説明

有機EL半導体素子のパターニング方法、有機EL半導体素子、および、有機層のパターニング装置

【課題】有機EL半導体素子の製造プロセスに係るコストを低減し、同時にパターニングにおいてできるだけ高いフレキシビリティを保証する。
【解決手段】第1の電極、第2の電極、および、該2つの電極間に配置され電荷担体の再結合によって発光する有機層を備えた有機EL半導体素子を準備し、少なくとも有機層の一部を有機層への熱作用により選択的に破壊して半導体素子にパターンを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、独国出願第102007004890.6号および同第102007016638.0号に関連し、それらの優先権を主張する。
【0002】
本発明は有機EL半導体素子のパターニング方法に関する。本発明はさらに有機EL半導体素子、および、有機EL半導体素子のパターニング装置に関する。
【背景技術】
【0003】
小さな消費者製品で用いられる画面の需要が高まっており、こうした小画面の製造コストを低減しようとする要求も強くなってきている。また、あらかじめ定められた光パターンを有する発光手段への需要も高まっている。ここで有機発光ダイオード、いわゆるOLEDをベースとした画面もますます好まれるようになっている。なぜならOLEDは高い発光能を発揮し、にもかかわらず低い電流消費および低い製造コストしか有さないからである。有機発光ダイオードのさらなる利点として、大きなフレキシビリティ、種々の利用可能性、小さな視野角および充分なコントラストを挙げることができる。
【0004】
有機発光ダイオードは、電荷担体を注入するための一対の電極と当該の電極間に配置された有機発光材料とを基本構造としている。有機発光材料は複数の有機層から成っていてもよく、その場合これはOLED積層体とも称される。有機層のいずれかにおいて電荷担体である正孔と電子とが再結合することにより光が形成される。有機層のうち他のものは電荷担体の輸送および励起子拡散(Exzitonendiffusion)の制限に用いられる。
【0005】
電荷担体を注入するための2つの電極はアノードおよびカソードとして用いられる。アノード材料としては、導電性かつ透光性の金属酸化物、例えばインジウムのドープされた錫酸化物またはインジウムのドープされた亜鉛酸化物が用いられることがきわめて多い。こうした材料はたいていの場合ガラスまたは透明なプラスティックシートから成る基板支持体の上にデポジション、スパッタリングまたは他のプロセスによって被着される。発光層の製造は用いられる有機材料に応じて異なるプロセスにしたがって行われる。有機ポリマーについては、溶液を用いる堆積プロセスではスピン、遠心分離、スプレーまたはプレスなどが行われる。溶液を用いない堆積プロセスでは気相エピタキシまたはOVPDがしばしば行われる。
【0006】
アノード上に堆積された有機材料の表面にカソードを製造するために、トンネルバリアとしての金属化合物、例えばLiTaFまたは元素金属が被着される。
【0007】
有機材料および電極の双方とも酸素ないしは水によって酸化されうるので、有機半導体素子は製造後に付加的な内在層によって封止される。
【0008】
有機発光ダイオードの構造部の製造時には、形状または図像を形成するために、フォトリソグラフィプロセスを用いて少なくとも1つの電極がパターニングされる。アドレシング可能なピクセルを有する画面の製造では、アノードおよびカソードが行列のマトリクスとしてパターニングされ、行列の重なりによってアドレシング可能な個別のピクセルが指示される。ただし有機発光ダイオードの画面に所定の図像を形成しようとすると、プロセスが複雑化してコストが高くなってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術から、こうした有機EL半導体素子の製造プロセスに係るコストを低減し、同時にパターニングにおいてできるだけ高いフレキシビリティを保証することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1に記載の特徴を有する方法、請求項17に記載の特徴を有する素子、および、請求項21に記載の特徴を有する装置により解決される。本発明の有利な実施形態および実施態様は従属請求項の対象となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によれば、有機EL半導体素子の製造後に電極のみならず電極間に存在する発光層もパターニングできる有機EL半導体素子のパターニング方法が提供される。これは有機層の一部の領域を熱作用により選択的に破壊することによって行われる。発光層は局所的に破壊され、そこではエレクトロルミネセンスが発生しない。局所的領域の破壊とは、熱によって誘起される有機化合物の化学変換によって当該の領域がエレクトロルミネセンス特性を失うことであると理解されたい。これに代えて、パターニングされていない有機EL半導体素子の製造後に一方または双方の電極を熱作用によってパターニングしてもよい。これにより当該の領域の電極の抵抗は強く上昇し、この位置での電荷担体の注入の度合が低減されるかまたは阻止される。
【0012】
有機層の一部を選択的に破壊することにより、有機EL半導体素子に対して、フレキシブルかつほぼ任意に種々のパターンを形成することができる。これにより、例えば簡単なパターンであればコストのかかるフォトリソグラフィプロセスなしで製造することができる。特に、電極または有機層は有機EL半導体素子を製造し、酸化を阻止するための透明な保護層によってカバーした後に、本発明の方法にしたがってパターニングすることができる。
【0013】
本発明の1つの実施形態によれば、熱作用による選択的破壊は有機層へフォーカシングされる光ビームによって行われる。光ビームはレーザーによってコヒーレント光として形成される。非コヒーレント光を用いて適切な光学装置を介してフォーカシングを行ってもよい。
【0014】
この実施形態では、有機層は付加的な外部光の作用によって選択的に破壊される。レーザー光を用いることにより定められた波長のコヒーレント光を小さな領域へフォーカシングして小さなパターンを誤りなく形成することができるので、有利である。大面積のパターンを製造するためには非コヒーレント光のフォーカシングが利用され、所望の領域へ熱を作用させてその位置のエレクトロルミネセンス特性が破壊される。別の実施形態では、電極のうち少なくとも一方が有機EL半導体素子の製造後に熱作用によって選択的に破壊され、これにより素子がパターニングされる。
【0015】
使用されるレーザー光またはその他の光は可視波長スペクトルまたは近赤外波長スペクトルにある。特に有利には、有機EL半導体素子の電極の少なくとも一方は使用される光に対して透明であり、最小限の相互作用しか生じない。パターニングのために光は電極を通して有機層へフォーカシングされる。これにより、一方では素子全体の加熱が阻止され、他方では良好なパターニングが実現される。
【0016】
本発明の別の実施形態では、透明電極または発光層を包囲する透明材料が光を有機層の領域へフォーカシングするために利用される。選択的破壊のプロセスに用いられる光は連続的またはパルス状に形成することができる。有利には、パターニングのために、有機EL半導体素子が光ビームの下方で運動されるかまたは光ビームが有機層の上方で運動される。またこれら2つの運動を組み合わせてもよい。これにより1つの製造ラインにおいて複数の有機EL半導体素子の大面積のパターンを形成することができる。
【実施例】
【0017】
以下に本発明を図示の実施例に則して詳細に説明する。図1には本発明の第1の実施例が示されている。図2には本発明の第2の実施例が示されている。図3には有機EL半導体素子の有機層のパターニング装置の概略図が示されている。
【0018】
図1には、透明なガラス基板6および透明な第1の電極3を有するいわゆる下面発光型(ボトムエミッション型)の有機発光ダイオードOLEDの実施例が示されている。アノードとしての電極3は透明な導電性材料から成る層を含み、電荷担体のOLED積層体1への平面的分布に用いられる。電極3の材料として例えばインジウムのドープされた錫酸化物またはインジウムのドープされた亜鉛酸化物が用いられる。導電性を改善するために付加的に高い導電性を有する金属から成る薄い導体路セクションを"シャント接続"してもよい。第1の製造ステップで導電性の金属酸化物がガラス基板6上に堆積される。金属酸化物の厚さは約1μmであるが、材料に応じて厚くすることも薄くすることもできる。典型的には金属酸化物は100nm〜200nmの厚さを有する。続いて第2の製造ステップでOLED積層体1がアノード3上に形成される。
【0019】
OLED積層体1は種々の有機材料から成る複数の個別の部分層10〜14を含む。部分層13,14はアノードから供給される電荷担体を発光層11,12へ輸送し、カソード2から供給される電子を阻止して内部にとどめる。さらに部分層10,13,14は励起子拡散を制限し、再結合効率ひいては光子形成効率を高める。詳細に云えば、アノード3上には1‐TNATAから成る第1の層が堆積される。この第1の層上にS‐TADから成る層が被着される。続いて3つの部分層12,11,10が堆積される。部分層11,12は有機発光材料を含む。部分層11,12に使用される種々の材料から電荷担体の再結合時に種々の波長の光が形成される。これにより色混合が行われる。赤・青・緑のスペクトルの光を形成する3つの層が使用される場合、白色光を形成することができる。
【0020】
詳細には、部分層12はSEB010/SEB020から成り、青色スペクトルの光子を形成する。部分層11はTMM‐004:LR(ppy)3(15%)を含み、緑色スペクトルの光子を形成する。赤色スペクトルの光子を形成する部分層は例えばTMM‐04:TER012を有する。部分層11,12の上方に配置される部分層10は正孔の輸送を阻止し、EL発光を行う部分層11,12への電子の注入を改善する。部分層10〜14を図示のように垂直に配列することにより、光がガラス基板6の方向へ放出されるいわゆる下面発光型の有機発光ダイオードが形成される。各部分層をこのように配列すれば部分層11において形成された光子が部分層12を通るときに再吸収されない。
【0021】
電子の注入のためにOLED積層体1の最上部の部分層10上にカソード2が被着される。カソードはハロゲン化金属と横方向の抵抗を改善するために蒸着される導電層との組み合わせから成る。ハロゲン化金属は例えばフッ化バリウム、フッ化カルシウムまたはフッ化リチウムであり、導電層はアルミニウムまたは銀から成る。そのほかバリウム、カルシウムまたはマグネシウムなど出射効率の低い反応性金属をカソード材料として用いることもできる。酸化を阻止するためにOLED積層体全体をカソード2およびアノード3とともに保護層5によって包囲することもできる。保護層は例えば第2のガラス材料から成るかまたはプラスティックから成る。特に、薄膜カプセル化層は薄い酸化層、有機層またはポリマー平坦化層から成る複数の層を包囲するのに適する。
【0022】
図示の半導体プロセスは煩雑な電極のパターニングまたは個々の層のパターニングによらずに行うことができる。動作中はパターニングされていない素子は均等に照明される。有機半導体ダイオードまたは有機EL半導体素子のパターニングはフォーカシングされたレーザー光7により行われる。このレーザー光は外部からガラス基板6および電極3を通してOLED積層体1の個々の層へフォーカシングされる。使用されるレーザー光7の波長は部分発光層11,12によって最大限まで吸収されるように選定されている。部分層11,12の高い吸収率により、局所的に強い加熱が達成され、化合物が分解されて新たな化合物が形成される。照射を受けた部分では材料が化学的に変換され、発光しなくなる。簡単に言えば、レーザー光の当たった領域の部分層の内部の構造が破壊される。相応に部分層11,12のうちレーザー光が当たって加熱された領域は半導体素子の動作においてもはやエレクトロルミネセンスを生じない。このようにすれば、形成は終了したがまだパターニングされていない有機EL半導体素子を後からパターニングすることができる。例えば図示されている個別の有機層は半導体プロセスにおいて煩雑なマスクを用いたフォトリソグラフィプロセスを必要とすることなくシンタリングされる。
【0023】
図示の実施例では、発光する全ての部分層11,12が選択的に破壊され、レーザー光7は波長に応じてOLED積層体の所定の部分層へ配向される。例えばレーザー光の波長はOLED積層体のいずれかの部分層のみで吸収が行われるように選定される。これにより例えば青色光を発光する部分層12には第1の構造が実現され、他の色の光を発光する部分層11には第2の構造が実現される。結果として種々の色の光を発光するEL半導体素子が形成される。
【0024】
これに代えて、発光を行う層だけでなく、その上方または下方に存在する層10,13,14などを選択的に破壊することもできる。この手段は、フォーカシングが充分に行われない場合や、各層が1つの波長の光のみを良好に吸収する場合に特に有利である。また有機層に代えて、一方の電極または双方の電極を熱作用によりパターニングしてもよい。有機層そのものは選択的破壊に対して保護される。パターニングのための光のパターンは、電極が破壊すべき領域の積層体内に電荷担体を注入できなくなるように形成される。同様に種々の層に種々のパターンが選択的に形成され、複雑なパターンが実現される。
【0025】
本発明の別の実施形態では、ガラス基板6またはアノード3がレーザー光7のフォーカシングに用いられる。ガラス基板6または電極3などに使用される材料の湾曲の度合に応じて、パターニングプロセスにおけるアパレーション効果(Aparationseffekt)がガラス基板6または電極3で利用される。
【0026】
図2には本発明の別の実施例が示されている。この実施例では、OLED積層体1は個別の発光層から成っている。ガラス基板6とアノード3とのあいだに薄い金属の反射層が被着されている。これにより、一方では、電子の注入が改善され、金属酸化物から成る電極3の面積抵抗が低減される。他方では、有機層によって形成された光が再び所望の放射方向へ反射される。OLED積層体1の表面には透明材料から成るカソード2が被着されている。また、有機EL半導体素子10は透明材料から成る保護層5によって包囲されている。図示の有機発光ダイオードの動作中は、有機層1で形成された光は表面を通って出力される。したがっていわゆる上面発光型の有機EL半導体素子が実現される。
【0027】
有機発光ダイオードをパターニングするために、この実施例では、フォーカシングされた光は保護層5の表面を通ってカソード2および有機層1へ供給される。局所的な加熱により当該の領域のエレクトロルミネセンスが破壊される。所望のパターンは、固定の光7に対して半導体素子を相応に運動させるか、固定の半導体素子に対して光を相応に運動させることにより、行われる。別の手段として、結像光学系を用いて所望のパターンを直接に有機層1に焼き付けてもよい。図3には種々の製造手段を用いた装置の概略図が示されている。
【0028】
ここで可動の位置決めテーブル100上に有機EL半導体素子10が固定される。半導体素子10は複数の半導体素子の配置された大面積のウェハの構成要素であってもよい。位置決めテーブル100は製造ラインの一部である。パターニングすべき素子は緩慢にパターニング装置の下方へ移動される。これにより大面積の有機半導体層を簡単にパターニングすることができる。
【0029】
支承部100すなわち第1の位置決め装置はx方向およびこのx方向に対して垂直なz方向に関して任意に運動可能である。支承部100の運動は、大面積の半導体素子がパターニングされる場合、製造の際に圧電素子を介して小さな構造または正確なステップモータを用いて行われる。支承部100の運動を制御するために、コンピュータ200および制御装置が接続されている。制御装置はさらにレーザー装置400に結合されている第2の位置決め装置300を有する。第2の位置決め装置は種々の方向へ可動であり、容易に傾動可能である。レーザー装置は例えば近赤外領域の光を形成するかまたは周波数の2倍化を行うことにより可視領域の光を形成するネオジム:YAGレーザーを含む。他のレーザーの方式としては、ダイオードレーザー、ヘリウムネオンレーザーまたはカラーレーザーを使用することができる。レーザー装置400によって形成された光は光学系500を介して有機EL半導体素子へ、特に半導体素子内部の発光層列へフォーカシングされる。フォーカシングによって加熱されるので、有機EL半導体素子のいずれかの部分層は破壊される。このとき焦点は電極にあってもOLED積層体の部分層内にあってもよい。
【0030】
加熱により部分領域が選択的に破壊され、半導体素子の動作中にもエレクトロルミネセンスが生じない。これにより動作中に可視となる構造が半導体素子に形成される。これに対して、レーザー装置はパワーに応じて、また定められたパターンに応じて、パルス駆動または連続駆動により用いられる。ここで、発光層に存在するレーザーのエネルギにより有機発光層の所望の領域が選択的および局所的に破壊される。半導体素子の内部にパターンを形成するためのレーザー装置400の制御は、コンピュータ200および種々の位置決め装置100,300を介して行われる。位置決め装置はx方向またはz方向に沿って運動し、所望のパターンが形成される。
【0031】
そのほか、光学系500は可動のミラー光学系によって置換することもできる。ミラー光学系は例えば圧電素子により駆動され、これによりきわめて迅速に光ビームの配向が行われる。大幅な運動が行われると光の焦点が半導体素子内でずれてしまうので、パターニングの際には位置決めテーブルとしての支承部100を運動させると有利である。このようにすれば、有機半導体素子に大面積で迅速にパターンを形成することができる。コンピュータ200を用いた制御により、種々のパターンがフレキシブルに付加的なマスクなしに形成される。
【0032】
さらにパターニングは結像光学系を用いて行うこともできる。例えば光学系500には所望のパターンを示すシェーディングマスクが設けられている。シェーディングマスクの像は付加的な光学系を用いて半導体素子10、特にその有機層へフォーカシングされる。
【0033】
ここで説明した方法によれば、有機発光ダイオードのパターニングをきわめてフレキシブルかつ簡単に製造後にも行うことができる。このために複雑なマスクやフォトリソグラフィプロセスは必要ない。したがって本発明の方法は小さな有機発光ダイオードの形成に特に適している。個々の有機半導体素子を種々の大きさで実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施例を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施例を示す図である。
【図3】有機EL半導体素子のパターニング装置を示す概略図である。
【符号の説明】
【0035】
1 OLED積層体、 2,3 電極、 4 、 5 保護層、 6 ガラス基板、 7 レーザー光、 10〜14 部分層、 100 第1の位置決め装置、 200 コンピュータ、 300 第2の位置決め装置、 400 レーザー装置、 500 光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極、第2の電極、および、該2つの電極間に配置され電荷担体の再結合によって発光する有機層を備えた有機EL半導体素子を準備するステップ、および、
少なくとも有機層の一部を有機層への熱作用により選択的に破壊して半導体素子にパターンを形成するステップ
を含む
ことを特徴とする有機EL半導体素子のパターニング方法。
【請求項2】
電荷担体の再結合によって発光する有機層は少なくとも1つの第1の部分層(11,12)および第2の部分層(10,13)を含み、パターニングのために少なくとも1つの部分層の一部を選択的に破壊する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
有機層の第1の有機化合物を発光しない少なくとも1つの第2の化合物へ熱作用によって変換することにより有機層を選択的に破壊する、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
熱作用による選択的破壊を有機層へフォーカシングされる光ビームによって行う、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
光ビームの波長は可視波長のスペクトル内にある、請求項4記載の方法。
【請求項6】
光ビームの波長は赤外波長または紫外波長のスペクトル内にある、請求項4記載の方法。
【請求項7】
有機EL半導体素子の少なくとも1つの電極は透光性である、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
有機層の一部の領域を選択的に破壊しているあいだ光ビームを連続的に形成する、請求項3から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
有機層の一部の領域を選択的に破壊しているあいだ光ビームをパルス状に形成する、請求項3から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
光ビームをレーザーによって形成する、請求項3から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
有機層の一部の領域を選択的に破壊しているあいだ有機層にパターンを形成するために光ビームを運動させる、請求項3から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
有機層の一部の領域を選択的に破壊しているあいだ有機層にパターンを形成するために有機EL半導体素子を運動させる、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
熱作用による選択的破壊の焦点の径は10μm〜300μmの範囲にある、請求項1から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
有機EL半導体素子の少なくとも一方の電極はパターニングされないまま製造される、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
光ビームを少なくとも部分的に電極を通してフォーカシングする、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一方の電極の一部の領域を熱作用により選択的に破壊する、請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
電荷担体を注入するための第1の電極(2)および第2の電極(3)と該2つの電極間に配置され電荷担体の再結合によって発光する少なくとも1つの有機層(1)とを含む
有機EL半導体素子において、
有機層(1)の少なくとも一部の領域が熱作用により選択的に破壊されている
ことを特徴とする有機EL半導体素子。
【請求項18】
有機層(1)は発光する少なくとも1つの第1の部分層(11,12)および少なくとも1つの第2の部分層(10,13,14)を含み、少なくとも1つの部分層またはその一部が選択的に破壊されている、請求項17記載の素子。
【請求項19】
熱作用によって破壊された部分領域はルミネセンスを生じない有機化合物を有する、請求項17または18記載の素子。
【請求項20】
付加的に少なくとも1つの電極またはその一部を熱作用により選択的に破壊する、請求項17から19までのいずれか1項記載の素子。
【請求項21】
少なくとも1つの有機EL半導体素子(10)に対する収容装置を備えた位置決め装置(100)、配向可能な光ビームを出力する照明手段(400)を備えた支持装置(300)、および、照明手段(400)と位置決め装置(100)とのあいだに配置され光ビームを少なくとも1つの有機EL半導体素子(10)へ偏向する偏向装置(500)を有しており、
配向される光ビームの焦点は有機EL半導体素子のいずれかの層内で層の一部の領域が熱作用により選択的に破壊される位置に合わせられる
ことを特徴とする有機EL半導体素子のパターニング装置。
【請求項22】
照明手段(400)がレーザー装置を有する、請求項21記載の装置。
【請求項23】
赤外スペクトルまたは緑色スペクトルの光を有するネオジム:YAGレーザーが設けられている、請求項22記載の装置。
【請求項24】
位置決め装置は光ビームに対してほぼ垂直に少なくとも1つの方向に沿って運動可能に配置されている、請求項21から23までのいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
偏向装置は配向された光ビームを有機EL半導体素子の層へフォーカシングするフォーカシング装置を含む、請求項21から24までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
偏向装置は配向される光ビームの焦点を偏向する少なくとも1つの運動可能なミラー装置を含む、請求項21から25までのいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
配向される光ビームの焦点は有機層の発光部に位置する、請求項21から26までのいずれか1項記載の装置。
【請求項28】
有機層は少なくとも一方の電極を含む、請求項21から27までのいずれか1項記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−192613(P2008−192613A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20226(P2008−20226)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】