有機ELディスプレイ
【課題】ディスプレイ上における筋状のムラの発生を抑制し、画質を向上させることができる技術を提供する。
【解決手段】各有機EL素子が、下部電極の一部が層間絶縁膜33bによって被覆されずに露出した露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部33acと、露出部上であって当該露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部33aeとを有する。このような構造において、本願発明者は、各薄膜部33aeの幅Wの変動が画面上の筋状のムラの発生に影響を与えることを見出し、当該幅Wに着目して、幅Wが各有機EL素子間で略同一となるように調整した。
【解決手段】各有機EL素子が、下部電極の一部が層間絶縁膜33bによって被覆されずに露出した露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部33acと、露出部上であって当該露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部33aeとを有する。このような構造において、本願発明者は、各薄膜部33aeの幅Wの変動が画面上の筋状のムラの発生に影響を与えることを見出し、当該幅Wに着目して、幅Wが各有機EL素子間で略同一となるように調整した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescent)ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、薄型のフラットディスプレイとして、主に、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等が知られている。この中でも、有機ELディスプレイは、自発光素子を利用しており、視覚依存性が小さく、省電力、低コスト、及び製造工程が簡略等といった種々の利点を有していることから、次世代ディスプレイの主流となることが期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記有機ELディスプレイの表示画面上では、人間が知覚することができる明確な筋状のムラが発生する場合がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を抑制し、画質を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明では、有機ELディスプレイであって、
第1電極と、当該第1電極の一部が露出する露出部を形成するように前記第1電極上に配置された層間絶縁膜と、前記露出部上に少なくとも配置された有機層と、当該有機層上に配置された第2電極とをそれぞれ有する複数の有機EL素子を備え、各前記有機層が、前記露出部上に配置された部分において、前記露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部と、前記露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部とを有し、前記薄膜部の幅が、隣接する前記有機EL素子間で略同一である。
【0006】
また、請求項2の発明では、請求項1に記載の有機ELディスプレイであって、前記薄膜部の幅が、前記有機EL素子における所定方向に沿った前記層間絶縁膜から前記厚膜部までの距離である。
【0007】
また、請求項3の発明では、請求項2に記載の有機ELディスプレイであって、前記複数の有機EL素子が、第1方向に沿って第1所定間隔で配列されるとともに、第2方向に沿って前記第1所定間隔よりも相対的に短い第2所定間隔で配列され、前記所定方向が、前記第2方向を含む。
【0008】
また、請求項4の発明では、請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、前記層間絶縁膜が、前記露出部を取り囲むように形成されている。
【0009】
また、請求項5の発明では、請求項1から請求項4のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、前記薄膜部の膜厚が、前記厚膜部の膜厚の95%以下である。
【0010】
また、請求項6の発明では、請求項3に記載の有機ELディスプレイであって、各前記有機EL素子は、平面視形状が長辺と短辺とで構成される略長方形状をなし、前記長辺に沿った方向と前記第1方向とが略平行に、前記短辺に沿った方向と前記第2方向とが略平行に、それぞれ配置される。
【0011】
また、請求項7の発明では、請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、隣接する前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下である。
【0012】
また、請求項8の発明では、請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、所定の領域に含まれる隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、前記所定の領域に含まれる前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下である。
【0013】
また、請求項9の発明では、請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、前記所定の領域が、0.2mm×0.2mmの正方領域である。
【0014】
また、請求項10の発明では、請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、前記所定の領域が、全ての前記有機EL素子を含むディスプレイ領域である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1から請求項10のいずれに記載の発明によっても、有機ELディスプレイに配列された各有機EL素子が、第1電極の一部が層間絶縁膜によって被覆されずに露出した露出部上に有機層を有するとともに、当該有機層が、露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部と、露出部上であって当該露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部とを有し、当該薄膜部の幅を隣接する有機EL素子間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を抑制し、画質を向上させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、各有機EL素子における所定方向に沿った層間絶縁膜から厚膜部までの距離である薄膜部の幅を隣接する有機EL素子間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を防止することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、複数の有機EL素子の配列ピッチが相対的に短い方向に沿った薄膜部の幅を隣接する有機EL素子間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を有効に防止することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、隣接する有機EL素子間における薄膜部の幅の変動ΔWを、隣接する有機EL素子の露出部の平均幅WAに対して5%以下に設定することで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生をより有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<有機ELディスプレイの概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る有機ELディスプレイ21の概略構成を例示する断面模式図である。図1及び図1以降の図では、方位関係を明確化するために、相互に直交するXYZの3軸又はXYの2軸を適宜付している。
【0021】
有機ELディスプレイ21は、例えばトップエミッションタイプであり、図1に示すように、透明基板であるガラス基板などからなる基板23と、その基板23上に形成された素子部25と、その素子部25全体を覆うように形成された封止膜29とを主に備えている。素子部25は、基板23側から順に、第1の電極31、有機層33及び第2の電極35を備えている。有機層33が第1及び第2の電極31,35によって挟み込まれている。
【0022】
図2は、有機ELディスプレイ21の画素配列を例示する模式図である。
【0023】
有機ELディスプレイ21では、略長方形を有する多数の画素UCが行列状に配列される。図2に示すように、各画素UCは、長手方向がX軸方向に向いており、多数の画素UCがX方向及びY方向に沿ってそれぞれ所定の距離だけ離隔されて配置されている。なお、本実施形態においては、各画素UCが長辺と短辺とで構成される長方形状を有しているが、これに代えて、正方形状、六角形状、三角形状、円形状または楕円形状等の他の形状であっても構わない。
【0024】
図3は、各画素UCをそれぞれ形成する有機EL素子25aの構成を例示する断面模式図である。図3では、相互に隣り合う3画素を形成する3つの有機EL素子25aが示されており、有機層の形状を明確化するために、有機層の上に空間順次に形成される第2の電極35及び封止膜29の図示を省略している。
【0025】
図3に示すように、基板23a上に、TFT層23b、平坦化膜23cが空間順次に形成され、その上に各有機EL素子25aが形成されている。
【0026】
有機EL素子25aは、第1の電極31に相当する下部電極31aと、層間絶縁膜33bと、有機層33a(ハッチング部)と、図示を省略する第2の電極35とを備えて構成される。
【0027】
各下部電極31aは、XY平面上に略長方形の面を有する層であり、図2の画素配列に対応するように、平坦化膜23c上に相互に離隔配置される。
【0028】
層間絶縁膜33bは、各下部電極31aを取り囲むように形成され、各下部電極31aの上面は、外縁部が層間絶縁膜33bによって覆われるが、それ以外の部分は、層間絶縁膜33bによって覆われず、有機層33aに対して露出される。
【0029】
有機層33aは、下部電極31aの上面のうちの層間絶縁膜33bによって覆われなかった部分(以下「露出部」とも称する)Exの上に配置される。なお、各露出部Exを画面正面方向(Z方向)から見た領域が各画素に対応する。
【0030】
そして、図示を省略するが、有機層33a上には、第2の電極35が配置される。
【0031】
図4は、図3のうち有機EL素子25aに着目した図である。
【0032】
図4に示すように、各有機層33aは、後述する有機層の形成方法に起因して、中央部の上面は平坦であるが、外縁に近づくにつれて徐々に厚みが薄くなる方向に上面が傾いている。具体的には、各有機層33aは、露出部Exの中央部近傍に配置された膜厚(Z方向の厚み)が相対的に大きくかつ上面が略平坦な部分(以下「厚膜部」とも称する)33acと、露出部Exの真上(すなわち、露出部ExをZ方向に投影した領域)において露出部Exの端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さくかつ上面が有機層33aの外周部に向けて傾いている部分(以下「薄膜部」とも称する)33aeとを有する。
【0033】
ここでは、露出部Exの真上に配置された有機層33aのうち、露出部Exの中央部付近に位置する所定範囲の領域における平均膜厚を基準とした場合に、膜厚が95%となる部分を境界として、膜厚が95%よりも厚い部分を厚膜部33ac、膜厚が95%以下の薄い部分を薄膜部33aeとする。
【0034】
<有機層の形成方法と薄膜部の発生>
図5は、有機層33aの形成を説明する図である。図5は、図4から有機層33aを取り除いた図であり、有機層33aが形成される前の状態を示している。
【0035】
図5に示すように、各露出部Ex上に所定の有機物を蒸着させることで、図4に示したような有機層25aが形成される。
【0036】
この有機物の蒸着工程においては、図6に示すようなメタルマスク2が使用される。メタルマスク2は、3×4のセル配列を有し、各セル200は、図7に示すように、最終製品である有機ELディスプレイ21の画素配列に対応する多数の開口201を有する。
【0037】
図8は、メタルマスク2を用いた蒸着によって有機層33aを形成する様子を模式的に示した図である。図8では、図が複雑化するのを避けるため、1つの有機層33aにのみ着目して示している。
【0038】
図8に示すように、有機層33aが蒸着される層(基板23や第1の電極31等から形成される層)3上に、メタルマスク2が所定距離、離隔配置された状態で、上面側(Z方向)から有機物の蒸着を行うことで、有機層33aが形成される。このとき、メタルマスク2と層3との間に間隔が空いていると、開口201の中央部付近に比べて外縁部付近では、有機物の蒸着量が少なくなる。その結果、有機層33aは、外縁に近づくにつれて薄膜化する傾向を有する。この傾向は、メタルマスク2と層3との間の距離が3μm以上となると、特に顕著に現れる。
【0039】
図9は、有機層33aの形状を強調して例示した模式図であり、図9(a)はZ方向から見た平面図、図9(b)は、図9(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。
【0040】
図9に示すように、有機層33aは、上面(Z方向を向いた面)の中央部が平坦で、外縁部に近づくにつれて膜厚が薄くなる方向に傾く。換言すれば、有機層33aは、膜厚が略均一でかつ上面が平坦な厚膜部33acと、膜厚が外縁部に近づくにつれて薄くなりかつ上面が傾いている薄膜部33aeとを有して構成されている。
【0041】
<画面上のムラの発生>
図10は、図4と同様に有機EL素子25aに着目した図であり、図11は、図10の有機層33aの配置をZ方向から見た図であり、Z方向から見た厚膜部33acと薄膜部33aeの配置を例示している。
【0042】
図10に示すように、有機ELディスプレイ21を正面方向(Z方向)から見た場合、各有機EL素子25aでは、有機層33aのうち、露出部ExをZ方向に投影した領域が、有機層33aの発光に伴って明るく見える部分(画素開口部)CAに対応する。そして、図10及び図11に示すように、各画素開口部CAの内部に、厚膜部33acと薄膜部33aeとが含まれる。
【0043】
ここで、Y方向に沿った厚膜部33acから層間絶縁膜33bまでの最短距離を薄膜部33aeの幅Wとし、Y方向に沿った画素開口部CAの中心から厚膜部33acと薄膜部33aeとの境界までの距離Dを、画素開口部CAに対する厚膜部33acのズレ量を示すパラメータとする。
【0044】
有機ELディスプレイ21では、表示画面に輝度のムラが発生しないように、各有機EL素子25aが均一に作られることが好ましい。
【0045】
しかしながら、露出部Exの配列に対して、メタルマスク2の開口201の配列や位置合わせが設計からずれてしまうと、各有機EL素子25a間で、薄膜部33aeの幅Wや距離Dが変動する。
【0046】
この点について、本願発明者は、この薄膜部33aeの幅Wや距離Dが大きく変動すると、有機ELディスプレイ21の表示画面上に、人間が知覚することができる明確な筋状のムラが発生することを見出した。そして、有機ELディスプレイ21では、画素配列のピッチが長い方向(X方向)に沿った薄膜部33aeの幅の変動よりも、画素配列のピッチが短い方向(Y方向)に沿った幅Wの変動の方が筋状のムラの発生に対する影響が大きいことも分かった。
【0047】
具体的には、隣接する有機EL素子25a間における幅Wの変動(差)ΔWが、隣接する有機EL素子25aに対応する露出部の平均幅WAに対して5%より大きな場合、すなわちΔW/WA×100>5が成立する場合には、筋状のムラが発生し、5%以下の場合には筋状のムラが目立たなくなる。なお、露出部の幅と薄膜部の幅は互いに同一方向で定義するものとする。また隣接する有機EL素子25a間で薄膜部の幅Wを比較してΔWを算出する際には、同じ側に位置する薄膜部同士(図11では、右側の薄膜部同士)の幅Wを用いるものとする。
【0048】
以下、幅Wの変動と筋状のムラの発生との関係を示す具体例を示す。
【0049】
<具体例>
図12、図14及び図16は、薄膜部33aeの幅Wの変動を例示する図であり、横軸は、有機EL素子25aが短いピッチで配列される方向(例えば、図11中のY方向)における位置を示し、縦軸は、基準値からのずれ量を示している。
【0050】
図13、図15及び図17は、図12、図14及び図16に示したように幅Wが変動した場合における表示画面の様子を例示する図である。なお、図13(a)は、表示画面を直接撮影した画像を示した図であり、図13(b)は、図13(a)における筋状のムラの発生箇所を分かり易く線で示した表示画面のイメージ図である。また、図15は、表示画面上に発生する筋状のムラの発生箇所を示す模式図であり、図17は、表示画面を直接撮影した画像を示した図である。
【0051】
図12に示すように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが0.05よりも大きい部分(合計6カ所)DW1〜DW6が存在している場合には、図13に示すように、幅Wの変動に対応して、表示画面上に筋状のムラが発生する。
【0052】
図14に示すように、図12で示した場合よりも、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが0.05よりも大きい部分が多数存在している場合には、図15に示すように、幅Wが大きく変動する多数の部分に対応して、表示画面上に筋状のムラが多数発生した。
【0053】
図16に示すように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが最大でも0.02程度である0.05以下の場合には、図17に示すように、表示画面上で筋状のムラが全く発生しなかった。
【0054】
<画面上のムラの抑制>
以上の具体例にも示したように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが0.05よりも大きい部分が存在している場合には、当該部分に対応して、表示画面上で筋状のムラが発生する。このため、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAを0.05以内に調整すれば、表示画面上における筋状のムラの発生を抑制することができる。
【0055】
そして、各有機EL素子25aにおける幅Wが、各有機EL素子25a間で略同一となるように調整すれば、隣り合う有機EL素子25a間でのΔW/WAを約0.05以内に調整することができる。
【0056】
このように、有機EL素子25a間での幅Wの変動を抑制するためには、メタルマスク2の製造や有機層33の蒸着における各種精度を向上させるように工夫することで実現することができる。
【0057】
以下、メタルマスク2の製造や有機層33の蒸着における工夫について説明する。
【0058】
<マスクの製造方法>
メタルマスク2は、時間順次に(1)原版フォトマスクの作製、(2)レジストパターンの形成、(3)母材上でのメタルマスクの形成、(4)メタルマスクのフレームへの固定、(5)母材の削除、といった工程を経て作製される。
【0059】
工程(1)〜(5)について具体的に説明する。
【0060】
ガラス基板上の全面に蒸着された金属(ここでは、Cr)上をフォトレジストで被覆し、当該フォトレジストをレーザー描画によって露光する。次に現像によってフォトレジストのうちレーザーを照射した部分を取り除く。そして、所定のエッチング用の薬液に浸漬することで、露出したCrを溶解し、その後、残りのフォトレジストを取り除くことで、光を照射するとCrが溶解して取り除かれた部分を光が透過する原版フォトマスクが出来上がる。
【0061】
この原版フォトマスクの作製時に使用するレーザー描画では、スキャン方向の方が精度良く光の照射の有無等を調整することができる。そのため、ここでは、レーザー描画は、画素配列のピッチが相対的に短い方向にスキャンすることで行った。これは、有機ELディスプレイ21において、画素配列のピッチが相対的に短い方向(Y方向)の方が画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)よりも位置精度のずれが筋状のムラの発生に対して大きく影響するためである。
【0062】
次に、ステンレス等の母材上にフォトレジスト膜を塗布し、原版フォトマスクを用いた露光後に、現像を行うことで、メタルマスクの基となるレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンが作製された母材上に、ニッケル合金等を電鋳することで、母材上にメタルマスクを形成し、メタルフレームにマスクを固定して、母材を取り除くことで、メタルマスク2を作製することができる。
【0063】
このように、母材上に形成したメタルマスク2を母材から剥がさずにメタルフレームに固定した後に母材を取り除く製法を採用することで、メタルマスク2の開口201の位置精度を向上させることができる。これは、作製後のメタルマスク2にかかっている主要なテンションが、母材上にメタルマスク2を作製したときの膜応力に限られるため、従来のように、母材からメタルマスクを剥離させた後に、メタルマスク端部を引っ張ってメタルマスクにテンションをかけつつ、メタルマスクをメタルフレームに接着固定する方法に比べて、開口201の位置を精密かつ均一に制御することが可能である。
【0064】
<有機膜の蒸着>
上述したように、メタルマスク2の開口201の位置精度を向上させることができても、有機膜の蒸着精度を向上させる為には、有機膜を蒸着させる際に、基板に対するメタルマスク2の位置を正確に合わせる必要性がある。
【0065】
図2で示したように、有機ELディスプレイ21では、多数の画素が略直交する2方向(X及びY方向)に並んだ状態で2次元的に配列される。そこで、この点に着目して、基板に対するメタルマスク2の位置を合わせる際に、画素配列のピッチが相対的長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に短い方向(Y方向)における位置合わせの精度を高める(すなわち設計位置からの誤差を小さくする)ことで、基板に対するメタルマスク2の位置を正確に合わせることができる。
【0066】
ここで、上記のような位置合わせを行う理由を述べる。
【0067】
上述したように、画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に小さい方向(Y方向)における幅Wの変動の方が、画質の低下に対してより大きな影響を与える。よって、画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に小さい方向(Y方向)におけるメタルマスク2のずれの方が、画面の表示品質に大きな影響を与える。
【0068】
一方、仮に、Y方向だけでなくX方向も含めた全方向について、基板に対するメタルマスク2の位置を高精度に合わせようとすると、設定した精度の範囲内にメタルマスク2と基板との位置関係が調整されるまでに多くの時間と多回数の位置調整動作とを要する。その結果、製造工程における滞留によって製造タクトが低下したり、数多い位置調整動作により、メタルマスク2が基板に対して接触することで傷を付けてしまうリスクも大きくなるといった問題が生じる。
【0069】
したがって、上記画面の表示品質と歩留まりと生産性等のバランスを考慮して、基板に対してメタルマスク2の位置合わせをする際には、画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に短い方向(Y方向)における位置合わせの精度を高めるようにすれば良い。
【0070】
以上のように、本発明の実施形態に係る有機ELディスプレイ21では、各有機EL素子25aが、下部電極31aの一部が層間絶縁膜33bによって被覆されずに露出した露出部Exの中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部33acと、露出部Ex上であって露出部Exの端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部33aeとを有する。そして、このような構造において、本願発明者は、各薄膜部33aeの幅Wの変動が画面上における筋状のムラの発生に影響を及ぼすことを見出し、当該幅Wに着目して、幅Wが各有機EL素子25a間で略同一となるように調整した。その結果として、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を抑制し、画質を向上させることができる。
【0071】
また、各有機EL素子25aにおける所定方向(上記ではY方向)に沿った厚膜部33acから層間絶縁膜33bまでの距離である薄膜部33aeの幅Wを各有機EL素子25a間で略同一となるように調整した。その結果、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を防止することができる。
【0072】
また、複数の有機EL素子25aの配列ピッチが相対的に短い方向(上記ではY方向)に沿った薄膜部33aeの幅Wを各有機EL素子25a間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を有効に防止することができる。
【0073】
また、全ての有機EL素子25aに関して、隣接する有機EL素子25a間におけるΔW/WAを約0.05以下に設定することで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生をより有効に防止することができる。
【0074】
<変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0075】
◎例えば、上述したように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAを0.05以内に抑制すれば、表示画面上における筋状のムラの発生を抑制可能であるが、図16及び図17に示すように、隣り合う有機EL素子25a間でのΔW/WAを0.02以内に抑制すれば、表示画面上における筋状のムラの発生をより確実に抑制することができる。
【0076】
◎また、上記実施形態では、有機ELディスプレイ21に含まれる全ての有機EL素子25a、すなわち全有機EL素子25aが含まれる領域(ディスプレイ領域)を対象として、隣り合う有機EL素子25a間での幅Wの変動を調整したが、これに限られず、例えば、有機ELディスプレイ21の表示画面に含まれる所定の広さを有する一部領域(例えば、0.2mm×0.2mmの正方領域)において、筋状のムラが発生しないようにするためには、当該一部領域において、隣り合う有機EL素子25a間でΔW/WAのばらつきを調整すれば良い。
【0077】
◎また、上記実施形態では、薄膜部の幅Wの変動に着目して幅Wを調整したが、所定方向(例えば、Y方向)に沿った画素開口部CAの中心から厚膜部33acと薄膜部33aeとの境界までの距離Dに着目して当該距離Dを調整しても良い。つまり、所定の方向について、距離Dを各有機EL素子間で略同一としたり、隣接する有機EL素子間で、距離Dの変動ΔDを露出部の平均幅WAで除した値ΔD/WAを0.05以下としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】有機ELディスプレイの概略構成を例示する断面模式図である。
【図2】有機ELディスプレイの画素配列を例示する模式図である。
【図3】有機EL素子の構成を例示する断面模式図である。
【図4】有機EL素子に着目した断面図である。
【図5】有機層の形成を説明する図である。
【図6】有機層を形成するためのメタルマスクを例示する図である。
【図7】有機層を形成するためのメタルマスクを例示する図である。
【図8】有機層を形成する様子を例示する図である。
【図9】有機層の形状を模式的に示した図である。
【図10】有機EL素子に着目した断面図である。
【図11】有機ELディスプレイにおける有機層の配置を例示する図である。
【図12】薄膜部の幅の変動を例示する図である。
【図13】表示画面の様子を示した図である。
【図14】薄膜部の幅の変動を例示する図である。
【図15】表示画面の様子を示した図である。
【図16】薄膜部の幅の変動を例示する図である。
【図17】表示画面の様子を示した図である。
【符号の説明】
【0079】
21 有機ELディスプレイ
25a 有機EL素子
31a 下部電極
33a 有機層
33ac 厚膜部
33ae 薄膜部
33b 絶縁層間膜
35 第2の電極
Ex 露出部
W 薄膜部の幅
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(Electroluminescent)ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、薄型のフラットディスプレイとして、主に、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等が知られている。この中でも、有機ELディスプレイは、自発光素子を利用しており、視覚依存性が小さく、省電力、低コスト、及び製造工程が簡略等といった種々の利点を有していることから、次世代ディスプレイの主流となることが期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記有機ELディスプレイの表示画面上では、人間が知覚することができる明確な筋状のムラが発生する場合がある。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を抑制し、画質を向上させることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明では、有機ELディスプレイであって、
第1電極と、当該第1電極の一部が露出する露出部を形成するように前記第1電極上に配置された層間絶縁膜と、前記露出部上に少なくとも配置された有機層と、当該有機層上に配置された第2電極とをそれぞれ有する複数の有機EL素子を備え、各前記有機層が、前記露出部上に配置された部分において、前記露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部と、前記露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部とを有し、前記薄膜部の幅が、隣接する前記有機EL素子間で略同一である。
【0006】
また、請求項2の発明では、請求項1に記載の有機ELディスプレイであって、前記薄膜部の幅が、前記有機EL素子における所定方向に沿った前記層間絶縁膜から前記厚膜部までの距離である。
【0007】
また、請求項3の発明では、請求項2に記載の有機ELディスプレイであって、前記複数の有機EL素子が、第1方向に沿って第1所定間隔で配列されるとともに、第2方向に沿って前記第1所定間隔よりも相対的に短い第2所定間隔で配列され、前記所定方向が、前記第2方向を含む。
【0008】
また、請求項4の発明では、請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、前記層間絶縁膜が、前記露出部を取り囲むように形成されている。
【0009】
また、請求項5の発明では、請求項1から請求項4のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、前記薄膜部の膜厚が、前記厚膜部の膜厚の95%以下である。
【0010】
また、請求項6の発明では、請求項3に記載の有機ELディスプレイであって、各前記有機EL素子は、平面視形状が長辺と短辺とで構成される略長方形状をなし、前記長辺に沿った方向と前記第1方向とが略平行に、前記短辺に沿った方向と前記第2方向とが略平行に、それぞれ配置される。
【0011】
また、請求項7の発明では、請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、隣接する前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下である。
【0012】
また、請求項8の発明では、請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、所定の領域に含まれる隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、前記所定の領域に含まれる前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下である。
【0013】
また、請求項9の発明では、請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、前記所定の領域が、0.2mm×0.2mmの正方領域である。
【0014】
また、請求項10の発明では、請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、前記所定の領域が、全ての前記有機EL素子を含むディスプレイ領域である。
【発明の効果】
【0015】
請求項1から請求項10のいずれに記載の発明によっても、有機ELディスプレイに配列された各有機EL素子が、第1電極の一部が層間絶縁膜によって被覆されずに露出した露出部上に有機層を有するとともに、当該有機層が、露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部と、露出部上であって当該露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部とを有し、当該薄膜部の幅を隣接する有機EL素子間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を抑制し、画質を向上させることができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、各有機EL素子における所定方向に沿った層間絶縁膜から厚膜部までの距離である薄膜部の幅を隣接する有機EL素子間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を防止することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、複数の有機EL素子の配列ピッチが相対的に短い方向に沿った薄膜部の幅を隣接する有機EL素子間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を有効に防止することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、隣接する有機EL素子間における薄膜部の幅の変動ΔWを、隣接する有機EL素子の露出部の平均幅WAに対して5%以下に設定することで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生をより有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
<有機ELディスプレイの概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る有機ELディスプレイ21の概略構成を例示する断面模式図である。図1及び図1以降の図では、方位関係を明確化するために、相互に直交するXYZの3軸又はXYの2軸を適宜付している。
【0021】
有機ELディスプレイ21は、例えばトップエミッションタイプであり、図1に示すように、透明基板であるガラス基板などからなる基板23と、その基板23上に形成された素子部25と、その素子部25全体を覆うように形成された封止膜29とを主に備えている。素子部25は、基板23側から順に、第1の電極31、有機層33及び第2の電極35を備えている。有機層33が第1及び第2の電極31,35によって挟み込まれている。
【0022】
図2は、有機ELディスプレイ21の画素配列を例示する模式図である。
【0023】
有機ELディスプレイ21では、略長方形を有する多数の画素UCが行列状に配列される。図2に示すように、各画素UCは、長手方向がX軸方向に向いており、多数の画素UCがX方向及びY方向に沿ってそれぞれ所定の距離だけ離隔されて配置されている。なお、本実施形態においては、各画素UCが長辺と短辺とで構成される長方形状を有しているが、これに代えて、正方形状、六角形状、三角形状、円形状または楕円形状等の他の形状であっても構わない。
【0024】
図3は、各画素UCをそれぞれ形成する有機EL素子25aの構成を例示する断面模式図である。図3では、相互に隣り合う3画素を形成する3つの有機EL素子25aが示されており、有機層の形状を明確化するために、有機層の上に空間順次に形成される第2の電極35及び封止膜29の図示を省略している。
【0025】
図3に示すように、基板23a上に、TFT層23b、平坦化膜23cが空間順次に形成され、その上に各有機EL素子25aが形成されている。
【0026】
有機EL素子25aは、第1の電極31に相当する下部電極31aと、層間絶縁膜33bと、有機層33a(ハッチング部)と、図示を省略する第2の電極35とを備えて構成される。
【0027】
各下部電極31aは、XY平面上に略長方形の面を有する層であり、図2の画素配列に対応するように、平坦化膜23c上に相互に離隔配置される。
【0028】
層間絶縁膜33bは、各下部電極31aを取り囲むように形成され、各下部電極31aの上面は、外縁部が層間絶縁膜33bによって覆われるが、それ以外の部分は、層間絶縁膜33bによって覆われず、有機層33aに対して露出される。
【0029】
有機層33aは、下部電極31aの上面のうちの層間絶縁膜33bによって覆われなかった部分(以下「露出部」とも称する)Exの上に配置される。なお、各露出部Exを画面正面方向(Z方向)から見た領域が各画素に対応する。
【0030】
そして、図示を省略するが、有機層33a上には、第2の電極35が配置される。
【0031】
図4は、図3のうち有機EL素子25aに着目した図である。
【0032】
図4に示すように、各有機層33aは、後述する有機層の形成方法に起因して、中央部の上面は平坦であるが、外縁に近づくにつれて徐々に厚みが薄くなる方向に上面が傾いている。具体的には、各有機層33aは、露出部Exの中央部近傍に配置された膜厚(Z方向の厚み)が相対的に大きくかつ上面が略平坦な部分(以下「厚膜部」とも称する)33acと、露出部Exの真上(すなわち、露出部ExをZ方向に投影した領域)において露出部Exの端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さくかつ上面が有機層33aの外周部に向けて傾いている部分(以下「薄膜部」とも称する)33aeとを有する。
【0033】
ここでは、露出部Exの真上に配置された有機層33aのうち、露出部Exの中央部付近に位置する所定範囲の領域における平均膜厚を基準とした場合に、膜厚が95%となる部分を境界として、膜厚が95%よりも厚い部分を厚膜部33ac、膜厚が95%以下の薄い部分を薄膜部33aeとする。
【0034】
<有機層の形成方法と薄膜部の発生>
図5は、有機層33aの形成を説明する図である。図5は、図4から有機層33aを取り除いた図であり、有機層33aが形成される前の状態を示している。
【0035】
図5に示すように、各露出部Ex上に所定の有機物を蒸着させることで、図4に示したような有機層25aが形成される。
【0036】
この有機物の蒸着工程においては、図6に示すようなメタルマスク2が使用される。メタルマスク2は、3×4のセル配列を有し、各セル200は、図7に示すように、最終製品である有機ELディスプレイ21の画素配列に対応する多数の開口201を有する。
【0037】
図8は、メタルマスク2を用いた蒸着によって有機層33aを形成する様子を模式的に示した図である。図8では、図が複雑化するのを避けるため、1つの有機層33aにのみ着目して示している。
【0038】
図8に示すように、有機層33aが蒸着される層(基板23や第1の電極31等から形成される層)3上に、メタルマスク2が所定距離、離隔配置された状態で、上面側(Z方向)から有機物の蒸着を行うことで、有機層33aが形成される。このとき、メタルマスク2と層3との間に間隔が空いていると、開口201の中央部付近に比べて外縁部付近では、有機物の蒸着量が少なくなる。その結果、有機層33aは、外縁に近づくにつれて薄膜化する傾向を有する。この傾向は、メタルマスク2と層3との間の距離が3μm以上となると、特に顕著に現れる。
【0039】
図9は、有機層33aの形状を強調して例示した模式図であり、図9(a)はZ方向から見た平面図、図9(b)は、図9(a)の線A−Aに沿って切断した断面図である。
【0040】
図9に示すように、有機層33aは、上面(Z方向を向いた面)の中央部が平坦で、外縁部に近づくにつれて膜厚が薄くなる方向に傾く。換言すれば、有機層33aは、膜厚が略均一でかつ上面が平坦な厚膜部33acと、膜厚が外縁部に近づくにつれて薄くなりかつ上面が傾いている薄膜部33aeとを有して構成されている。
【0041】
<画面上のムラの発生>
図10は、図4と同様に有機EL素子25aに着目した図であり、図11は、図10の有機層33aの配置をZ方向から見た図であり、Z方向から見た厚膜部33acと薄膜部33aeの配置を例示している。
【0042】
図10に示すように、有機ELディスプレイ21を正面方向(Z方向)から見た場合、各有機EL素子25aでは、有機層33aのうち、露出部ExをZ方向に投影した領域が、有機層33aの発光に伴って明るく見える部分(画素開口部)CAに対応する。そして、図10及び図11に示すように、各画素開口部CAの内部に、厚膜部33acと薄膜部33aeとが含まれる。
【0043】
ここで、Y方向に沿った厚膜部33acから層間絶縁膜33bまでの最短距離を薄膜部33aeの幅Wとし、Y方向に沿った画素開口部CAの中心から厚膜部33acと薄膜部33aeとの境界までの距離Dを、画素開口部CAに対する厚膜部33acのズレ量を示すパラメータとする。
【0044】
有機ELディスプレイ21では、表示画面に輝度のムラが発生しないように、各有機EL素子25aが均一に作られることが好ましい。
【0045】
しかしながら、露出部Exの配列に対して、メタルマスク2の開口201の配列や位置合わせが設計からずれてしまうと、各有機EL素子25a間で、薄膜部33aeの幅Wや距離Dが変動する。
【0046】
この点について、本願発明者は、この薄膜部33aeの幅Wや距離Dが大きく変動すると、有機ELディスプレイ21の表示画面上に、人間が知覚することができる明確な筋状のムラが発生することを見出した。そして、有機ELディスプレイ21では、画素配列のピッチが長い方向(X方向)に沿った薄膜部33aeの幅の変動よりも、画素配列のピッチが短い方向(Y方向)に沿った幅Wの変動の方が筋状のムラの発生に対する影響が大きいことも分かった。
【0047】
具体的には、隣接する有機EL素子25a間における幅Wの変動(差)ΔWが、隣接する有機EL素子25aに対応する露出部の平均幅WAに対して5%より大きな場合、すなわちΔW/WA×100>5が成立する場合には、筋状のムラが発生し、5%以下の場合には筋状のムラが目立たなくなる。なお、露出部の幅と薄膜部の幅は互いに同一方向で定義するものとする。また隣接する有機EL素子25a間で薄膜部の幅Wを比較してΔWを算出する際には、同じ側に位置する薄膜部同士(図11では、右側の薄膜部同士)の幅Wを用いるものとする。
【0048】
以下、幅Wの変動と筋状のムラの発生との関係を示す具体例を示す。
【0049】
<具体例>
図12、図14及び図16は、薄膜部33aeの幅Wの変動を例示する図であり、横軸は、有機EL素子25aが短いピッチで配列される方向(例えば、図11中のY方向)における位置を示し、縦軸は、基準値からのずれ量を示している。
【0050】
図13、図15及び図17は、図12、図14及び図16に示したように幅Wが変動した場合における表示画面の様子を例示する図である。なお、図13(a)は、表示画面を直接撮影した画像を示した図であり、図13(b)は、図13(a)における筋状のムラの発生箇所を分かり易く線で示した表示画面のイメージ図である。また、図15は、表示画面上に発生する筋状のムラの発生箇所を示す模式図であり、図17は、表示画面を直接撮影した画像を示した図である。
【0051】
図12に示すように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが0.05よりも大きい部分(合計6カ所)DW1〜DW6が存在している場合には、図13に示すように、幅Wの変動に対応して、表示画面上に筋状のムラが発生する。
【0052】
図14に示すように、図12で示した場合よりも、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが0.05よりも大きい部分が多数存在している場合には、図15に示すように、幅Wが大きく変動する多数の部分に対応して、表示画面上に筋状のムラが多数発生した。
【0053】
図16に示すように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが最大でも0.02程度である0.05以下の場合には、図17に示すように、表示画面上で筋状のムラが全く発生しなかった。
【0054】
<画面上のムラの抑制>
以上の具体例にも示したように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAが0.05よりも大きい部分が存在している場合には、当該部分に対応して、表示画面上で筋状のムラが発生する。このため、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAを0.05以内に調整すれば、表示画面上における筋状のムラの発生を抑制することができる。
【0055】
そして、各有機EL素子25aにおける幅Wが、各有機EL素子25a間で略同一となるように調整すれば、隣り合う有機EL素子25a間でのΔW/WAを約0.05以内に調整することができる。
【0056】
このように、有機EL素子25a間での幅Wの変動を抑制するためには、メタルマスク2の製造や有機層33の蒸着における各種精度を向上させるように工夫することで実現することができる。
【0057】
以下、メタルマスク2の製造や有機層33の蒸着における工夫について説明する。
【0058】
<マスクの製造方法>
メタルマスク2は、時間順次に(1)原版フォトマスクの作製、(2)レジストパターンの形成、(3)母材上でのメタルマスクの形成、(4)メタルマスクのフレームへの固定、(5)母材の削除、といった工程を経て作製される。
【0059】
工程(1)〜(5)について具体的に説明する。
【0060】
ガラス基板上の全面に蒸着された金属(ここでは、Cr)上をフォトレジストで被覆し、当該フォトレジストをレーザー描画によって露光する。次に現像によってフォトレジストのうちレーザーを照射した部分を取り除く。そして、所定のエッチング用の薬液に浸漬することで、露出したCrを溶解し、その後、残りのフォトレジストを取り除くことで、光を照射するとCrが溶解して取り除かれた部分を光が透過する原版フォトマスクが出来上がる。
【0061】
この原版フォトマスクの作製時に使用するレーザー描画では、スキャン方向の方が精度良く光の照射の有無等を調整することができる。そのため、ここでは、レーザー描画は、画素配列のピッチが相対的に短い方向にスキャンすることで行った。これは、有機ELディスプレイ21において、画素配列のピッチが相対的に短い方向(Y方向)の方が画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)よりも位置精度のずれが筋状のムラの発生に対して大きく影響するためである。
【0062】
次に、ステンレス等の母材上にフォトレジスト膜を塗布し、原版フォトマスクを用いた露光後に、現像を行うことで、メタルマスクの基となるレジストパターンを形成する。そして、レジストパターンが作製された母材上に、ニッケル合金等を電鋳することで、母材上にメタルマスクを形成し、メタルフレームにマスクを固定して、母材を取り除くことで、メタルマスク2を作製することができる。
【0063】
このように、母材上に形成したメタルマスク2を母材から剥がさずにメタルフレームに固定した後に母材を取り除く製法を採用することで、メタルマスク2の開口201の位置精度を向上させることができる。これは、作製後のメタルマスク2にかかっている主要なテンションが、母材上にメタルマスク2を作製したときの膜応力に限られるため、従来のように、母材からメタルマスクを剥離させた後に、メタルマスク端部を引っ張ってメタルマスクにテンションをかけつつ、メタルマスクをメタルフレームに接着固定する方法に比べて、開口201の位置を精密かつ均一に制御することが可能である。
【0064】
<有機膜の蒸着>
上述したように、メタルマスク2の開口201の位置精度を向上させることができても、有機膜の蒸着精度を向上させる為には、有機膜を蒸着させる際に、基板に対するメタルマスク2の位置を正確に合わせる必要性がある。
【0065】
図2で示したように、有機ELディスプレイ21では、多数の画素が略直交する2方向(X及びY方向)に並んだ状態で2次元的に配列される。そこで、この点に着目して、基板に対するメタルマスク2の位置を合わせる際に、画素配列のピッチが相対的長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に短い方向(Y方向)における位置合わせの精度を高める(すなわち設計位置からの誤差を小さくする)ことで、基板に対するメタルマスク2の位置を正確に合わせることができる。
【0066】
ここで、上記のような位置合わせを行う理由を述べる。
【0067】
上述したように、画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に小さい方向(Y方向)における幅Wの変動の方が、画質の低下に対してより大きな影響を与える。よって、画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に小さい方向(Y方向)におけるメタルマスク2のずれの方が、画面の表示品質に大きな影響を与える。
【0068】
一方、仮に、Y方向だけでなくX方向も含めた全方向について、基板に対するメタルマスク2の位置を高精度に合わせようとすると、設定した精度の範囲内にメタルマスク2と基板との位置関係が調整されるまでに多くの時間と多回数の位置調整動作とを要する。その結果、製造工程における滞留によって製造タクトが低下したり、数多い位置調整動作により、メタルマスク2が基板に対して接触することで傷を付けてしまうリスクも大きくなるといった問題が生じる。
【0069】
したがって、上記画面の表示品質と歩留まりと生産性等のバランスを考慮して、基板に対してメタルマスク2の位置合わせをする際には、画素配列のピッチが相対的に長い方向(X方向)に比べて、画素配列のピッチが相対的に短い方向(Y方向)における位置合わせの精度を高めるようにすれば良い。
【0070】
以上のように、本発明の実施形態に係る有機ELディスプレイ21では、各有機EL素子25aが、下部電極31aの一部が層間絶縁膜33bによって被覆されずに露出した露出部Exの中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部33acと、露出部Ex上であって露出部Exの端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部33aeとを有する。そして、このような構造において、本願発明者は、各薄膜部33aeの幅Wの変動が画面上における筋状のムラの発生に影響を及ぼすことを見出し、当該幅Wに着目して、幅Wが各有機EL素子25a間で略同一となるように調整した。その結果として、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を抑制し、画質を向上させることができる。
【0071】
また、各有機EL素子25aにおける所定方向(上記ではY方向)に沿った厚膜部33acから層間絶縁膜33bまでの距離である薄膜部33aeの幅Wを各有機EL素子25a間で略同一となるように調整した。その結果、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を防止することができる。
【0072】
また、複数の有機EL素子25aの配列ピッチが相対的に短い方向(上記ではY方向)に沿った薄膜部33aeの幅Wを各有機EL素子25a間で略同一とすることで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生を有効に防止することができる。
【0073】
また、全ての有機EL素子25aに関して、隣接する有機EL素子25a間におけるΔW/WAを約0.05以下に設定することで、ディスプレイ上における筋状のムラの発生をより有効に防止することができる。
【0074】
<変形例>
以上、この発明の実施形態について説明したが、この発明は上記説明した内容のものに限定されるものではない。
【0075】
◎例えば、上述したように、隣り合う有機EL素子25a間で、ΔW/WAを0.05以内に抑制すれば、表示画面上における筋状のムラの発生を抑制可能であるが、図16及び図17に示すように、隣り合う有機EL素子25a間でのΔW/WAを0.02以内に抑制すれば、表示画面上における筋状のムラの発生をより確実に抑制することができる。
【0076】
◎また、上記実施形態では、有機ELディスプレイ21に含まれる全ての有機EL素子25a、すなわち全有機EL素子25aが含まれる領域(ディスプレイ領域)を対象として、隣り合う有機EL素子25a間での幅Wの変動を調整したが、これに限られず、例えば、有機ELディスプレイ21の表示画面に含まれる所定の広さを有する一部領域(例えば、0.2mm×0.2mmの正方領域)において、筋状のムラが発生しないようにするためには、当該一部領域において、隣り合う有機EL素子25a間でΔW/WAのばらつきを調整すれば良い。
【0077】
◎また、上記実施形態では、薄膜部の幅Wの変動に着目して幅Wを調整したが、所定方向(例えば、Y方向)に沿った画素開口部CAの中心から厚膜部33acと薄膜部33aeとの境界までの距離Dに着目して当該距離Dを調整しても良い。つまり、所定の方向について、距離Dを各有機EL素子間で略同一としたり、隣接する有機EL素子間で、距離Dの変動ΔDを露出部の平均幅WAで除した値ΔD/WAを0.05以下としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】有機ELディスプレイの概略構成を例示する断面模式図である。
【図2】有機ELディスプレイの画素配列を例示する模式図である。
【図3】有機EL素子の構成を例示する断面模式図である。
【図4】有機EL素子に着目した断面図である。
【図5】有機層の形成を説明する図である。
【図6】有機層を形成するためのメタルマスクを例示する図である。
【図7】有機層を形成するためのメタルマスクを例示する図である。
【図8】有機層を形成する様子を例示する図である。
【図9】有機層の形状を模式的に示した図である。
【図10】有機EL素子に着目した断面図である。
【図11】有機ELディスプレイにおける有機層の配置を例示する図である。
【図12】薄膜部の幅の変動を例示する図である。
【図13】表示画面の様子を示した図である。
【図14】薄膜部の幅の変動を例示する図である。
【図15】表示画面の様子を示した図である。
【図16】薄膜部の幅の変動を例示する図である。
【図17】表示画面の様子を示した図である。
【符号の説明】
【0079】
21 有機ELディスプレイ
25a 有機EL素子
31a 下部電極
33a 有機層
33ac 厚膜部
33ae 薄膜部
33b 絶縁層間膜
35 第2の電極
Ex 露出部
W 薄膜部の幅
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機ELディスプレイであって、
第1電極と、当該第1電極の一部が露出する露出部を形成するように前記第1電極上に配置された層間絶縁膜と、前記露出部上に少なくとも配置された有機層と、当該有機層上に配置された第2電極とをそれぞれ有する複数の有機EL素子、
を備え、
各前記有機層が、前記露出部上に配置された部分において、前記露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部と、前記露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部とを有し、
前記薄膜部の幅が、隣接する前記有機EL素子間で略同一であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の有機ELディスプレイであって、
前記薄膜部の幅が、前記有機EL素子における所定方向に沿った前記層間絶縁膜から前記厚膜部までの距離であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項3】
請求項2に記載の有機ELディスプレイであって、
前記複数の有機EL素子が、第1方向に沿って第1所定間隔で配列されるとともに、第2方向に沿って前記第1所定間隔よりも相対的に短い第2所定間隔で配列され、
前記所定方向が、前記第2方向を含むことを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
前記層間絶縁膜が、前記露出部を取り囲むように形成されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
前記薄膜部の膜厚が、前記厚膜部の膜厚の95%以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項6】
請求項3に記載の有機ELディスプレイであって、
各前記有機EL素子は、平面視形状が長辺と短辺とで構成される略長方形状をなし、前記長辺に沿った方向と前記第1方向とが略平行に、前記短辺に沿った方向と前記第2方向とが略平行に、それぞれ配置されることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、隣接する前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
所定の領域に含まれる隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、前記所定の領域に含まれる前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項9】
請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、
前記所定の領域が、0.2mm×0.2mmの正方領域であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項10】
請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、
前記所定の領域が、全ての前記有機EL素子を含むディスプレイ領域であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項1】
有機ELディスプレイであって、
第1電極と、当該第1電極の一部が露出する露出部を形成するように前記第1電極上に配置された層間絶縁膜と、前記露出部上に少なくとも配置された有機層と、当該有機層上に配置された第2電極とをそれぞれ有する複数の有機EL素子、
を備え、
各前記有機層が、前記露出部上に配置された部分において、前記露出部の中央部近傍に配置された膜厚が相対的に大きな厚膜部と、前記露出部の端部近傍に配置された膜厚が相対的に小さな薄膜部とを有し、
前記薄膜部の幅が、隣接する前記有機EL素子間で略同一であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項2】
請求項1に記載の有機ELディスプレイであって、
前記薄膜部の幅が、前記有機EL素子における所定方向に沿った前記層間絶縁膜から前記厚膜部までの距離であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項3】
請求項2に記載の有機ELディスプレイであって、
前記複数の有機EL素子が、第1方向に沿って第1所定間隔で配列されるとともに、第2方向に沿って前記第1所定間隔よりも相対的に短い第2所定間隔で配列され、
前記所定方向が、前記第2方向を含むことを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
前記層間絶縁膜が、前記露出部を取り囲むように形成されていることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
前記薄膜部の膜厚が、前記厚膜部の膜厚の95%以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項6】
請求項3に記載の有機ELディスプレイであって、
各前記有機EL素子は、平面視形状が長辺と短辺とで構成される略長方形状をなし、前記長辺に沿った方向と前記第1方向とが略平行に、前記短辺に沿った方向と前記第2方向とが略平行に、それぞれ配置されることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、隣接する前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の有機ELディスプレイであって、
所定の領域に含まれる隣接する前記有機EL素子間における前記薄膜部の幅の変動をΔWと、前記所定の領域に含まれる前記有機EL素子の露出部の平均幅をWAとした場合、ΔW/WAが0.05以下であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項9】
請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、
前記所定の領域が、0.2mm×0.2mmの正方領域であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【請求項10】
請求項8に記載の有機ELディスプレイであって、
前記所定の領域が、全ての前記有機EL素子を含むディスプレイ領域であることを特徴とする有機ELディスプレイ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図13】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図14】
【図15】
【図16】
【図13】
【図17】
【公開番号】特開2007−123612(P2007−123612A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314820(P2005−314820)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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