説明

木材保存に有用な抗微生物組成物

【課題】ある種の微生物に対して弱い活性であるために、高い使用濃度であっても、微生物の効果的な抑制がもたらされない市販の薬剤に対し、木材保存に有用であって、相乗的な効果を発揮する抗微生物組成物を提供する。
【解決手段】例えば、(a)銅8−ヒドロキシキノリン、および(b)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメートを含む殺生剤のコンビネーションによって、木材保存に相乗的効果を発揮することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材保存に有用であって、個別の抗微生物組成物に対して観察されるであろうものより大きな活性を有する殺生剤のコンビネーションに関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも2つの抗微生物化合物を組み合わせて使用することで、潜在的な市場を広げ、使用濃度およびコストを抑え、浪費を減少させる。いくつかの場合では、市販の抗微生物化合物は、あるタイプの微生物(例えば、何種類かの抗微生物化合物に対して耐性のあるもの)に対して弱い活性であるために、高い使用濃度であっても、効果的な微生物の抑制がもたらされない。様々な抗微生物化合物のコンビネーションは、特別な最終用途状況において微生物の全体的な抑制を得るためにしばしば使用される。例えば、米国特許第5991760号は、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンといくつかの他の殺生剤(例えば、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメート)との相乗的なコンビネーションを開示している。しかし、この参考文献は、本明細書で特許請求しているコンビネーションのいずれをも示唆していない。さらに、様々な系統の微生物に対する活性を向上させ、迅速かつ長期持続する微生物の効果的な抑制をもたらす抗微生物化合物のさらなるコンビネーションへの要求が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5991760号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明で扱う課題は、このような抗微生物化合物のさらなるコンビネーションを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、(a)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および(b)銅テブコナゾールを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0006】
さらに、本発明は、(a)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および(b)2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0007】
さらに、本発明は、(a)銅アルキルジメチルアンモニウム塩、および(b)銅8−ヒドロキシキノリンを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0008】
さらに、本発明は、(a)銅アルキルジメチルアンモニウム塩、および(b)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0009】
さらに、本発明は、(a)銅8−ヒドロキシキノリン、および(b)2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0010】
さらに、本発明は、(a)銅8−ヒドロキシキノリン、および(b)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメートを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0011】
さらに、本発明は、(a)テブコナゾール、ならびに(b)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;銅8−ヒドロキシキノリン;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;および5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物;からなる群から選択される殺微生物剤を含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0012】
さらに、本発明は、(a)プロピコナゾール、ならびに(b)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;銅8−ヒドロキシキノリン;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物;および3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメートからなる群から選択される殺微生物剤を含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0013】
さらに、本発明は、(a)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および(b)銅8−ヒドロキシキノリンを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【0014】
さらに、本発明は、(a)4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、および(b)チフルザミドを含む相乗的な抗微生物組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「MI」は、2−メチル−3−イソチアゾロンとも呼ばれる2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。「CMI」は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。「DCOIT」は、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。「OIT」は、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンである。「IPBC」は、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメートである。銅テブコナゾールは、酸化銅のモノエタノールアミン錯体とテブコナゾールとを含む殺生製剤である。
【0016】
「銅アルキルジメチルアンモニウム塩」は、酸化銅のモノエタノールアミン錯体とアルキルジメチルアンモニウム塩とを含む殺生製剤である。1つの実施形態では、アルキルジメチルアンモニウム塩は、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩である。別の実施形態では、アルキルジメチルアンモニウム塩は、ジアルキルジメチルアンモニウム塩である。別の実施形態では、アルキルジメチルアンモニウム塩は、アリールオキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウム塩であり、ここで、アリールは、好ましくはジイソブチルフェニルまたはジイソブチルクレシルである。好ましくは、当該の塩は、塩化物、炭酸塩または重炭酸塩である。酸化銅のアルキルジメチルアンモニウム塩に対する重量比は、好ましくは30:70〜80:20である。1つの実施形態では、酸化銅のアルキルジメチルアンモニウム塩に対する重量比は、55:45〜80:20、より好ましくは62:38〜71:29である。別の実施形態では、その比は、35:65〜65:35、より好ましくは45:55〜55:45である。好ましくは、アルキル基は、C〜C14が大部分であるC〜C18の範囲にある。1つの実施形態では、アルキル基は、67%のC12、25%のC14、7%のC16、および1%のC18である。別の実施形態では、アルキル基は、C〜C12である。
【0017】
本明細書で使われる以下の用語は、文脈で明らかに他のものを示さない限り、指示された定義を有する。用語「抗微生物化合物」は、対象(locus)における微生物の増殖を阻害または抑制することができる化合物を意味する。抗微生物化合物としては、適用する量、システム条件および所望の微生物抑制に依存して、殺バクテリア剤、静バクテリア剤、殺真菌剤、制真菌剤、除藻剤および制藻剤が挙げられる。用語「微生物」としては、例えば、菌類(例えば、酵母およびカビ)、細菌および藻類が例として挙げられる。用語「対象」は、微生物による汚染を受ける産業システムまたは製品を意味する。以下の省略形は、本明細書を通して使われる:ppm=重量による100万分率(重量/重量)、mL=ミリリットル、ATTC=米国細胞バンク、およびMIC=最小阻害濃度。特に示さない限り、温度は摂氏(℃)であり、パーセントの基準は重量である。本発明の組成物中の抗微生物化合物のパーセントは、組成物中の活性成分(すなわち、存在しうる任意量の溶媒、担体、分散剤、安定剤または他の物質を除いた抗微生物化合物自体)の全重量を基準としている。「無塩」は、組成物の重量を基準として、0〜0.5%、好ましくは0〜0.1%、そしてより好ましくは0〜0.01%の金属塩を含む組成物を意味する。
【0018】
本発明の1つの実施形態では、抗微生物組成物は、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび銅テブコナゾールを含んでいる。好ましくは、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの銅テブコナゾールに対する重量比は、1:400〜1:6である。他の好ましい重量比は、1:333〜1:6.3である。
【0019】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンおよび2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含んでいる。好ましくは、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンに対する重量比は、1:1.4〜1:1800である。他の好ましい重量比は、1:1.4〜1:1750である。
【0020】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、銅アルキルジメチルアンモニウム塩および銅8−ヒドロキシキノリンを含んでいる。好ましくは、銅アルキルジメチルアンモニウム塩の銅8−ヒドロキシキノリンに対する重量比は、1:0.8〜1:15である。他の好ましい重量比は、1:1〜1:4である。
【0021】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、銅アルキルジメチルアンモニウム塩および2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含んでいる。好ましくは、銅アルキルジメチルアンモニウム塩の2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンに対する重量比は、1:0.02〜1:88である。他の好ましい重量比は、1:0.02〜1:87.5であり、その他1:0.02〜1:60である。
【0022】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、銅8−ヒドロキシキノリンおよび2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含んでいる。好ましくは、銅8−ヒドロキシキノリンの2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンに対する重量比は、1:60〜1:0.008である。他の好ましい重量比は、1:59〜1:0.009であり、その他1:50〜1:0.009である。
【0023】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、銅8−ヒドロキシキノリンおよび3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメートを含んでいる。好ましくは、銅8−ヒドロキシキノリンの3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメートに対する重量比は、1:30〜1:0.2である。他の好ましい重量比は、1:23〜1:0.3である。
【0024】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、テブコナゾール、ならびに4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;銅8−ヒドロキシキノリン;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;および5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物;からなる群から選択される殺微生物剤を含んでいる。好ましくは、テブコナゾールのDCOITに対する重量比は、1:0.0003〜1/0.6である。好ましくは、テブコナゾールの銅8−ヒドロキシキノリンに対する重量比は、1/0.005〜1/1.6であり、他の好ましい重量比は、1/0.006〜1/1.58である。好ましくは、テブコナゾールのOITに対する重量比は、1/0.001〜1/0.3であり、他の好ましい重量比は、1/0.002〜1/0.24である。好ましくは、テブコナゾールの5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物に対する重量比は、1/0.001〜1/0.15である。
【0025】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、プロピコナゾール、ならびに4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;銅8−ヒドロキシキノリン;2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物;および3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメート;からなる群から選択される殺微生物剤を含んでいる。好ましくは、プロピコナゾールのDCOITに対する重量比は、1/0.002〜1/0.9であり、他の好ましい重量比は、1/0.026〜1/0.875である。好ましくは、プロピコナゾールの銅8−ヒドロキシキノリンに対する重量比は、1/0.02〜1/1.5であり、他の好ましい重量比は、1/0.023〜1/1.28である。好ましくは、プロピコナゾールのOITに対する重量比は、1/0.001〜1/0.5であり、他の好ましい重量比は、1/0.0015〜1/0.48である。好ましくは、プロピコナゾールの5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの混合物に対する重量比は、1/0.008〜1/0.15であり、他の好ましい重量比は、1/0.009〜1/0.12である。好ましくは、プロピコナゾールの3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメートに対する重量比は、1/0.0005〜1/0.015であり、他の好ましい重量比は、1/0.0007〜1/0.011である。
【0026】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、DCOITおよびチフルザミドを含んでいる。好ましくは、DCOITのチフルザミドに対する重量比は、1/0.1〜1/10であり、他の好ましい重量比は、1/0.5〜1/2である。
【0027】
本発明の別の実施形態では、抗微生物組成物は、銅8−ヒドロキシキノリンおよびDCOITを含んでいる。好ましくは、DCOITに対する銅8−ヒドロキシキノリンの重量比は、1/0.002〜1/0.01であり、他の好ましい重量比は、1/0.005〜1/0.08であり、その他1/0.005〜1/0.03である。
【0028】
本発明の1つの実施形態では、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(MI)を含む抗微生物組成物は、比較的低い含有量(好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下、そして最も好ましくは1.2%以下)の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CMI)を含んでいる。他の好ましい含有量は、0.5%以下であり、その他0.1%以下である。別の実施形態では、CMIおよびMIは、4:1〜1:1、好ましくは3.5:1〜2.5:1の比の混合物として存在している。約3:1のCMI:MI比を有する市販品は、入手可能である。
【0029】
本発明の組成物中の抗微生物化合物は、「そのまま」使用してもよく、あるいはまず、溶媒または固体担体と共に配合してもよい。適切な溶媒としては、例えば、以下のものが挙げられる:水;グリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびポリプロピレングリコール);グリコールエーテル;アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、フェネチルアルコールおよびフェノキシプロパノール);ケトン(例えば、アセトンおよびメチルエチルケトン);エステル(例えば、エチル酢酸、ブチル酢酸、グリセロールトリアセテート、TEXANOL(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール モノイソブチレート エステル;Eastman社製、Kingsport TN)、およびC−Cジカルボン酸(例えば、コハク酸、グルタル酸およびアジピン酸)のメチルエステルおよびイソブチルエステル;炭酸塩(例えば、プロプレンカーボネートおよびジメチルカーボネート);ならびにそれらの混合物。溶媒は、水、グリコール、グリコールエーテル、エステルおよびそれらの混合物から選択されるのが好ましい。適切な固体担体としては、例えば、以下のものが挙げられる:シクロデキストリン、シリカ、珪藻土、ワックス、セルロール物質、アルカリ金属およびアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、マグネシウム、カリウム)の塩(例えば、塩化物、硝酸塩、臭化物、硫酸塩)および木炭。
【0030】
抗微生物成分が溶媒中で配合される場合、その配合物は、必要に応じて界面活性剤を含むことができる。このような配合物が界面活性剤を含む場合、それらは、一般に乳化濃縮物、エマルション、マイクロ乳化濃縮物、またはマイクロエマルションの形態である。乳化濃縮物は、十分な量の水を加えた際にエマルションを形成する。マイクロ乳化濃縮物は、十分な量の水を加えた際にマイクロエマルションを形成する。このような乳化濃縮物およびマイクロエマルション濃縮物は、当該技術分野で一般的に周知である。さらに、米国特許第5444078号は、様々なマイクロエマルションおよびマイクロ乳化濃縮物の調製に関しての一般的な詳細および個別の詳細について参考とすることができる。
【0031】
抗微生物化合物はまた、分散液の形態で配合することもできる。分散液の溶媒成分は、有機溶媒または水が可能であり、好ましくは水であり得る。このような分散液は、アジュバント(例えば、共溶媒、増粘剤、不凍剤、分散剤、フィラー、顔料、界面活性剤、バイオ分散剤、スルホコハク酸塩、テルペン、フラノン、ポリカチオン、安定剤、スケール防止剤および耐腐食添加剤)を含むことができる。
【0032】
抗微生物化合物は、別々または一緒に配合することができる。抗微生物化合物の両方が、溶媒と最初にそれぞれ配合される場合、第一の抗微生物化合物のために使われる溶媒は、他方の市販の抗微生物化合物を配合するために使われる溶媒と同じかまたは異なるものであってもよい。二つの溶媒は、混和性であることが好ましい。別の方法では、第一の抗微生物化合物および他の抗微生物化合物を直接混合し、次いでその混合物に溶媒を加えてもよい。
【0033】
当業者は、本発明の抗微生物化合物を逐次的または同時に対象に添加してもよく、あるいは対象に添加する前に合わせてもよいことは認識している。第一の抗微生物化合物および第二の抗微生物化合物を対象に同時に添加するか、あるいは対象に添加する前に合わせるのが好ましい。抗微生物化合物を対象に添加する前に合わせた場合、このようなコンビネーションは、必要に応じてアジュバントを含むことができる。アジュバントとしては、例えば、溶媒、増粘剤、不凍剤、着色剤、金属イオン封鎖剤(例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸、エチレンジアミンジコハク酸、イミノジコハク酸およびその塩)、分散剤、界面活性剤、バイオ分散剤、スルホコハク酸、テルペン、フラノン、ポリカチオン、安定剤、スケール防止剤および耐腐食添加剤が挙げられる。
【0034】
本発明の抗微生物組成物は、微生物の攻撃を受ける対象の上に、中に、またはその場に抗菌的に有効な量の組成物を導入することにより、微生物の増殖を阻害するために使用することができる。適切な対象としては、以下のようなものが挙げられる:例えば、冷却塔;空気洗浄器;鉱物スラリー;排水処理;装飾噴水;逆浸透ろ過;限外濾過装置;バラスト水;蒸発凝縮器;熱交換器;パルプ処理液および紙処理液;プラスチック;エマルション;分散液;塗料;ラテックス;コーティング(例えば、ワニス);建築用品(例えば、マスチック剤、コーキング剤およびシーラント剤);建築用接着剤(例えば、セラッミク接着剤、カーペット裏地接着剤およびラミネート接着剤);工業用接着剤または民生用接着剤;写真用薬品;印刷用液;家庭用品(例えば、浴室洗剤および台所洗剤);化粧品;トイレ用品;シャンプー;石鹸;洗浄剤;工業用洗剤;床磨き剤;洗濯すすぎ水;金属加工液;コンベヤー潤滑剤;作動液;皮革および皮革製品;布地;繊維製品;木材および木材製品(例えば、ベニヤ板、合板、フレークボード、積層梁、配向性ストランドボード、ハードボードおよびパーティクルボード);石油処理液;燃料;油田用液(例えば、注入水、フラクチャー液およびドリリングマッド);農業用アジュバント保存;界面活性剤保存;医療用デバイス;診断試薬保存;食品保存(例えば、プラスチックまたは紙の食品ラップ);プール施設;およびスパ施設。
【0035】
好ましくは、本発明の抗微生物組成物は、以下に挙げるもののうちから選択される1つ以上の対象における微生物の増殖を阻害するのに使用される:木材および木材製品、エマルション、分散液、塗料、ラテックス、家庭用品、化粧品、トイレ用品、シャンプー;石鹸;洗浄剤;機械加工液および工業用洗剤。特に、本発明の抗微生物組成物は、木材および木材製品、エマルション、分散液、塗料およびラテックスにおいて有用である。
【0036】
本発明の相乗的な組成物がパーソナルケア組成物において使用される場合、配合された組成物は、以下に挙げるもののうちから選択される1つ以上の成分もまた含むことができる:紫外線吸収剤、界面活性剤、レオロジー調整剤または増粘剤、芳香剤、保湿剤、湿潤剤、エモリエント、コンディショニング剤、乳化剤、帯電防止助剤、顔料、染料、毛染め剤、着色剤、酸化防止剤、還元剤および酸化剤。
【0037】
対象における微生物の増殖を阻害または制御するために必要とされる本発明の組成物の具体的な量は、保護される特定の対象に依存する。典型的に、対象における微生物の増殖を抑制するための本発明の組成物の量は、対象において0.1〜25000ppmの本組成物の活性成分を提供できれば十分である。本組成物の活性成分は、少なくとも0.5ppm、より好ましくは少なくとも1ppm、さらに好ましくは少なくとも10ppm、そして最も好ましくは少なくとも50ppmの量で、対象において存在することが好適である。本発明の1つの実施形態では、活性成分は、少なくとも500ppmの量で存在する。本組成物の活性成分は、20000ppm以下、より好ましくは15000ppm以下、さらに好ましくは1000ppm以下の量で、対象において存在することが好適である。本発明の1つの実施形態では、活性成分は、10000ppm以下、より好ましくは5000ppm以下、最も好ましくは1000ppm以下の量で存在する。
【実施例】
【0038】
本発明のコンビネーションによる相乗効果は、化合物の広い範囲の濃度および比率をテストすることにより実証される。
【0039】
相乗効果の1つの測定法は、Kull,F.C.、Eisman,P.C.、Sylwestrowicz,H.D.およびMayer,R.L.(Applied Microbiology 9:538〜541(1961))によって記述された産業的に受容できる方法であり、以下の式により決定される比を用いる。
/C+C/C=相乗効果指数(「SI」)
式中:
=終点を生じさせる単独での化合物A(第一成分)のppm濃度(化合物AのMIC)。
=終点を生じさせる混合物中の化合物Aのppm濃度。
=終点を生じさせる単独での化合物B(第二成分)のppm濃度(化合物BのMIC)。
=終点を生じさせる混合物中の化合物Bのppm濃度。
【0040】
/CおよびC/Cの合計が1より大きい場合、拮抗作用が示される。その合計が1と等しい場合、相加性が示される。そして、その合計が1未満の場合、相乗効果が示される。SIが低ければ低いほど、特定の混合物が示す相乗効果は、より大きくなる。抗微生物化合物の最小阻止濃度(MIC)は、具体的な一組の条件の下でテストされた、添加された微生物の増殖を妨害する最小の濃度である。
【0041】
相乗効果テストは、テスト微生物が最適に成長するように設計された培地での標準マイクロ滴定プレートアッセイを使って行われた。0.2%のグルコースおよび0.1%の酵母抽出物を補給した最少塩培地(M9GY培地)を細菌テストのために用いた。ジャガイモデキストロースブロス(PDB培地)を酵母テストおよびカビテストのために用いた。この方法では、広い範囲の微生物のコンビネーションが、種々の濃度の殺生剤の存在下で、高分解能MICアッセイを行うことによりテストされた。高分解能MICは、様々な量の殺微生物剤をマイクロ滴定プレートの1つのカラムに加えること、そして活性物質の一連の終点範囲を得るための自動液体操作システムを使って連続的に10倍希釈することにより決定した。本発明のコンビネーションの相乗効果を、2つの細菌シュードモナスアエルギノーサPseudomonas aeruginosa(Ps. aeruginosa−ATCC#9027)およびスタフィロコッカスアウレウスStaphylococus aureus(S.aureus−ATCC#6538)、酵母キャンディダアルビカンスCandida albicans(C.albicans−ATCC#10231)、およびカビアスペルギルスニガーAspergillus niger(A.niger−ATCC#16404)に対して決定した。細菌は1mLあたり約1〜6×10個バクテリア、酵母およびカビは1mLあたり約1〜5×10個菌の濃度において使用した。これらの微生物は、多くの民生用途および工業用途における自然汚染の代表的なものである。プレートを微生物増殖(濁度)について目視評価し、25℃(酵母およびカビ)および30℃(細菌)における種々のインキュベーション時間の後のMICを決定した。
【0042】
本発明の殺微生物剤のコンビネーションの相乗効果を実証するためのテスト結果を以下の表中に示す。各表は次のことを示す:成分(a)および第二成分(b)の具体的なコンビネーション;インキュベーション時間によるテストされた微生物に対する結果;各成分に対するMICにより測定されたppmにおける終点活性であって、成分(a)に対して(C)、第二成分のみに対して(C)、混合物に対して(C)、そして混合物中の第二成分に対して(C);SI計算値;およびテストされた各コンビネーションに対する相乗効果比の範囲(第一成分/第二成分またはa+b)。
【0043】
適用テストを実行し、キチリメンタケGloeophyllum trabeum(G.trabeum−ATCC#11593)およびカワラタケTrametes vesicolor(T. vesicolor−ATCC#4262)に対するDCOIT/チフルザミド、単独およびコンビネーションにおける相乗効果を評価した。ペーバーディスクを処理液に浸し、空気乾燥し、テスト微生物を縞状に付けたモルト寒天プレートの上においた。そのディスクの表面にまた、テスト微生物を綿棒で塗り付けた。その寒天プレートを25℃で4週間インキュベートした。次いで、菌類の増殖を目視で観察した。
【0044】
以下の表は、相乗効果指数(SI)および殺生剤の重量比と共に、菌類および細菌に対する殺生剤のコンビネーションについてのデータをまとめている。すべての量の殺生剤を活性成分のppmとして報告している。
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
【表6】

【0051】
【表7】

【0052】
【表8】

【0053】
【表9】

【0054】
【表10】

【0055】
【表11】

【0056】
【表12】

【0057】
【表13】

【0058】
【表14】

【0059】
【表15】

【0060】
【表16】

【0061】
【表17】

【0062】
【表18】

【0063】
【表19】

【0064】
【表20】

【0065】
【表21】

【0066】
【表22】

【0067】
【表23】

【0068】
【表24】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)銅8−ヒドロキシキノリン、および
(b)3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメート
を含む相乗的な抗微生物組成物。

【公開番号】特開2010−143939(P2010−143939A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−18483(P2010−18483)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2006−163109(P2006−163109)の分割
【原出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】