説明

有機EL表示装置の駆動方法及び駆動回路

【課題】 有機EL表示装置の駆動方法及び駆動回路には、従来よりさらに消費電力を低減する事や画像の表示精度を高める事が求められている。有機EL素子に流れる電流を制御する駆動TFTに画像信号を書込む際に、そのゲートとドレインを短絡する従来の電流プログラミング方式では、これらの課題に十分には応えられない。
【解決手段】
各画素回路の有機EL素子の一方の電極を第1の給電線に常に接続し、該有機EL素子の他方の電極を常に該画素回路の駆動TFTのドレインに接続し、信号書込み期間には、駆動TFTのゲートを第3の給電線に接続しつつ駆動TFTのソースを信号線に接続し、信号電流を流してこの時の駆動TFTのゲートソース間電圧を保持し、画像表示期間には、駆動TFTのゲートを第3の給電線から切り離し、駆動TFTのソースを信号線から切り離し第2の給電線に接続して有機EL素子に電流を流す有機EL表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置の新規な駆動方法と、この方法の実施に好適な駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
有機材料のエレクトロルミネッセンス(electro luminescence:以下ELと略記。)を利用した有機EL素子は、有機分子からなる発光層やキャリア輸送層を積層してなる有機化合物層を上部電極と下部電極との間に挟んで構成され、電極間に流れる電流によって駆動され、その輝度は流れる電流(駆動電流)にほぼ正確に比例する。有機EL素子をマトリックス状に配置して構成される有機EL表示装置は色再現性に優れ、また入力信号に対する応答性が良好なのでカラーの動画表示には特に好適である。さらに高輝度発光が可能で視野角が広いため、広範な環境下で使用出来る。有機化合物層の材料としては、真空蒸着が可能な低分子系の材料と、スピンコート法やインクジェット法による塗布が出来るオリゴマーやポリマー系の材料がある。現状では低分子系材料の使用例が多いが、今後大画面表示に好適なオリゴマーやポリマー系材料の使用例も増えると思われる。
【0003】
また画素の駆動方法としては、互いに直交する方向に伸びるストライプ状の下部電極及び上部電極の間に電流を直接流して、この間に挟まれた有機EL素子を発光させる単純マトリックス型と、各有機EL素子を駆動する薄膜トランジスタ(thin film transistor:以下TFTと略記。)やキャパシタンス等から構成される画素回路がマトリックス状に配置され、各画素に画像信号を送り、画素回路がこの信号を保持し、保持した信号に基づいて有機EL素子が発光して画像を表示するアクティブマトリックス型がある。アクティブマトリックス型は、画素間の画像信号の錯綜が少なく、大画面、高精細で画素数の多い表示装置には特に好適である。
【0004】
アクティブマトリックス型の駆動方式には、大別して電圧プログラミング方式と電流プログラミング方式がある。電圧プログラミング方式では、駆動TFTのゲートに画像信号となる電位を直接加えてこれを保持する。駆動TFTを流れる電流はゲートの電位により制御されるが、両者の対応関係は個々のTFTによってバラツキがあり、動作時間と共に経時変化する事も少なくない。そのため電圧プログラミング方式では、画素ごとに輝度ムラを生じたり、画像の焼き付きが生じたりし易い。一方電流プログラミング方式では、画像表示の直前に各画素の駆動TFTに画像信号となる電流を実際に流してその際のゲート電位を保持するため、電圧プログラミング方式に比べ駆動TFTの特性のバラツキや経時変化の影響を受け難い。
【0005】
図3は電流プログラミング方式の駆動回路の一例である。この駆動回路は、画素回路100と、第1の給電線101と、第2の給電線102と、信号線103と、信号線103に接続された信号電流源104から構成される。
【0006】
画素回路100は、一方の電極が第1の給電線101に接続された有機EL素子106と、ドレインが有機EL素子106の他方の電極に接続された駆動TFT107と、駆動TFT107のゲートソース間電圧の保持手段108と、駆動TFT107のゲートとドレインの間に設けられた第1のスイッチ109と、駆動TFT107のソースと信号線103の間に設けられた第2のスイッチ110と、駆動TFT107のソースと第2の給電線102の間に設けられた第3のスイッチ111から構成される。
【0007】
プログラミング期間すなわち信号書込み期間には、第1のスイッチ109と第2のスイッチ110を閉じ、第3のスイッチ111を開いて信号電流源104から画像信号に応じた信号電流を駆動TFT107のソースに供給する。このときのソースゲート間電圧が、ソースとゲートの間に設けられた電圧保持手段(図3では容量)108に保持される。
【0008】
画像表示期間には、第1のスイッチ109と第2のスイッチ110が開き、第3のスイッチ111が閉じる。信号書き込み期間に定められ保持されたソースゲート間電圧にしたがって駆動TFT107に電流が流れ、有機EL素子106が発光する。
【0009】
図3では、駆動TFT107はpチャンネル型で、ドレイン端子が有機ELのアノードに接続されて、ドレインから有機EL素子に向けて電流を流している。駆動TFT107がnチャンネル型のときは、ソースとドレインの位置を入れ替えて、ドレイン端子を有機ELのカソードに接続し、有機EL素子からドレインに向けて電流が流れるようにしてもよい。その例が特許文献1に提案されている。
【0010】
画素回路100は、ガラス基板上にアモルファスシリコンやポリシリコンを用いて作られるが、特許文献2に開示のあるInGaZnO等の金属酸化物を用いることもできる。
【特許文献1】米国特許第6229506号明細書
【特許文献2】国際公開第05/088726号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
有機EL表示装置は、携帯電話やデジタルカメラ等のモバイル機器に使用される事が多く、消費電力をできるだけ低くする必要がある。表示期間中の消費電力を低減するためには、電源電圧(図3では第1と第2の給電線間電圧)を出来るだけ低く抑える事が効果的である。
【0012】
従来の電流プログラミング方式の画素回路は、電流プログラミング時に駆動TFTをダイオード接続し、外部から信号電流を与えることによってゲートソース間電圧を確定する。そして、この電圧を画像表示期間にも保持して信号電流と同じ電流を有機EL素子に流す。
【0013】
駆動TFTのゲートソース間電圧と有機EL素子に流れる電流は、有機EL素子が最大輝度で発光するときにともに最大になる。したがって、電源電圧は、最大輝度で発光するときの有機EL素子の両端電圧にそのときの駆動TFTのゲートソース間電圧を加えた電圧が最低限必要で、それ以下にはできない。
【0014】
有機EL表示装置の消費電力をさらに低減するためには、従来の電流プログラミング方式に代わる駆動回路が必要とされている。
【0015】
また信号電流源の出力端の電圧も、最大輝度のときは上の電源電圧と同じになるから、信号電流源を駆動するための電源電圧もそれ以上でなければならない。省電力の観点からは信号電流源の電源電圧も低くする事が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記の諸問題を改善するためになされたものであり、消費電力が少なく、かつ正確な画像表示が行える有機EL表示装置の駆動方式及びその実施に好適な駆動回路を提供する事を目的とする。
【0017】
本発明は、第1に、
有機EL素子と、駆動TFTと、該駆動TFTのゲートソース間に設けられた容量と、各々一定電位を供給する第1、第2および第3の給電線と、信号電流源が接続された信号線とを有し、前記有機EL素子の一方の電極が前記第1の給電線に接続され、前記有機EL素子の他方の電極が前記駆動TFTのドレインに接続された有機EL表示装置の駆動方法であって、
(1) 前記駆動TFTのゲートを前記第3の給電線に接続し、かつ前記駆動TFTのソースを前記信号線に接続して、前記駆動TFTのソースドレイン間に前記信号電流を流す工程、
(2) 前記駆動TFTのゲートを前記第3の給電線から切り離して、前記信号電流を流す工程における前記容量の両端電圧を保持する工程、
(3) 前記駆動TFTのソースを前記信号線から切り離す工程、ならびに
(4) 前記駆動TFTのソースを前記第2の給電線に接続して、前記第1の給電線と第2の給電線の間に前記駆動TFTと前記有機EL素子とを通じた電流を流す工程
を有することを特徴とする。
【0018】
また本発明の第2は、
有機EL素子と、駆動TFTと、該駆動TFTのゲートソース間に設けられた容量と、各々一定電位を供給する第1、第2および第3の給電線と、信号電流源が接続された信号線とを有し、前記有機EL素子の一方の電極が前記第1の給電線に接続され、前記有機EL素子の他方の電極が前記駆動TFTのドレインに接続された有機EL表示装置であって、
前記駆動TFTのゲートと前記第3の給電線との間に設けられた第1のスイッチと、前記駆動TFTのソースと前記信号線との間に設けられた第2のスイッチと、前記駆動TFTのソースと前記第2の給電線との間に設けられた第3のスイッチと、前記第1ないし第3のスイッチの開閉を制御する手段とをさらに有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の駆動回路によれば、有機EL素子に流れる電流を制御する駆動TFTに画像信号を書込むに際して、そのゲートに外部から予め決められた電位を加える事により、信号電流源や画像表示時の電源電圧を低くしても、駆動TFTが飽和領域で動作できる様になった。また飽和特性が不完全なTFTを用いても、画像表示期間に有機ELを流れる電流をより精度良く書込める様になった。こうして少ない電力で動作し高精度の画像表示を実現した。また回路の構成が単純で各種のTFTに対応できるため、製造が容易で大面積及び高精細の有機EL表示装置を実現に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(電流プログラミング方式の回路動作)
本発明の実施態様を従来の駆動回路と比較するために、まず図3に示した従来の電流プログラミング回路とその動作を説明する。
【0021】
図4には、図3に示した画素回路100がマトリックス状に配置された表示装置の駆動回路の全体を示す。各画素回路100の内部構造は図3に示したものであり、図4では詳細は省略されている。
【0022】
各画素回路100には、第1の給電線101と第2の給電線102が共通に接続されている。さらに同一列の画素回路100には共通の信号線103に接続される。また同一行の画素回路100には共通の走査線114が接続される。第1〜第3のスイッチ109〜111は走査線114に加えられた電位に応じて開閉が制御される。各列の信号線103には、個々に信号電流源104が接続される。
【0023】
各信号電流源104には時系列信号として送られて来る画像信号112が同時に入力されるが、ある時点では水平シフトレジスタ113からの信号により選択された特定の列の信号電流源104のみに、その時点の画像信号112が取り込まれる。さらに水平シフトレジスタ113は各信号電流源104を順次選択し、全ての列の信号電流源104に画像信号が入力される。
【0024】
各信号電流源104から固有の信号電流が対応する信号線103に出力される。信号線103には同一列の画素回路100が共通に接続されているが、ある時点において、信号線103上の信号電流は垂直シフトレジスタ115から走査線114に出力された信号により選択された特定の行の画素回路100のみに入力される。この間同一列のその他の行に属する画素回路100は、信号線103から電気的に切り離されている。さらに垂直シフトレジスタ114により各画素回路100が垂直方向に順次選択され、全ての行の画素回路100に信号電流が入力される。
【0025】
図5は、図3及び図4の回路の動作を説明するための、各スイッチの動作シーケンスを示すチャートである。500と501は各々1フレーム期間を示す。毎秒30フレームを表示する場合、1フレーム期間は33msecとなる。図5の期間500では高輝度の表示、期間501では低輝度の表示を行うものとする。1つのフレーム期間は、信号書込み期間502と、画像表示期間503を含んでいる。
【0026】
504〜506は第1〜3のスイッチの動作シーケンスを示す。ここで504〜506の高低はゲート電圧の高低を具体的に示すものではなく、単に高=開(on)と低=閉(off)の区別を示すものとする。
【0027】
またこの時の駆動TFTのゲートソース間電圧及び駆動電流変化の様子を507及び508で示す。ここで、507の点線がソース電位、実線がゲート電位を示す。駆動TFT107のチャンネル導電型をpチャンネルとしたので、ゲート電位がソース電位より閾値電圧以上に低くなるとソースからドレインに向けて駆動電流508が流れる。
【0028】
図6は図3の回路の動作点がどの様に決まるかを、(a)は最大輝度の表示、(b)は低輝度の表示の場合について示したものである。横軸600は電圧を示し、縦軸601は電流を示す。図6中には複数の電圧電流関係が記されており、電圧軸600はソース電位と基準にしたドレイン電位を表す。ただしドレイン電位が負の方向に大きくなる方向を正の向きに取ってある。原点がソース電位で、右に行くにつれて電位が低くなると考えてもよい。電流は第1給電線に流れ込む方向を正とする。
【0029】
以下、図6(a)の信号電流604が最大の場合について説明するが、図6(b)も同じように説明される。
曲線602はゲートソース間電圧を一定にしたときの駆動TFT107のドレイン電流を示す。ドレイン電位が負の方向に大きくなる、つまりソースドレイン間電圧が大きくなるにつれて、ドレイン電流も大きくなるが、ソースドレイン間電圧が一定の電圧613(これを飽和ドレイン電圧という)以上になるとドレイン電流はほぼ一定になる。図6では駆動TFT107は、飽和ドレイン電圧以上でドレイン電流が完全に一定となる飽和特性を持つものと仮定している。
【0030】
点線603は、駆動TFT107のドレインとゲートが短絡された(ダイオード接続された)状態でのソースドレイン間電圧とドレイン電流の関係を示す。
【0031】
ドレイン電流が一定になる飽和領域では、チャンネルのドレイン端でドレイン電位がチャンネル電位より低くなり、PN接合が逆バイアスになったいわゆるピンチオフ状態が生じている。飽和ドレイン電圧613は、ピンチオフ開始電圧、すなわちドレイン端のチャンネル電位とドレイン電位が等しくなるときのドレイン電圧である。ゲート電位はチャンネル電位に対して閾値電圧分だけ低いので、このドレイン電流特性602を与えるソースゲート間電圧は飽和ドレイン電圧613よりも閾値電圧分だけ大きい。したがって、TFTをダイオード接続したときのドレイン電圧は飽和ドレイン電圧612よりも閾値電圧だけ高くなる。これが第1の動作点605である。
【0032】
図6の611は有機EL素子の2つの電極間の電圧と電流の関係をあらわしている。電流がゼロになるのは有機EL素子の両電極間電圧が0のときであるから、このときの横軸の位置すなわちソース電位を基準にしたドレイン電位は、第1給電線の電位に等しい。有機EL素子の両電極間電圧が大きくなるにつれて有機ELを流れる電流が増すが、これはドレイン電位が第1給電線電位から高くなる方向に相当し、図6では、ドレイン電位が負の向きに動くにつれて有機EL素子電流が大きくなっている。
【0033】
信号書込み期間502においては、図3の回路の第1のスイッチ109と第2のスイッチ110は閉じており、第3のスイッチ111は開いているので、駆動TFT107の特性は点線603で表される。このとき、図6で水平のライン表される信号電流604が信号電流源から駆動TFT107のソースに入り、ドレイン電流として流れるので、図6のダイオード接続時の特性曲線(点線603)と信号電流604の交点でドレイン電位が定まる。この点605を第1の動作点と呼ぶ。さらに駆動TFT107と直列に接続された有機EL素子106にも同じ駆動電流が流れるため、このときの有機EL特性は曲線607に示されるように第1の動作点605を通る。また有機EL素子106の電極間電圧は608で表される。
【0034】
駆動TFT107のゲート電位は、第1の動作点605を通るドレイン電流特性曲線602のソースゲート間電圧によって定まる。このソースゲート間電圧は、ソースとゲートの間に設けられた容量108の電荷を定める。
【0035】
また、信号書込み期間502における信号電流源104の出力端子から第1給電線までの電圧降下は、駆動TFTのソースドレイン間電圧606と、有機EL両端電圧608の和であるから、図6の矢印609で表される大きさになる。これはまた第1給電線電位に対する信号電流源104の出力端電圧である。
【0036】
画像表示期間503においては、第1のスイッチ109と第2のスイッチ110が開き、第3のスイッチ111が閉じる。駆動TFT107のソース電位は第2の給電線102の電位となる。第1スイッチが開くので、容量108は信号書き込み期間に定められた電荷を保持し、駆動TFT107のソースゲート間電圧も保持される。
【0037】
したがって、図6の曲線602で表される駆動TFT107のドレイン電流特性は、信号書き込み期間502と画像表示期間503とで変化はなく、同じ曲線で表される。
【0038】
駆動TFT107のダイオード接続は解消されているので、ドレイン電圧はダイオード接続時の特性603によっては決まらない。その代わりに、ソース電位が第2給電線電位に固定されているために、有機ELの電流電圧特性611の電流ゼロの位置が、第1給電線と第2給電線間の電圧(図6の矢印610の大きさ)で決まっており、動作点は、この固定された有機EL素子の特性611と、駆動TFTのドレイン電流特性602との交点(以下、第2の動作点612という)で定まる。
【0039】
駆動TFT107が完全な飽和特性を持つ場合は、第1と第2の給電線の間の電圧(以下電源電圧という)を信号源電圧609以上に設定しておけば、動作点が605から612に移動しても駆動電流は変化しない。
【0040】
以上、図6(a)の信号電流604が最大の場合について説明した。信号電流を低くして図6(b)のレベルにしても、その基本的な動作は(a)と同様である。
【0041】
図6(b)において図中の番号は基本的に(a)と一致させ、(a)と値や形状が異なる場合は番号にダッシュ記号を付した。(b)では信号電流604’が小さく、第1の動作点605‘が低電位側に、第2の動作点611’が高電位側にあるので、動作点の移動605’→612’が(a)より大きいが、飽和特性領域内なので駆動電流に変化はない。
【0042】
以上の説明においては、駆動TFTが図6のような完全な飽和特性を持つと仮定した。
【0043】
今後表示装置の大面積化に伴って、アモルファスシリコン、ZnOや特許文献2に開示のあるInGaZnO等の金属酸化物、ポリチオフェンやペンタセン等の有機半導体等、大面積でも製造の容易な半導体の使用が増えると考えられる。これらの半導体によるTFTでは飽和特性が不完全な場合が少なくない。また従来から広く使用されているポリシリコンのTFTでも、高精細化に伴ってチャネル長を短くすると飽和特性が不完全になり易い。
【0044】
駆動TFT107の飽和特性が不完全な場合を図7を用いて説明する。図6と同様に、図7(a)は最高輝度の表示、(b)は低輝度の表示の場合を示す。飽和特性が不完全なので、ドレインソース間電圧を高くして飽和電圧以上にしてもドレイン電流702、702’は一定にはならず、第1動作点705と第2動作点712では電流が異なる。これは、プログラミング時の電流と表示のときの電流が異なることを意味するから、正確な表示ができなくなる。図7(b)の場合は、動作点の移動が705’から712’と大きくなるので特に顕著である。
【0045】
一般にTFTに有意のドレイン電流(Ids)を流すには、ゲートソース間電圧(Vgs)を駆動TFTの閾値電圧(Vth)以上とする必要がある。Vthは低温ポリシリコンTFTの場合、1〜3V程度である事が多い。802はVgsを一定(但しVgs>Vth)とする条件での、飽和特性が完全なTFTのIdsのドレインソース間電圧(Vds)依存性を示したものである。
【0046】
非飽和領域815(Vds≦Vgs−Vth)では、IdsはVdsに対し、一般に
Ids=k{2(Vgs−Vth)−Vds}・Vds ・・・ (式1)
に従って増加する事が知られている。ここでkはTFTの構造や使用される半導体の特性で決まる定数である。式1は、飽和ドレイン電圧813(=Vgs−Vth)で極大を持つ二次曲線であり、Idsの極大値(飽和ドレイン電流)は
Ids=k(Vgs−Vth) ・・・ (式2)
となる。また817はVgsを変化させた時の飽和ドレイン電圧813の軌跡を示す。飽和ドレイン電圧は高輝度の表示を行う条件下では5〜10V程度である。飽和領域816(Vds>Vgs−Vth)ではIdsは式2で与えられる一定値となり、Vgsには依存するがVdsに依存しなくなる。
【0047】
従って画像表示期間のIdsを所定の信号電流604に一致させるには、動作点が飽和領域816に来る様に設定すれば良い。そのために必要な最小のVdsは、飽和ドレイン電圧813の定義によりVgsよりVthだけ低くて良い。ところがダイオード接続した場合、第1のスイッチ109が閉じられVds=Vgsとなるので、Vdsとしては飽和ドレイン電圧813よりVthだけ大きい805(第1の動作点)を加えざるを得ない。従ってダイオード接続した駆動TFTの電圧電流特性は、飽和ドレイン電圧の軌跡817をVthだけ高電圧側にシフトした曲線803となる。逆にダイオード接続のままVdsを飽和ドレイン電圧813まで下げると、Vgsも低下しIdsが信号電流814より小さくなるので信号が正確に書込めない。
【0048】
(改善された駆動回路の動作)
もしVgsがVdsと独立に設定できれば、Vgsを保ったままVdsを飽和ドレイン電圧813まで下げる事ができる。図6において信号電流源104が信号電流604を流すためには、信号電流源104は信号電流が流れた時の(駆動TFTのVds606+有機EL素子106の電極間の電圧降下608)に等しい電圧を出力する必要があるが、Vdsを下げられれば信号電流源104に求められる最大出力電圧を低くできる。
【0049】
以上の考え方にもとづく本発明の実施に好適な回路を図1に示す。この回路と図3の回路との違いは、駆動TFT107のゲートにドレインとは独立な電位を供給するために第3の給電線105を設けた点である。また第1のスイッチ109は駆動TFT107のゲートと第3の給電線105との間に設ける。さらに図1の回路は図5に示したシーケンスに従って動作させるものとする。図1の駆動TFT107はpチャンネルとして描いてあるが、以下で説明する実施例2(図12)で示される様に本発明の趣旨は駆動TFTがnチャンネルであっても同様に達成できる。
【0050】
また図1の駆動回路に対応する全体図を図2に示す。図2は図4の全体図と比べ第3の給電線105が設けられている点が異なる。また図2において走査線114は各々の行に対して1種類だけが描かれているが、場合により各々の行に対して複数種の走査線が設けられ、同一行に属する画素回路がそれぞれ複数種の走査線に接続される場合もある。具体例は実施例3(図13)や、実施例4(図15)において詳述する。
【0051】
図9は図1の回路の動作を、(a)高輝度表示、(b)低輝度表示の場合について示す。まず(a)の場合に即して説明を行う。図1の回路でも信号書込み期間502において、第1のスイッチ109と第2のスイッチ110は閉じており、第3のスイッチ111は開いている。駆動TFT107のゲートには第3の給電線105の電位が加えられるので、これと信号電流源104が出力する電圧との差がVgsになる。飽和領域ではTFTのIdsはVgsで決まるので、信号電流源104はIdsが信号電流904と等しくなる様な電圧を出力する。またこの時のVgsは電圧保持手段108に書込まれる。書込まれた電位は、第1のスイッチ109を開いた後は、第1〜第3の給電線の電位が変動したり、表示装置内の配線抵抗等により画素回路近傍で電位降下を起こしたりしても影響を受けない。
【0052】
有機EL素子106の電極間には信号電流904に応じた電圧降下908が生じる。最大輝度の表示を行う場合、電圧降下908は典型的には3〜5V程度である。従って(信号電流源104の出力電圧909−有機EL素子の電圧降下908)が駆動TFT107のVdsとなる。但し飽和領域での動作を確保するにはVdsを飽和ドレイン電圧913より大きくする必要があり、図9ではVdsを飽和ドレイン電圧913に一致させた場合を示している。これを本発明の典型的な第1の動作点905とする。図1の回路では図3の回路と異なりVdsはVgsと独立なので、第3の給電線105の電位によりVgsを調整できる。図9の状態を実現するには、第3の給電線の電位を、第1の給電線101の電位から、(有機EL素子の電圧降下−駆動TFTの閾値電圧)だけ第2の給電線の電位に近い値とする。
【0053】
また信号電流904が大きいほど対応する飽和ドレイン電圧は大きくなるので、想定しておくべき最大の飽和ドレイン電圧は想定すべき最大の信号電流に対応した値である。図9(a)の904を想定すべき最大の信号電流とすると、(駆動TFT飽和ドレイン電圧+有機EL素子での電圧降下)である909が信号電流源104の出力端電圧として想定すべき最大値となる。この値は図3に示す従来の電流プログラミング回路の第1の動作点605より駆動TFT107の閾値電圧Vthだけ低いので、本発明により、信号電流源104の出力端の最大電圧を従来より駆動TFTの閾値電圧Vthだけ低くできる。
【0054】
例えば駆動TFTの飽和ドレイン電圧=6V、閾値電圧=2V、有機EL素子での電圧降下=4Vの場合、従来なら信号電流源は最大12Vを出力する必要があったが、本発明の典型例では10Vで良い事になる。但し第1の動作点は、飽和ドレイン電圧905と図6での第1の動作点605の間に設定しても改善効果があり、有機EL素子の特性変動を吸収する等の目的からこの中の適当な点に設定しても良い。即ち出力端電圧の最大値を、最大の信号電流が流れた場合の(駆動TFT飽和ドレイン電圧+有機EL素子での電圧降下)以上かつ(駆動TFT飽和ドレイン電圧+有機EL素子での電圧降下+閾値電圧)未満とすれば良い。これに対応して、第3の給電線の電位は、最大の信号電流が流れた場合の(有機EL素子での電圧降下−駆動TFTの閾値電圧)以上かつ(有機EL素子の電圧降下)未満とすれば良い。
【0055】
また画像表示時に電源電圧910を909と一致させると、画像表示時の消費電力を低減できる。またこうすると最大輝度表示の場合(a)には画像表示期間の第2の動作点912が905と一致し動作点の移動が起こらなくなる。低輝度表示の場合(b)は905’から912’への動作点の移動が残るが、移動量は図6(b)に示す従来の605’から612’への移動より小さくなる。従って図10に示す様に駆動TFTの飽和特性が不完全な場合でも、最高輝度の表示(a)では動作点は1005と1012が一致し移動が起こらず駆動電流は信号電流1004に一致する。低輝度の表示(b)でも1005’から1012’への動作点の移動は、従来の電流プログラミング方式の図7の705’から712’への移動より少なく、駆動電流の誤差が減少し、飽和特性が不完全な駆動TFTを用いた場合の画像表示の精度が改善される。
【0056】
このように、プログラミング時のゲート電圧を信号電流によらず固定電位とし、その状態でゲートを固定電圧電源から切離すことにより、プログラミング時のゲートソース間電圧を保持する。表示に際しては、ソース端子を信号電流源から第2給電線の固定電源電圧に切替えることにより、ゲートソース間電圧に応じた電流がソースからドレイン端子に流れ、有機EL素子を駆動することができる。この方法によれば、第2給電線の固定電位は、信号電流が変化する範囲での最大信号電流にたいして、そのときのTFTの飽和ドレイン電圧に有機ELの両端電圧を加えた電圧として設定できる。この電源電圧は、電流プログラミング時にTFTをダイオード接続する従来の駆動方法に比べて閾値電圧の値だけ低くなり、その結果消費電力が低減される。
【実施例1】
【0057】
本発明の回路を低温ポリシリコンのCMOSで実現した例を図11に示す。駆動回路を基板側に設け有機EL素子106をその上に積層するタイプの表示装置の場合、駆動TFT107のドレインを画素電極として有機EL素子106のアノードとコンタクトさせ、第1の給電線101としては最表面に金属や透明導電膜等を全面に形成すれば良く製造が容易である。またこの順序で形成した場合には有機EL素子106が良好なキャリア注入特性を示す事が知られており有機EL素子での電圧降下が下がるので、さらに信号電流源の最大出力電圧や電源電圧を低くできる。
【0058】
駆動TFTはpチャンネルのTFT、第1のスイッチ109と第2のスイッチ110としてはpチャンネルのTFT、第3のスイッチ111としてはnチャンネルのTFTを使用する。また各TFTのゲートは共通の走査線114に接続する。走査線114に垂直シフトレジスタ115から低レベルの信号を加えると第1のスイッチ109と第2のスイッチ110は閉じ、第3のスイッチ111は開く。また高レベルの信号を加えると全てのスイッチの動作が反転するので、一本の走査線114だけで図5に示したシーケンスが実現できる。
【実施例2】
【0059】
低温ポリシリコンのCMOSで本発明の回路を実現した別の例を図12に示す。ここでは駆動TFT107のドレインを画素電極として有機EL素子106のカソードとコンタクトさせ、第1の給電線101としては最表面に金属や透明導電膜等を全面に形成すれば良く製造が容易である。
【0060】
駆動TFT、第1のスイッチ109と第2のスイッチ110としてはnチャンネルのTFT、第3のスイッチ111としてはpチャンネルのTFTを使用する。また各TFTのゲートは共通の走査線114に接続する。走査線114に垂直シフトレジスタ115より高レベルの信号を加えると第1のスイッチ109と第2のスイッチ110は閉じ、第3のスイッチ111は開く。また低レベルの信号を加えると全てのスイッチの動作が反転するので、一本の走査線114だけで図5に示したシーケンスが実現できる。
【0061】
実施例1及び2の回路は、USP6,229,506に開示されている様な従来の電流プログラミング方式の回路に比べ、第3の給電線105が増えているものの、TFT等の回路要素の個数は全く増えておらず製造は容易であり、実用的な回路と言える。
【実施例3】
【0062】
図1の回路において、電圧保持手段108としてはキャパシタンスが広く使用される。図5のシーケンスにおいて、信号書込み期間502中には、第1のスイッチ109が閉じているので、電圧保持手段108に電流が流れ込み、駆動TFTのドレインソース間に信号電流を適正に流すためのゲートソース間電圧が書込まれる。書込まれた電位は画像表示期間503確実に保持されている必要がある。
【0063】
画像表示期間503には第1のスイッチ109が開くため書込まれた電位は通常変化しないが、第1のスイッチ109が開く前に第3スイッチ111が閉じ駆動TFT107のソースが第2の給電線102に接続されると、その間電圧保持手段108に電流が流れ込み、正しく書込まれた電位が変動する恐れがある。第1のスイッチ109と第3のスイッチ111とでは、図11に示す様にチャンネルの導電型等仕様が異なる場合が多く状態遷移に要する期間が異なる。また第2の給電線102と第3の給電線105とは配線容量が異なるため、スイッチの切り替えが理想的に行われない場合も想定される。
【0064】
この様な恐れを完全に排除し、信号書込み期間502から画像表示期間503への切り換えを、確実に行うための回路の例を図13に示す。図13は図11の回路を基本としておりTFT等の回路要素は図11と同じであるが、第1のスイッチ109の走査線117を、第2のスイッチ110や第3のスイッチ111の走査線116と独立させている。このため、図14の様に信号書込み期間502から画像表示期間503への切り換え第1のスイッチ109の切り換え504’を、第2のスイッチ110の切り換え505や第3のスイッチ111の切り換え506より、有意の期間△tだけ先行出来る。これにより電圧保持手段108に誤った電流が流れ込むのを防止し、画像表示期間503に正しい駆動電流が流れる事を保証する。
【実施例4】
【0065】
図11〜13に示した回路の様にCMOSを利用すれば、一本の走査線からの信号によって複数のスイッチを逆の位相で駆動できるメリットがある反面、ポリシリコンの場合には製造プロセスが複雑化する。さらにアモルファルシリコン、ZnOやInGaZnO等の金属酸化物半導体の様にnチャンネルのTFTしか良好な特性が得られない場合や、有機半導体の様にpチャンネルのTFTしか良好な特性が得られない場合には対応できない。
【0066】
図15には、駆動TFT107や第1のスイッチ109〜第3のスイッチ111を全てpチャンネルのTFTで構成した例を示す。ここでは第1のスイッチ109と第2のスイッチ110のゲートは第1の走査線118に接続される。一方第3のスイッチ111のゲートは別に第2の走査線119に接続される。従って走査線118と走査線119に逆位相の信号を加える事によって、図5に示したシーケンスを実現できる。
【0067】
さらに図16に示した様に、第1の走査線118の信号を、第2の走査線119の切り換えより有意の時間△tだけ先立って切り換える事により、図13に示した実施例3の回路と同様に電圧保持手段108に書込まれた信号を正確に保持する効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の有機EL表示装置の駆動回路を、画素回路を中心に説明する図。
【図2】本発明の有機EL表示装置の駆動回路を、全体的に説明する図。
【図3】従来の有機EL表示装置の駆動回路を、画素回路を中心に説明する図。
【図4】従来の有機EL表示装置の駆動回路を、全体的に説明する図。
【図5】本発明及び従来の有機EL表示装置の駆動回路における駆動シーケンスを説明する図。
【図6】完全な飽和特性を持つ駆動TFTを使用した従来の有機EL表示装置における駆動回路の動作を説明する図。
【図7】不完全な飽和特性を持つ駆動TFTを使用した従来の有機EL表示装置における駆動回路の動作を説明する図。
【図8】ダイオード接続での動作点を説明する図。
【図9】完全な飽和特性を持つTFTを使用した本発明の有機EL表示装置における駆動回路の動作を説明する図。
【図10】不完全な飽和特性を持つTFTを使用した本発明の有機EL表示装置における駆動回路の動作を説明する図。
【図11】本発明の第1の実施例における有機EL表示装置の駆動回路。
【図12】本発明の第2の実施例における有機EL表示装置の駆動回路。
【図13】本発明の第3の実施例における有機EL表示装置の駆動回路。
【図14】本発明の第3の実施例における有機EL表示装置の駆動タイミングチャート。
【図15】本発明の第4の実施例における有機EL表示装置の駆動回路。
【図16】本発明の第4の実施例における有機EL表示装置の駆動タイミングチャート。
【符号の説明】
【0069】
100 画素回路
101、102、105 給電線
103 信号線
104 信号電流源
106 有機EL素子
107 駆動TFT
108 電圧保持手段
109、110,111 スイッチ
114 走査線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機EL素子と、駆動TFTと、該駆動TFTのゲートソース間に設けられた容量と、各々一定電位を供給する第1、第2および第3の給電線と、信号電流源が接続された信号線とを有し、前記有機EL素子の一方の電極が前記第1の給電線に接続され、前記有機EL素子の他方の電極が前記駆動TFTのドレインに接続された有機EL表示装置の駆動方法であって、
(1) 前記駆動TFTのゲートを前記第3の給電線に接続し、かつ前記駆動TFTのソースを前記信号線に接続して、前記駆動TFTのソースドレイン間に前記信号電流を流す工程、
(2) 前記駆動TFTのゲートを前記第3の給電線から切り離して、前記信号電流を流す工程における前記容量の両端電圧を保持する工程、
(3) 前記駆動TFTのソースを前記信号線から切り離す工程、ならびに
(4) 前記駆動TFTのソースを前記第2の給電線に接続して、前記第1の給電線と第2の給電線の間に前記駆動TFTと前記有機EL素子とを通じた電流を流す工程
を有する有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項2】
前記(3)の工程が、前記(2)の工程に対して有意の時間遅れて行われる工程である請求項1に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項3】
前記(4)の工程が、前記(3)の工程と実質的に同時に行われる工程である請求項1に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項4】
前記第3の給電線の電位が、前記第1の給電線の電位を基準として前記第2の給電線の側にあって、前記第1の給電線との間の電圧が、前記信号電流源が前記有機EL表示装置の輝度を最小にする信号電流を前記信号線に供給したときの、(前記(1)の工程における前記有機EL素子の両電極間の電圧+前記駆動TFTのゲートソース間電圧)以上であって、かつ前記信号電流源が前記有機EL表示装置の輝度を最大にする信号電流を前記信号線に供給したときの、(前記(1)の工程における前記有機EL素子の両電極間の電圧+前記駆動TFTのゲートソース間電圧)以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項5】
前記第1と第2の給電線間の電圧が、前記信号電流源が前記有機EL表示装置の輝度を最大にする信号電流を前記信号線に供給したときの、(前記(1)の工程における前記駆動TFTのソースドレイン間電圧+同工程における前記有機EL素子の両電極間の電圧)以上であって、かつ(前記(1)の工程における前記駆動TFTのソースドレイン間電圧+同工程における前記有機EL素子の両電極間の電圧+前記駆動TFTの閾値電圧)未満である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項6】
前記信号電流源が前記有機EL表示装置の輝度を最大にする信号電流を前記信号線に供給したときの、前記(1)の工程における前記信号線の電位が、前記第2の給電線の電位と等しい請求項5に記載の有機EL表示装置の駆動方法。
【請求項7】
有機EL素子と、駆動TFTと、該駆動TFTのゲートソース間に設けられた容量と、各々一定電位を供給する第1、第2および第3の給電線と、信号電流源が接続された信号線とを有し、前記有機EL素子の一方の電極が前記第1の給電線に接続され、前記有機EL素子の他方の電極が前記駆動TFTのドレインに接続された有機EL表示装置であって、
前記駆動TFTのゲートと前記第3の給電線との間に設けられた第1のスイッチと、前記駆動TFTのソースと前記信号線との間に設けられた第2のスイッチと、前記駆動TFTのソースと前記第2の給電線との間に設けられた第3のスイッチと、前記第1ないし第3のスイッチの開閉を制御する手段とをさらに有することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項8】
前記第1ないし第3のスイッチがそれぞれTFTで構成され、前記第1と第2のスイッチのTFTはチャンネルの導電型が同一のTFTであり、第3のスイッチのTFTは前記第1と第2のスイッチのTFTとはチャネルの導電型が異なるTFTであり、前記開閉制御手段が前記第1ないし第3のスイッチのTFTのゲートに共通に接続される制御線である請求項7に記載の有機EL表示装置の駆動回路。
【請求項9】
前記第1ないし第3のスイッチがそれぞれTFTで構成され、前記第2と第3のスイッチのTFTはチャネルの導電型が異なるTFTであり、前記開閉制御手段が、前記第2と第3のスイッチのTFTのゲートに共通に接続される第1の制御線と、前記第1のスイッチのTFTのゲートに接続される第2の制御線とからなる請求項7に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記第1ないし第3のスイッチが前記駆動TFTとチャンネルの導電型が同一のTFTでそれぞれ構成され、前記開閉制御手段が、前記第1と第2のスイッチのTFTのゲートに共通に接続される第1の制御線と、第3のスイッチのゲートに接続される第2の制御線とからなる請求項7に記載の有機EL表示装置の駆動回路。
【請求項11】
前記第1ないし第3のスイッチのTFTと前記駆動TFTがいずれもアモルファスシリコンで形成されたTFTである請求項10に記載の有機EL表示装置。
【請求項12】
前記第1ないし第3のスイッチのTFTと前記駆動TFTがいずれも金属酸化物半導体で形成されたTFTである請求項10に記載の有機EL表示装置。
【請求項13】
前記有機EL素子のカソードが第1の給電線に接続されている請求項7ないし12のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項14】
前記有機EL素子のアノードが第1の給電線に接続されている請求項7ないし12のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−271971(P2007−271971A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98009(P2006−98009)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】