有機EL装置および電子機器
【課題】 外光が入射しても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置および電子機器を提供する。
【解決手段】 一対の電極間に配置された発光層13と、表示面に配置された円偏光板30とを少なくとも備えた有機EL装置100であって、円偏光板30の反射分光特性は、発光層13が外光によって発光したときのその発光の分光特性に基づいて設定されていることを特徴とする。
【解決手段】 一対の電極間に配置された発光層13と、表示面に配置された円偏光板30とを少なくとも備えた有機EL装置100であって、円偏光板30の反射分光特性は、発光層13が外光によって発光したときのその発光の分光特性に基づいて設定されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代の表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)が期待されている。有機EL装置は、上下の電極間に発光層を挟持した有機EL素子を基体上に配設して構成されており、典型的には、ガラス等の透光性基板の上に、陽極と、有機機能層(正孔輸送層や発光層、電子輸送層等)と、陰極とを順次積層した構造が採られる。そして、陽極および陰極によって有機機能層に電流を供給することにより、有機機能層の発光層を発光させるようになっている。
【0003】
有機EL装置は、主に陰極側から光を取り出すトップエミッション方式と、陽極側から光を取り出すボトムエミッション方式に分類される。そのうち、ボトムエミッション方式の有機EL装置は、一般に陽極がITO等の透明導電性材料で形成され、陰極がAl等の金属材料で形成されている。そして、発光層からの光を陰極で反射させるとともに、陽極から出射させて画像表示を行う構成となっている。
【0004】
ボトムエミッション方式の有機EL装置において、太陽光などの外光が陽極から入射すると、その外光が陰極で反射するため表示が視認しにくくなる。この問題を解決するため有機EL装置におけるガラス基板の外側に、円偏光板を配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1ないし4参照)。円偏光板は、陽極側から位相差フィルムおよび偏光フィルムを順に積層して構成されている。この円偏光板に入射した外光は、まず偏光フィルムの透過軸に沿った直線偏光に変換され、さらに位相差フィルムにより円偏光に変換される。その円偏光が、陽極から有機EL素子に入射し、陰極において反射されると、回転方向の反転した円偏光に変換される。その円偏光は、位相差フィルムを再透過する際に、偏光フィルムの透過軸と直交する直線偏光に変換されるので、偏光フィルムによって吸収される。このように、円偏光板により外光を吸収して、有機EL装置の表示の見易さを確保している。
【特許文献1】特開平8−321381号公報
【特許文献2】特開平9−127885号公報
【特許文献3】特開2001−76865号公報
【特許文献4】特開2002−311239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機EL装置に太陽光などの外光が入射すると、有機EL装置の内部で反射が生じるばかりでなく、その入射した光によって発光層が特定色の光を発光してしまうという問題点もある。例えば、太陽光における円偏光板を透過した青色光が赤系の発光材料の発光層に入射すると、その発光層がホトルミネッセンス(PL)効果により励起されて赤を発光してしまう場合がある。したがって、有機EL装置に太陽光などが入射すると、黒表示部(非表示部)が赤黒く表示されてしまいカラー画像の表示品質を低下させてしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外光が入射しても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置および電子機器の提供を目的とする。
また、本発明は、外光による表示光の着色を緩和することができ、室外などで使用されても、従来よりもカラーバランスがとれた高画質な表示ができる有機EL装置および電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の有機EL装置は、一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、前記円偏光板の反射分光特性は、前記発光層が外光によって発光したときの該発光の分光特性に基づいて設定されていることを特徴とする。
本発明の有機EL装置によれば、発光層が外光によって発光したときのその着色発光を円偏光板の反射光によって緩和することができる。例えば、発光層が外光によって励起されて、赤色の光を出射する場合、円偏光板の反射光が青色であれば、その赤色と青色とが合成されることで灰色の表示にすることができる。そこで、室外などで有機EL装置を使用した場合でも、表示領域における非発光部位が赤色などを発色することを回避することができる。したがって、本発明は、室外などで使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の有機EL装置は、一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、前記円偏光板は、太陽光が該円偏光板を透過してなる該透過光によって前記発光層が発光したときの該発光の色度に対して、補色の関係となる色度の反射分光特性を有することを特徴とする。
本発明の有機EL装置によれば、太陽光(白色光)が円偏光板を透過し、その透過光によって発光層が励起されてある色が発光した場合、その発光の色を円偏光板の反射光によって打ち消すことができる。例えば、円偏光板の透過光が青色である場合、赤色の発光層がホトルミネッセンス(PL)効果により励起されて赤色光を発光する場合がある。この場合、円偏光板の反射光は、赤の補色である青である。したがって、発光層から発光と円偏光板の反射光とが合成されて灰色が表示される。そこで、本発明は、太陽光などの白色光が表示画面に入射する環境下で使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長が前記発光のピーク波長よりも短いことが好ましい。
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板が太陽光(白色光)に対する反射光が青色であることが好ましい。
本発明によれば、例えば外光による発光層から発光のピーク波長が赤の波長である場合、円偏光板の反射光のピーク波長が赤より短い青(赤の補色である青)の波長となる。これにより、本発明は、カラーバランスの良い表示ができる有機EL装置を簡便に提供することができる。
【0010】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長をλA[nm]として、前記発光層が外光によって発光したときにおける該発光の分光特性のピーク波長をλB[nm]とすると、λAは、(550×2−λB)±50[nm]の範囲内にあることが好ましい。
本発明によれば、人間の視覚感度における最大波長である550nmを中心として、円偏光板の反射分光特性のピーク波長λAと、外光による発光のピーク波長λBとを対象関係にすることができる。そこで、本発明は、円偏光板の反射光の色と外光による発光の色とをより正確にかつ簡便に補色の関係にすることができる。
【0011】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板が紫外線を透過させない機能を有するものであることが好ましい。
本発明によれば、円偏光板の紫外線カット機能によって発光層に特定波長域の光が入射して、その発光層で特定の色が発光する場合が生じる。このような場合でも、本発明は、かかる特定の色を円偏光板の反射光で緩和させることができる。そこで、本発明は、カラーバランスの良い表示ができる有機EL装置を簡便に提供することができる。
【0012】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板が偏光板と位相差板とで構成されていることが好ましい。
本発明によれば、円偏光板に入射した外光を偏光板によって直線偏光に変換することができる。その直線偏光は位相差板(λ/4板)によって円偏光に変換することができる。この円偏光は、有機EL装置の陰極で反射されると、回転方向の反転した円偏光に変換される。その反射光(円偏光)は再び位相差板を透過する際に直線偏光に変換されるが、この直線偏光は偏光板の透過軸に直交する直線偏光となっているのでその偏光板を全く透過できない。したがって、上記円偏光板によれば、有機EL装置内に入射した外光によって生じた反射光が有機EL装置外に出ることを防止することができる。また、有機EL装置内に入射した外光によって生じた発光の色については、円偏光板の反射光によって打ち消すことができる。これらにより、本発明は、室外などで使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明の有機EL装置は、前記発光層が一対の電極の間に配置されており、前記一対の電極における表示面側の電極は透明であり、他方の電極は反射率が高いものであり、前記発光層は、前記一対の電極によって電流が該発光層に供給されることにより、赤色を発光する赤発光層と、緑色を発光する緑発光層と、青色を発光する青発光層とを有してなることが好ましい。
本発明によれば、例えば外光が円偏光板を透過してその透過光により赤発光層が励起され赤の発光があった場合、円偏光板の反射光(青)によって赤の発光色を打ち消すことができる。そこで、本発明は、室外などで使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、前記有機EL装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、室外などで使用されても、カラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下で参照する各図面においては、図面を見易くするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の断面構成図である。本実施形態の有機EL装置100は、図1に示すように、有機EL素子110の出力光を陽極11側から取り出すボトムエミッション方式の有機EL装置である。
【0017】
(有機EL装置の基本構成)
有機EL装置100は、基板10の上面に、有機EL素子110を配設してなる構成を備えている。有機EL素子110は、ガラス基板10の一方面(図1の上面)側に、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなる陽極11と、正孔輸送層12と、発光層13と、電子輸送層14と、Al等の光反射性の金属膜からなる陰極21とを順に積層した構成となっている。なお、正孔輸送層12、発光層13および電子輸送層14は、有機機能材料からなる有機機能層15を形成している。また、後に詳述するように、ガラス基板10の他方面(図1の下面)側には、位相差フィルム(位相差板)31および偏光フィルム(偏光板)32が順に積層されて、円偏光板30が構成されている。
【0018】
陽極11には、典型的には上記ITOが用いられるが、これに限らず、公知の透光性導電材料を用いることができる。
また、陰極21には、良好な光反射性を具備したAl(アルミニウム)を好適に用いることができる。この場合、陰極21は、発光層13で生じた光を陽極11側へ反射する機能を有するものとなる。なお、Alの他にも、Au(金)、Ag(銀)、Cr(クロム)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Ca、Mg(マグネシウム)、Sr、Yb(イッテルビウム)、Er(エルビウム)、Tb(テルビウム)、Sm(サマリウム)等の金属材料、およびこれらから選択される金属材料の薄膜を複数積層した構造とすることもできる。
【0019】
発光層13を構成し得る発光材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料である、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシラン系などを好適に用いることができる。また、これらの発光材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0020】
正孔輸送層12は、陽極11から発光層13への電荷の注入効率を高めるとともに、発光層13内を移動する電子をブロッキングする機能を奏し、発光層内での電子と正孔との再結合確率を高める作用を奏する。この正孔輸送層12には、陽極11からの注入障壁が低く、正孔移動度の高い材料が好適に用いられる。このような材料としては、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体など、またはそれらのドーピング体などが用いられる。具体的には、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)[商品名;バイトロン−p(Bytron-p):バイエル社製]の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液などが用いられる。
なお、必要に応じて、陰極21から発光層13への電子注入効率を高めるとともに、正孔ブロッキング機能を有する電子輸送層14を形成してもよい。この電子輸送層14は、オキサジアゾール誘導体やAlq3などの有機材料で形成することが可能である。
【0021】
上記構成を備えた本実施形態の有機EL装置100は、陽極11と陰極21との間に所定の電圧を印加することで、有機機能層15に流れる電流量に応じて発光層13において光が発生する。そして、発生した光を陽極11から直接的に、また陰極21で反射された光を間接的に、ガラス基板10側から取り出すようになっている。
なお、発光層13の材料を適当に選択することにより、発光層13を異なる色光に発光させることができる。そこで、本実施形態の有機EL装置100は、RGB三原色のいずれかに発光する複数の有機EL素子110をマトリクス状に整列配置した構成となっている。
【0022】
(円偏光板)
図1において、ガラス基板10の光出射面側には、円偏光板30が配設されている。この円偏光板30は、ガラス基板10側に配置された位相差フィルム(位相差板)31と、その外側に配置された偏光フィルム(偏光板)32とによって構成されている。この偏光フィルム32は、ガラス基板10の外側(図1の下側)から有機EL装置100に入射する外光のうち、透過軸方向の直線偏光のみを透過させるものである。なお偏光フィルム32は、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等からなる支持基板の表面に、ヨウ素錯体等を吸着させたポリビニルアルコール(PVA)等のフィルムを装着し、これを所定方向に延伸してPVA高分子およびヨウ素錯体を配向させることにより形成される。
【0023】
また、位相差フィルム31は、進相軸方向の屈折率が遅相軸方向の屈折率より小さい、いわゆる複屈折性を有するものである。なお、位相差フィルム31は、トリアセチルセルロース(TAC)等からなる支持基板の表面にポリカーボネート等のフィルムを装着し、これを所定方向に延伸してポリカーボネート分子を配向させることにより形成される。
【0024】
図2は、偏光フィルム32および位相差フィルム31の配置の説明図であって、図1の底面図である。図2に示すように、位相差フィルム31の遅相軸31aは、偏光フィルム32の透過軸32aと45度をなすように配置されている。これにより、偏光フィルム32を透過した直線偏光が、楕円偏光に変換されるようになっている。さらに、位相差フィルム31の厚さは、位相差フィルム31への入射光の波長をλとして、位相差フィルム31のリタデーションが約λ/4となるように設定されている。すなわち、位相差フィルム31として、いわゆるλ/4板が採用されている。そして、上述した偏光フィルム32と、λ/4板である位相差フィルム31とによって、入射光を円偏光に変換する円偏光板30が構成されている。なお、λ/4板およびλ/2板を組み合わせた位相差フィルムにより、円偏光板を構成することも可能である。
【0025】
そして、図1に示すガラス基板10の外側(図1の下側)から有機EL装置100に入射した光は、偏光フィルム32により例えば紙面に垂直な直線偏光に変換される。この直線偏光は、位相差フィルム31により例えば左回りの円偏光に変換され、ガラス基板10を透過して有機EL素子110に入射する。この左回りの円偏光は、金属電極である陰極21で反射される際に、進行方向に対して回転方向が反転し、右回りの円偏光になる。この右回りの円偏光が、位相差フィルム31を再透過すると、紙面と平行な直線偏光に変換される。この直線偏光は、紙面と垂直な透過軸を有する偏光フィルム32によって吸収される。このように、本実施形態の有機EL装置100では、太陽光などの外光がパネルに入射する環境にて使用した場合にも、光反射性の陰極21で反射された外光を偏光フィルム32で吸収し、観察者に到達させないようになっている。
【0026】
図3は、有機EL装置100に太陽光を照射したときに、その有機EL装置100の黒表示部で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。ここで、黒表示部とは、有機EL装置100における表示領域において、赤画素、緑画素および青画素に係る各発光層13の全てが発光していない部位である。また、図3において、横軸は波長を示し、縦軸は発光強度を示している。図3に示すように、黒表示部での発光は赤味を帯びていることがわかる。これは、外光によって発光層13が光励起されて発光したためである。
【0027】
図4は、発光層13の吸光度のスペクトル特性を示す図である。図4において、横軸は波長を示し、縦軸は吸光度を示している。図4に示すように、発光層13は、可視光の波長域(360nm〜780nm)における360nm〜500nm位(青色)ついても吸光作用がある。この青色によって、発光層13が図3に示すよう赤色に発光している。この発光は、発光層13におけるホトルミネッセンス(PL)効果によるものであり、電極を介して発光層13に電流を供給することによって発光させるエレクトロルミネッセンス(EL)効果とは異なる効果によるものである。
【0028】
図5は、円偏光板30の透過スペクトル特性を示す図である。図5において、横軸は波長を示し、縦軸は透過率を示している。このように、円偏光板30は、約400nm以下の波長の光を透過させず、紫外線カット機能を有している。
【0029】
しかしながら、図4に示すように、発光層13は400nm以上の可視光の青色についても吸光作用があるので、上記PL効果により、赤色の発光をしてしまっている。この赤色は、黒表示部で生じているものであり、本来の表示色である黒とは異質な印象を与える色であって、表示品質を阻害するものである。
【0030】
そこで、本実施形態では、円偏光板30の反射分光特性を発光層13が外光によって発光したときのその発光の分光特性に基づいて設定している。すなわち、発光層13が外光によって発光する赤色発光(着色)を緩和又は打ち消すために、円偏光板30がその赤色に対して補色の関係となる色度(青色)の反射分光特性を持つこととしている。さらに換言すれば、本実施形態の円偏光板30は、上記のように有機EL装置100の内部での反射光を有機EL装置100の外に出さない機能のみならず、太陽光などの照射に対して青色光を反射する機能を有する。
【0031】
図6は、円偏光板30の反射分光スペクトルを示す図である。図6において、横軸は波長を示し、縦軸は反射強度を示している。円偏光板30の反射色度(x,y)は、(0.1615,0.1477)であり、いわゆる青色である。なお、図6に示す円偏光板30の反射分光スペクトルは、本実施形態の一例であり、少なくとも青味があればよい。
【0032】
これらにより、本実施形態の有機EL装置100によれば、外光による発光層13の発光色と円偏光板30の反射光の色とが補色関係にあるので、外光が存在する通常の環境下で使用された場合、外光による着色のないカラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。
【0033】
このような補色関係の反射をする円偏光板30は、例えば次の偏光フィルム32と位相差フィルム31で構成することができる。偏光フィルム32としては、日東電工製のSEG1425Duを採用することが可能である。そして、この偏光フィルム32の吸収軸31aと45度の角度をなすように、ポリカーボネートからなる位相差フィルム31を配置することで、上記補色関係の反射をする円偏光板30が実現できる。ポリカーボネートは450nmと590nmの透過光について位相差の比(R450/R590)である波長分散が1.09であり、590nmの透過光のとき位相差がR590=165nmである。また、本実施形態では、円偏光板30を構成するのに1枚の位相差フィルム31を用いたが、複数枚の位相差フィルム31を用いて円偏光板30を構成してもよい。
【0034】
また、本実施形態において、外光による有機EL装置100の発光スペクトルのピーク波長(λB)は、図3に示すように約650nmである。一方、円偏光板30の反射スペクトルのピーク波長(λA)は、図6に示すように約435nmである。これらは、概して、λA=(550×2−λB)の関係にある。このようにすれば、外光における特に太陽光による非駆動時の有機EL装置の色付きを緩和することができる。なお、上記λAとλBの関係は、厳密に上記数式が成立していることを要するものではなく、例えばλA又はλBの値について±50[nm]の範囲で本実施形態の効果を発揮することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の模式断面図である。図7において図1の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態の有機EL装置200は、RGBの各ドットを複数有する。Rドットは赤を発光する発光層13Rの部位である。Gドットは緑を発光する発光層13Gの部位である。Bドットは青を発光する発光層13Bの部位である。
【0036】
図8は、有機EL装置200に太陽光を照射したときに、その有機EL装置200の黒表示部で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。図8において、横軸は波長を示し縦軸は発光強度を示している。図8に示すように、黒表示部での発光は赤味を帯びていることがわかる。これは、外光によって、R(赤)ドットの発光層13Rが光励起されて発光したためである。
【0037】
図9は、各発光層13R,13G,13Bの吸光度のスペクトル特性を示す図である。図9において、横軸は波長を示し、縦軸は吸光度を示している。そして、曲線Rが発光層13Rの吸光度スペクトル特性であり、曲線Gが発光層13Gの吸光度スペクトル特性であり、曲線Bが発光層13Bの吸光度スペクトル特性である。赤ドットの発光層13Rは可視光域波長の光(青)についても吸光することがわかる。この発光層13Rの吸光により、上記PL効果が生じ、発光層13Rで赤の発光が生じる。
【0038】
有機EL装置200の構成要素である円偏光板30は、第1実施形態で説明したように紫外線カット機能を有し、400nm以下の光の外光をカットする。しかし、発光層13Rは図9に示すように400nm以上の光についても吸光特性があるので、発光層13Rは外光によって発光してしまう。
【0039】
そこで、本実施形態では、円偏光板30の反射分光特性を発光層13Rが外光によって発光したときのその発光の分光特性に基づいて設定している。すなわち、発光層13Rが外光によって発光する赤色発光を緩和又は打ち消すために、円偏光板30がその赤色に対して補色の関係となる色度(青色)の反射分光特性を持つこととしている。
【0040】
図10は、円偏光板30の反射分光スペクトルである。図10において、横軸は波長を示し、縦軸は反射強度を示している。円偏光板30の反射色度(x,y)は、(0.1615,0.1477)であり、いわゆる青色である。なお、図10に示す円偏光板30の反射分光スペクトルは、本実施形態の一例であり、少なくとも青味があればよい。円偏光板30の具体的な構成および材料は、第1実施形態の円偏光板30のものと同一にすることができる。
【0041】
これらにより、本実施形態の有機EL装置200によれば、外光による発光層13Rの発光色と円偏光板30の反射光の色とが補色関係にあるので、外光が存在する通常の環境下で使用された場合、外光による着色のないカラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。一方、従来の有機EL表示装置は、円偏光板によって、有機EL装置の内部での「反射光」をほぼ完全に吸収することはできるが、外光で発光層が励起されたことによって生じる「発光」について吸収することはできない。ここで、特定色の発光層(例えば赤)のみが発光すると、有機EL装置の非駆動部位の表示領域が着色してしまう。しかし、本実施形態の有機EL装置200は、外光による発光色を円偏光板30の反射色で緩和させることができる。そこで、本実施形態の有機EL装置200は、従来の有機EL装置よりも、カラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。
【0042】
(電子機器)
図11は、上記各実施形態の有機EL装置100,200を備えた電子機器の一例を示す斜視構成図である。同図に示す携帯電話機1300は、複数の操作ボタン1302と、受話口1303と、送話口1304と、先の実施形態の有機EL装置100,200からなる表示部1301とを備えて構成されている。そして、この携帯電話機1300によれば、野外などで使用されても、表示部に備えられた有機EL装置100,200による高画質表示が可能になっている。
【0043】
また、本発明における有機EL装置を備えた電子機器としては、上記のものに限らず、他に例えば、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビ、携帯用テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、PDA、携帯用ゲーム機、ページャ、電子手帳、電卓、時計、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などを挙げることができる。また、本発明における有機EL装置を備えた電子機器として、車載用オーディオ機器や自動車用計器、カーナビゲーション装置等の車載用ディスプレイを挙げることもできる。
【0044】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な回路構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、ボトムエミッション方式の有機EL装置を例にして説明したが、本発明をトップエミッション方式の有機EL装置に適用することも可能である。トップエミッション方式の有機EL装置では、陽極がAl等の金属材料で構成され、陰極がITO等の透明導電性材料で構成される。そして、発光層からの光を陽極で反射するとともに陰極から出射する構成となっている。そこで、有機EL素子の全体を密閉封止する封止基板の外側に円偏光板を配置して、その円偏光板を本実施形態と同様に構成すればよい。
また、本発明は、円偏光板を表示面側に配置する全ての有機EL装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置の断面構成図である。
【図2】偏光フィルムおよび位相差フィルムの配置の説明図である。
【図3】外光により有機EL装置で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。
【図4】発光層の吸光度のスペクトル特性を示す図である。
【図5】円偏光板の透過スペクトル特性を示す図である。
【図6】円偏光板の反射分光スペクトルを示す図である。
【図7】第2実施形態に係る有機EL装置の模式断面図である。
【図8】外光により有機EL装置で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。
【図9】RGBの各発光層の吸光度スペクトル特性を示す図である。
【図10】円偏光板の反射分光スペクトルを示す図である。
【図11】実施形態に係る電子機器の一例の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10…ガラス基板、11…陽極、12…正孔輸送層、13,13B,13G,13R…発光層、14…電子輸送層、15…有機機能層、21…陰極、30…円偏光板、31…位相差フィルム(位相差板)、32…偏光フィルム(偏光板)、100,200…有機EL装置、110…有機EL素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
次世代の表示装置として、有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)が期待されている。有機EL装置は、上下の電極間に発光層を挟持した有機EL素子を基体上に配設して構成されており、典型的には、ガラス等の透光性基板の上に、陽極と、有機機能層(正孔輸送層や発光層、電子輸送層等)と、陰極とを順次積層した構造が採られる。そして、陽極および陰極によって有機機能層に電流を供給することにより、有機機能層の発光層を発光させるようになっている。
【0003】
有機EL装置は、主に陰極側から光を取り出すトップエミッション方式と、陽極側から光を取り出すボトムエミッション方式に分類される。そのうち、ボトムエミッション方式の有機EL装置は、一般に陽極がITO等の透明導電性材料で形成され、陰極がAl等の金属材料で形成されている。そして、発光層からの光を陰極で反射させるとともに、陽極から出射させて画像表示を行う構成となっている。
【0004】
ボトムエミッション方式の有機EL装置において、太陽光などの外光が陽極から入射すると、その外光が陰極で反射するため表示が視認しにくくなる。この問題を解決するため有機EL装置におけるガラス基板の外側に、円偏光板を配置する技術が提案されている(例えば、特許文献1ないし4参照)。円偏光板は、陽極側から位相差フィルムおよび偏光フィルムを順に積層して構成されている。この円偏光板に入射した外光は、まず偏光フィルムの透過軸に沿った直線偏光に変換され、さらに位相差フィルムにより円偏光に変換される。その円偏光が、陽極から有機EL素子に入射し、陰極において反射されると、回転方向の反転した円偏光に変換される。その円偏光は、位相差フィルムを再透過する際に、偏光フィルムの透過軸と直交する直線偏光に変換されるので、偏光フィルムによって吸収される。このように、円偏光板により外光を吸収して、有機EL装置の表示の見易さを確保している。
【特許文献1】特開平8−321381号公報
【特許文献2】特開平9−127885号公報
【特許文献3】特開2001−76865号公報
【特許文献4】特開2002−311239号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、有機EL装置に太陽光などの外光が入射すると、有機EL装置の内部で反射が生じるばかりでなく、その入射した光によって発光層が特定色の光を発光してしまうという問題点もある。例えば、太陽光における円偏光板を透過した青色光が赤系の発光材料の発光層に入射すると、その発光層がホトルミネッセンス(PL)効果により励起されて赤を発光してしまう場合がある。したがって、有機EL装置に太陽光などが入射すると、黒表示部(非表示部)が赤黒く表示されてしまいカラー画像の表示品質を低下させてしまう場合がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、外光が入射しても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置および電子機器の提供を目的とする。
また、本発明は、外光による表示光の着色を緩和することができ、室外などで使用されても、従来よりもカラーバランスがとれた高画質な表示ができる有機EL装置および電子機器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の有機EL装置は、一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、前記円偏光板の反射分光特性は、前記発光層が外光によって発光したときの該発光の分光特性に基づいて設定されていることを特徴とする。
本発明の有機EL装置によれば、発光層が外光によって発光したときのその着色発光を円偏光板の反射光によって緩和することができる。例えば、発光層が外光によって励起されて、赤色の光を出射する場合、円偏光板の反射光が青色であれば、その赤色と青色とが合成されることで灰色の表示にすることができる。そこで、室外などで有機EL装置を使用した場合でも、表示領域における非発光部位が赤色などを発色することを回避することができる。したがって、本発明は、室外などで使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の有機EL装置は、一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、前記円偏光板は、太陽光が該円偏光板を透過してなる該透過光によって前記発光層が発光したときの該発光の色度に対して、補色の関係となる色度の反射分光特性を有することを特徴とする。
本発明の有機EL装置によれば、太陽光(白色光)が円偏光板を透過し、その透過光によって発光層が励起されてある色が発光した場合、その発光の色を円偏光板の反射光によって打ち消すことができる。例えば、円偏光板の透過光が青色である場合、赤色の発光層がホトルミネッセンス(PL)効果により励起されて赤色光を発光する場合がある。この場合、円偏光板の反射光は、赤の補色である青である。したがって、発光層から発光と円偏光板の反射光とが合成されて灰色が表示される。そこで、本発明は、太陽光などの白色光が表示画面に入射する環境下で使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0009】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長が前記発光のピーク波長よりも短いことが好ましい。
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板が太陽光(白色光)に対する反射光が青色であることが好ましい。
本発明によれば、例えば外光による発光層から発光のピーク波長が赤の波長である場合、円偏光板の反射光のピーク波長が赤より短い青(赤の補色である青)の波長となる。これにより、本発明は、カラーバランスの良い表示ができる有機EL装置を簡便に提供することができる。
【0010】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長をλA[nm]として、前記発光層が外光によって発光したときにおける該発光の分光特性のピーク波長をλB[nm]とすると、λAは、(550×2−λB)±50[nm]の範囲内にあることが好ましい。
本発明によれば、人間の視覚感度における最大波長である550nmを中心として、円偏光板の反射分光特性のピーク波長λAと、外光による発光のピーク波長λBとを対象関係にすることができる。そこで、本発明は、円偏光板の反射光の色と外光による発光の色とをより正確にかつ簡便に補色の関係にすることができる。
【0011】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板が紫外線を透過させない機能を有するものであることが好ましい。
本発明によれば、円偏光板の紫外線カット機能によって発光層に特定波長域の光が入射して、その発光層で特定の色が発光する場合が生じる。このような場合でも、本発明は、かかる特定の色を円偏光板の反射光で緩和させることができる。そこで、本発明は、カラーバランスの良い表示ができる有機EL装置を簡便に提供することができる。
【0012】
また、本発明の有機EL装置は、前記円偏光板が偏光板と位相差板とで構成されていることが好ましい。
本発明によれば、円偏光板に入射した外光を偏光板によって直線偏光に変換することができる。その直線偏光は位相差板(λ/4板)によって円偏光に変換することができる。この円偏光は、有機EL装置の陰極で反射されると、回転方向の反転した円偏光に変換される。その反射光(円偏光)は再び位相差板を透過する際に直線偏光に変換されるが、この直線偏光は偏光板の透過軸に直交する直線偏光となっているのでその偏光板を全く透過できない。したがって、上記円偏光板によれば、有機EL装置内に入射した外光によって生じた反射光が有機EL装置外に出ることを防止することができる。また、有機EL装置内に入射した外光によって生じた発光の色については、円偏光板の反射光によって打ち消すことができる。これらにより、本発明は、室外などで使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明の有機EL装置は、前記発光層が一対の電極の間に配置されており、前記一対の電極における表示面側の電極は透明であり、他方の電極は反射率が高いものであり、前記発光層は、前記一対の電極によって電流が該発光層に供給されることにより、赤色を発光する赤発光層と、緑色を発光する緑発光層と、青色を発光する青発光層とを有してなることが好ましい。
本発明によれば、例えば外光が円偏光板を透過してその透過光により赤発光層が励起され赤の発光があった場合、円偏光板の反射光(青)によって赤の発光色を打ち消すことができる。そこで、本発明は、室外などで使用されても、カラーバランスの良い高画質な表示ができる有機EL装置を提供することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、前記有機EL装置を備えたことを特徴とする。
本発明の電子機器によれば、室外などで使用されても、カラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下で参照する各図面においては、図面を見易くするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL装置の断面構成図である。本実施形態の有機EL装置100は、図1に示すように、有機EL素子110の出力光を陽極11側から取り出すボトムエミッション方式の有機EL装置である。
【0017】
(有機EL装置の基本構成)
有機EL装置100は、基板10の上面に、有機EL素子110を配設してなる構成を備えている。有機EL素子110は、ガラス基板10の一方面(図1の上面)側に、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなる陽極11と、正孔輸送層12と、発光層13と、電子輸送層14と、Al等の光反射性の金属膜からなる陰極21とを順に積層した構成となっている。なお、正孔輸送層12、発光層13および電子輸送層14は、有機機能材料からなる有機機能層15を形成している。また、後に詳述するように、ガラス基板10の他方面(図1の下面)側には、位相差フィルム(位相差板)31および偏光フィルム(偏光板)32が順に積層されて、円偏光板30が構成されている。
【0018】
陽極11には、典型的には上記ITOが用いられるが、これに限らず、公知の透光性導電材料を用いることができる。
また、陰極21には、良好な光反射性を具備したAl(アルミニウム)を好適に用いることができる。この場合、陰極21は、発光層13で生じた光を陽極11側へ反射する機能を有するものとなる。なお、Alの他にも、Au(金)、Ag(銀)、Cr(クロム)、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Ca、Mg(マグネシウム)、Sr、Yb(イッテルビウム)、Er(エルビウム)、Tb(テルビウム)、Sm(サマリウム)等の金属材料、およびこれらから選択される金属材料の薄膜を複数積層した構造とすることもできる。
【0019】
発光層13を構成し得る発光材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料である、ポリフルオレン誘導体(PF)、ポリパラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシラン系などを好適に用いることができる。また、これらの発光材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0020】
正孔輸送層12は、陽極11から発光層13への電荷の注入効率を高めるとともに、発光層13内を移動する電子をブロッキングする機能を奏し、発光層内での電子と正孔との再結合確率を高める作用を奏する。この正孔輸送層12には、陽極11からの注入障壁が低く、正孔移動度の高い材料が好適に用いられる。このような材料としては、例えばポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体など、またはそれらのドーピング体などが用いられる。具体的には、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)[商品名;バイトロン−p(Bytron-p):バイエル社製]の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液などが用いられる。
なお、必要に応じて、陰極21から発光層13への電子注入効率を高めるとともに、正孔ブロッキング機能を有する電子輸送層14を形成してもよい。この電子輸送層14は、オキサジアゾール誘導体やAlq3などの有機材料で形成することが可能である。
【0021】
上記構成を備えた本実施形態の有機EL装置100は、陽極11と陰極21との間に所定の電圧を印加することで、有機機能層15に流れる電流量に応じて発光層13において光が発生する。そして、発生した光を陽極11から直接的に、また陰極21で反射された光を間接的に、ガラス基板10側から取り出すようになっている。
なお、発光層13の材料を適当に選択することにより、発光層13を異なる色光に発光させることができる。そこで、本実施形態の有機EL装置100は、RGB三原色のいずれかに発光する複数の有機EL素子110をマトリクス状に整列配置した構成となっている。
【0022】
(円偏光板)
図1において、ガラス基板10の光出射面側には、円偏光板30が配設されている。この円偏光板30は、ガラス基板10側に配置された位相差フィルム(位相差板)31と、その外側に配置された偏光フィルム(偏光板)32とによって構成されている。この偏光フィルム32は、ガラス基板10の外側(図1の下側)から有機EL装置100に入射する外光のうち、透過軸方向の直線偏光のみを透過させるものである。なお偏光フィルム32は、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)等からなる支持基板の表面に、ヨウ素錯体等を吸着させたポリビニルアルコール(PVA)等のフィルムを装着し、これを所定方向に延伸してPVA高分子およびヨウ素錯体を配向させることにより形成される。
【0023】
また、位相差フィルム31は、進相軸方向の屈折率が遅相軸方向の屈折率より小さい、いわゆる複屈折性を有するものである。なお、位相差フィルム31は、トリアセチルセルロース(TAC)等からなる支持基板の表面にポリカーボネート等のフィルムを装着し、これを所定方向に延伸してポリカーボネート分子を配向させることにより形成される。
【0024】
図2は、偏光フィルム32および位相差フィルム31の配置の説明図であって、図1の底面図である。図2に示すように、位相差フィルム31の遅相軸31aは、偏光フィルム32の透過軸32aと45度をなすように配置されている。これにより、偏光フィルム32を透過した直線偏光が、楕円偏光に変換されるようになっている。さらに、位相差フィルム31の厚さは、位相差フィルム31への入射光の波長をλとして、位相差フィルム31のリタデーションが約λ/4となるように設定されている。すなわち、位相差フィルム31として、いわゆるλ/4板が採用されている。そして、上述した偏光フィルム32と、λ/4板である位相差フィルム31とによって、入射光を円偏光に変換する円偏光板30が構成されている。なお、λ/4板およびλ/2板を組み合わせた位相差フィルムにより、円偏光板を構成することも可能である。
【0025】
そして、図1に示すガラス基板10の外側(図1の下側)から有機EL装置100に入射した光は、偏光フィルム32により例えば紙面に垂直な直線偏光に変換される。この直線偏光は、位相差フィルム31により例えば左回りの円偏光に変換され、ガラス基板10を透過して有機EL素子110に入射する。この左回りの円偏光は、金属電極である陰極21で反射される際に、進行方向に対して回転方向が反転し、右回りの円偏光になる。この右回りの円偏光が、位相差フィルム31を再透過すると、紙面と平行な直線偏光に変換される。この直線偏光は、紙面と垂直な透過軸を有する偏光フィルム32によって吸収される。このように、本実施形態の有機EL装置100では、太陽光などの外光がパネルに入射する環境にて使用した場合にも、光反射性の陰極21で反射された外光を偏光フィルム32で吸収し、観察者に到達させないようになっている。
【0026】
図3は、有機EL装置100に太陽光を照射したときに、その有機EL装置100の黒表示部で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。ここで、黒表示部とは、有機EL装置100における表示領域において、赤画素、緑画素および青画素に係る各発光層13の全てが発光していない部位である。また、図3において、横軸は波長を示し、縦軸は発光強度を示している。図3に示すように、黒表示部での発光は赤味を帯びていることがわかる。これは、外光によって発光層13が光励起されて発光したためである。
【0027】
図4は、発光層13の吸光度のスペクトル特性を示す図である。図4において、横軸は波長を示し、縦軸は吸光度を示している。図4に示すように、発光層13は、可視光の波長域(360nm〜780nm)における360nm〜500nm位(青色)ついても吸光作用がある。この青色によって、発光層13が図3に示すよう赤色に発光している。この発光は、発光層13におけるホトルミネッセンス(PL)効果によるものであり、電極を介して発光層13に電流を供給することによって発光させるエレクトロルミネッセンス(EL)効果とは異なる効果によるものである。
【0028】
図5は、円偏光板30の透過スペクトル特性を示す図である。図5において、横軸は波長を示し、縦軸は透過率を示している。このように、円偏光板30は、約400nm以下の波長の光を透過させず、紫外線カット機能を有している。
【0029】
しかしながら、図4に示すように、発光層13は400nm以上の可視光の青色についても吸光作用があるので、上記PL効果により、赤色の発光をしてしまっている。この赤色は、黒表示部で生じているものであり、本来の表示色である黒とは異質な印象を与える色であって、表示品質を阻害するものである。
【0030】
そこで、本実施形態では、円偏光板30の反射分光特性を発光層13が外光によって発光したときのその発光の分光特性に基づいて設定している。すなわち、発光層13が外光によって発光する赤色発光(着色)を緩和又は打ち消すために、円偏光板30がその赤色に対して補色の関係となる色度(青色)の反射分光特性を持つこととしている。さらに換言すれば、本実施形態の円偏光板30は、上記のように有機EL装置100の内部での反射光を有機EL装置100の外に出さない機能のみならず、太陽光などの照射に対して青色光を反射する機能を有する。
【0031】
図6は、円偏光板30の反射分光スペクトルを示す図である。図6において、横軸は波長を示し、縦軸は反射強度を示している。円偏光板30の反射色度(x,y)は、(0.1615,0.1477)であり、いわゆる青色である。なお、図6に示す円偏光板30の反射分光スペクトルは、本実施形態の一例であり、少なくとも青味があればよい。
【0032】
これらにより、本実施形態の有機EL装置100によれば、外光による発光層13の発光色と円偏光板30の反射光の色とが補色関係にあるので、外光が存在する通常の環境下で使用された場合、外光による着色のないカラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。
【0033】
このような補色関係の反射をする円偏光板30は、例えば次の偏光フィルム32と位相差フィルム31で構成することができる。偏光フィルム32としては、日東電工製のSEG1425Duを採用することが可能である。そして、この偏光フィルム32の吸収軸31aと45度の角度をなすように、ポリカーボネートからなる位相差フィルム31を配置することで、上記補色関係の反射をする円偏光板30が実現できる。ポリカーボネートは450nmと590nmの透過光について位相差の比(R450/R590)である波長分散が1.09であり、590nmの透過光のとき位相差がR590=165nmである。また、本実施形態では、円偏光板30を構成するのに1枚の位相差フィルム31を用いたが、複数枚の位相差フィルム31を用いて円偏光板30を構成してもよい。
【0034】
また、本実施形態において、外光による有機EL装置100の発光スペクトルのピーク波長(λB)は、図3に示すように約650nmである。一方、円偏光板30の反射スペクトルのピーク波長(λA)は、図6に示すように約435nmである。これらは、概して、λA=(550×2−λB)の関係にある。このようにすれば、外光における特に太陽光による非駆動時の有機EL装置の色付きを緩和することができる。なお、上記λAとλBの関係は、厳密に上記数式が成立していることを要するものではなく、例えばλA又はλBの値について±50[nm]の範囲で本実施形態の効果を発揮することができる。
【0035】
(第2実施形態)
図7は、本発明の第2実施形態に係る有機EL装置の模式断面図である。図7において図1の構成要素と同一のものには同一符号を付けている。本実施形態の有機EL装置200は、RGBの各ドットを複数有する。Rドットは赤を発光する発光層13Rの部位である。Gドットは緑を発光する発光層13Gの部位である。Bドットは青を発光する発光層13Bの部位である。
【0036】
図8は、有機EL装置200に太陽光を照射したときに、その有機EL装置200の黒表示部で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。図8において、横軸は波長を示し縦軸は発光強度を示している。図8に示すように、黒表示部での発光は赤味を帯びていることがわかる。これは、外光によって、R(赤)ドットの発光層13Rが光励起されて発光したためである。
【0037】
図9は、各発光層13R,13G,13Bの吸光度のスペクトル特性を示す図である。図9において、横軸は波長を示し、縦軸は吸光度を示している。そして、曲線Rが発光層13Rの吸光度スペクトル特性であり、曲線Gが発光層13Gの吸光度スペクトル特性であり、曲線Bが発光層13Bの吸光度スペクトル特性である。赤ドットの発光層13Rは可視光域波長の光(青)についても吸光することがわかる。この発光層13Rの吸光により、上記PL効果が生じ、発光層13Rで赤の発光が生じる。
【0038】
有機EL装置200の構成要素である円偏光板30は、第1実施形態で説明したように紫外線カット機能を有し、400nm以下の光の外光をカットする。しかし、発光層13Rは図9に示すように400nm以上の光についても吸光特性があるので、発光層13Rは外光によって発光してしまう。
【0039】
そこで、本実施形態では、円偏光板30の反射分光特性を発光層13Rが外光によって発光したときのその発光の分光特性に基づいて設定している。すなわち、発光層13Rが外光によって発光する赤色発光を緩和又は打ち消すために、円偏光板30がその赤色に対して補色の関係となる色度(青色)の反射分光特性を持つこととしている。
【0040】
図10は、円偏光板30の反射分光スペクトルである。図10において、横軸は波長を示し、縦軸は反射強度を示している。円偏光板30の反射色度(x,y)は、(0.1615,0.1477)であり、いわゆる青色である。なお、図10に示す円偏光板30の反射分光スペクトルは、本実施形態の一例であり、少なくとも青味があればよい。円偏光板30の具体的な構成および材料は、第1実施形態の円偏光板30のものと同一にすることができる。
【0041】
これらにより、本実施形態の有機EL装置200によれば、外光による発光層13Rの発光色と円偏光板30の反射光の色とが補色関係にあるので、外光が存在する通常の環境下で使用された場合、外光による着色のないカラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。一方、従来の有機EL表示装置は、円偏光板によって、有機EL装置の内部での「反射光」をほぼ完全に吸収することはできるが、外光で発光層が励起されたことによって生じる「発光」について吸収することはできない。ここで、特定色の発光層(例えば赤)のみが発光すると、有機EL装置の非駆動部位の表示領域が着色してしまう。しかし、本実施形態の有機EL装置200は、外光による発光色を円偏光板30の反射色で緩和させることができる。そこで、本実施形態の有機EL装置200は、従来の有機EL装置よりも、カラーバランスがとれた高画質の表示をすることができる。
【0042】
(電子機器)
図11は、上記各実施形態の有機EL装置100,200を備えた電子機器の一例を示す斜視構成図である。同図に示す携帯電話機1300は、複数の操作ボタン1302と、受話口1303と、送話口1304と、先の実施形態の有機EL装置100,200からなる表示部1301とを備えて構成されている。そして、この携帯電話機1300によれば、野外などで使用されても、表示部に備えられた有機EL装置100,200による高画質表示が可能になっている。
【0043】
また、本発明における有機EL装置を備えた電子機器としては、上記のものに限らず、他に例えば、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、テレビ、携帯用テレビ、ビューファインダ型・モニタ直視型のビデオテープレコーダ、PDA、携帯用ゲーム機、ページャ、電子手帳、電卓、時計、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器などを挙げることができる。また、本発明における有機EL装置を備えた電子機器として、車載用オーディオ機器や自動車用計器、カーナビゲーション装置等の車載用ディスプレイを挙げることもできる。
【0044】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能であり、実施形態で挙げた具体的な回路構成などはほんの一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、ボトムエミッション方式の有機EL装置を例にして説明したが、本発明をトップエミッション方式の有機EL装置に適用することも可能である。トップエミッション方式の有機EL装置では、陽極がAl等の金属材料で構成され、陰極がITO等の透明導電性材料で構成される。そして、発光層からの光を陽極で反射するとともに陰極から出射する構成となっている。そこで、有機EL素子の全体を密閉封止する封止基板の外側に円偏光板を配置して、その円偏光板を本実施形態と同様に構成すればよい。
また、本発明は、円偏光板を表示面側に配置する全ての有機EL装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第1実施形態に係る有機EL装置の断面構成図である。
【図2】偏光フィルムおよび位相差フィルムの配置の説明図である。
【図3】外光により有機EL装置で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。
【図4】発光層の吸光度のスペクトル特性を示す図である。
【図5】円偏光板の透過スペクトル特性を示す図である。
【図6】円偏光板の反射分光スペクトルを示す図である。
【図7】第2実施形態に係る有機EL装置の模式断面図である。
【図8】外光により有機EL装置で生じた発光のスペクトル特性を示す図である。
【図9】RGBの各発光層の吸光度スペクトル特性を示す図である。
【図10】円偏光板の反射分光スペクトルを示す図である。
【図11】実施形態に係る電子機器の一例の斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
10…ガラス基板、11…陽極、12…正孔輸送層、13,13B,13G,13R…発光層、14…電子輸送層、15…有機機能層、21…陰極、30…円偏光板、31…位相差フィルム(位相差板)、32…偏光フィルム(偏光板)、100,200…有機EL装置、110…有機EL素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、
前記円偏光板の反射分光特性は、前記発光層が外光によって発光したときの該発光の分光特性に基づいて、設定されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、
前記円偏光板は、太陽光が該円偏光板を透過してなる該透過光によって前記発光層が発光したときの該発光の色度に対して、補色の関係となる色度の反射分光特性を有することを特徴とする有機EL装置。
【請求項3】
前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長は、前記発光のピーク波長よりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記円偏光板は、太陽光に対する反射光が青色であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長をλA[nm]として、前記発光層が外光によって発光したときにおける該発光の分光特性のピーク波長をλB[nm]とすると、
λAは、(550×2−λB)±50[nm]の範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記円偏光板は、紫外線を透過させない機能を有するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記円偏光板は、偏光板と、位相差板とで構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記発光層は、一対の電極の間に配置されており、
前記一対の電極における表示面側の電極は透明であり、他方の電極は反射率が高いものであり、
前記発光層は、前記一対の電極によって電流が該発光層に供給されることにより、赤色を発光する赤発光層と、緑色を発光する緑発光層と、青色を発光する青発光層とを有してなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項1】
一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、
前記円偏光板の反射分光特性は、前記発光層が外光によって発光したときの該発光の分光特性に基づいて、設定されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
一対の電極間に配置された発光層と、表示面に配置された円偏光板とを少なくとも備えた有機EL装置であって、
前記円偏光板は、太陽光が該円偏光板を透過してなる該透過光によって前記発光層が発光したときの該発光の色度に対して、補色の関係となる色度の反射分光特性を有することを特徴とする有機EL装置。
【請求項3】
前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長は、前記発光のピーク波長よりも短いことを特徴とする請求項1又は2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記円偏光板は、太陽光に対する反射光が青色であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記円偏光板の反射分光特性のピーク波長をλA[nm]として、前記発光層が外光によって発光したときにおける該発光の分光特性のピーク波長をλB[nm]とすると、
λAは、(550×2−λB)±50[nm]の範囲内にあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記円偏光板は、紫外線を透過させない機能を有するものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記円偏光板は、偏光板と、位相差板とで構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記発光層は、一対の電極の間に配置されており、
前記一対の電極における表示面側の電極は透明であり、他方の電極は反射率が高いものであり、
前記発光層は、前記一対の電極によって電流が該発光層に供給されることにより、赤色を発光する赤発光層と、緑色を発光する緑発光層と、青色を発光する青発光層とを有してなることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−294448(P2006−294448A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−114253(P2005−114253)
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月12日(2005.4.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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