説明

木質燃料燃焼装置

【課題】
木質ペレット燃料を供給する燃料タンク、または燃料燃焼後に発生する灰を収納する灰収集容器を屋外に配置して燃焼装置自体を小さく構成すると共に、室内での燃料供給や灰除去作業を行なう必要のない、室内環境を良好に保ちながら連続の燃焼を可能とする木質燃料燃焼装置を提供する。
【解決手段】
燃焼部と燃料タンク、又は燃焼部で発生した燃焼灰を収容する灰収集容器とを繋ぐそれぞれの搬送装置と、燃焼に利用される吸引風と、燃焼後の排気風を機外に排出するためのそれぞれのダクトを一体に構成して、室内と屋外の壁の貫通穴を一箇所とすることで燃焼装置の設置を容易にするよう構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスを燃焼燃料として使用する木質燃料燃焼装置の燃料搬送装置及び灰搬送装置と、強制的に燃焼部に吸引風を送り込む吸引筒と、燃焼風を機外に排出する排気筒の配置構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来では、ペレット化された固形燃料と燃焼空気を燃焼室に強制的に供給し、燃焼後の燃焼灰を燃焼室の底部に集積して、強制的に機外に燃焼灰を排出する構成の燃焼装置は特許文献1のように公知である。さらに特許文献2においても、燃焼装置の外部の燃料サイロから木質ペレット等の固形燃料を燃料供給スクリューで燃焼室に搬送して、燃焼室を移動しながら燃焼し、燃焼後の燃焼灰を一部の溝に集め、その後灰排出スクリューで外部に排出されるようになっている。
【0003】
また、木質ペレット燃料をホッパーから燃焼部のロストルまで搬送するスクリューコンベアとその搬送管の外周に送風管を備えた二重管構造にし、スクリューコンベアによって搬送管をロストル方向の燃焼部に強制的に供給すると共に、送風管でロストル部に燃焼空気を供給する燃焼室装置も特許文献3のように公知である。
【0004】
また、強制給排気式温風暖房機において、室内と屋外を仕切る壁を貫通する給排気のターミナルを二重筒形として、さらにその外部に室内と屋外を連通する換気通路を設けて、給排気ターミナルを三重筒形とした強制給排気式暖房機の給排気ターミナルも特許文献4のように公知である。
【0005】
【特許文献1】実開平3−30008号公報
【特許文献2】特開平8−14529号公報
【特許文献3】特開昭58−185708号公報
【特許文献4】実開昭58−83641号公報
【特許文献5】特開2004−138256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バイオマス燃料、例えば木質ペレット燃料を使用したストーブは特許文献5のように、燃焼室と燃料タンク及び燃焼灰を堆積させる灰ケースをペレットストーブ内に一体に構成しており、定期的な燃料タンクへの燃料補給と灰ケースに堆積した燃焼灰の除去を行う必要性が生じる。しかしながら、長時間連続して燃焼する燃焼装置や、燃焼量の多い燃焼装置等においては、その供給を長時間にわたって供給する必要があり、それなりの大きさの燃料タンクを必要とし、燃焼装置と一体に構成するのは困難であるため、燃焼室を室内にそして燃料タンクを室外に配置されることが必然である。さらに燃焼灰の排出においても、燃焼室の下方から搬送機を用いて屋外に排出することによって、連続の燃焼を可能とするほか、燃焼装置が配置されている室内の灰除去作業による、灰の飛散を防止することを可能とするものである。
【0007】
室内に燃焼装置を、そして屋外に燃料タンクを配置した場合には、それぞれを繋ぐ搬送装置を室内と屋外を仕切る壁を貫通して配置する必要が発生する。さらに燃焼室で発生する燃焼灰を屋外に排出する場合においても、燃焼室下方と屋外の灰収集容器を繋ぐ搬送装置を必要として、ここでも室内と屋外を隔てる壁を貫通させる必要性が生じるものである。
【0008】
前記特許文献3のように燃料を燃焼部まで搬送する搬送管と、燃焼部に燃焼空気を供給する送風管とで二重管構造にしたものにおいては、燃焼作用における供給についての室内と屋外を仕切る壁の貫通一つにまとめことが出来る効果は有するものの、燃焼風の排気管や灰の除去における排出装置への壁の貫通の必要性が発生するものである。従来からFF暖房機の給排気管を二重管構造として壁の貫通箇所を一つで行われている特許文献4のように実施されているが、燃焼燃料の供給について室外から連続で、しかも壁への貫通穴の配置を極力抑えた燃料の供給方法が実施されてはいない。
【0009】
そこで本発明では、室内に設置された燃焼部とその燃料を保管する燃料タンク及び、燃料燃焼後に発生する灰を収納する灰収集容器を屋外に配置して、室内での燃料供給と灰除去作業の廃止によって、室内の粉塵発生を防止して、室内環境を良好にすると共に、燃焼部への吸気管や燃料供給搬送装置と、燃焼後の燃焼風の排気管や灰除去管を一体に構成して、室内と屋外を隔てる壁の貫通穴を一箇にすることによって、燃焼装置の設置及び配管作業を容易に行える木質燃料燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明は、請求項1ないし請求項4記載の木質燃料燃焼装置を提案するものである。
【0011】
即ち、請求項1記載の木質燃料燃焼装置は、バイオマスを燃料とした木質燃料燃焼装置であって、燃料タンク内のバイオマス燃料を燃焼室に燃料搬送装置によって供給し、木質燃料燃焼装置外部から強制的に吸引した吸引風によって燃焼部でバイオマス燃料を燃焼させ、熱交換部を流通してから機外に燃焼風を排気する木質燃料燃焼装置において、燃焼部に燃料を供給するための燃料搬送装置と、外気を吸引する吸引筒と燃焼風を機外に排気する排気筒とを一体に構成したターミナルを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項2記載の木質燃料燃焼装置は、バイオマスを燃料とした木質燃料燃焼装置であって、燃料タンク内のバイオマス燃料を燃焼室に燃料搬送装置によって供給し、木質燃料燃焼装置外部から強制的に吸引した吸引風によって燃焼部でバイオマス燃料を燃焼させ、熱交換部を流通してから機外に燃焼風を排気し、燃焼部で発生した燃焼灰を機外に排出する灰搬送装置を備える木質燃料燃焼装置において、燃焼部に燃料を供給するための燃料搬送装置と終端に灰収集容器を備える灰搬送装置を隣接して配置し、それらの装置には、外気を吸引する吸引筒と燃焼風を機外に排気する排気筒とを一体に構成したターミナルを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項3記載の木質燃料燃焼装置は、請求項1又は請求項2記載の木質燃料燃焼装置において、燃料搬送装置又は、燃料搬送装置と灰搬送装置とを隣接して、それらに吸引筒と排気筒を一体に構成したターミナルは、室内と屋外を仕切る壁を貫通して、燃焼部を室内に、そして燃料タンク及び灰収集容器を屋外に備えたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項4記載の木質燃料燃焼装置は、請求項1、2又は請求項3記載の木質燃料燃焼装置において、木質燃料燃焼装置は、燃焼部で発生した燃焼風を、熱交換部で室内を強制的に循環する室内の空気と熱交換を行う、木質ペレットストーブであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
室内に設置された燃焼部と、その燃料を供給する燃料タンク、または燃料燃焼後に発生する灰を収納する灰収集容器を屋外に配置するので、燃焼部を有する室内の燃焼装置自体を小さく構成するにもかかわらず、作業者の燃料供給や灰除去作業を行なうことなく連続の燃焼を可能とする。さらに燃料供給と灰除去作業を室内で行わないので室内の環境を良好に保つ効果を有する。
【0016】
燃焼部と燃料タンク、又は燃焼部で発生した燃焼灰を収容する灰収集容器とを繋ぐそれぞれの搬送装置と、燃焼に利用される吸引風と、燃焼後の排気風を機外に排出するためのそれぞれのダクトを一体に構成して室内と屋外の壁の貫通穴を一箇所とすることが出来るので、燃焼装置の設置を容易に行うことが出来る効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の木質燃料燃焼装置の実施例として、木質バイオマスをペレットに成形して燃焼燃料とする、木質ペレットストーブについて以下の説明を行う。
【0018】
図1は従来の木質ペレットストーブの側面断面図である。図2は本発明の第一の実施の形態を示す木質ペレットストーブの側面断面図である。図3は図2の第一の実施の形態のターミナル部の断面図、図4は本発明の第二の実施の形態を示す木質ペレットストーブの側面断面図、図5は図4の第二の実施の形態のターミナル部の断面図、図6は本発明の第一の実施の形態の他例を示すターミナル部の断面図、図7は本発明の第二の実施の形態の他例を示すターミナル部の断面図である。
【0019】
図1の1は木質のペレットを燃焼燃料とする木質ペレットストーブである。木質のペレットとは、木材を均一な粒子サイズに粉砕して、水分含有率を約11%に乾燥し、成形機で直径φ6〜8mm、長さ10〜15mm程度の円筒状に成形固化されたものである。
【0020】
図1の木質ペレットストーブ1は、屋根9、壁10及び床11で囲まれた室内に設置され、木質ペレットを燃焼させる燃焼部2とその上方の燃焼室3に備えられた熱交換部4と、燃焼部2に燃料を供給する燃料供給装置12と、燃焼風を機外に排出して外気を燃焼部2に供給すための吸引ファン13で構成されている。
【0021】
燃焼部2には木質ペレット燃料の点火装置が備えられ、吸引ファン13の動作によって生じる吸引風の一部を、ヒータ14を備える筒に流通させ、ヒータ14の発熱によって着火温度まで加熱した空気が燃焼部2の木質ペレット燃料に供給されて点火するようになっている。燃焼部2では燃料タンク7から供給される木質ペレット燃料を燃焼皿15内で燃焼させるが、この燃焼皿15は前後若しくは左右の方向に木質ペレット燃料が下方に落下しない程度の幅を有するスリットを複数、燃焼皿15の燃料が溜まる面全に設けられていている。底面のスリットには木質ペレット燃料が燃焼後に若干発生する固着灰等を燃焼皿15上から取除くための灰除去手段16が備えられているとよく、図1に示す灰除去手段16は回転体の軸に薄板を取り付け、燃焼皿15のスリットをその薄板が通過することで、固着又は堆積した灰を掻き出し、下方の灰容器23に落下させる構造になっている。
【0022】
燃焼部2の上方には耐熱ガラス等で構成された覗き窓17が部屋の中央方向の面に備えられ、その覗き窓17のさらに上方に、熱交換部4が備えられている。この熱交換部4は燃焼室3を前後に縦断する筒状の複数の放熱管24と、室内空気を放熱管24に供給する循環ファン5からなり、室内空気を循環ファン5によって放熱管24の内側に供給して加熱し、その後室内に放出して室内空気を循環させながら温める方式のものである。
【0023】
吸引ファン13によって、吸引筒20の外気取り入れ口19から吸引された屋外空気は、その一部が木質ペレット燃料の着火用のヒータ14付近を通過するほかは燃焼皿15を通過し、木質ペレット燃料の燃焼用の空気として利用され燃焼風として、燃焼室を上昇し熱交換部4を通過して、吸引ファン13から排気筒21を通過して、排気口22から屋外に放出される。
【0024】
木質ペレット燃料は、燃料タンク7から燃料供給装置12によって燃焼部2の燃焼皿15に供給されて燃焼し、燃焼後の燃焼灰は燃焼皿15のスリットから落下して、灰容器23に堆積する。若干の粒子の細かい燃焼灰の一部は、燃焼風に乗って燃焼室3を上昇し、吸引ファン13を通過して排気筒21の排気口22から屋外に排出される場合もある。
【0025】
木質ペレットストーブは、熱交換部4から室内に供給する熱量を調整するために、木質ペレット燃料の燃焼部への供給の量をいくつかの段階に変更できるようになっており、その方法は燃料供給装置12の回転の強弱や、燃料供給装置12の稼動と停止の時間の調節等で燃料タンク7からの燃料の供給を調節して制御されているものである。なお、吸引風の量も燃料の供給量に応じて、最適に燃焼を促す風量を自動的に調節する方式となっている。
【実施例1】
【0026】
図2に示す木質ペレットストーブ25は、本発明の第一の実施の形態を示したものであって、燃料タンク27を木質ペレットストーブ本体から屋外に配置して、燃料の燃料搬送装置26、吸引筒20及び排気筒21を一体にしたターミナル6として構成したものである。
【0027】
燃料タンク27の底部には燃料搬送装置26が備えられており、燃料タンク27の底面は燃料搬送装置26の入口に向かって傾斜し、タンク内のペレット燃料の全量が燃料搬送装置26内に投入されるようになっている。さらに、タンク上端は木質ペレット燃料を投入する投入口が開口していて、ペレット燃料をタンク内に補給する時のみ開口できるようになっている。燃料タンク内には大量の木質ペレット燃料を収納できる大きさであるので、その重量を支えるための脚8が供えられて、燃料タンク27自体で自立しているものである。なお、脚8はその高さをそれぞれの脚が微調整できるようになっているものである。
【0028】
燃料タンク27の底部に備えられた燃料搬送装置26はスクリューコンベア28であって、モータ30の回転によってスクリューコンベア28の螺旋が回転し、その螺旋の外周を間隔を保って円柱状の搬送管29がその始端を燃料タンク27底部から木質ペレットストーブ25の内部まで達し、その終端では燃焼部2にペレット燃料を供給するようになっている。
【0029】
図3に示すように、スクリューコンベア28と搬送管29からなる燃料搬送装置26は、屋外の空気を吸引し、燃焼部へ流通させるための吸気空間31をなした吸引筒20の内部に配置され、吸引筒20は、木質ペレット燃料の燃焼後の燃焼風が吸引ファン13によって屋外に送り出すための排気空間32をなした排気筒21の内部に配置されており、外部から排気筒21、その内部に吸引筒20、又その内部に燃料搬送装置26の順にした三重筒構造のターミナル6を形成している。
【0030】
ターミナル6の吸引部、即ち吸引筒20の外気取り入れ口19は燃料タンク27の下端か、燃料タンク27に達しない部位に形成され、ターミナル6の排気部、即ち排気筒21の排気口22は、外気取り入れ口19に達しない場所で開口されており、排気口22から排出される燃焼風が、外気取り入れ口19から再度吸引されないように排気口22と外気取り入れ口19は距離を置いて設けられると良く、さらに外気取り入れ口19には吸引筒20と略垂直に仕切板18を備えているとよい。
【0031】
ターミナル6は木質ペレットストーブ25の内部より、外側から排気筒21、吸引筒20、燃料搬送装置26の三重筒構造となっているが、燃料タンク27に近づくにしたがって、排気口22を排気筒21の終端としてその以後は、外側から吸引筒20、燃料搬送装置26の二重筒構造となり、さらに外気取り入れ口19を吸引筒20の終端としてその以後は、燃料搬送装置26の一重の筒構造即ち搬送管29だけとなって燃料タンク27の下端に接続されているものである。
【0032】
ターミナル6は壁10を貫通し、ターミナル6の外周面(排気筒21の外周)は壁10と断熱材等を利用して隙間無く接しているものであって、図示はしていないが、ターミナル6はその長さを伸縮自在であるとよい。
【0033】
燃料タンク27の木質ペレット燃料は、木質ペレットストーブ25の稼動によって、モータ30が動作して燃料搬送装置26のスクリューコンベア28でペレット燃料を木質ペレットストーブ25方向に搬送を開始する。木質ペレットストーブ25内に達した木質ペレット燃料は、燃料搬送装置26の終端から燃焼部2の燃焼皿15内に定量的に木質ペレット燃料が供給される。この燃料供給動作と共に、吸引ファン13が作動してターミナル6を構成する吸引筒20の外気取り入れ口19から吸引された外気が流入し、燃焼部2の燃焼皿15のスリットを通過して燃焼風として利用される。この吸引風の一部はヒータ14を備える筒内を通過し、ヒータ14を加熱することでヒータ14付近を通過する吸引風を木質ペレットが着火する温度(約250℃以上)にまで上げ、その高温風を木質ペレット燃料に当てることで燃料の着火を行うようになっている。
【0034】
燃焼皿15上で燃焼した木質ペレット燃料の燃焼灰はそのスリットから落下し、灰容器23に堆積する。そして燃焼風は燃焼室3を上昇し熱交換部4で放熱管24内を循環ファン5によって流通する室内風と熱交換をして吸引ファン13を通過し、ターミナル6を構成する排気筒21内を流通して排気口22から屋外に排出される。
【0035】
ターミナル6の中央部の燃料搬送装置26では、搬送管29内のスクリューコンベア28の回転によって木質ペレット燃料の搬送が行われているが、搬送管29の外周と吸引筒20までの空間を吸気空間31として、そして吸引筒20の外周から排気筒21までの空間を排気空間32としていることで、高温の燃焼風が流通する排気空間32の熱が吸引筒20に伝達して、吸気空間31の吸引風が温められるので、燃焼部での燃焼を良好に行うことが出来るほか、排気空間32の高温熱を搬送管29内の木質ペレット燃料まで伝熱することを吸気空間31を流通する吸引風によって妨げられるので、木質ペレット燃料への火災の心配の必要がない木質ペレット燃料の燃料搬送装置を提供できるほか、前記燃料搬送装置26と、燃焼に必要な外気の吸引筒と、燃焼後の排気を屋外に排気する排気筒を一体化したターミナル6を構成したので、木質燃料燃焼装置の配管工事を行う場合に、壁10を貫通する穴を一箇所にすることが出来るので、設置工事を容易に行うことが出来る木質燃料燃焼装置を提供することを可能としたものである。
【実施例2】
【0036】
図4に示す木質ペレットストーブ34は、本発明の第二の実施の形態を示したものであって、燃料タンク27と灰収集容器37を、木質ペレットストーブ本体から屋外に配置して、燃料の燃料搬送装置26と燃焼灰を排出する灰搬送装置33、吸引筒20及び排気筒21を一体にしたターミナル35として構成したものである。
【0037】
燃料タンク27の底部には燃料搬送装置26と灰搬送装置33が備えられており、燃料タンク27の底面は燃料搬送装置26の入口に向かって傾斜し、タンク内のペレット燃料の全量が燃料搬送装置26内に投入されるようになっている。さらに、タンク上端は木質ペレット燃料を投入する投入口が開口していて、ペレット燃料をタンク内に補給する時のみ開口できるようになっている。燃料タンク内には大量の木質ペレット燃料を収納できる大きさであるので、その重量を支えるための脚8が供えられて、燃料タンク27自体で自立しているものである。なお、脚8はその高さをそれぞれの脚が微調整できるようになっているものである。
【0038】
燃料タンク27の底部に備えられた燃料搬送装置26はスクリューコンベア28であって、モータ30の回転によってスクリューコンベア28の螺旋が回転し、その螺旋の外周を間隔を保って円柱状の搬送管29がその始端を燃料タンク27底部から木質ペレットストーブ25の内部まで達し、その終端は燃焼部2にペレット燃料を供給するようになっている。図4では燃料搬送装置26の終端には、さらに燃料を上昇させて燃焼部2に供給する搬送装置を備えていて、燃焼部2に距離を置いて燃料を自由落下させることが出来るものである。
【0039】
燃料搬送装置26の下方または側方には灰搬送装置33が備えられている。この灰搬送装置26はスクリューコンベア28とその外周を間隔を保って円柱状の搬送管29から構成されている。そして灰搬送装置26の始端となる木質ペレットストーブ34の内部の燃焼部2の下方では、燃焼皿15上で燃焼し、燃焼皿15のスリットから落下した灰または灰除去手段16の稼動によって燃焼皿15から落下する灰を搬送管29に開口した灰投入口38から灰搬送装置33内に投入されるようになっており、灰搬送装置33の終端の搬送管29には灰を外部に落下させるための灰排出口35が備えられている。
【0040】
この灰搬送装置33もモータ30の回転によってスクリューコンベア28の螺旋が回転し、燃焼皿15から落下する灰を木質ペレットストーブの内部から灰搬送装置33の搬送管29に備えられた灰排出口35方向に移動し、灰収集容器37内落下して灰36が集積される。
【0041】
図5に示すように、スクリューコンベア28と搬送管29からなる燃料搬送装置26と灰搬送装置33の外周は、屋外の空気を吸引し燃焼部へ流通させるための吸引空間31をなした吸引筒20で囲われている。そして吸引筒20の外周は木質ペレット燃料の燃焼後の燃焼風が吸引ファン13によって屋外に排出するための排気空間32をなした排気筒21に囲まれて構成され、排気筒21の内部に吸引筒20、そしてその内部に燃料搬送装置26と灰搬送装置33の搬送管29の順にそれぞれを備えて一つの管として構成したターミナル39を形成している。
【0042】
ターミナル39の吸引筒20の外気取り入れ口19は燃料タンク27の下端か、燃料タンク27に達しない部位、そして灰搬送装置33の灰排出口35から排出される灰36が外気取り入れ口19から吸引されないようにある程度距離を持って設けられている。ターミナル39の排気部となる排気筒21の排気口22は、外気取り入れ口19に達しない場所で開口されていて排気口22から排出される燃焼風が、外気取り入れ口19から再度吸引されないように仕切板18を備えているとよい。
【0043】
ターミナル39は木質ペレットストーブ34の内部より、外側から排気筒21、吸引筒20の順に配置され、さらに吸引筒20の内部には燃料搬送装置26と灰搬送装置33の搬送管29が隣接して備えられた三重筒構造となっている。そして燃料タンク27と灰収集容器37に近づくにしたがって、排気口22によって排気筒21は終端を向かえ、それ以後は吸引筒20と搬送管29の二重筒構造となり、さらに外気取り入れ口19を吸引筒20の終端としてそれ以後は、燃料搬送装置26と灰搬送装置33の搬送管29だけとなって、燃料搬送装置26は燃料タンクの下端と接続され、灰搬送装置33はその終端付近に開口された灰排出口35が灰収集容器37に臨むように配置されている。
【0044】
ターミナル39は壁10を貫通し、ターミナル39の外周面(排気筒21の外周)は壁10と断熱材等で隙間無く接しているものであって、図示はしていないが、ターミナル39はその長さを伸縮自在であるとよい。
【0045】
燃料タンク27の木質ペレット燃料は、木質ペレットストーブ34の稼動によって、モータ30が動作し、燃料搬送装置26のスクリューコンベア28でペレット燃料を木質ペレットストーブ34方向に搬送を開始する。木質ペレットストーブ34内に達したペレット燃料は、燃料搬送装置26の終端から燃焼部2の燃焼皿15内に定量的にペレット燃料が供給される。この燃料供給動作と共に灰搬送装置33のモータ30も作動して灰搬送装置33を動作させ、さらに吸引ファン13が作動してターミナル39を構成する吸引筒20の外気取り入れ口19から外気が吸引され、吸引筒20内をペレットストーブ方向に導かれる。そして燃焼部2の燃焼皿15のスリットを通過して燃焼風として利用される。この吸引される外気の一部はヒータ14を備える筒内を通過し、ヒータ14を加熱することでその付近を通過する吸引風を木質ペレットが燃焼する温度にまで上昇させ、その高温の風で木質ペレット燃料に着火をおこなうようになっている。
【0046】
燃焼室2で発生した燃焼風は、熱交換部4で循環ファン5によって放熱管24内を循環する室内の空気と熱交換した後、吸引ファン13によって吸引され、吸引ファン13を通過してターミナル39を構成する排気筒21を流通して排気口22から屋外に排出される。また燃焼皿15上で燃焼した木質ペレット燃料の燃焼灰は、そのスリットから落下し灰搬送装置33の灰投入口38から搬送管29内に進入し、スクリューコンベア28によって屋外方向に搬送され、灰排出口35から灰収集容器37内に排出される。
【0047】
ターミナル39の燃料搬送装置26と灰搬送装置33は吸引空間31内に若干の距離を置いて設けられているので、灰搬送装置33内を移動する燃焼後の高温の灰であっても、灰搬送装置33付近を通過する吸引風が温められるものの、常に新たな外気が吸引空間31を吸引されているので、灰搬送装置33の搬送管29から燃料搬送装置26内の木質ペレット燃料を加熱する伝熱性が極めて低いものである。さらに、燃料搬送装置26と灰搬送装置33は吸引筒20からも距離を設けて備えられているので、排気空間32を流通する燃焼風によって吸引筒20が過熱されても、吸引空間31を流通する外気によってその伝熱性は極めて低くなり、灰搬送装置33内を搬送される灰36自体の温度を低下させることが出来るほか、燃料搬送装置26内を移動するペレット燃料の加熱を防止することが出来るものである。
【0048】
以上のように、燃料搬送装置26、灰搬送装置33、吸引空間31及び排気空間32をそれぞれの搬送管29及び吸引筒20、排気筒21で仕切って一体に構成するターミナル39を構成することによって、木質ペレットストーブの配管工事を行う場合に、壁10の貫通穴を一箇所にすることが出来るので、設置工事を容易に行うことが出来る木質燃料燃焼装置を提供することを可能としている。
【0049】
図6は実施例1に示す本発明の第一の形態の他例を示した、ターミナル40の断面を表したものである。ターミナル40以外の構成は実施例1と同様であるが、ターミナル40では燃料搬送装置26の搬送管29と排気筒21を、吸引筒20内の吸気空間31に多少の距離を設けて上下若しくは左右に、そして搬送管29と排気筒21は吸引筒20に接しない状態で二重筒構造として配置したものである。
【0050】
排気筒21内の排気空間32を流通する高温の燃焼風は排気筒21を加熱しながら流通していくが、吸引筒20内を吸引される外気によって、排気筒21からの吸引空間31への放熱が行われても常に外気が流通しているので、燃料搬送装置26や吸引筒20の加熱を防止することが出来るターミナル40を提供することが出来る。このターミナル40は燃料搬送装置26と排気筒21と吸気管20を一体に構成しているので、従前の実施例と同様に木質ペレットストーブの配管による壁の穴を一箇所にすることが出来るので、設置作業を容易に行うことが出来るものである。そして、ターミナル40の外周が吸引筒20であるので、壁10との接触部の耐熱を考慮する必要がないので容易に配管作業を行うことが出来る。
【0051】
図7は実施例2に示す本発明の第二の実施の形態の他例を示した、ターミナル41の断面を表した断面図である。ターミナル41以外の構造は実施例2と同様であるが、ターミナル41では、燃料搬送装置26と灰搬送装置33と排気筒21を、吸引筒20内の吸気空間31に多少の距離を設けて上下又は左右に、そしてそれぞれの搬送管29と排気筒21も吸引管20と接しない状態で二重筒構造のターミナル41を成している。
【0052】
排気筒21内を流通する高温の燃焼風は排気筒21を加熱しながら流通し、そして灰搬送装置33を移動する高温の燃焼灰も灰搬送装置33の搬送管29を加熱しながら灰の排出口方向に移動していくが、吸引筒20内を吸引される外気によって、排気筒21と灰搬送装置33の搬送管29からの吸引空間31への放熱が行われても常に外気が流通しているので、燃料搬送装置26や吸引筒20の加熱を防止することが出来るターミナル41を提供することが出来る。このターミナル41は燃料搬送装置26と灰搬送装置33と排気筒21と吸気管20を一体に構成しているので、従前の実施例と同様に木質ペレットストーブの配管による壁の穴を一箇所にすることが出来るので、設置作業を容易に行うことが出来るものである。そして、ターミナル40の外周が吸引筒20であるので、壁10との接触部の耐熱を考慮する必要がないので容易に配管作業を行うことが出来る。
【0053】
以上のように、燃料タンク又は灰の集積部を屋外に備え、燃料搬送装置や灰搬送装置、吸引筒及び排気筒を一体に構成したターミナルを有する木質ペレットストーブの構成は、木質ペレットのボイラーや、木質ペレット給湯器等の木質燃料を利用する燃焼器に応用が可能であって、屋外に設置する燃料タンクや灰収集容器の容量を大きくすることによって、長時間の燃焼を可能とするほか、燃焼器を設置した室内での燃料供給と灰の除去作業を必要としないので、燃焼器を設置した室内の環境を良好に保つことを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】従来の木質ペレットストーブの側面断面図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態を示す木質ペレットストーブの側面断面図である。
【図3】図2の第一の実施の形態のターミナル部の断面図である。
【図4】本発明の第二の実施の形態を示す木質ペレットストーブの側面断面図である。
【図5】図4の第二の実施の形態のターミナル部の断面図である。
【図6】本発明の第一の実施の形態の他例を示すターミナル部の断面図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態の他例を示すターミナル部の断面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 木質ペレットストーブ
2 燃焼部
3 燃焼室
4 熱交換部
5 循環ファン
6 ターミナル
7 燃料タンク
8 脚
9 屋根
10 壁
11 床
12 燃料供給装置
13 吸引ファン
14 ヒータ
15 燃焼皿
16 灰除去手段
17 覗き窓
18 仕切板
19 外気取り入れ口
20 吸引筒
21 排気筒
22 排気口
23 灰容器
24 放熱管
25 木質ペレットストーブ
26 燃料搬送装置
27 燃料タンク
28 スクリューコンベア
29 搬送管
30 モータ
31 吸気空間
32 排気空間
33 灰搬送装置
34 木質ペレットストーブ
35 灰排出口
36 灰
37 灰収集容器
38 灰投入口
39 ターミナル
40 ターミナル
41 ターミナル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスを燃料とした木質燃料燃焼装置であって、燃料タンク内のバイオマス燃料を燃焼室に燃料搬送装置によって供給し、木質燃料燃焼装置外部から強制的に吸引した吸引風によって燃焼部でバイオマス燃料を燃焼させ、熱交換部を流通してから機外に燃焼風を排気する木質燃料燃焼装置において、
燃焼部に燃料を供給するための燃料搬送装置と、外気を吸引する吸引筒と燃焼風を機外に排気する排気筒とを一体に構成したターミナルを備えたことを特徴とする、木質燃料燃焼装置。
【請求項2】
バイオマスを燃料とした木質燃料燃焼装置であって、燃料タンク内のバイオマス燃料を燃焼室に燃料搬送装置によって供給し、木質燃料燃焼装置外部から強制的に吸引した吸引風によって燃焼部でバイオマス燃料を燃焼させ、熱交換部を流通してから機外に燃焼風を排気し、燃焼部で発生した燃焼灰を機外に排出する灰搬送装置を備える木質燃料燃焼装置において、
燃焼部に燃料を供給するための燃料搬送装置と終端に灰収集容器を備える灰搬送装置を隣接して配置し、それらの装置には、外気を吸引する吸引筒と燃焼風を機外に排気する排気筒とを一体に構成したターミナルを備えたことを特徴とする、木質燃料燃焼装置。
【請求項3】
燃料搬送装置又は、燃料搬送装置と灰搬送装置とを隣接して、それらに吸引筒と排気筒を一体に構成したターミナルは、室内と屋外を仕切る壁を貫通して、燃焼部を室内に、そして燃料タンク及び灰収集容器を屋外に備えたことを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の、木質燃料燃焼装置。
【請求項4】
木質燃料燃焼装置は、燃焼部で発生した燃焼風を、熱交換部で室内を強制的に循環する室内の空気と熱交換を行う、木質ペレットストーブであることを特徴とする、請求項1、2又は請求項3記載の、木質燃料燃焼装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32357(P2008−32357A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208590(P2006−208590)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000001465)金子農機株式会社 (53)
【Fターム(参考)】