説明

有機/空気燃料電池用膜電極組立体

プロトン交換膜と、アノード電極と、カソード電極とを含んでなる、有機/空気燃料電池用膜電極組立体が提供される。プロトン交換膜は、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーでできている。アノード電極は、微粒子カーボンに担持された白金およびルテニウムのアノード電解触媒と、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなり、アノード電極の金属装填量は3mg/cm未満である。カソード電極は、微粒子カーボンに担持された白金のカソード電解触媒と、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなり、カソード電極の金属装填量は3mg/cm未満である。かかる膜電極組立体を含んでなる有機/空気燃料電池も提供される。有機/空気燃料電池のかかる膜電極組立体の動作方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜電極組立体、かかる組立体の製造、およびダイレクトメタノール燃料電池等の有機/空気燃料電池におけるかかる組立体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電気化学電池は、通常、電解質により分離されたアノード電極とカソード電極を有する。電気化学電池の周知の用途は、電解質としてプロトン交換膜(PEM)を用いる燃料電池(燃料およびオキシダントを電気エネルギーに変換する電池)のスタックである。かかる燃料電池では、水素やメタノール等の反応物質または還元剤を、アノード電極に供給し、酸素や空気等のオキシダントを、カソード電極に供給する。還元ガスは、アノード電極の表面で電気化学的に反応して、水素イオンと電子を生成する。電子は、外部負荷回路を伝導して、カソード電極に戻り、一方、水素イオンは、電解質を通って、カソード電極へ移動して、オキシダントおよび電子と反応して、水および放出熱エネルギーを生成する。
【0003】
燃料電池は、典型的に、PEM、アノード電極とカソード電極、およびその他の任意のコンポーネントをそれぞれ有する膜電極組立体(MEA)のスタックまたは集合体として形成される。燃料電池は、典型的にまた、各電極と電気的に接触し、反応物質の電極への拡散を可能とし、ガス拡散層、ガス拡散基材またはガス拡散バッキングとして知られている多孔性の導電性シート材料も有する。電解触媒をPEMにコートすると、MEAは、触媒コート膜(CCM)を有すると言われている。他の例では、電解触媒をガス拡散層にコートすると、MEAはガス拡散電極(GDE)を有すると言われている。
【0004】
最も効率的な燃料電池は、燃料として純粋な水素を、そしてオキシダントとして酸素を用いるものであるが、純粋な水素を用いることは、比較的高コストであることや保管の問題をはじめとする欠点がある。従って、純粋な水素以外の燃料を用いて燃料電池を動作することが試みられてきた。有機/空気燃料電池では、アノードで、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒドまたはギ酸等の有機燃料を酸化して二酸化炭素にし、一方、カソードで、空気または酸素を水に還元する。有機燃料を用いる燃料電池は、固定用と携帯用の両方に魅力的であり、この理由の1つは、有機燃料の高比エネルギーによる。かかる有機/空気燃料電池は、有機燃料がアノードに直接供給されて、燃料が酸化される「直接参加」燃料電池である。ダイレクトメタノール燃料電池が、かかる燃料電池システムの1つである。
【0005】
電解触媒として通常用いられる材料は、金属または単純合金(例えば、Pt、Pt/Ru、Pt−Ir)である。例えば、有機/空気燃料電池(例えば、ダイレクトメタノール)の最新技術のアノード触媒は、白金−ルテニウム合金に基づくものである。水素燃料電池では、金属触媒は、必要な触媒の量を減じるために、カーボン等の広表面積の導電性材料に担持されてきた。ダイレクトメタノール燃料電池用途については、緩慢なメタノール酸化速度およびメタノールのカソードへの広がりのために、アノードとカソードの両方について、比較的大量の金属が、典型的に必要とされ、大量の貴金属が必要とされるため担持触媒は、従来から用いられてこなかった。水素またはダイレクトメタノール電池のアノードまたはカソードに、高金属対担持比を有する担持触媒を用いることは、PCT公開特許文献1に開示されている。しかしながら、金属触媒は、有機/空気燃料電池にとって、燃料電池MEAの最も高価なコンポーネントであるため、かかる燃料電池をより経済的に作製するために、性能を損なうことなく、MEAに用いる触媒金属の量を何らかの方法によりさらに減じることが必須である。
【0006】
【特許文献1】国際公開第2005/001978号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、プロトン交換膜と、アノード電極と、カソード電極とを含んでなる有機/空気燃料電池用膜電極組立体を提供する。プロトン交換膜は、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーでできており、対向する第1および第2の側を有する。
【0008】
アノード電極は、膜の第1の側に近接しており、50〜90wt%のアノード電解触媒と、10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなる。アノード電解触媒は、カーボンに担持されたアノード金属を含んでなり、アノード金属は白金とルテニウムを含んでなり、カーボンは微粒子カーボンである。アノード電解触媒は、少なくとも40wt%の白金と、少なくとも15wt%のルテニウムと、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、アノード電極中のアノード金属の総装填量(total loading)が3mg/cm未満である。
【0009】
カソード電極は、膜の第2の側に近接しており、50〜90wt%のカソード電解触媒と、10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなる。カソード電解触媒は、カーボンに担持されたカソード金属を含んでなり、カソード金属は白金を含んでなり、カーボンは微粒子カーボンである。カソード電解触媒は、少なくとも50wt%の白金と、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、カソード電極中のカソード金属の総装填量が3mg/cm未満である。
【0010】
本発明は、さらに、本発明の膜電極組立体を含んでなる有機/空気燃料電池を提供する。
【0011】
本発明はまた、有機/空気燃料電池の膜電極組立体を作製する方法にも関する。この方法では、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーでできたプロトン交換膜が提供される。上述したアノード電極が、膜の片側に形成され、上述したカソード電極が、膜の対向する側に形成される。アノード電極中の金属装填量は3mg/cm未満であり、カソード電極中の金属装填量は3mg/cm未満である。アノード電極とカソード電極との間に電気回路が形成され、アノード電極に有機燃料が供給され、カソード電極に酸素が供給されて、電気回路に電流が生成される。有機燃料は、好ましくは、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸および組み合わせよりなる群から選択され、より好ましくは、液体メタノールである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
プロトン交換膜
本発明による有機/空気燃料電池MEAに用いるプロトン交換膜は、イオン交換ポリマーを含んでなる。本発明によるMEAのPEMを作製するのに好適なイオン交換ポリマーは、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーである。「高度にフッ素化された」とは、ポリマー中の一価原子の総数の少なくとも90%がフッ素原子であることを意味する。最も典型的には、ポリマーは過フッ素化(perfluorinated)されている。燃料電池膜に用いるポリマーは、スルホネートイオン交換基を有するのが一般的である。本明細書で用いる「スルホネートイオン交換基」という用語は、スルホン酸基かスルホン酸基の塩、一般的には、アルカリ金属かアンモニウム塩のいずれかを意味する。
【0013】
用いるイオン交換ポリマーは、イオン交換基を持つ側鎖のある骨格に付加した繰り返し側鎖を備えたポリマー骨格を含んでなる。ホモポリマーまたはコポリマーまたはそのブレンドを用いることができる。コポリマーは、一般的に、非官能性モノマーで、ポリマー骨格に原子を提供する1つのポリマーと、ポリマー骨格に原子を提供し、カチオン交換基またはその前駆体を持つ側鎖、例えば、スルホネートイオン交換基へと後に加水分解可能なスルホニルフルオリド(−SOF)等のハロゲン化スルホニル基、にも寄与する第2のモノマーとから形成される。例えば、スルホニルフルオリド基を有する第2のフッ素化ビニルモノマーと共に、第1のフッ素化ビニルモノマーのコポリマーを用いることができる。ポリマーのスルホン酸形態を利用して、後処理酸交換工程を排除してもよい。第1のフッ素化ビニルモノマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)およびこれらのうち2つ以上の混合物が例示される。第2のモノマーとしては、所望の側鎖をポリマーに提供することのできるスルホネートイオン交換基または前駆体基を備えたフッ素化ビニルエーテルが例示される。第1のモノマーはまた、スルホネートイオン交換基のイオン交換機能を妨害しない側鎖も有することができる。追加のモノマーもまた、所望であれば、ポリマーに組み込むことができる。
【0014】
PEMに用いる一般的なポリマーは、側鎖を備えた高度にフッ素化された、最も一般的には、過フッ素化されたカーボン骨格を有するポリマーを含み、式−(O−CFCFRf)−(O−CF−(CFR’f)SOMにより表わされ、式中、RfおよびR’fは、F、Clまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基より独立に選択され、a=0、1または2、b=0〜6およびc=0−1であり、Mは、水素、Li、Na、KまたはN(R)(R)(R)(R)であり、R、R、RおよびRは、同一または異なり、H、CHまたはCである。好適なポリマーの具体例としては、米国特許第3,282,875号明細書、第4,358,545号明細書および第4,940,525号明細書に開示されているものが挙げられる。一例のポリマーは、式−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOHで表わされるペルフルオロカーボン骨格と側鎖とを含んでなる。かかるポリマーは、米国特許第3,282,875号明細書に開示されており、テトラフルオロエチレン(TFE)と過フッ素化ビニルエーテルCF=CF−O−CFCF(CF)−O−CFCFSOF、ペルフルオロ(3,6−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルホニルフルオリド)(PDMOF)の共重合の後、スルホニルフルオリド基の加水分解によるスルホネート基への変換およびプロトン形態としても知られる酸形態に変換するイオン交換により作製することができる。米国特許第4,358,545号明細書および第4,940,525号明細書に開示されたタイプの他のイオン交換ポリマーは、側鎖−O−CFCFSOHを有している。このポリマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)と過フッ素化ビニルエーテルCF=CF-O-CFCFSOF、ペルフルオロ(3−オキサ−4−ペンテンスルホニルフルオリド)(POPF)の共重合の後、加水分解および酸交換により作製することができる。スルホン酸形態の好適な過フッ素化ポリマーイオン交換膜は、デラウェア州、ウィルミントンのイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delaware)よりナフィオン(Nafion)(登録商標)という商品名で入手可能である。
【0015】
上述したタイプの過フッ素化ポリマーについては、ポリマーのイオン交換能は、イオン交換比(「IXR」)で表わすことができる。イオン交換比は、イオン交換基に対するポリマー骨格の炭素原子の数である。ポリマーについて広範なIXR値が可能である。しかしながら、一般的に、過フッ素化スルホネートポリマーについてのIXR範囲は、約7〜約33である。上述したタイプの過フッ素化ポリマーについて、ポリマーのカチオン交換能は、当量(EW)で表わすことができる。本明細書で用いる当量(EW)は、NaOHの1当量を中和するのに必要とされる酸形態のポリマーの重量である。ペルフルオロカーボン骨格と側鎖−O−CF−CF(CF)−O−CF−CF−SOH(またはその塩)を有するスルホネートポリマーについて、約7〜約33のIXRに対応する当量範囲は、約700EW〜約2000EWである。かかるポリマーについてのIXRの好ましい範囲は、約8〜約23(750〜1500EW)、より好ましい範囲は、約9〜約15(800〜1100EW)である。
【0016】
プロトン交換膜は、公知の押出し、または鋳造技術により作製でき、目的の用途に応じて異なる厚さを有している。膜は、一般的に、350μm以下の厚さを有しており、有機/空気燃料電池用途の特定のMEAに用いるある膜の厚さは50μm以下である。
【0017】
強化過フッ素化イオン交換ポリマー膜もまた、本発明によるMEAに用いることができる。強化膜は、多孔性基材を、イオン交換ポリマーで含浸することにより作製することができる。多孔性基材は、ある用途についての機械的特性を改善し、かつ/またはコストを下げる。多孔性基材は、広範な材料、例えば、これらに限られるものではないが、不織布、または平織、斜子織、絡み織等の様々な織り方を用いた織布から作製することができる。多孔性担体は、ガラス、ポリオレフィン等の炭化水素ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンおよびコポリマー)およびポリクロロトリフルオロエチレン等のペルハロゲン化ポリマーから作製してよい。多孔性無機またはセラミック材料を用いてもよい。耐熱および化学分解のために、担体は、一般的に、フルオロポリマー、より一般的にはペルフルオロポリマーから作製されている。例えば、多孔性担体のペルフルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のマイクロポーラス膜またはテトラフルオロエチレンのコポリマーとすることができる。マイクロポーラスPTFE膜およびシートは、担体層として用いるのに好適であることが知られている。例えば、米国特許第3,664,915号明細書には、少なくとも40%の空隙を有する単軸延伸膜が開示されている。米国特許第3,953,566号明細書、第3,962,153号明細書および第4,187,390号明細書には、少なくとも70%の空隙を有する多孔性PTFE膜が開示されている。膨張PTFE(ePTFE)の過フッ素化スルホン酸ポリマーでの含浸は、米国特許第5,547,551号明細書および第6,110,333号明細書に記載されている。ePTFEは、メリーランド州、エルクトンのW.L.ゴア・アンド・アソシエーツ社(W.L.Gore and Associates,Inc.,Elkton,MD)より「ゴアテックス(Goretex)」という商品名で、およびペンシルバニア州、フィースターヴィルのテトラテック(Tetratec,Feasterville,PA)より「テトラテックス(Tetratex)」という商品名で入手可能である。
【0018】
電解触媒
本発明のMEAは、電解触媒および10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーを含有する50〜90wt%の白金およびルテニウムを含んでなるアノード電極と、電解触媒および10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーを含有する50〜90wt%の白金を含んでなるカソード電極とを有する。アノード電極電解触媒は、少なくとも40wt%の白金と、少なくとも15wt%のルテニウムと、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、白金およびルテニウムは、微粒子カーボンに担持されている。カソード電極電解触媒は、少なくとも50wt%の白金と、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、白金は、微粒子カーボンに担持されている。
【0019】
好ましい微粒子カーボン担持材料(任意の化学処理前)は、様々な表面積の乱層状(turbostratic)または黒鉛状カーボンである。カーボンは、表面積が100〜2000m/gの中〜高表面積粉末であるのが好ましい。かかる微粒子カーボンとしては、キャボットコーポレーション(Cabot Corporation)のバルカン(Vulcan)(登録商標)XC72R、アクゾノベル(Akzo Noble)ケッチェン(Ketjen)(登録商標)600または300、バルカン(Vulcan)(登録商標)ブラックパール(Black Pearls)キャボットコーポレーション(Cabot Corporation)、アセチレンブラック(電気化学工業株式会社(Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha))およびその他のカーボン粒子種が例示される。その他の微粒子カーボンとしては、アセチレンブラックおよびその他のグラファイト粉末、単層または多層カーボンナノチューブ、短繊維およびその他のカーボン構造(例えば、フラーレン、ナノホーン)が挙げられる。
【0020】
電解触媒は、当業者に知られた方法に従って作製することができる。例えば、担持触媒は、コロイド酸化物法(ワタナベ(Watanabe)ら、J.Electroanal.Chem.、229−395頁、1987年)により作製することができる。すなわち、白金亜硫酸塩およびその他の易酸化性前駆体(例えば、RuCl)を過酸化水素と反応させて、コロイド酸化物粒子を形成して、堆積した電解触媒を形成するものである。その他の方法、例えば、含浸の後、化学還元または気相水素による還元も用いることができる。
【0021】
アノード電解触媒に用いるのに好適な金属としては、白金およびルテニウムが挙げられ、パラジウム、銀、クロム、コバルト、タングステン、ロジウム、イリジウム、レニウム、モリブデンおよびこれらの組み合わせ(または合金)等の追加の金属を場合により有していてもよい。アノード電解触媒の好ましい金属は、白金/ルテニウム合金または白金およびルテニウムを含有するその他の組成物である。アノード金属は、元素金属、金属合金、金属酸化物、水和金属酸化物またはこれらの組み合わせであってよい。金属は、ゼロ価状態か、非ゼロ価状態のいずれかで用いることができる。金属組成は、本明細書では、総電解触媒重量(微粒子カーボン担体を含む)のパーセンテージとして金属成分の重量パーセンテージを参照して記載されている。金属重量パーセントは、元素金属、金属合金および金属酸化物または水和金属酸化物の金属成分の重量にのみ基づいており、カーボン担体やその他の非金属成分の重量は入っていない。本発明のアノード電解触媒は、好ましくは、約40〜約80重量パーセントの白金と約15〜約50重量パーセントのルテニウムを含んでなり、Pt:Ruの原子比は、好ましくは、1:1〜4:1である。より好ましくは、アノード電解触媒は、約40〜約60重量パーセントの白金、約20〜約40重量パーセントのルテニウム、および約20〜約30重量パーセントの微粒子カーボンを含んでなる。最も好ましくは、アノード電解触媒は、約50重量パーセントの白金、約25重量パーセントのルテニウム、および約25重量パーセントの微粒子カーボンを含んでなる。
【0022】
カソード電解触媒に用いるのに好適な金属は白金であり、場合により、パラジウム、銀、ルテニウム、イリジウム、クロム、コバルト、タングステン、ロジウム、モリブデンおよびこれらの組み合わせ(または合金)等の追加の金属を有していてよい。カソード金属は、元素金属、金属合金、金属酸化物、水和金属酸化物またはこれらの組み合わせであってよい。金属は、ゼロ価状態か、非ゼロ価状態のいずれかで用いることができる。金属組成は、本明細書では、総電解触媒重量(微粒子カーボン担体を含む)のパーセンテージとして金属元素の重量パーセンテージを参照して記載されている。金属重量パーセントは、元素金属、金属合金および金属酸化物または水和金属酸化物の元素金属の重量にのみ基づいており、カーボン担体やその他の非金属成分の重量は入っていない。本発明のカソード電解触媒は、好ましくは、約50〜約80重量パーセントの白金と約15〜約50重量パーセントの微粒子カーボンを含んでなる。より好ましくは、カソード電解触媒は、約70重量パーセントの白金、約30重量パーセントの微粒子カーボンを含んでなる。
【0023】
アノードまたはカソード電解触媒を製造するプロセスでは、水性白金混合物を利用してもよい。水性白金混合物は、低原子価状態(Pt4+未満)にあるか、または低原子価状態に還元可能であるかのいずれかの可溶白金前駆体を含有していてよい。水性白金混合物の白金は、触媒を製造するのに用いるには、+2酸化状態で提供されるのが好ましい。例えば、塩化白金酸、HPtCIをNaHSOで還元して、HPt(OOH、酸性亜硫酸白金、Pt(II)試薬をイン・シトゥで形成することができる。塩化白金酸は、Ptを+4酸化状態、すなわち、Pt(IV)で含有している。この代わりに、HPt(SOOHまたはその他の可溶な白金+2(Pt(II))塩、例えば、テトラクロロ白金(II)アンモニウム、テトラクロロ白金(II)カリウム、水溶性白金(II)ホスフィン錯体(例えば、クロロトリス塩化(2,3,5−トリアザ−7−ホスホアダマンタン)白金(II)、(TPA)PtCl))またはその他の低原子価の水溶性白金塩を直接用いることができる。しかしながら、塩化白金酸を用いた後、直接NaHSOまたはHPt(SOOHと反応させるのが好ましい。白金を含有する電解触媒を、塩化白金酸を用いて作製するときは、塩化白金酸溶液の濃度は重要ではない。しかしながら、塩化白金酸の濃度は、通常、約1〜約20重量パーセントの白金であり、約5〜約15重量パーセントの白金を用いるのが有利である。
【0024】
白金とルテニウムを含んでなるアノード電解触媒は、同じくルテニウムを含有する試薬溶液、例えば、塩化ルテニウム溶液を用いて作製することができ、酸化剤を存在させて、上述した水性白金混合物と組み合わせると、電解触媒混合物を形成する。塩化ルテニウム溶液は、当業者に知られた方法により作製することができる。溶液中の塩化ルテニウムの濃度は重要ではないが、約1重量パーセント〜約10重量パーセントを用いるのが有利であり、約2重量パーセントが好ましい。塩化ルテニウム溶液は、上述した水性白金混合物に添加されるのが好ましい。同様に、微粒子カーボン担体で用いるときは、塩化ルテニウム溶液は、0.3ミリモルRu/分を超える、好ましくは約0.7〜約4.0ミリモルルテニウム/分、より好ましくは約0.9〜約3.6ミリモルRu/分の速度で添加するのが好ましい。その他の可溶ルテニウム前駆体、例えば、ルテニウム(III)硝酸ニトリシル、ルテニウム(III)硫酸ニトロシルおよび(IV)未満のルテニウム価のその他の水溶性ルテニウム試薬も用いることができる。塩化ルテニウムが好ましい。
【0025】
担持白金カソード触媒を製造するプロセスにおいて、Pt(II)試薬の生成、または直接使用および電解触媒混合物の形成の後、酸化剤、例えば、過酸化水素を電解触媒混合物に添加する。その他の好適な酸化剤としては、水溶性剤(例えば、次亜塩素酸)またはオゾン等の気相酸化剤が挙げられる。気相酸化剤は、液体媒体への発泡により添加することができる。酸化剤を添加して、Pt(II)試薬を、白金がPt(IV)のコロイドPtOに変換する。酸化剤の導入により、白金がコロイド形態で存在するコロイド混合物が形成される。
【0026】
担持白金/ルテニウムアノード触媒を製造するプロセスにおいて、直前に記載した酸化剤も用いることができる。塩化ルテニウムが電解触媒混合物中に存在し、過剰の酸化剤(例えば、過剰の過酸化水素)が存在するときは、酸化剤は、塩化ルテニウムと反応して、同じくコロイドとして存在する酸化ルテニウムを形成することができる。
【0027】
反応に用いる過酸化水素の量は、H対金属の総モルのモル比に基づいて約15:1〜700:1、好ましくは100:1〜300:1、より好ましくは約210:1である。白金およびルテニウム電解触媒混合物が生成されるとき、白金溶液の添加後に、過酸化水素を全て添加する代わりに、過酸化水素の一部を、塩化ルテニウムと同時に添加することができる。
【0028】
界面活性剤または分散剤を、塩化白金酸に添加し、次に、NaHSOを添加してHPt(SOOH)を生成することができる。あるいは、Pt(II)試薬を、イン・シトゥで生成するのではなく、直接組み込む場合には、界面活性剤または分散剤をそこに直接添加することができる。白金/ルテニウムアノード電解触媒を製造するときは、塩化ルテニウム添加後、界面活性剤または分散剤を直接添加することができ、これは、過酸化水素による界面活性剤の発泡または反応が起こり得るときは望ましい。さらに他の変形として、界面活性剤または分散剤を、カーボンに添加することができ、これを次に、コロイド混合物に添加する。ある好ましい実施形態において、界面活性剤をコロイド混合物に添加した後、RuClを添加し、場合により、カーボン担体を分散させて、界面活性剤カーボン担体スラリーを反応混合物に添加する。
【0029】
当業者に知られた界面活性剤および分散剤は、ここに参考文献として援用されるPCT出願国際公開第2004/073090号パンフレットに開示されている。本明細書で用いる「分散剤」とは、固体微粒子を懸濁の状態とすることが可能であり、流体媒体中での凝集や沈降を抑制または防止する材料の部類のことを指す。本明細書で用いる「界面活性剤」(または表面活性剤)という用語は、両親媒性構造(反対の溶解傾向を備えた基を有する)等の構造および特性における特定の特徴、媒体への溶解性、特定の濃度でのミセルの形成、相界面での配向単層−相界面(この場合は、液体−固体界面)での界面活性剤分子とイオン形態の配向単層の形成、および界面での吸着性を備えた物質のことを指す。このように、界面活性剤が機能すると、粒子を分散するが、分散剤は、界面活性剤の特性を有する必要はなく、界面活性剤以外の異なる機構により機能させることができる。従って、これらの用語は、本明細書においては区別なく用いられる。電解触媒を作製するプロセスに用いるのに好適な界面活性剤および分散剤は、カルボキシレート、スルホネート、サルフェートまたはホスフェート基を含有するアニオン界面活性剤およびエトキシレート、カルボン酸エステル、カルボキシルアミンおよびポリアルキレンオキシドブロックコポリマーから誘導されたようなノニオン界面活性剤とすることができる。
【0030】
界面活性剤または分散剤は、懸濁液の形態で提供されるのが好ましい。懸濁液は、コロイドおよび微粒子カーボンを安定化させるのに十分な界面活性剤または分散剤を含有している。懸濁液は、固体を組み合わせた総重量に基づいて、約.0001重量パーセント〜約20重量パーセントの界面活性剤または分散剤を含有するのが好ましい。固体を組み合わせた総重量とは、界面活性剤/分散剤、金属および微粒子カーボンの総重量を意味する。より好ましくは、懸濁液は、固体を組み合わせた総重量に基づいて、約0重量パーセント〜約10重量パーセントの界面活性剤または分散剤、より好ましくは、約.01〜約5重量パーセントの界面活性剤または分散剤、さらに好ましくは約1〜約2重量パーセントの界面活性剤または分散剤を含有している。懸濁液中の界面活性剤または分散剤の濃度は重要ではない。しかしながら、約10重量%の界面活性剤または分散剤濃度を用いると有利であることが分かっている。
【0031】
塩化白金(IV)を亜硫酸水素白金(II)に変換する、亜硫酸水素ナトリウム、NaHSOもまた、懸濁液中に存在させて、このやり方で提供して、白金を+2酸化状態に変換することができる。NaHSOの濃度は、変えることができ、NaHSO対白金のモル比で表わされ、好ましくは約3:1〜約20:1、より好ましくは約5:1〜約15:1、さらに好ましくは約7:1〜約12:1である。
【0032】
白金試薬を生成して、カソード電解触媒混合物を形成した後、または白金およびルテニウム試薬を生成して、アノード電解触媒混合物を形成した後、過酸化水素、化学的に処理した微粒子カーボン、例えば、酸性化微粒子カーボンを触媒混合物に添加する。カーボンは、例えば、スラリーまたは固体形態で提供することができる。カーボンの化学処理は、当業者に知られた方法により実施することができる。酸性化は、様々な酸化性酸を用いて実施することができる。例えば、カーボン粒子を、酸素ガス、過酸化水素、有機過酸化物、オゾン等の酸化剤で処理したり、例えば、硝酸、過塩素酸、塩酸、過マンガン酸またはクロム酸等の酸化性酸により酸化および酸性化したりすることができる。ある実施形態において、微粒子カーボンのスラリーは、希釈酸溶液により作製することができ、酸性化は、例えば、スラリーを還流する等、加熱することにより行うことができる。場合により、粒子を、酸素ガス、オゾンまたは揮発性有機過酸化物等の機能付与剤により処理するときは特に、粒子は、例えば、約175℃の温度まで、好ましくは約100℃以下まで加熱して、カーボンの分解を防止することができる。
【0033】
カーボンを触媒混合物に添加すると、触媒混合物およびカーボンは沈殿剤と接触し、触媒混合物を部分的に還元して、金属が担体に沈殿または付着するのを助けるものと考えられる。水素ガスが、好ましい沈殿剤である。場合により、還元剤との接触は、例えば、窒素存在下等、制御された環境で行うことができる。水素ガスを沈殿剤として用いるときは、窒素雰囲気等の不活性雰囲気を用いるのが望ましい。
【0034】
電解触媒を製造するのに用いる特定の成分の他の成分への添加速度を制御すると、本明細書に開示されたプロセスに従って製造された電解触媒の品質が改善される。さらに、このプロセスで用いる微粒子カーボン担体の機能付与は、互いの成分の添加速度の制御および/または界面活性剤または分散剤の使用と組み合わせると、カーボン担体への金属粒子凝集を最小化または排除する等、生成される電解触媒の特性が改善される。
【0035】
本発明の好ましい実施形態において、アノード電解触媒は、アノード電解触媒粒子の形態にあり、カソード電解触媒は、カソード電解触媒粒子の形態にある。これらの粒子は、小さい一次粒子の凝集体を形成する。これらの電解触媒粒子を、電極に組み込むとき、アノードおよびカソード電解触媒粒子の少なくとも98%の粒径が10ミクロン未満であるのが好ましい。粒子サイズは、レーザー光散乱測定技術を用いて測定される。液体触媒インク中の粒子のサイズは、ヘグマン(Hegman)ゲージを用いて測定する。
【0036】
電極
本発明のMEAは、PEMの一方の側に向いたアノード電極と、PEMの対向する側に向いたカソード電極とを有する。アノードおよびカソード電極は、PEMにコートまたは直接付着して、MEA3と呼ばれることのあるCCMを形成することができる。あるいは、一方または両方の電極を、PEMの対向する側に配置されたガス拡散層のPEMに向いた側にコートまたは付着してもよい。
【0037】
本発明によれば、PEMの第1の側に近接するアノード電極は、50〜90wt%のアノード電解触媒と、10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなる。アノード電解触媒は、少なくとも40wt%の白金と、少なくとも15wt%のルテニウムと、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、白金触媒およびルテニウム触媒は、微粒子カーボンに担持されており、アノード電極中の白金、ルテニウムおよびその他の金属の総装填量が3mg/cm未満である。
【0038】
本発明によれば、アノード電極からPEMの反対の第2の側に近接するカソード電極は、50〜90wt%の電解触媒と、10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなる。カソード電解触媒は、少なくとも50wt%の白金と、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、白金は、微粒子カーボンに担持されており、カソード電極中の白金およびその他の金属の総装填量が3mg/cm未満である。
【0039】
アノード電極において、アノード電解触媒、イオン交換ポリマーおよび存在する場合にはその他の成分の量を調整して、アノード電解触媒が、得られる電極の重量の主成分となるようにするのが好ましい。より好ましくは、アノード電極中のアノード電解触媒対イオン交換ポリマーバインダーの重量比は、約1:1〜約10:1、より好ましくは2:1〜5:1である。
【0040】
カソード電極において、カソード電解触媒、イオン交換ポリマーおよび存在する場合にはその他の成分の量を調整して、カソード電解触媒が、得られる電極の重量の主成分となるようにするのが好ましい。より好ましくは、カソード電極中のカソード電解触媒対イオン交換ポリマーバインダーの重量比は、約1:1〜約10:1、より好ましくは2:1〜5:1である。
【0041】
燃料電池において有効に機能する電極については、有効なアノードおよびカソード電解触媒部位を、アノードおよびカソード電極に与えなければならない。アノードおよびカソードを有効にするためには、(1)電解触媒部位が反応物質に接触可能でなければならず、(2)電解触媒部位が、ガス拡散層に電気的に接続されていなければならず、(3)電解触媒部位は、燃料電池電解質にイオン的に接続されていなければならない。アノードおよびカソード電解触媒に多孔性微粒子カーボン担体を組み込むと、電解触媒部位が、反応物質により接触可能となるのを助け、また、電解触媒部位をMEAの拡散層へ電気的に接続もする。電解触媒部位は、電極のイオン交換ポリマーバインダーを介して電解質にイオン的に接続されている。
【0042】
電極に用いるバインダーは、電解触媒粒子のバインダーとして作用するばかりでなく、電極を膜に固定するのも支援するため、バインダー組成物中のイオン交換ポリマーは、膜中のイオン交換ポリマーと相溶性があるのが好ましい。より典型的には、バインダー組成物中のイオン交換ポリマーは、PEM中のイオン交換ポリマーと同じ種類である。電極が、膜にコートされているかそうでなければ付着されている場合には、電極に用いるバインダーは、膜を含んでなる同じイオン交換ポリマーであるのが好ましい。本発明のMEAのアノードおよびカソード電極のバインダーに好適なイオン交換ポリマーは、プロトン交換膜を作製するのに用いた上述した高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーである。イオン交換ポリマーは、典型的に、ハロゲン化スルホニル形態の末端基を有するが、この代わりに、スルホン酸形態の末端基を有していてもよい。
【0043】
アノードまたはカソード電極を形成するために、上述したアノード電解触媒またはカソード電解触媒を、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーの分散液、好ましくは、水、アルコールまたは水/アルコール混合物中過フッ素化イオノマーによりスラリー化して、触媒分散液を形成する。業界で一般的に用いられるような追加の添加剤をスラリーに組み込んでもよい。
【0044】
好ましいイオノマーは、プロトン交換膜に用いる上述したようなものであり、例えば、PTFEと、式
−(O−CFCFR−O−CF(CFR’SO
で表わされる懸垂基を有するモノマーの過フッ素化コポリマーである。式中、RおよびR’'は、F、Clまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から独立に選択され、a=0、1または2、b=0〜6である。好ましくは、Rはトリフルオロメチル、R’はF、a=0または1、b=1である。最も好ましくは、Rはトリフルオロメチル、R’’はF、a=1およびb=1である。あるいは、イオン交換ポリマーは、PTFEと式
−(O−CFCFR−O−CF(CFR’SO−M+
で表わされる懸垂基を有するモノマーとのコポリマーとすることができる。式中、RおよびR’’は、F、Clまたは1〜10個の炭素原子を有する過フッ素化アルキル基から独立に選択され、a=0、1または2、b=0〜6、MはHまたは一価の金属である。好ましくは、Rはトリフルオロメチル、R’’はF、a=0または1、b=1、MはHまたはアルカリ金属である。最も好ましくは、a=1、MはHである。Mがアルカリ金属で、ポリマーのハロゲン化スルホニル形態(例えば、−SOF)を用いるときは、追加のイオン交換工程を、ここに記載したプロセスの都合のよい段階で導入して、電極を酸形態に変換(すなわち、MをHに変換)しなければならない。
【0045】
本発明のMEA用アノードおよびカソードは、インク中で酸形態のイオン交換ポリマーバインダーを用いて製造することができる。アノードまたはカソード電解触媒は、イオノマーの酸形態と組み合わせ、電気化学的に活性な電極を、追加の処理工程なしで、この組み合わせから直接製造することができる。あるいは、カソードおよびアノード電極は、過フッ素化イオノマーが、スルホニルフルオリドの形態で、電極を形成した後、酸形態へ変換されるスラリーから形成することができる。スルホニルフルオリド形態のイオノマーを、都合の良いやり方で、鉱酸と接触させると、プロトンを導くのに必要とされる酸形態にそれを変換するのに十分なものである。好適なイオン交換ポリマーは、700〜2000EWの範囲の当量を有する。
【0046】
アノードまたはカソード電極を作製するのに用いる電解触媒インクまたはペーストは、電解触媒、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーおよび好適な液体媒体を組み合わせることにより作製される。媒体は、十分に低い沸点を有するのが有利であり、それであると、電極層の迅速な乾燥が、用いるプロセス条件で可能である。ただし、移動時に、電極が濡れているのが望ましい場合には、膜へ移動する前に、組成が乾燥するほど、早く乾燥しないものとする。可燃性成分を用いるときは、媒体は、かかる成分に関連したプロセスリスクを最小にするものを選択する。媒体は、使用中、電解触媒と接触するからである。媒体はまた、酸形態で、強い酸性活性を有するイオン交換ポリマーの存在下で、十分に安定でもなければならない。液体媒体は、イオン交換ポリマーとの相溶性のために典型的に極性であり、プロトン交換膜を濡らすことができるのが好ましい。電極中のイオン交換ポリマーは、液体媒体の乾燥の際に、安定な層を形成し、安定な電極層を形成するのに、加熱する等の後処理工程は必要としないのが好ましい。液体媒体が水の場合には、界面活性剤、アルコールまたはその他の混和性溶媒と組み合わせて用いてもよい。
【0047】
様々な極性有機液体およびその混合物は、電解触媒コーティングインクまたはペーストのための好適な液体媒体として作用し得る。水は、コーティングプロセスを妨げないのであれば、媒体として存在させることができる。極性有機液体の中には、大量にあると、膜を膨潤できるものがあるが、電解触媒コーティングに用いる液体の量は、プロセス中の膨潤からの悪影響が最少である、または検出されないよう十分に少ないのが好ましい。イオン交換膜を膨潤できる溶媒は、電極の膜への良好な接触とより安定した適用を与えることができるものと考えられる。様々なアルコールが、液体媒体として用いるのに好適である。
【0048】
典型的な液体媒体としては、好適なC〜Cのアルキルアルコール、例えば、n−、イソ−、sec−およびtert−ブチルアルコール、イソマーの炭素が5個のアルコール、例えば、1,2−および3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル、1−ブタノール、イソマーの炭素が6個のアルコール、例えば、1−、2−および3−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル、1−ペンタノール、4−メチル−1−ペンタノール、イソマーのCアルコールおよびイソマーのCアルコールが挙げられる。環状アルコールも好適である。好ましいアルコールは、n−ブタノールおよびn−ヘキサノールであり、n−ヘキサノールがより好ましい。その他の好ましい液体媒体は、主に、炭素が12個のペルフルオロ化合物等のフッ素化溶媒、3Mカンパニー(3M Company)製FC−40やFC−70フロリナート(Fluorinert)(商標)電子液体である。電解触媒コーティングインクやペーストに用いる液体媒体の量は異なり、用いる媒体のタイプ、電解触媒コーティングの構成成分、用いるコーティング装置のタイプ、所望の電極厚さ、プロセス速度およびその他のプロセス条件により決まる。
【0049】
電解触媒インク中の粒子のサイズは、粉砕、ミリングまたは超音波処理により減じて、電解触媒の最良の有用性が得られる粒子サイズとする。ヘグマン(Hegman)ゲージにより測定された粒子サイズは、好ましくは10ミクロン未満まで、より好ましくは5ミクロン未満まで減じる。
【0050】
得られた電解触媒ペーストまたはインクは、MEAに組み込まれる適切な基材にコートされる。コーティングを塗布する方法は、本発明の実施にとって重要ではない。公知の電解触媒コーティング技術を用いることができ、例えば、30μm以上の非常に厚いものから、例えば、1μm以下と非常に薄いものまで様々な厚さの様々な塗布層が生成される。典型的な製造技術には、電解触媒インクやペーストの、ポリマー交換膜か、ガス拡散基材のいずれかへの塗布が含まれる。さらに、電極デカールを製造し、膜またはガス拡散バッキング層に転写できる。電解触媒を基材へ塗布する方法には、スプレー、塗装、パッチコーティングおよびスクリーン印刷やフレキソグラフィー印刷が含まれる。アノードおよびカソード電極の厚さは、好ましくは約0.1〜約30ミクロン、より好ましくは25ミクロン未満である。塗布された層の厚さは、組成要因、層を生成するのに用いるプロセスに応じて異なる。組成要因としては、コートされた基材への金属装填量、層の空隙率(多孔性)、用いるポリマー/イオノマーの量、ポリマー/イオノマーの密度およびカーボン担体の密度が挙げられる。層を生成するのに用いるプロセス(例えば、ホットプレスプロセス対コーティングへの塗装または乾燥条件)は、空隙率、そして、層の厚さに影響する。
【0051】
好ましい実施形態において、薄い電極層が、プロトン交換膜の対向する側に直接付加された触媒コート膜が形成される。ある作製方法では、触媒インクを、カプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミド膜(デラウェア州、ウィルミントンのデュポン(DuPont,Wilmington,Delaware)より入手可能)等の平坦な剥離基材に広げることにより、触媒膜がデカールとして作製される。デカールは、圧力および任意の熱の適用により膜の表面に転写された後、剥離基材を除去して、制御された厚さおよび触媒分布を有する触媒層を備えたCCMを形成する。膜は、電極デカールが膜に転写されるときに、濡れているのが好ましい。あるいは、電解触媒インクは、印刷等により膜に直接塗布してもよく、その後触媒フィルムを、200℃以下の温度で乾燥させる。このように形成されたCCMを、ガス拡散バッキング基材と組み合わせて、MEAを形成する。
【0052】
他の方法は、まず、本発明の触媒インクを、ガス拡散バッキング基板と組み合わせてから、後の熱圧密工程において、プロトン交換膜と組み合わせるものである。この圧密は、200℃以下、好ましくは140〜160℃の範囲の温度で、MEAの圧密と同時に実施してもよい。ガス拡散バッキングは、織または不織カーボンファイバーでできた紙や布帛等の多孔性の導電性シートを含み、場合により、処理して、親水性または疎水性挙動を示すようにし、例えば、PTFE等のフルオロポリマー、典型的に、粒子とバインダーのフィルムを含んでなるガス拡散層と共に一表面または両表面にコートすることができる。本発明に従って用いるガス拡散バッキングおよびガス拡散バッキングの製造方法は、当業者に知られた従来のガス拡散バッキングおよび方法である。好適なガス拡散バッキングは、例えば、ゾルテック(Zoltek)(登録商標)カーボン布(ミズーリ州、セントルイスのゾルテックカンパニー(Zoltek Companies,St.Louis,Missouri)より入手可能)およびELAT(登録商標)(マサチューセッツ州、ナティックのE−TEKインコーポレーティッド(E−TEK Incorporated,Natick,Massachusetts)より入手可能)をはじめとして、市販されている。
【0053】
燃料電池用膜電極組立体
本発明はまた、燃料電池において膜電極組立体を用いることも考えられ、組立体は、プロトン交換膜と、アノードおよびカソード電極と、ガス拡散バッキングとを有する。導電性材料で作製され、反応物質に流動場を与える二極分離板が、近接するMEA間に配置されている。数多くのMEAおよび二極板をこのやり方で組み立て、燃料ガススタックを与える。
【0054】
燃料電池スタックにおける反応物質流体ストリーム通路をシールして、燃料と酸化剤流体ストリームの漏れや混合を防ぐのが望ましい。燃料電池スタックは、典型的に、分離板と膜との間のエラストマーガスケット等の流体気密弾性シールを用いる。かかるシールは、典型的に、マニホルドおよび電気化学的に活性な領域を囲む。シーリングは、圧縮力を弾性ガスケットシールに印加することにより成される。圧縮によって、分離板とMEAの表面間のシーリングと電気的接触の両方、そして、近接する燃料電池スタックコンポーネント間のシーリングが促される。従来の燃料電池スタックでは、燃料電池スタックは、典型的に、圧縮され、1個もしくはそれ以上の金属タイロッドまたはテンション部材により一対のエンドプレート間で組み立てられた状態に維持される。タイロッドは、典型的に、スタックエンドプレートに形成された孔を通して延在していて、スタック組立体にそれらを固定するための関連のナットまたはその他の締結手段を有している。タイロッドは、外部とする、すなわち、燃料電池プレートおよびMEAを通して延在しないようにすることもできるが、外部タイロッドだと、スタック重量および体積が大幅に増す可能性がある。通常、米国特許第5,484,666号明細書に記載されているように、燃料電池プレートおよびMEAの開口部を通して、スタックエンドプレート間に延在する1個もしくはそれ以上のタイロッドを用いるのが好ましい。典型的に、弾性部材を用いて、タイロッドおよびエンドプレートと協働して、2つのエンドプレートを、互いに付勢し合って、燃料電池スタックを圧縮する。
【0055】
弾性部材は、例えば、熱または圧力によって誘導された膨張および収縮および/または変形により生じたスタック長における変化に対応する。すなわち、燃料電池組立体の厚さが収縮する場合には、弾性部材は膨張して、燃料電池組立体への圧縮荷重を維持する。弾性部材もまた圧縮して、燃料電池組立体の厚さの増大に対応する。弾性部材は、動作する燃料電池のための予測される膨張および収縮限界内で、燃料電池組立体に実質的に均一な圧縮力を与えるものを選択する。弾性部材は、機械ばね、水力または空気圧ピストン、スプリングプレート、圧縮パッド、その他の弾性圧縮デバイスまたはメカニズムを含んでなることができる。例えば、1個もしくはそれ以上のスプリングプレートは、スタックで積層することができる。弾性部材が、テンション部材と協働して、エンドプレートを互いに付勢し合うことにより、燃料電池組立体に圧縮荷重を、テンション部材に引張荷重を印加する。
【0056】
本明細書に開示した膜電極組立体を用いて作製した有機/空気燃料電池は、従来の有機/空気燃料電池よりも、非常に低い触媒金属装填量で、予期せぬレベルの性能を示す。400ミリボルトの電圧で70mWcmの電流密度が、通常、ダイレクトメタノール燃料電池に用いるのには、必要最小限なものである。このレベルの性能を、3mg金属/cm未満、さらに、2mg金属/cm未満の電極の面積当たりのアノードおよびカソード金属装填量を有する本発明によるMEAは、超える。対照的に、両方のカソードおよびアノード電解触媒が担持されていない従来のMEAでは、必要最小限の電流密度を得るには、少なくとも4.5mg金属/cmの電極当たりの金属装填量が必要である。カソードまたはアノード触媒が、カーボン担体に担持されている場合でも、アノードおよびカソード電極の両方に、4.5mg金属/cmより低い金属装填量で必要最小限の電流密度を得ることはできていなかった。意外なことに、本発明の一実施形態によるMEAでは、2.5mg金属/cm未満のカソードおよびアノード金属の総装填量で十分な電流密度が得られた。同じく重要なのは、本発明によるMEAでは、本発明によるMEAより遥かに多い金属装填量の従来のMEAよりも、その電圧性能が大幅に長く維持されることである。このように、本発明のMEAには、長持ちすると同時に、所望の電流密度を与えるのに高価な触媒金属の使用が大幅に減じるという利点がある。
【実施例】
【0057】
以下の具体的な実施例は、本発明の実施を例示するものであり、決して限定するものとは考えられない。
【0058】
以下の比較例および実施例で用いる以下の電極を作製した。
【0059】
カソードA:70mlの1.0〜1.25ミリメートルのジルコニア研削媒体を含むアイガー(Eiger)(商標)ビードミル(イリノイ州、グレーレークのアイガーマシナリー社(Eiger Machinery Inc.,Greylake,Illinois)製)にて、カソード触媒分散インクを調製した。FC−40フロリナート(Fluorinert)(商標)という商品名の電子液体過フッ素化溶媒(ミネソタ州、ミネアポリスの3Mカンパニー(3M Company,Minneapolis,Minnesota))中、100グラムの白金ブラック(未担持)触媒粉末(ミッドランド州、エルクトンのコロニアルメタルズ(Colonial Metals,Elkton Md.)より入手した燃料電池等級触媒)および317.5グラムの3.5wt%ナフィオン(Nafion)(登録商標)(デラウェア州、ウィルミントンのデュポン(DuPont,Wilmington,Delaware))(ポリマー樹脂はFTIRにより測定された830EWを有しており、スルホニルフルオリド形態にあった)を混合し、ミルに充填して、約2時間分散させた。材料をミルから引き、粒子サイズを測定した。インクを試験して、粒子サイズが10ミクロンより小さく、パーセント固体が約22.5wt%であったことを確認した。インクは、ロータリエバポレータ(rotovap)にて13wt%固体まで濃縮した。触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルム(デラウェア州、ウィルミントンのデュポン(DuPont,Wilmington,Delaware)より入手)の10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、4.5mgPt/cmのPt装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.5ミルであった。
【0060】
カソード−B:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、カソード−A(固体含量13wt%)を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、5.4mg/cmのPt金属装填量が得られた。
【0061】
カソード−C:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、カソード−A(固体含量13wt%)を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、4.8mg/cmのPt金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.5ミルであった。
【0062】
アノードA:70mlの1.0〜1.25ミリメートルのジルコニア研削媒体を含むアイガー(Eiger)(登録商標)ビードミルにて、アノード触媒分散インクを調製した。FC−40フロリナート(Fluorinert)(商標)という商品名の電子液体過フッ素化溶媒(ミネソタ州、ミネアポリスの3Mカンパニー(3M Company,Minneapolis,Minnesota))中、40グラムの白金/ルテニウム(50/50合金)ブラック(未担持)触媒粉末(英国、ロンドンのジョンソンマッセイ(Johnson Mathey,London,England)より入手したハイスペック(Hi−Spec)6000)および162.9グラムの3.5wt%ナフィオン(Nafion)(登録商標)(デラウェア州、ウィルミントンのデュポン(DuPont,Wilmington,Delaware))(ポリマー樹脂はFTIRにより測定された830EWを有しており、スルホニルフルオリド形態にあった)を混合し、ミルに充填して、約2時間分散させた。材料をミルから引き、粒子サイズを測定した。インクを試験して、粒子サイズが10ミクロンより小さく、%固体が約13wt%であったことを確認した。触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、触媒電極デカールを作製した。そのインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、4.5mg/cmのPt/Ru金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.5ミルであった。
【0063】
アノード−B:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、アノード−A(固体含量13wt%)を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、4.3mg/cmのPt/Ru装填量が得られた。
【0064】
アノード−C:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、アノード−A(固体含量13wt%)を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、5.1mg/cmのPt/Ru装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.6ミルであった。
【0065】
カソード−1:FC−40フロリナート(Fluorinert)(商標)という商品名の電子液体過フッ素化溶媒(ポリマー樹脂はFTIRにより測定された830EWを有しており、スルホニルフルオリド形態にあった)中、380.8グラムの3.5wt%ナフィオン(Nafion)(登録商標)溶液を、600グラムの容器に入れた。高速ミキサー(カフラモ(Caframo)製BDC2002ミキサー)を用いて、350rpmで溶液を攪拌しながら、容器を氷浴中で冷却して、溶液温度を約0℃まで下げた。溶液温度が約0℃に達した後、混合を続けながら、30グラムのBET表面積が215m/gのカーボン担持Pt触媒(67wt%Pt、33wt%微粒子カーボン)(日本、神奈川の田中貴金属工業(株)(Tanaka Kikinzoku Kogyo KK,Kanagawa,Japan)より入手したTEC10E70TPM触媒)を、約5〜7分間にわたって、ナフィオン(Nafion)(登録商標)溶液に徐々に添加した。カーボン担持Ptを全て添加した後、攪拌を45分間続けた。次に、ブランソンソニファイヤー(Branson Sonifier)450を用いて、70%の出力で、混合物を「超音波処理」し、温度が約70℃に達したとき、または達するまで、3〜5分間、電解触媒粒子を分解した。分散液温度が、70℃に達したら、超音波処理を止め、「超音波処理」を再開するまで、分散液を氷浴で室温まで冷やした。インク分散液中の最大粒子サイズが5ミクロン未満と判断されたら、超音波処理を止めた。粒子サイズを、ヘグマン(Hegman)ゲージを用いて測定した。インクの固体含量が約23wt%になるまで、このインク分散液を「ロータリエバポレータ(rotovap)」を用いて、約70℃で濃縮した。インク中の最大粒子サイズを再び試験した。最大粒子サイズが、5ミクロンを超えた場合には、最大粒子サイズが5ミクロン未満になるまで、インクを上述の超音波処理プロセスを用いて再び超音波処理した。インクの固体含量および粘度を測定したところ、それぞれ、21.4wt%、26,510センチポイズであった。
【0066】
触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、2.2mg/cmのPt金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.9ミルであった。
【0067】
カソード−2:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、カソード−1(固体含量21.4wt%、粘度26510センチポイズ)を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、2.21mg/cmのPt金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.9ミルであった。
【0068】
カソード−3:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、カソード−1(固体含量21.4wt%、粘度26,510センチポイズ)を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、1.12mg/cmのPt金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.45ミルであった。
【0069】
カソード−4:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、カソード−1を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、Pt装填量を得た。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、1.9mgPt/cmのPt金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約2.0ミルであった。
【0070】
カソード−5:触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、カソード−1(固体含量21.4wt%、粘度26,510センチポイズ)を作製するのに用いた電解触媒インクを用いて、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、1.0mg/cm2のPt金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.4ミルであった。
【0071】
カソード−6:109.6グラムのナフィオン(Nafion)(登録商標)920EW分散液(プロトン形態にある)(デュポン(DuPont)DE2020、21.3%固体)を、1000mlのポリビーカーに加え、氷浴に浸漬した。ポリビーカーを、フードのある窒素をパージしたボックスに入れ、高剪断混合により溶液を攪拌しながら、分散液を10℃まで冷やした。分散液温度が約10℃に達した後、高剪断混合を続けながら、81.7gの微粒子カーボン担持白金金属(70wt%Pt、30wt%微粒子カーボン)(日本、神奈川の田中貴金属工業(株)(Tanaka Kikinzoku Kogyo KK,Kanagawa,Japan)より入手したTEC10E70TPM触媒)を、約15分間にわたって、ナフィオン(Nafion)(登録商標)分散液に徐々に添加した。混合を続けながら、n−プロパノール(130.7g)とイソ−プロパノール(178.9g)の氷冷混合物を、ナフィオン(Nafion)(登録商標)と電解触媒の分散液に、約15分間にわたって徐々に添加した。混合を止め、分散液を室温まで徐々に暖め、24時間平衡させた。24時間後、大きな音響ホーンと高剪断ミキサーを分散液に入れた。高剪断ミキサーで攪拌しながら、分散液を9℃まで冷やした。冷却した分散液を、高剪断混合により3分間、9の設定で超音波処理した。高剪断混合を続けながら、分散液を15分間冷やした。3分間の超音波処理後、15分間の冷却のサイクルをさらに5回行った。分散液を一晩静置した。この分散液に、35.8グラムのジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を添加し、分散液を1分間攪拌した後、10分間平衡させた。攪拌と平衡のサイクルをさらに2回行った。
【0072】
カプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムに、60バールのロッドで鋳造し、一晩乾燥してから、第1のフィルム層の鋳造方向に垂直に適用された70ロッドバールにより第2の層を鋳造することにより、カソードデカールを作製した。窒素をパージさせて、デカールを真空オーブン中にて、150°Fで2時間乾燥させた。
【0073】
カソード7:33.9グラムのナフィオン(Nafion)(登録商標)920EW分散液(プロトン形態にある)(デュポン(DuPont)DE2020、21.3%固体)を、ビーカーに加え、氷浴に浸漬した。ビーカーを、フードのある窒素をパージしたボックスに入れ、高剪断混合により溶液を攪拌しながら、分散液を約10℃まで冷やした。41.74グラムのイソプロピルアルコールとノルマルプロピルアルコールと脱イオン水の1:1:1混合物を、分散液に添加した。分散液温度が約10℃に達した後、高剪断混合を続けながら、16.48グラムの微粒子カーボン担持白金金属(70wt%Pt、30wt%微粒子カーボン)(日本、神奈川の田中貴金属工業(株)(Tanaka Kikinzoku Kogyo KK,Kanagawa,Japan)より入手したTEC10E70TPM触媒)を含んでなる電解触媒を、約15分間にわたって、分散液に徐々に添加し、分散液を約6℃まで冷却した。混合を止め、分散液を室温まで徐々に暖めた。周囲温度まで温める際、70mlの1.0〜1.25ミリメートルのジルコニア研削媒体を含むアイガー(Eiger)(登録商標)ビードミル(イリノイ州、グレーレークのアイガーマシナリー社(Eiger Machinery Inc.,Greylake,Illinois)製)に、混合物を4分間循環させた。コールター(Coulter)カウンタにより分散液中の粒子サイズを測定したところ、D50は2.6ミクロンとなった。この分散液に、7.88グラムのジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を添加し、分散液を1分間攪拌した後、10分間平衡させた。
【0074】
カプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムに、60バールのロッドで鋳造し、一晩乾燥させてから、第1のフィルム層の鋳造方向に垂直に適用された70ロッドバールにより第2の層を鋳造することにより、カソードデカールを作製した。窒素をパージさせて、デカールを真空オーブン中にて、150°Fで2時間乾燥させた。
【0075】
カソード触媒デカールを、7−ミルロッドにより2−ミルの200LP PFAフィルムに鋳造し、周囲温度で45分間、次に、オーブン中で120°Fで1時間空気乾燥した。得られたカソードフィルムの厚さは0.31ミルであり、XRFにより測定したPt装填量は0.95mg/cmであった。
【0076】
アノード1:FC−40フロリナート(Fluorinert)(商標)という商品名の電子液体過フッ素化溶媒(ポリマー樹脂は、FTIRにより測定された830EWを有しており、スルホニルフルオリド形態にあった)中、3.5wt%のナフィオン(Nafion)(登録商標)溶液を、所望の7wt%の固体が得られるまで、ロータリエバポレータ(rotovap)に入れ、FC−40溶媒を除去することにより、7%まで濃縮した。201.4グラムの7wt%のナフィオン(Nafion)(登録商標)溶液を、熱水浴に入れ、ナフィオン(Nafion)(登録商標)を液体形態に保持した。微粒子カーボンに担持された白金/ルテニウム金属(75wt%金属/25wt%カーボン)を含んでなる電解触媒33グラムを、ナフィオン(Nafion)(登録商標)溶液に添加し、手でよく混合することにより、20wt%の固体のスラリーを作製した。電解触媒は、49.8wt%の白金、24.5wt%のルテニウムおよび約25wt%の微粒子カーボンを含んでなっていた。電解触媒の表面積は217m/g、細孔容積は0.50cc/g(両者共、標準窒素BETに従って測定)であった。TAインスツルメンツ(Instruments)TGAを用いて、熱重量分析により測定した電解触媒の水分含量は1.7%であり、LS 13 320レーザー回折粒子サイズ分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyzer)により測定された初期粒子サイズ分布は、d10=12.1ミクロン、d50=75.3ミクロン、d90=170.6ミクロンであった。電解触媒中の白金/ルテニウム金属の表面積は、金属の100m/gより大きかった。
【0077】
ナフィオン(Nafion)(登録商標)/電解触媒スラリーを、1.0〜1.25mmのジルコニア研削媒体を含有するアイガー(Eiger)ミルに入れ、4000rpmで2時間ミリングした。アイガー(Eiger)ミルを、50℃に設定した循環浴を用いて加熱し、インクが容易に流れるのを確実なものとした。材料をミルから引き、ヘグマン(Hegman)ゲージを用いて粒子サイズを測定した。検出された最大粒子サイズは、4ミクロン未満であった。インクをアイガー(Eiger)から取り出した。インクの固体含量および粘度を測定したところ、それぞれ、21.5wt%と31,500センチポイズであった。
【0078】
触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cmx5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、0.94mg/cmのPt/Ru金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.92ミルであった。
【0079】
アノード−2:アノード−1(固体含量21.5wt%および粘度31,500センチポイズ)を製造するのに用いた電解触媒インクをさらに濃縮して、固体含量を19.5wt%、粘度を19,500センチポイズとした。触媒インクを、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで延ばすことにより、触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、1.99mg/cmのPt/Ru金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約2.1ミルであった。
【0080】
アノード−3:アノード−2(固体含量19.5wt%および粘度19,500センチポイズ)を製造するのに用いた電解触媒インクを用いて、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで触媒インクを延ばすことにより、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、2.0mg/cmのPt/Ru金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約2.2ミルであった。
【0081】
アノード−4:アノード−2(固体含量19.5wt%および粘度19,500センチポイズ)を製造するのに用いた電解触媒インクを用いて、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで触媒インクを延ばすことにより、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、1.18mg/cmのPt/Ru金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約1ミルであった。
【0082】
アノード−5:アノード−2を製造するのに用いた電解触媒インクを用いて、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで触媒インクを延ばすことにより、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、1.0mg/cmのPt/Ru金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約0.93ミルであった。
【0083】
アノード−6:アノード−2を製造するのに用いた電解触媒インクを用いて、3ミルの厚さのカプトン(Kapton)(登録商標)ポリイミドフィルムの10cm×10cm片に、5cm×5cm(総面積を25cmとする)の寸法まで触媒インクを延ばすことにより、他の触媒電極デカールを作製した。このインクをナイフドローダウンコーティングすることにより、2.1mg/cmのPt/Ru金属装填量が得られた。乾燥コーティング厚さは、約2.3ミルであった。
【0084】
アノード−7:プロトン形態にある83.84グラムのナフィオン(Nafion)(登録商標)920EW分散液(デュポン(DuPont)DE2020、21.3%固体)と、84.02グラムのn−プロピルアルコール/イソ−プロピルアルコールの1:1溶液を、500mlのポリビーカーに加え、氷浴に浸漬した。ポリビーカーは、フードのある窒素をパージしたボックス中であった。分散液を6Cまで冷やした。高剪断混合により温度をモニタリングしながら、微粒子カーボンに担持された白金/ルテニウム金属(41wt%Pt/32wt%Ru/27wt%カーボン)を含んでなる電解触媒20グラム(日本、神奈川の田中貴金属工業(株)(Tanaka Kikinzoku Kogyo KK,Kanagawa,Japan)より入手したTEC81E81)を、5分間にわたって、徐々に添加した。攪拌をさらに10分間続けた。その後、同じ電解触媒をさらに13.83グラム、2分間にわたって、徐々に添加した。飛び散らないようビーカーにプラスチックの蓋をかぶせて、攪拌を30分間続けた。その後、攪拌を止め、ポリビーカーを氷浴から出した。分散液をプラスチック瓶に移し、一晩静置させた。24時間後、大きな音響ホーンと高剪断ミキサーを分散液に入れた。高剪断ミキサーで攪拌しながら、分散液を9℃まで冷やした。冷却した分散液を、高剪断混合により3分間、9の設定で超音波処理した。高剪断混合を続けながら、分散液を15分間冷やした。3分間の超音波処理後、15分間の冷却のサイクルをさらに4回行った。分散液を一晩静置した。この分散液に、11.8グラムのジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)を添加し、分散液を1分間攪拌した後、10分間平衡させた。攪拌と平衡のサイクルをさらに2回行った。
【0085】
3−ミルのPFAフィルム上に、15ミルのドクターブレードにより、アノードデカールを作製した。得られたアノードの総金属装填量(PtプラスRu)は2.74mg/cmであった。
【0086】
アノード8:プロトン形態にある32.65グラムのナフィオン(Nafion)(登録商標)920EW分散液(デュポン(DuPont)DE2020、21.3%固体)と、32.86グラムのイソプロピルアルコールおよび18.50グラムのノルマルプロピルアルコールの混合物とを、ビーカーに加え、氷浴に浸漬した。ビーカーは、フードのある窒素をパージしたボックス中であった。分散液を6Cまで冷やした。微粒子カーボンに担持された白金/ルテニウム金属(75wt%金属/25wt%カーボン)を含んでなる電解触媒15.99グラムグラムを、ナフィオン(Nafion)(登録商標)分散液に徐々に添加して、よく混合してスラリーを形成した。電解触媒は、49.8wt%の白金、24.5wt%のルテニウムおよび約25wt%の微粒子カーボンを含んでなっていた。電解触媒の表面積は217m/g、細孔容積は0.50cc/g(両者共、標準窒素BETに従って測定)であった。TAインスツルメンツ(Instruments)TGAを用いて、熱重量分析により測定した電解触媒の水分含量は1.7%であり、ベックマン・コールター・モデル(Beckman Coulter Model)LS 13 320レーザー回折粒子サイズ分析器(Laser Diffraction Particle Size Analyzer)により測定された初期粒子サイズ分布は、d10=12.1ミクロン、d50=75.3ミクロン、d90=170.6ミクロンであった。電解触媒中の白金/ルテニウム金属の表面積は、金属の100m/gより大きかった。スラリー/分散液の攪拌を約30分間続けた。その後、攪拌を止め、ビーカーを氷浴から出した。分散液を室温まで温めた。上述したレーザー回折粒子サイズ分析器により測定した際に、D50粒子サイズが2.5ミクロンに減じるまで、ブランソンソニファイヤー(Branson Sonifier)450を用いて、35%の電力出力を与える70%の電力で0.5インチのプローブにより、分散液を、20分間超音波処理した。この分散液に、固体含量が16重量%に減じるまで、59.36グラムの溶液(44グラムのイソプロピルアルコール、44グラムのノルマルプロピルアルコール、12グラムの水および11.1グラムのジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM))。
【0087】
2−ミルのPFAフィルム上に、15ミルのロッドにより、アノードデカールを作製した。フィルムを、周囲温度で60分間空気乾燥した。得られたアノードフィルムの厚さは1.43ミルであり、XRFにより測定した総金属装填量(PtプラスRu)は、1.94mg/cmであった。
【0088】
膜電極組立体
比較例A〜Gおよび実施例1〜5において、触媒コート膜を、スルホン酸形態で、厚さ約7ミル、サイズ約4インチ×4インチで、ナフィオン(Nafion)(登録商標)N117プロトン交換膜を用いて作製した。濡れた膜片を用いた。例えば、膜は、膜の片側の1つの上述したアノード電極デカールと、膜の対向する側の1つの上述したカソード電極デカールとの間に挟んだ。2つのデカール上のコーティングが、確実に、互いに位置合わせされ、膜に向くように配置されるように注意した。組立体全体を、2つの予熱しておいた(約160℃まで)、水圧プレスの8インチ×8インチの板の間に入れて、5000lbの圧力に達するまで、プレスの板を即時に合わせた。挟んだ組立体を加圧下で約2分間保持し、プレスを約2分間(すなわち、<60℃の温度に達するまで)同じ圧力下で冷却した。次に、組立体をプレスから取り出し、カプトン(Kapton)(登録商標)フィルムを、膜の両側の電極から徐々に剥がしたところ、アノードおよびカソード電極が、膜に移ったのが分かった。各電極コートされた膜を、水のトレーに浸漬し(膜が確実に完全に濡れるようにした)、保管および後の使用のためにジッパー付きの袋に慎重に移した。
【0089】
比較例A〜Gおよび実施例1〜5において、アノード電極およびカソード電極中のイオノマーを、SOF形態からH+酸形態に変換するために、CCMを化学処理した。これには、加水分解後、酸交換手順が必要であった。CCMの加水分解は、80℃の30wt%NaOH溶液中で、30分間実施した。CCMをテフロン(Teflon)(登録商標)メッシュ(デラウェア州、ウィルミントンのデュポン(DuPont,Wilmington,Delaware)より入手)間に入れ、溶液に入れた。溶液を攪拌して、確実に均一に加水分解されるようにした。浴に30分入れた後、CCMを取り出し、新しい脱イオン水で完全に濯いでNaOHを全て除去した。
【0090】
前の工程で加水分解したCCMの酸交換を、15wt%の硝酸溶液中で、65℃の浴温度で45分間行った。溶液を攪拌して、均一な酸交換を確実なものとした。この手順を、15wt%の硝酸溶液を含有する第2の浴にて、65℃で45分間繰り返した。CCMを脱イオン水を流して、15分間室温で濯いで、残渣の酸を全て確実に除去した。それらをウェットパッケージして、ラベルを付けた。
【0091】
実施例6および7では、アノードおよびカソード電極を、スルホン酸形態でバインダーにより作製したため、加水分解および酸交換工程は用いなかった。アノードおよびデカール転写により、スルホン酸形態にあって、厚さが5ミルのナフィオン(Nafion)(登録商標)N115プロトン交換膜を濡らすことにより、触媒コート膜を製造した。これらの2つの実施例では、膜の片側の上述したアノード電極デカールの1つと、膜の対向する側の上述したカソード電極デカールの1つとの間に膜を挟んだ。2つのデカール上のコーティングが、確実に、互いに位置合わせされ、膜に向くように配置されるように注意した。実施例6では、組立体を、2つの140℃で加熱した板の間に、8分間、10,000負荷ポンドで入れ、実施例7では、組立体を、2つの125℃で加熱した板の間に、5分間、5000負荷ポンドで入れた。プレスを約3分間(<90℃の温度に達するまで)冷却しながら、圧力を維持した。組立体をプレスから取り出し、サポートフィルムを、膜の両側の電極から徐々に剥がしたところ、アノードおよびカソード電極が、膜に移ったのが分かった。各触媒コートされた膜を、水のトレーに浸漬し(膜が確実に完全に濡れるようにした)、保管および後の使用のためにジッパー付きの袋に慎重に移した。
【0092】
CCM性能測定を、ニューメキシコ州のフュエル・セル・テクノロジーズ社(Fuel Cell Technologies Inc,New Mexico)より入手した単電池試験を用いて実施した。ガス拡散バッキングの2枚のシート間に挟まれた上記CCMの1つを含んでなる膜電極組立体を作製した(GDBが、CCMの電極領域を確実にカバーするよう注意した)。アノードガス拡散バッキングは、厚さ1.7ミルのマイクロポーラスカーボン粉末コーティングによりコートされた厚さ8ミルのカーボン紙を含んでなっていた。カソード拡散バッキングは、PTFEコーティングを備えた厚さ8ミルの不織カーボン布を含んでなっていた(フロイデンベルク(Freudenberg)製FCX0026)。アノード側GDBのマイクロポーラス層は、アノード触媒に対して配置された。厚さ1ミルのFEPポリマースペーサに夫々沿わせた厚さ7ミルの2つのガラスファイバー強化シリコーンゴムガスケット(フラン(Furan)−タイプ1007、ストックウェルラバーカンパニー(Stockwell Rubber Company)より入手)を、膜の対向する側にある電極とGDBを囲んで、膜の各側の露出した端部領域をカバーするような形状にカットして置いた。GDBとガスケット材料が重ならないように注意した。挟んだ組立体全体を、25cmの標準単電池組立体(ニューメキシコ州、ロスアラモスのフュエル・セル・テクノロジーズ社(Fuel Cell Technologies Inc.,Los Alamos,NM)より入手)のアノードとカソード流動場グラファイト板の間で組み立てた。試験組立体はまた、タイロッド、絶縁性層および金めっき電流コレクタと結合された、アノード入口、アノード出口、カソードガス入口、カソードガス出口、アルミニウムエンドブロックも備えていた。単電池組立体の外側板にあるボルトを、2ft.lbまでトルクレンチにより締めた。
【0093】
単電池組立体を、燃料電池試験ステーションに結合した。試験ステーションのコンポーネントには、カソードガスとして用いる空気供給部、燃料電池からの電力出力を制御するロードボックス、陽極液の供給を保持するMeOH溶液タンク、陽極液を燃料電池アノードに所望の流量で供給する液体ポンプ、電池から出た陽極液を、電池温度から室温まで冷却する凝縮器および使用済み陽極液を集める収集瓶が含まれていた。
【0094】
室温の電池では、1M MeOH溶液と空気を、アノードおよびカソードコンパートメントに、電池の入口を通して、それぞれ、1.55cc/分と202cc/分の流量で入れた。単電池の温度を、70℃に達するまで徐々に上げた。メタノールと空気の供給速度は、電流に比例して維持し、回路の抵抗は、電流を増やすために、工程によって変えた。各電流工程での電圧を記録して、電池についての電流対電圧プロットを作成した。このプロットを用いて、400ミリボルトの電圧での電流密度(mW/cmで表わしてある)を求めた。
【0095】
表1に、各例についてのアノードおよびカソード電極を、測定された電流密度と共に示す。
【0096】
【表1】

【0097】
400ミリボルトの電圧では、70mW/cmの電流密度が、通常、ダイレクトメタノール燃料電池に用いるのに必要最低限である。例では、3mg金属/cm未満、さらには2mg金属/cm未満の電極当たりのアノードおよびカソード金属装填量を有する本発明によるMEAは、この最低レベルの性能を超えているのが分かる。対照的に、カソードおよびアノード電解触媒の両方が未担持で、総金属装填量(カソードおよびアノード)が10mg金属/cmを超える比較例Fの従来のMEAでは、この必要最低限の電流密度は得られなかった。比較例Dでは、1.0mg金属/cmと比較的低い担持Pt/Ruアノード電極を、金属装填量が4.5mg金属/cmの未担持のPtカソード電解触媒と組み合わせたが、それでも、電流密度は、ダイレクトメタノール燃料電池の必要最低限より低かった。意外なことに、本発明の一実施形態(実施例4)によるMEAでは、2.5mg金属/cm未満の総金属装填量でも十分な電流密度が得られた。カソード電解触媒金属がカーボンに担持されているが、アノード電解触媒金属は担持されていなかった比較例Aの従来のMEAで同様の性能を得るには、ほぼ3倍の触媒金属が必要であった。
【0098】
長期促進耐久性試験を、比較例Gと実施例5の触媒コート膜で実施した。長期耐久性試験は、上述した同じ単電池試験組立体および同じ手順により作製したMEAで実施した。電池を室温として、1M MeOH溶液と空気を、アノードおよびカソードコンパートメントに、電池の入口から、それぞれ、1.55cc/分と202cc/分の流量で入れた。単電池の温度を、70℃に達するまで徐々に上げた。初期オープン電池電圧(印加負荷なし)がまず検出された。抵抗負荷を印加して、3.75アンペアの電流を維持し、30分間保持して、平均電圧降下を、この電流で、その時間について測定した。次の30分試験サイクルを開始する前、抵抗を30秒間除去した。各試験サイクル中、3.75アンペアの電流を維持するのに必要な抵抗を印加し、平均電圧降下を測定し、記録した。長期間にわたって、サイクルを続けた。
【0099】
比較例Gと実施例5のMEAについての、経時による平均電圧降下のプロットを図1に示す。実施例5のMEA(曲線「a」は、その能力を維持して、比較例G(曲線「b」)の従来のMEAが、ダイレクトメタノール燃料電池について許容されるレベルより遥か下に劣化した後も、非常に長く電圧降下が得られた。この改善された耐久性は、有機/空気燃料電池において大いに有用なものである。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】比較例Gと実施例5に記載したダイレクトメタノールMEAについての電圧降下対時間のプロットを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機/空気燃料電池用膜電極組立体であって、
高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーでできた、対向する第1および第2の側を有するプロトン交換膜と、
膜の前記第1の側に近接するアノード電極であって、50〜90wt%のアノード電解触媒と10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなるアノード電極において、前記アノード電解触媒が、カーボンに担持されたアノード金属を含んでなり、アノード金属が白金とルテニウムとを含んでなり、カーボンが微粒子カーボンであり、前記アノード電解触媒が、少なくとも40wt%の白金と、少なくとも15wt%のルテニウムと、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、アノード電極中のアノード金属の総装填量が3mg/cm未満である、アノード電極と、
膜の前記第2の側に近接するカソード電極であって、50〜90wt%のカソード電解触媒と10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなるカソード電極において、前記カソード電解触媒が、カーボンに担持されたカソード金属を含んでなり、カソード金属が白金を含んでなり、カーボンが微粒子カーボンであり、前記カソード電解触媒が、少なくとも50wt%の白金と、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、カソード電極中のカソード金属の総装填量が3mg/cm未満である、カソード電極と
を含んでなる膜電極組立体。
【請求項2】
アノード電解触媒が、白金とルテニウムと微粒子カーボンとから実質的に構成される請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項3】
アノード電解触媒が、40〜60wt%の白金と、20〜40wt%のルテニウムと、20〜30wt%の微粒子カーボンとを含む請求項2に記載の膜電極組立体。
【請求項4】
カソード電解触媒が、白金と微粒子カーボンとから実質的に構成される請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項5】
カソード電解触媒が、60〜80wt%の白金と、20〜40wt%の微粒子カーボンとを含む請求項4に記載の膜電極組立体。
【請求項6】
アノード電極中のアノード金属の総装填量が2.5mg/cm未満であり、カソード電極中のカソード金属の総装填量が2.5mg/cm未満である請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項7】
アノード電極中のアノード金属の総装填量が2mg/cm未満であり、カソード電極中のカソード金属の総装填量が2mg/cm未満である請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項8】
アノード電極中のアノード金属とカソード電極中のカソード金属の総装填量の合計が、5mg/cm未満である請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項9】
アノード電極中のアノード金属とカソード電極中のカソード金属の総装填量の合計が、3.5mg/cm未満である請求項8に記載の膜電極組立体。
【請求項10】
プロトン交換膜が、酸形態の過フッ素化スルホン酸膜から実質的に構成される請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項11】
アノード電極とカソード電極の両方における高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーが、プロトン形態の過フッ素化スルホン酸膜から実質的に構成される請求項10に記載の膜電極組立体。
【請求項12】
プロトン交換膜が、酸形態の過フッ素化スルホン酸膜から実質的に構成され、アノード電極とカソード電極の両方における高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーが、酸形態の過フッ素化スルホン酸膜から実質的に構成される請求項11に記載の膜電極組立体。
【請求項13】
アノードおよびカソード電極が、ポリマー交換膜の対向する第1および第2の側に直接付着している請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項14】
アノードおよびカソード電極が、ポリマー交換膜の対向する第1および第2の側にコートされている請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項15】
プロトン交換膜の第1の側に配置された第1の導電性ガス拡散基材において、前記アノード電極が、前記第1の導電性ガス拡散基材と、プロトン交換膜の第1の側との間に配置されていて、前記アノード電極が、第1の導電性ガス拡散基材に付着していて、プロトン交換膜の第1の側と直接接触している、第1の導電性ガス拡散基材と、
プロトン交換膜の第2の側に配置された第2の導電性ガス拡散基材において、前記カソード電極が、前記第2の導電性ガス拡散基材と、プロトン交換膜の第2の側との間に配置されていて、前記カソード電極が、第2の導電性ガス拡散基材に付着していて、プロトン交換膜の第2の側と直接接触している、第2の導電性ガス拡散基材と
をさらに含んでなる請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項16】
導電性ガス拡散基材が、カーボンファイバー系紙または布である請求項15に記載の膜電極組立体。
【請求項17】
微粒子カーボンが、乱層状または黒鉛状カーボンの群からのものである請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項18】
前記アノード電解触媒が、アノード電解触媒粒子の形態にあり、前記カソード電解触媒が、カソード電解触媒粒子の形態にあり、アノードおよびカソード電解触媒粒子の少なくとも98%の粒径が10ミクロン未満である請求項1に記載の膜電極組立体。
【請求項19】
請求項1に記載の膜電極組立体を含んでなる有機/空気燃料電池。
【請求項20】
有機/空気燃料電池用膜電極組立体を製造する方法であって、
(a)高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーでできた、対向する第1および第2の側を有するプロトン交換膜を提供し、
(b)膜の前記第1の側に近接するアノード電極であって、50〜90wt%のアノード電解触媒と10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなるアノード電極において、前記アノード電解触媒が、カーボンに担持されたアノード金属を含んでなり、アノード金属が白金とルテニウムとを含んでなり、カーボンが微粒子カーボンであり、前記アノード電解触媒が、少なくとも40wt%の白金と、少なくとも15wt%のルテニウムと、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、アノード電極中のアノード金属の総装填量が3mg/cm未満である、アノード電極を形成し、
(c)膜の前記第2の側に近接するカソード電極であって、50〜90wt%のカソード電解触媒と10〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなるカソード電極において、前記カソード電解触媒が、カーボンに担持されたカソード金属を含んでなり、カソード金属が白金を含んでなり、カーボンが微粒子カーボンであり、前記カソード電解触媒が、少なくとも50wt%の白金と、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、カソード電極中のカソード金属の総装填量が3mg/cm未満である、カソード電極を形成する
ことを含んでなる方法。
【請求項21】
有機/空気燃料電池用膜電極組立体を形成することが、
高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーと、微粒子カーボンに担持された白金およびルテニウムのアノード電解触媒粒子と、溶媒とを含んでなるアノード電解触媒インクを作製する工程であって、かかるアノード電解触媒粒子の少なくとも98%が、10ミクロン未満の直径を有する工程と、
アノード電解触媒インクのコーティングを形成し、アノード電解触媒インクから溶媒を除去することにより、アノード電極を形成する工程と、
高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーと、微粒子カーボンに担持された白金のカソード電解触媒粒子と、溶媒とを含んでなるカソード電解触媒インクを作製する工程であって、かかるカソード電解触媒粒子の少なくとも98%が、10ミクロン未満の直径を有する工程と、
カソード電解触媒インクのコーティングを形成し、カソード電解触媒インクから溶媒を除去することにより、カソード電極を形成する工程と
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項22】
有機/空気燃料電池用膜電極組立体を形成することが、
高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーと、微粒子カーボンに担持された白金およびルテニウムと、フッ素化溶媒とを含んでなるアノード電解触媒インクを作製する工程であって、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーが、スルホニルフルオリド末端基を有する過フッ素化ポリマーである工程と、
アノード電解触媒インクのコーティングを形成し、アノード電解触媒インクから溶媒を除去することにより、アノード電極を形成する工程と、
高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーと、微粒子カーボンに担持された白金と、フッ素化溶媒とを含んでなるカソード電解触媒インクを作製する工程であって、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーが、スルホニルフルオリド末端基を有する過フッ素化ポリマーである工程と、
カソード電解触媒インクのコーティングを形成し、カソード電解触媒インクから溶媒を除去することにより、カソード電極を形成する工程と、
アノードおよびカソード電極を、プロトン交換膜の対向する側に適用する工程と、
アノード電極およびカソード電極のイオン交換ポリマー中のスルホニルフルオリド末端基を、加水分解処理の後、酸交換工程を行うことにより、酸末端基に変換する工程と
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項23】
有機/空気燃料電池用膜電極組立体を形成することが、
高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーと、微粒子カーボンに担持された白金およびルテニウムと、溶媒とを含んでなるアノード電解触媒インクを作製する工程であって、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーが、スルホン酸末端基を有する過フッ素化ポリマーである工程と、
アノード電解触媒インクのコーティングを形成し、アノード電解触媒インクから溶媒を除去することにより、アノード電極を形成する工程と、
高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーと、微粒子カーボンに担持された白金と、溶媒とを含んでなるカソード電解触媒インクを作製する工程であって、高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーが、スルホン酸末端基を有する過フッ素化ポリマーである工程と、
カソード電解触媒インクのコーティングを形成し、カソード電解触媒インクから溶媒を除去することにより、カソード電極を形成する工程と、
アノードおよびカソード電極を、プロトン交換膜の対向する側に適用する工程であって、前記プロトン交換膜が、プロトン形態の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーを含んでなる工程と
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項24】
有機/空気燃料電池用膜電極組立体を動作する方法であって、
(a)高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーでできた、対向する第1および第2の側を有するプロトン交換膜を提供し、
(b)膜の前記第1の側に近接するアノード電極であって、50〜90wt%のアノード電解触媒と20〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなるアノード電極において、前記アノード電解触媒が、カーボンに担持されたアノード金属を含んでなり、前記アノード金属が白金とルテニウムとを含んでなり、カーボンが微粒子カーボンであり、アノード電解触媒が、少なくとも40wt%の白金と、少なくとも15wt%のルテニウムと、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、アノード電極中のアノード金属の総装填量が3mg/cm未満である、アノード電極を形成し、
(c)膜の前記第2の側に近接するカソード電極であって、50〜90wt%のカソード電解触媒と15〜50wt%の高度にフッ素化されたイオン交換ポリマーバインダーとを含んでなるカソード電極において、前記カソード電解触媒が、カーボンに担持されたカソード金属を含んでなり、カソード金属が白金を含んでなり、カーボンが微粒子カーボンであり、前記カソード電解触媒が、少なくとも50wt%の白金と、15〜50wt%の微粒子カーボンとを含んでなり、カソード電極中のカソード金属の総装填量が3mg/cm未満である、カソード電極を形成し、
(d)アノード電極とカソード電極の間に電気回路を形成し、
(e)アノード電極に液体有機燃料を、カソード電極に酸素を供給して、前記電気回路に電流を発生する
ことを含んでなる方法。
【請求項25】
液体有機燃料が、メタノール、エタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸およびこれらの組み合わせよりなる群から選択される請求項24に記載の方法。
【請求項26】
液体有機燃料が、メタノールである請求項25に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2009−521795(P2009−521795A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553234(P2008−553234)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/048985
【国際公開番号】WO2008/085149
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】