説明

木質床材、及びその製造方法

【課題】光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の木質床材100は、木質基材110と、木質基材110の表面110b側に位置する塗膜であって、光輝性顔料を含む光輝性塗膜120とを備えている。また、本発明の木質床材の製造方法は、木質基材110の表面110b側に、光輝性顔料を含む光輝性塗料を塗布し、これを硬化させて光輝性塗膜120を形成する光輝性塗膜形成工程を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質床材、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木質基材の保護、及び外観を良好とするため、木質基材表面に塗膜が形成された木質材及びその製造方法について、様々なものが提案されている。(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平11−90320号公報
【特許文献2】特開2005−7219号公報
【0003】
特許文献1では、木質基材を、着色下塗り塗料で塗り潰した後、サンド研磨を行って木目だしを行い、その後、透明上塗り塗料で上塗りを行うことを特徴とする木質材の塗装方法が提案されている。この塗装方法によれば、木質材を腐食等から保護すると同時に、素材のもつ木質感(木目)を顕在化できると記載されている。さらには、透明上塗り塗料にパール顔料を含有させると良いことが記載されている。これにより、従来にない意匠感が得られると記載されている。
【0004】
特許文献2では、基材上に、鱗片状光輝性顔料を含有し、溶剤による希釈率を変えたメタリックベース塗料を、第1ステージと第2ステージの2つのステージに分けて塗装し、さらに、クリヤー塗料(C)を、順次ウェットオンウェットで塗装する光輝性塗膜の形成方法が提案されている。詳細には、第1ステージのメタリックベースコート塗料(A)の塗装時アプリケーションソリッド(塗装時固形分)が16〜30質量%であり、第2ステージのメタリックベースコート塗料(B)の塗装時アプリケーションソリッドが5〜15質量%であることを特徴とする光輝性塗膜の形成方法が提案されている。基材として、木材、金属、ガラス、布、プラスチック製品などが例示されている。この塗装方法によれば、光輝性顔料の種類、塗膜構造、塗装機に関係なく、安定して高光輝感、パール感、フリップフロップ性に優れた塗膜が得られると記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、住宅等の床材として、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材が求められている。しかしながら、従来の木質床材には、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観がなく、このような要求に応えることができなかった。さらに、床材として用いるため、仕上がり外観のみならず、耐キャスター性、耐クラック性、耐摩耗性などの特性も良好な木質床材が求められていた。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材、及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その解決手段は、木質基材と、上記木質基材の表面側に位置する塗膜であって、光輝性顔料を含む光輝性塗膜と、を備える木質床材である。
【0007】
本発明の木質床材は、木質基材の表面側に、光輝性顔料を含む光輝性塗膜を備えている。従って、本発明の木質床材は、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材となる。なお、光輝性塗膜は、木質基材の表面側に位置していれば良く、木質基材の表面上に直接形成しても良いし、木質基材の表面上に形成した他の塗膜を介して、木質基材の表面側に形成するようにしても良い。
【0008】
なお、本発明の木質床材としては、例えば、木質基材(無垢材)と、その表面に積層された塗膜(光輝性塗膜を含む)とからなる木質床材(表面に塗膜を積層した無垢材)を挙げることができる。また、本発明の木質床材は、付き板である木質基材と、その表面に積層された塗膜(光輝性塗膜を含む)とを備え、付き板である木質基材の裏面に、合板、WPC,プラスチック板等を貼り合わせてなる木質床材も含む。
【0009】
また、光輝性顔料としては、アルミニウムフレーク顔料、着色アルミニウムフレーク顔料、金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料、蒸着アルミニウムフレーク顔料などのアルミニウム顔料等を例示できる。これらの顔料は、1種または2種以上を使用することができる。
【0010】
このうち、アルミニウムフレーク顔料は、塗膜に隠蔽性及び金属調のメタリック感を付与する顔料であり、具体例としては、アルミニウムフレークをステアリン酸のような脂肪酸とともにボールミルで粉砕処理する通常の方法によって調製されたリーフィング、ノンリーフィング系のアルミニウムフレークが挙げられる。アルミニウムフレーク顔料の市販品としては、例えば、東洋アルミニウム(株)製の「アルペースト62−356」、「アルペースト5620NS」などを挙げることができる。
【0011】
また、着色アルミニウムフレーク顔料としては、基体のアルミニウムフレークに有機着色顔料または無機着色顔料を薄片状にコーティングしたものが挙げられる。金属酸化物被覆アルミニウムフレーク顔料としては、基体のアルミニウムフレークにTiO2、Fe23、SiO2、Al23などの金属酸化物を被覆したものなどが挙げられる。蒸着アルミニウムフレーク顔料は、一般にベース有機フィルムにアルミニウムを蒸着させた後、ベース有機フィルムを溶解させて、アルミニウムの極薄膜シートを作り、このシートを粉砕することにより得られるものが挙げられる。
【0012】
さらに、他の光輝性顔料として、金属酸化物被覆マイカ顔料、金属酸化物被覆合成マイカ顔料、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料、金属酸化物被覆板状酸化鉄、ステンレスフレーク、金属チタンフレーク顔料、板状硫化モリブデン、板状塩化ビスマス、板状酸化鉄、およびコレステリツク液晶ポリマー等を例示できる。
【0013】
このうち、金属酸化物被覆マイカ顔料、及び金属酸化物被覆合成マイカ顔料は、天然もしくは合成のマイカ粉末(雲母粉末)に、TiO2、Fe23、SnO2、ZrO2等の金属酸化物により被覆したものである。また、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、酸化アルミニウム粉末に、TiO2、Fe23、SnO2、ZrO2等の金属酸化物により被覆したものである。なお、金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料の市販品としては、例えば、メルクジャパン(株)製の「シラリックT60−10WNTクリスタルシルバー」、「シラリックT60−23WNTギャラクシーブルー」等を挙げることができる。
【0014】
また、金属酸化物被覆シリカフレーク顔料は、シリカ粉末に、TiO2、Fe23、SnO2、ZrO2等の金属酸化物により被覆したものである。また、金属酸化物被覆板状酸化鉄は、板状酸化鉄粉末に、TiO2、Fe23、SnO2、ZrO2等の金属酸化物により被覆したものである。このように、TiO2、Fe23、SnO2、ZrO2等の金属酸化物で被覆した光輝性顔料は、塗膜に優れた光輝感とパール感を与えることができるので、好適に用いることができる。
【0015】
さらに、金属酸化物被覆マイカ顔料、及び金属酸化物被覆合成マイカ顔料は、TiO2、Fe23、SnO2、ZrO2等の被覆される金属酸化物の種類により、ホワイトマイカ顔料、干渉マイカ顔料、着色マイカ顔料に分類される。ホワイトマイカ顔料の市販品としては、例えば、メルクジャパン(株)製の「イリオジン103WNT」を挙げることができる。また、干渉マイカ顔料の市販品としては、例えば、メルクジャパン(株)製の「イリオジン225WNT」を挙げることができる。また、着色マイカ顔料の市販品としては、例えば、メルクジャパン(株)製の「イリオジン504WNT」等を挙げることができる。
なお、本発明の木質床材において使用される光輝性顔料は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0016】
さらに、上記の木質床材であって、前記木質基材は、夏目部及び冬目部を有し、前記光輝性塗膜は、上記木質基材の表面上に積層されてなり、上記光輝性塗膜のうち、上記木質基材の上記冬目部上に位置する部位では、上記夏目部上に位置する部位に比べて、前記光輝性顔料の配向性が相対的に高くされてなる木質床材とすると良い。
【0017】
本発明の木質床材では、光輝性塗膜が、夏目部及び冬目部を有する木質基材の表面上に積層されている。さらに、この光輝性塗膜のうち、木質基材の冬目部上に位置する部位では、夏目部上に位置する部位に比べて、光輝性顔料の配向性が相対的に高くされている。光輝性塗膜に含まれる光輝性顔料の配向性が高い(配向が揃っている)ほど、光輝性塗膜の発色(光輝)が強くなることから、本発明の木質床材では、光輝性塗膜のうち、木質基材の夏目部上に位置する部位に比べて、冬目部上に位置する部位の発色(光輝)が強くなる。従って、本発明の木質床材は、パール感に加えて、木目(夏目部と冬目部とで表現される木質基材の表面の模様)に沿った光輝感が強調された、木質感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材となる。
なお、本発明の木質床材に用いる木質基材は、無着色の木質基材に限らず、水性着色剤を刷り込んで着色した木質基材も含む。
【0018】
さらに、上記いずれかの木質床材であって、前記木質基材は、夏目部及び冬目部を有し、前記光輝性塗膜は、上記木質基材の表面上に積層されてなり、上記光輝性塗膜のうち、上記木質基材の上記冬目部上に位置する部位が、上記夏目部上に位置する部位に比べて、強く光輝する塗膜性状にされてなる木質床材とするのが好ましい。
【0019】
この木質床材では、光輝性塗膜のうち木質基材の冬目部上に位置する部位が、夏目部上に位置する部位に比べて、強く光輝する塗膜性状にされている。従って、この木質床材は、パール感に加えて、木目に沿った光輝感が強調された表面の仕上がり外観を有する木質床材となる。
【0020】
さらに、上記いずれかの木質床材であって、前記光輝性塗膜の表面側に、1または複数のクリア塗膜を備える木質床材とすると良い。
【0021】
本発明の木質床材は、光輝性塗膜の表面側に、1または複数のクリア塗膜を備えている。このように、光輝性塗膜をクリア塗膜で被覆することにより、光輝性顔料の脱落を防止することができると共に、表面の仕上がり外観を良好にできる。
【0022】
さらに、上記の木質床材であって、前記1または複数のクリア塗膜のうち、少なくとも1つのクリア塗膜は、減摩剤を含んでなる木質床材とすると良い。
【0023】
本発明の木質床材は、少なくとも1つのクリア塗膜に、減摩剤が含まれている。これにより、耐キャスター性、耐クラック性、耐摩耗性などの特性に優れた木質床材となる。
なお、減摩剤としては、アルミナ粉末、シリカ粉末、炭化ケイ素粉末などを例示することができる。このうち、アルミナ粉末としては、特に、白色アルミナ粉末を用いるのが好ましい。白色アルミナ粉末は、無色透明に近いため、アルミナ粉末が木質床材の仕上がり外観に与える影響を極めて小さくすることができる。炭化ケイ素粉末としては、炭化ケイ素粉末を95%以上の純度で含有するグリーンカーボンを例示することができる。
【0024】
他の解決手段は、木質床材の製造方法であって、木質基材の表面側に、光輝性顔料を含む光輝性塗料を塗布し、これを硬化させて光輝性塗膜を形成する光輝性塗膜形成工程を備える木質床材の製造方法である。
【0025】
本発明の木質床材の製造方法では、木質基材の表面側に、光輝性顔料を含む光輝性塗料を塗布し、これを硬化させて光輝性塗膜を形成する。これにより、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材を得ることができる。
なお、光輝性塗料は、木質基材の表面側に塗布すれば良く、木質基材の表面に塗布しても良いし、木質基材の表面上に形成した他の塗膜を介して、木質基材の表面側に塗布するようにしても良い。
【0026】
さらに、上記の木質床材の製造方法であって、前記木質基材は、夏目部及び冬目部を有する木質基材であり、前記光輝性塗料は、前記光輝性顔料を、水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料に混合してなる光輝性塗料であり、前記光輝性塗膜形成工程において、上記木質基材の表面に、上記光輝性塗料を塗布する木質床材の製造方法とすると良い。
【0027】
本発明の木質床材の製造方法では、木質基材として、夏目部及び冬目部を有する木質基材を用い、光輝性塗料として、光輝性顔料を水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料に混合してなる光輝性塗料を用いる。木質基材の夏目部は、細胞密度が低い(空隙が多い)ため、水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料を相対的に吸収し易い。一方、木質基材の冬目部は、細胞密度が高い(空隙が少ない)ため、夏目部に比べて、水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料を相対的に吸収し難い。
【0028】
このため、木質基材の表面に光輝性塗料を塗布すると、木質基材の夏目部の内部に、光輝性塗料を構成する水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料が吸収されてゆく。このとき、木質基材の夏目部上では、塗布された光輝性塗料に含まれている光輝性顔料の配向が乱れがちとなる(配向性が低下する)。一方、木質基材の冬目部の内部には、水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料がほとんど吸収されないので、木質基材の冬目部上では、塗布された光輝性塗料に含まれている光輝性顔料の配向が乱れ難く、木質基材の夏目部上に比べて光輝性顔料の配向性が高くなると考えられる。
【0029】
従って、木質基材の表面に光輝性塗料を塗布した後、これを硬化させると、夏目部上に位置する部位に比べて、冬目部上に位置する部位にかかる光輝性顔料の配向性が相対的に高くされた光輝性塗膜を形成することができる。この光輝性塗膜では、夏目部上に位置する部位に比べて、木質基材の冬目部上に位置する部位の発色(光輝)が強くなる。従って、本発明の製造方法によれば、パール感に加えて、木目に沿った光輝感が強調された表面の仕上がり外観を有する木質床材を得ることができる。
【0030】
なお、光輝性塗料は、無着色の木質基材の表面に塗布しても良いし、水性着色剤を刷り込んで着色した木質基材の表面に塗布するようにしても良い。
また、水性クリア塗料としては、例えば、水性シーラを用いるのが好ましい。また、溶剤系クリア塗料としては、例えば、溶剤系シーラを用いるのが好ましい。
【0031】
また、木質基材としては、夏目部と冬目部とで、光輝性塗料を構成するクリア塗料(水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料)の浸透(吸収)の差が大きい木質基材を用いるのが好ましい。木質基材の夏目部と冬目部とで、光輝性塗料を構成するクリア塗料の浸透(吸収)の差が大きいほど、表面の木目を強調することができる。
【0032】
上記いずれかに記載の木質床材の製造方法であって、前記光輝性塗膜形成工程の後、上記光輝性塗膜の表面側に、クリア塗料を塗布し、これを硬化させてクリア塗膜を形成するクリア塗膜形成工程を備える木質床材の製造方法とすると良い。
【0033】
本発明の製造方法では、光輝性塗膜の表面側に、クリア塗料を塗布し、これを硬化させてクリア塗膜を形成する。このように、光輝性塗膜をクリア塗膜で被覆することにより、光輝性顔料の脱落を防止することができると共に、表面の仕上がり外観を良好にできる。
なお、光輝性塗膜の表面側に塗布するクリア塗料は、水性、溶剤系、無溶剤系のいずれのクリア塗料でも良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(実施例1)
本発明の実施例1にかかる木質床材100について、図1を参照して説明する。本実施例1の木質床材100は、木質基材110と、その表面110b側に位置する光輝性塗膜120とを有している。光輝性塗膜120は、クリア塗料に光輝性顔料を含有させた光輝性塗料を硬化してなる塗膜である。このように、本実施例1の木質床材100は、木質基材の表面側に光輝性塗膜を備えているため、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材となる。
なお、本実施例1では、光輝性顔料として、メルクジャパン(株)製の「イリオジン111WNT」を使用している。また、木質基材110は、図示を省略しているが、夏目部及び冬目部を有しており、この木質基材110の表面110bには、図示しない木目(夏目部と冬目部とで表現される模様)が現れている。
【0035】
次に、本実施例1にかかる木質床材100の製造方法ついて説明する。
まず、木質基材110を用意し、着色工程において、この木質基材110の表面110b上に水性着色剤を塗布し、導管等の木目がより美しく見えるようにする。具体的には、まず、エアスプレを用いて木質基材110の表面110bに水性着色剤を塗布する。次いで、リバースカキトリロールを用いて、不要な水性着色剤を掻き取るとともに、表面110bの凹部111(導管など)に水性着色剤を刷り込む。その後、ヒータを用いて、水性着色剤を乾燥硬化(100℃×1分)させて、着色工程を終了する。
【0036】
次いで、光輝性塗膜形成工程において、光輝性塗膜120を形成する。具体的には、まず、ナチュラルロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順でこれらの塗装機を用いて、紫外線硬化型の光輝性塗料を、3.0g/(30cm)2塗布する。その後、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量200mJ/cm2で光輝性塗料に照射し、硬化させて光輝性塗膜120を形成した。これにより、図1に示す木質床材100が完成する。
【0037】
なお、本実施例1では、光輝性塗料として、100重量部のクリア塗料に、10重量部の光輝性顔料を混合した光輝性塗料を使用した。具体的には、クリア塗料として、ナトコ株式会社製,商品名IST300を用い、光輝性顔料として、メルクジャパン(株)製の「イリオジン111WNT」を用いた。IST300は、無溶剤系塗料であって、ワニス成分としてポリウレタンアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)、及びアクリルモロホリン(モノマー)を含有している。
【0038】
(実施例2)
次に、本発明の実施例2にかかる木質床材200について、図2を参照して説明する。
本実施例2の木質床材200は、実施例1の木質床材100に対し、クリア塗膜を追加して形成したものである。従って、ここでは、実施例1と異なる点を中心に説明し、同様な点については説明を省略または簡略化する。
【0039】
本実施例2の木質床材200は、木質基材110と、その表面110b側に積層された光輝性塗膜120、第1クリア塗膜230、及び第2クリア塗膜240とを備える木質床材である。本実施例2の木質床材200も、実施例1の木質床材100と同様に、光輝性塗膜120を有しているため、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観を有する木質床材となる。
【0040】
さらに、本実施例2の木質床材200は、光輝性塗膜120の表面120b上に、第1クリア塗膜230を備えている。このように、光輝性塗膜120を第1クリア塗膜230で被覆することにより、光輝性顔料の脱落を防止することができる。
しかも、第1クリア塗膜230は、減摩剤を含有するクリア塗料を硬化してなる塗膜である。このように、減摩剤を含有させた塗膜を設けることにより、耐キャスター性、耐クラック性、耐摩耗性などの特性に優れた木質床材となる。
なお、本実施例2では、減摩剤として、フジミインコーポレーテッド製の「WA400」(白色アルミナ粉末)を使用している。
【0041】
さらに、本実施例2の木質床材200は、第1クリア塗膜230の表面230b上に、第2クリア塗膜240を備えている。これにより、クリア塗膜230に含まれている減摩剤の脱落を防止できると共に、木質床材200の表面の仕上がり外観を良好にできる。
【0042】
次に、本実施例2にかかる木質床材200の製造方法ついて説明する。
まず、着色工程において、実施例1と同様にして、木質基材110の表面110b上に水性着色剤を塗布し、乾燥硬化させる。次いで、光輝性塗膜形成工程に進み、実施例1と同様にして、光輝性塗膜120を形成する。
【0043】
次いで、第1クリア塗膜形成工程において、光輝性塗膜120の表面120b上に、第1クリア塗膜230を形成する。具体的には、ナチュラルロールコータを用いて、光輝性塗膜120の表面120b上に、紫外線硬化型の第1クリア塗料を、3.0g/(30cm)2塗布する。その後、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量200mJ/cm2で第1クリア塗料に照射し、硬化させて第1クリア塗膜230を形成した。
【0044】
なお、本実施例2では、第1クリア塗料として、100重量部のクリア塗料に、30重量部の減摩剤を混合した塗料を使用した。減摩剤としては、フジミインコーポレーテッド製の「WA400」(白色アルミナ粉末)を用い、クリア塗料としては、ナトコ株式会社製,商品名IST470を用いている。IST470は、水溶性塗料で、ワニス成分として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)及びエポキシアクリレート(オリゴマー)を含有している。
【0045】
次いで、第2クリア塗膜形成工程において、第1クリア塗膜230の表面230b上に、第2クリア塗膜240を形成する。具体的には、まず、粗さ#320のペーパーを用いて、第1クリア塗膜230の表面230bを研磨する。その後、ナチュラルロールコータを用いて、第1クリア塗膜230の表面230b上に、紫外線硬化型の第2クリア塗料を3.0g/(30cm)2塗布する。次いで、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量300mJ/cm2で第2クリア塗料に照射し、硬化させて第2クリア塗膜240を形成した。これにより、図2に示すような、木質床材200が完成する。
【0046】
なお、本実施例2では、第2クリア塗料として、ナトコ株式会社製,商品名IST500を使用した。このIST500は、無溶剤系塗料で、ワニス成分として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)、及びエチルカルビトールアクリレート(モノマー)を含有している。
【0047】
(実施例3)
次に、本発明の実施例3にかかる木質床材300について、図面を参照しつつ説明する。
本実施例3の木質床材300は、図3に示すように、木質基材310と、その表面310b側に積層された光輝性塗膜320、第1クリア塗膜330、第2クリア塗膜340、第3クリア塗膜350、第4クリア塗膜360とを備える木質床材である。
【0048】
本実施例3の木質床材300では、木質基材として、夏目部311及び冬目部313を有する木質基材310を用いている(図3及び図4参照)。この木質基材310の表面310bには、図4に示すように、木目(夏目部311と冬目部313とで表現される模様)が現れている。
【0049】
特に、本実施例3の木質床材300では、図5に拡大して示すように、この木質基材310の表面310bに積層された光輝性塗膜320のうち、冬目部313上に位置する部位323では、夏目部311上に位置する部位321に比べて、光輝性顔料327の配向性が相対的に高くされている。具体的には、冬目部313上に位置する部位323では、光輝性顔料327が相対的に一定方向(木質基材310の表面310bに沿う方向)に配向している。一方、夏目部311上に位置する部位321では、光輝性顔料327の配向が乱れている。
【0050】
光輝性塗膜320に含まれる光輝性顔料327の配向性が高い(配向が揃っている)ほど、光輝性塗膜320の発色(光輝)が強くなることから、本実施例3の木質床材300では、光輝性塗膜320のうち、夏目部311上に位置する部位321に比べて、冬目部313上に位置する部位323の発色(光輝)が強くなる。従って、本実施例3の木質床材300は、パール感に加えて、木目に沿った光輝感が強調された表面の仕上がり外観を有する木質床材となる。
なお、本実施例3でも、実施例1と同様に、光輝性顔料327として、メルクジャパン(株)製の「イリオジン111WNT」を用いている。
【0051】
さらに、本実施例3の木質床材300では、図3に示すように、光輝性塗膜320の表面320b上に、第1クリア塗膜330を備えている。このように、光輝性塗膜320を第1クリア塗膜330で被覆することにより、光輝性顔料327の脱落を防止することができる。
さらに、第1クリア塗膜330の表面230b上に、減摩剤を含有する第2クリア塗膜340を備えている。このように、減摩剤を含有する第2クリア塗膜340を設けることにより、耐キャスター性、耐クラック性、耐摩耗性などの特性に優れた木質床材となる。なお、本実施例3では、減摩剤として、フジミインコーポレーテッド製の「WA400」(白色アルミナ粉末)を使用している。
【0052】
さらに、本実施例3の木質床材300では、第2クリア塗膜340の表面340b上に第3クリア塗膜350を備え、この第3クリア塗膜350の表面350b上に第4クリア塗膜360を備えている。これにより、第2クリア塗膜340に含まれている減摩剤の脱落を防止できると共に、木質床材300の表面の仕上がり外観を良好にできる。
【0053】
次に、本実施例3にかかる木質床材300の製造方法について説明する。
まず、夏目部311及び冬目部313を有する木質基材310(図6参照)を用意し、着色工程において、実施例1と同様にして、木質基材310を水性着色剤により着色する。
次いで、光輝性塗膜形成工程に進み、木質基材310の表面310b上に、光輝性塗膜320を形成する。具体的には、まず、ナチュラルロールコータを用いて、紫外線硬化型の光輝性塗料325を、2.0/(30cm)2塗布する(図7参照)。
【0054】
なお、本実施例3では、光輝性塗料として、100重量部の水性クリア塗料に、10重量部の光輝性顔料を混合した光輝性塗料325を使用している。具体的には、水性クリア塗料として、IST 177シーラ(ナトコ株式会社製,商品名)を用い、光輝性顔料として、メルクジャパン(株)製の「イリオジン111WNT」を用いている。
【0055】
このように、本実施形態3では、木質基材として、夏目部311及び冬目部313を有する木質基材310を用い、光輝性塗料として、光輝性顔料327を水性クリア塗料(具体的には、IST 177シーラ)に混合してなる光輝性塗料325を用いている。木質基材310の夏目部313は、細胞密度が低い(空隙が多い)ため、水性クリア塗料を吸収し易い。一方、木質基材310の冬目部313は、細胞密度が高い(空隙が少ない)ため、夏目部313に比べて相対的に水性クリア塗料を吸収し難い。
【0056】
このため、木質基材310の表面310bに光輝性塗料325を塗布すると、図8に示すように、夏目部311の内部に、光輝性塗料325を構成する水性クリア塗料(具体的には、IST 177シーラ)が吸収されてゆく。このとき、夏目部311の表面311b上では、塗布された光輝性塗料325に含まれている光輝性顔料327の配向が乱れがちとなる(配向性が低下する)。一方、冬目部313の内部には、水性クリア塗料(具体的には、IST 177シーラ)がほとんど吸収されないので、冬目部313の表面313b上では、塗布された光輝性塗料325に含まれている光輝性顔料327の配向が乱れ難く、夏目部311の表面311b上に比べて光輝性顔料327の配向性が高くなると考えられる(図5参照)。
【0057】
なお、木質基材310の表面310bに光輝性塗料325を塗布した後、夏目部311の内部に光輝性塗料325を構成する水性クリア塗料(具体的には、IST 177シーラ)が吸収されてゆくので、夏目部311の表面311b上では、図8に示すように、光輝性塗料325の表面レベルがL1からL2にまで低下する。一方、冬目部313の内部には、水性クリア塗料(具体的には、IST 177シーラ)がほとんど吸収されないので、冬目部313の表面313b上では、光輝性塗料325の表面レベルがL1付近で維持される。
【0058】
その後、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量100mJ/cm2で光輝性塗料325に照射し、硬化させた。これにより、冬目部313上に位置する部位323のほうが、夏目部311上に位置する部位321に比べて、光輝性顔料327の配向性を相対的に高くされた光輝性塗膜320を形成することができる。この光輝性塗膜320では、夏目部311上に位置する部位321に比べて、冬目部313上に位置する部位323の発色(光輝)が強くなる。
従って、本実施形態3の製造方法によれば、パール感に加えて、木目に沿った光輝感が強調された表面の仕上がり外観を有する木質床材300を得ることができる。
【0059】
次いで、第1クリア塗膜形成工程において、光輝性塗膜320の表面320b上に、第1クリア塗膜330を形成する。具体的には、エアスプレ及びリバースカキトリロールコータを用いて、光輝性塗膜320の表面320b上に、紫外線硬化型の第1クリア塗料を、2.0g/(30cm)2塗布する。その後、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量100mJ/cm2で第1クリア塗料に照射し、硬化させて第1クリア塗膜330を形成した。なお、本実施例3では、第1クリア塗料として、IST 3041(ナトコ株式会社製,商品名)を用いている。
【0060】
次いで、第2クリア塗膜形成工程において、第1クリア塗膜330の表面330b上に、第1クリア塗膜340を形成する。具体的には、ナチュラルロールコータを用いて、第1クリア塗膜330の表面330bに、紫外線硬化型の第2クリア塗料を、1.5g/(30cm)2塗布する。その後、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量290mJ/cm2で第2クリア塗料に照射し、硬化させて第2クリア塗膜340を形成した。なお、本実施例3では、第2クリア塗料として、100重量部のクリア塗料に、60重量部の減摩剤を混合した塗料を使用した。減摩剤として、フジミインコーポレーテッド製の「WA400」(白色アルミナ粉末)を用い、クリア塗料として、IST 4211L(ナトコ株式会社製,商品名)を用いている。
【0061】
次いで、第3クリア塗膜形成工程において、第2クリア塗膜340の表面340b上に、第3クリア塗膜350を形成する。具体的には、まず、粗さ#320のペーパーを用いて、第2クリア塗膜340の表面340bを研磨する。その後、ナチュラルロールコータを用いて、第2クリア塗膜340の表面340bに、紫外線硬化型の第3クリア塗料を1.6g/(30cm)2塗布する。次いで、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量280mJ/cm2で第3クリア塗料に照射し、硬化させて第3クリア塗膜350を形成した。なお、第3クリア塗料として、IST 4211L(ナトコ株式会社製,商品名)を用いている。
【0062】
次いで、第4クリア塗膜形成工程において、第3クリア塗膜350の表面350b上に、第4クリア塗膜360を形成する。具体的には、まず、粗さ#400のペーパーを用いて、第3クリア塗膜350の表面350bを研磨する。その後、ナチュラルロールコータを用いて、第3クリア塗膜350の表面350bに、紫外線硬化型の第4クリア塗料を0.8g/(30cm)2塗布する。次いで、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量450mJ/cm2で第4クリア塗料に照射し、硬化させて第4クリア塗膜360を形成した。なお、第3クリア塗料として、IST 526(ナトコ株式会社製,商品名)を用いている。
以上のようにして、図3に示すような、木質床材300が完成する。
【0063】
(比較例)
本発明の実施例1〜3との比較のため、比較例として、従来の製造方法によって製造した木質床材10を用意した。なお、本比較例の木質床材10は、上述した実施例2の木質床材200と比較して、光輝性塗膜120に代えて、第1クリア塗膜12を形成した点が大きく異なっている。具体的には、本比較例の木質床材10は、木質基材110(実施例1,2と同様)と、その表面110b側に積層された第1クリア塗膜12、第2クリア塗膜13、及び第3クリア塗膜14とを備える木質床材である。
【0064】
本比較例の木質基材10は、次のように製造した。
まず、着色工程において、実施例1,2と同様にして、木質基材110の表面110b上に水性着色剤を塗布し、乾燥硬化させる。次いで、第1クリア塗膜形成工程に進み、第1クリア塗膜12を形成する。具体的には、まず、ナチュラルロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順でこれらの塗装機を用いて、紫外線硬化型の第1クリア塗料を、3.0g/(30cm)2塗布する。その後、UV乾燥機を用いて、紫外線ランプから発せられる紫外線を、積算光量200mJ/cm2で第3クリア塗料に照射し、硬化させて第1クリア塗膜12を形成した。なお、本比較例では、第1クリア塗料として、実施例1,2の光輝性塗料に含まれるクリア塗料と同じ、ナトコ株式会社製,商品名IST300を使用した。
【0065】
次いで、第2クリア塗膜形成工程に進み、第1クリア塗膜12の表面12b上に、ナチュラルロールコータを用いて、紫外線硬化型の第2クリア塗料を、3.0g/(30cm)2塗布した。その後、第1クリア塗膜形成工程と同様にして、この第2クリア塗料を硬化させて、第2クリア塗膜13を形成した。
なお、本比較例では、第2クリア塗料として、ナトコ株式会社製,商品名IST400を使用した。このIST400は、無溶剤系塗料で、ワニス成分としてエポキシアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)、及びEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー)を含有している。
【0066】
次いで、第3クリア塗膜形成工程に進み、第2クリア塗膜13の表面13b上に、ナチュラルロールコータを用いて、紫外線硬化型の第3クリア塗料を、3.0g/(30cm)2塗布した。その後、第1クリア塗膜形成工程と同様にして、この第3クリア塗料を硬化させて、第3クリア塗膜14を形成した。
なお、本比較例では、第3クリア塗料として、ナトコ株式会社製,商品名IST700を用いた。このIST700は、水分散系塗料で、ワニス成分としてポリウレタンアクリレート(オリゴマー)及びポリエステルアクリレート(オリゴマー)を含有している。
【0067】
次に、上述のようにして製造した、実施例1〜3の木質床材100〜300及び比較例の木質床材10について、表面の仕上がり外観を比較した。その結果を表1に示す。
【0068】
【表1】

【0069】
表1に示すように、比較例の木質床材10では、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観が得られなかった。これに対し、実施例1〜3の木質床材100〜300では、光輝感、パール感のある表面の仕上がり外観が得られた。
さらに、実施例1〜3の木質床材100〜300を比較すると、実施例1,2の木質床材100,200では、光輝感及びパール感が、表面全体にわたって均一であった。このため、実施例1,2の木質床材100,200では、表面の仕上がり外観が、木質感に欠けていた。
【0070】
これは、実施例1,2では、光輝性塗料として、無溶剤系クリア塗料に光輝性顔料を混合した光輝性塗料を使用したためと考えられる。具体的には、この光輝性塗料を木質基材110の表面110bに塗布すると、木質基材110の夏目部及び冬目部に拘わらず、木質基材110の内部に無溶剤系クリア塗料がほとんど吸収されない。このため、木質基材110の表面110bの全体にわたって、塗布した光輝性塗料に含まれている光輝性顔料の配向が乱れ難く、木質基材110の表面110の全体にわたって光輝性顔料の配向性が高くなると考えられる。これにより、実施例1,2の木質床材100,200では、表面全体にわたって均一に光輝感を有する表面の仕上がり外観になると考えられる。
【0071】
これに対し、実施例3の木質床材300では、パール感に加えて、表面の木目に沿って光輝感が強調された、木質感のある表面の仕上がり外観を有していた。これは、前述のように、実施例3では、光輝性塗料として、水性クリア塗料に光輝性顔料を混合した光輝性塗料325を使用することで、木質基材310の夏目部313上に比べて、冬目部313上にかかる光輝性顔料327の配向性を高くすることができたためと考えられる。
【0072】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例2では、光輝性塗膜120の表面120b上に、減摩剤入りの第1クリア塗膜230を形成した。しかしながら、これとは反対に、減摩剤入りの第1クリア塗膜230の表面230b上に、光輝性塗膜120を形成するようにしても良い。但し、この場合にも、光輝性塗膜120の表面120b上に第2クリア塗膜240を形成するのが好ましい。
【0073】
また、実施例1,2では、光輝性塗料(光輝性塗膜120を形成する塗料)に含まれるクリア塗料、第1クリア塗料(第1クリア塗膜230を形成する塗料)、及び第2クリア塗料(第2クリア塗膜240を形成する塗料)として、紫外線硬化型の塗料を用いた。しかし、紫外線硬化型の塗料に限らず、熱硬化型等いずれの硬化形態の塗料を用いるようにしても良い。
【0074】
また、実施例1〜3では、木質基材110,310の表面110b,310bに光輝性塗膜120,320等を形成して、木質床材100〜300を製造したが、さらに、木質基材110,310の裏面に、合板、WPC,プラスチック板等を貼り合わせるようにしても良い。
【0075】
また、実施例3では、水性クリア塗料(具体的には、IST 177シーラ)に光輝性顔料327を混合した光輝性塗料325を用いて、光輝性塗膜320を形成した。しかしながら、溶剤系クリア塗料に光輝性顔料327を混合した光輝性塗料を用いて光輝性塗膜を形成しても、パール感に加えて、木目に沿った光輝感が強調された表面の仕上がり外観を有する木質床材を製造することができる。ここで、溶剤系クリア塗料としては、例えば、硝化綿ラッカー(例えば、ラッカー MAクリヤー、ナトコ株式会社製,商品名)やウレタン塗料(例えば、セブン No.310シーラー、ナトコ株式会社製,商品名)などを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施例1にかかる木質床材100の断面図である。
【図2】実施例2にかかる木質床材200の断面図である。
【図3】実施例3にかかる木質床材300の断面図である。
【図4】実施例3にかかる木質基材310の斜視図である。
【図5】実施例3にかかる光輝性塗膜320の拡大断面図である。
【図6】実施例3にかかる木質基材310の拡大断面図であり、図4のB−B矢視拡大断面図に相当する。
【図7】実施例3にかかる木質床材300の製造方法を説明する説明図である。
【図8】実施例3にかかる木質床材300の製造方法を説明する説明図である。
【図9】比較例にかかる木質床材10の断面図である。
【符号の説明】
【0077】
100,200,300 木質床材
110,310 木質基材
110b,310b 木質基材の表面
120,320 光輝性塗膜
230,330 第1クリア塗膜
240,340 第2クリア塗膜
311 夏目部
313 冬目部
325 光輝性塗料
327 光輝性顔料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質基材と、
上記木質基材の表面側に位置する塗膜であって、光輝性顔料を含む光輝性塗膜と、を備える
木質床材。
【請求項2】
請求項1に記載の木質床材であって、
前記木質基材は、夏目部及び冬目部を有し、
前記光輝性塗膜は、上記木質基材の表面上に積層されてなり、
上記光輝性塗膜のうち、上記木質基材の上記冬目部上に位置する部位では、上記夏目部上に位置する部位に比べて、前記光輝性顔料の配向性が相対的に高くされてなる
木質床材。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の木質床材であって、
前記光輝性塗膜の表面側に、1または複数のクリア塗膜を備える
木質床材。
【請求項4】
請求項3に記載の木質床材であって、
前記1または複数のクリア塗膜のうち、少なくとも1つのクリア塗膜は、減摩剤を含んでなる
木質床材。
【請求項5】
木質床材の製造方法であって、
木質基材の表面側に、光輝性顔料を含む光輝性塗料を塗布し、これを硬化させて光輝性塗膜を形成する光輝性塗膜形成工程を備える
木質床材の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の木質床材の製造方法であって、
前記木質基材は、夏目部及び冬目部を有する木質基材であり、
前記光輝性塗料は、前記光輝性顔料を、水性クリア塗料または溶剤系クリア塗料に混合してなる光輝性塗料であり、
前記光輝性塗膜形成工程において、上記木質基材の表面に、上記光輝性塗料を塗布する
木質床材の製造方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の木質床材の製造方法であって、
前記光輝性塗膜形成工程の後、上記光輝性塗膜の表面側に、クリア塗料を塗布し、これを硬化させてクリア塗膜を形成するクリア塗膜形成工程を備える
木質床材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−138697(P2007−138697A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281174(P2006−281174)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(392007566)ナトコ株式会社 (42)
【Fターム(参考)】