有機ＥＬ素子ユニット、およびこれを用いた有機ＥＬ照明装置
【課題】個々の有機ＥＬ素子を確実に封止することができるとともに、有機ＥＬ素子の配線の自由度を確保することができ、さらに、光むらが生じない有機ＥＬ素子ユニットを提供する。
【解決手段】単一の基板２上に、一対の電極４，５間に有機発光層６を介在させてなる有機ＥＬ素子３の複数個が形成され、かつ、各有機ＥＬ素子３は、封止部材７によって個別に封止されるとともに、一対の電極４，５がそれぞれ封止部材７の外部の基板２上に引き出されて配線接続用の接続端子部４ａ，５ａとして形成されている。
【解決手段】単一の基板２上に、一対の電極４，５間に有機発光層６を介在させてなる有機ＥＬ素子３の複数個が形成され、かつ、各有機ＥＬ素子３は、封止部材７によって個別に封止されるとともに、一対の電極４，５がそれぞれ封止部材７の外部の基板２上に引き出されて配線接続用の接続端子部４ａ，５ａとして形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、有機ＥＬ素子ユニット、およびこれを用いた有機ＥＬ照明装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、自発光型のＥＬ素子は、ＥＬ（エレクトロルミネッセンス）現象を利用しているので、発熱がほとんどなく、また、軽量、薄型であり、特に、有機ＥＬ素子は、無機ＥＬ素子に比較して色の選択が容易で、駆動電圧が低くて省電力であるなど、種々の利点を有している。
【０００３】
ところで、近年は、光ポスターのように広告灯の光源として大面積を照明する有機ＥＬ照明装置が要望されている。このような大面積を照明するために、有機ＥＬ素子自体のサイズをそのまま大型化すると、有機ＥＬ素子を構成する有機発光層の膜厚を均一に形成することが困難になって発光むら（輝度むらや色むら）が発生し易く、また、有機発光層を励起するための電極に印加する駆動電圧を高くせねばならなくなって消費電力が増加するなどの不具合を生じる。
【０００４】
そこで、従来技術では、単一の基板上に複数個の有機ＥＬ素子を形成して有機ＥＬ素子ユニットとし、その有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することによって大面積の有機ＥＬ照明装置を構成することが提案されている（例えば、特許文献１等参照）。
【０００５】
このように、特許文献１記載の従来技術では、一定サイズの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することで大面積の有機ＥＬ照明装置を構成しているので、各有機ＥＬ素子ユニットを構成する各々の有機ＥＬ素子の有機発光層はほぼ均一な膜厚に形成することができるとともに、有機発光層を励起するための電極に印加する駆動電圧も均一化することができるために、発光むらが生じにくくなる。
【特許文献１】実開平４−１０５４９６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、この特許文献１のものでは、有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置した後、電極同士をそれぞれ配線パターンを介して電気的に接続し、この状態で複数個の有機ＥＬ素子ユニットの全体を封止部材を用いて一括して封止するようにしている。
【０００７】
このように封止部材で封止するのは、有機ＥＬ素子の有機発光層を構成する有機化合物には水分や酸素に晒されると特性が劣化し、また、有機ＥＬ素子の陽極や陰極を構成する金属も空気中では酸化して特性が劣化し易いので、これを防止するためであるが、従来技術のように、ユニット化された有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置した後に封止部材でこれらを一括封止すると、新たに次の問題を生じる。
【０００８】
すなわち、有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置した後に封止部材で一括封止すると、封止部材は大きな面積を占めることになるので、封止部材の部品精度が悪くなったり、温度変化によって封止部材に生じる歪みが大きくなるなどして、封止部材と基板との間に隙間が生じ易く、有機ＥＬ素子ユニット内を確実に封止することが難しくなる。
【０００９】
また、有機ＥＬ素子ユニット単位で封止する場合でも、各有機ＥＬ素子ユニット間、あるいは有機ＥＬ素子間を結ぶ配線の自由度がなくなるため、その後の設計変更や、表示特性の要求に応じて配線接続を任意に変更することが困難である。
【００１０】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、個々の有機ＥＬ素子を確実に封止することができるとともに、各有機ＥＬ素子の配線の自由度を確保することができ、さらに、発光むらが生じにくい有機ＥＬ素子ユニット、およびこれを用いた有機ＥＬ照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記の目的を達成するために、請求項１記載の発明に係る有機ＥＬ素子ユニットは、単一の基板上に、一対の電極間に有機発光層を介在させてなる有機ＥＬ素子の複数個が形成され、かつ、各有機ＥＬ素子は、封止部材によって個別に封止されるとともに、前記一対の電極がそれぞれ封止部材の外部の基板上に引き出されて配線接続用の接続端子部として形成されていることを特徴としている。
【００１２】
請求項２記載の発明に係る有機ＥＬ素子ユニットは、請求項１記載の発明において、前記有機ＥＬ素子の各接続端子部は、配線パターンを介して順次直列に接続されていることを特徴としている。
【００１３】
請求項３記載の発明に係る有機ＥＬ素子ユニットは、請求項１記載の発明において、前記有機ＥＬ素子の各接続端子部には配線パターンが個別に接続され、これらの各配線パターンが前記基板の周縁部に引き出されていることを特徴としている。
【００１４】
請求項４記載の発明に係る有機ＥＬ照明装置は、請求項１ないし請求項３のいずれかの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を組み合わせて構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１記載の発明によれば、単一の基板上に形成された複数個の有機ＥＬ素子が封止部材によって個別に封止されているので、有機ＥＬ素子ユニットの全体を封止部材で封止する場合に比べて封止部材のサイズが小さくなり、その分、封止部材の部品精度の影響や温度変化の影響を受け難くなり、有機ＥＬ素子内部を確実に封止することができる。
【００１６】
しかも、有機ＥＬ素子の有機発光層を挟む各電極は、封止部材の外部の基板上に引き出されて配線接続用の接続端子部として形成されているので、各有機ＥＬ素子を封止部材で封止した後も、その各接続端子部間を配線パターンによって任意に接続することができるため、配線の自由度を確保することができる。
【００１７】
請求項２記載の発明によれば、有機ＥＬ素子の各接続端子部は、極性の異なるもの同士が順次配線パターンを介して互いに接続されているので、各有機ＥＬ素子の電極に印加される駆動電圧が均一化されて発光むらが低減される。
【００１８】
請求項３記載の発明によれば、有機ＥＬ素子の各接続端子部に個別に接続された各配線パターンが基板の周縁部に引き出されているので、有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することで大面積の有機ＥＬ照明装置を構成する際、基板内に含まれる有機ＥＬ素子について一部を直列あるいは並列に接続することができる。つまり、ユニット間を接続する場合にも配線の自由度を確保することができ、その後の設計変更や、表示特性の要求に応じて有機ＥＬ素子および有機ＥＬ素子ユニット間の配線接続を任意に変更することが可能になる。
【００１９】
請求項４記載の発明によれば、請求項１ないし請求項３の発明の有機ＥＬ素子ユニットの効果を維持しつつ、一定サイズの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することで大面積の有機ＥＬ照明装置が構成されるため、大面積化しても発光むらの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【００２１】
（実施の形態１）
図１は本発明の実施の形態１における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図、図２は同ユニットの等価回路図、図３は図１の有機ＥＬ素子ユニットの一部を拡大して示す平面図、図４は図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。
【００２２】
この実施の形態１の有機ＥＬ素子ユニット１は、単一の基板２上に有機ＥＬ素子３の複数個（この例では９素子）が形成されている。各々の有機ＥＬ素子３は、一対の電極４，５間に有機発光層６を介在させて構成されている。そして、各有機ＥＬ素子３は、ガラス等の封止部材７が接着剤等によって個別に封止されるとともに、一対の電極４，５がそれぞれ封止部材７の外部の基板２上に引き出されて配線接続用の接続端子部４ａ，５ａとして形成されている。
【００２３】
ここに、基板２はガラス等でできた透明基板であり、また、一対の電極４，５の内、一方の電極４は陽極、他方の電極５は陰極となるもので、陽極４は例えばＩＴＯなどの透明電極で構成されている。
【００２４】
そして、有機ＥＬ素子３は、配線パターン８を介して順次直列に接続されている、すなわち、互いに隣接する有機ＥＬ素子３同士については、その一つの有機ＥＬ素子３の陽極側の接続端子部４ａがこれに隣接する他の有機ＥＬ素子３の陰極側の接続端子部５ａに、また、この有機ＥＬ素子３の陰極側の接続端子部５ａはこれに隣接する他の有機ＥＬ素子３の陽極側の接続端子部４ａに配線パターン８を介して順次接続されている。したがって、この実施の形態１における有機ＥＬ素子ユニット１の等価回路は、各有機ＥＬ素子３が順次直列に接続されたものとなっている。
【００２５】
このように、この実施の形態１の有機ＥＬ素子ユニット１は、単一の基板２上に形成された複数個の有機ＥＬ素子３が封止部材７によって個別に封止されているので、有機ＥＬ素子ユニット１の全体を封止部材７で封止する場合に比べて封止部材７のサイズが小さくなり、その分、封止部材７の部品精度の影響や温度変化の影響を受け難く、有機ＥＬ素子３内部を確実に封止することができる。
【００２６】
しかも、有機ＥＬ素子３の有機発光層６を挟む各電極４，５は、封止部材７の外部の基板２上に引き出されて配線接続用の接続端子部４ａ，５ａとして形成されているので、有機ＥＬ素子３を封止部材７で封止した後も、各接続端子部４ａ，５ａ間を配線パターン８によって任意に接続することができので、配線の自由度を確保することができる。
【００２７】
特に、この実施の形態１のように、有機ＥＬ素子３の各接続端子部４ａ，５ａの極性の異なるもの同士を配線パターン８を介して順次直列に接続されているので、各有機ＥＬ素子３の電極４，５に印加される駆動電圧が均一化されることになり、発光むらを低減することができる。
【００２８】
（実施の形態２）
図５は本発明の実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図、図６は同ユニットの等価回路図であり、実施の形態１と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【００２９】
この実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニット１の特徴は、各々の有機ＥＬ素子３の各接続端子部４ａ，５ａには配線パターン８が個別に接続され、これらの各配線パターン８が基板２の周縁部に引き出されている。
【００３０】
したがって、この実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニット１の等価回路は、有機ＥＬ素子３が個別に独立して存在するものとなっている。その他の構成は実施の形態１の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【００３１】
この実施の形態２の有機ＥＬ素子ユニット１によれば、有機ＥＬ素子３の各接続端子部４ａ，５ａに個別に接続された各配線パターン８が基板２の周縁部に引き出されているので、有機ＥＬ素子ユニット１の複数個を縦横に配置して大面積の有機ＥＬ照明装置を構成する際、基板２内に含まれる有機ＥＬ素子３について一部を直列に接続したり、あるいは並列に接続したりすることができる。つまり、ユニット１間を接続する場合にも配線の自由度を確保することができ、その後の設計変更や、表示特性の要求に応じて有機ＥＬ素子３および有機ＥＬ素子ユニット１間の配線接続を任意に変更することが可能になる。
【００３２】
上記の実施の形態１，２の各有機ＥＬ素子ユニット１を製作する場合には、単一の基板２上に、有機ＥＬ素子３の複数個を形成した後、各有機ＥＬ素子３を封止部材７により封止する。その後、各電極４，５から封止部材７の外部の基板２上に引き出されている各接続端子部４ａ，５ａを配線パターン８により電気的に接続する。
【００３３】
なお、基板２上に形成される有機ＥＬ素子３の素子数は、上記の実施の形態１，２に示したものに限定されるものではなく、また、接続端子部４ａ，５ａに接続された配線パターン８の引き回し状態についても、上記の実施の形態１，２の態様に限定されるものではなく、必要に応じて任意に変更することができる。
【００３４】
また、これらの有機ＥＬ素子ユニットを用いて大面積の有機ＥＬ照明装置を構成する場合には、有機ＥＬ素子ユニット１の複数個を縦横に配置して一体化するとともに、所定の各配線パターン８同士を電気的に接続する。こうして大面積の有機ＥＬ照明装置を構成すると、実施の形態１，２で説明した有機ＥＬ素子ユニット１の効果をそのまま維持しているため、大面積化しても発光むらの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の実施の形態１における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図である。
【図２】同ユニットの等価回路図である。
【図３】図１の有機ＥＬ素子ユニットの一部を拡大して示す平面図である。
【図４】図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。
【図５】本発明の実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図である。
【図６】同ユニットの等価回路図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ 有機ＥＬ素子ユニット
２ 基板
３ 有機ＥＬ素子
４ 電極（陽極）
５ 電極（陰極）
６ 有機発光層
７ 封止部材
８ 配線パターン
【技術分野】
【０００１】
本発明は、有機ＥＬ素子ユニット、およびこれを用いた有機ＥＬ照明装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、自発光型のＥＬ素子は、ＥＬ（エレクトロルミネッセンス）現象を利用しているので、発熱がほとんどなく、また、軽量、薄型であり、特に、有機ＥＬ素子は、無機ＥＬ素子に比較して色の選択が容易で、駆動電圧が低くて省電力であるなど、種々の利点を有している。
【０００３】
ところで、近年は、光ポスターのように広告灯の光源として大面積を照明する有機ＥＬ照明装置が要望されている。このような大面積を照明するために、有機ＥＬ素子自体のサイズをそのまま大型化すると、有機ＥＬ素子を構成する有機発光層の膜厚を均一に形成することが困難になって発光むら（輝度むらや色むら）が発生し易く、また、有機発光層を励起するための電極に印加する駆動電圧を高くせねばならなくなって消費電力が増加するなどの不具合を生じる。
【０００４】
そこで、従来技術では、単一の基板上に複数個の有機ＥＬ素子を形成して有機ＥＬ素子ユニットとし、その有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することによって大面積の有機ＥＬ照明装置を構成することが提案されている（例えば、特許文献１等参照）。
【０００５】
このように、特許文献１記載の従来技術では、一定サイズの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することで大面積の有機ＥＬ照明装置を構成しているので、各有機ＥＬ素子ユニットを構成する各々の有機ＥＬ素子の有機発光層はほぼ均一な膜厚に形成することができるとともに、有機発光層を励起するための電極に印加する駆動電圧も均一化することができるために、発光むらが生じにくくなる。
【特許文献１】実開平４−１０５４９６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
しかしながら、この特許文献１のものでは、有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置した後、電極同士をそれぞれ配線パターンを介して電気的に接続し、この状態で複数個の有機ＥＬ素子ユニットの全体を封止部材を用いて一括して封止するようにしている。
【０００７】
このように封止部材で封止するのは、有機ＥＬ素子の有機発光層を構成する有機化合物には水分や酸素に晒されると特性が劣化し、また、有機ＥＬ素子の陽極や陰極を構成する金属も空気中では酸化して特性が劣化し易いので、これを防止するためであるが、従来技術のように、ユニット化された有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置した後に封止部材でこれらを一括封止すると、新たに次の問題を生じる。
【０００８】
すなわち、有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置した後に封止部材で一括封止すると、封止部材は大きな面積を占めることになるので、封止部材の部品精度が悪くなったり、温度変化によって封止部材に生じる歪みが大きくなるなどして、封止部材と基板との間に隙間が生じ易く、有機ＥＬ素子ユニット内を確実に封止することが難しくなる。
【０００９】
また、有機ＥＬ素子ユニット単位で封止する場合でも、各有機ＥＬ素子ユニット間、あるいは有機ＥＬ素子間を結ぶ配線の自由度がなくなるため、その後の設計変更や、表示特性の要求に応じて配線接続を任意に変更することが困難である。
【００１０】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、個々の有機ＥＬ素子を確実に封止することができるとともに、各有機ＥＬ素子の配線の自由度を確保することができ、さらに、発光むらが生じにくい有機ＥＬ素子ユニット、およびこれを用いた有機ＥＬ照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
上記の目的を達成するために、請求項１記載の発明に係る有機ＥＬ素子ユニットは、単一の基板上に、一対の電極間に有機発光層を介在させてなる有機ＥＬ素子の複数個が形成され、かつ、各有機ＥＬ素子は、封止部材によって個別に封止されるとともに、前記一対の電極がそれぞれ封止部材の外部の基板上に引き出されて配線接続用の接続端子部として形成されていることを特徴としている。
【００１２】
請求項２記載の発明に係る有機ＥＬ素子ユニットは、請求項１記載の発明において、前記有機ＥＬ素子の各接続端子部は、配線パターンを介して順次直列に接続されていることを特徴としている。
【００１３】
請求項３記載の発明に係る有機ＥＬ素子ユニットは、請求項１記載の発明において、前記有機ＥＬ素子の各接続端子部には配線パターンが個別に接続され、これらの各配線パターンが前記基板の周縁部に引き出されていることを特徴としている。
【００１４】
請求項４記載の発明に係る有機ＥＬ照明装置は、請求項１ないし請求項３のいずれかの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を組み合わせて構成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【００１５】
請求項１記載の発明によれば、単一の基板上に形成された複数個の有機ＥＬ素子が封止部材によって個別に封止されているので、有機ＥＬ素子ユニットの全体を封止部材で封止する場合に比べて封止部材のサイズが小さくなり、その分、封止部材の部品精度の影響や温度変化の影響を受け難くなり、有機ＥＬ素子内部を確実に封止することができる。
【００１６】
しかも、有機ＥＬ素子の有機発光層を挟む各電極は、封止部材の外部の基板上に引き出されて配線接続用の接続端子部として形成されているので、各有機ＥＬ素子を封止部材で封止した後も、その各接続端子部間を配線パターンによって任意に接続することができるため、配線の自由度を確保することができる。
【００１７】
請求項２記載の発明によれば、有機ＥＬ素子の各接続端子部は、極性の異なるもの同士が順次配線パターンを介して互いに接続されているので、各有機ＥＬ素子の電極に印加される駆動電圧が均一化されて発光むらが低減される。
【００１８】
請求項３記載の発明によれば、有機ＥＬ素子の各接続端子部に個別に接続された各配線パターンが基板の周縁部に引き出されているので、有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することで大面積の有機ＥＬ照明装置を構成する際、基板内に含まれる有機ＥＬ素子について一部を直列あるいは並列に接続することができる。つまり、ユニット間を接続する場合にも配線の自由度を確保することができ、その後の設計変更や、表示特性の要求に応じて有機ＥＬ素子および有機ＥＬ素子ユニット間の配線接続を任意に変更することが可能になる。
【００１９】
請求項４記載の発明によれば、請求項１ないし請求項３の発明の有機ＥＬ素子ユニットの効果を維持しつつ、一定サイズの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を縦横に配置することで大面積の有機ＥＬ照明装置が構成されるため、大面積化しても発光むらの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２０】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【００２１】
（実施の形態１）
図１は本発明の実施の形態１における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図、図２は同ユニットの等価回路図、図３は図１の有機ＥＬ素子ユニットの一部を拡大して示す平面図、図４は図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。
【００２２】
この実施の形態１の有機ＥＬ素子ユニット１は、単一の基板２上に有機ＥＬ素子３の複数個（この例では９素子）が形成されている。各々の有機ＥＬ素子３は、一対の電極４，５間に有機発光層６を介在させて構成されている。そして、各有機ＥＬ素子３は、ガラス等の封止部材７が接着剤等によって個別に封止されるとともに、一対の電極４，５がそれぞれ封止部材７の外部の基板２上に引き出されて配線接続用の接続端子部４ａ，５ａとして形成されている。
【００２３】
ここに、基板２はガラス等でできた透明基板であり、また、一対の電極４，５の内、一方の電極４は陽極、他方の電極５は陰極となるもので、陽極４は例えばＩＴＯなどの透明電極で構成されている。
【００２４】
そして、有機ＥＬ素子３は、配線パターン８を介して順次直列に接続されている、すなわち、互いに隣接する有機ＥＬ素子３同士については、その一つの有機ＥＬ素子３の陽極側の接続端子部４ａがこれに隣接する他の有機ＥＬ素子３の陰極側の接続端子部５ａに、また、この有機ＥＬ素子３の陰極側の接続端子部５ａはこれに隣接する他の有機ＥＬ素子３の陽極側の接続端子部４ａに配線パターン８を介して順次接続されている。したがって、この実施の形態１における有機ＥＬ素子ユニット１の等価回路は、各有機ＥＬ素子３が順次直列に接続されたものとなっている。
【００２５】
このように、この実施の形態１の有機ＥＬ素子ユニット１は、単一の基板２上に形成された複数個の有機ＥＬ素子３が封止部材７によって個別に封止されているので、有機ＥＬ素子ユニット１の全体を封止部材７で封止する場合に比べて封止部材７のサイズが小さくなり、その分、封止部材７の部品精度の影響や温度変化の影響を受け難く、有機ＥＬ素子３内部を確実に封止することができる。
【００２６】
しかも、有機ＥＬ素子３の有機発光層６を挟む各電極４，５は、封止部材７の外部の基板２上に引き出されて配線接続用の接続端子部４ａ，５ａとして形成されているので、有機ＥＬ素子３を封止部材７で封止した後も、各接続端子部４ａ，５ａ間を配線パターン８によって任意に接続することができので、配線の自由度を確保することができる。
【００２７】
特に、この実施の形態１のように、有機ＥＬ素子３の各接続端子部４ａ，５ａの極性の異なるもの同士を配線パターン８を介して順次直列に接続されているので、各有機ＥＬ素子３の電極４，５に印加される駆動電圧が均一化されることになり、発光むらを低減することができる。
【００２８】
（実施の形態２）
図５は本発明の実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図、図６は同ユニットの等価回路図であり、実施の形態１と対応する構成部分には同一の符号を付す。
【００２９】
この実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニット１の特徴は、各々の有機ＥＬ素子３の各接続端子部４ａ，５ａには配線パターン８が個別に接続され、これらの各配線パターン８が基板２の周縁部に引き出されている。
【００３０】
したがって、この実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニット１の等価回路は、有機ＥＬ素子３が個別に独立して存在するものとなっている。その他の構成は実施の形態１の場合と同様であるから、ここでは詳しい説明は省略する。
【００３１】
この実施の形態２の有機ＥＬ素子ユニット１によれば、有機ＥＬ素子３の各接続端子部４ａ，５ａに個別に接続された各配線パターン８が基板２の周縁部に引き出されているので、有機ＥＬ素子ユニット１の複数個を縦横に配置して大面積の有機ＥＬ照明装置を構成する際、基板２内に含まれる有機ＥＬ素子３について一部を直列に接続したり、あるいは並列に接続したりすることができる。つまり、ユニット１間を接続する場合にも配線の自由度を確保することができ、その後の設計変更や、表示特性の要求に応じて有機ＥＬ素子３および有機ＥＬ素子ユニット１間の配線接続を任意に変更することが可能になる。
【００３２】
上記の実施の形態１，２の各有機ＥＬ素子ユニット１を製作する場合には、単一の基板２上に、有機ＥＬ素子３の複数個を形成した後、各有機ＥＬ素子３を封止部材７により封止する。その後、各電極４，５から封止部材７の外部の基板２上に引き出されている各接続端子部４ａ，５ａを配線パターン８により電気的に接続する。
【００３３】
なお、基板２上に形成される有機ＥＬ素子３の素子数は、上記の実施の形態１，２に示したものに限定されるものではなく、また、接続端子部４ａ，５ａに接続された配線パターン８の引き回し状態についても、上記の実施の形態１，２の態様に限定されるものではなく、必要に応じて任意に変更することができる。
【００３４】
また、これらの有機ＥＬ素子ユニットを用いて大面積の有機ＥＬ照明装置を構成する場合には、有機ＥＬ素子ユニット１の複数個を縦横に配置して一体化するとともに、所定の各配線パターン８同士を電気的に接続する。こうして大面積の有機ＥＬ照明装置を構成すると、実施の形態１，２で説明した有機ＥＬ素子ユニット１の効果をそのまま維持しているため、大面積化しても発光むらの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【００３５】
【図１】本発明の実施の形態１における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図である。
【図２】同ユニットの等価回路図である。
【図３】図１の有機ＥＬ素子ユニットの一部を拡大して示す平面図である。
【図４】図３のＡ−Ａ線に沿う断面図である。
【図５】本発明の実施の形態２における有機ＥＬ素子ユニットの全体を示す平面図である。
【図６】同ユニットの等価回路図である。
【符号の説明】
【００３６】
１ 有機ＥＬ素子ユニット
２ 基板
３ 有機ＥＬ素子
４ 電極（陽極）
５ 電極（陰極）
６ 有機発光層
７ 封止部材
８ 配線パターン
【特許請求の範囲】
【請求項１】
単一の基板上に、一対の電極間に有機発光層を介在させてなる有機ＥＬ素子の複数個が形成され、かつ、各有機ＥＬ素子は、封止部材によって個別に封止されるとともに、前記一対の電極がそれぞれ封止部材の外部の基板上に引き出されて配線接続用の接続端子部として形成されていることを特徴とする有機ＥＬ素子ユニット。
【請求項２】
前記有機ＥＬ素子の各接続端子部は、配線パターンを介して順次直列に接続されていることを特徴とする請求項１記載の有機ＥＬ素子ユニット。
【請求項３】
前記有機ＥＬ素子の各接続端子部には配線パターンが個別に接続され、これらの各配線パターンが前記基板の周縁部に引き出されていることを特徴とする請求項１記載の有機ＥＬ素子ユニット。
【請求項４】
請求項１ないし請求項３のいずれかの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を組み合わせて構成されていることを特徴とする有機ＥＬ照明装置。
【請求項１】
単一の基板上に、一対の電極間に有機発光層を介在させてなる有機ＥＬ素子の複数個が形成され、かつ、各有機ＥＬ素子は、封止部材によって個別に封止されるとともに、前記一対の電極がそれぞれ封止部材の外部の基板上に引き出されて配線接続用の接続端子部として形成されていることを特徴とする有機ＥＬ素子ユニット。
【請求項２】
前記有機ＥＬ素子の各接続端子部は、配線パターンを介して順次直列に接続されていることを特徴とする請求項１記載の有機ＥＬ素子ユニット。
【請求項３】
前記有機ＥＬ素子の各接続端子部には配線パターンが個別に接続され、これらの各配線パターンが前記基板の周縁部に引き出されていることを特徴とする請求項１記載の有機ＥＬ素子ユニット。
【請求項４】
請求項１ないし請求項３のいずれかの有機ＥＬ素子ユニットの複数個を組み合わせて構成されていることを特徴とする有機ＥＬ照明装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【公開番号】特開２００７−１７３５６４（Ｐ２００７−１７３５６４Ａ）
【公開日】平成１９年７月５日（２００７．７．５）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−３６９７８６（Ｐ２００５−３６９７８６）
【出願日】平成１７年１２月２２日（２００５．１２．２２）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年７月５日（２００７．７．５）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年１２月２２日（２００５．１２．２２）
【出願人】（０００００５８３２）松下電工株式会社 (17,916)
【Ｆターム（参考）】
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