説明

有機EL装置及びその製造方法

【課題】有機EL装置の固体封止において、接着剤を所定のギャップに維持し、かつ、気泡や空間の混入のない有機EL装置及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】第1の基材上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層を区画するように前記第1の基材上に形成された隔壁と、前記第1の電極層上に形成された有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層上に形成された第2の電極層と、を有する有機EL素子基板が接着層を介して封止基板と貼り合わせてなる有機EL装置であって、前記封止基材は、第2の基材と、前記第2の基材上に形成された突起層と、を有し、前記突起層は、前記隔壁の間の開口部に位置するよう形成されていることを特徴とする有機EL装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ、パソコンモニタ、携帯電話等の携帯端末などに使用されるフラットパネルディスプレイや、面発光光源、照明、発光型広告体などとして、幅広い用途が期待される有機EL装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL装置は、広視野角、応答速度が速い、低消費電力などの利点から、面発光光源や、ブラウン管や液晶ディスプレイに替わるフラットパネルディスプレイとして期待されている。
【0003】
有機EL素子は、少なくともどちらか一方が透光性を有する二枚の電極層(陽極層と陰極層)の間に、有機発光媒体層を挟持した構造であり、両電極間に電圧を印可し電流を流すことにより有機発光媒体層で発光が生じる自発光型の表示素子である。しかし、有機EL素子は、大気中の水分や酸素の影響により劣化するといった問題があるため、乾燥剤を内包した金属缶やガラスキャップで覆い、大気から遮断する方法が一般的に用いられている。
【0004】
近年、アクティブマトリクス型有機ELディスプレイの光取出し効率を向上させるために、封止部材側から光を取り出す上面発光素子が提案されており、従来用いられてきた乾燥剤を内包したキャップ封止に変わり、バリア性を有するパッシベーション膜(封止層)、接着剤、カラーフィルター機能などを有する封止基材を、空間を設けずに積層する固体封止が提案されている(特許文献1、2)。
【0005】
固体封止においては、封止性能を維持するために、接着剤を数ミクロンの厚みギャップを均一維持する必要があり、また、気泡や空間の混入は、発光の妨げとなるだけでなく、有機ELディスプレイの劣化要因となるため、気泡レスでの貼り合せが必要である。貼り合せ手法の一例として、液晶注入で一般的に用いられているODF(one drop fill)法が近年試みられているが、有機ELディスプレイの場合は、液晶材料と異なり接着剤の粘度が高いため基材が大型化するにつれ基材表面の凹凸の影響を敏感に受けやすく、基材面均一に接着剤を充填塗布することが困難である。
【0006】
図9は、カラーフィルター層が形成された封止基材35と、有機EL素子16を形成した基材36とを、ODF法を用いて貼り合せた従来の封止方法の断面概略図である。有機EL装置をODF法で貼り合わせる場合、一般的に、第一の接着層31としてスペーサー入りのUV硬化型接着剤を基材36周囲に塗布し、次に第二の接着層32としてUV硬化もしくは熱硬化型の接着剤を第一の接着層31に囲われた領域に充填する。この時、第一および第二の接着層ともに、貼り合せ・硬化後のギャップ分の接着剤量を塗布・充填するが、第二の接着層32の粘度は100〜1000mPa・s程度と液晶材料に比べて高いため、基材36上に形成された隔壁パターンや封止基材35上に形成されたカラーフィルター層などで生じた表面の凹凸バラツキの影響により、貼り合せ時の濡れ広がりが不十分な箇所が発生し気泡33や空間34が生じやすいといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−231443号公報
【特許文献2】特開2004−164890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑み、有機EL装置の固体封止において、接着剤を所定のギャップに維持し、かつ、気泡や空間の混入のない有機EL装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る発明は、第1の基材上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層を区画するように前記第1の基材上に形成された隔壁と、前記第1の電極層上に形成された有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層上に形成された第2の電極層と、
を有する有機EL素子基板が接着層を介して封止基板と貼り合わせてなる有機EL装置であって、
前記封止基材は、第2の基材と、前記第2の基材上に形成された突起層と、を有し、
前記突起層は、前記隔壁の間の開口部に位置するよう形成されていることを特徴とする有機EL装置である。
【0010】
本発明の請求項2に係る発明は、前記突起層と前記有機EL素子との間の接着層の厚さが、前記隔壁と前記第2の基材との間の接着層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置である。
【0011】
本発明の請求項3に係る発明は、前記封止基材の接着面上に、スペーサー層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の有機EL装置である。
【0012】
本発明の請求項4に係る発明は、前記第2の基材と前記突起層は透明な材料からなることを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置である。
【0013】
本発明の請求項5に係る発明は、前記第2の基材上には複数のカラーフィルター層が形成され、前記突起層は前記複数のカラーフィルター層上に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置である。
【0014】
本発明の請求項6に係る発明は、前記第2の基材上には複数のカラーフィルター層が形成され、前記複数のカラーフィルター層上には吸収波長と異なる波長を含む光を出力する複数の色変換層が形成され、前記突起層は前記複数の色変換層上及び前記複数のカラーフィルター層上に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置である。
【0015】
本発明の請求項7に係る発明は、前記複数のカラーフィルター層の間の領域上には、遮光層が形成されていることを特徴とする請求項5および6に記載の有機EL装置である。
【0016】
本発明の請求項8に係る発明は、前記突起層の断面の形状が、四角形、台形、二等辺三角形、不等辺三角形、大小の三角形等の連なった形状からなるプリズム類、正弦曲線様の波形、若しくは、断面が多数連なった半円状を伏せた形のレンチキュラーレンズ類、ピラミッド形や半球状の単位を配備したレンズアレー三角形、半円形、半球状、若しくは、これらの形状を組み合わせた形状であり、
前記突起層の屈折率は前記接着層の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項7に記載の有機EL装置である。
【0017】
本発明の請求項9に係る発明は、前記有機EL素子基板表面の全面が、無機酸化膜、無機窒化膜、無機酸窒化膜のいずれかの無機膜に被覆されていることを特徴とする請求項1ないし8に記載の有機EL装置である。
【0018】
本発明の請求項10に係る発明は、前記封止基板表面の全面が、無機酸化膜、無機窒化膜、無機酸窒化膜のいずれかの無機膜に被覆されていることを特徴とする請求項1ないし9に記載の有機EL装置である。
【0019】
本発明の請求項11に係る発明は、液状接着剤を前記有機EL素子基板の前記隔壁が形成された面に塗布し、前記封止基板と貼付けした後に、前記液状接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1ないし10に記載の有機EL装置の製造方法である。
【0020】
本発明の請求項12に係る発明は、シート状接着剤を前記封止基板の前記突起層が形成された面に積層し、前記有機EL素子基板と貼り付けた後に、前記シート状接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1ないし10に記載の有機EL装置の製造方法である。
【0021】
本発明の請求項13に係る発明は、前記第1の基材と前記第2の基材とを前記接着層を介して貼付する工程が、真空中で行われることを特徴とする請求項11または12に記載の有機EL装置の製造方法である。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、接着剤を所定のギャップに維持し、気泡や空間が無い固体封止を提供でき、さらに発光、特に接着層の気泡に由来する装置上面からの発光を妨げることなく、長期にわたり劣化を抑制できる有機EL装置及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】カラーフィルター方式の有機EL装置の断面図
【図2】3色発光方式の有機EL装置の断面図
【図3】色変換方式の有機EL装置の断面図
【図4】角度θと角度φを示した有機EL装置の断面図
【図5】有機EL装置中の光の屈折・反射の様子を示した断面図
【図6】封止状態における接着層の厚みとガス侵入経路の断面図
【図7】ODF方式による封止方法の段階的な断面図
【図8】シート状接着剤による封止方法の段階的な断面図
【図9】従来の封止方法の段階的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図を参照して説明する。なお、本発明はこれに限るものではない。
【0025】
図1は、第1の基材10上に形成された隔壁12と、隔壁で囲まれた開口部に形成された第1の電極11と有機発光媒体層13と第2の電極14からなる有機EL素子16および有機EL素子16上に形成された第1のパッシベーション層15からなる有機EL素子基板17と、第2の基材20上に形成された突起層21、スペーサー層22、遮光層23、カラーフィルター層24、第2のパッシベーション層25からなる封止基板27とを接着層30を介して貼り付けたカラーフィルター方式を本発明に適用した上面発光型有機EL装置の断面概略図である。
【0026】
また、図2は電界をかけることにより赤・青・緑にそれぞれ発光する素子を配列する3色発光方式の有機EL素子16を本発明に適用した場合の上面発光型有機EL装置の断面概略図である。三色発光方式の場合、有機EL素子16に複数の色の有機発光媒体層13(a)、13(b)が形成されているため、封止基板27には突起層21とスペーサー層22のみが形成されている。
【0027】
また、図3は近紫外光、青色光、青緑色光または白色光を吸収し、波長分布変換を行って可視光域の光を発光する色変換層とカラーフィルター層を用いる色変換方式の有機EL素子16を本発明に適用した場合の上面発光型有機EL装置の断面概略図である。色変換方式の場合、21〜24の各層に加え、有機EL素子16からの光を変換するための色変換色素を含有する色変換層26(a)、26(b)が形成されている。なお、有機EL素子からの発光を変換することなくそのまま使用する場合などは、色変換層やカラーフィルター層は複数無くてもよい。
【0028】
図1〜図3に示した有機EL装置は、有機EL素子16の発光方式や発光面が上面か下面かの違い、もしくは素子構成の違いによって遮光層23、カラーフィルター層24、色変換層26は有機EL素子基板17に形成されていても、若しくは有機EL素子基板17と封止基板27のどちらにも形成されていなくてもよい。
【0029】
次に、本発明の有機EL装置の詳細について、有機EL素子基板17から順に説明する。
【0030】
第1の基材10としては、有機EL装置の駆動方法をアクティブマトリクス方式とした場合、ガラスや石英、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート等のプラスチックフィルムに薄膜トランジスタ(TFT)が形成された基材を用いる。なお、薄膜トランジスタは特に図示しない。
【0031】
第1の基材上10に形成される薄膜トランジスタとしては、公知の薄膜トランジスタを用いることができる。具体的には、主として、ソース/ドレイン領域及びチャネル領域が形成される活性層、ゲート絶縁膜及びゲート電極から構成される薄膜トランジスタが挙げられる。薄膜トランジスタの構造としては、特に限定されるものではなく、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型等が挙げられる。
【0032】
なお、本発明の有機EL素子16は、上記した画素毎に薄膜トランジスタ(TFT)を形成し、画素毎に独立して発光する方式であるアクティブマトリックス方式だけでなく、ストライプ状の陽極及び陰極を直交させるように対向させ、その交点を発光させる方式であるパッシブマトリクス方式の構成にすることもできる。
【0033】
薄膜トランジスタに用いられる活性層としては、特に限定されるものではなく、例えば、非晶質シリコン、多結晶シリコン、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料又はチオフエンオリゴマー、ポリ(p-フェリレンビニレン)等の有機半導体材料により形成することができる。これらの活性層は、例えば、アモルファスシリコンをプラズマCVD法により積層し、イオンドーピングする方法、SiHガスを用いてLPCVD法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法、Siガスを用いてLPCVD法により、また、SiHガスを用いてPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピング法によりイオンドーピングする方法(低温プロセス)、減圧CVD法又はLPCVD法によりポリシリコンを積層し、1000℃以上で熱酸化してゲート絶縁膜を形成し、その上にn+ポリシリコンのゲート電極を形成し、その後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法(高温プロセス)等が挙げられる。
【0034】
ゲート絶縁膜としては、通常、ゲート絶縁膜として使用されているものを用いることができ、例えば、PECVD法、LPCVD法等により形成されたSiO;ポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiO等を用いることができる。
【0035】
ゲート電極としては、通常、ゲート電極として使用されているものを用いることができ、例えば、アルミ、銅等の金属、チタン、タンタル、タングステン等の高融点金属、ポリシリコン、高融点金属のシリサイド、ポリサイド等が挙げられる。また、薄膜トランジスタは、シングルゲート構造、ダブルゲート構造、ゲート電極が3つ以上のマルチゲート構造であってもよい。また、LDD構造、オフセット構造を有していてもよい。さらに、1つの画素中に2つ以上の薄膜トランジスタが配置されていてもよい。
【0036】
本発明の有機EL装置は、薄膜トランジスタが有機EL装置のスイッチング素子として機能するように接続し、トランジスタのドレイン電極と有機EL装置の第1の電極層11が電気的に接続されている。薄膜トランジスタとドレイン電極と有機EL装置の第1の電極層11との接続は、平坦化膜を貫通するコンタクトホール内に形成された接続配線を介して行われる。
【0037】
本発明の実施の形態において、第1の電極層11は隔壁12によって区画され、各画素に対応した第1の電極層となる。第1の電極層11の材料としては、ITOなど仕事関数の高い材料を選択することが好ましく、ITO(インジウムスズ複合酸化物)やインジウム亜鉛複合酸化物、亜鉛アルミニウム複合酸化物などの金属複合酸化物や、金、白金などの金属材料や、これら金属酸化物や金属材料の微粒子をエポキシ樹脂やアクリル樹脂などに分散した微粒子分散膜を、単層もしくは積層したものをいずれも使用することができる。また、有機EL素子16が上面発光型で、第1の電極層として正孔注入性と反射性が必要となる場合には、AgやAlのような金属材料の上にITO膜を積層すればよい。逆に、有機EL素子16が下面発光型で、第1の電極層として正孔注入性と透明性の確保が必要な場合、ITOやIZOなどといった光透過性に優れた金属酸化物との積層膜を用いればよい。
第1の電極層11の厚さは、有機EL素子16の素子構成により最適値が異なるが、単層、積層にかかわらず、0.01μm以上1μm以下であり、より好ましくは、0.01μm以上0.3μm以下である。
【0038】
第1の電極層11の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などの乾式成膜法や、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの湿式成膜法などを用いることができる。
【0039】
隔壁12は画素に対応した発光領域を区画するように形成する。一般的にアクティブマトリクス駆動型の表示装置は各画素に対して第1の電極層11が形成され、それぞれの画素ができるだけ広い面積を占有しようとするため、第1の電極層11の端部を覆うように形成される隔壁12の最も好ましい形状は各第1の電極層11を最短距離で区切る格子状を基本とする。
隔壁12の形成方法としては、従来と同様、基体上に無機膜を一様に形成し、レジストでマスキングした後、ドライエッチングを行う方法や、基体上に感光性樹脂を積層し、フォトリソグラフィ法により所定のパターンとする方法が挙げられる。必要に応じて撥水剤を添加したり、プラズマやUVを照射して形成後にインクに対する撥液性を付与したりすることもできる。
隔壁12の好ましい高さは0.1μm以上10μm以下であり、より好ましくは0.5μm以上2μm以下である。隔壁12の高さが10μmを超えると対向電極の形成及び封止を妨げてしまい、0.1μm未満だと第1の電極層層11の端部を覆い切れない、あるいは発光媒体層の形成時に隣接する画素とショートしたり混色したりしてしまうからである。
【0040】
本発明における有機発光媒体層13としては、発光物質を含む単層膜、あるいは多層膜で形成することができる。多層膜で形成する場合の有機発光媒体層13の構成例としては、正孔輸送層、電子輸送性発光層または正孔輸送性発光層、電子輸送層からなる2層構成や正孔輸送層、発光層、電子輸送層からなる3層構成、さらには、必要に応じて正孔(電子)注入機能と正孔(電子)輸送機能を分けたり、正孔や電子の輸送をプロックする層などを挿入することにより、さらに多層形成することができる。
【0041】
有機発光媒体層13に用いる正孔輸送材料の例としては、銅フタロシアニン、テトラ(t−ブチル)銅フタロシアニン等の金属フタロシアニン類及び無金属フタロシアニン類、キナクリドン化合物、1,1−ビス(4−ジ−p−トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族アミン系低分子正孔注入輸送材料や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物などの高分子正孔輸送材料、ポリチオフェンオリゴマー材料、CuO,Cr,Mn,FeOx(x〜0.1),NiO,CoO,Pr,AgO,MoO,Bi,ZnO,TiO,SnO,ThO,V,Nb,Ta,MoO,WO,MnOなどの無機材料、その他既存の正孔輸送材料の中から選ぶことができる。
【0042】
有機発光媒体層13の発光材料が高分子材料の場合には、発光層と正孔輸送層の間又は正孔輸送層と電子輸送層の間に、正孔の輸送性を高め、陰極からの電子をブロックする機能を持つインターレイヤ層を形成することが好ましい。インターレイヤ層に用いる材料として、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリアリーレン誘導体、アリールアミン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体などの、芳香族アミンを含むポリマーなどが挙げられる。これらの材料は溶媒に溶解または分散させ、スピンコート法等を用いた各種塗布方法や凸版印刷方法を用いて形成することができる。
【0043】
有機発光媒体層13に用いる発光材料としては、9,10−ジアリールアントラセン誘導体、ピレン、コロネン、ペリレン、ルブレン、1,1,4,4−テトラフェニルブタジエン、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(8−キノリノラート)亜鉛錯体、トリス(4−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、トリス(4−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−トリフルオロメチル−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、ビス(2−メチル−5−シアノ−8−キノリノラート)[4−(4−シアノフェニル)フェノラート]アルミニウム錯体、トリス(8−キノリノラート)スカンジウム錯体、ビス〔8−(パラ−トシル)アミノキノリン〕亜鉛錯体及びカドミウム錯体、1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、ポリ−2,5−ジヘプチルオキシ−パラ−フェニレンビニレン、クマリン系蛍光体、ペリレン系蛍光体、ピラン系蛍光体、アンスロン系蛍光体、ポルフィリン系蛍光体、キナクリドン系蛍光体、N,N’−ジアルキル置換キナクリドン系蛍光体、ナフタルイミド系蛍光体、N,N’−ジアリール置換ピロロピロール系蛍光体等、Ir錯体等の燐光性発光体などの低分子系発光材料や、ポリフルオレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリチオフェン、ポリスピロなどの高分子材料や、これら高分子材料に前記低分子材料の分散または共重合した材料や、その他既存の蛍光発光材料や燐光発光材料を用いることができる。
【0044】
有機発光媒体層13に用いる電子輸送材料の例としては、2−(4−ビフェニルイル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、オキサジアゾール誘導体やビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム錯体、トリアゾール化合物等を用いることができる。
また、これらの電子輸送材料に、ナトリウムやバリウム、リチウムといった仕事関数が低いアルカリ金属、アルカリ土類金属を少量ドープすることにより、電子注入層としてもよい。
【0045】
有機発光媒体層13の厚さは、単層または積層により形成する場合においても、1μm以下であり、好ましくは0.05〜0.2μm程度である。
有機発光媒体層の形成方法としては、材料に応じて、真空蒸着法や、スリットコート、スピンコート、スプレーコート、ノズルコート、フレキソ、グラビア、マイクログラビア、凹版オフセットなどのコーティング法や印刷法、インクジェット法などを用いることができる。
【0046】
第2の電極層14は、有機EL素子16が上面発光型有機EL素子の場合では電子注入性の陰極としての役割と透明電極としての役割を兼用する必要がある。電子注入性の陰極としては、仕事関数が低いLiやBa、Mg、Caといったアルカリ金属やアルカリ土類金属や、これら金属の酸化物、フッ化物などの化合物を用いることができる。これら材料は電子注入性に優れるものの、安定性に乏しいため、AlやAgなどの安定性に優れた金属との積層膜もしくは合金膜を用いることがより好ましい。上面発光型有機EL素子の上部電極としては、ITOやIZOなどといった光透光性に優れた金属酸化物との積層膜を用いることがより好ましい。有機EL素子16が下面発光型の場合は、第2の電極層は反射性が必要となるため、AgやAlのような反射性に優れた金属材料の積層膜を用いることが好ましい。
【0047】
第2の電極層14の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法を選択すればよい。また、第2の電極層14の厚さに特に制限はないが、0.01μm以上1μm以下程度で用いることができる。上面発光型EL素子の場合には、Baなどのアルカリ金属を5nm程度、Alなどの安定金属を10nm程度、ITOなどの金属酸化物を100nm程度積層した電極を用いる。
【0048】
第1のパッシベーション層15としては、酸化珪素、酸化アルミニウム等の金属酸化物、弗化アルミニウム、弗化マグネシウム等の金属弗化物、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化炭素などの金属窒化物、酸窒化珪素などの金属酸窒化物、炭化ケイ素などの金属炭化物、必要に応じて、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂などの高分子樹脂膜との積層膜を用いてもよい。特に、バリア性と透明性の面から、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素を用いることが好ましく、さらには、成膜条件により、膜密度を可変した積層膜や勾配膜を使用してもよい。
【0049】
第1のパッシベーション層15の形成方法としては、材料に応じて、抵抗加熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、反応性蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、CVD法を用いることができるが、特に、バリア性や透光性の面でCVD法を用いることが好ましい。CVD法としては、熱CVD法、プラズマCVD法、触媒CVD法、VUV−CVD法などを用いることができる。また、CVD法における反応ガスとしては、モノシランや、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)やテトラエトキシシランなどの有機シリコン化合物に、N、O、NH、H、NOなどのガスを必要に応じて添加してもよく、例えば、シランの流量を変えることにより膜の密度を変化させてもよく、使用する反応性ガスにより膜中に水素や炭素が含有させることもできる。第1のパッシベーション層15の厚さとしては、有機EL素子16の電極段差や第1の基材の隔壁高さ、要求されるバリア特性などにより異なるが、0.01μm以上10μm以下程度が一般的に用いられている。
【0050】
次に、封止基板27ついて説明する。
【0051】
第2の基材20としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラスなどの無機ガラス、PET、PES、PCなどのプラスチック基材、又はこれらガラス基材やプラスチック基材上に、酸化シリコンや酸化アルミニウム、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどの無機薄膜を成膜したものを使用でき、上面発光型有機EL装置の場合、透光性に優れたものが好ましい。
【0052】
突起層21の形状としては、隔壁12で囲まれた有機EL素子が形成されている開口部の凹み形状と同じかそれよりも小さく、台形やドーム型などの凸形状にすることにより、接着剤を開口部外に押し出すように貼り合わされるため、開口部での接着層の厚みを薄くでき、また気泡や空間があった場合にも開口部に残らない。
突起層21が台形の場合、突起層21の側面と第2の基材20の平面とで作られる角度は、隔壁12の側面と第1の基材10の平面とで作られる角度よりも大きいことが好ましい。
ここで、突起層21の側面と第2の基材20の平面とで作られる角度とは、図4に示すように、突起層21の側面と第2の基材20とが接する点における突起層21の接線と第2の基材20の平面とで作られる角度θをいい、隔壁12の側面と第1の基材10の平面とで作られる角度とは、隔壁12の側面と第1の基材10とが接する点における隔壁12の接線と第1の基材10の平面で作られる角度φをいうものとする。
【0053】
この様な形状にすることで、貼り合わせの際に突起層21の側面と隔壁12が接触する恐れが減り、突起層21が隔壁12で囲まれる開口部にスムーズに位置合わせして貼り合わせることができ、また、突起層21と有機EL素子16との間の接着層30の厚みを薄くすることができる。さらに、突起層21側面と隔壁12側面で囲まれる空間が開口部外の方向に行くに従い厚くなるため、第1の基材10と第2の基材20とを貼り合わせる際に接着剤が開口部の内部から外部へと押出されやすくなり、有機EL素子16が形成された開口部内部から隔壁12上までの接着層30の全てにわたって気泡や空間を無くすことができる。
【0054】
また、上面発光型有機EL装置の場合、透光性の材料を用いた突起層21の断面の形状を、四角形、台形、二等辺三角形、不等辺三角形、大小の三角形等の連なった形状からなるプリズム類、正弦曲線様の波形、若しくは、断面が多数連なった半円状を伏せた形のレンチキュラーレンズ類、ピラミッド形や半球状の単位を配備したレンズアレー三角形、半円形、半球状、若しくは、これらの形状を組み合わせた形状にすることで、有機EL素子16からの光取り出し効率を向上させることもできる。
【0055】
図5は上面発光型有機EL装置の場合において、突起層21を構成する樹脂組成物が、接着層30よりも高い屈折率を持つ樹脂を用いた有機EL装置中の光の屈折・反射の様子を示した断面概略図である。なお、第1の電極11、隔壁12、第2の電極14、第1のパッシベーション層15、遮光層23、カラーフィルター層24、は省略している。
【0056】
有機EL素子での発光が大気中に放出されるには、透明電極や封止基材などの幾つかの屈折率の異なる媒質の界面を通過する必要がある。スネルの法則によると、屈折率が媒質A>媒質Bであるときの媒質Aから媒質Bへの光の入射において、入射した光の角度が臨界角以上の時、媒質ABの界面で全反射され、逆に、媒質Bから媒質Aへの光の入射では全反射しないため、光は界面で屈折して媒質A中を直進する。有機EL素子においては、各媒質の界面で全反射された光は層中を導波し消失するか層側面より放出され、その分だけ光取り出し面からの光放出が減少してしまう。
【0057】
有機発光媒体層13のある発光点50から接着剤層を通って突起層21に入射する光51は、突起層21の屈折率が接着層30の屈折率よりも高いので突起層21と接着層30との界面では全反射せずに突起層21内部へと屈折され、第2の基材20へと入射する。
一方、突起層21内部から接着層30へ入射する光52は、突起層21の屈折率が接着層30の屈折率よりも高いために、光52の入射角が臨界角以上である場合、突起層21と接着層30との界面で全反射して第2の基材へと導光できるため、光の取り出し効率を高めることができる。
また、光取り出し効率が向上したことにより、より低電圧での駆動で従来と同じ輝度が得られるため、通電による有機EL素子16の劣化を遅らせることができる。
【0058】
突起層21の材料としては、上記のような形状の形成を容易にするため樹脂であることが望ましく、特に上面発光有機EL装置の場合、透光性に優れた透明樹脂であることが求められる。
突起層21は、可視光領域の400〜700nmの波長領域において透過率が80%以上が好ましく、さらに透過率が95%以上であればより好ましく、そのような透明樹脂を選択する必要がある。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。感光性樹脂には、その前駆体である放射線照射により硬化する重合性モノマーもしくはオリゴマーを単独、または2種以上混合して用いることができる。
【0059】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0060】
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0061】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する鎖状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0062】
感光性樹脂を構成する重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0063】
紫外線照射により硬化する場合、感光性樹脂に光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4'−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0064】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0065】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0066】
また、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独もしくは混合して用いることができる。
【0067】
また、上面発光型有機EL装置の場合、上記した樹脂のうちの高い屈折率を持つものに加え、接着層30の屈折率よりも高い屈折率のものを適宜選ぶことが望ましく、高い屈折率をもつ樹脂を用いることで上述のように光取り出し効率を向上させることができる。
さらに、上面発光型有機EL装置の場合、突起層21はカラーフィルター層24と同様に着色させてもよく、吸収した光と異なる波長の光を出力する色変換物質を混ぜて色変換層としても良く、光散乱粒子を含有してもよい。
下面発光型有機EL装置の場合、突起層21は透明である必要はなく、上記の材料から任意に選ぶことができ、ガスバリア性や吸湿性のある材料を樹脂中に分散させてもよい。
【0068】
突起層21の形成方法としては、上記から選ばれた樹脂をスリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で樹脂膜を形成した後にフォトリソグラフィー法でパターニングするか、インクジェット法や、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの各種印刷法、ラミネート法などの方法でパターン形成することができる。
【0069】
スペーサー層22の形状としては、遮光層23や隔壁パターン12よりも幅が狭いことが望ましく、図6に示したように、隔壁パターン上の接着層の厚みBよりも、開口部の接着層の厚みAが小さくなるように、スペーサー層22の高さを設計することが好ましい。こうすることにより、接着剤の流動方向を開口部から隔壁方向にすることができ、開口部の気泡が開口部外に押し出されるためである。また、有機EL装置の劣化原因のひとつである水分や酸素といったガス成分は接着層を通して侵入するため、開口部の接着層の厚みをなるべく薄くし、突起層21と開口部の貼り合わせによって接着層の形状をジグザクにすることで、ガス成分の侵入経路Cが突起層21がない場合の侵入経路Dに比べて延長されるためガス成分の侵入を抑制することができ、また接着面積が増えることにより接着強度が増し、長期にわたり有機EL装置の劣化を抑制することができる。
【0070】
スペーサー層22は上記した形状の要件を満たしていれば良く、隙間が無いように形成されていても良く、又はスペーサー層22の断面の形状が円、楕円、方形、三角形、その他多角形の柱状のスペーサー層22が任意の間隔を空けて配置されたものであれば、貼り合わせる際に接着剤が開口部から隙間を通って外部へと押出されやすくなり気泡や空間を無くすことができるのでより好ましい。また、封止基板27の周囲上に配置されたスペーサー層22だけで突起層21と有機EL素子16との間隔が適切に保たれる場合、封止基板27の中央部に配置されていなくてもよい。
【0071】
スペーサー層22の材料は、形成の容易さから樹脂が好ましく、上記した突起層21に用いられる材料の中から任意に選択することができ、その形成方法も上記した突起層21の形成方法の中から任意に選択することができる。
【0072】
遮光層23、カラーフィルター層24、色変換層26の各層に用いる樹脂組成物としては、上記した突起層21に用いられる透明樹脂と同じものを用いることができ、ベースとなる透明樹脂中に、用途に応じて着色剤となる顔料、遮光材料、色変換色素、光開始剤、重合性モノマー等を適切な溶剤により分散させることにより使用できる。分散させる方法はミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり特に限定されるものではない。以下に本発明に用いることができる樹脂組成物の原材料の一例を説明する。
【0073】
遮光層23に用いる材料としては、例えばカーボンブラック、酸化チタン、酸窒化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物や顔料、その他既知の遮光材料を用いることができる。また遮光層の色調を調整するために、以下に示す補色の着色顔料を必要に応じて混合してもよい。
【0074】
カラーフィルター層24の赤色着色層もしくは赤色画素を形成するための赤色着色組成物としては、例えばC.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。
【0075】
赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を添加併用することができる。黄色顔料としてはC.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。橙色顔料としてはC.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0076】
緑色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Green 7、1036、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には赤色着色組成物と同様の黄色顔料を添加併用することができる。
【0077】
青色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I.Pigment Violet 23を添加併用することができる。
【0078】
また、上記着色組成物あるいは有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲で染料を含有させることができる。
【0079】
色変換層26としては、吸収した光と異なる波長域の光を放射する色変換色素、例えば赤色光を放射するローダミン系色素、シアニン系色素、ピリジン系色素、あるいはオキサジン系色素など、緑色光を放射するクマリン系色素、ナフタルイミド系色素など、青色光を放射するクマリン系色素など、当該技術で知られている任意のものを用いることができる。
【0080】
遮光層23、カラーフィルター層24、色変換層26の形成方法としては、スリットコート法やスピンコート法、ロールコート法などの塗布法で各層を構成する樹脂組成物からなる樹脂膜を形成した後にフォトリソグラフィー法でパターニングするか、インクジェット法や、グラビア印刷法、フレキソ印刷法などの各種印刷法、ラミネート法などの方法でパターン形成することができる。
【0081】
上記したカラーフィルター層24や色変換層26が含有する溶剤や水分などのアウトガスや、図6のDのように封止端部の接着層30から突起層21を通過して侵入するガスを防止して有機EL素子16の劣化を防ぐために、上記で説明した各層からなる封止基板表面上に、第2のパッシベーション層25を形成することが望ましい。特に、突起層21上にパッシベーション層を形成しておくと、前述のように封止端部から侵入するガスが突起層21を通過せず、接着層30からのガスの侵入が抑えられるため、突起層21を含む封止基板の全面に形成することが望ましい。第2のパッシベーション層25の材料および形成方法は上述した第1のパッシベーション層15と同じものが選択できる。
【0082】
次に、有機EL素子基板17と封止基板27と接着層30を介した貼り合わせについて説明する。
【0083】
接着層30の材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂などからなる光硬化型接着性樹脂、熱硬化型接着性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの酸変性物からなる熱可塑性接着性樹脂などを使用することができる。接着層には、必要に応じて、ギャップ制御のためにガラスや樹脂からなる球状、棒状などのスペーサーを混入しても良く、乾燥剤や酸素吸収剤などを混入してもよい。
【0084】
また、上面発光型有機EL装置の場合、接着層30の材料は上記したような光の取り出し効率向上のために、接着層30から突起層21への入射光の全反射を防ぎ、突起層21内部から接着層30への入射では全反射させるために突起層21に用いる材料よりも低い屈折率をもつものを用いることがより好ましい。さらに、上面発光型有機EL装置の場合、第1のパッシベーション層15から接着層30へと光が入射するため、第1のパッシベーション層15と接着層30との界面での全反射を防ぐために、接着層30の屈折率は第1のパッシベーション層15の屈折率よりも高いことがより好ましい。
【0085】
上述した第1の基材10と第2の基材20を貼り合わせるための接着層30の形成方法としては、材料やパターンに応じて、スピンコート、スプレーコート、フレキソ、グラビア、マイクログラビア、凹版オフセットなどのコーティング法、印刷法や、インクジェット法、ディスペンサ塗布、ノズル吐出、転写法、ラミネート法などを用いることができる。
【0086】
接着層30を介して第1の基材と第2の基材とを貼り合わせる工程は真空中で行われるため、接着層中に有機EL素子の劣化の原因となる酸素や水分が含まれることがない。また、真空中で貼り合わせると接着層に真空の空間が生じることがあるが、貼り合わせ時に突起層21が真空の空間を押しつぶし接着剤で埋めることができる。さらに、貼り合わせ工程を窒素やその他不活性ガス雰囲気下で行った場合、光の散乱の原因となる不活性ガスの気泡が接着層に生じる恐れがあるが、突起層21の加圧により気泡が開口部から押し出されるため、本発明は窒素やその他不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。
【0087】
図7、図8は、上記の方法によって形成された有機EL素子基板17と封止基板27からなる図1の封止方法を段階的に説明した断面概略図である。
【0088】
図7は、液状の接着剤40を用いた場合であり、液状接着剤40を第1の基材10の開口部毎に充填した後、第2の基材20を貼り合わせた場合を図示している。突起層21が、開口部に相対しているため、開口部に充填された液状接着剤40が開口部外に押し出されるように形成されるため、図9のように、開口部に気泡や空間が残留することがない。一方、第2の基材20上に形成されたスペーサー層22が、隔壁パターン12に当たるように設計することにより、接着層のギャップ制御を高精度に行うことができる。
【0089】
図8は、シート状接着剤41を用いた場合であり、シート状接着剤41を第2の基材20に、ローラ42などで貼り合せた後に、ダイヤフラム式ラミネート装置などを用いて、第1の基材10と第2の基材20とを貼り合わせると、液状接着剤40の場合と同様に、貼り合わせ時に開口部のシート状接着剤41が加熱加圧された際に、突起層21により加圧を受けるため、気泡や空間無く貼り合わせすることができる。
【0090】
図7,8では上面発光型有機EL素子を用いた場合について説明したが、下面発光型有機EL素子の構造であっても突起層によって同様の効果を得ることができる。また、図1〜3のように異なる方式の有機EL装置にも本発明を適用することができる。
【実施例】
【0091】
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
【0092】
<実施例1>
最初に有機EL素子基板17を作製する。第1の基材10としてガラスを用い、第1の基材10上にスパッタリング法で第1の電極層層11としてITO膜(150nm)をパターン形成した。次に、隔壁パターン12として、ポジ型感光性のポリイミド樹脂(2μm)を、フォトリソ法を用いて、パターン膜形成した。
次に、有機発光媒体層13として、正孔輸送層にポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物(20nm)、発光層にポリ[2−メトキシ−5−(2'−エチル−ヘキシロキシ)−1,4−フェニレンビニレン](MEHPPV)(100nm)をそれぞれ、凸版印刷法を用いてパターン形成した。次に、第2の電極層14として、Ca膜(5nm)とAl膜(20nm)を蒸着法を用いて積層した。次に、第1のパッシベーション層15として、SiNx膜を5μm成膜することにより、有機EL素子基板17を作製した。
次に、封止基板27を作製する。第2の基材20としてガラスを用い、第2の基材20上に、カーボンを含有した遮光層形成用感光性樹脂および2種類の着色顔料を含有した2種類のカラーフィルター層形成用感光性樹脂を順にスピンコート、フォトリソグラフィー法を用いてパターニング形成し、遮光層23およびカラーフィルター層24(a)、24(b)を形成した。それぞれの厚さは、遮光層23が1μm、カラーフィルター層24(a)、24(b)が1.5μmであった。
次に、突起層21として、感光性アクリル樹脂をスピンコートし、フォトリソグラフィー法を用いて、断面が台形形状となる突起層21を形成した。
この時突起層21の厚さは2.5μmとし、カラーフィルター層24と合わせて、ガラスからの厚さは4μmとした。
次に、スペーサー層22として、感光性アクリル樹脂をスピンコートし、フォトリソグラフィー法を用いてパターン形成した。この時、スペーサー層22が配置される遮光層23上にはカラーフィルター層24がオーバーラップしているため、スペーサー層22の厚みは、開口部におけるカラーフィルター層(1.5μm)を基準として測定し、2.0μmとなるように作製した。
次に、第2のパッシベーション層25としてSiNx膜を0.1μm成膜することにより、封止基板27を作製した。
最後に、接着層30として、図7のように2種類の接着剤31、40を用い、ODF方式の貼り合わせを行った。
作製した有機EL装置(画素数が960×540)は、85℃90RH%下に3000Hr保存しても、気泡や画素欠陥の発生は見られなかった。
【0093】
<実施例2>
実施例1に記載した有機EL装置において、接着層30として、シート状のエポキシ接着剤41を用い、ラミネート方式の貼り合わせを行った。
作製した有機EL装置(画素数が960×540)は、85℃90RH%下に3000Hr保存しても、気泡や画素欠陥の発生は見られなかった。
【0094】
<比較例1>
実施例1に記載した有機EL素子16において、第2の基材20に、突起層21とスペーサー層22を形成せずに、ODF方式で貼り合わせを行った。作製した有機EL装置(画素数が960×540)は、作製の初期状態において、気泡の発生が見られ、全画素の約1%で発光不良が生じていた。この装置を85℃90RH%下に3000Hr保存と、気泡や端部からのガス進入により、画素欠陥が進行し、全画素の約20%が非発光となった。
【符号の説明】
【0095】
10 第1の基材
11 第1の電極層
12 隔壁
13 有機発光媒体層
14 第2の電極層
15 第1のパッシベーション層
16 有機EL素子
17 有機EL素子基板
20 第2の基材
21 突起層
22 スペーサー層
23 遮光層
24 カラーフィルター層
25 第2のパッシベーション層
26 色変換層
27 封止基板
30 接着層
31 第一の接着層
32 第二の接着層
33 気泡
34 空間
40 液状接着剤
41 シート状接着剤
42 ローラ
50 発光点
51 接着層30を導波する光
52 突起層21を導波する光

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基材上に形成された第1の電極層と、前記第1の電極層を区画するように前記第1の基材上に形成された隔壁と、前記第1の電極層上に形成された有機発光媒体層と、前記有機発光媒体層上に形成された第2の電極層と、
を有する有機EL素子基板が接着層を介して封止基板と貼り合わせてなる有機EL装置であって、
前記封止基材は、第2の基材と、前記第2の基材上に形成された突起層と、を有し、
前記突起層は、前記隔壁の間の開口部に位置するよう形成されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
前記突起層と前記有機EL素子との間の接着層の厚さが、前記隔壁と前記第2の基材との間の接着層の厚さよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の有機EL装置。
【請求項3】
前記封止基材の接着面上に、スペーサー層が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の有機EL装置。
【請求項4】
前記第2の基材と前記突起層は透明な材料からなることを特徴とする請求項3に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記第2の基材上には複数のカラーフィルター層が形成され、前記突起層は前記複数のカラーフィルター層上に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項6】
前記第2の基材上には複数のカラーフィルター層が形成され、前記複数のカラーフィルター層上には吸収波長と異なる波長を含む光を出力する複数の色変換層が形成され、前記突起層は前記複数の色変換層上及び前記複数のカラーフィルター層上に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の有機EL装置。
【請求項7】
前記複数のカラーフィルター層の間の領域上には、遮光層が形成されていることを特徴とする請求項5および6に記載の有機EL装置。
【請求項8】
前記突起層の断面の形状が、四角形、台形、二等辺三角形、不等辺三角形、大小の三角形等の連なった形状からなるプリズム類、正弦曲線様の波形、若しくは、断面が多数連なった半円状を伏せた形のレンチキュラーレンズ類、ピラミッド形や半球状の単位を配備したレンズアレー三角形、半円形、半球状、若しくは、これらの形状を組み合わせた形状であり、
前記突起層の屈折率は前記接着層の屈折率よりも高いことを特徴とする請求項7に記載の有機EL装置。
【請求項9】
前記有機EL素子基板表面の全面が、無機酸化膜、無機窒化膜、無機酸窒化膜のいずれかの無機膜に被覆されていることを特徴とする請求項1ないし8に記載の有機EL装置。
【請求項10】
前記封止基板表面の全面が、無機酸化膜、無機窒化膜、無機酸窒化膜のいずれかの無機膜に被覆されていることを特徴とする請求項1ないし9に記載の有機EL装置。
【請求項11】
液状接着剤を前記有機EL素子基板の前記隔壁が形成された面に塗布し、前記封止基板と貼付けした後に、前記液状接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1ないし10に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項12】
シート状接着剤を前記封止基板の前記突起層が形成された面に積層し、前記有機EL素子基板と貼り付けた後に、前記シート状接着剤を硬化させることを特徴とする請求項1ないし10に記載の有機EL装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1の基材と前記第2の基材とを前記接着層を介して貼付する工程が、真空中で行われることを特徴とする請求項11または12に記載の有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−287421(P2010−287421A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−140038(P2009−140038)
【出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】