説明

望遠/広角モジュール

望遠/広角モジュールは、第1のレンズ群と、所定の位置の組を有する第2のレンズ群と、所定の位置の組から第1の位置を選択するセレクタと、撮像素子とを備える。セレクタは、第2のレンズ群に機械的に接続されており、ユーザにより手で直接操作される。第1のレンズ群は、選択された第1の位置に基づいた焦点を、撮像素子に形成する。レンズ配置調整方法は、第2のレンズ群に機械的に接続されたセレクタを、ユーザが手で直接操作することにより、所定の位置の組から第1の位置を選択するステップと、選択された第1の位置に基づいて、第2のレンズ群を、位置が固定された第1のレンズ群に対して配置するステップと、第1のレンズ群及び第2のレンズ群を通して、画像を撮像素子に供給するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラレンズ(camera optics)に関する。より詳細には、本発明は、望遠/広角モジュール(tele wide module)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ技術において多数の成果があった。技術成果の一例として、更なる小型化により、ミリメータあるいはサブミリメータ未満の光学部品及び機構部品が実現されている。カメラの可動部品を小さくすることにより、最新のデジタルカメラ技術及び光技術を、更に幅広い機器に実装することが可能となった。また、これらの機器は、絶えず、より小さいフォームファクタ(form factor)で設計され、製造され続けている。近年、典型的な個人向け電子機器、例えば携帯電話機、携帯情報端末(PDA)、腕時計及び/又は懐中時計は、小型のデジタルカメラを備えている。さらに、より大きなフォームファクタの機器であっても、追加機能としてデジタルカメラを内蔵している。例えば、典型的なビデオカメラ(video camcorder)は、多くの場合、動画を記録するための機構及び回路に加えて、「静止画」用の完全なデジタルカメラを内蔵している。
【0003】
しかしながら、通常、最新のデジタルカメラの実装には、様々な制約があり、困難を伴う。これらの制約の幾つかには、コスト、サイズ、機能及び複雑さがある。例えば、寸法を小さくすると、コストが増加し、機能が低下し、及び/又は複雑さが増大する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
望遠/広角モジュールは、第1のレンズ群と、所定の位置の組を有する第2のレンズ群と、所定の位置の組から第1の位置を選択するセレクタと、撮像素子とを備える。セレクタは、第2のレンズ群に機械的に接続されており、ユーザにより手で直接操作される。第1のレンズ群は、選択された第1の位置に基づいた焦点を、撮像素子上に形成する。
【0005】
幾つかの実施の形態において、所定の位置の組は、マクロ位置と、広角位置と、望遠位置とからなる。好ましくは、マクロ位置は、所定の位置の組のうちの、望遠位置と広角位置との間の位置である。これらの実施の形態において、マクロ位置は、セレクタを所定の位置の組のうちの特定のマクロ位置に手で移動して、保持することによってのみ選択されるような一時的に選択されるものである。セレクタは、解放されたときに、所定の位置の組のうちの他の位置に自動的に戻る。特定の実施の形態においては、第1のレンズ群は、固定されており、第1のレンズ群と第2のレンズ群は、物理的に隣接しており、一方、他の実施の形態では、第1のレンズ群と第2のレンズ群は、所定の距離だけ離間されている。
【0006】
幾つかの実施の形態における望遠/広角モジュールは、第1のレバーと、ねじりコイルばね(omega spring)とを更に備えている。第1のレバーの方向は、所定の位置の組から1つの位置を選択し、ねじりコイルばね(omega spring)は、時計回りの力と反時計回りの力の両方を第1のレバーに加える。ねじりコイルばねによって加えられる回転力の方向は、第1のレバーの方向に依存する。
【0007】
好ましくは、セレクタは、第1の位置を選択する手動セレクタ(manual selector)からなり、モータを用いずに、当該望遠/広角モジュールを構成する。幾つかの実施の形態におけるセレクタは、回転ダイヤルに接続されたつまみ(knob)からなり、一方、他の実施の形態におけるセレクタは、スライドスイッチ(sliding switch)からなる。一実施の形態における撮像素子は、電荷結合素子(CCD)からなり、一方、他の実施の形態における撮像素子は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)からなる。また、一実施の形態の望遠/広角モジュールは、第1のレンズ群に接続されたプリズム素子を備える。プリズム素子は、望遠/広角モジュールの平面に対してある角度を有する画像からの光を、第1のレンズ群の方向に反射する。
【0008】
幾つかの実施の形態は、レンズ配置を調整するレンズ配置調整方法を含んでいる。このレンズ配置調整方法では、第2のレンズ群に機械的に接続されたセレクタを、ユーザが手で直接操作することにより、所定の位置の組から第1の位置を選択する。選択された第1の位置に基づいて、第2のレンズ群を、第1のレンズ群に対して配置する。通常、第1のレンズ群の位置は、固定されている。第1のレンズ群及び第2のレンズ群を通して、画像を撮像素子に供給する。幾つかの実施の形態のレンズ配置調整方法においては、過焦点設定(hyper focal setting)による合焦点画像(focused image)を、撮像素子に供給する。
【0009】
通常、第2のレンズ群をマクロ位置に配置することは、第2のレンズ群を望遠位置と広角位置との間に配置することである。より詳しくは、幾つかの実施の形態においては、所定の位置の組からマクロ位置を選択することは、セレクタを、手で所定の位置の組のうちのマクロ位置に移動して、保持することである。そして、セレクタをこのマクロ位置から解放すると、セレクタは、レンズ配置を、所定の位置の組のうちのマクロ位置とは異なる位置に自動的に戻す。
【0010】
幾つかの実施の形態において、第2のレンズ群を配置することは、第2のレンズ群を、第1のレンズ群に物理的に隣接して配置することであり、あるいは、第2のレンズ群を、第1のレンズ群から所定の距離だけ離間して配置することである。幾つかの実施の形態のレンズ配置調整方法では、所定の位置の組から第2の位置を選択して、第2のレンズ群を、第1のレンズ群からの所定の距離より短い距離に配置する。
【0011】
通常、このレンズ配置調整方法では、第1のレバーを、選択された第1の位置に基づいた方向に向ける。これらの実施の形態においては、第1のレバーの方向により、第1のレンズ群と第2のレンズ群間の直線距離が決定される。レンズ配置調整方法では、1つの機構部品を用いて、時計回りの回転力と反時計回りの回転力を発生する。1つの機構部品によって発生される回転力の方向は、第1のレバーの方向に依存する。好ましくは、1つの機構部品は、ねじりコイルばねからなる。
【0012】
第1の位置を選択することは、多くの場合、回転ダイヤルに接続されたつまみを回転させることであり、あるいは、スイッチを誘導パスに沿って摺動させることである。いずれの場合も、好ましくは、第1の位置を選択することは、モータを用いることを必要としない手動操作により行われる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の幾つかの実施の形態に基づく望遠/広角モジュールの構成を示す斜視図である。
【図2A】望遠/広角モジュールの望遠位置におけるレンズ鏡筒の配置を示す断面図である。
【図2B】望遠/広角モジュールの望遠位置における機械式レバーを示す斜視図である。
【図2C】幾つかの実施の形態に基づいた望遠位置における望遠/広角モジュールを示す斜視図である。
【図2D】望遠位置における望遠/広角モジュールを詳細に示す斜視図である。
【図3A】望遠/広角モジュールの広角位置におけるレンズ鏡筒の配置を示す断面図である。
【図3B】望遠/広角モジュールの広角位置における機械式レバーを示す斜視図である。
【図3C】幾つかの実施の形態に基づいた広角位置における望遠/広角モジュールを示す斜視図である。
【図3D】広角位置における望遠/広角モジュールを詳細に示す斜視図である。
【図4A】望遠/広角モジュールのマクロ位置におけるレンズ鏡筒の配置を示す断面図である。
【図4B】望遠/広角モジュールのマクロ位置における機械式レバーを示す斜視図である。
【図5A】望遠/広角モジュールのマクロ機能をより詳細に示す斜視図である。
【図5B】望遠/広角モジュールのマクロ機能をより詳細に示す斜視図である。
【図5C】望遠/広角モジュールのマクロ機能をより詳細に示す斜視図である。
【図6】幾つかの実施の形態に基づいた望遠/広角モジュールのガイドピンの配置を示す斜視図である。
【図7A】幾つかの実施の形態におけるプリズム機構を示す斜視図である。
【図7B】幾つかの実施の形態におけるプリズム機構を示す斜視図である。
【図7C】幾つかの実施の形態におけるプリズム機構を示す斜視図である。
【図8A】幾つかの実施の形態におけるプリズム機構を示す斜視図である。
【図8B】幾つかの実施の形態におけるプリズム機構を示す斜視図である。
【図9】幾つかの実施の形態における段階的なズーム機能の具体的な実装例を示す斜視図である。
【図10】本発明の幾つかの実施の形態に基づいて、レンズ配置を調整するレンズ配置調整方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の説明においては、多数の具体例及び変形例について説明するが、当業者は、これらの特定の実施の形態を用いずに、本発明を実施することができる。本発明の説明を、不必要な詳細によって不明確にしないために、周知の構造及び機器も示す。
【0015】
I.構造の概要
図1に、本発明の幾つかの実施の形態に基づく望遠/広角モジュール100を示す。図1に示すように、望遠/広角モジュール100は、前部レンズ群102と、望遠/広角レバー110に取り付けられたつまみと、撮像素子130とを備えている。つまみを回転して、望遠/広角レバー110を3つの位置、すなわちマクロ位置104、広角位置106及び望遠位置108のいずれかに切り換える。前部レンズ群102は、通常、1つ以上の光学素子、例えばレンズを備えている。例えば、図1に示す望遠/広角モジュール100は、前部レンズ群102内に、1つの光学レンズを備える。したがって、以下、この前部レンズ群102を単に前部レンズ(the front lens)102とも呼ぶ。なお、当業者は、前部レンズ群102をより複雑な構成とすることができる。
【0016】
マクロ位置104は、前部レンズ102の焦点を、所定のマクロ視野設定(predetermined macro view setting)に合わせるためのものである。マクロ位置104は、接写視野(closeup viewing)及び/又は、例えば前部レンズ102から約0.4m未満の被写体の写真撮影を行うのに用いられる。特に、幾つかの実施の形態におけるマクロ位置104は、約7.2cm〜約9.0cm、すなわち約2.8インチ〜約3.6インチの焦点距離に最適化されている。
【0017】
広角位置106は、前部レンズ102の焦点を、所定の広角視野設定(predetermined wide angle view)に合わせるためのものである。広角視野は、例えば前部レンズ102から約0.4mよりも遠い、より広角の写真撮影場面を含んでいる。幾つかの実施の形態における広角位置106の画角は、約64°である。
【0018】
望遠位置108は、前部レンズ102の焦点を、カメラ被写体の望遠視野(telephoto view)に適した所定の位置に合わせるためのものであり、この所定の位置は、例えば前部レンズ102から、約0.8mよりも遠い。幾つかの実施の形態における望遠位置108の画角は、約32°である。図1では、つまみ及び望遠/広角レバー110は、望遠位置108を選択している。
【0019】
A.望遠位置
図2A、2B、2Cは、望遠位置108に設定された望遠/広角モジュール200の詳細図である。図2A〜2Cに示すように、望遠/広角モジュール200は、前部レンズ202と、望遠/広角レバー210を有するつまみと、ズームレバー212と、後部レンズ鏡筒214と、前部レンズ鏡筒216と、ばねレバー218と、ねじりコイルばね(omega spring)220と、撮像素子230とを備える。
【0020】
前部レンズ鏡筒216は、通常、前部レンズ202を収納しているが、後部レンズ鏡筒214は、通常、1つ以上のレンズ及び/又は更なる光学素子を収納している。図2Bは、望遠/広角レバー210の機構を、望遠/広角モジュール200の他の部品とともに更に詳細に示している。望遠位置108においては、望遠/広角レバー210は、ズームレバー212を、後部レンズ鏡筒214がばねレバー218によって前部レンズ鏡筒216に押し付けられるような所定の位置に保持する。より詳細には、ねじりコイルばね220は、後部レンズ鏡筒214を前部レンズ鏡筒216に押し付ける力を、ばねレバー218に加える。
【0021】
図2Aに示すように、後部レンズ鏡筒214が前部レンズ鏡筒216に対して前進位置(forward position)にあるとき、後部レンズ鏡筒214の光学素子は、前部レンズ202の焦点を、望遠画像、すなわち拡大された画像が撮像素子230上に投影されるように、調整する。例えば、図2Cは、幾つかの実施の形態に基づいた望遠位置108における望遠/広角モジュール200の斜視図である。図2Cに示すように、後部レンズ鏡筒214は、所定の望ましい望遠設定においては、前部レンズ202を通過した画像の光が撮像素子230上に投射されるように、前部レンズ鏡筒216に保持される。
【0022】
望遠/広角モジュール200は、望遠位置108に加えて、異なる焦点視野の画像を提供する更なる位置に調整することができる。例えば、望遠/広角モジュール200は、更に、画像を広角で撮像素子230に供給することができる。
【0023】
B.広角位置
図3A、3B、3Cは、広角位置106における望遠/広角モジュール300を示す。図3Bに示すように、つまみ及び望遠/広角レバー310が広角位置106にあるとき、ズームレバー312は、望遠/広角レバー310から解放され、これにより、後部レンズ鏡筒314は、前部レンズ鏡筒316から離れた位置に静止することができ、好ましくは、望遠/広角モジュール300の後部筐体(rear housing)に後退することができる。通常、望遠/広角モジュール300の後部筐体は、焦点調整カム(focal adjuster cam)323を備えている。したがって、後部レンズ鏡筒314は、広角位置106においては、焦点調整カム323の表面に静止する。より詳しくは、ねじりコイルばね320は、後部レンズ鏡筒314を焦点調整カム323に保持する力を、ばねレバー318を介して後部レンズ鏡筒314に加える。
【0024】
図3Aに示すように、後部レンズ鏡筒314が焦点調整カム323に対してこの後退位置(aft ward position)にあるとき、前部レンズ302の焦点は、広角画像、すなわち縮小された画像が撮像素子330上に投影されるように調整される。
【0025】
例えば、図3Cは、幾つかの実施の形態に基づいた広角位置106における望遠/広角モジュール300の斜視図である。図3Cに示すように、後部レンズ鏡筒314は、所定の広角設定においては、前部レンズ302を通過した画像の光が撮像素子330上に投射されるように、前部レンズ鏡筒316から離間して、好ましくは焦点調整カム323で保持される(図3A、3B参照)。幾つかの実施の形態において、前部レンズ鏡筒316から後部レンズ鏡筒314までの距離は、約4.7〜約9.4mmである。
【0026】
望遠位置108及び広角位置106に加えて、幾つかの実施の形態において、望遠/広角モジュール300は、更なる設定を有する。例えば、望遠/広角モジュール300は、更に、画像をマクロ、すなわち接写レベルで撮像素子330に供給することができる。
【0027】
C.マクロ視野位置(Macroview Position)
図4A、4Bは、マクロ位置104における望遠/広角モジュール400を示す。図4Bに示すように、望遠/広角レバー410は、マクロ位置104に回転されている間は、マクロ/広角調整カム422がズームレバー412を押すように保持され、後部レンズ鏡筒414は、撮像素子430から離れる。幾つかの実施の形態において、マクロ位置104と広角位置106間の距離の変化は、約1.0mm未満である。より詳しくは、望遠/広角レバー410が、後部レンズ鏡筒414をねじりコイルばね420の力に対して所定の位置に保持している間、ねじりコイルばね420は、ばねレバー418を介して、後部レンズ鏡筒414を望遠/広角レバー410に押し付ける。
【0028】
図5A、5B、5Cは、望遠/広角モジュール500のマクロ機能を更に詳細に示す。図5Aにおいて、望遠/広角レバー510は、マクロ位置104にある。図5Aに示すように、マクロ戻しばね(macro return spring)524は、望遠/広角レバー510に接続されており、反時計回りの力を望遠/広角レバー510に加える。この実施の形態において、マクロ戻しばね524は、マクロ位置104にある間は、望遠/広角モジュール500の筐体を押すような力が付勢される。
【0029】
また、図5A、5Bに示すように、マクロ位置104においては、望遠/広角レバー510は、マクロ/広角調整カム522を押し、マクロ/広角調整カム522は、ズームレバー512を時計回りに回転させて、後部レンズ鏡筒514を撮像素子530から更に離れた位置に配置する。幾つかの実施の形態において、上述したように、望遠/広角レバー510がズームレバー512を横方向に動かす距離は、約1.0mm未満である。
【0030】
次に、図5Cに示すように、望遠/広角レバー510がマクロ位置104から解放されたとき、マクロ戻しばね524は、望遠/広角レバー510を、広角位置106に戻るまで反時計回りに回転させる。この実施の形態において、切欠部(notch)526は、望遠/広角レバー510を、それが時計回り及び反時計回りに回転されている間は、広角位置106に位置決めする。望遠/広角モジュール500の光学素子の広角位置106が選択されているときは、戻止め(detent)527は、切欠部526に係合して、望遠/広角レバー510を静止状態に保持する。好ましくは、戻止め527は、望遠/広角レバー510の広角位置106と望遠位置108用の2つの別々の切欠部に係合する。上述の切欠部526は、望遠/広角レバー510が、マクロ位置104から解放された後に広角位置106を通り越して反時計回りに回転されるのを、防止する。望遠/広角レバー510は、好ましくは、望遠位置108用の第2の切欠部を更に有しており、この第2の切欠部は、望遠/広角レバー510が誤って望遠位置108から回転されるのを防止する。
【0031】
望遠/広角モジュール500の幾つかの実施の形態において、後部レンズ鏡筒514は、前部レンズ鏡筒516と撮像素子530間で、一組のガイドピン上を摺動する。
【0032】
D.ガイドピンの配置
幾つかの実施の形態における望遠/広角モジュール500は、スナップフィット(snap fit approach)により互いに接続される前部筐体(front housing)と後部筐体(rear housing)とによって構成されており、その構成において、2つのガイドピンが位置合わせのために用いられている。さらに、これらのガイドピンは、孔と隣接したスロットとを有する後部レンズ鏡筒514を、所定の望遠位置、広角位置及びマクロ位置に移動するときの案内にも用いられる。後部筐体には、撮像素子530が取り付けられており、オプションとして、赤外線(IR)フィルタ及び/又はローパスフィルタが取り付けられる。前部筐体には、前部レンズ鏡筒516が取り付けられており、オプションとして、プリズムが取り付けられる。望遠/広角モジュール500の筐体は、好ましくは、ケース(casing)と、カバー機構(cover mechanism)とを更に備え、カバー機構は、例えば、カバーと、カバーレバーと、カバーばねと、ブラケットとからなる。カバー機構は、好ましくは、光の漏れ及びほこりの混入が望遠/広角モジュール500の内部部品、特にレンズ群及び撮像素子530に影響を及ぼすのを防ぐ。
【0033】
図6は、幾つかの実施の形態に基づいた望遠/広角モジュール600のガイドピン632の配置を示す。図6に示すように、望遠/広角モジュール600は、一組のガイドピン632を更に備えている。幾つかの実施の形態においては、一対のガイドピン632を用いているが、異なる幾つかの実施の形態においては、異なる数のガイドピンを用いている。ガイドピン632の数にかかわらず、ガイドピン632は、通常、望遠/広角モジュール600の長軸(linear axis)に沿って取り付けられており、後部レンズ鏡筒614は、前部レンズ鏡筒616(望遠位置108)から撮像素子630(広角位置106)の方向に摺動することができる。幾つかの実施の形態において、ガイドピン632により提供される後部レンズ鏡筒614の可動域は、約4.7mm〜約9.4mmである。
【0034】
しかしながら、この可動域に起因して、幾つかの実施の形態におけるガイドピン632によって、多くの場合、望遠/広角モジュール600のフォームファクタ(form factor)が影響を受ける。したがって、幾つかの実施の形態では、望遠/広角モジュール600のフォームファクタを変更及び/又は隠す手段を更に備えている。
【0035】
E.プリズム機構(prism feature)
例えば、幾つかの実施の形態では、プリズム機構を更に備える。このプリズム機構により、望遠/広角モジュールを様々な方向に向けて配置及び/又は取り付けることができる。例えば、特定の実装における横幅(horizontal width)は、多くの場合、制限されるので、望遠/広角モジュールは、好ましくは、筐体の鉛直面において縦方向に配置される。この配置方向により、上述したようなガイドピンに沿った後部レンズ鏡筒の可動域を、狭い幅及び/又は狭い奥行きのフォームファクタを有する機器内に設けることができる。
【0036】
図7A〜7C、8A、8Bは、これらの実施の形態の幾つかにおけるプリズム機構を示す。図7A〜7Cは、前部レンズ鏡筒716に取り付けられたプリズム740を備える望遠/広角モジュール700を示す。プリズム740は、画像からの光を、前部レンズ鏡筒716の方向に反射する。上述したように、前部レンズ鏡筒716は、通常、前部レンズ群を収納している。前部レンズ群は、1つ以上の前部光学素子、例えば図1に示す前部レンズ102を含んでいる。したがって、プリズム740により、望遠/広角モジュール700は、機器内に様々な方向で配置することができ、通常は、見る及び/又は写真を撮影する被写体に対して、ある角度をもって保持することができる。
【0037】
図8は、幾つかの実施の形態に基づく望遠/広角モジュール800に取り付けられた小さなフォームファクタのプリズム840を示す。これらの実施の形態において、プリズム840は、プリズムホルダとプリズムブラケットとを組み合せることにより、望遠/広角モジュール800の前部レンズ802に隣接して取り付けることができるという効果が得られる。上述したように、プリズム840は、通常、被写体画像からの光を、望遠/広角モジュール800の前部レンズ802の方向に反射する。
【0038】
F.その他の構成
図9は、狭い奥行きのフォームファクタを有する望遠/広角モジュールの段階的なズーム機能の具体的な実装例を示している。図9に示すように、図1に示すつまみの代わりに、スライドスイッチ(sliding selector)950を用いて、望遠/広角レバーを操作する。スライドスイッチ950は、望遠/広角レバーの位置を、上述したマクロ位置104、広角位置106及び望遠位置108のモードのうちの1つを選択するように合わせる。これらのモードについて、詳細に説明する。
【0039】
II.設定及び動作
上述した実施の形態において、望遠/広角モジュールの光学部品の配置は、前部レンズ鏡筒内に固定された前部レンズ群と、後部レンズ鏡筒内で移動可能な後部レンズ群とからなる。例示した実施の形態においては、前部レンズ鏡筒は、1つのレンズ、すなわち1つの光学素子を含んでいるが、後部レンズ鏡筒は、3つのレンズ、すなわち3つの光学素子を含んでいる。しかしながら、当業者には、異なる実施の形態において、前部レンズ鏡筒及び後部レンズ鏡筒が、異なる数及び/又は種類のレンズ及び光学素子を含んでもよいことは明らかである。光学素子の数及び/又は種類に関係なく、幾つかの実施の形態において、望遠/広角モジュールには様々な構成がある。これらの実施の形態における幾つかの機構の特定の動作について、詳細に説明する。
【0040】
例えば、図2Dは、図2A、2B、2Cの機構を更に詳細に示したものである。図2Dに示すように、望遠/広角レバー210の係合溝211は、ズームレバー212と相互に作用する。幾つかの実施の形態においては、望遠/広角レバー210の係合溝211には、ズームレバー212上の円柱ピン213が係合する。ズームレバー212に接する望遠/広角レバー210の(係合溝211と円柱ピン213の係合による)回転力によって、ズームレバー212は回転する。また、ズームレバー212は、係合溝215を有しており、この係合溝215には、後部レンズ鏡筒214上の第1のピン217Aが係合する。図2Dに示す実施の形態において、ズームレバー212上の係合溝215と円柱ピン213とは、互いに約90°オフセットされている。
【0041】
幾つかの実施の形態における後部レンズ鏡筒214は、第2のピン217Bを有しており、この第2のピン217Bは、後部レンズ鏡筒214がガイドピン上を摺動している間、ばねレバー218の係合溝219に係合している。また、ばねレバー218は、時計回りにも、反時計回りにも回転する。後部レンズ鏡筒214が、ガイドピン上を前方又は後方に摺動すると、ばねレバー218は、ねじりコイルばね220から付勢力を受ける。ねじりコイルばね220は、好ましくは、2つのフック(end loops)を有し、後述する「オーバザセンタ」機構("over-the-center" mechanism)の主ばね(main spring)として機能する。ねじりコイルばね220の一方のフックは、後部筐体上のピン221に接続されており、他方のフックは、ばねレバー218に接続されている。
【0042】
「オーバザセンタ機構」
様々なレバーと、前部レンズ鏡筒及び後部レンズ鏡筒との上述した回転係合(rotational engagement)によるねじりコイルばね220の動作について、説明する。ねじりコイルばね220の2つのフックは、常に離れるように付勢されており、ねじりコイルばね220は、時計周りの回転力と反時計周りの回転力のいずれかを発生する。ばねレバー218の回転力の方向及び程度は、ばねレバー218の「オーバザセンタ」機構の角度及び程度に依存している。例えば、ばねレバー218の反時計回りの回転において、ねじりコイルばね220は、(ばねレバー218による上述した係合溝219と第2のピン217Bの係合により)、後部レンズ鏡筒214を望遠位置108の方向に押している。一方、ばねレバー218の時計回りの回転において、ねじりコイルばね220は、(ばねレバー218により)、後部レンズ鏡筒214を、広角位置106の方向に押す。さらに、ねじりコイルばね220は、望遠/広角レバー210をマクロ位置104に回転させることができる力を発生する。
【0043】
A.望遠の設定及び動作
望遠/広角モジュール200の望遠位置108においては、後部レンズ鏡筒214は、直接前部レンズ鏡筒216に接触するように配置される。したがって、望遠位置108においては、前部レンズ群と後部レンズ群は、物理的に互いに隣接して配置される。望遠/広角モジュール200を、望遠位置108において適切な焦点距離に調整するためには、前部レンズ鏡筒216を、前部筐体にねじ接続(thread connection)するとともに、時計回り又は反時計回りに回転させて、前部レンズ鏡筒216と後部レンズ鏡筒214とを一緒に、好ましい鮮明な画像の(合焦点)位置に移動させる。合焦点位置(focused position)は、好ましくは過焦点距離である。
【0044】
以下の機構により、幾つかの実施の形態における望遠位置108が設定される。望遠/広角レバー210が反時計回りに回転されると、同時に、ズームレバー212は、(円柱ピン213と係合溝211の係合により)時計回りに回転され、一方、後部レンズ鏡筒214は、(第1のピン217Aと係合溝215の係合により)前方レンズ鏡筒216に向かって前方に移動される。このような前進移動の結果、後部レンズ鏡筒214は、(第2のピン217Bと係合溝219の係合により)ばねレバー218を反時計回りに動かし、それによって、ねじりコイルばね220は、「オーバザセンタ」機構を経て、ばねレバー218を反時計回りに押す。ばねレバー218は、その作用として、後部レンズ鏡筒214を、前部レンズ鏡筒216にもたれ掛かる位置(leaning position)に押して、望遠位置108が定まる。
【0045】
B.広角位置の設定及び動作
図3Dは、望遠/広角モジュール300を広角位置106に設定する機構を示している。現在望遠位置108にある望遠/広角レバー310が時計回りに回転されると、ズームレバー312は、反時計回りに回転され、後部レンズ鏡筒314は、撮像素子330に向かって後方に移動される。このような後方への移動中に、後部レンズ鏡筒314は、ばねレバー318を時計回りに動かし、それによって、ねじりコイルばね320は、「オーバザセンタ」機構を経て、ばねレバー318を時計回りに押す。ばねレバー318は、その作用として、後部レンズ鏡筒314を、焦点調整カム323にもたれ掛かる位置に押す。焦点調整カム323を時計回り又は反時計回りに回転させることにより、後部レンズ鏡筒314は、広角位置106において、好ましい鮮明な画像の位置に設定される。上述したように、この好ましい焦点位置は、通常、広角位置106の過焦点距離である。
【0046】
そして、図5Cに示すように、望遠/広角レバー510は、戻止め527及びマクロ戻しばね524によって、広角位置106に保持される。戻止め527は、通常、金属製の板ばねであり、マクロ戻しばね524は、通常、ねじりコイルばね(torsion spring)である。上述したように、広角位置106において、マクロ戻しばね524は、望遠/広角レバー510が時計回りに回転するのを防止し、一方、戻止め527は、望遠/広角レバー510が反時計回りを回転するのを防止している。
【0047】
C.マクロ位置における設定及び動作
図4A、4B、図5A〜5Cは、望遠/広角レバー510をマクロ位置に設定する機構を示している。図5Aに示すように、現在広角位置106にある望遠/広角レバー510は、マクロ戻しばね524の力に逆らって、望遠/広角レバー510の係合溝511を形成している突出アーム部(protruding arm)が望遠/広角モジュール500の後部筐体にもたれ掛かるまで、時計回りに回転される。望遠/広角レバー510は、好ましくは、突出接触点(protruding contact point)を有するマクロ/広角調整カム522を備えており、この突出接触点は、ねじりコイルばね520を押しながら、ズームレバー512を横方向に移動させる。したがって、マクロ/広角調整カム522は、後部レンズ鏡筒514を前方に押し出し、後部レンズ鏡筒514は、ガイドピンに沿って所定のマクロ位置104に摺動される。例えば、幾つかの実施の形態において、望遠/広角レバー510がマクロ位置104(図1に示す)に保持されている間は、マクロ/広角調整カム522は、後部レンズ鏡筒514が好ましい鮮明な画像の焦点に設定されるまで、回転される。通常、マクロ/広角調整カム522は、好ましい固定(合焦点)位置に接着剤で固定されている。
【0048】
D.広角位置への自動リセット
図5Aのマクロ位置104から、望遠/広角レバー510が解放された場合、望遠/広角モジュール500は、図5Cの広角位置106に自動的に復帰する。マクロ戻しばね524は、マクロ戻しばね524のアームが後部筐体に対して静止するまで、望遠/広角レバー510を反時計回りに回転させる。広角位置106は、再び、ねじりコイルばね520の一定の力によって定まり、望遠/広角レバー510の保持位置は、上述したように、戻止め527及びマクロ戻しばね524によって定まる。したがって、マクロ位置104は、用いる毎に、意図的に選択され、所定の位置に、手で保持しなければならない。幾つかの実施の形態において、この「自動リセット」機能により、普通の写真撮影に対して、マクロ位置104が不注意に設定されることを防止することができる。従来技術においては周知のとおり、ユーザの誤操作により、すなわち以前の広角又は望遠での撮影中に選択したマクロオプションを外すことを忘れてしまうことにより、多くの場合、焦点がぼけた写真が撮影されていた。
【0049】
図10は、本発明の幾つかの実施の形態に基づいて、レンズ配置を調整するレンズ配置調整方法を示すフローチャートである。図10に示すように、フローチャート1000は、ステップ1005から開始し、第1の位置は、所定の位置の組から選択される。幾つかの実施の形態において、選択される位置は、3つの光学焦点位置、すなわちマクロ位置、広角位置及び望遠位置である。そして、ステップ1005の後、処理は、ステップ1010に進み、ステップ1010において、第2のレンズ群は、選択された位置に基づき、第1のレンズ群に対して配置される。通常及び上述したように、第1のレンズ群の位置は、固定されている。第2のレンズ群は、好ましくは、1つ以上の過焦点画像(hyper focal images)を提供するために第1のレンズ群から所定の距離だけ離れた過焦点位置(hyper focal position)に配置される。幾つかの実施の形態においては、第2のレンズ群は、嵩張る及び/又はモータ付の部品を用いることなく、ばね及びレバーからなる小型で、フォームファクタが小さいアセンブリを用いている。幾つかの実施の形態では、可動部品が非常に少ない摺動アセンブリを採用しており、この1つの摺動アセンブリを用いて、3つの焦点位置を実現している。これらの実施の形態では、通常、小型であり、費用対効果が良く、また、様々なフォームファクタが小さいレンズ用途であるので、信頼性が高い。第2のレンズ群を、選択された位置に配置した後、処理は、ステップ1015に進み、ステップ1015において、第1のレンズ群及び第2のレンズ群を通して、画像を撮像素子に供給する。ステップ1015の後、処理は終了する。
【0050】
III.効果
上述した実施の形態で説明したように、幾つかの実施の形態の望遠/広角モジュールは、機械的な直接回転動作(direct rotational mechanical movement)によって、3つの異なる光学位置、すなわち望遠位置、広角位置及びマクロ位置に設定される。これらの異なる光学位置により、様々な写真撮影モードを提供できるという効果が得られる。個々の(最適な又は過焦点の)焦点距離のそれぞれに適切に調整した後、様々な位置及び/又は写真撮影モードは、望遠/広角モジュールの固定焦点として最適に予め設定される。したがって、上述した幾つかの実施の形態では、3つの固定焦点距離を小さなフォームファクタで提供している。これらの実施の形態により、通常、マルチ焦点光学機構及び/又はカメラ機構用の容積が制限されている小型の機器に対して、より洗練された実装を行うことができるという効果が得られる。例えば、幾つかの実施の形態により、3つの焦点位置、すなわち望遠位置、広角位置及びマクロ位置を、他の単純で小型の機器に実装できるという効果が得られる。上述の実施の形態では、限られた可動域を必要とし、最小の設置スペースを有しているので、本発明は、超小型携帯機器、例えば携帯電話機及び他の民生用電子機器において、様々に用途がある。
【0051】
幾つかの実施の形態における回転つまみにより、光学位置が設定され、一方、幾つかの実施の形態における機械的なスライドスイッチにより、予め設定された焦点距離が切り換えられ、光学素子が移動される。これらの実施の形態における機構は、通常、手で操作される。さらに、上述した実施の形態では、殆どスペースを必要とすることなく、すなわち限られた可動域のみを必要とし、マルチ焦点機能の効果が得られるとともに、低コストである。例えば、幾つかの実施の形態では、複雑で、コストが高い、嵩張るオートフォーカスシステムは必要でないが、その代わりに、焦点距離が、無限遠点に設定される。さらに、電気的なアクチュエータモータ及び/又は駆動回路も必要でない。これらの実施の形態において、所定の光学焦点位置及び配置の自動操作又は手動(レバーによる)操作を、採用している。
【0052】
実施の形態において、「2倍の望遠/広角モジュール(2x Tele Wide Module)」は、更なるマクロ設定を有する2倍の望遠拡大を1つのモジュールに効率よく実装している。この実施の形態では、画素サイズが2.8μm、対角寸法が5.6mmの、1600×1200画素(200万画素)のセンサを採用している。他の実施の形態において、画素サイズが2.2μmの、2000×1500画素(300万画素)のセンサを用いている。これらの実施の形態における撮像素子は、通常、CMOS型撮像素子である。なお、当業者にとって、他の撮像素子、例えば電荷結合素子(CCD)を用いてもよいことは、明らかである。
【0053】
幾つかの実施の形態における光学素子は、2倍の望遠レンズ/広角レンズの構成を含んでいる。上述したように、幾つかの実施の形態における光学素子は、2つのレンズ群に分割されており、1つは、前部レンズ鏡筒に収納されたレンズ群であり、他方は、後部レンズ鏡筒に収納されたレンズ群である。好ましくは、1つのレンズ群は、製造時に所定の位置に固定されている。したがって、限られたスペースにもかかわらず、これらの実施の形態における2倍の望遠/広角モジュールは、1つの可動レンズ群を用いて、複数の光学モードを実現することができる。通常、上述した機構を用いて、この1つのレンズ群を、限られたスペース内で正確に動かすことができる。幾つかの実施の形態において、それぞれのレンズ群は、各群について3つのレンズを有する。これらの実施の形態の幾つかにおいては、好ましくは、4枚のプラスチックレンズと、2枚のガラスレンズとを有する。
【0054】
また、上述したように、幾つかの実施の形態においては、1つ以上のモード、すなわちマクロモード、広角モード及び/又は望遠モードを有する。したがって、これらの実施の形態においては、これらのモードをサポートするカメラ及びレンズ機構を含んでいる。例えば、幾つかの実施の形態においては、開放F値(F-stop)は、広角モード及びマクロモード設定ではF3であり、望遠モード設定ではF4.2である。これらの実施の形態においては、焦点距離は、約4.7mm〜約9.4mmであり、画角は、約32°〜約64°である。さらに、幾つかの実施の形態においては、固定焦点は、各モード設定毎に適切な距離を有する。例えば、幾つかの実施の形態における焦点距離は、広角モードでは0.4m〜無限遠点であり、望遠モードでは0.8m〜無限遠点であり、マクロモードでは約7.2cm〜約9.0cm(約2.8インチ〜約3.6インチ)である。これらの実施の形態における歪曲収差(distortion)は、通常、最大で約3%フレア(flare)を有する約3%である。幾つかの実施の形態の望遠/広角モジュールのフォームファクタは、約21mm×12mm×11.5mmである。幾つかの実施の形態において、ユーザ入力は、手動であり、機械式ダイヤル又はスライドセレクタ(slide selector)によって、広角設定、望遠設定及びマクロ設定が選択される。これらの焦点距離が固定された構成では、機械式ダイヤル及び/又はスライドセレクタによって、好ましくは、上述のような方法で、1つのレンズ群を特定の距離に移動させることにより、3つの焦点距離が切り換えられる。
【0055】
本発明を、多数の特定の実施の形態を用いて説明したが、当業者にとって、発明を、その精神を逸脱することなく、他の様々な形態で実施できることは明らかである。したがって、当業者には、発明が上述した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されることは、明らかである。
【符号の説明】
【0056】
100 望遠/広角モジュール、102 前部レンズ、104 マクロ位置、106 広角位置、108 望遠位置、110 望遠/広角レバー、130 撮像素子、200 望遠/広角モジュール、202 前部レンズ、210 望遠/広角レバー、211 係合溝、212 ズームレバー、213 円柱ピン、214 後部レンズ鏡筒、215 係合溝、216 前部レンズ鏡筒、217A 第1のピン、217B 第2のピン、218 ばねレバー、219 係合溝、220 ねじりコイルばね、221 ピン、230 撮像素子、300 望遠/広角モジュール、302 前部レンズ、310 望遠/広角レバー、312 ズームレバー、314 後部レンズ鏡筒、316 前部レンズ鏡筒、318 ばねレバー、320 ねじりコイルばね、323 焦点調整カム、330 撮像素子、400 望遠/広角モジュール、410 望遠/広角レバー、412 ズームレバー、414 後部レンズ鏡筒、420 ねじりコイルばね、422 マクロ/広角調整カム、430 撮像素子、500 望遠/広角モジュール、510 望遠/広角レバー、512 ズームレバー、514 後部レンズ鏡筒、516 前部レンズ鏡筒、520 ねじりコイルばね、522 マクロ/広角調整カム、524 マクロ戻しばね、526 戻止め、530 撮像素子、600 望遠/広角モジュール、614 後部レンズ鏡筒、616 前部レンズ鏡筒、630 撮像素子、632 ガイドピン、700 望遠/広角モジュール、716 前部レンズ鏡筒、740 プリズム、800 望遠/広角モジュール、802 前部レンズ、840 プリズム、950 スライドスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレンズ群と、
所定の位置の組を有する第2のレンズ群と、
上記所定の位置の組から第1の位置を選択するセレクタと、
撮像素子とを備え、
上記セレクタは、上記第2のレンズ群に機械的に接続されており、ユーザにより手で直接操作され、
上記第1のレンズ群は、上記選択された第1の位置に基づいた焦点を、上記撮像素子に形成することを特徴とする望遠/広角モジュール。
【請求項2】
上記所定の位置の組は、マクロ位置と、広角位置と、望遠位置とを含むことを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項3】
上記マクロ位置は、上記所定の位置の組のうちの、上記望遠位置と上記広角位置との間の位置であることを特徴とする請求項2記載の望遠/広角モジュール。
【請求項4】
上記マクロ位置は、上記セレクタを上記所定の位置の組のうちの特定のマクロ位置に手で移動することによってのみ選択されるような一時的なものであり、
上記セレクタは、解放されたときに、上記所定の位置の組のうちの他の位置に自動的に戻ることを特徴とする請求項2記載の望遠/広角モジュール。
【請求項5】
上記第1のレンズ群の位置は、固定されており、
上記第1のレンズ群と上記第2のレンズ群は、物理的に隣接していることを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項6】
上記第1のレンズ群と上記第2のレンズ群は、所定の距離だけ離間されていることを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項7】
その方向により、上記所定の位置の組から1つの位置を選択する第1のレバーと、
上記第1のレバーに、時計回りの力と反時計回りの力の両方を加えるねじりコイルばねとを更に備え、
上記ねじりコイルばねによって加えられる回転力の方向は、上記第1のレバーの方向に依存していることを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項8】
上記セレクタは、上記第1の位置を選択する手動セレクタからなり、モータを用いずに、当該望遠/広角モジュールを構成することを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項9】
上記セレクタは、回転ダイヤルに接続されたつまみからなることを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項10】
上記セレクタは、スライドスイッチからなることを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項11】
上記撮像素子は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)からなることを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項12】
上記撮像素子は、電荷結合素子(CCD)からなることを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項13】
上記第1のレンズ群に接続されたプリズム素子を更に備え、
上記プリズム素子は、当該望遠/広角モジュールの平面に対してある角度を有する画像からの光を、上記第1のレンズ群の方向に反射することを特徴とする請求項1記載の望遠/広角モジュール。
【請求項14】
レンズ配置を調整するレンズ配置調整方法において、
第2のレンズ群に機械的に接続されたセレクタを、ユーザが手で直接操作することにより、所定の位置の組から第1の位置を選択するステップと、
上記選択された第1の位置に基づいて、上記第2のレンズ群を、位置が固定された第1のレンズ群に対して配置するステップと、
上記第1のレンズ群及び上記第2のレンズ群を通して、画像を撮像素子に供給するステップとを有するレンズ配置調整方法。
【請求項15】
上記撮像素子に、過焦点設定による合焦点画像を、上記撮像素子に供給するステップを更に有する請求項14記載のレンズ配置調整方法。
【請求項16】
上記所定の位置の組は、マクロ位置と、広角位置と、望遠位置とを含むことを特徴とする請求項14記載のレンズ配置調整方法。
【請求項17】
上記第1の位置は、上記マクロ位置であり、
上記第2のレンズ群を配置するステップは、上記第2のレンズ群を上記望遠位置と上記広角位置との間に配置するステップであることを特徴とする請求項16記載のレンズ配置調整方法。
【請求項18】
上記所定の位置の組から上記マクロ位置を選択するステップは、上記セレクタを、該所定の位置の組のうちの特定のマクロ位置に手で移動して、保持するステップと、
上記セレクタは、解放すると、上記レンズ配置を、上記所定の位置の組のうちの上記マクロ位置とは異なる位置に自動的に戻すステップとを含むことを特徴とする請求項16記載のレンズ配置調整方法。
【請求項19】
上記第2のレンズ群を配置するステップは、上記第2のレンズ群を、上記第1のレンズ群に物理的に隣接して配置するステップであることを特徴とする請求項14記載のレンズ配置調整方法。
【請求項20】
上記第2のレンズ群を配置するステップは、上記第2のレンズ群を、上記第1のレンズ群から所定の距離だけ離間して配置するステップであることを特徴とする請求項14記載のレンズ配置調整方法。
【請求項21】
上記所定の位置の組から第2の位置を選択するステップを更に有し、
上記第2の位置を選択することは、上記第2のレンズ群を、上記第1の位置から所定の距離よりも短い距離に配置することであることを特徴とする請求項20記載のレンズ配置調整方法。
【請求項22】
第1のレバーを、上記選択された第1の位置に基づいた方向に向けるステップを更に有し、
上記第1のレバーの方向により、上記第1のレンズ群と上記第2のレンズ群間の直線距離が決定されることを特徴とする請求項14記載のレンズ配置調整方法。
【請求項23】
1つの機構部品を用いて、時計回りの回転力と反時計回りの回転力を発生するステップを更に有し、
上記1つの機構部品によって発生される回転力の方向は、上記第1のレバーの方向に依存することを特徴とする請求項22記載のレンズ配置調整方法。
【請求項24】
上記機構部品は、ねじりコイルばねからなることを特徴とする請求項23記載のレンズ配置調整方法。
【請求項25】
上記第1の位置を選択することは、回転ダイヤルに接続されたつまみを回転することであることを特徴とする請求項14記載のレンズ配置調整方法。
【請求項26】
上記第1の位置を選択することは、スイッチを誘導パス沿って摺動させることであることを特徴とする請求項14記載のレンズ配置調整方法。
【請求項27】
上記第1の位置を選択することは、モータを用いることを必要としない手動操作で行われることを特徴とする請求項14記載のレンズ配置調整方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A−5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−508280(P2011−508280A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540626(P2010−540626)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/008999
【国際公開番号】WO2009/085061
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(506380075)フレクストロニクス エーピー,リミテッド ライアビリティ カンパニー (15)
【Fターム(参考)】