説明

有機EL表示装置および電子機器

【課題】低コスト化を図りつつ表示画質の劣化を抑制することが可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置1は、各画素において、下部電極14の一部または全部がバンク層15の開口部15aの基板側の周縁部から離間して設けられている。機能層16を成膜する際の乾燥工程において、機能層16に局所的に部分が薄膜化するが、上記構成により、その薄膜化部分が、下部電極14から離れた位置に形成され易くなる(下部電極14に対応する実質的な発光領域では機能層16の局所的な厚みの変化が生じにくくなる)。下部電極14および上部電極18間における電気的短絡の発生が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネセンス(EL;Electro Luminescence)現象を利用して画像表示を行う有機EL表示装置、およびそのような有機EL表示装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
情報通信産業の発達が加速するにつれて、高度な性能を有する表示素子が要求されている。その中で、次世代表示素子として注目されている有機EL素子は、自発光型の表示素子として視野角が広くてコントラストが優秀なだけでなく応答時間が速いという長所がある。
【0003】
有機EL素子を形成する発光層等の機能層は、低分子材料と高分子材料とに大別されるが、それらの成膜手法としては、低分子材料では真空蒸着法等の乾式法が用いられている。高分子材料では、スピンコーティング、インクジェット、ノズルジェット等の吐出系印刷法、あるいはフレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転印刷等の有版印刷法が用いられている。
【0004】
上記のうち、真空蒸着法等の乾式法では、機能層材料を溶媒に溶解させる必要がないため、溶媒を除去する工程が不要である等の利点はあるが、メタルマスクを用いた塗り分けが難しい。このため、乾式法は、設備製造コストの面から、特にパネルの大型化、量産化に不向きである。そこで、パネルの大型化や量産化にも比較的容易に対応可能な印刷方式が注目されている。
【0005】
印刷方式による成膜手法では、具体的には、TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等を含む回路基板上に、画素毎に下部電極を形成した後、この下部電極に対向して開口部を有する画素分離膜(いわゆるバンク)を形成する。そして、成膜した画素分離膜に撥液処理を施した後、上記機能層材料を含む溶液を塗布し、乾燥させることで、各開口部に機能層を形成することができる。ところが、このような溶液の塗布および乾燥の工程を経る場合、画素分離膜と下部電極との濡れ性が異なるために、乾燥時にそれらの界面付近において機能層が薄膜化し、電気的短絡を発生させる要因となる。これによって、表示画質が劣化する問題がある。
【0006】
そこで、上記のような画素分離膜と下部電極との間に、無機材料層を別途設ける(バンクを2層構造とする)ことにより、乾燥工程で生じる薄膜化部分が下部電極に接しないようにする手法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−249375号公報
【特許文献2】特開2005−326799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1,2の手法では、無機材料層を別途形成しなければならず(バンクを2段階の工程で形成しなければならず)、工程数や部品点数が増え、低コスト化を実現しにくいという問題がある。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、低コスト化を図りつつ表示画質の劣化を抑制することが可能な有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の有機EL表示装置は、基板上に設けられると共に、複数の開口部を有する画素分離膜と、複数の開口部に対応して設けられた複数の画素とを備え、複数の画素はそれぞれ、基板側から順に第1電極と、少なくとも有機発光層を含む機能層と、第2電極とを有するものである。第1電極は、その一部または全部が開口部の基板側の周縁部から離間して設けられている。
【0011】
本発明の電子機器は、上記本発明の有機EL表示装置を備えたものである。
【0012】
本発明の有機EL表示装置および電子機器では、画素分離膜の各開口部に対応して設けられ、基板側から順に第1電極、有機発光層を含む機能層および第2電極を有する画素において、第1電極の一部または全部が開口部の周縁部から離間して設けられている。これにより、成膜時に生じる機能層の薄膜化部分が、第1電極から離れた位置に形成され易くなる(第1電極に対応する実質的な発光領域では機能層の局所的な厚みの変化が生じにくくなる)。このため、第1電極および第2電極間における電気的短絡の発生が抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の有機EL表示装置および電子機器によれば、画素分離膜における各開口部に対応して、基板側から順に第1電極、有機発光層を含む機能層および第2電極を有する画素を設け、その第1電極の一部または全部を、開口部の周縁部から離間して設けるようにしたので、成膜時に生じる機能層の厚みむらが発光領域に対向して形成されないようにすることができる。これにより、画素分離膜と第1電極との間に、短絡防止用の他の層を別途形成することなく、発光領域での電気的短絡の発生を抑制することができる。よって、低コスト化を図りつつ、表示画質の劣化を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図2】図1に示した基板上の駆動回路の一例を表す図である。
【図3】図3に示した画素駆動回路の一例を表す図である。
【図4】図1に示した有機EL素子(画素)の詳細断面構成を表す図である。
【図5】図1に示したバンク層の開口部付近の拡大断面図である。
【図6】下部電極およびバンク層の平面構成の一例を表す図である。
【図7】図1に示した有機EL表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図8】図7に続く工程を表す断面図である。
【図9】図8に続く工程を表す断面図である。
【図10】図9に続く工程を表す断面図である。
【図11】図10に続く工程を表す断面図である。
【図12】比較例1に係る有機EL素子における主要部分の構成を表す断面図である。
【図13】比較例2に係る有機EL素子における主要部分の構成を表す断面図である。
【図14】下部電極および開口周縁部間の距離と開口率の関係を表す特性図である。
【図15】下部電極および開口周縁部間の距離と素子寿命の関係を表す特性図である。
【図16】変形例1に係る下部電極と開口部との配置関係を説明するための断面図である。
【図17】変形例1に係る下部電極と開口部との配置関係を説明するための断面図である。
【図18】変形例1に係る下部電極と開口部との配置関係を説明するための断面図である。
【図19】変形例2に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図20】上記実施の形態等の表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図21】上記実施の形態等の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図22】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図23】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図24】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図25】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態(層間絶縁膜(親液性)上において、下部電極がバンク層(撥液性)の開口部の周縁部から離間して配設された例)
2.変形例1(画素位置に応じて離間距離が異なる場合の例)
3.変形例2(基板上に有機平坦化膜を形成する場合の例)
4.適用例(電子機器への適用例)
【0016】
<実施の形態>
[有機EL表示装置の構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置1)の断面構成を表すものである。有機EL表示装置1は、例えばフルカラー表示が可能な有機ELテレビジョン装置等として用いられるものである。この有機EL表示装置1では、例えば、駆動基板10上に、表示領域(後述の表示領域110)を構成する複数の画素として、赤色光を発する有機EL素子10R,緑色光を発する有機EL素子10Gおよび青色光を発する有機EL素子10Bが例えばマトリクス状に配置されたものである。これらの有機EL素子10R,10G,10Bは、駆動基板10上において、画素分離膜としてのバンク層15によって区画された領域(開口部15a)にそれぞれ設けられている。
【0017】
(駆動基板10)
駆動基板10は、基板10a上に、TFT11および配線層12等を含む駆動回路(後述の画素駆動回路140等)が配設されたものである。例えば、TFT11は、ゲートおよびソース・ドレイン等の電極配線層と、チャネルを形成する半導体層と、層間絶縁膜11a,11bとが積層されてなるものであり、配線層12は、例えば層間絶縁膜11b上に形成されている。これらのTFT11および配線層12を覆うように、層間絶縁膜13(無機絶縁膜)が設けられている。本実施の形態では、この層間絶縁膜13の表面が、有機EL素子10R,10G,10Bおよびバンク層15の形成面となっている。
【0018】
基板10aは、例えば、石英、ガラス、金属箔、シリコン、プラスチック等からなる。TFT11は、例えば後述の画素駆動回路140における駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2に相当するものであり、その構成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)であってもよい。層間絶縁膜11a,11bは、酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(SiN)、酸化チタン(TiO2)および窒化チタン(TiN)のうちの少なくとも1種を含む単層膜あるいは積層膜もしくは混合組成物膜である。配線層12は、導電性金属よりなり、例えばTFT11のドレインに導通するものである。この配線層12は、下部電極14との接続面には、下部電極14に対する接触抵抗が小さな金属またはそのような金属酸化物を有することが望ましい。配線層12は、例えばモリブデン(Mo)またはチタン(Ti)等からなるか、あるいはアルミニウム(Al)または銅(Cu)をモリブデンまたはチタンで被覆したものでもよい。
【0019】
層間絶縁膜13は、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1種を含む単層膜あるいは積層膜よりなる。あるいは、酸窒化シリコン(SiNxy)または酸化アルミニウム(Alxy)を含んでいてもよく、更には、導電性を有さない金属酸化物を含んでいてもよい。この層間絶縁膜13には、配線層12の表面まで貫通するコンタクトホールが形成されており、このコンタクトホールを埋め込むように下部電極14が設けられている。これにより、下部電極14と配線層12とが電気的に接続され、下部電極14を介して有機EL素子10R,10G,10Bのそれぞれに所定の電位が供給されるようになっている。
【0020】
本実施の形態では、この層間絶縁膜13が、後述のバンク層15よりも、機能層16の成膜時に使用される有機溶媒に対して濡れ性が高くなっており、ここでは親液性膜として機能する。詳細は後述するが、このような層間絶縁膜13の表面に、下部電極14と、撥液性を有するバンク層15とが配設されている。
【0021】
図2は、駆動基板10の駆動回路の一例を表すものである。駆動基板10では、表示領域110に画素駆動回路140が設けられ、表示領域110の周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路120および走査線駆動回路130が設けられている。図3は、画素駆動回路140の一例を表したものである。画素駆動回路140は、後述する下部電極14の下層に形成されたアクティブ型の駆動回路である。この画素駆動回路140は、駆動トランジスタTr1および書き込みトランジスタTr2(前述のTFT11の相当)と、これらトランジスタTr1,Tr2の間のキャパシタ(保持容量)Csとを有している。画素駆動回路140はまた、第1の電源ライン(Vcc)および第2の電源ライン(GND)の間において、駆動トランジスタTr1に直列に接続された有機EL素子10R(または有機EL素子10G,10B)を有している。
【0022】
画素駆動回路140では、列方向に信号線120A、行方向に走査線130Aがそれぞれ複数配置されている。各信号線120Aと各走査線130Aとの交差部が、有機EL素子10R,10G,10Bのいずれか1つに対応している。各信号線120Aは、信号線駆動回路120に接続され、この信号線駆動回路120から信号線120Aを介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線130Aは走査線駆動回路130に接続され、この走査線駆動回路130から走査線130Aを介して書き込みトランジスタTr2のゲート電極に走査信号が順次供給されるようになっている。
【0023】
(有機EL素子10R,10G,10B)
有機EL素子10R,10G,10Bはそれぞれ、駆動基板10上に、陽極としての下部電極14、後述する発光層16cを含む機能層16、および陰極としての上部電極18がこの順に積層されたものである。これらの有機EL素子10R,10G,10Bは、保護層19により被覆されており、更にこの保護層19上に熱硬化型樹脂または紫外線硬化型樹脂等の接着層(図示せず)によってガラス等よりなる封止用基板20が貼り合わされており、これによって表示領域全体が封止されている。
【0024】
下部電極14は、有機EL素子10R,10G,10Bの画素毎に設けられている。下部電極14は、例えば厚みが10nm以上1000nm以下であり、ボトムエミッション型の場合には、透明導電膜、例えばインジウムとスズの酸化物(ITO)、InZnO(インジウ亜鉛オキシド)、および酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金のうちのいずれかよりなる単層膜または2種以上からなる積層膜により構成されている。この下部電極14は、トップエミッション型の場合には、光反射性に優れた(反射率40%以上が望ましい)導電性材料を用いて構成される。この下部電極4は、例えば、クロム(Cr),金(Au),白金(Pt),ニッケル(Ni),銅(Cu),タングステン(W)あるいは銀(Ag)等の金属元素の単体または合金よりなる。あるいは、下部電極14は、それらの金属元素の単体または合金よりなる金属膜と、ITO、InZnO、酸化亜鉛(ZnO)とアルミニウム(Al)との合金等の透明導電膜との積層構造を有していてもよい。尚、下部電極14が陽極として機能する場合には、下部電極14は正孔注入性の高い材料により構成されていることが望ましいが、そうでない材料(例えば、アルミニウム合金等)であっても、適切な正孔注入層を別途設けることによって下部電極14として使用することができる。
【0025】
図4は、有機EL素子(画素)の断面構造の一例を表すものである。このように、機能層16は、下部電極が陽極として機能する場合、例えば、下部電極14側から順に、正孔注入層16a,正孔輸送層16bおよび発光層16cを積層したものである。尚、発光層16cとしては、有機EL素子10R,10G,10Bのそれぞれにおいて対応する色の発光層(赤色発光層,緑色発光層,青色発光層)が設けられている。一方、発光層10c以外の、正孔注入層16aおよび正孔輸送層16bは、有機EL素子10R,10G,10Bの各画素に共通の層となっている。また、機能層16(発光層16c)と上部電極18との間には、各素子に共通して電子輸送層17が設けられている。尚、有機EL素子10R,10G,10Bの断面構造は、これに限定されず、他の層(例えば電子注入層等)を備えていてもよく、また、発光層の一部が共通の層となっていてもよい。例えば、有機EL素子10R,10Gにはそれぞれ対応する赤色,緑色の発光層が設けられ、青色の発光層は有機EL素子10R,10G,10Bに共通の層として設けられていてもよい。
【0026】
正孔注入層16aは、発光層16cへの正孔注入効率を高めるためのものであると共に、リークを防止するためのバッファ層である。この正孔注入層16aは、高分子材料からなり、印刷法によって成膜されるものである。その高分子材料の重量平均分子量(Mw)は1万〜30万の範囲であればよく、特に5000〜20万程度が好ましい。また、2000〜1万程度のオリゴマーを用いてもよいが、重量平均分子量(Mw)が5000未満では正孔輸送層以後の層を形成する際に、正孔注入層が溶解してしまうおそれがある。また30万を超えると材料がゲル化し、成膜が困難になる。尚、重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC;Gel Permiation Chromatography)により、ポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた値である。このような正孔注入層16aの構成材料は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択されればよいが、例えばポリアニリン、オリゴアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリフェニレンビニレン、ポリチエニレンビニレン、ポリキノリン、ポリキノキサリンおよびそれらの誘導体、芳香族アミン構造を主鎖又は側鎖に含む重合体などの導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボン等が挙げられる。正孔注入層16aの厚みは、例えば5nm〜100nmである。
【0027】
正孔輸送層16bは、発光層16cへの正孔輸送効率を高めるためのものである。この正孔輸送層16bについても、上記正孔注入層16aと同様、高分子材料からなり、印刷法によって成膜される。その重量平均分子量(Mw)は5万〜30万であることが好ましく、特に10万〜20万であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)が5万未満では、発光層16cを形成するときに、高分子材料中の低分子成分が脱落し、これによって有機EL素子の初期性能が低下したり、素子の劣化を引き起こすおそれがある。一方、30万を越えると、材料がゲル化するため、成膜が困難になる。このような正孔輸送層16bを構成する高分子材料としては、後述の有機溶媒に可溶な発光材料、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレン、ポリアニリン、ポリシランまたはそれらの誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロール等が挙げられる。この正孔輸送層16bの厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば10nm〜200nmである。
【0028】
発光層16cは、電界をかけることにより電子と正孔との再結合が起こり、光を発生するものである。この発光層16cは、高分子(発光)材料を含み、印刷法によって成膜されるものである。発光層16cを構成する高分子材料としては、発光色毎に以下のものが挙げられる。例えば、赤色光を発する有機EL素子10Rおよび緑色光を発する有機EL素子10Gでは、発光層16cの高分子材料として、ポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、あるいは上記高分子に有機EL材料をドープしたものが挙げられる。ドープ材料としては、例えばルブレン、ペリレン、9,10ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6等を用いることができる。青色光を発する有機EL素子10Bでは、ホスト材料としてアントラセン誘導体を用い、低分子蛍光材料、燐鉱色素あるいは金属錯体などをドープ材料として用いることができる。この発光層16cの厚みは、素子の全体構成にもよるが、例えば10nm〜200nmである。
【0029】
これらの正孔注入層16a,正孔輸送層16bおよび発光層16cの成膜時には、上記のような高分子材料を、例えばトルエン、キシレン、アニソール、シクロヘキサノン、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、ブサイドクメン(1,2,4−トリメチルベンゼン)、ジハイドロベンゾフラン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、テトラリン、シクロヘキシルベンゼン、1−メチルナフタレン、p−アニシルアルコール、ジメチルナフタレン、3−メチルビフェニル、4−メチルビフェニル、3−イソプロピルビフェニル、モノイソプロピルナフタレン等のうちの少なくとも1種を含む有機溶媒に溶解させた溶液が用いられる。
【0030】
電子輸送層17は、発光層16cへの電子輸送効率を高めるためのものである。この電子輸送層17の材料としては、例えば、キノリン、ペリレン、フェナントロリン、ビススチリル、ピラジン、トリアゾール、オキサゾール、フラーレン、オキサジアゾール、フルオレノン、またはこれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。具体的には、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(略称Alq3)、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、アントラセン、ペリレン、ブタジエン、クマリン、C60、アクリジン、スチルベン、1,10−フェナントロリンまたはそれらの誘導体や金属錯体が挙げられる。
【0031】
上部電極18は、例えば、厚みが2nm以上200nm以下であり、金属導電膜により構成されている。具体的には、アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg),カルシウム(Ca)およびナトリウム(Na)のうちの少なくとも1種を含む単体金属または合金が挙げられる。あるいは、ITO等の透明導電膜が用いられてもよい。この上部電極18は、下部電極14と絶縁された状態で機能層16上に形成され、有機EL素子10R,10G,10Bの共通電極となっている。
【0032】
尚、電子輸送層17と上部電極18との間には、図示しない電子注入層が設けられていてもよい。電子注入材料としては、例えばリチウム(Li)の酸化物である酸化リチウム(Li2O)や、セシウム(Cs)の複合酸化物である炭酸セシウム(Cs2CO3)、更にはこれらの酸化物及び複合酸化物の混合物を用いることができる。あるいは、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等のアルカリ土類金属、リチウム、セシウム等のアルカリ金属、更にはインジウム(In)、マグネシウム等の仕事関数の小さい金属を用いてもよい。
【0033】
(バンク層15)
バンク層15は、開口部15aを複数有しており、上記のような有機EL素子10R,10G,10Bにおける下部電極14と上部電極18との絶縁性を確保すると共に、それぞれの画素領域を区画(分離)するためのものである。バンク層15はまた、後述の製造工程において機能層16を印刷形成する際、隣接画素への影響なく機能層16の塗り分けを行うための隔壁としても機能するものである。このようなバンク層15は、機能層16の成膜時に使用される有機溶媒に対して濡れ性が低い状態(撥液状態)に保たれている。詳細には、バンク層15は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂およびノボラック樹脂等のうちのいずれかよりなり、その表面に所定の撥液処理(例えば、フッ素ガスを用いたプラズマ処理等)を施したものである。あるいは、フッ素を含有する撥液性樹脂により構成されていてもよい。このバンク層15の厚みは、例えば300nm〜3000nmである。
【0034】
このようなバンク層15の開口部15aには、上述のように有機EL素子10R,10G,10Bが設けられるが、本実施の形態では、下部電極14が開口部15a内の所定の位置に設けられ、この下部電極14を覆うように機能層16が形成されている。以下、そのような開口部15a付近の詳細構成について説明する。
【0035】
(バンク層15の開口付近の詳細構成)
図5は、バンク層15の開口部15a付近の断面構造を拡大したものである。図6は、バンク層15の開口部15aに配置した下部電極14を上面側からみたものである。尚、図5では、主要部分のみの構成を示している。このように、本実施の形態では、有機EL素子10R,10G,10Bの各下部電極14が、開口部15aの周縁部15eから離間して配設されている。ここでは、下部電極14は、例えば矩形状の面形状を有しており、その矩形状における4辺に対応する端部14eがそれぞれ、開口部15aの周縁部15eから、距離D(離間距離)だけ間隔をあけて配置されている。即ち、ここでは、駆動基板10上に設けられた層間絶縁膜13の表面の一部が、バンク層15および下部電極14間の領域において露出しており、この露出した領域と下部電極14とを覆うように機能層16が設けられている。更に言い換えると、バンク層15は、下部電極14ではなく、層間絶縁膜13の表面に接して設けられている。
【0036】
このように機能層16は、下部電極14と、下部電極14とバンク層15との間の領域を覆うように設けられるが、この機能層16は、成膜過程において生じる厚みむらを有している。詳細には、機能層16は、印刷法によって成膜されるが、有機溶媒の乾燥工程において、局所的に薄膜化する部分(薄膜化部分A)を生じる(詳細は後述)。本実施の形態では、このような機能層16の薄膜化部分Aが、開口部15aの周縁部15eと、下部電極14の端部14eとの間の領域(つまり、露出した層間絶縁膜13上の領域)に形成されている。換言すると、機能層16は、少なくとも下部電極14に対向する領域において略均一な厚みで形成されている。この下部電極14に対向する領域が実質的な発光領域(発光領域10L)となる。
【0037】
上記のような距離D(μm)は、具体的には5μm以上であることが望ましく、以下の式(1)を満足することがより望ましい。更に望ましくは、以下の式(1),(2)を満足するとよい。但し、B(μm)を、隣り合う下部電極14同士の間の幅とする。また、詳細には、図6に示したように、X方向,Y方向のそれぞれに沿って2種類の幅B(B1,B2)が存在するため、これらの幅B1,B2の両方において、以下の式(1),(2)が成り立つことがより望ましい。
5≦D≦(1/2)×(B−15) ………(1)
25≦B ………(2)
【0038】
距離Dが小さくなり過ぎる場合、具体的には5μm未満である場合、下部電極14の直上の領域、つまり発光領域10Lに重畳して薄膜化部分Aが形成されてしまい、発光領域10Lにおける膜厚の均一性が得られない。即ち、実質開口率を低下させることとなるため、距離Dは5μm以上であることが望ましい。一方、距離Dが大きくなり過ぎると、発光領域10Lに寄与しない面積が増えるため不要材料(機能層16において発光に寄与しない有機材料)が増加し、また、下部電極4のサイズ自体を小さくする必要が生じることもあるため、逆に開口率を低下させてしまう。このため、距離Dの上限は、上記式(1)のように設定することが望ましい。尚、この式(1)の上限においては、Bが15μm以上であることを必要条件とするが、これは、次のような理由に基づくものである。即ち、機能層16の成膜プロセスでは、機能層材料(インク)をバンク層15によって囲まれた領域に滴下するが、この際、インクをバンク層15の上面にまで盛り上がるように滴下する(例えば後述の図9参照)。このため、下部電極14同士の間隔が狭くなり過ぎると(Bが小さ過ぎると)、隣接画素にインクがはみ出し、発光不良の原因となる。Bが15μm以上であれば、そのような隣接画素への影響が抑制されることが実験的にわかっているため、このことを加味して、上記式(1)の上限が設定されている。
【0039】
尚、ここでは、下部電極14の4つの端部14eのそれぞれから周縁部15eまでの各距離が等しいように図示しているが、必ずしも下部電極14の各端部14eが周縁部15eから同じ距離だけ離れている必要はなく、各辺に対応する端部14e毎にそれぞれ離間距離が異なっていてもよい。また、必ずしも全ての端部14eが周縁部15eから離れていなくとも、少なくとも一部において、下部電極14とバンク層15が離間して配置されていればよい。例えば、下部電極14の一部、例えば4辺のうちの1辺に対応する端部14eが、周縁部15eに接し(あるいはバンク層15に重畳して形成され)、他の3辺に対応する端部14eが周縁部15eから離間して配置されたような構成であってもよい。
【0040】
保護層19は、例えば厚みが2〜3μmであり、絶縁性材料または導電性材料のいずれにより構成されていてもよい。絶縁性材料としては、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(a−Si),アモルファス炭化シリコン(a−SiC),アモルファス窒化シリコン(a−Si1-xx)、アモルファスカーボン(a−C)等が好ましい。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。
【0041】
封止用基板20は、接着層(図示せず)と共に有機EL素子10R,10G,10Bを封止するものである。この封止用基板20は、有機EL素子10R,10G,10Bで発生した各色光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。封止用基板20には、例えば、カラーフィルタおよびブラックマトリクスとしての遮光膜(いずれも図示せず)が設けられていてもよい。これにより、有機EL素子10R,10G,10Bで発生した各色光を取り出すと共に、有機EL素子10R,10G,10B間および配線等において反射された外光を吸収して、コントラストを改善することができる。カラーフィルタは、有機EL素子10R,10G,10Bに対応して配置された赤色,緑色および青色のフィルタを有し、各色のフィルタは顔料を混入した樹脂よりなる。遮光膜は、例えば黒色の着色剤を混入した樹脂膜、または薄膜の干渉を利用した薄膜フィルタにより構成されている。薄膜フィルタは、例えば、金属,金属窒化物あるいは金属酸化物よりなる薄膜を1層以上積層し、薄膜の干渉を利用して光を減衰させるものである。
【0042】
[有機EL表示装置の製造方法]
上記のような有機EL表示装置1は、例えば次のようにして製造することができる。図7〜図12は、有機EL表示装置1の製造方法を工程順に表したものである。
【0043】
まず、上述のように無機材料よりなる層間絶縁膜13を最表面に有する(TFT11および配線層12を覆う層間絶縁膜13を有する)駆動基板10を用意する。尚、層間絶縁膜13は、上述のようにSiO2等の無機絶縁材料からなり、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法により成膜することができる。このような駆動基板10において、層間絶縁膜13の配線層12に対応する領域に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)技術を用いて、コンタクトホールを形成し、このコンタクトホールを埋め込むように上述した材料よりなる下部電極14を成膜する。
【0044】
この後、図7(A)に示したように、成膜した下部電極14を、所定の幅W(W1,W2)の矩形状にパターニングする。続いて、駆動基板10の全面に渡ってバンク層15となる樹脂材料を成膜した後、例えばフォトリソグラフィ法により、下部電極14に対応する領域に開口部15aを形成する。この際、図7(B)に示したように、開口部15aを、その周縁部15eが、下部電極14の端部14eから所定の距離Dだけ離間するように形成する。距離Dの調整は、下部電極14のサイズではなく、バンク層15の開口部15aのサイズを変更することにより行うとよい。即ち、開口部15aの形成時には所定の開口部15aの形成位置に対応して開口が設けられたフォトマスクを使用するが、そのフォトマスクにおける開口の形状や大きさを適宜設定することにより、距離Dを設定すればよい。また、そのような距離Dが、上述の式(1)を満たすようにすることが望ましい。
【0045】
続いて、図8に示したように、形成したバンク層15の表面に撥液処理を施す。撥液処理としては、例えばフッ素ガスまたはその混合ガスを用いた平行平板型のプラズマ処理等が挙げられる。尚、この撥液処理では、有機材料からなるバンク層15のみが撥液化され、無機材料からなる下部電極14および層間絶縁膜13については、撥液化されずに親液性が保たれる。
【0046】
次に、バンク層15の複数の開口部15a内に、上述した材料よりなる機能層16を印刷法(湿式法)により形成する。具体的には、まず図9(A)に示したように、機能層材料160(ここでは、例えば正孔注入材料を構成するポリアニリンまたはポリチオフェン等の溶液または分散液)を、液滴吐出法等を用いて塗布する。液滴吐出法等としては、例えばインクジェット法、スリットコート法およびノズルコート法等が挙げられる。このようにして滴下された機能層材料160は、バンク層15と下部電極14(および層間絶縁膜13)との間の濡れ性の違いにより、バンク層15の開口部15a内に凝集される(図9(B))。尚、印刷法としては、上記のような液滴吐出法によるものの他、有版印刷法等を用いてもよい。
【0047】
続いて、図10に示したように、熱処理(乾燥処理)を行うことにより、各開口部15a内に機能層16(ここでは、正孔注入層16a)を形成する。具体的には、溶媒または分散媒を乾燥後、高温で加熱する。正孔注入材料としてポリアニリンやポリチオフェン等の導電性高分子を用いる場合、大気雰囲気、もしくは酸素雰囲気が好ましい。酸素による導電性高分子の酸化により、導電性が発現しやすくなるためである。また、加熱温度は、例えば150℃〜300℃、時間は、温度や雰囲気にもよるが、例えば5分〜300分程度である。
【0048】
上記乾燥工程では、濡れ性の異なる層同士の間の界面(バンク層15と層間絶縁膜13との界面)付近が、乾燥の過程において薄膜化の起点となり、上述の薄膜化部分Aの一部を形成する。一方、成膜された正孔注入層16aの下部電極14に対応する領域(発光領域)では、膜厚が略均一となる。
【0049】
この後、正孔輸送層16bおよび発光層16cを、上記と同様の塗布、乾燥および熱処理の各工程を経て成膜することにより、機能層16を形成する。機能層16において、これらの正孔輸送層16bおよび発光層16cは、上記正孔注入層16aの形状に倣って順次積層されるため、下部電極14に対応する発光領域では略均一な膜厚となる。
【0050】
尚、正孔輸送層16bを成膜する際には、熱処理工程を、窒素(N2)を主成分とする雰囲気中で行うことが好ましい。酸素や水分があると、作成された有機EL表示装置の発光効率や寿命が低下するおそれがあるため、酸素濃度は、例えば100ppm以下とするとよい。また、加熱温度は、例えば100℃〜230℃とすることが望ましい。また、発光層16cを成膜する際、詳細には、各色発光層が所定の位置に配されるように、塗布工程において、赤色発光材料、緑色発光材料および青色発光材料を複数の開口部15aのうちの選択的な開口部15aにそれぞれ塗布するようにする。具体的には、各色発光層の構成材料である高分子材料および低分子材料を、例えばキシレンとシクロヘキシルベンゼンを2:8に混合した溶媒に溶解した混合溶液または分散液を、正孔輸送層16b上に塗布する。
【0051】
次に、図11に示したように、機能層16上の全面にわたって、例えば真空蒸着法により、上述した材料よりなる電子輸送層17および上部電極18をこの順に形成する。尚、この電子輸送層17と上部電極18との間に電子注入層を形成するようにしてもよい。これらの電子輸送層17および上部電極18(電子注入層を形成する場合には電子注入層についても)は、大気に暴露されることなく同一の成膜装置内において連続的に成膜される。このような連続成膜により大気中の水分による機能層16の劣化が防止される。
【0052】
上部電極18を形成した後、例えば蒸着法やCVD法により、保護層19を形成する。この後、例えば保護層19上に、接着層(図示せず)を介して封止用基板20を貼り合わせる。以上により、図1に示した有機EL表示装置1が完成する。
【0053】
[作用・効果]
有機EL表示装置1では、各画素に対して走査線駆動回路130から書き込みトランジスタTr2のゲート電極を介して走査信号が供給されると共に、信号線駆動回路120から画像信号が書き込みトランジスタTr2を介して保持容量Csに保持される。この保持容量Csに保持された信号に応じて駆動トランジスタTr1がオンオフ制御され、有機EL素子10R,10G,10Bに駆動電流Idが注入される。これにより、有機EL素子10R,10G,10Bでは、発光層16cにおいて正孔と電子との再結合により発光が起こる。このようにして生じた光は、下面発光(ボトムエミッション)の場合には下部電極14および駆動基板10を透過して、上面発光(トップエミッション)の場合には、上部電極18,カラーフィルタ(図示せず)および封止用基板20を透過してそれぞれ取り出される。
【0054】
この有機EL表示装置1において、本実施の形態では、R,G,Bの各画素に対応する画素領域がバンク層15の開口部15aによって区画され、この開口部15aに下部電極14、発光層16cを含む機能層16が順に設けられている。このような開口部15aにおいて、下部電極14は、開口部15aの周縁部15eから離間して配設されている。この開口部15および下部電極14の配置による作用効果について、以下に比較例(比較例1,2)を挙げて説明する。
【0055】
(比較例1)
図12は、比較例1に係るバンク層の開口部と下部電極との配置関係について示したものである。この比較例1においても、本実施の形態と同様、層間絶縁膜103上に下部電極104が配設されており、この下部電極104が配線層102と電気的に接続されている。また、層間絶縁膜103および下部電極104上には、画素分離のためのバンク層105が設けられ、バンク層105は下部電極104に対応する領域に開口部105aを有している。そして、この開口部105a内における下部電極104上に、発光層を含む機能層106が、機能層材料を含む溶液の塗布工程、および溶媒の乾燥工程を含む印刷法により成膜されるようになっている。即ち、比較例1では、下部電極104の表面(上面)に開口部105aの周縁部105eが配置されており、このため下部電極104の開口部105aによって露出した部分に対応する領域が発光領域(発光領域100a)となる。
【0056】
ところが、この比較例1のように、下部電極104上に開口部105の周縁部105eが配置されている場合、機能層106の成膜過程(溶媒の乾燥工程)において、次のような不具合が生じる。即ち、機能層材料は、乾燥の過程において、バンク層105(撥液性)と下部電極104(親液性)との界面付近を起点として薄膜化し、これにより開口部105aの周縁部105e付近に薄膜化部分A100が形成される。即ち、発光領域100a内に薄膜化部分A100が形成され、機能層106の発光に寄与する部分に膜厚のむらが生じる。この結果、上下電極間での電気的短絡が発生し易くなり、表示画質が低下してしまう。
【0057】
(比較例2)
図13は、比較例2に係るバンク層の開口部と下部電極との配置関係(2段バンク構造)について示したものである。この比較例2においても、本実施の形態および比較例1と同様、層間絶縁膜103上に下部電極104が配設されており、この下部電極104が配線層102と電気的に接続されている。また、層間絶縁膜103および下部電極104上には、画素分離のためのバンク層105が設けられ、バンク層105は下部電極104に対応する領域に開口部105aを有している。そして、この開口部105a内における下部電極104上に、発光層を含む機能層106が、機能層材料を含む溶液の塗布工程、および溶媒の乾燥工程を含む印刷法により成膜されるようになっている。但し、比較例2では、上記比較例1と異なり、下部電極104とバンク層105との間に、例えばSiO2等よりなる無機絶縁膜107が設けられている。詳細には、下部電極107上に、開口部107aを有する無機絶縁膜107が設けられ、この無機絶縁膜107上にバンク層105が形成されている。即ち、比較例2では、バンク層105の周縁部105eは、無機絶縁膜107上に配置され、下部電極104のうち、無機絶縁膜107の開口部107aによって露出した部分に対応する領域が発光領域(発光領域100b)となる。
【0058】
この比較例2のように、バンク層105と下部電極104との間に無機絶縁膜107を設けることで、機能層材料は、乾燥の過程において、バンク層105(撥液性)と無機絶縁膜107(親液性)との界面付近を起点として薄膜化する。これにより、開口部105aの周縁部105e付近において薄膜化部分A101が形成されるが、発光領域100bでは機能層106の膜厚むらの発生が抑制される。しかしながら、この比較例2の手法では、下部電極104を形成した後、バンク層105を形成する前に、無機絶縁膜107を成膜してパターニングする工程を要するため、工程数および部品点数が増え、低コスト化を実現しにくい。
【0059】
これに対し、本実施の形態では、図4に示したように、層間絶縁膜13上において、バンク層15の各開口部15aでは、下部電極14の一部または全部が開口部15aの周縁部15eから離間して設けられている。即ち、バンク層15と下部電極14との間の領域に、親液性を有する層間絶縁膜13が露出している。これにより、機能層16の成膜時には、機能層材料(ここでは正孔注入材料)がバンク層15と露出した層間絶縁膜13との界面付近(開口部15aの周縁部15e付近)を起点として薄膜化する。これにより、薄膜化部分Aが、下部電極14から離れた位置に形成され易くなる(下部電極14に対応する実質的な発光領域10Lでは機能層16の局所的な厚みの変化が生じにくくなる)。このため、下部電極14および上部電極18間における電気的短絡の発生が抑制される。
【0060】
以上のように本実施の形態では、下部電極14が、バンク層15における開口部15aの周縁部15eから離間して配置されることにより、下部電極14に対応する発光領域10Lでは、機能層16が略均一な膜厚で形成されるため、電気的短絡の発生を抑制できる。また、短絡防止用の層(上記比較例2の無機絶縁膜107)を別途設けることなく、即ちバンク層15の開口部15aのサイズを調整するだけでよい(バンク層15のパターニング時のマスクを変更するだけでよい)ため、工程数および部品点数を増加させることもない。よって、低コスト化を図りつつ表示画質を向上させることが可能となる。
【0061】
(実施例)
上述のように、下部電極14をバンク層15から離間して配設した画素構造において、実質開口率および寿命について評価を行った。この際、まず、実施例として、以下のようなサンプルを形成した。即ち、基板10aとしてガラス基板(25mm×25mm)を用意し、この基板10a上に、層間絶縁膜13としてのSiO2層(膜厚300nm)を形成した後、ITO(膜厚60nm)を成膜し、フォトリソグラフィ法によりパターニングすることにより、下部電極14を形成した。この後、バンク層15としては、ポリイミド樹脂材料を用い、開口部15aの形成後、熱処理(230℃、1時間)を施した。この後、酸素プラズマにより下部電極14の洗浄を行った後、CF4ガスを用いたプラズマ処理により、バンク層15の撥液処理を行った。
【0062】
このようにして形成したバンク層15上に、正孔注入層16aとして、日産化学工業株式会社製ND1501(商品名)を、ノズルコート法により塗布し、大気中で230℃30分間ベークした。続いて、正孔輸送層16bとして、正孔輸送材料をキシレンもしくはキシレンの沸点より高い溶媒もしくは混合溶媒で溶解させたTHF溶液をノズルコート法で塗布した。この後、塗布装置内を負圧の状態まで排気し、溶媒を真空乾燥させた後、180℃30分でベークした。続いて、発光層16cとしては、B画素にはイリジウム錯体を含む青色発光の高分子材料BPP、G画素には緑色発光の高分子材料GPP、R画素には赤色発光の高分子材料RPPに低分子材料をそれぞれ用いた。発光層16cについても、塗布装置内を負圧の状態まで排気し、溶媒を真空乾燥させた後、130℃で30分ベークした。この後、電子輸送層17および上部電極18をそれぞれ真空蒸着により成膜した。
【0063】
上記のような構造において、下部電極14と開口部15aの周縁部15eとの間の距離Dを、1μm〜15μmの間で段階的に変化させて開口率および素子寿命を測定した。但し、これらの開口率および素子寿命は、上記比較例2で説明したような2段バンク構造を採用した場合の開口率および素子寿命をそれぞれ100とした場合の相対値として示してある。尚、比較例2の2段バンク構造(無機絶縁膜107とバンク層105との2段構造)では、無機絶縁膜107として膜厚50nmのSiO2を用い、バンク層105として膜厚1μmのポリイミド樹脂を用いた。このようにして測定した距離Dと開口率の関係を図14、距離Dと素子寿命との関係を図15にそれぞれ示す。
【0064】
図14および図15に示したように、距離Dが大きくなるに従って、機能層16の膜厚の均一性が確保され易くなり、開口率および素子寿命が向上していることがわかる。特に、距離Dが5μm以上であると、2段バンク構造を形成する場合をほぼ同等の効果が得られることもわかる。即ち、下部電極14と開口部15aの周縁部15eとの間の距離Dは5μm以上であることが望ましいことが実験により明らかとなった。
【0065】
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。尚、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0066】
<変形例1>
図16〜図18は、変形例1に係る下部電極14とバンク層15の開口部15との配置関係について説明するためのものである。上記実施の形態では、機能層16の成膜時において、機能層材料を例えば液滴吐出法により塗布することを述べたが、この際、具体的には、塗布装置に設けられたノズルから所定量の機能性材料を滴下していくことによって行う。ここで、塗布装置では、画素数(画素列の数)と同数のノズルを設けることは、ノズルヘッドの巨大化を招き装置が大掛かりなものとなる。そのため、図16に示したように、塗布装置には所定数のノズルを設置し、所定の画素列毎に往復スキャンしつつ滴下することにより、基板全体に対して機能層材料を塗布することが望ましい。
【0067】
このように、往復スキャンしつつ機能性材料を滴下していく場合、バンク層15の端部(詳細には、往復スキャンの切り目となる端部)に位置する画素Peと、それ以外の画素Pc(例えば、中央部に位置する画素)とにおいて、乾燥後の機能層16の膜厚に違いが生じる。このため、本変形例では、画素位置に応じて、下部電極14と開口部15aの周縁部15eとの距離Dを異なるように設定する。
【0068】
具体的には、中央部にある画素Pcでは、図17に示したように、スキャン方向S1の進行方向に沿った方向において、下部電極14の両側の領域Sa,Sbの幅(距離D)はいずれもd1となっている。これは、中央部のように端部以外にある画素では、スキャン方向S1に沿って隣接画素が存在するため、下部電極14の両側において滴下量が同等となり、塗布、乾燥後の機能層16の膜厚は略均一となる。
【0069】
一方、端部にある画素Peでは、スキャン方向S1の進行方向に沿って隣接画素が存在しないため、領域Sa,Sbにおいて距離Dをいずれも画素Pcと同等(=d1)とした場合、機能層16の端部側において、薄膜化部分A1が発光領域10Lに重畳して形成され、いわゆるスワスムラといわれる膜厚むらが発生してしまう(図18(A))。これは、往復スキャンの切り目となる端部において、機能性材料の滴下部分と非滴下部分とが混在するためである。そのため、このような端部画素Peでは、端部側の領域Sbにおける距離D(=d2)を他の画素における距離D(=d1)よりも大きくなるように設定する。
【0070】
尚、距離Dを局所的に変化させる際には、下部電極14のサイズは変更せずに、バンク層15における開口部15aの開口面積を調整するとよい。
【0071】
本変形例のように、画素位置に応じて距離Dを変化させるようにしてもよく、例えばスキャン端に位置する画素では距離Dを相対的に大きく、中央部に位置する画素では距離Dを相対的に小さく設定することができる。これにより、上記実施の形態と同等の効果を得ると共に、スワスムラを抑制して、表示領域の全域において、良好な表示画質を実現することができる。
【0072】
<変形例2>
図19は、変形例2に係る有機EL表示装置の断面構成を表したものである。本変形例では、上記実施の形態と同様、駆動基板10上に、複数の開口部15aを有するバンク層15を有し、各開口部15aにおいて下部電極14が開口部15aの周縁部15eから離間して配設されている。また、そのような下部電極14上に、発光層16cを含む機能層16が印刷法により成膜されており、機能層16上には電子輸送層17および上部電極18が設けられている。尚、図示は省略するが、この上部電極18上には保護膜19および封止用基板20を備えている。
【0073】
但し、本変形例では、駆動基板10において、TFT11および配線層12を覆って、層間絶縁膜13と共に有機平坦化膜21が設けられている。このような有機平坦化膜21を用いる場合には、その有機平坦化膜21を下部電極14の下層にのみ配置する。あるいは、バンク層15下に配置されていてもよい。但し、バンク層5の開口部15aの周縁部15eに対向する領域には、層間絶縁膜13が露出するようにする。
【0074】
本変形例のように、駆動基板10の所定の領域に有機平坦化膜21が設けられていてもよい。このような構成であっても、無機材料よりなる層間絶縁膜13が、少なくともバンク層15の開口部15aの周縁部15eに対向して形成されていれば、機能層16の薄膜化部分を発光領域外に形成することができ、上記実施の形態と同等の効果を得ることができる。
【0075】
<適用例>
以下、上記実施の形態および変形例で説明した有機EL表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態等の有機EL表示装置は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等の有機EL表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0076】
(モジュール)
上記実施の形態等の有機EL表示装置は、例えば、図20に示したようなモジュールとして、後述する適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆動基板10の一辺に、封止用基板20から露出した領域210を設け、この露出した領域210に、信号線駆動回路120および走査線駆動回路130の配線を延長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。外部接続端子には、信号の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)220が設けられている。
【0077】
(適用例1)
図21は、適用例1に係るテレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部300を有しており、この映像表示画面部300は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0078】
(適用例2)
図22は、適用例2に係るデジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャッターボタン440を有しており、その表示部420は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0079】
(適用例3)
図23は、適用例3に係るノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボード520および画像を表示する表示部530を有しており、その表示部530は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0080】
(適用例4)
図24は、適用例4に係るビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有しており、その表示部640は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0081】
(適用例5)
図25は、適用例5に係る携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置により構成されている。
【0082】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等において説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定されるものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件としてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態等では、下部電極14の全部(矩形状の全辺に対応する4つの端部の全て)が、バンク層15の開口部15aの周縁部15eから離間して配設された場合を例に挙げて説明したが、必ずしも全部において離間している必要はない。例えば、一部がバンク層15と接触していてもよい。例えば、下部電極14はその下層に設けられたドレイン電極等の配線層12と電気的に接続されるが、その接続部分がバンク層15と接触して形成されていてもよい。あるいは、そのような接続部分は、層間絶縁膜に設けられたコンタクトホールを埋め込むようにして形成されるため、通常、この接続部分に対応する領域では電極材料が沈みこみ、下部電極表面に窪みが生じる。このような窪み部分にバンク層が重畳して設けられていてもよい。
【0084】
更に、上記実施の形態等では、有機EL素子10R,10G,10Bの構成を具体的に挙げて説明したが、全ての層を備える必要はなく、また、他の層を更に備えていてもよい。また、上記実施の形態等では、青色以外の有機EL素子として赤色および緑色の有機EL素子を備えた表示装置について説明したが、本発明はこれに限定されず、印刷法を用いて機能層を形成可能な表示装置全般に適用可能である。例えば、青色有機EL素子と黄色有機EL素子からなる表示装置への適用も可能である。
【0085】
加えて、上記実施の形態等では、アクティブマトリクス型の表示装置の場合について説明したが、本発明はパッシブマトリクス型の表示装置への適用も可能である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記実施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加してもよい。その場合、画素駆動回路の変更に応じて、上述した信号線駆動回路120や走査線駆動回路130のほかに、必要な駆動回路を追加してもよい。
【0086】
また、上記実施の形態等では、有機EL表示装置がトップエミッション型あるいはボトムエミッション型である場合について説明したが、上面および下面の両方から光を取り出すタイプの有機EL表示装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1…有機EL表示装置、10…駆動基板、10R,10G,10B…有機EL素子、10a…基板、11…TFT、12…配線層、13…層間絶縁膜、14…下部電極、14e…端部、15…バンク層、15a…開口部、15e…周縁部、16…機能層、16a…正孔注入層、16b…正孔輸送層、16c…発光層、17…電子輸送層、18…上部電極、19…保護層、20…封止用基板、21…有機平坦化膜。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に設けられると共に、複数の開口部を有する画素分離膜と、
前記複数の開口部に対応して設けられた複数の画素とを備え、
前記複数の画素はそれぞれ、前記基板側から順に第1電極と、少なくとも有機発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、
前記第1電極は、その一部または全部が前記開口部の前記基板側の周縁部から離間して設けられている
有機EL表示装置。
【請求項2】
前記画素分離膜は撥液性を有し、
前記第1電極および前記画素分離膜は、前記基板上に親液性膜を介して設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記基板上に、前記画素を駆動するトランジスタ部と、このトランジスタ部を覆う層間絶縁膜を有し、
前記層間絶縁膜が前記親液性膜を兼ねている
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記第1電極と前記周縁部との離間距離は、前記画素分離膜における前記開口部の位置に応じて異なるものである
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記離間距離は、前記画素間分離膜の端部に設けられた開口部において、前記画素間分離膜の中央部に設けられた開口部よりも大きくなっている
請求項4に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記複数の開口部では、その開口面積が前記開口部の位置に応じて異なり、前記第1電極の大きさは同等である
請求項4に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記下部電極下の選択的な領域に有機平坦化膜が設けられている
請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記親液性膜は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化チタンおよび窒化チタンのうちの少なくとも1種を含むものである
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記画素分離膜は、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂およびノボラック樹脂のうちのいずれかよりなる
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記機能層は高分子材料よりなる
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項11】
前記第1電極は、前記親液性膜上において、前記開口部の前記周縁部よりも内側に配設されている
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項12】
前記第1電極は、前記開口部の前記周縁部から5μm以上離間して設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項13】
前記機能層は、前記開口部の前記周縁部と前記第1電極との間の領域に局所的に薄膜化された部分を有する
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項14】
基板上に設けられると共に、複数の開口部を有する画素分離膜と、
前記複数の開口部に対応して設けられた複数の画素とを備え、
前記複数の画素はそれぞれ、前記基板側から順に第1電極と、少なくとも有機発光層を含む機能層と、第2電極とを有し、
前記第1電極は、その一部または全部が前記開口部の前記基板側の周縁部から離間して設けられている
有機EL表示装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2012−190682(P2012−190682A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53989(P2011−53989)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】