有機EL素子点灯装置及びそれを備えた発光モジュール並びに照明器具
【課題】有機EL素子点灯装置において、有機EL素子の両極間電圧の変動に応じて有機EL素子への供給電流を制御することで、有機EL素子の温度変動による輝度ばらつきを排除できるようにする。
【解決手段】本点灯装置1は、有機EL素子を有したランプ部10に供給される電流を制御する制御回路6と、ランプ部10の有機EL素子の両電極間電圧を検出する電圧電流検出部4とを備える。制御回路6は、電圧電流検出部4により検出される電圧値が設定された電圧値を超えれば、素子温度が低く輝度が下がったときであることから、有機EL素子への供給電流を増やして輝度を上げる。また、検出される電圧値が設定された電圧値を下回れば、素子温度が高く輝度が上がったときであることから、有機EL素子への供給電流を減らして輝度を下げる。
【解決手段】本点灯装置1は、有機EL素子を有したランプ部10に供給される電流を制御する制御回路6と、ランプ部10の有機EL素子の両電極間電圧を検出する電圧電流検出部4とを備える。制御回路6は、電圧電流検出部4により検出される電圧値が設定された電圧値を超えれば、素子温度が低く輝度が下がったときであることから、有機EL素子への供給電流を増やして輝度を上げる。また、検出される電圧値が設定された電圧値を下回れば、素子温度が高く輝度が上がったときであることから、有機EL素子への供給電流を減らして輝度を下げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層を電極で挟持して成る有機EL素子に電力を供給して該素子を点灯させる有機EL素子点灯装置、及びそれを備えた発光モジュール並びに照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の点灯装置は、有機EL素子の輝度を一定に維持するため、有機EL素子に供給される電流を一定にする定電流制御を行っている。例えば、上記のような制御構成を持つ照明器具として、有機EL素子を光源とする発光パネルを複数有し、各発光パネルが隣り合うパネルと電気的に接続されて発光パネル間で電力供給を行い、各発光パネル毎に有機EL素子への供給電流を制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−536708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、有機EL素子は、素子温度が上がると輝度が高くなり、素子温度が下がると輝度が低くなる特性を有している。そのため、上述のような複数の発光モジュールから成る器具構成においては、その使用態様や周囲温度等の影響によって素子温度が変動すると、各有機EL素子の輝度にばらつきが生じて、一様な光出力で点灯を行えないことがある。
【0005】
ここに、定電流制御が行われる状況下においては、有機EL素子の素子温度と素子両電極間電圧との間には相関関係があり、素子温度が下がるに従って素子両端電圧の値が高くなり、素子温度が下がるに従って素子両端電圧の値が低くなることが知られている。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、有機EL素子の両極間電圧の変動に応じて有機EL素子への供給電流を制御することで、有機EL素子の温度変動による輝度ばらつきを排除することができる有機EL素子点灯装置、及びそれを備えた発光モジュール並びに照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、発光層を電極で挟持して成る有機EL素子に電力を供給して該素子を点灯させる有機EL素子点灯装置において、前記有機EL素子に供給される電流を制御する電流制御手段と、前記有機EL素子の両電極間電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記電流制御手段は、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させるものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記有機EL素子の点灯時間を計測する計時手段を備え、前記電流制御手段は、前記計時手段による計測時間が予め設定された時間経過後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させるものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記電圧検出手段により検出される電圧の単位時間当たり変化量を算出する算出手段を備え、前記電流制御手段は、前記算出手段により算出される電圧変化量が予め設定された値以下になった後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記有機EL素子の累積点灯時間を記録する記録手段を備え、前記予め設定された電圧値を前記記録手段に記録される累積点灯時間に対応して増加させるものである。
【0011】
請求項5の発明は、有機EL素子と、この有機EL素子に給電する給電ラインと、この給電ラインに対して給電制御する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機EL素子点灯装置と、を備えた発光モジュールである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の発光モジュールを複数配置して成ること照明器具である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載の発明において、複数の給電ラインと、これら給電ラインの各々に接続された複数の発光モジュールと、を備え、各給電ライン毎に前記有機EL素子点灯装置により有機EL素子を点灯制御するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、有機EL素子の両極間電圧が設定された電圧値を超えれば、素子温度が低く輝度が下がったときであることから、有機EL素子への供給電流を増やして輝度を上げる。また、有機EL素子の両極間電圧が設定された電圧値を下回れば、素子温度が高く輝度が上がったときであることから、有機EL素子への供給電流を減らして輝度を下げる。これにより、有機EL素子の光出力が一定に制御され、有機EL素子の温度変動による輝度ばらつきを排除できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、有機EL素子が点灯してから設定された時間経過後に、有機EL素子の光出力が一定になるように電流制御を行うので、有機EL素子の点灯直後に素子両極間電圧が変動することに伴う素子電流の誤制御を排除でき、有機EL素子の輝度ばらつきを安定して抑制することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、有機EL素子の両端電圧の変化をモニタリングしてその変化量が設定された値以下となってから、有機EL素子の光出力が一定になるように電流制御を行うので、有機EL素子の点灯直後や素子電流の制御直後に素子両極間電圧が変動することに伴う素子電流の誤制御を排除でき、有機EL素子の輝度ばらつきを安定して抑制することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、有機EL素子の累積点灯時間に対応して、素子電流制御のための電圧閾値が大きくなるので、有機EL素子の累積点灯に伴う両端電圧の上昇を考慮した電流制御を行うことができ、経時的な性能変動による輝度ばらつきを抑制することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、給電ラインから有機EL素子に供給される電力を効果的に制御し、有機EL素子の輝度ばらつきを抑制する発光モジュールを得ることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、輝度ばらつきが生じることのない照明器具を得ることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、同一の給電ラインに接続された発光モジュールの有機EL素子を一括制御でき、各給電ライン毎に複数の発光モジュールを同じ光出力で点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子点灯装置の電気回路図。
【図2】(a)は上記点灯装置の制御回路におけるマイコンの2番端子の出力波形図、(b)は同制御回路における比較部のマイナス端子の入力波形図、(c)は同比較部のプラス端子の入力波形図、(d)は同比較部の出力波形図。
【図3】有機EL素子に流れる電流と輝度との関係図。
【図4】有機EL素子の温度と素子両極間電圧との関係図。
【図5】有機EL素子の温度と輝度との関係図。
【図6】(a)は素子電流の時間変化を示す図、(b)は素子両極間電圧の時間変化を示す図、(c)は輝度Lの時間変化を示す図、(d)は温度Tの時間変化を示す図。
【図7】光源部への供給電流を増加する場合の有機EL素子の電圧電流特性図。
【図8】光源部への供給電流を減少する場合の有機EL素子の電圧電流特性図。
【図9】上記点灯装置の動作のフローチャート。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子点灯装置の電気回路図。
【図11】上記点灯装置の動作のフローチャート。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る有機EL素子点灯装置の電気回路図。
【図13】設定電圧値と累積点灯時間との関係の一態様を示すグラフ。
【図14】設定電圧値と累積点灯時間との関係の他の態様を示すグラフ。
【図15】上記点灯装置が適用される発光モジュールの分解図。
【図16】上記発光モジュールの斜視図。
【図17】上記発光モジュールを用いた照明器具の斜視図。
【図18】上記発光モジュールを用いた照明器具の他例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子点灯装置について図1乃至図9を参照して説明する。図1は本実施形態に係る有機EL素子(以下、点灯装置という)1の電気的な構成を示す。本点灯装置1は、有機EL素子を有したランプ部10に電力を供給して該素子を点灯させるものであって、直流電源Eから電力供給されて制御用直流電源を生成する制御用電源回路2と、直流電源Eを電力源としてランプ部10へ点灯電力を供給する電力供給回路3とを備える。また、本点灯装置1は、ランプ部10へ供給される電圧及び電流を検出する電圧電流検出部(電圧検知手段)4と、ランプ部10を調光点灯させるためのPWM駆動回路5と、電圧電流検出部4による検出出力に基づいてランプ部10に供給される電力を制御する制御回路(電流制御手段)6とを備える。ここに、ランプ部10における有機EL素子は、有機化合物から成る発光層を電極で挟持する構成とされ、ランプ部10に設けられる該素子の数量は単数又は複数のいずれであってもよい。制御回路6は、ランプ部10への供給電流を制御するための指令信号を発するランプ電流指令回路61と、ランプ電流指令回路61からの指令信号に基づき電力供給回路3を制御するための駆動制御信号を送出する駆動信号発生回路62とを有している。
【0023】
直流電源Eは、例えば、商用交流電源を昇圧チョッパ回路(不図示)により整流平滑して得られる直流電圧Vdcを発生する電源である。直流電源Eによる直流電圧Vdcは、制御用電源回路2及び電力供給回路3に供給される。直流電圧Vdcは、ランプ部10の有機EL素子を点灯維持するのに必要なランプ両端電圧であって、ここでは、約24Vで一定に保たれている。ここに、ランプ部10を5V〜10V程度の駆動電圧が必要な有機EL素子を一つ用いて構成する場合、直流電圧Vdcは12V程度必要になり、ランプ部10を5V〜10V程度の駆動電圧が必要な有機EL素子を10個直列に接続して構成する場合、直流電圧Vdcは50V〜100V程度必要になる。なお、直流電源Eは電池で構成してもよい。
【0024】
制御用電源回路2は、直流電圧Vdcと接地間に直列に接続され直流電圧Vdcを分圧する抵抗R1、R2と、定電圧発生用のツェナーダイオードZD1とを有している。ツェナーダイオードZD1は、ツェナー電圧特性がVccであり、抵抗R1、R2の接続点P1と接地間に逆接続され、接続点P1から定電圧の電源電圧Vccが取り出される。制御用電源回路2は、直流電圧Vdcより低い電源電圧Vccを制御回路6等に供給する安定化電源回路である。
【0025】
電力供給回路3は、直流電源Eからの直流電圧Vdcを蓄積する電解コンデンサC1と、FET等からなるスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1を駆動する駆動回路31とを有する。また、電力供給回路3は、スイッチング素子Q1のオフ時に発生する回生電流を流すための回生用ダイオードD1と、スイッチング素子Q1の出力波形電圧を濾過するためのインダクタL1及びコンデンサC2とを有する。電力供給回路3は、駆動回路31によりスイッチング素子Q1を高周波でスイッチングすることにより、電解コンデンサC1に蓄積されている直流電圧Vdcをランプ部10の点灯に必要な電圧に変換する降圧チョッパ回路構成となっている。駆動回路31は、制御回路6の駆動信号発生回路62からの駆動制御信号に基づいてスイッチング素子Q1をスイッチング駆動する。スイッチング素子Q1の出力には、直列にインダクタL1が接続され、インダクタL1の出力側はコンデンサC2で接地され、このコンデンサC2の両端の電圧が点灯電圧VLとしてランプ部10に印加される。
【0026】
電圧電流検出部4は、点灯電圧VLが供給されるランプ部10の出力側と接地間に直列に接続される電流検出抵抗R3と、点灯電圧VLと接地間に直列に接続される点灯電圧検出用の抵抗R4、R5とを備える。電流検出抵抗R3の両端電圧は、ランプ部10の有機EL素子に流れるランプ電流に比例しており、ランプ電流の電流検出電圧として制御回路6の駆動信号発生回路62に伝達される。抵抗R4、R5の接続点P2における点灯電圧VLの分圧電圧は、制御回路6のランプ電流指令回路61に伝達され、この分圧電圧を基に点灯電圧VLが検知される。
【0027】
PWM駆動回路5は、ランプ部10と電流検出抵抗R3との間に設けられたFET等からなるスイッチング素子Q2と、ランプ電流指令回路61からの信号を受けてスイッチング素子Q2を駆動する駆動回路51とを有する。駆動回路51は、制御回路6の駆動信号発生回路62からの駆動制御信号に基づいてスイッチング素子Q2をスイッチング駆動して、ランプ部10に供給される直流電流を所望の波形にパルス変調する。
【0028】
制御回路6は、電流検出抵抗R3からの電流検出電圧をランプ電流指令回路61にフィードバックし、駆動信号発生回路62から駆動制御信号を送出してスイッチング素子Q1を制御することで、ランプ部10への供給電流を一定にする定電流制御を行う。ランプ電流指令回路61は、汎用マイコンから成るIC1で構成され、ランプ部10のピーク電流を指令するランプピーク電流指令値や、ランプ部10の明るさを調整するランプ電流デューティを決定している。IC1としては、例えば、マイクロチップ社製PIC12F675(A/D変換機能・フラッシュメモリ付8ビットマイコン)等を用いることができ、このIC1には、有機EL素子の点灯時間を計測する計時部(計時手段)7が備えられる。IC1は、計時部による計測時間が予め設定された時間経過後に、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLが予め設定された第1の電圧値を超えるとランプ部10への供給電流を増加させ、点灯電圧VLが予め設定された第2の電圧値を下回るとランプ部10への供給電流を減少させる制御を行う。第1の電圧値は、例えば、ランプ部10の定格電圧の+10%を取る値とされ、第2の電圧値は、例えば、ランプ部10の定格電圧の−10%を取る値とされる。
【0029】
また、IC1は、抵抗R4、R5の接続点P2の電圧を監視することにより、ランプ部10の点灯電圧VLを検出し、その電圧検出値に応じてランプ部10の点灯判別を行う。この点灯判別においては、負荷短絡などの負荷異常検出も行う。ここで、接続点P2に接続されるIC1の7番端子は、A/D変換入力に設定されており、抵抗R4、R5による分圧比から接続点P2の電圧を換算して点灯電圧VLを読み取る。また、IC1の5番端子は、駆動回路51と接続されており、IC1が5番端子の出力を任意の周波数でオン・オフして、駆動回路51によりスイッチング素子Q2のオンオフ時間の割合を変えることで、所望の実効値に制御されたパルス電流をランプ部10に供給する(PWM制御)。なお、このPWM制御は、駆動回路31と接続されたIC1の4番端子の出力を任意の周波数でオン・オフし、スイッチング素子Q1のオン時間の割合を変えることによっても行うことが可能である。また、IC1の2番、3番、4番、5番端子は2値出力に設定され、1番端子は電源電圧Vccが印加される電源端子、8番端子は接地されるグランド端子である。
【0030】
駆動信号発生回路62は、2つの入力端子における電圧差により誤差信号を出力する誤差アンプOP1と、誤差アンプOP1の出力電圧と三角波状信号とを比較して駆動回路31への駆動制御信号を生成する比較器OP2と、比較器OP2の出力とIC1の4番端子出力とのAND処理を行うAND回路IC2とを有している。誤差アンプOP1と比較器OP2は、それぞれオペアンプで構成され、これらの回路は、電源電圧Vccから電源供給される。なお、これらは、1パッケージに2つのオペアンプを内蔵したICなどで安価に構成できる。
【0031】
誤差アンプOP1は、そのマイナス入力端子には、電流検出抵抗R3からの電流検出電圧が抵抗R6と入力抵抗R10を介して印加され、抵抗R6と入力抵抗R10との接続点は、フィルタ用のコンデンサC3で接地される。また、誤差アンプOP1のプラス入力端子は、コンデンサC5で接地されると共に、IC1からの基準電圧Veが入力抵抗R12を介して入力される。また、誤差アンプOP1の出力端子とマイナス入力端子とは、利得調整用の抵抗R11で接続されている。誤差アンプOP1は、IC1からの基準電圧Veと電流検出抵抗R3からの電流検出電圧との差の誤差信号を増幅し、その出力は、比較器OP2の基準電圧Vrとして比較器OP2のプラス入力端子に接続される。
【0032】
比較器OP2は、そのマイナス入力端子に、ソースが接地されたスイッチング素子Q2(FET)のドレインが接続されると共に、ドレインは電源電圧Vccと接地間に直列に接続された抵抗R13とコンデンサC4との接続点に接続され、スイッチング素子Q2のゲート端子はIC1の2番端子に接続されている。
【0033】
スイッチング素子Q3は、ゲート端子にIC1からハイレベルの信号が印加されるとオンとなってドレイン、ソース間が短絡され、コンデンサC4も短絡されて、コンデンサC4の電圧がローレベルとなる。また、ゲート端子にローレベルの信号が印加されると、スイッチング素子Q2がオフとなり、コンデンサC4の電圧は、電源電圧VccからコンデンサC4と抵抗R13の時定数によって充電されることになる。従って、このスイッチング素子Q2のオン、オフによりコンデンサC4の両端電圧は、三角波状波形となり三角波状信号Vqが形成される。
【0034】
AND回路IC2は、ANDの論理素子からなり、2つの入力端子には、IC1の4番端子からの出力と比較器OP2の出力とがそれぞれ入力されて、AND回路IC2の出力は、スイッチング素子Q1をオン、オフする駆動制御信号として、駆動回路31に入力される。すなわち、駆動制御信号は、IC1の4番端子の出力信号と比較器OP2の出力信号によって決定されるため、ランプ部10の有機EL素子に直流電流を流す場合、IC1の4番端子の出力をハイレベルにすることによって駆動制御信号を制御する。
【0035】
ここで、駆動信号発生回路62におけるスイッチング素子Q1駆動のための駆動制御信号の生成について図2を参照して説明する。図2(a)はIC1の2番端子から出力されるハイ/ロー出力状態を取る一定周期幅のパルス信号Vpを示し、図2(b)は比較器OP2のマイナス端子に印加されるコンデンサC4の両端電圧の三角波状信号Vqを示す。図2(c)は比較器OP2のプラス端子に印加される基準電圧Vr(実線部分)と、比較例として上記コンデンサC4の三角波状信号Vq(点線部分)とを重畳して示し、図2(d)は比較器OP2からの出力信号Vsを示す。
【0036】
図2(a)に示すパルス信号Vpがスイッチング素子Q3に印加されてオン/オフされると、上述のようにコンデンサC4の両端の電圧は、図2(b)に示すような三角波状信号Vqとなり、比較器OP2において、図2(c)に示すように三角波状信号Vqと基準電圧Vrとが比較される。このとき、図2(d)に示すように、三角波状信号Vqが基準電圧Vrよりも低いときにハイレベルとなるパルス信号が、出力信号Vsとして比較器OP2から出力される。従って、基準電圧Vrを可変することで、出力信号Vsのパルス幅が変動し、ランプ部10への供給電流の大きさを調整することが可能となる。
【0037】
この出力信号Vsのパルス幅は、基準電圧Vrのレベルにより変化する。また、基準電圧VrはIC1の3番端子からの基準電圧Veによって変化することから、出力信号Vsは、基準電圧Veによってパルス幅が制御された後、AND回路IC2から出力され、駆動回路31に入力される駆動制御信号となる。IC1が3番端子よりの基準電圧Veを電流検出抵抗R3からの電流検出電圧に応じて可変する(定電流制御)ことから、駆動制御信号は、電流検出抵抗R3からの電流検出電圧によるフィードバックがなされることになる。
【0038】
また、IC1は、接続点P2における点灯電圧VLの分圧電圧が7番端子に入力されたとき、その電圧値が第1の電圧値を超えるとランプ部10への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された第2の電圧値を下回るとランプ部10への供給電流を減少させる。すなわち、IC1の3番端子からランプ電流の指令値として基準電圧Veが誤差アンプOP1に入力されて、比較器OP2の基準電圧Vrが変化し、比較器OP2から電圧電流検出部4の出力に連動してパルス幅が変化する出力信号Vsが出力され、これにより駆動制御信号が得られることになる。
【0039】
この駆動制御信号は、IC1の4番端子からの電圧が「ハイ」のときは、そのままAND回路IC2を通って、駆動回路31に入力される。駆動回路31は、駆動制御信号のパルスでスイッチング素子Q1を駆動して、ランプ部10から出力される電力を制御し、これによりランプ部10のランプ電流の大きさが調整される。このとき、IC1の5番端子からPWM信号が駆動回路51に出力されることで、ランプ部10への供給電流がパルス変調され、ランプ部10の調光制御を行うことが可能となる。
【0040】
ここで、ランプ部10を構成する有機EL素子の輝度特性及び温度特性について説明する。図3は有機EL素子に流れる電流IL[A]と素子の輝度L[cd/m2]との関係を示し、図4は有機EL素子の温度T[℃]と素子両極間電圧VL[V]との関係を示し、図5は有機EL素子の温度T[℃]と輝度L[cd/m2]との関係を示す。ここで、図4及び図5においては、電流L1の定電流制御における電流設定値IL1、IL2、IL3をパラメータとして示している(IL1>IL2>IL3)。
【0041】
図3に示すように、電流ILと輝度Lとは比例関係にあり、電流ILが大きくなるに従って輝度Lが高くなる。ここに、本点灯装置1の場合のように電流ILがPWM制御されたパルス電流のときでも、輝度Lとの間には比例関係があり、このパルス電流の実効値が大きくなるに従って輝度Lが高くなる。従って、電流ILを制御することで、有機EL素子の輝度Lを調整することが可能になる。また、図4に示すように、有機EL素子の温度Tが高くなるに従って、電圧VLは下がる傾向にある。また、図5に示すように、有機EL素子の温度Tが高くなるに従って、輝度Lは高くなる傾向にある。従って、電圧VLを測定することで電圧VLと相関関係にある温度Tを知り、さらに、温度Tと相関関係にある輝度Lを想定することが可能となる。以上のことから、検出される電圧値に応じてランプ部10への供給電流を増減することで、有機EL素子の輝度を所望の値に制御することが可能となる。
【0042】
次に、制御回路6におけるランプ部点灯制御の時間シフトと、この制御によるランプ部10の有機EL素子の輝度及び温度の変化について図6を参照して説明する。図6(a)は有機EL素子に流れる電流ILの時間変化を示し、図6(b)は有機EL素子の両極間電圧VLの時間変化を示し、図6(c)は有機EL素子の輝度Lの時間変化を示し、図6(d)は有機EL素子の温度Tの時間変化を示す。ここでは、輝度Lの時定数が電圧VL、温度Tの時定数より小さいものとする。
【0043】
電源がオンされると、電圧VLが瞬時に上がって、電流ILが所定の電流値I1で一定に保持され(定電流制御)、このとき、輝度Lは所定の輝度値L1まで上がる。電圧VLは、ランプ部の点灯後から徐々に下がり、所定時間t1が経過すると安定し、この間、温度Tは上がり続ける。この時間t1は、点灯装置1の回路態様やランプ部10の有機EL素子の性能等に依存するものである。所定時間t1が経過してから、温度Tが上がり続けると、これに伴って電圧VLが下がり、輝度Lが上がる。電圧VLが第1の電圧値V1を下回ると、電流ILは、制御回路6により減少制御されて電流値I2となり、その後、この電流値I2で一定に保持される。電圧VLは、電流ILが減少制御された直後に瞬時に下がり、その後徐々に上がって、電流減少時点から所定時間t2が経過すると安定する。この間、温度Tは下がり続ける。所定時間t2が経過してから、温度Tが下がり続けると、これに伴って電圧VLが上がり、このとき、輝度Lが下がる。電圧VLが第2の電圧値V2を超えると、電流ILは、制御回路6により増加制御されて電流値I1となり、その後、この電流値I1で一定に保持される。電圧VLは、電流ILが上昇制御された直後に瞬時に上がり、その後徐々に下がっていき、電流増加時点からしてから所定時間t2が経過すると安定する。
【0044】
図7は検出された電圧値が第2の電圧値を下回ってランプ部10への供給電流が下がる場合の有機EL素子の電圧電流特性例を示し、図8は検出された電圧値が第1の電圧値を超えてランプ部10への供給電流が上がる場合の有機EL素子の電圧電流特性例を示す。図7及び図8の有機EL素子の電圧電流特性は、有機EL素子の両極間電圧に対する素子供給電流の関係を、有機EL素子の温度をパラメータとして示すものである。通常、有機EL素子の電圧電流特性において、電流ILは、電圧VLが有機EL素子の発光閾電圧値以下では極めて小さく、発光閾電圧値以上になると急激に増加する。また、上述したように電流ILと輝度とはほぼ比例する。
【0045】
上記電圧電流特性により、図7に示すように、素子両極間電圧VLは、素子電流ILが電流値Isで一定のとき、温度が上がれば増加する(図中のA→B)。ここでは、温度の上昇によって有機EL素子特性曲線が曲線Xから曲線Zに変わり、素子両極間電圧VLが、第2の電圧値V2より小さい電圧Vbまで低下する。このとき、素子電流ILが電流値Isから電流I1に減少されると(図中のB→C)、温度が下降して素子両極間電圧VLが徐々に上がって(図中のC→D)、その後安定する。ここでは、温度の下降によって有機EL素子特性曲線が曲線Zから曲線Yに変わり、素子両極間電圧VLが、第2の電圧値V2より大きく且つ第1の電圧値より小さい電圧Vdまで上昇する。
【0046】
また、図8に示すように、素子両極間電圧VLは、素子電流ILが電流値Isで一定のとき、温度が下がれば増加する(図中のA→B)。ここでは、温度の下降によって有機EL素子特性曲線が曲線Zから曲線Xに変わり、素子両極間電圧VLが、第1の電圧値V1より大きい電圧Vbまで低下する。このとき、素子電流ILが電流Isから電流I2に増加されると(図中のB→C)、温度が上昇して素子両極間電圧VLが徐々に下がって(図中のC→D)、その後安定する。ここでは、温度の上昇によって有機EL素子特性曲線が曲線Xから曲線Yに変わり、素子両極間電圧VLが、第2の電圧値V2より大きく且つ第1の電圧値より小さい電圧Vdまで上昇する。
【0047】
図9を参照して上記のように構成された点灯装置1における制御回路6の制御動作について説明する。制御回路6は、電源が投入されると(S1)、IC1の内蔵メモリに予め記憶された任意の所定時間t1の設定リセットを含む初期化処理を行い(S2)、ランプ部10を点灯するためのランプ始動処理を行う(S3)。このランプ始動処理において、制御回路6は、ランプが点灯しているかどうかを判断する。ここでは、この点灯の判断は抵抗R4、R5の接続点P2の電圧を基に点灯電圧VLを検出し、その検出値に応じて行う。このとき、ランプ部10の照明負荷が短絡や開放になった場合の負荷異常検出も行い、図示していないが負荷異常検出がなされた場合は、本制御動作を終了する。制御回路6は、ランプが点灯していると判断したとき、計時部によりランプ部10の点灯直後からの時間tの計測を開始し(S4)、この時間tを計測しながら、ランプ部10への供給電流を一定にする定電流制御のみを行うランプ初期点灯処理を行う(S5)。
【0048】
続いて、制御回路6は、計測された時間tが所定時間t1より大きいかどうか判断し、時間tが任意の所定時間t1未満であれば(S6でNO)、S5に戻ってランプ初期点灯処理を行う。時間tが所定時間t1以上であれば(S6でYES)、制御回路6は、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLに基づくランプ電流の制御を行うランプ定常点灯処理を行う(S7)。所定時間t1は、点灯装置1の回路態様やランプ部10の有機EL素子の性能等に応じて設定され、例えば、数秒から数分である。
【0049】
このランプ定常点灯処理において、制御回路6は、検出される点灯電圧VLが第1の電圧値を超えるときランプ部10への供給電流を増加させ、検出される点灯電圧VLが第2の電圧値を下回るときランプ部10への供給電流を減少させる。ここでは、供給電流の電流値が、点灯電圧VLに応じて設定される電流増減値分だけ増加又は減少され、供給電流の増減制御がなされた後は、増減後の電流値に基づいて定電流制御が行なわれる。電流増減値は電流実効値であることから、供給電流の増減制御を行う際は、振幅値又はPWM値のいずれかを用いて行えばよく、また、振幅値とPWM値の双方を用いて行ってもよい。また、制御回路6は、この供給電流の増減を行ってから所定時間t2が経過するまでは、電流値を変える本処理を行わない。続いて、制御回路6は、ランプ定常点灯処理過程でランプ消灯信号が入っているかどうかの判断を行い、ランプ消灯信号が入っている場合(S8でYES)、ランプ消灯処理を行い(S9)、本制御動作を終了する。ランプ消灯信号が入っている場合(S8でNO)、制御回路6は、S7に戻ってランプ定常点灯処理を行う。
【0050】
このように本実施形態に係る有機EL素子点灯装置1によれば、有機EL素子の両極間電圧が設定された第1の電圧値を超えれば、素子温度が低く輝度が下がったときであることから、有機EL素子への供給電流を増やして輝度を上げる。また、有機EL素子の両極間電圧が設定された第2の電圧値を下回れば、素子温度が高く輝度が上がったときであることから、有機EL素子への供給電流を減らして輝度を下げる。これにより、有機EL素子の光出力が一定に制御され、有機EL素子の温度変動による輝度ばらつきを排除できる。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子点灯装置について図10及び図11を参照して説明する。図10は本実施形態に係る有機EL点灯装置1の電気的な構成を示す。本点灯装置1は、図1に示す第1の実施形態の構成から計時部を除き、それに代えて、制御回路6には、電圧電流検出部4により検出される電圧の単位時間当たり変化量を算出する機能が備えられる。制御回路6は、算出した電圧変化量が予め設定された値以下になった後に、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLが第1の電圧値を超えるとランプ部10への供給電流を増加させ、点灯電圧VLが第2の電圧値を下回るとランプ部10への供給電流を減少させる制御を行う。その他の構成については、上記実施形態と同様である。
【0052】
図11は本点灯装置1における制御回路6の制御動作のフローを示す。ここでは、上記実施形態と異なる部分のみ記載している。S3のランプ始動処理後、制御回路6は、電圧電流検出部4による点灯電圧VLの単位時間当たり変化量|ΔVL|を算出し(S4)、その後、ランプ部10への供給電流を一定にする定電流制御のみを行うランプ初期点灯処理を行う(S5)。
【0053】
続いて、制御回路6は、算出した変化量|ΔVL|が設定値VD1より小さいかどうか判断し、変化量|ΔVL|が設定値VD1を超えるのであれば(S6でNO)、S5に戻ってランプ初期点灯処理を行う。変化量|ΔVL|が設定値VD1以下であれば(S6でYES)、制御回路6は、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLに基づくランプ電流の制御を行うランプ定常点灯処理を行う(S7)。ここで、設定値VD1は、点灯装置1の回路態様やランプ部10の有機EL素子の性能等に応じて設定され、例えば、毎秒当たり数10mVから数100mVである。S7のランプ定常点灯処理において、制御回路6は、点灯電圧VLに基づく供給電流の増減制御を行った後に、この時点における変化量|ΔVL|を算出し、この変化量|ΔVL|が設定値VD2以下になるまで、供給電流の増減制御を再度行わないようにする。この設定値VD2についても、設定値V1と同様に、例えば、毎秒当たり数10mV〜数100mVとされる。
【0054】
本実施形態に係る有機EL素子点灯装置1についても、上記同様の効果を得ることができる。また、有機EL素子の両極間電圧の変化をモニタリングしてその変化量が設定された値以下となってから、有機EL素子の光出力が一定になるように電流制御を行うので、有機EL素子の点灯直後や素子電流の制御直後に素子両極間電圧が変動することに伴う素子電流の誤制御を排除でき、有機EL素子の輝度ばらつきを安定して抑制することができる。また、ランプ部10の消灯後すぐに電源オンしたような場合、素子温度がある程度上昇していることから、素子両極間電圧が安定するまでの時間が短くなるので、有機EL素子の電流制御を迅速に行える。
【0055】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る有機EL素子点灯装置について図12乃至図14を参照して説明する。図12は本実施形態に係る有機EL点灯装置1の電気的な構成を示す。本点灯装置1は、有機EL素子の累積点灯時間を記録する記録部8(記録手段)をIC1に備える。制御回路6は、記録部8に記録される累積点灯時間に対応して設定された第1の電圧値及び第2の電圧値を増加させる更新処理を行い、この更新した第1の電圧値及び第2の電圧値を用いて、検出される電圧値に基づく供給電流の増減制御を行う。その他の構成については、上記実施形態と同様である。
【0056】
図13は第1の電圧値及び第2の電圧値と累積点灯時間との関係の一態様を示す。本図に示す直線F1は、第1の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表すものであり、第1の電圧値が累積点灯時間に比例増加する直線となっている。本図に示す直線F2は、第2の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表すものであり、第2の電圧値が、直線F1と同様の傾きでもって累積点灯時間に比例増加する直線となっている。なお、第1の電圧値及び第2の電圧値を累積点灯時間の対数に比例させるようにしてもよい。図14は第1の電圧値及び第2の電圧値と累積点灯時間との関係の他の態様を示す。第1の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表す直線F3は、が累積点灯時間が任意の時間taまで、第1の電圧値が所定の電圧値V1を取り、累積点灯時間が時間taを越えると比例増加する直線となっている。第2の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表す直線F4は、累積点灯時間が任意の時間taまで、第1の電圧値が所定の電圧値V2を取り、累積点灯時間が時間taを越えると、直線F1と同様の傾きでもって累積点灯時間に比例増加する直線となっている。この任意の時間taは、例えば、有機EL素子の寿命時間(輝度が70%に減衰するまでの時間)を0.8〜1.0倍した値を取り、寿命時間が1万時間の場合、8000〜10000時間となる。
【0057】
このように本実施形態に係る有機EL素子点灯装置1によれば、有機EL素子の累積点灯時間に対応して、素子電流制御のための電圧閾値が大きくなるので、有機EL素子の累積点灯に伴う両端電圧の上昇を考慮した電流制御を行うことができ、経時的な性能変動による輝度ばらつきを抑制することができる。
【0058】
上記有機EL素子点灯装置が適用される発光モジュールの構成について図15及び図16を参照して説明する。図15及び図16に示す発光モジュール100は、有機EL素子から成る略方形のランプ部10と、ランプ部10に給電する給電ライン11と、給電ライン11に対して給電制御する前記各実施形態のいずれかの有機EL素子点灯装置1と、ランプ部10及び有機EL素子点灯装置1を収用するケース12とを備える。ケース12は、ランプ部10の底部を覆う下ケース12aと、ランプ部10を上部から覆って下ケース12aと装着される上ケース12bとで構成される。上ケース12bは、その上面にランプ部10からの光を出力する発光面13を有している。なお、この発光面13は、下ケース12aの下面に形成されていてもよい。このような構成の発光モジュール100によれば、給電ライン11からランプ部10の有機EL素子に供給される電力を効果的に制御し、有機EL素子の輝度ばらつきを抑制することが可能となる。
【0059】
次に、上記のような発光モジュールを用いた照明器具の構成について図17を参照して説明する。図17に示す照明器具101は、天井吊り下げ型の照明器具であって、上記発光モジュール100と同構成のモジュールから成る発光部14と、発光部14に電力を供給する電源コード15と、電源コード15を介して発光部14を天井に吊り下げ支持する基部16とを備える。発光部14のオン/オフは、リモコンを用いて操作可能とされ、基台16の表面にはリモコンから送信される赤外線信号を受信するための受光部17が設けられている。このような構成の照明器具101によれば、発光部14に備えられた有機EL素子14aに供給される電力を効果的に制御し、発光部14における輝度ばらつきを抑制することが可能となる。なお、上記照明器具101の変形例として、壁面設置型の照明器具が考えられる。
【0060】
発光モジュールを用いた照明器具の他の構成について図18を参照して説明する。図18に示す照明器具101は、複数の給電ライン18と、これら給電ライン18の各々に接続され上記発光モジュール100と同構成のモジュールから成る複数の発光部14と、各発光モジュール14内に配される有機EL素子点灯装置14bを制御する制御装置19とを備えている。制御装置19は、給電ライン18より各有機EL素子装置14bに制御信号を送出し、各給電ライン18毎に有機EL素子点灯装置14bによる有機EL素子14aの点灯制御を行わせる。このような構成の照明器具101によれば、同一の給電ライン18に接続された発光部14の有機EL素子14aを一括制御でき、各給電ライン18毎に複数の発光部14を同じ光出力で点灯させることができる。
【0061】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、有機EL素子の累積点灯時間に対応して、有機EL素子への供給電流を増減制御するための電流増減量を可変させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 有機EL素子点灯装置
4 電圧電流検出部(電圧検知手段)
5 PWM駆動回路(電流制御手段)
6 制御回路(電流制御手段)
7 計時部(計時手段)
8 記録部(記録手段)
10 ランプ部(有機EL素子)
11、18 給電ライン
100 発光モジュール
101 照明器具
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光層を電極で挟持して成る有機EL素子に電力を供給して該素子を点灯させる有機EL素子点灯装置、及びそれを備えた発光モジュール並びに照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種の点灯装置は、有機EL素子の輝度を一定に維持するため、有機EL素子に供給される電流を一定にする定電流制御を行っている。例えば、上記のような制御構成を持つ照明器具として、有機EL素子を光源とする発光パネルを複数有し、各発光パネルが隣り合うパネルと電気的に接続されて発光パネル間で電力供給を行い、各発光パネル毎に有機EL素子への供給電流を制御するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−536708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、有機EL素子は、素子温度が上がると輝度が高くなり、素子温度が下がると輝度が低くなる特性を有している。そのため、上述のような複数の発光モジュールから成る器具構成においては、その使用態様や周囲温度等の影響によって素子温度が変動すると、各有機EL素子の輝度にばらつきが生じて、一様な光出力で点灯を行えないことがある。
【0005】
ここに、定電流制御が行われる状況下においては、有機EL素子の素子温度と素子両電極間電圧との間には相関関係があり、素子温度が下がるに従って素子両端電圧の値が高くなり、素子温度が下がるに従って素子両端電圧の値が低くなることが知られている。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、有機EL素子の両極間電圧の変動に応じて有機EL素子への供給電流を制御することで、有機EL素子の温度変動による輝度ばらつきを排除することができる有機EL素子点灯装置、及びそれを備えた発光モジュール並びに照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、発光層を電極で挟持して成る有機EL素子に電力を供給して該素子を点灯させる有機EL素子点灯装置において、前記有機EL素子に供給される電流を制御する電流制御手段と、前記有機EL素子の両電極間電圧を検出する電圧検出手段とを備え、前記電流制御手段は、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させるものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記有機EL素子の点灯時間を計測する計時手段を備え、前記電流制御手段は、前記計時手段による計測時間が予め設定された時間経過後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させるものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記電圧検出手段により検出される電圧の単位時間当たり変化量を算出する算出手段を備え、前記電流制御手段は、前記算出手段により算出される電圧変化量が予め設定された値以下になった後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させるものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記有機EL素子の累積点灯時間を記録する記録手段を備え、前記予め設定された電圧値を前記記録手段に記録される累積点灯時間に対応して増加させるものである。
【0011】
請求項5の発明は、有機EL素子と、この有機EL素子に給電する給電ラインと、この給電ラインに対して給電制御する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機EL素子点灯装置と、を備えた発光モジュールである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5に記載の発光モジュールを複数配置して成ること照明器具である。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6に記載の発明において、複数の給電ラインと、これら給電ラインの各々に接続された複数の発光モジュールと、を備え、各給電ライン毎に前記有機EL素子点灯装置により有機EL素子を点灯制御するものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、有機EL素子の両極間電圧が設定された電圧値を超えれば、素子温度が低く輝度が下がったときであることから、有機EL素子への供給電流を増やして輝度を上げる。また、有機EL素子の両極間電圧が設定された電圧値を下回れば、素子温度が高く輝度が上がったときであることから、有機EL素子への供給電流を減らして輝度を下げる。これにより、有機EL素子の光出力が一定に制御され、有機EL素子の温度変動による輝度ばらつきを排除できる。
【0015】
請求項2の発明によれば、有機EL素子が点灯してから設定された時間経過後に、有機EL素子の光出力が一定になるように電流制御を行うので、有機EL素子の点灯直後に素子両極間電圧が変動することに伴う素子電流の誤制御を排除でき、有機EL素子の輝度ばらつきを安定して抑制することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、有機EL素子の両端電圧の変化をモニタリングしてその変化量が設定された値以下となってから、有機EL素子の光出力が一定になるように電流制御を行うので、有機EL素子の点灯直後や素子電流の制御直後に素子両極間電圧が変動することに伴う素子電流の誤制御を排除でき、有機EL素子の輝度ばらつきを安定して抑制することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、有機EL素子の累積点灯時間に対応して、素子電流制御のための電圧閾値が大きくなるので、有機EL素子の累積点灯に伴う両端電圧の上昇を考慮した電流制御を行うことができ、経時的な性能変動による輝度ばらつきを抑制することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、給電ラインから有機EL素子に供給される電力を効果的に制御し、有機EL素子の輝度ばらつきを抑制する発光モジュールを得ることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、輝度ばらつきが生じることのない照明器具を得ることができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、同一の給電ラインに接続された発光モジュールの有機EL素子を一括制御でき、各給電ライン毎に複数の発光モジュールを同じ光出力で点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子点灯装置の電気回路図。
【図2】(a)は上記点灯装置の制御回路におけるマイコンの2番端子の出力波形図、(b)は同制御回路における比較部のマイナス端子の入力波形図、(c)は同比較部のプラス端子の入力波形図、(d)は同比較部の出力波形図。
【図3】有機EL素子に流れる電流と輝度との関係図。
【図4】有機EL素子の温度と素子両極間電圧との関係図。
【図5】有機EL素子の温度と輝度との関係図。
【図6】(a)は素子電流の時間変化を示す図、(b)は素子両極間電圧の時間変化を示す図、(c)は輝度Lの時間変化を示す図、(d)は温度Tの時間変化を示す図。
【図7】光源部への供給電流を増加する場合の有機EL素子の電圧電流特性図。
【図8】光源部への供給電流を減少する場合の有機EL素子の電圧電流特性図。
【図9】上記点灯装置の動作のフローチャート。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子点灯装置の電気回路図。
【図11】上記点灯装置の動作のフローチャート。
【図12】本発明の第3の実施形態に係る有機EL素子点灯装置の電気回路図。
【図13】設定電圧値と累積点灯時間との関係の一態様を示すグラフ。
【図14】設定電圧値と累積点灯時間との関係の他の態様を示すグラフ。
【図15】上記点灯装置が適用される発光モジュールの分解図。
【図16】上記発光モジュールの斜視図。
【図17】上記発光モジュールを用いた照明器具の斜視図。
【図18】上記発光モジュールを用いた照明器具の他例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子点灯装置について図1乃至図9を参照して説明する。図1は本実施形態に係る有機EL素子(以下、点灯装置という)1の電気的な構成を示す。本点灯装置1は、有機EL素子を有したランプ部10に電力を供給して該素子を点灯させるものであって、直流電源Eから電力供給されて制御用直流電源を生成する制御用電源回路2と、直流電源Eを電力源としてランプ部10へ点灯電力を供給する電力供給回路3とを備える。また、本点灯装置1は、ランプ部10へ供給される電圧及び電流を検出する電圧電流検出部(電圧検知手段)4と、ランプ部10を調光点灯させるためのPWM駆動回路5と、電圧電流検出部4による検出出力に基づいてランプ部10に供給される電力を制御する制御回路(電流制御手段)6とを備える。ここに、ランプ部10における有機EL素子は、有機化合物から成る発光層を電極で挟持する構成とされ、ランプ部10に設けられる該素子の数量は単数又は複数のいずれであってもよい。制御回路6は、ランプ部10への供給電流を制御するための指令信号を発するランプ電流指令回路61と、ランプ電流指令回路61からの指令信号に基づき電力供給回路3を制御するための駆動制御信号を送出する駆動信号発生回路62とを有している。
【0023】
直流電源Eは、例えば、商用交流電源を昇圧チョッパ回路(不図示)により整流平滑して得られる直流電圧Vdcを発生する電源である。直流電源Eによる直流電圧Vdcは、制御用電源回路2及び電力供給回路3に供給される。直流電圧Vdcは、ランプ部10の有機EL素子を点灯維持するのに必要なランプ両端電圧であって、ここでは、約24Vで一定に保たれている。ここに、ランプ部10を5V〜10V程度の駆動電圧が必要な有機EL素子を一つ用いて構成する場合、直流電圧Vdcは12V程度必要になり、ランプ部10を5V〜10V程度の駆動電圧が必要な有機EL素子を10個直列に接続して構成する場合、直流電圧Vdcは50V〜100V程度必要になる。なお、直流電源Eは電池で構成してもよい。
【0024】
制御用電源回路2は、直流電圧Vdcと接地間に直列に接続され直流電圧Vdcを分圧する抵抗R1、R2と、定電圧発生用のツェナーダイオードZD1とを有している。ツェナーダイオードZD1は、ツェナー電圧特性がVccであり、抵抗R1、R2の接続点P1と接地間に逆接続され、接続点P1から定電圧の電源電圧Vccが取り出される。制御用電源回路2は、直流電圧Vdcより低い電源電圧Vccを制御回路6等に供給する安定化電源回路である。
【0025】
電力供給回路3は、直流電源Eからの直流電圧Vdcを蓄積する電解コンデンサC1と、FET等からなるスイッチング素子Q1と、スイッチング素子Q1を駆動する駆動回路31とを有する。また、電力供給回路3は、スイッチング素子Q1のオフ時に発生する回生電流を流すための回生用ダイオードD1と、スイッチング素子Q1の出力波形電圧を濾過するためのインダクタL1及びコンデンサC2とを有する。電力供給回路3は、駆動回路31によりスイッチング素子Q1を高周波でスイッチングすることにより、電解コンデンサC1に蓄積されている直流電圧Vdcをランプ部10の点灯に必要な電圧に変換する降圧チョッパ回路構成となっている。駆動回路31は、制御回路6の駆動信号発生回路62からの駆動制御信号に基づいてスイッチング素子Q1をスイッチング駆動する。スイッチング素子Q1の出力には、直列にインダクタL1が接続され、インダクタL1の出力側はコンデンサC2で接地され、このコンデンサC2の両端の電圧が点灯電圧VLとしてランプ部10に印加される。
【0026】
電圧電流検出部4は、点灯電圧VLが供給されるランプ部10の出力側と接地間に直列に接続される電流検出抵抗R3と、点灯電圧VLと接地間に直列に接続される点灯電圧検出用の抵抗R4、R5とを備える。電流検出抵抗R3の両端電圧は、ランプ部10の有機EL素子に流れるランプ電流に比例しており、ランプ電流の電流検出電圧として制御回路6の駆動信号発生回路62に伝達される。抵抗R4、R5の接続点P2における点灯電圧VLの分圧電圧は、制御回路6のランプ電流指令回路61に伝達され、この分圧電圧を基に点灯電圧VLが検知される。
【0027】
PWM駆動回路5は、ランプ部10と電流検出抵抗R3との間に設けられたFET等からなるスイッチング素子Q2と、ランプ電流指令回路61からの信号を受けてスイッチング素子Q2を駆動する駆動回路51とを有する。駆動回路51は、制御回路6の駆動信号発生回路62からの駆動制御信号に基づいてスイッチング素子Q2をスイッチング駆動して、ランプ部10に供給される直流電流を所望の波形にパルス変調する。
【0028】
制御回路6は、電流検出抵抗R3からの電流検出電圧をランプ電流指令回路61にフィードバックし、駆動信号発生回路62から駆動制御信号を送出してスイッチング素子Q1を制御することで、ランプ部10への供給電流を一定にする定電流制御を行う。ランプ電流指令回路61は、汎用マイコンから成るIC1で構成され、ランプ部10のピーク電流を指令するランプピーク電流指令値や、ランプ部10の明るさを調整するランプ電流デューティを決定している。IC1としては、例えば、マイクロチップ社製PIC12F675(A/D変換機能・フラッシュメモリ付8ビットマイコン)等を用いることができ、このIC1には、有機EL素子の点灯時間を計測する計時部(計時手段)7が備えられる。IC1は、計時部による計測時間が予め設定された時間経過後に、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLが予め設定された第1の電圧値を超えるとランプ部10への供給電流を増加させ、点灯電圧VLが予め設定された第2の電圧値を下回るとランプ部10への供給電流を減少させる制御を行う。第1の電圧値は、例えば、ランプ部10の定格電圧の+10%を取る値とされ、第2の電圧値は、例えば、ランプ部10の定格電圧の−10%を取る値とされる。
【0029】
また、IC1は、抵抗R4、R5の接続点P2の電圧を監視することにより、ランプ部10の点灯電圧VLを検出し、その電圧検出値に応じてランプ部10の点灯判別を行う。この点灯判別においては、負荷短絡などの負荷異常検出も行う。ここで、接続点P2に接続されるIC1の7番端子は、A/D変換入力に設定されており、抵抗R4、R5による分圧比から接続点P2の電圧を換算して点灯電圧VLを読み取る。また、IC1の5番端子は、駆動回路51と接続されており、IC1が5番端子の出力を任意の周波数でオン・オフして、駆動回路51によりスイッチング素子Q2のオンオフ時間の割合を変えることで、所望の実効値に制御されたパルス電流をランプ部10に供給する(PWM制御)。なお、このPWM制御は、駆動回路31と接続されたIC1の4番端子の出力を任意の周波数でオン・オフし、スイッチング素子Q1のオン時間の割合を変えることによっても行うことが可能である。また、IC1の2番、3番、4番、5番端子は2値出力に設定され、1番端子は電源電圧Vccが印加される電源端子、8番端子は接地されるグランド端子である。
【0030】
駆動信号発生回路62は、2つの入力端子における電圧差により誤差信号を出力する誤差アンプOP1と、誤差アンプOP1の出力電圧と三角波状信号とを比較して駆動回路31への駆動制御信号を生成する比較器OP2と、比較器OP2の出力とIC1の4番端子出力とのAND処理を行うAND回路IC2とを有している。誤差アンプOP1と比較器OP2は、それぞれオペアンプで構成され、これらの回路は、電源電圧Vccから電源供給される。なお、これらは、1パッケージに2つのオペアンプを内蔵したICなどで安価に構成できる。
【0031】
誤差アンプOP1は、そのマイナス入力端子には、電流検出抵抗R3からの電流検出電圧が抵抗R6と入力抵抗R10を介して印加され、抵抗R6と入力抵抗R10との接続点は、フィルタ用のコンデンサC3で接地される。また、誤差アンプOP1のプラス入力端子は、コンデンサC5で接地されると共に、IC1からの基準電圧Veが入力抵抗R12を介して入力される。また、誤差アンプOP1の出力端子とマイナス入力端子とは、利得調整用の抵抗R11で接続されている。誤差アンプOP1は、IC1からの基準電圧Veと電流検出抵抗R3からの電流検出電圧との差の誤差信号を増幅し、その出力は、比較器OP2の基準電圧Vrとして比較器OP2のプラス入力端子に接続される。
【0032】
比較器OP2は、そのマイナス入力端子に、ソースが接地されたスイッチング素子Q2(FET)のドレインが接続されると共に、ドレインは電源電圧Vccと接地間に直列に接続された抵抗R13とコンデンサC4との接続点に接続され、スイッチング素子Q2のゲート端子はIC1の2番端子に接続されている。
【0033】
スイッチング素子Q3は、ゲート端子にIC1からハイレベルの信号が印加されるとオンとなってドレイン、ソース間が短絡され、コンデンサC4も短絡されて、コンデンサC4の電圧がローレベルとなる。また、ゲート端子にローレベルの信号が印加されると、スイッチング素子Q2がオフとなり、コンデンサC4の電圧は、電源電圧VccからコンデンサC4と抵抗R13の時定数によって充電されることになる。従って、このスイッチング素子Q2のオン、オフによりコンデンサC4の両端電圧は、三角波状波形となり三角波状信号Vqが形成される。
【0034】
AND回路IC2は、ANDの論理素子からなり、2つの入力端子には、IC1の4番端子からの出力と比較器OP2の出力とがそれぞれ入力されて、AND回路IC2の出力は、スイッチング素子Q1をオン、オフする駆動制御信号として、駆動回路31に入力される。すなわち、駆動制御信号は、IC1の4番端子の出力信号と比較器OP2の出力信号によって決定されるため、ランプ部10の有機EL素子に直流電流を流す場合、IC1の4番端子の出力をハイレベルにすることによって駆動制御信号を制御する。
【0035】
ここで、駆動信号発生回路62におけるスイッチング素子Q1駆動のための駆動制御信号の生成について図2を参照して説明する。図2(a)はIC1の2番端子から出力されるハイ/ロー出力状態を取る一定周期幅のパルス信号Vpを示し、図2(b)は比較器OP2のマイナス端子に印加されるコンデンサC4の両端電圧の三角波状信号Vqを示す。図2(c)は比較器OP2のプラス端子に印加される基準電圧Vr(実線部分)と、比較例として上記コンデンサC4の三角波状信号Vq(点線部分)とを重畳して示し、図2(d)は比較器OP2からの出力信号Vsを示す。
【0036】
図2(a)に示すパルス信号Vpがスイッチング素子Q3に印加されてオン/オフされると、上述のようにコンデンサC4の両端の電圧は、図2(b)に示すような三角波状信号Vqとなり、比較器OP2において、図2(c)に示すように三角波状信号Vqと基準電圧Vrとが比較される。このとき、図2(d)に示すように、三角波状信号Vqが基準電圧Vrよりも低いときにハイレベルとなるパルス信号が、出力信号Vsとして比較器OP2から出力される。従って、基準電圧Vrを可変することで、出力信号Vsのパルス幅が変動し、ランプ部10への供給電流の大きさを調整することが可能となる。
【0037】
この出力信号Vsのパルス幅は、基準電圧Vrのレベルにより変化する。また、基準電圧VrはIC1の3番端子からの基準電圧Veによって変化することから、出力信号Vsは、基準電圧Veによってパルス幅が制御された後、AND回路IC2から出力され、駆動回路31に入力される駆動制御信号となる。IC1が3番端子よりの基準電圧Veを電流検出抵抗R3からの電流検出電圧に応じて可変する(定電流制御)ことから、駆動制御信号は、電流検出抵抗R3からの電流検出電圧によるフィードバックがなされることになる。
【0038】
また、IC1は、接続点P2における点灯電圧VLの分圧電圧が7番端子に入力されたとき、その電圧値が第1の電圧値を超えるとランプ部10への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された第2の電圧値を下回るとランプ部10への供給電流を減少させる。すなわち、IC1の3番端子からランプ電流の指令値として基準電圧Veが誤差アンプOP1に入力されて、比較器OP2の基準電圧Vrが変化し、比較器OP2から電圧電流検出部4の出力に連動してパルス幅が変化する出力信号Vsが出力され、これにより駆動制御信号が得られることになる。
【0039】
この駆動制御信号は、IC1の4番端子からの電圧が「ハイ」のときは、そのままAND回路IC2を通って、駆動回路31に入力される。駆動回路31は、駆動制御信号のパルスでスイッチング素子Q1を駆動して、ランプ部10から出力される電力を制御し、これによりランプ部10のランプ電流の大きさが調整される。このとき、IC1の5番端子からPWM信号が駆動回路51に出力されることで、ランプ部10への供給電流がパルス変調され、ランプ部10の調光制御を行うことが可能となる。
【0040】
ここで、ランプ部10を構成する有機EL素子の輝度特性及び温度特性について説明する。図3は有機EL素子に流れる電流IL[A]と素子の輝度L[cd/m2]との関係を示し、図4は有機EL素子の温度T[℃]と素子両極間電圧VL[V]との関係を示し、図5は有機EL素子の温度T[℃]と輝度L[cd/m2]との関係を示す。ここで、図4及び図5においては、電流L1の定電流制御における電流設定値IL1、IL2、IL3をパラメータとして示している(IL1>IL2>IL3)。
【0041】
図3に示すように、電流ILと輝度Lとは比例関係にあり、電流ILが大きくなるに従って輝度Lが高くなる。ここに、本点灯装置1の場合のように電流ILがPWM制御されたパルス電流のときでも、輝度Lとの間には比例関係があり、このパルス電流の実効値が大きくなるに従って輝度Lが高くなる。従って、電流ILを制御することで、有機EL素子の輝度Lを調整することが可能になる。また、図4に示すように、有機EL素子の温度Tが高くなるに従って、電圧VLは下がる傾向にある。また、図5に示すように、有機EL素子の温度Tが高くなるに従って、輝度Lは高くなる傾向にある。従って、電圧VLを測定することで電圧VLと相関関係にある温度Tを知り、さらに、温度Tと相関関係にある輝度Lを想定することが可能となる。以上のことから、検出される電圧値に応じてランプ部10への供給電流を増減することで、有機EL素子の輝度を所望の値に制御することが可能となる。
【0042】
次に、制御回路6におけるランプ部点灯制御の時間シフトと、この制御によるランプ部10の有機EL素子の輝度及び温度の変化について図6を参照して説明する。図6(a)は有機EL素子に流れる電流ILの時間変化を示し、図6(b)は有機EL素子の両極間電圧VLの時間変化を示し、図6(c)は有機EL素子の輝度Lの時間変化を示し、図6(d)は有機EL素子の温度Tの時間変化を示す。ここでは、輝度Lの時定数が電圧VL、温度Tの時定数より小さいものとする。
【0043】
電源がオンされると、電圧VLが瞬時に上がって、電流ILが所定の電流値I1で一定に保持され(定電流制御)、このとき、輝度Lは所定の輝度値L1まで上がる。電圧VLは、ランプ部の点灯後から徐々に下がり、所定時間t1が経過すると安定し、この間、温度Tは上がり続ける。この時間t1は、点灯装置1の回路態様やランプ部10の有機EL素子の性能等に依存するものである。所定時間t1が経過してから、温度Tが上がり続けると、これに伴って電圧VLが下がり、輝度Lが上がる。電圧VLが第1の電圧値V1を下回ると、電流ILは、制御回路6により減少制御されて電流値I2となり、その後、この電流値I2で一定に保持される。電圧VLは、電流ILが減少制御された直後に瞬時に下がり、その後徐々に上がって、電流減少時点から所定時間t2が経過すると安定する。この間、温度Tは下がり続ける。所定時間t2が経過してから、温度Tが下がり続けると、これに伴って電圧VLが上がり、このとき、輝度Lが下がる。電圧VLが第2の電圧値V2を超えると、電流ILは、制御回路6により増加制御されて電流値I1となり、その後、この電流値I1で一定に保持される。電圧VLは、電流ILが上昇制御された直後に瞬時に上がり、その後徐々に下がっていき、電流増加時点からしてから所定時間t2が経過すると安定する。
【0044】
図7は検出された電圧値が第2の電圧値を下回ってランプ部10への供給電流が下がる場合の有機EL素子の電圧電流特性例を示し、図8は検出された電圧値が第1の電圧値を超えてランプ部10への供給電流が上がる場合の有機EL素子の電圧電流特性例を示す。図7及び図8の有機EL素子の電圧電流特性は、有機EL素子の両極間電圧に対する素子供給電流の関係を、有機EL素子の温度をパラメータとして示すものである。通常、有機EL素子の電圧電流特性において、電流ILは、電圧VLが有機EL素子の発光閾電圧値以下では極めて小さく、発光閾電圧値以上になると急激に増加する。また、上述したように電流ILと輝度とはほぼ比例する。
【0045】
上記電圧電流特性により、図7に示すように、素子両極間電圧VLは、素子電流ILが電流値Isで一定のとき、温度が上がれば増加する(図中のA→B)。ここでは、温度の上昇によって有機EL素子特性曲線が曲線Xから曲線Zに変わり、素子両極間電圧VLが、第2の電圧値V2より小さい電圧Vbまで低下する。このとき、素子電流ILが電流値Isから電流I1に減少されると(図中のB→C)、温度が下降して素子両極間電圧VLが徐々に上がって(図中のC→D)、その後安定する。ここでは、温度の下降によって有機EL素子特性曲線が曲線Zから曲線Yに変わり、素子両極間電圧VLが、第2の電圧値V2より大きく且つ第1の電圧値より小さい電圧Vdまで上昇する。
【0046】
また、図8に示すように、素子両極間電圧VLは、素子電流ILが電流値Isで一定のとき、温度が下がれば増加する(図中のA→B)。ここでは、温度の下降によって有機EL素子特性曲線が曲線Zから曲線Xに変わり、素子両極間電圧VLが、第1の電圧値V1より大きい電圧Vbまで低下する。このとき、素子電流ILが電流Isから電流I2に増加されると(図中のB→C)、温度が上昇して素子両極間電圧VLが徐々に下がって(図中のC→D)、その後安定する。ここでは、温度の上昇によって有機EL素子特性曲線が曲線Xから曲線Yに変わり、素子両極間電圧VLが、第2の電圧値V2より大きく且つ第1の電圧値より小さい電圧Vdまで上昇する。
【0047】
図9を参照して上記のように構成された点灯装置1における制御回路6の制御動作について説明する。制御回路6は、電源が投入されると(S1)、IC1の内蔵メモリに予め記憶された任意の所定時間t1の設定リセットを含む初期化処理を行い(S2)、ランプ部10を点灯するためのランプ始動処理を行う(S3)。このランプ始動処理において、制御回路6は、ランプが点灯しているかどうかを判断する。ここでは、この点灯の判断は抵抗R4、R5の接続点P2の電圧を基に点灯電圧VLを検出し、その検出値に応じて行う。このとき、ランプ部10の照明負荷が短絡や開放になった場合の負荷異常検出も行い、図示していないが負荷異常検出がなされた場合は、本制御動作を終了する。制御回路6は、ランプが点灯していると判断したとき、計時部によりランプ部10の点灯直後からの時間tの計測を開始し(S4)、この時間tを計測しながら、ランプ部10への供給電流を一定にする定電流制御のみを行うランプ初期点灯処理を行う(S5)。
【0048】
続いて、制御回路6は、計測された時間tが所定時間t1より大きいかどうか判断し、時間tが任意の所定時間t1未満であれば(S6でNO)、S5に戻ってランプ初期点灯処理を行う。時間tが所定時間t1以上であれば(S6でYES)、制御回路6は、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLに基づくランプ電流の制御を行うランプ定常点灯処理を行う(S7)。所定時間t1は、点灯装置1の回路態様やランプ部10の有機EL素子の性能等に応じて設定され、例えば、数秒から数分である。
【0049】
このランプ定常点灯処理において、制御回路6は、検出される点灯電圧VLが第1の電圧値を超えるときランプ部10への供給電流を増加させ、検出される点灯電圧VLが第2の電圧値を下回るときランプ部10への供給電流を減少させる。ここでは、供給電流の電流値が、点灯電圧VLに応じて設定される電流増減値分だけ増加又は減少され、供給電流の増減制御がなされた後は、増減後の電流値に基づいて定電流制御が行なわれる。電流増減値は電流実効値であることから、供給電流の増減制御を行う際は、振幅値又はPWM値のいずれかを用いて行えばよく、また、振幅値とPWM値の双方を用いて行ってもよい。また、制御回路6は、この供給電流の増減を行ってから所定時間t2が経過するまでは、電流値を変える本処理を行わない。続いて、制御回路6は、ランプ定常点灯処理過程でランプ消灯信号が入っているかどうかの判断を行い、ランプ消灯信号が入っている場合(S8でYES)、ランプ消灯処理を行い(S9)、本制御動作を終了する。ランプ消灯信号が入っている場合(S8でNO)、制御回路6は、S7に戻ってランプ定常点灯処理を行う。
【0050】
このように本実施形態に係る有機EL素子点灯装置1によれば、有機EL素子の両極間電圧が設定された第1の電圧値を超えれば、素子温度が低く輝度が下がったときであることから、有機EL素子への供給電流を増やして輝度を上げる。また、有機EL素子の両極間電圧が設定された第2の電圧値を下回れば、素子温度が高く輝度が上がったときであることから、有機EL素子への供給電流を減らして輝度を下げる。これにより、有機EL素子の光出力が一定に制御され、有機EL素子の温度変動による輝度ばらつきを排除できる。
【0051】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る有機EL素子点灯装置について図10及び図11を参照して説明する。図10は本実施形態に係る有機EL点灯装置1の電気的な構成を示す。本点灯装置1は、図1に示す第1の実施形態の構成から計時部を除き、それに代えて、制御回路6には、電圧電流検出部4により検出される電圧の単位時間当たり変化量を算出する機能が備えられる。制御回路6は、算出した電圧変化量が予め設定された値以下になった後に、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLが第1の電圧値を超えるとランプ部10への供給電流を増加させ、点灯電圧VLが第2の電圧値を下回るとランプ部10への供給電流を減少させる制御を行う。その他の構成については、上記実施形態と同様である。
【0052】
図11は本点灯装置1における制御回路6の制御動作のフローを示す。ここでは、上記実施形態と異なる部分のみ記載している。S3のランプ始動処理後、制御回路6は、電圧電流検出部4による点灯電圧VLの単位時間当たり変化量|ΔVL|を算出し(S4)、その後、ランプ部10への供給電流を一定にする定電流制御のみを行うランプ初期点灯処理を行う(S5)。
【0053】
続いて、制御回路6は、算出した変化量|ΔVL|が設定値VD1より小さいかどうか判断し、変化量|ΔVL|が設定値VD1を超えるのであれば(S6でNO)、S5に戻ってランプ初期点灯処理を行う。変化量|ΔVL|が設定値VD1以下であれば(S6でYES)、制御回路6は、電圧電流検出部4により検出される点灯電圧VLに基づくランプ電流の制御を行うランプ定常点灯処理を行う(S7)。ここで、設定値VD1は、点灯装置1の回路態様やランプ部10の有機EL素子の性能等に応じて設定され、例えば、毎秒当たり数10mVから数100mVである。S7のランプ定常点灯処理において、制御回路6は、点灯電圧VLに基づく供給電流の増減制御を行った後に、この時点における変化量|ΔVL|を算出し、この変化量|ΔVL|が設定値VD2以下になるまで、供給電流の増減制御を再度行わないようにする。この設定値VD2についても、設定値V1と同様に、例えば、毎秒当たり数10mV〜数100mVとされる。
【0054】
本実施形態に係る有機EL素子点灯装置1についても、上記同様の効果を得ることができる。また、有機EL素子の両極間電圧の変化をモニタリングしてその変化量が設定された値以下となってから、有機EL素子の光出力が一定になるように電流制御を行うので、有機EL素子の点灯直後や素子電流の制御直後に素子両極間電圧が変動することに伴う素子電流の誤制御を排除でき、有機EL素子の輝度ばらつきを安定して抑制することができる。また、ランプ部10の消灯後すぐに電源オンしたような場合、素子温度がある程度上昇していることから、素子両極間電圧が安定するまでの時間が短くなるので、有機EL素子の電流制御を迅速に行える。
【0055】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る有機EL素子点灯装置について図12乃至図14を参照して説明する。図12は本実施形態に係る有機EL点灯装置1の電気的な構成を示す。本点灯装置1は、有機EL素子の累積点灯時間を記録する記録部8(記録手段)をIC1に備える。制御回路6は、記録部8に記録される累積点灯時間に対応して設定された第1の電圧値及び第2の電圧値を増加させる更新処理を行い、この更新した第1の電圧値及び第2の電圧値を用いて、検出される電圧値に基づく供給電流の増減制御を行う。その他の構成については、上記実施形態と同様である。
【0056】
図13は第1の電圧値及び第2の電圧値と累積点灯時間との関係の一態様を示す。本図に示す直線F1は、第1の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表すものであり、第1の電圧値が累積点灯時間に比例増加する直線となっている。本図に示す直線F2は、第2の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表すものであり、第2の電圧値が、直線F1と同様の傾きでもって累積点灯時間に比例増加する直線となっている。なお、第1の電圧値及び第2の電圧値を累積点灯時間の対数に比例させるようにしてもよい。図14は第1の電圧値及び第2の電圧値と累積点灯時間との関係の他の態様を示す。第1の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表す直線F3は、が累積点灯時間が任意の時間taまで、第1の電圧値が所定の電圧値V1を取り、累積点灯時間が時間taを越えると比例増加する直線となっている。第2の電圧値の累積点灯時間に対する変化を表す直線F4は、累積点灯時間が任意の時間taまで、第1の電圧値が所定の電圧値V2を取り、累積点灯時間が時間taを越えると、直線F1と同様の傾きでもって累積点灯時間に比例増加する直線となっている。この任意の時間taは、例えば、有機EL素子の寿命時間(輝度が70%に減衰するまでの時間)を0.8〜1.0倍した値を取り、寿命時間が1万時間の場合、8000〜10000時間となる。
【0057】
このように本実施形態に係る有機EL素子点灯装置1によれば、有機EL素子の累積点灯時間に対応して、素子電流制御のための電圧閾値が大きくなるので、有機EL素子の累積点灯に伴う両端電圧の上昇を考慮した電流制御を行うことができ、経時的な性能変動による輝度ばらつきを抑制することができる。
【0058】
上記有機EL素子点灯装置が適用される発光モジュールの構成について図15及び図16を参照して説明する。図15及び図16に示す発光モジュール100は、有機EL素子から成る略方形のランプ部10と、ランプ部10に給電する給電ライン11と、給電ライン11に対して給電制御する前記各実施形態のいずれかの有機EL素子点灯装置1と、ランプ部10及び有機EL素子点灯装置1を収用するケース12とを備える。ケース12は、ランプ部10の底部を覆う下ケース12aと、ランプ部10を上部から覆って下ケース12aと装着される上ケース12bとで構成される。上ケース12bは、その上面にランプ部10からの光を出力する発光面13を有している。なお、この発光面13は、下ケース12aの下面に形成されていてもよい。このような構成の発光モジュール100によれば、給電ライン11からランプ部10の有機EL素子に供給される電力を効果的に制御し、有機EL素子の輝度ばらつきを抑制することが可能となる。
【0059】
次に、上記のような発光モジュールを用いた照明器具の構成について図17を参照して説明する。図17に示す照明器具101は、天井吊り下げ型の照明器具であって、上記発光モジュール100と同構成のモジュールから成る発光部14と、発光部14に電力を供給する電源コード15と、電源コード15を介して発光部14を天井に吊り下げ支持する基部16とを備える。発光部14のオン/オフは、リモコンを用いて操作可能とされ、基台16の表面にはリモコンから送信される赤外線信号を受信するための受光部17が設けられている。このような構成の照明器具101によれば、発光部14に備えられた有機EL素子14aに供給される電力を効果的に制御し、発光部14における輝度ばらつきを抑制することが可能となる。なお、上記照明器具101の変形例として、壁面設置型の照明器具が考えられる。
【0060】
発光モジュールを用いた照明器具の他の構成について図18を参照して説明する。図18に示す照明器具101は、複数の給電ライン18と、これら給電ライン18の各々に接続され上記発光モジュール100と同構成のモジュールから成る複数の発光部14と、各発光モジュール14内に配される有機EL素子点灯装置14bを制御する制御装置19とを備えている。制御装置19は、給電ライン18より各有機EL素子装置14bに制御信号を送出し、各給電ライン18毎に有機EL素子点灯装置14bによる有機EL素子14aの点灯制御を行わせる。このような構成の照明器具101によれば、同一の給電ライン18に接続された発光部14の有機EL素子14aを一括制御でき、各給電ライン18毎に複数の発光部14を同じ光出力で点灯させることができる。
【0061】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、有機EL素子の累積点灯時間に対応して、有機EL素子への供給電流を増減制御するための電流増減量を可変させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 有機EL素子点灯装置
4 電圧電流検出部(電圧検知手段)
5 PWM駆動回路(電流制御手段)
6 制御回路(電流制御手段)
7 計時部(計時手段)
8 記録部(記録手段)
10 ランプ部(有機EL素子)
11、18 給電ライン
100 発光モジュール
101 照明器具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を電極で挟持して成る有機EL素子に電力を供給して該素子を点灯させる有機EL素子点灯装置において、
前記有機EL素子に供給される電流を制御する電流制御手段と、
前記有機EL素子の両電極間電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記電流制御手段は、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させることを特徴とする有機EL素子点灯装置。
【請求項2】
前記有機EL素子の点灯時間を計測する計時手段を備え、
前記電流制御手段は、前記計時手段による計測時間が予め設定された時間経過後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項3】
前記電圧検出手段により検出される電圧の単位時間当たり変化量を算出する算出手段を備え、
前記電流制御手段は、前記算出手段により算出される電圧変化量が予め設定された値以下になった後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項4】
前記有機EL素子の累積点灯時間を記録する記録手段を備え、
前記予め設定された電圧値を前記記録手段に記録される累積点灯時間に対応して増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項5】
有機EL素子と、この有機EL素子に給電する給電ラインと、この給電ラインに対して給電制御する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機EL素子点灯装置と、を備えたことを特徴とする発光モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の発光モジュールを複数配置して成ることを特徴とする照明器具。
【請求項7】
複数の給電ラインと、これら給電ラインの各々に接続された複数の発光モジュールと、を備え、各給電ライン毎に前記有機EL素子点灯装置により有機EL素子を点灯制御することを特徴とする請求項6に記載の照明器具。
【請求項1】
発光層を電極で挟持して成る有機EL素子に電力を供給して該素子を点灯させる有機EL素子点灯装置において、
前記有機EL素子に供給される電流を制御する電流制御手段と、
前記有機EL素子の両電極間電圧を検出する電圧検出手段とを備え、
前記電流制御手段は、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させることを特徴とする有機EL素子点灯装置。
【請求項2】
前記有機EL素子の点灯時間を計測する計時手段を備え、
前記電流制御手段は、前記計時手段による計測時間が予め設定された時間経過後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項3】
前記電圧検出手段により検出される電圧の単位時間当たり変化量を算出する算出手段を備え、
前記電流制御手段は、前記算出手段により算出される電圧変化量が予め設定された値以下になった後に、前記電圧検出手段により検出される電圧値が予め設定された電圧値を超えると前記有機EL素子への供給電流を増加させ、該電圧値が予め設定された電圧値を下回ると前記有機EL素子への供給電流を減少させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項4】
前記有機EL素子の累積点灯時間を記録する記録手段を備え、
前記予め設定された電圧値を前記記録手段に記録される累積点灯時間に対応して増加させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項5】
有機EL素子と、この有機EL素子に給電する給電ラインと、この給電ラインに対して給電制御する請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の有機EL素子点灯装置と、を備えたことを特徴とする発光モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の発光モジュールを複数配置して成ることを特徴とする照明器具。
【請求項7】
複数の給電ラインと、これら給電ラインの各々に接続された複数の発光モジュールと、を備え、各給電ライン毎に前記有機EL素子点灯装置により有機EL素子を点灯制御することを特徴とする請求項6に記載の照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−49015(P2011−49015A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196098(P2009−196098)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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