文献7を参照。)により短波長化が起こるとも考えられる。
【0077】
以下、本発明のリン光発光材料の具体例を示すが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0078】
【化5】

【0079】
【化6】

【0080】
【化7】

【0081】
【化8】

【0082】
【化9】

【0083】
【化10】

【0084】
【化11】

【0085】
【化12】

【0086】
次に、本発明の有機電界発光素子を構成する各層の構成部材について説明する。
【0087】
本発明の有機電界発光素子において使用される透明基板15として、ガラス等の光透過性の材料からなる基板を使用することができる。
【0088】
透明電極14の構成材料として、仕事関数が大きい材料、例えば、ITO等が用いられる。仕事関数が大きい材料を透明電極14の材料として用いると、透明電極14からホール輸送層13へのホール注入が容易になる。
【0089】
ホール輸送層13の構成材料であるホール輸送性材料は、具体的には、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、カルバゾール誘導体及びポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(シリレン)、ポリ(チオフェン)等が挙げられる。
【0090】
発光層12には、上述したリン光発光材料が含まれるが、他の発光材料をホストとして混合してもよい。ホストは、ゲスト(ドーパント)として発光層12に含まれるリン光発光材料の三重項エネルギーレベルより大きい三重項エネルギーレベルを有する化合物であることが重要である。リン光発光材料の三重項エネルギーレベルよりもホストの三重項エネルギーレベルが小さい場合には、ホストからリン光発光材料へのエネルギー移動が阻害される(リン光発光材料からホストへ向かってエネルギー移動が起こる)恐れがあり好ましくない。
【0091】
発光層12に含ませるホストとして、例えば、ターフェニル誘導体、フルオレン誘導体、トリフェニレン誘導体、テトラフェニルシラン等のシラン誘導体、ポリフェニレン等のポリマー化合物等をホストとして発光層12内に含ませてもよい。尚、上述した三重項エネルギーレベルの観点から、三重項エネルギーレベルがリン光発光材料よりも高い化合物、具体的には、ターフェニル誘導体、トリフェニレン誘導体又はカルバゾール誘導体がより好ましい。
【0092】
電子輸送層16の構成材料である電子輸送性材料は、具体的には、キサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体等の化合物が挙げられる。
【0093】
金属電極11の構成材料として、アルミニウム、マグネシウム等の金属単体、これら金属単体を組み合わせた合金等の仕事関数が小さい金属材料が用いられる。仕事関数が小さい材料を金属電極11の構成材料として用いると、金属電極11から有機化合物層、例えば、電子輸送層16への電子注入が容易になる。
【0094】
本発明の有機電界発光素子は、製造方法は特に限定されないが、蒸着法、スパッタリング法、CVD法、熱転写法又は塗布法(スピンコート法、インクジェット法、印刷法[オフセット、グラビア、凸、凹、スクリーン印刷等]、スプレー法、電子写真法を応用した液体現像法)等で作製することができる。特に、リン光発光材料を含有する発光層は、塗布法により形成されることが好ましい。
【0095】
本発明の有機電界発光素子は、省エネルギーや高輝度が必要な製品への応用が可能である。応用例としては表示装置、プリンターの光源、照明装置、液晶表示装置のバックライト等が考えられる。
【0096】
表示装置としては、例えば、省エネルギーや高視認性・軽量なフラットパネルディスプレイが挙げられる。
【0097】
また、プリンターの光源としては、例えば、現在広く用いられているレーザビームプリンタのレーザー光源部を、本発明の有機電界発光素子に置き換えることができる。置き換える方法として、例えば、独立にアドレスできる有機電界発光素子をアレイ上に配置する方法が挙げられる。レーザー光源部を本発明の有機電界発光素子に置き換えても、感光ドラムに所望の露光を行うことで、画像形成することについては従来と変わりがない。ここで本発明の有機電界発光素子を用いることで、装置体積を大幅に減少することができる。
【0098】
照明装置やバックライトに関しては、本発明の有機電界発光素子を使用することで省エネルギー効果が期待できる。
【0099】
次に、本発明の有機電界発光素子を使用した表示装置について説明する。以下、図面を参照して、アクティブマトリクス方式を例にとって、本発明の表示装置を詳細に説明する。
【0100】
図2は、表示装置の一形態である、本発明の有機電界発光素子と駆動手段とを備えた表示装置の構成例を模式的に示す図である。図2の表示装置20は、走査信号ドライバー21、情報信号ドライバー22、電流供給源23が配置され、それぞれゲート選択線G、情報信号線I、電流供給線Cに接続される。ゲート選択線Gと情報信号線Iの交点には、画素回路44が配置される。走査信号ドライバー41は、ゲート選択線G1、G2、G3・・・Gnを順次選択し、これに同期して情報信号ドライバー42から画像信号が情報信号線I1、I2、I3・・・Inのいずれかを介して画素回路24に印加される。
【0101】
次に、画素の動作について説明する。図3は、図2の表示装置に配置されている1つの画素を構成する回路を示す回路図である。図3の画素回路30においては、ゲート選択線Giに選択信号が印加されると、第一の薄膜トランジスタ(TFT1)31がONになり、コンデンサー(Cadd)32に画像信号Iiが供給され、第二の薄膜トランジスタ(TFT2)33のゲート電圧を決定する。有機電界発光素子34には第二の薄膜トランジスタ(TFT2)(33)のゲート電圧に応じて電流供給線Ciより電流が供給される。ここで、第二の薄膜トランジスタ(TFT2)33のゲート電位は、第一の薄膜トランジスタ(TFT1)31が次に走査選択されるまでコンデンサー(Cadd)32に保持される。このため、有機電界発光素子34には、次の走査が行われるまで電流が流れ続ける。これにより1フレーム期間中常に有機電界発光素子34を発光させることが可能となる。
【0102】
図4は、図2の表示装置で使用されるTFT基板の断面構造の一例を示した模式図である。TFT基板の製造工程の一例を示しながら、構造の詳細を以下に説明する。図4の表示装置40を製造する際には、まずガラス等の基板41上に、上部に作られる部材(TFT又は有機層)を保護するための防湿膜42がコートされる。防湿膜42を構成する材料として、酸化ケイ素又は酸化ケイ素と窒化ケイ素との複合体等が用いられる。次に、スパッタリングによりCr等の金属を製膜することで、所定の回路形状にパターニングしてゲート電極43を形成する。続いて、酸化シリコン等をプラズマCVD法又は触媒化学気相成長法(cat−CVD法)等により製膜し、パターニングしてゲート絶縁膜44を形成する。次に、プラズマCVD法等により(場合によっては290℃以上の温度でアニールして)シリコン膜を製膜し、回路形状に従ってパターニングすることで半導体層45を形成する。
【0103】
さらに、この半導体膜45にドレイン電極46とソース電極47を設けることでTFT素子48を作製し、図3に示すような回路を形成する。次に、このTFT素子48の上部に絶縁膜49を形成する。次に、コンタクトホール(スルーホール)50を、金属からなる有機電界発光素子用の陽極51とソース電極47が接続するように形成する。
【0104】
この陽極51の上に、多層あるいは単層の有機層52と、陰極53を順次積層することにより、表示装置40を得ることができる。このとき、有機電界発光素子の劣化を防ぐために第一の保護層54や第二の保護層55を設けてもよい。本発明の有機電界発光素子を使用した表示装置を駆動することにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
【0105】
尚、上記の表示装置は、スイッチング素子に特に限定はなく、単結晶シリコン基板やMIM素子、a−Si型等でも容易に応用することができる。
【実施例】
【0106】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0107】
[合成例1]例示化合物A−4の合成
【0108】
【化13】

【0109】
(1)中間化合物D3の合成
200mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。尚、化合物D1は、非特許文献4に記載の方法に準拠して合成を行い得られた化合物である。
化合物D1:0.5g(0.41mmol)
化合物D2:0.24g(0.9mmol)
無水炭酸ナトリウム:0.56g(5.3mmol)
エチルセロソルブ:15ml
トリエチルアミン:5ml
【0110】
次に、反応系内を窒素雰囲気にした後、反応溶液を110℃に加熱し、この温度(110℃)で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を放冷した。次に、反応溶液中に水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取した。次に、この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)で精製することにより、中間化合物D3を黄色固体として0.41g(収率59%)得た。
【0111】
(2)例示化合物A−4の合成
100mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
中間化合物D3:0.195g(0.23mmol)
35%過酸化水素水:0.54ml
THF:15ml
【0112】
次に、反応溶液を室温で2日間攪拌した。反応終了後、水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取水洗した後、この黄色固体をメタノ−ルで洗浄した。次に、洗浄した黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)にて精製し、溶媒を減圧留去し、減圧乾燥を行うことにより、例示化合物A−4を黄色固体として0.18g(収率89%)得た。
【0113】
MALSDI−TOF MSによりこの化合物のM+である881を確認した。この化合物のトルエン溶液中でのリン光発光スペクトルのλmaxは455nmであった。
【0114】
[合成例2]例示化合物A−14の合成
【0115】
【化14】

【0116】
(1)中間化合物D5の合成
200mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
化合物D1:0.5g(0.41mmol)
化合物D4:0.27g(0.9mmol)
無水炭酸ナトリウム:0.56g(5.3mmol)
エチルセロソルブ:15ml
トリエチルアミン:5ml
【0117】
次に、反応系内を窒素雰囲気にした後、反応溶液を110℃に加熱し、この温度(110℃)で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を放冷した。次に、反応溶液中に水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取した。次に、この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)で精製することにより、中間化合物D5を黄色固体として0.45g(収率63%)得た。
【0118】
(2)例示化合物A−14の合成
100mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
中間化合物D5:0.195g(0.23mmol)
35%過酸化水素水:0.54ml
THF:15ml
【0119】
次に、反応溶液を室温で2日間攪拌した。反応終了後、水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取水洗した後、この黄色固体をメタノ−ルで洗浄した。次に、洗浄した黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)にて精製し、溶媒を減圧留去し、減圧乾燥を行うことにより、例示化合物A−14を黄色固体として0.17g(収率84%)得た。
【0120】
MALSDI−TOF MSによりこの化合物のM+である898を確認した。この化合物のトルエン溶液中でのリン光発光スペクトルのλmaxは448nmであった。
【0121】
[合成例3]例示化合物A−54の合成
【0122】
【化15】

【0123】
(1)中間化合物D7の合成
200mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
化合物D1:0.5g(0.41mmol)
化合物D6:0.11g(0.9mmol)
無水炭酸ナトリウム:0.56g(5.3mmol)
エチルセロソルブ:15ml
トリエチルアミン:5ml
【0124】
次に、反応系内を窒素雰囲気にした後、反応溶液を110℃に加熱し、この温度(110℃)で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を放冷した。次に、反応溶液中に水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取した。次に、この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)で精製することにより、中間化合物D7を黄色固体として0.38g(収率67%)得た。
【0125】
(2)例示化合物A−54の合成
100mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
中間化合物D7:0.2g(0.29mmol)
35%過酸化水素水:0.54ml
THF:15ml
【0126】
次に、反応溶液を室温で2日間攪拌した。反応終了後、水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取水洗した後、この黄色固体をメタノ−ルで洗浄した。次に、洗浄した黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)にて精製し、溶媒を減圧留去し、減圧乾燥を行うことにより、例示化合物A−54を黄色固体として0.15g(収率71%)得た。
【0127】
MALSDI−TOF MSによりこの化合物のM+である729を確認した。この化合物のトルエン溶液中でのリン光発光スペクトルのλmaxは458nmであった。
【0128】
[合成例4]例示化合物A−34の合成
【0129】
【化16】

【0130】
(1)中間化合物D9の合成
300mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
化合物D8:3.0g(13.7mmol)
IrCl3・3H2O:2.11g(6.0mmol)
エチルセロソルブ:100ml
水:50ml
【0131】
次に、反応系内を窒素雰囲気にした後、反応溶液115℃に加熱し、この温度(115℃)で24時間攪拌を行った。反応終了後、反応溶液を放冷した。次に、反応溶液中に水50mlを投入することで析出した黄色固体を濾取した。次に、この黄色固体をメタノール洗浄し、乾燥させることにより、中間化合物D9を黄色固体として3.95g(収率87%)得た。
【0132】
(2)中間化合物D10の合成
200mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
化合物D9:0.5g(0.38mmol)
化合物D4:0.39g(1.3mmol)
無水炭酸ナトリウム:0.56g(5.3mmol)
エチルセロソルブ:15ml
トリエチルアミン:5ml
【0133】
次に、反応系内を窒素雰囲気にした後、反応溶液を110℃に加熱し、この温度(110℃)で24時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を放冷した。次に、反応溶液中に水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取した。次に、この黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)で精製することにより、中間化合物D10を黄色固体として0.48g(収率69%)得た。
【0134】
(3)例示化合物A−34の合成
100mlのフラスコに以下に示す試薬、溶剤を仕込んだ。
中間化合物D10:0.4g(0.43mmol)
35%過酸化水素水:0.54ml
THF:15ml
【0135】
次に、反応溶液を室温で2日間攪拌した。反応終了後、水10mlを投入したときに析出した黄色固体を濾取水洗した後、この黄色固体をメタノ−ルで洗浄した。次に、洗浄した黄色固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:トルエン/酢酸エチル=9/1)にて精製し、溶媒を減圧留去し、減圧乾燥を行うことにより、例示化合物A−34を黄色固体として0.26g(収率63%)得た。
【0136】
MALSDI−TOF MSによりこの化合物のM+である952を確認した。この化合物のトルエン溶液中でのリン光発光スペクトルのλmaxは445nmであった。
【0137】
[実施例1]有機電界発光素子の作製
図1(b)に示される有機電界発光素子を以下に示す方法で作製した。
【0138】
まずガラス基板(透明基板15)上に、ITOを成膜してITO膜を形成した。このときITO膜の膜厚を100nmとした。次に、フォトリソ工程により、ITO膜を所望の形状にパターニングを行うことにより透明電極14を形成した。このとき透明電極14の電極面積を3.14mm2とした。次に、真空蒸着法により、透明電極14が形成された透明基板15上に、有機化合物層及び金属電極層を順次形成した。尚、後述する有機化合物層及び金属電極層は、1×10-4Paの減圧下で形成した。
【0139】
まずTCTA(4,4’,4’’−tris(carbazol−9−yl)−triphenylamine,アルドリッチ社製製品を昇華精製したもの)を成膜してホール輸送層13を形成した。このときホール輸送層13の膜厚を200Åとした。
【0140】
次に、ホール輸送層13上に、下記(L1)及び(L2)を、蒸着レートが1:0.1となるように共蒸着して発光層12を形成した。このとき発光層12の膜厚を400Åとした。尚、この発光層12は、例示化合物A−4が発光層12内に10重量%ドープされている薄膜である。
(L1)例示化合物A−4
(L2)CDBP(9,9’−(2,2’−dimethyl[1,1’−biphenyl]−4,4’−diyl)bis−9−Carbazole,ルミテック社製製品を昇華精製したもの)
【0141】
次に、発光層12上に、Bphen(4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline、アルドリッチ社製製品を昇華精製したもの)を成膜して電子輸送層16を形成した。このとき電子輸送層16の膜厚を200Åとした。
【0142】
次に、電子輸送層16上に、KF(フッ化カリウム,アルドリッチ社製)を成膜してKF膜を形成した。このときKF膜の膜厚を10Åとした。次に、Alを成膜してAl膜を形成した。このときAl膜の膜厚を1200Åとした。尚、KF膜及びAl膜は金属電極11として機能する。
【0143】
以上により有機電界発光素子を得た。
【0144】
得られた素子について、以下に示す方法でその性能を評価した。
【0145】
(1)外部取り出し効率
得られた有機電界発光素子を室温(約23℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下で点灯させ、点灯開始直後の発光輝度(L)[cd/m2]を測定することにより、外部取り出し効率(φ)を算出した。尚、発光輝度の測定は有機EL発光特性評価装置(クレイドル社製)で測定した。またこの装置は、暗箱、輝度計、マルチチャンネル分光器、素子駆動電源及び解析装置で構成され、素子への駆動電流、駆動電圧をプログラムにより制御して所望の発光輝度が得られるように設計されている。
【0146】
(2)色度差
得られた有機電界発光素子を室温(約23℃)、2.5mA/cm2の定電流条件下で点灯させ、点灯開始直後の発光色のCIE色度値(x,y)を測定した。尚、測定装置はCS−1000(ミノルタ製)を使用した。
【0147】
[3]輝度半減時間
得られた有機電界発光素子の輝度半減寿命は、上記外部取り出し効率の場合と同様の装置を使用して測定した。尚、測定の際に、初期輝度を1000cd/Aに設定し、当該初期輝度が50%に減衰する時間を輝度半減時間とした。
【0148】
本実施例の有機電界発光素子は、ELmax=459nm、CIE色度値(0.16,0.26)の青色発光が得られた。また本実施例の有機電界発光素子の外部量子効率は3.5%だった。
【0149】
[実施例2]
実施例1において、例示化合物A−4に代えて例示化合物A−14を使用する以外は、実施例1と同様の方法により有機電界発光素子を得た。得られた素子について、実施例1と同様の方法でその性能を評価した。本実施例の有機電界発光素子は、ELmax=450nm、CIE色度値(0.16,0.22)の青色発光が得られた。また本実施例の有機電界発光素子の外部量子効率は4.8%だった。
【0150】
[実施例3]
実施例1において、例示化合物A−4に代えて例示化合物A−54を使用する以外は、実施例1と同様の方法により有機電界発光素子を得た。得られた素子について、実施例1と同様の方法でその性能を評価した。本実施例の有機電界発光素子は、ELmax=458nm、CIE色度値(0.16,0.26)の青色発光が得られた。また本実施例の有機電界発光素子の外部量子効率は2.3%だった。
【0151】
[実施例4]
実施例1において、例示化合物A−4に代えて例示化合物A−34を使用する以外は、実施例1と同様の方法により有機電界発光素子を得た。得られた素子について、実施例1と同様の方法でその性能を評価した。本実施例の有機電界発光素子は、ELmax=445nm、CIE色度値(0.15,0.21)の青色発光が得られた。また本実施例の有機電界発光素子の外部量子効率は1.5%だった。
【0152】
[比較例1]
実施例1において、例示化合物A−4に代えて下記に示す化合物1(bis[3,5−difluoro−2−(2−pyridinyl−・N)phenyl−・C](2−pyridinecarboxylato−・N1,・O2)−Iridium)を使用した。これを除いては、実施例1と同様の方法により有機電界発光素子を得た。尚、本比較例で使用した化合物は市販品(ルミテック社製)を昇華精製したものである。また下記に示す化合物1のトルエン溶液のリン光発光スペクトルのλmaxは472nmである。得られた素子について、実施例1と同様の方法でその性能を評価した。本実施例の有機電界発光素子は、ELmax=472nm、CIE色度値(0.17,0.38)の青緑色発光が得られた。また本比較例の有機電界発光素子の外部量子効率は3.1%だった。
【0153】
【化17】

【0154】
[比較例2]
実施例1において、例示化合物A−4に代えて下記に示す化合物2(bis[3,5−difluoro−2−(2−pyridinyl−・N)phenyl−・C][tetrakis(1H−pyrazolato−・N1)borato(1−)−・N2,・N2’]−,(OC−6−33)−Iridium)を使用した。これを除いては、実施例1と同様の方法により有機電界発光素子を得た。尚、本比較例で使用した化合物は市販品(ルミテック社製)を昇華精製したものである。また下記に示す化合物1のトルエン溶液のリン光発光スペクトルのλmaxは460nmである。得られた素子について、実施例1と同様の方法でその性能を評価した。本比較例の有機電界発光素子は、ELmax=469nm、CIE色度値(0.17,0.31)の青緑色発光が得られた。また本比較例の有機電界発光素子の外部量子効率は2.2%だった。
【0155】
【化18】

【0156】
ここで実施例及び比較例でそれぞれ使用した化合物のリン光発光スペクトルの0−0遷移を示す発光ピーク波長を比較すると下記表の通りである。
【0157】
【表2】

【0158】
上記表より、0−0遷移を示す発光ピーク波長の差異は明らかだった。また本実施例の化合物は、青色発光材料として要求される発光ピークを有していることが示された。
【符号の説明】
【0159】
1a(1b、1c、34):有機電界発光素子、11:金属電極、12:発光層、13:ホール輸送層、14:透明電極、15:透明基板、16:電子輸送層、17:励起子拡散防止層、20:画像表示装置、21:走査信号ドライバー、22:情報信号ドライバー、23:電流供給源、30:画素回路、31:第一の薄膜トランジスタ(TFT)、32:コンデンサー、33:第二の薄膜トランジスタ(TFT)、35:陰極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極と、
該陽極と該陰極との間に挟持され、少なくとも発光層を有する有機化合物層と、から構成され、
該発光層に、下記(a)乃至(d)のいずれかの結合形式
(a)Ir−SO
(b)Ir−SO2
(c)Pt−SO
(d)Pt−SO2
を含む金属錯体化合物が含まれることを特徴とする、有機電界発光素子。
【請求項2】
前記金属錯体化合物が、下記一般式(1a)又は(1b)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化1】

(式(1a)及び(1b)において、Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。nは、1又は2である。Q1乃至Q12は、それぞれ窒素原子又はCR1(R1は、水素原子、フッ素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基又は置換あるいは無置換のアリール基を表す。)を表す。mは、0乃至2の整数であり、lは、1乃至3の整数である。ただしm+lは2又は3である。(1a)において、X1は、窒素原子又はリン原子である。該窒素原子、該リン原子は置換基を有していてもよい。(1b)において、X2は、酸素原子又は硫黄原子である。)
【請求項3】
前記金属錯体化合物が、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化2】

(式(2)において、Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。nは、1又は2である。Yは、酸素原子又はC(R22(R2は、水素原子、フッ素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基又は置換あるいは無置換のアリール基を表す。)を表す。Q13乃至Q24は、それぞれ窒素原子又はCR3(R3は、水素原子、フッ素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基又は置換あるいは無置換のアリール基を表す。)を表す。mは、0乃至2の整数であり、lは、1乃至3の整数である。ただしm+lは2又は3である。)
【請求項4】
前記金属錯体化合物が、下記一般式(3a)又は(3b)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化3】

(式(3a)及び(3b)において、Mは、イリジウム原子又は白金原子を表す。nは、1又は2である。Zは、窒素原子又は炭素原子である。Q25乃至Q37は、それぞれ窒素原子又はCR4(R4は、水素原子、フッ素原子、置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基又は置換あるいは無置換のアリール基を表す。)を表す。mは、0乃至2の整数であり、lは、1乃至3の整数である。ただしm+lは2又は3である。式(3a)において、X1は、窒素原子又はリン原子である。該窒素原子、該リン原子は置換基を有していてもよい。式(3b)において、X2は、酸素原子又は硫黄原子である。)
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機電界発光素子と、薄膜トランジスタとを備えることを特徴とする、表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−155114(P2011−155114A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15284(P2010−15284)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】