説明

有機EL表示装置、有機EL表示装置の製造方法および電子機器

【課題】成膜プロセスにおけるディストーションに起因して生じる画質劣化を抑制することが可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置は、駆動基板上に複数の画素を含む発光領域を備え、複数の画素はそれぞれ、駆動基板側から順に、画素毎に設けられた第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、機能層は、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を含む。駆動基板上には、印刷パターン層と駆動基板との間に設けられたいずれの層よりも突出した突部が設けられている。例えば有機電界発光層等の機能層のうちの少なくとも1層(印刷パターン層)を、画素毎に塗り分けて形成する際、発光領域内でのディストーションの発生が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機エレクトロルミネセンス(EL;Electro Luminescence)現象を利用して画像表示を行う有機EL表示装置、およびそのような有機EL表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信産業の発達が加速するにつれて、高度な性能を有する表示素子が要求されている。その中で、次世代表示素子として注目されている有機EL素子は、自発光型の表示素子として視野角が広くてコントラストが優秀なだけでなく応答時間が速いという長所がある。
【0003】
有機EL素子の発光層等の有機層に用いられる材料は、低分子材料と高分子材料とに大別される。この有機EL素子を画素として含む有機EL表示装置を作製する際には、その有機層の成膜手法として、低分子材料の場合には、真空蒸着法等の乾式法が用いられている。一方、高分子材料の場合には、スピンコーティング、インクジェット、ノズルジェット等の吐出系印刷法、あるいはフレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷(反転印刷)等の有版印刷法がそれぞれ用いられている。
【0004】
有版印刷法の中でも、オフセット印刷法を用いたものは、版のパターンをブランケットと呼ばれる中間転写体に一旦転写した後、このブランケットを被印刷基板へ接触させることで、印刷を行うものである。このようなオフセット印刷法としては、ロール状のブランケットを用いたもの(特許文献1参照)や、平板状のブランケットを用いたものが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−327067号公報
【特許文献2】特開2010−158799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特に平板状のブランケットと被印刷基板とを接触させる際には、ブランケットの撓みや凹凸等に起因して、ブランケットに形成された印刷パターンを、被印刷基板上の所望の領域に精度良く転写することが難しい。このため、例えばR(赤),G(緑),B(青)の各色の発光層の塗り分けを要する有機EL表示装置の製造プロセスでは、そのような発光層を、平板状のブランケットを用いて転写させた場合、発光層パターンの位置ずれにより色むらや混色等が生じ易く、表示画質が劣化してしまう。
【0007】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、成膜プロセスにおけるディストーションに起因して生じる画質劣化を抑制することが可能な有機EL表示装置とその製造方法およびそのような有機EL表示装置を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の有機EL表示装置は、駆動基板上に複数の画素を含む発光領域を備え、複数の画素はそれぞれ、駆動基板側から順に、画素毎に設けられた第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、機能層は、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を含み、駆動基板上に、印刷パターン層と駆動基板との間に設けられたいずれの層よりも突出した突部が設けられているものである。
【0009】
本開示の有機EL表示装置の製造方法は、駆動基板上の発光領域に、複数の第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とをこの順に形成することにより、複数の画素を形成する工程と、駆動基板上に突部を形成する工程とを含む。機能層の一部として、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を形成し、突部を形成する工程では、印刷パターン層を形成するよりも前に、突部を、駆動基板上に形成されたいずれの層よりも突出するように形成する。
【0010】
本開示の電子機器は、上記本開示の有機EL表示装置を備えたものである。
【0011】
本開示の有機EL表示装置および有機EL表示装置の製造方法では、駆動基板上に、所定の突部が設けられることにより、例えば有機電界発光層等の機能層のうちの少なくとも1層(印刷パターン層)を、画素毎に塗り分けて形成する際、発光領域内でのディストーションの発生が抑制される。
【発明の効果】
【0012】
本開示の有機EL表示装置および有機EL表示装置の製造方法によれば、駆動基板上に、所定の突部が設けられているので、例えば発光層などの機能層を、画素毎に塗り分けて形成する際、発光領域内でのディストーションの発生を抑制することができる。よって、成膜プロセスにおけるディストーションに起因して生じる画質劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図2】図1に示した有機EL表示装置の画素駆動回路の一例を表す模式図である。
【図3】図2に示した画素回路の一例を表す回路図である。
【図4】図1に示した突条部付近を拡大した図である。
【図5】図1に示した突条部の配置例を表す模式図である。
【図6】図1に示した有機EL表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図6に続く工程を表す断面図である。
【図8】図7に続く工程を表す断面図である。
【図9】ブランケット上に印刷パターン層を形成(転写)する工程を表す断面図である。
【図10】図9に続く工程を表す断面図である。
【図11】図8に続く工程を表す断面図である。
【図12】図11に続く工程を表す断面図である。
【図13】図12に続く工程を表す断面図である。
【図14】図13に続く工程を表す断面図である。
【図15】ブランケットの変形等を説明するための模式図である。
【図16】実施例に係る有機EL表示装置の発光写真である。
【図17】比較例に係る有機EL表示装置の発光写真である。
【図18】変形例1に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図19】本開示の第2の実施の形態に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図20】図19に示した突条部付近を拡大した図である。
【図21】図19に示した有機EL表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図22】図21に続く工程を表す断面図である。
【図23】図22に続く工程を表す断面図である。
【図24】図23に続く工程を表す断面図である。
【図25】図24に続く工程を表す断面図である。
【図26】図25に続く工程を表す断面図である。
【図27】図26に続く工程を表す断面図である。
【図28】変形例2に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図29】上記実施の形態等の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図30】上記実施の形態等の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図31】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図32】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図33】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図34】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(周辺領域に突条部を設け、発光層を画素毎に塗り分けた例)
2.変形例1(突条部の他の構成例)
3.第2の実施の形態(バンクを設けた例)
4.変形例2(駆動基板の平坦化膜と同一工程において突条部を形成した例)
5.適用例(電子機器への適用例)
【0015】
<第1の実施の形態>
[有機EL表示装置の構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置1)の断面構成を表すものである。有機EL表示装置1は、例えばフルカラー表示が可能な有機ELテレビジョン装置等として用いられるものである。この有機EL表示装置1は、例えば、駆動基板10A上に、発光領域(表示領域)S1を構成する複数の画素(サブピクセル)として、赤色光を発する有機EL素子10R,緑色光を発する有機EL素子10Gおよび青色光を発する有機EL素子10Bが例えばマトリクス状に配置されたものである。
【0016】
(駆動基板10A)
駆動基板10Aは、基板10上に、TFT11を含む駆動回路(後述の画素駆動回路140等)が配設されたものである。基板10は、例えば、石英、ガラス、金属箔、シリコン、プラスチック等からなる。TFT11は、例えば、ゲートおよびソース・ドレイン等の電極配線層と、チャネルを形成する半導体層と、層間絶縁膜等が積層されてなるものである。このTFT11は、例えば後述の画素駆動回路140における駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2に相当するものであり、その構成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)であってもよい。この駆動基板10Aの表面は、平坦化膜12によって平坦化されている。
【0017】
平坦化膜12は、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂またはノボラック樹脂等の有機絶縁膜よりなる。この平坦化膜12には、TFT11および各画素の下部電極(後述の第1電極13)間を電気的に接続するためのコンタクトホールが設けられている。第1電極13は、このコンタクトホールを埋め込むように画素毎に設けられている。第1電極13とTFT11とが電気的に接続されることにより、有機EL素子10R,10G,10Bのそれぞれに所定の電位が供給されるようになっている。尚、平坦化膜12は、必ずしも設けられている必要はなく、駆動基板10Aの平坦化の必要がない場合には、TFT11の積層構造において使用される層間絶縁膜材料、例えば酸化シリコン(SiOx),窒化シリコン(SiNx),酸化チタン(TiOx),窒化チタン(TiN)が用いられるか、あるいはその混合組成物や、導電性がない金属酸化物などが用いられてもよい。
【0018】
図2は、駆動基板10Aの駆動回路の一例を表すものである。駆動基板10Aでは、表示領域S1に画素駆動回路140が設けられ、表示領域S1の周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。図3は、画素駆動回路140の一例を表したものである。画素駆動回路140は、第1電極13の下層に形成されたアクティブ型の駆動回路である。この画素駆動回路140は、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2(前述のTFT11に相当)と、これらトランジスタTr1,Tr2の間のキャパシタ(保持容量)Csとを有している。画素駆動回路140はまた、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において、駆動トランジスタTr1に直列に接続された有機EL素子10R(または有機EL素子10G,10B)を有している。
【0019】
画素駆動回路140では、列方向に信号線120A、行方向に走査線130Aがそれぞれ複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差部が、有機EL素子10R,10G,10Bのいずれか1つに対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0020】
(有機EL素子10R,10G,10B)
有機EL素子10R,10G,10Bはそれぞれ、駆動基板10A上に、例えば陽極としての第1電極13、正孔注入層14,正孔輸送層15,発光層(赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16B)、電子輸送層17、および例えば陰極としての第2電極18がこの順に積層されたものである。これらの有機EL素子10R,10G,10Bは、保護層19により被覆されており、更にこの保護層19上に熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等の接着層20によってガラス等よりなる封止用基板21が貼り合わせられており、これによって表示領域全体が封止されている。
【0021】
第1電極13は、有機EL素子10R,10G,10Bの画素毎に設けられている。第1電極13は、例えば厚みが10nm以上1000nm以下であり、ボトムエミッション型の場合には、透明導電膜、例えばインジウムとスズの酸化物(ITO)、InZnO(インジウ亜鉛オキシド)、および酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金のうちのいずれかよりなる単層膜または2種以上からなる積層膜により構成されている。この第1電極13は、トップエミッション型の場合には、光反射性に優れた導電性材料を用いて構成される。この下部電極4は、例えば、クロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは銀(Ag)等の金属元素の単体または合金よりなる。あるいは、第1電極13は、それらの金属元素の単体または合金よりなる金属膜と、ITO、InZnO、酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金等の透明導電膜との積層構造を有していてもよい。尚、第1電極13が陽極として機能する場合には、第1電極13は正孔注入性の高い材料により構成されていることが望ましいが、そうでない材料(例えば、アルミニウム合金等)であっても、適切な正孔注入層14を別途設けることによって第1電極13として使用することができる。
【0022】
この第1電極13とTFT11の配線接続部分には、高導電材料の金属や金属酸化物が用いられ、その接続面は下部電極4と接触抵抗が少ない材料が用いられる。そのような材料としては、モリブデン(Mo),チタン(Ti)などが使用されるか、あるいは、これらのモリブデン,チタンなどをバリアメタルとして使用した、アルミニウム(Al),銅(Cu)などが用いられてもよい。
【0023】
正孔注入層14は、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bへの正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを防止するためのバッファ層である。この正孔注入層14は、例えば高分子材料からなり、印刷法や塗布法によって成膜されるものである。その高分子材料の重量平均分子量(Mw)は1万〜30万の範囲であればよく、特に5000〜20万程度が好ましい。また、2000〜1万程度のオリゴマーを用いてもよいが、重量平均分子量(Mw)が5000未満では正孔輸送層以後の層を形成する際に、正孔注入層が溶解してしまうおそれがある。また30万を超えると材料がゲル化し、成膜が困難になる。尚、重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;Gel Permiation Chromatography)により、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた値である。このような正孔注入層14の構成材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択されればよいが、例えばポリアニリン、オリゴアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン、ポリキノキサリンおよびそれらの誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボン等が挙げられる。正孔注入層14の厚みは、例えば5nm〜100nmである。
【0024】
正孔輸送層15は、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bへの正孔輸送効率を高めるためのものである。この正孔輸送層15についても、上記正孔注入層14と同様、例えば高分子材料からなり、印刷法等によって成膜される。その重量平均分子量(Mw)は5万〜30万であることが好ましく、特に10万〜20万であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が5万未満では、発光層16cを形成するときに、高分子材料中の低分子成分が脱落し、これによって有機EL素子の初期性能が低下したり、素子の劣化を引き起こすおそれがある。一方、30万を越えると、材料がゲル化するため、成膜が困難になる。このような正孔輸送層15を構成する高分子材料としては、後述の有機溶媒に可溶な発光材料、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレン、ポリアニリン、ポリシランまたはそれらの誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロール等が挙げられる。この正孔輸送層15の厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば10nm〜200nmである。
【0025】
赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、色光を発生するものである。これらの赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bはいずれも、高分子(発光)材料を含み、印刷法等によって成膜されるものである。高分子材料としては、発光色毎に以下のものが挙げられる。例えば、赤色発光層16Rおよび緑色発光層16Gでは、高分子材料として、ポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、あるいは上記高分子に有機EL材料をドープしたものが挙げられる。ドープ材料としては、例えばルブレン、ペリレン、9,10ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6等を用いることができる。青色発光層16Bでは、ホスト材料としてアントラセン誘導体を用い、低分子蛍光材料、燐鉱色素あるいは金属錯体などをドープ材料として用いることができる。これらの赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bの各厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば10nm〜200nmである。
【0026】
これらの正孔注入層14,正孔輸送層15および赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bの成膜時には、上記のような高分子材料を、例えばトルエン、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、ブサイドクメン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、ジハイドロベンゾフラン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、p−アニシルアルコール、ジメチルナフタレン、3−メチルビフェニル、4−メチルビフェニル、3−イソプロピルビフェニル、モノイソプロピルナフタレン等のうちの少なくとも1種を含む有機溶媒に溶解させた溶液が用いられる。
【0027】
電子輸送層17は、発光層16cへの電子輸送効率を高めるためのものである。この電子輸送層17の材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、フラーレン、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略称Alq3)、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、C60、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリンまたはそれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。
【0028】
ここでは、本開示における「機能層」の一例として、上記のように正孔注入層14、正孔輸送層15、発光層(赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16B)および電子輸送層17を設けている。また、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bはそれぞれ対応する画素毎に塗り分けられており、これらが本開示の「印刷パターン層」の一例に相当する。発光層以外の、他の機能層、例えば正孔注入層14、正孔輸送層15および電子輸送層17は、各画素に共通して設けられている。これらの機能層のうち、本実施の形態では、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bの塗り分けを、後述のブランケットを用いたオフセット印刷法により成膜される被印刷膜となっている。
【0029】
尚、上記構成に限定されず、例えば各色発光層が各画素に共通して設けられていてもよい(例えば、RGBの3色の発光層が積層されたタンデム構造を有していてもよい)。また、一部の発光層のみが各画素に共通して設けられていてもよい(例えば、R画素には赤色発光層、G画素には緑色発光層がそれぞれ塗り分けられ、青色発光層は全画素に共通して設けられていてもよい)。更に、画素毎に塗り分けられる機能層としては、発光層に限定されず、正孔注入層14、正孔輸送層15および電子輸送層16のうちの1層または2層以上が、画素毎に形成されるようにしてもよい。
【0030】
第2電極18は、例えば、厚みが2nm以上200nm以下であり、導電膜により構成されている。具体的には、ボトムエミッション型の場合には、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)およびナトリウム(Na)のうちの少なくとも1種を含む単体金属または合金が挙げられる。あるいは、トップエミッション型の場合には、ITO等の透明導電膜が用いられてもよい。この第2電極18は、第1電極13と絶縁された状態で機能層16上に形成され、有機EL素子10R,10G,10Bの共通電極となっている。
【0031】
尚、電子輸送層17と第2電極18との間には、図示しない電子注入層が設けられていてもよい。電子注入材料としては、例えばリチウム(Li)の酸化物である酸化リチウム(Li2O)や、セシウム(Cs)の複合酸化物である炭酸セシウム(Cs2CO3)、更にはこれらの酸化物及び複合酸化物の混合物を用いることができる。あるいは、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、更にはインジウム(In)、マグネシウム等の仕事関数の小さい金属を用いてもよい。
【0032】
保護層19は、例えば厚みが2〜3μmであり、絶縁性材料および導電性材料のいずれにより構成されていてもよい。絶縁性材料としては、無機アモルファス性の材料、例えばアモルファスシリコン(a−Si),アモルファス炭化シリコン(a−SiC),アモルファス窒化シリコン(a−Si1-xx)、アモルファスカーボン(a−C)等が好ましい。このような無機アモルファス性の材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。
【0033】
封止用基板21は、接着層20と共に有機EL素子10R,10G,10Bを封止するものである。この封止用基板21は、有機EL素子10R,10G,10Bで発生した各色光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止用基板21には、例えば、カラーフィルタおよびブラックマトリクス(遮光膜)(いずれも図示せず)が設けられていてもよい。これにより、有機EL素子10R,10G,10Bで発生した各色光を取り出すと共に、有機EL素子10R,10G,10B間および配線等において反射された外光を吸収して、コントラストを改善することができる。カラーフィルタは、有機EL素子10R,10G,10Bに対応して配置された赤色,緑色および青色のフィルタを有し、各色のフィルタは顔料を混入した樹脂よりなる。遮光膜は、例えば黒色の着色剤を混入した樹脂膜、または薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタにより構成されている。薄膜フィルタは、例えば、金属,金属窒化物あるいは金属酸化物よりなる薄膜を1層以上積層し、薄膜の干渉を利用して光を減衰させるものである。
【0034】
(突条部22)
上記のような有機EL素子10R,10G,10Bを含む発光領域S1の周辺領域(額縁領域)S2には、突条部22(突部)が設けられている。突条部22は、詳細は後述するが、オフセット印刷法を用いた機能層の成膜工程において、ブランケットと駆動基板とを接触させる際の起点として機能するものである。この突条部22は、機能層のうちの画素毎に塗り分けられる層(印刷パターン層)と駆動基板10Aとの間に配置された層(上記印刷パターン層よりも前に形成された、印刷パターン層の下地層(例えば、第1電極13、正孔注入層14および正孔輸送層15))よりも突出して形成されている。この突条部22は、例えば絶縁材料からなり、具体的にはポリイミド樹脂、アクリル樹脂またはノボラック樹脂よりなる。
【0035】
但し、本明細書および特許請求の範囲の記載において、印刷パターン層と駆動基板10Aとの“間”の層とは、印刷パターン層と駆動基板10Aとの間に積層された上記下地層(例えば、第1電極13、正孔注入層14および正孔輸送層15)のうち、印刷パターン層に対向する部分を示すものである。例えば、突条部22は、上記下地層のうちの表示領域に対応する部分よりも高くなるように形成されていればよい。一方、上記下地層のうちの、印刷パターン層の形成されない領域、例えば周辺領域に対応する部分では、この限りではなく、即ち下地層が突条部よりも高い位置に設けられていてもよい。例えば、突条部22の形成タイミングによって、下地層の一部(例えば、正孔注入層,正孔輸送層等:後述の変形例1,2参照)が、周辺領域において突条部よりも上層に(突条部を覆って)形成されることがある(表示領域では、突条部が下地層よりも突出して設けられる)。このように、突条部22は、印刷パターン層と駆動基板10との間に設けられる各層のうち、少なくとも印刷パターン層が形成される表示領域に対応する部分よりも、突出していればよい。
【0036】
図4は、突条部22の付近の拡大図である。本実施の形態では、ブランケットを用いたオフセット印刷法によって成膜された印刷パターン層が、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bとなっている。突条部22は、それらと駆動基板10Aとの間に設けられた第1電極13、正孔注入層14および正孔輸送層15のいずれの層よりも突出して形成されている。ここで、突条部22の上面(周辺領域S2における最上面)と、正孔輸送層15の上面(発光層形成前の時点での発光領域S1における最上面)との高さの差をA(nm)とすると、次の式(1)を満足していることが望ましい。式(1)を満足することで、後述するオフセット印刷法による印刷工程において、発光領域S1内での初期接触を避け、発光領域S1内でのディストーションの発生を抑制できることが実験的にわかっている。
A≧500 ………(1)
【0037】
また、突条部22と発光領域S1との間の領域(突条部22の近傍領域)では、ブランケットと駆動基板10Aとの接触が弱まることから、一定の距離を確保することが望ましい。具体的には、突条部22の上面端部と第1電極13の上面端部との間の距離をBとすると、以下の式(2)を満足するとよい。
B≧A ………(2)
【0038】
図5(A)〜(C)は、駆動基板10Aを真上から見たものであり、突条部22の基板面上の配置箇所を模式的に表したものである。突条部22は、例えば、駆動基板10Aの周辺領域S2の一部に設けられていることが望ましい。具体的には、駆動基板10Aの面形状が矩形状である場合には、図5(A)に示したように、周辺領域S2のうち矩形状の1つの短辺に沿って設けられてよいし、図5(B)に示したように、周辺領域S2のうち矩形状の2つの短辺に沿って設けられてよい。あるいは図5(C)に示したように、4つの辺の全てに(発行領域S1を囲むように)突条部22が設けられていてもよい。このように、突条部22が配設される領域は、周辺領域S2のいずれの箇所であってもよいが、特に大型ディスプレイに適用される場合等、駆動基板10Aの1辺側のみではディストーションの制御が困難となる場合もあることから、図5(B),(C)の例のように、矩形状の2辺以上の領域に設けられることがより望ましい。
【0039】
[有機EL表示装置の製造方法]
上記のような有機EL表示装置1は、例えば次のようにして製造することができる。図6〜図14は、有機EL表示装置1の製造方法を工程順に表したものである。
【0040】
まず、上述のように平坦化膜12によって覆われたTFT11を有する駆動基板10Aを用意する。この駆動基板10Aにおいて、平坦化膜12の所定の領域に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)技術を用いて、コンタクトホールを形成する。続いて、図6に示したように、このコンタクトホールを埋め込むように第1電極13を形成する。具体的には、上述した材料よりなる第1電極13を、駆動基板10Aの全面に渡って成膜した後、フォトリソグラフィ法を用いたエッチングにより、所定の形状(例えば、矩形状)にパターニングする。
【0041】
次に、図7に示したように、第1電極13上に、機能層の一部(正孔注入層14および正孔輸送層15)を形成する。具体的には、駆動基板10Aの全面に渡って、上述した材料よりなる正孔注入層14を塗布して真空乾燥工程を経て加熱乾燥させた後、上述した材料よりなる正孔輸送層15も同様の塗布工程および真空乾燥工程を経て乾燥させた。尚、正孔注入層14および正孔輸送層15の塗布法としては、例えばインクジェット法、スリットコート法、スピンコート法あるいはスプレーコート法など様々なものが挙げられるが、スリットコート法を用いることで比較的簡便に成膜が可能である。また、インクジェット法を用いる場合には、第1電極13上に安定した膜厚で成膜するために隔壁(後述のバンク)を形成することが望ましい。
【0042】
(突部形成工程)
続いて、図8に示したように、駆動基板10A上の周辺領域S2の一部に、突条部22を形成する。具体的には、上述した絶縁材料を正孔輸送層15上の全面に渡って成膜した後、フォトリソグラフィ法によりパターニングする。この際、上述したように、駆動基板10A上に形成されたいずれの層よりも突出するように、突条部22を形成する。また、突条部22の膜厚、幅、位置等を、上記式(1),(2)を満足するように設定するとよい。この突条部22の形成工程は、後述のオフセット印刷法による印刷パターン層(ここでは発光層)の成膜工程よりも前に行うようにする。
【0043】
(オフセット印刷工程)
上記のようにして突条部22を形成した後、オフセット印刷法により、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bをそれぞれ形成する。ここで、オフセット印刷法では、版から印刷パターンをブランケット上に一旦転写した後、このブランケットに転写形成された印刷パターン層を、被印刷基板(駆動基板10A)上に押し当てることで、印刷を行う技術である。本実施の形態では、このようなオフセット印刷法を用いて、画素毎に塗り分けが必要な発光層(赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16B)を形成する。具体的には、各色発光層毎に、以下のような手順により印刷を行う。
【0044】
まず、ブランケット(ブランケット30)上に、版(版31)を用いて印刷パターンを転写する。具体的には、図9(A)に示したように、ブランケット30を用意する。ブランケット30は、例えば駆動基板10Aの同等のサイズおよび形状を有する平板状またはシート状のものが用いられ、表面側(印刷パターン層形成側)に、例えばシリコーンゴム、ブタジエンゴムまたはフッ素樹脂によってコーティングされている。あるいは、そのような材料そのものから構成されていてもよい。これらのうち、特にシリコーンゴムは、離型性に優れることから良好な転写性を期待できる材料である。尚、このブランケット30を、金属やガラス等よりなる硬質な基板や、いわゆる吸着チャックにより支持して平面状態を保つようにしてもよい。
【0045】
続いて、図9(B)に示したように、ブランケット30の表面に、発光層の材料を含むインクを例えばスリットコート法により塗布し、ブランケット30上に有機膜16aを形成する。次いで、図9(C)に示したように、ブランケット30上に形成した有機膜16aと、例えば印刷パターンに対応する凹凸を有する版31を対向させて配置した後、図9(D)に示したように、有機膜16aに版31を圧着させる。
【0046】
この後、図10に示したように、ブランケット30を版31から剥がすと、有機膜16aのうち、版31の選択的な領域(例えば凸部)に対応する部分(16c)が版31によって取り除かれ、ブランケット30上には、その反転パターンが残存する。このようにして、ブランケット30上に、印刷パターン層16bを形成する。このブランケット30上に形成された印刷パターン層16bを、駆動基板10A上へ転写する。
【0047】
本実施の形態では、印刷パターン層16bとして、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bを、対応する画素に順次形成するが、ここでは、代表して赤色発光層16Rの印刷工程について説明する。
【0048】
即ち、まず図11に示したように、パターニングされた赤色発光層16R(印刷パターン層16bに対応)を有するブランケット30を、駆動基板10Aに重ね合わせる。ブランケット30上には、赤色発光層16Rが、駆動基板10A上のR画素(有機EL素子10R)に対応する選択的な領域に形成されている。また、重ね合わせの際には、ブランケット30および駆動基板10Aの双方に設けられたアライメントマークを読み取ることで位置合わせを行うようにする。
【0049】
続いて、図12に示したように、ブランケット30の裏面側からローラー110等を用いて、ブランケット30(詳細にはブランケット30に形成された赤色発光層16R)を、駆動基板10A上へ圧着させる。
【0050】
このブランケット30と駆動基板10Aとを重ね合わせる工程では、周辺領域S2に設けられた突条部22が、発光領域S1内のいずれの層よりも突出しているため、ブランケット30は、まず最初に突条部22と接触する。この後、この突条部22との接触箇所を起点として、順次発光領域S1内の各領域に圧力をかけて接触(圧着)させる。圧着後、ブランケット30を駆動基板10Aから剥がすことにより、駆動基板10A上に赤色発光層16Rが転写される(駆動基板10A上に、所定のパターンで赤色発光層16Rが印刷される)。この後、同様にして、緑色発光層16Gおよび青色発光層16Bを形成することにより、図13に示したように、駆動基板10A上に、赤色発光層16R,緑色発光層16Gおよび青色発光層16Bがそれぞれ対応する画素毎に塗り分けられて形成される。
【0051】
次に、図14に示したように、駆動基板10A上の全面にわたって、例えば真空蒸着法により、上述した材料よりなる電子輸送層17および第2電極18をこの順に形成する。尚、この電子輸送層17と第2電極18との間に電子注入層を形成するようにしてもよい。これらの電子輸送層17および第2電極18(電子注入層を形成する場合には電子注入層についても)は、大気に暴露されることなく同一の成膜装置内において連続的に成膜される。このような連続成膜により大気中の水分による発光層の劣化が防止される。
【0052】
最後に、例えば蒸着法やCVD法により、保護層19を形成後、例えば保護層19上に、接着層20を介して封止用基板21を貼り合わせる。以上により、図1に示した有機EL表示装置1が完成する。
【0053】
[作用・効果]
有機EL表示装置1では、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、有機EL素子10R,10G,10Bに駆動電流Idが注入される。これにより、有機EL素子10R,10G,10Bでは、発光層16cにおいて正孔と電子との再結合により発光が起こる。このようにして生じた光は、下面発光(ボトムエミッション)の場合には第1電極13および駆動基板10Aを透過して、上面発光(トップエミッション)の場合には、第2電極18,カラーフィルタ(図示せず)および封止用基板21を透過してそれぞれ取り出される。
【0054】
この有機EL表示装置1において、本実施の形態では、R,G,Bの画素毎に発光層(赤色発光層16R,緑色発光層16Gおよび青色発光層16B)が塗り分けられており、このような発光層が、オフセット印刷法による印刷工程を経て形成されている。このオフセット印刷法では、例えば、平板状のブランケット30へ転写形成した印刷パターン層16bを駆動基板10A上へ重ね合わせ、圧着させることにより印刷を行う。
【0055】
ここで、ブランケット30は、上記のようにシリコーンゴム等によって表面コーティングなされたものであるが、この表面に印刷パターン層16bを形成した場合、次のような不具合が生じる。即ち、ブランケット30上に印刷パターン層16bを形成する際に、表面にインクの溶媒が吸収されてしまい、ブランケット30の表面に凹凸が生じたり(図15(A))、ブランケット30自体に撓みが生じたり(図15(B))する。特に、ブランケット30にシリコーンゴムを用いた場合には、溶媒を吸収し易く、溶媒を多く含んだ領域では、膨らみが生じてしまう。あるいは、形成される印刷パターン層16bの膜厚にむらが生じることもある(図15(C))。
【0056】
このように、ブランケット30に変形等が生じると、ブランケット30と駆動基板10Aとを各領域において均等に接触させることが難しくなる。具体的には、ブランケット30と駆動基板10Aとを重ね合わせると、印刷パターン層16bのうち、ブランケット30の変形等に応じて形成された突出部分Pが駆動基板10A上に初期に接触する(ランダムな箇所で接触してしまう)。このため、ブランケット30と駆動基板10Aとを重ね合わせた状態(圧着前の状態)において、印刷パターン層16bでは、駆動基板10Aと接触している部分と非接触の部分とが混在することになる。この状態で、ブランケット30および駆動基板10Aの一方または両方に圧力をかけると、接触部分と非接触部分との境界において、いわゆるディストーションが生じ、これが印刷パターン層の位置ずれを引き起こす。特に、微細なアライメントを要する高精細なパネルでは、重ね合わせ時に高いアライメント精度が要求されることは勿論であるが、その後の圧着時および剥離時においても重ね合わせ時のアライメント精度が維持されることが求められる。即ち、各工程を通じて位置ずれが生じないようにすることが望ましい。このような位置ずれは、印刷パターン層として発光層を形成した場合には、色むらや混色となって視認され、表示画質の劣化につながる。
【0057】
そこで、本実施の形態では、駆動基板10A上の一部(周辺領域S2の一部)に、駆動基板10Aと印刷パターン層16b(赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16B)との間のいずれの層よりも突出した突条部22が設けられている。これにより、発光領域S1内において、上記オフセット印刷工程(ブランケット30の圧着時)におけるディストーションの発生が抑制される。詳細には、印刷パターン層16bの形成前に、発光領域S1におけるいずれの層よりも突出するように突条部22を形成することにより、周辺領域S2の突条部22において、ブランケット30と駆動基板10Aとを初期接触させることができ、発光領域S1内での初期接触を回避することができる。その後の圧着工程では、この突条部22に対応する接触箇所を起点として、順次発光領域S1内の各領域をブランケット30の印刷パターン層16bに接触させることができる。換言すると、突条部22の設置により、ディストーションの発生箇所を制御し、発光領域S1内でのディストーションの発生を抑制することができる。尚、突条部22付近(接触部分と非接触部分との境界付近)では、ディストーションが生じるが、これは発光領域S1外のものであるため、実際の表示画質には影響を与えない。
【0058】
以上のように本実施の形態では、駆動基板10A上の周辺領域S2に、所定の高さまで突出した突条部22が設けられているので、例えば発光層などの機能層を、画素毎に塗り分けて形成する際、発光領域S1内でのディストーションの発生を抑制することができる。よって、成膜プロセスにおけるディストーションに起因して生じる画質劣化を抑制することが可能となる。
【0059】
ここで、実施例として、駆動基板10Aの周辺領域S2に突条部22を有する有機EL表示装置1を上記製造方法と同様にして作製した際の発光写真について図16に示す。尚、この際、突条部22の上面と正孔輸送層15の上面との差Aが500nmとなるように、かつ周辺領域S2のうちの矩形状の1辺に突条部22を形成した。また、その比較例として、突条部22を設けなかったこと以外は上記実施例と同様にして有機EL表示装置を作製した場合の発光写真について、図17に示す。突条部22を設けなかった比較例では、図17に示したように、発光領域S1内でディストーションが発生しているために、発光領域S1全体にわたって、発光むらが生じていることがわかる。一方、突条部22を設けた実施例では、発光領域S1内のディストーションの発生が抑制されていることから、発光むらが大幅に軽減されていることがわかる。
【0060】
<変形例1>
尚、上記実施の形態では、機能層としての、正孔注入層14,正孔輸送層15,発光層(赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16B)および電子輸送層17のうち、発光層をオフセット印刷による印刷パターン層として形成し、突条部22を、正孔輸送層15と発光層との間に設けたが、突条部22は、発光層と駆動基板10Aとの間に設けられていればよく、このような積層構造に限定されない。例えば、図18に示したように、突条部(突条部23)が、駆動基板10Aの平坦化膜12上に設けられていてもよい。この場合、突条部23を、第1電極13よりも突出するように形成すれば、その後の印刷工程において、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。即ち、突条部23は、印刷パターン層と駆動基板10Aとの間に設けられていればよい(突条部23は、印刷パターン層よりも前に形成されればよい)。
【0061】
<第2の実施の形態>
[構成]
図19は、本開示の第2の実施の形態に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置2)の断面構成を表すものである。有機EL表示装置2は、上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1と同様、フルカラー表示が可能な有機ELテレビジョン装置等として用いられ、例えば、駆動基板10A上に、発光領域S1を構成する複数の画素として、有機EL素子10R,10G,10Bが例えばマトリクス状に配置されたものである。また、本実施の形態においても、有機EL素子10R,10G,10Bはそれぞれ、第1電極13および第2電極18間に、機能層として、正孔注入層14,正孔輸送層15,発光層(赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16B)および電子輸送層17を積層してなる。更に、発光層がオフセット印刷法により形成される印刷パターン層となっており、駆動基板10A上の周辺領域S2には、突条部25が設けられている。尚、以下では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には、同一の符号を付し適宜説明を省略する。
【0062】
但し、本実施の形態では、有機EL素子10R,10G,10Bが、いわゆるバンクとよばれる画素間絶縁膜24によって電気的に分離(区画)されている。具体的には、画素間絶縁膜24は、駆動基板10Aおよび第1電極13上に設けられ、第1電極13に対向して開口を有している。機能層のうち正孔注入層14,正孔輸送層15および電子輸送層17は、この画素間絶縁膜24上に、全画素に共通して設けられている。赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bは、画素間絶縁膜の開口部分(第1電極13)に対向する領域に形成されている。
【0063】
画素間絶縁膜24は、各画素間の電流リークを抑制すると共に、機能層を印刷形成する際に隣接画素への影響を軽減する機能を有するものである。この画素間絶縁膜24は、感光性樹脂、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂およびノボラック樹脂等のうちのいずれかよりなり、厚みは、例えば100nm〜500nmである。
【0064】
突条部25は、上記構成において、駆動基板10Aの平坦化膜12上に設けられている。本実施の形態では、この突条部25が、画素間絶縁膜24と同一工程において形成され、即ち画素間絶縁膜24と同一材料により構成されている。
【0065】
図20は、突条部25の付近の拡大図である。本実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様、赤色発光層16R,緑色発光層16G,青色発光層16Bが印刷パターン層となるが、突条部25は、それらと駆動基板10Aとの間に設けられた第1電極13および画素間絶縁膜24のいずれの層よりも突出して形成されている。ここで、突条部25の上面(周辺領域S2における最上面)と、画素間絶縁膜24の上面(発光領域S1における最上面)との高さの差をC(nm)とすると、上記第1の実施の形態と同様の理由から、以下の式(3)を満足していることが望ましい。
C≧500 ………(3)
【0066】
また、突条部25と発光領域S1との間の領域(突条部25の近傍領域)では、ブランケットと駆動基板10Aとの接触が弱まることから、一定の距離を確保することが望ましい。具体的には、突条部25の上面端部と画素間絶縁膜24の上面端部との間の距離をD(nm)とすると、以下の式(4)を満足するとよい。
D≧C ………(4)
【0067】
尚、突条部25の設置箇所は、上記第1の実施の形態の突条部22と同様、周辺領域S2のうちの矩形状のいずれの領域に形成されていてもよい。
【0068】
[製造方法]
上記のような有機EL表示装置2は、例えば次のようにして作製することができる。即ち、上記第1の実施の形態と同様にして、駆動基板10A上に第1電極13を形成した後、画素間絶縁膜24を形成する工程において、同時に突条部25を形成する。具体的には、まず、図21に示したように、駆動基板10Aの全面に渡って、上述した材料よりなる感光性樹脂層25aを例えばスピンコート法等により成膜する。この際、感光性樹脂層25aの膜厚は、突条部25の膜厚(高さ)に合わせて設定する。
【0069】
続いて、図22に示したように、フォトリソグラフィ法により、感光性樹脂層25aの選択的な領域を露光して、感光性樹脂層25aをパターニングする。例えば、感光性樹脂層25aがポジ型のフォトレジストである場合には、所定のフォトマスク111を用いて露光を行う。フォトマスク111としては、例えば発光領域S1に対応する領域では、第1電極13の形成領域に対向して開口111aを有する一方、周辺領域S2に対応する領域では、突条部25の非形成領域に開口111bを有するものを用いる。これにより、感光性樹脂層25aのうち第1電極13に対向する部分を選択的に除去すると共に、突条部25に対応する部分を残存させる。
【0070】
次いで、図23に示したように、前工程において、周辺領域S2に形成された突条部25と、発光領域S1において部分的に除去された感光性樹脂層25aに対し、所定のフォトマスク112を用いて、再び露光(ハーフ露光)を行う。フォトマスク112としては、例えば発光領域S1に対応する領域では、第1電極13の非形成領域に対向して開口112aを有する一方、周辺領域S2に対応する領域には開口が設けられていないものを
用いる。これにより、発光領域S1における感光性樹脂層25aの上部が除去されて膜厚が減り、図24に示したように、発光領域S1には画素間絶縁膜24、周辺領域S2には突条部25をそれぞれ同一工程において形成することができる。
【0071】
この後、図25に示したように、正孔注入層14および正孔輸送層15を、上記第1の実施の形態と同様にして形成する。
【0072】
続いて、上記第1の実施の形態と同様にして、赤色発光層16R,緑色発光層16Gおよび青色発光層16Bを、オフセット印刷法を用いて印刷形成する。例えば、図26に示したように、赤色発光層16Rがパターン形成された印刷パターン層16bを有するブランケット30を駆動基板10A上へ重ね合わせた後、圧着させる。このとき、本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、突条部25が設けられていることにより、この突条部25において、駆動基板10Aとブランケット30との初期接触が起こり、発光領域S1内での初期接触を避けることができる。緑色発光層16Gおよび青色発光層16Bについても同様に形成することにより、図27に示したように、駆動基板10A上に、赤色発光層16R,緑色発光層16Gおよび青色発光層16Bが塗り分けて形成される。
【0073】
次いで、上記第1の実施の形態と同様にして、電子輸送層17、第2電極18および保護層19を形成した後、接着層20を介して封止用基板21を貼り合わせることにより、図19に示した有機EL表示装置2を完成する。
【0074】
本実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同様、駆動基板10A上の周辺領域S2の一部に、第1電極13および画素間絶縁膜24よりも突出した突条部25が設けられていることにより、発光領域S1内におけるディストーションの発生を抑制できる。よって、上記第1の実施の形態と同等の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、画素間絶縁膜24を設け、突条部25を、その画素間絶縁膜24の形成工程において同時に形成することができるため、別途、突条部25の形成工程を経る必要がないため、製造工程数を削減することができる。
【0075】
<変形例2>
尚、上記第2の実施の形態では、画素間絶縁膜24と突条部25を同一工程において形成する場合について説明したが、駆動基板10Aが平坦化膜(平坦化膜26)によって平坦化されている場合には、その平坦化膜26と突条部(突条部26a)を同一工程により形成してもよい。即ち、図28に示したように、平坦化膜26と突条部26aが一体的に(同一材料により)形成されていてもよい。平坦化膜26および突条部26aは、例えば、例えばポリイミド樹脂、アクリル樹脂およびノボラック樹脂等のうちのいずれかにより構成されている。これらの平坦化膜26および突条部26aについても、上記第2の実施の形態における画素間絶縁膜24および突条部25の形成工程と同様、所定のフォトマスクを用いた2段階の露光工程を経ることにより、形成可能である。このような構成であっても、上記第1の実施の形態および上記変形例2と同等の効果を得ることができる。
【0076】
<適用例>
以下、上記実施の形態および変形例で説明した有機EL表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態等の有機EL表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の有機EL表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0077】
(モジュール)
上記実施の形態等の有機EL表示装置は、例えば、図29に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆動基板10Aの一辺に、封止用基板21から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられている。
【0078】
(適用例1)
図30は、適用例1に係るテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0079】
(適用例2)
図31は、適用例2に係るデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0080】
(適用例3)
図32は、適用例3に係るノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0081】
(適用例4)
図33は、適用例4に係るビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0082】
(適用例5)
図34は、適用例5に係る携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0083】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態等では、突条部(突部)が、駆動基板10A上の周辺領域S2に設けられている場合を例示したが、突部は、必ずしも周辺領域S2に設けられている必要はなく、発光領域S1内に設けられていてもよい。この場合であっても、突部付近において初期接触させてディストーションを生じさせることで、発光領域S1の他の領域でのディストーションの発生を抑制できる。即ち、ディストーションの発生領域を突条部周辺の局所的な領域のみに抑える、あるいはディストーションの発生領域を発光領域S1内の所定の領域で発生するように制御することができる。これにより、表示画質に影響を与えやすい特定の領域などでのディストーションの発生を抑制することができる。但し、突部を周辺領域S2に設けた場合の方が、発光領域S1内全域でのディストーションの発生を抑制できるため望ましい。
【0085】
また、上記実施の形態等では、本開示の突部として、突条部、即ち一方向に延在したライン状のものを例示したが、必ずしもライン状である必要はなく、駆動基板10A上の選択的な領域に突部が点在していても構わない。但し、ライン状の場合の方が、ブランケットと駆動基板との接触起点を形成し易く、安定性が高いため、精度良く印刷パターン層を形成可能である。
【0086】
更に、上記実施の形態等では、機能層の一部としての印刷パターン層が発光層である場合を例示したが、これに限定されず、他の有機層、例えば正孔注入層14,正孔輸送層15および電子輸送層17のうちの1層または2層以上を、印刷パターン層として、オフセット印刷法により形成するようにしてもよい。
【0087】
加えて、上記実施の形態等では、有機EL素子10R,10G,10Bの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。また、上記実施の形態等では、青色以外の有機EL素子として赤色および緑色の有機EL素子を備えた表示装置について説明したが、本開示はこれに限定されず、印刷法を用いて機能層を形成可能な表示装置全般に適用可能である。例えば、青色有機EL素子と黄色有機EL素子からなる表示装置への適用も可能である。
【0088】
加えて、上記実施の形態等では、アクティブマトリクス型の表示装置の場合について説明したが、本開示はパッシブマトリクス型の表示装置への適用も可能である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素駆動回路の変更に応じて、上述した信号線駆動回路120や走査線駆動回路130のほかに、必要な駆動回路を追加してもよい。
【0089】
また、上記実施の形態等では、有機EL表示装置がトップエミッション型あるいはボトムエミッション型である場合について説明したが、上面および下面の両方から光を取り出すタイプの有機EL表示装置にも本開示は適用可能である。
【0090】
尚、本開示は、以下の(1)〜(19)に記載したような構成であってもよい。
(1)駆動基板上に複数の画素を含む発光領域を備え、前記複数の画素はそれぞれ、前記駆動基板側から順に、画素毎に設けられた第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、前記機能層は、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を含み、前記駆動基板上に、前記印刷パターン層と前記駆動基板との間のいずれの層よりも突出した突部が設けられている有機EL表示装置。
(2)前記突部は、前記駆動基板上の前記発光領域の周辺領域の一部に設けられている上記(1)に記載の有機EL表示装置。
(3)前記駆動基板の面形状が矩形状であり、前記突部は、前記周辺領域のうち、前記矩形状の少なくとも1つの辺に沿って設けられた1または複数の突条部である上記(1)または(2)に記載の有機EL表示装置。
(4)前記突条部は、前記周辺領域のうち、前記矩形状の対向する2辺のそれぞれに沿って設けられている上記(3)に記載の有機EL表示装置。
(5)前記突条部は、前記周辺領域のうち、前記矩形状の全ての辺のそれぞれに沿って設けられている上記(3)に記載の有機EL表示装置。
(6)前記駆動基板側から順に、複数の前記第1電極と、各第1電極に対向して開口を有する画素分離膜とを有し、前記突部は、前記画素分離膜と同一の樹脂材料により構成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(7)前記駆動基板の表面に平坦化膜を備え、前記突部は、前記平坦化膜と同一の樹脂材料により形成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(8)前記突部は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂またはノボラック樹脂により構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(9)駆動基板上の発光領域に、複数の第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とをこの順に形成することにより、複数の画素を形成する工程と、前記駆動基板上に突部を形成する工程とを含み、前記機能層の一部として、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を形成し、前記突部を形成する工程では、前記印刷パターン層を形成するよりも前に、前記突部を、前記駆動基板上に形成されたいずれの層よりも突出するように形成する有機EL表示装置の製造方法。
(10)前記印刷パターン層を、オフセット印刷法を用いて成膜する上記(9)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(11)前記オフセット印刷法では、平板状またはシート状のブランケットを用いる上記(10)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(12)前記オフセット印刷法では、前記ブランケットに前記印刷パターン層を形成した後、前記ブランケットを、前記駆動基板上に前記印刷パターン層を間にして重ね合わせて圧着させる上記(10)または(11)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(13)前記ブランケットは、少なくとも表面側にシリコーンゴムよりなる層を有する上記(11)または(12)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(14)前記ブランケットは、硬質部材によって支持されている上記(11)ないし(13)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(15)前記突部を、前記駆動基板上の前記発光領域の周辺領域の一部に形成する上記(9)ないし(14)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(16)前記第1電極を形成した後、前記駆動基板上に、前記第1電極に対向して開口を有する画素分離膜を形成する工程を含み、前記突部を、前記画素分離膜と同一工程において形成する上記(9)ないし(15)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(17)前記第1電極を形成する前に、前記駆動基板の表面に平坦化膜を形成する工程を含み、前記突部を、前記平坦化膜と同一工程において形成する上記(9)ないし(15)のいずれかにに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(18)前記樹脂材料として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂またはノボラック樹脂を用いる上記(9)ないし(17)のいずれかにに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(19)駆動基板上に複数の画素を含む発光領域を備え、前記複数の画素はそれぞれ、前記駆動基板側から順に、画素毎に設けられた第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、前記機能層は、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を含み、前記駆動基板上に、前記印刷パターン層と前記駆動基板との間に設けられたいずれの層よりも突出した突部が設けられている有機EL表示装置を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0091】
1,2…有機EL表示装置、10A…駆動基板,10R,10G,10B…有機EL素子、10…基板、11…TFT、12…平坦化膜、13…第1電極、14…正孔注入層15…正孔輸送層、16R…赤色発光層、16G…緑色発光層、16B…青色発光層、17…電子輸送層、18…第2電極、19…保護層、20…接着層、21…封止用基板、22,25,26a…突条部、S1…発光領域、S2…周辺領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動基板上に複数の画素を含む発光領域を備え、
前記複数の画素はそれぞれ、前記駆動基板側から順に、画素毎に設けられた第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、
前記機能層は、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を含み、
前記駆動基板上に、前記印刷パターン層と前記駆動基板との間のいずれの層よりも突出した突部が設けられている
有機EL表示装置。
【請求項2】
前記突部は、前記駆動基板上の前記発光領域の周辺領域の一部に設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記駆動基板の面形状が矩形状であり、
前記突部は、前記周辺領域のうち、前記矩形状の少なくとも1つの辺に沿って設けられた1または複数の突条部である
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記突条部は、前記周辺領域のうち、前記矩形状の対向する2辺のそれぞれに沿って設けられている
請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記突条部は、前記周辺領域のうち、前記矩形状の全ての辺のそれぞれに沿って設けられている
請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記駆動基板側から順に、複数の前記第1電極と、各第1電極に対向して開口を有する画素分離膜とを有し、
前記突部は、前記画素分離膜と同一の樹脂材料により構成されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記駆動基板の表面に平坦化膜を備え、
前記突部は、前記平坦化膜と同一の樹脂材料により形成されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記突部は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂またはノボラック樹脂により構成されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
駆動基板上の発光領域に、複数の第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とをこの順に形成することにより、複数の画素を形成する工程と、
前記駆動基板上に突部を形成する工程とを含み、
前記機能層の一部として、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を形成し、
前記突部を形成する工程では、
前記印刷パターン層を形成するよりも前に、前記突部を、前記駆動基板上に形成されたいずれの層よりも突出するように形成する
有機EL表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記印刷パターン層を、オフセット印刷法を用いて成膜する
請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記オフセット印刷法では、平板状またはシート状のブランケットを用いる
請求項10に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記オフセット印刷法では、
前記ブランケットに前記印刷パターン層を形成した後、
前記ブランケットを、前記駆動基板上に前記印刷パターン層を間にして重ね合わせて圧着させる
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記ブランケットは、少なくとも表面側にシリコーンゴムよりなる層を有する
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記ブランケットは、硬質部材によって支持されている
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記突部を、前記駆動基板上の前記発光領域の周辺領域の一部に形成する
請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1電極を形成した後、前記駆動基板上に、前記第1電極に対向して開口を有する画素分離膜を形成する工程を含み、
前記突部を、前記画素分離膜と同一工程において形成する
請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1電極を形成する前に、前記駆動基板の表面に平坦化膜を形成する工程を含み、
前記突部を、前記平坦化膜と同一工程において形成する
請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記樹脂材料として、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂またはノボラック樹脂を用いる
請求項9に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項19】
駆動基板上に複数の画素を含む発光領域を備え、
前記複数の画素はそれぞれ、前記駆動基板側から順に、画素毎に設けられた第1電極と、少なくとも有機電界発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、
前記機能層は、画素毎に塗り分けられた印刷パターン層を含み、
前記駆動基板上に、前記印刷パターン層と前記駆動基板との間に設けられたいずれの層よりも突出した突部が設けられている
有機EL表示装置を備えた電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2013−45635(P2013−45635A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182753(P2011−182753)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】