説明

未使用時積重ね可能な箱

【課題】従来、紙箱は、直方体又は立方体状をしているため、積重ねできず、箱を作ってから使用するまでの間、保管・運搬等に多大な空間を必要とし、無駄をしていた。本発明の課題は、これらの問題点を解決し、テーパー状の箱で、保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角の箱にでき、外観が従来の組立て式箱と変らないか、変っても少しで、違和感の余りないものを提供することである。
【解決手段】隣接する側板20,20の端部のどちらか一方に細い扇形をしたテーパー形成片60を設け、これに続けて、連結片30を設け、他方に連結受片40を設ける。前記連結片30と連結受片40とが互いに接触又は、接近した状態で移動し、所定の位置に達すると、箱材料の弾性により、元に戻らなくする連結手段を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未使用時に積重ね可能な箱に関する。詳しくは、未使用時にはテーパー状故、積重ね可能なため、積重ねて保管・運搬ができ、使用直前に容易に通常の角(かど)が直角な箱にできる箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙箱は、直方体又は立方体状をしているため積重ねができず、箱を作ってから使用するまでの間、保管(在庫)、運搬時等に多大な空間を必要とし、無駄をしていた。これの対策として、従来、大別して、2つの方策が採られていた。1つは、例えば、実開平6‐42650号公報に示すように、組立て前の平らな状態で、保管、運搬をして、使用直前に箱に組立てる。この他にも使用直前に箱に組立てるものは、現在一般に菓子箱等に、多数使用されている。2つは、例えば、実開昭63‐74419号公報に示すように、テーパー状の箱を組立て、積重ねた状態で、保管、運搬をし、使用直前に一手間加えて、角を直角にして、通常の箱にするものである。テーパー状の箱から通常の箱に変える手段は、側板の端部に三角形の二次折込片を介して、設けた一次折込片状の係止突片を側板上に設けた係止切欠に掛けるものである。
【0003】
しかし、上記2つ目のテーパー状で積重ね可能な箱には、次のような問題点があった。即ち、側板の内面には、係止片が目立ち外観上違和感を与え、又、折込空間を作るためには、側板の先端にある糊代片に接着剤をつけて底板と接着させるか、側板とその内面である折返板とを接着しなければならないという余分な工程が必要である。
【0004】
テーパー状とは、本来の意味は、円錐状をいうが本明細書では、逆四角錐台状をいう。即ち、長方形又は正方形広くは平行四辺形の底板10から、各側板20(外側板21と内側板22とを合せて側板20とする。)が開口部(蓋部)に向かって広がった状態をいう。
【0005】
この明細書で使用とは、角を直角に整形後、箱の中に商品等を入れて、保管・運搬・販売等をすることをいう。未使用とは、テーパー状に箱を整形後、箱の中に何も入っていない状態をいう。
【0006】
従来、隣接する側板20に、連結片30や連結受片40等の互いを連結するものを設けた積重ね可能な箱は、なかった。
【0007】
特許文献1のものは、所要の形状に裁断し、所要の位置に折線、切込、ミシン目を形成したシートを製函機により、折曲、接着して、中間製品を作製し、平らな状態で、保管、運搬して、使用直前に組立てて、使用する組立紙器である。
【0008】
特許文献2のものは、予めテーパー状態の箱を作り、積重ねた状態で、保管、運搬し、使用直前に、テーパー状の側板を押えて、角が直角の通常の箱にするものである。但し、上記のように、外観上と工程上との点で、問題があった。
【特許文献1】実開平6‐42650号「組立紙器」公報
【特許文献2】実開昭63‐74419号「包装用箱」公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術では、保管・運搬時の空間ロス対策として、平らな状態の中間製品で、保管・運搬し、使用直前に通常の箱に組立てるものは、上記特許文献1以外にも多数のものがあり、実によくできてはいるが、箱に組立てるには、ワンタッチというほど簡単ではなく、指先の器用さやある程度の時間が必要であった。
【0010】
テーパー状の箱を積重ねた状態で保管・運搬するものは、合理的であるが、外観上に従来の箱とは異なる点があるのは、箱の内面とはいえ、商品等の中身を取ると、目立つので、問題であり、又、製造工程が複雑なのも問題である。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、これらの問題点を解決し、テ−パー状の箱で保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式箱と変らないもの、変わっても少しで、違和感の余りないものを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、テーパー状で保管・運搬等をして、使用直前に角が直角の箱に整形するのを特徴とする。
【0013】
請求項1に係る未使用時積重ね可能な箱は、長方形又は正方形の底板10の互いに向き合う、少なくとも1対の辺12,12に、長方形の外側板21と下記固定手段を備えた長方形の内側板22とからなる二重の側板20を設け、前記固定手段とは、内側板22の端部に設けた固定突起221と底板10の対応箇所に設けた固定孔101、側板押片23、接着等からなり・他の1対の互いに向き合う辺11,11に、長方形の一重又は二重の側板20を設け・隣接する側板20,20の端部のどちらか一方に細い扇形をしたテーパー形成片60を折れ曲り可能に設け、これに続けて扇形の連結片30を折れ曲り可能に設け、他方に連結受片40を折れ曲り可能に設け・前記連結片30と前記連結受片40とが互いに接触又は接近した状態で移動し、所定の位置に達すると、箱材料の弾性により、元に戻らなくする連結手段を設けたものである。
【0014】
形成とは、形作ることを言う。整形とは、形を整える意味で整形とした。テーパー状の箱は、いわば仮の姿で、直方体状の箱が真の姿と考えて、仮の箱を真の箱に形を整える意味で整形とした。
【0015】
テーパー形成片60は、より正確には、テーパー状態形成片と呼ぶべきもので、テーパー状態の箱を形成するためのものである。細い扇形は、夾角の小さい扇形の意味である。扇形でなくても夾角が同じ三角形でもよい。夾角が小さいので、円弧か直線かは、問題ではない。この夾角がテーパー状態の開き具合を決める。折れ曲り可能に設けるのは、箱がテーパー状から角が直角に整形される際に、境界部が折れ曲った状態から真直ぐな状態になる必要があるためである。その外に、平板状の紙から箱を作るには、いろいろ折り曲げねばならない。なお、図面の展開図で点線で示す箇所は、全て折れ曲り可能である。
【0016】
連結片30が扇形なのは、テーパー形成片60を介してつながっている、側板20が底板10の1辺を回転軸として、左右に回転可能にするためである。連結片30が、外側板21と内側板22とに挟まれているためである。側板20の高さを半径とする扇形が最大の大きさで、これよりも小であれば、他の形状でもよい。連結受片40は、側板20に折り重ねた状態で使用するので、扇形の必要はない。
【0017】
少なくとも1対の辺に二重の側板20が必要なのは、連結片30と連結受片40とが重なるか接近した状態で、外側板21と内側板22との間に挟まれる必要があるためである。補助片50を設ける場合いは、補助片50はこの2枚の側板に挟まれる必要がある。連結片30等を外部から隠す意味もある。内側板22に固定手段が必要なのは、連結片30等を挟んだ状態に保つためである。他の1対の辺は、一重でもよい。
【0018】
内側板22の固定手段は、通常、側板押辺23を利用する。連結片30や連結受片40等を挟んだ内側板22の外側に側板押辺23を設け、テーパー状の箱に組立てた際、両脇の内側板22に設けた側板押片23の下にもぐらせる。又は側板押片23の両脇に鋸歯突起231や小突起232を設けて、隣接する内側板22の相当する位置に固定孔201を開けて、これらの突起をはめて、固定する。後記実施例で説明する。又は内側板22の外側に固定突起221を設け、底板10のこの内側板22を設けた辺の固定突起221に相当する位置に固定孔101を開けて、この固定突起221をはめて固定する。又は接着剤で固定してもよい。接着剤使用の場合は、側板押片23を用いずに内側板22を直接外側板21に固定してもよい。側板押片23を接着剤で固定してもよい。
【0019】
連結とは、連結片30と連結受片40とが互いに接触又は接近した状態で、位置を変え、所定の位置に達すると、箱材料の弾性により、元に戻れなくなることをいう。位置を変えることを移動という。本発明の場合、所定の位置に到達とは、テーパー状の側板20が押されて、直角になることである。
【0020】
連結片30と連結受片40とは、互いに重なった状態又は接近した状態で外側板21と内側板22との間に挟まれた状態で,テーパー状の箱に組立てられる。通常は、互いに接触しているが、実施例3等の裁断面同士の接触では、時には接触していない場合があるかもしれないが、接近はしている。補助片50と連結受片40とが連結する場合は、連結片30を間に挟んでいるが、このような状態も接近した状態という。移動中は、このように互いに接触又は接近した状態にある。連結片30と連結受片40との関係で掛片33やはめ孔43は、どちら側に設けてもよい。説明し易いように、連結片30、連結受片40と別名称にしたが、働きは、同じようなものである。
【0021】
連結手段は、連結片30又は補助片50と連結受片40とのいずれか一方に掛片33や切込51等の引っ掛けるものを設け、他方に斜辺41やはめ孔43等の引っ掛けられるものを設けることで成り立つ。一方が、例えば連結片30や補助片50が移動して、所定の位置即ち、掛片33等が斜辺41やはめ孔43に掛ると、もう逆方向には戻れず、連結したことになる。
【0022】
箱の材料は、通常の紙箱の材料に使用されている厚紙が、主として用いられるが、薄いダンボールでもよいし、プラスチックの薄いシートでもよい。その他、箱を形成するシート状の材料であればよい。
【0023】
箱本体の外に蓋も同様にして作られる。蓋の方は、底板が一回り大きく、即ち、箱本体の底板が蓋の内側に、丁度はまる大きさにして、高さが低い箱にすればよい。高さが低くても、テーパー状に広がっていれば、積重ね可能である。
【0024】
請求項2に係る未使用時積重ね可能な箱は、二重の側板20の・細い扇形をしたテーパー形成片60と扇形の連結片30とを折れ曲がり可能に設けてない方の側板20の端部に・連結手段の片方を設けた又は設けてない補助片50を折れ曲がり可能に設けた、請求項1に記載のものである。
【0025】
請求項2に係る未使用時積重ね可能な箱は、請求項1のものに補助片50を追加したものである。
【0026】
二重の側板20とは、外側板21と内側板22とから成る側板20のことである。外側板21と内側板22との内、端部にテーパー形成片60と連結片30とが折れ曲がり可能に設けてない方即ち、端部が空いている方の側板20の端部に、補助片50を折れ曲がり可能に設けた、請求項1に記載の未使用時積重ね可能な箱である。
【0027】
補助片50には、連結手段の一部を設けてもよいし、設けなくてもよい。補助片50は、細い扇形をしたテーパー形成片60を折れ曲がり可能に隣設(連続して設ける。)してもよい。なお、補助片50の形状は、扇形に限らない。後記実施例4の図4(D)で説明している。
【0028】
請求項3に係る未使用時積重ね可能な箱は、連結片30若しくは補助片50又は連結受片40の表面又は裁断面に、箱がテーパー状のときと箱の角が直角状のときとに応じて、掛り合う、切込31,51若しくは掛片33又は周辺41、受凹部42、はめ孔43若しくはテーパー凹部44を設けたテーパー保持手段・又は外側板21と内側板22とに挟まれたときに、該外側板21と該内側板22との境界線に接するテーパー保持部54を設けた補助片50よりなるテーパー保持手段・又はテーパー形成片60との境界線及び該境界線とテーパー形成片60の円弧との交点61から垂線を引き、隣接する内側板21の延長線との交点38までの線分及び該延長線の線分及び隣接する連結受片40の斜辺41との境界線により囲まれた形状のテーパー保持部34よりなるテーパー保持手段を設けた、請求項1又は2に記載のものである。
【0029】
請求項3に係る未使用時積重ね可能な箱は、請求項1又は2のものにテーパー保持手段を追加したものである。請求項1又は2のものは、テーパー状の側板20に開く力が掛ると、側板20が開くことがある。これを防止するため、テーパー保持手段を追加したものである。
【0030】
テーパー保持手段の1つ目は、内側板22を折り曲げて、外側板21に重ね合せると、補助片50は連結片30に重なるので、連結片30若しくは補助片50又は連結受片40の表面又は裁断面に、箱がテーパー状のときと箱の角が直角のときとに応じた切込31、掛片33若しくは切込51又は受凹部42、はめ孔43若しくはテーパー凹部44を設けたものである。テーパー状のときに掛片33がテーパー凹部44に掛っているので、側板20は開かない。側板20が押し付けられて、角が直角になると、掛片33は斜辺41、受凹部42に掛り、直方体状の箱に整形される。なお、周辺41は、連結受片40の外周部分を意味し、斜辺41はその一部である。連結受片40は、三角形に限らないので、他の形状で周辺部が掛片33等に掛れば、周辺41になる。
【0031】
テーパー保持手段の2つ目は補助片50によるもので、外側板21と内側板22とに挟まれたときに、この外側板21とこの内側板22との境界線に接するテーパー保持部54を補助片50に設けたものである。上縁部24があるときは、上縁部24と外側板21・内側板22との境界線に接することになる。
【0032】
テーパー保持手段の3つ目のものは、テーパー形成片60との境界線及びこの境界線と円弧との交点61から垂線を引き、隣接する内側板21の延長線との交点38までの線分及びこの延長線及び隣接する連結受片40の斜辺41との境界線により囲まれた形状のテーパー保持片34によるものである。
【0033】
これらのテーパー保持手段を請求項1又は2に記載の未使用時積重ね可能な箱に追加して設けたことにより、側板20は、テーパー状態から外へ開く方向には動かず、閉まる方向即ち、角が直角になる方向には動く。従って、テーパー状の箱を積重ねて、側板20を開く力が掛っても、側板20は開かず、テーパー状態が安定する。
【0034】
請求項4に係る未使用時積重ね可能な箱は、連結手段が連結片30又は連結受片40の表面に設けた、請求項1〜3のいずれか1項に記載のものである。表面同士の連結によるものである。例えば、表面に設けた掛片33や受凹部42、はめ孔43等によるものである。
【0035】
請求項5に係る未使用時積重ね可能な箱は、連結手段が連結片30又は連結受片40の裁断面に設けた、請求項1〜3のいずれか1項に記載のものである。裁断面同士の連結によるものである。例えば、裁断面に設けた掛片33や受凹部42等によるものである。実施例7で、裁断面同士の例を挙げて説明している。
【0036】
請求項6に係る未使用時積重ね可能な箱は、連結手段が連結片30又は連結受片40の表面に対して、垂直方向に働く、箱材料の弾性を利用したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のものである。例えば、実施例1や2に記載のものである。
【0037】
請求項7に係る未使用時積重ね可能な箱は、連結手段が連結片30又は連結受片40の表面に対して、平行方向に働く、箱材料の弾性を利用したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のものである。実施例3で例を挙げて説明している。
【0038】
請求項8に係る未使用時積重ね可能な箱は、連結手段が連結片30又は連結受片40の表面に対して、ねじり方向に働く、箱材料の弾性を利用したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のものである。実施例8で例を挙げて説明している。
【0039】
請求項9に係る未使用時積重ね可能な箱は、底板10が平行四辺形である、請求項1〜8のいずれか1項に記載のものである。実施例9で例を挙げて説明している。
【発明の効果】
【0040】
請求項1の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が
直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変わらないか余り変わらず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0041】
請求項2の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が
直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変わらないか余り変わらず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0042】
請求項3の発明は、テーパー状態が安定した、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変らないか余り変わらず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0043】
請求項4の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変らないか余り変らず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0044】
請求項5の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変らないか余り変らず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0045】
請求項6の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変らないか余り変らず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0046】
請求項7の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変らないか余り変らず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0047】
請求項8の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変らないか余り変らず、違和感のないか余りないものができるという効果がある。
【0048】
請求項9の発明は、テーパー状の箱で積重ねて保管・運搬をし、使用直前に容易に角が直角な箱にでき、外観が従来の組立て式の箱と変らないか余り変らず、違和感のないか余りないものができるという効果がある外に、底板10が平行四辺形であるので、菱形外平行四辺形の箱ができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
箱を保管・運搬するときの空間の無駄を省くという目的をテーパー状態の箱を組立て、保管・運搬し、使用直前に容易に角が直角の箱にすることで実現した。以下、発明を実施するための最良の形態を実施例により説明する。
【実施例1】
【0050】
実施例1の積重ね可能な箱を図1に基づいて説明する。図1の(A)は、積重ね可能な箱の展開図である。長方形の底板10の各辺に、外側に向かって長方形の外側板21、その先に長方形の内側板22、その先に細長い側板押片23を設ける。図の説明をわかり易くするため、長辺11に設けた側板等にはaを付け、短辺12に設けた側板等にはbを付ける。図の点線は、折曲部(箇所)を示し、曲げ易くしておく。図の点線部分は、全て折れ曲り可能である。折れ曲り可能に取り付ける、と書くべきところを省略している。
【0051】
長辺11に設けた外側板21aの両端に、細い扇形のテーパー形成片60を設け、(正確にはテーパー形成片60を折れ曲り可能に設け、と書くべきである。)その先に扇形の連結片30を設ける。連結片30には切込31を入れる。後記図1の(B)、(C)、(D)に示すように掛片33に変える。内側板22aの両端に、向きを逆にした細い扇形のテーパー形成片60を設け、その先に向きを逆にした扇形の補助片50を設ける。補助片50の扇形と連結片30の扇形とは、同じ形状ではない。補助片50の方が、夾角が大きい。2つのテーパー形成片60は、裏返すと同じ形状である。内側板22aを折り曲げて、外側板21aに重ねると、2つのテーパー形成片60は重なり、細い扇形は同じ夾角になる。この夾角により、テーパー状の箱の開き具合が決まる。
【0052】
テーパー形成片60、連結片30、補助片50の扇形は、外側板21aと内側板22aとが重なったものが、長辺11を中心軸に回転(動)状に動き易くするためのもので、厳密に扇形でなくてもよく、多少変形していても、多角形でもよい。この、側板20の高さを半径とした扇形が最大の形状で、これよりも小さければ、側板20は動く。
【0053】
短辺12に設けた外側板21bの両端に、直角三角形(以下単に三角形とする。)の連結受片40を設ける。直角三角形は厳密でなくてよく、直角部分が多少鋭角になってもよい。内側板22bの両端には何も設けない。
【0054】
扇形の連結片30には、図(A)で示した切込31を図(B)、(C)、(D)に示すように、掛片33に変える。掛片33は、三角錐状の突起で、テーパー状の箱を角が直角の箱(直方体状の箱)に整形したときに、連結受片40の斜辺41に掛るものである。位置は、半径上のどこでもよいが、円弧に近い方が箱が強くなる。掛片33の先端がある半径の角度は、箱をテーパー状に組立て・運搬・保管後、使用直前に角を直角に整形したとき、即ち直方体状の箱に整形したときに、掛片33が斜辺41に丁度掛るように設定する。作り方は、半径上に短い切込31を入れ、三角錐状のくぼみ付きの台上で切込31の中央部を押えると、くぼんで三角錐状の掛片33ができる。図の(C)、(D)では、わかり易くするため、上下逆にしている。
【0055】
補助片50には、円弧部分に切込51を入れる。切込51の長さは適宜でよい。切込51の、外側(底板10の反対側)部分は、上方に少し折り曲げておく。(引っ掛かり易くするためである。内側板22aを折り曲げて重ねると、下方に折り曲げたことになる。)連結受片40の斜辺41には、掛片33が掛り、二重に確実性が増すためである。上方とは、展開図の状態で箱の底面から蓋(開口部)に向かう方向をいう。連結片30にも円弧部に切込31を入れて同様にしてもよい。後記実施例9は、このようにしている。
【0056】
連結片30と連結受片40とは、互いに隣接しておればよく、長辺11に設けた外側板21aに付けるか、短辺12に設けた外側板21bに付けるかは、関係なく、どちらに付いてもよい。即ち、(A)とは逆に外側板21aに連結受片40を付けてもよい。
【0057】
連結受片40は、三角形にするのが単純で、又、有効であるが、他の形状にしてもよい。後述(他の実施例)のように、掛る所も斜辺41の外に凹部や孔等もあるので、形状は選ばない。
【0058】
テーパー状の箱に組立てるには、図の(E)に示すように、長辺11に設けた外側板21aと内側板22aとを折畳むように、折り曲げて重ねた上、底板10に直角よりも外側に、やや斜めになるように折り曲げる。対辺11に設けた外側板21aと内側板22aも同様に直角よりも外側に、やや斜めに折り曲げる。断面が台形を逆にしたような状態になる。側板押片23aは、両方とも底板10に重なった状態になる。
【0059】
側板21a、22aの両端に設けた2つのテーパー形成片60が重なった状態になっているので、折り曲げる。更にその先の連結片30と補助片50とが重なった状態になっているので、2枚ともテーパー形成片60に沿って折り曲げる。
【0060】
次に、一方の短辺12に設けた外側板21bの両端にある三角形の連結受片40を両方とも点線に沿って、内側に重なるように折り曲げ、この外側板21bを上記の2枚重なった扇形連結片30と扇形補助片50とに重ねるように折り曲げる。次に内側板22bを内側に折り曲げて、側板押片23bを底板10に重ねる。連結片30、補助片50は、外側板21bと内側板22bとの間に挟まれた状態になる。左右の長辺11に沿った側板押片23aの上に、短辺12の側板押片23bが乗った状態になる。この短辺12の側板押片23bを、前記長辺11の側板押片23a、23aの下側にもぐらせて、固定する。
【0061】
次に他方の短辺12に設けた外側板21b、内側板22b、側板押片23bも同様にする。テーパー状の即ち、上方に広がった、逆四角錐台状の箱ができる。これが未使用状態の積重ね可能な箱である。この状態の積重ね可能な箱を複数枚適宜な枚数を積重ねて、保管・運搬する。
【0062】
使用直前にこのテーパー状の積重ね可能な箱を図の(F)のように、台の上に一方の外側板21を下にして立てた状態に置き、両手で斜めになった他方の外側板21の両端を押え付けると(図の矢印のように)、ワンタッチで、図(G)のように、角が直角状になり、直方体状の箱になる。テーパー形成片60は、短辺12に設けた外側板21bと内側板22bとの間に入り、扇形の連結片30に設けた掛片33及び補助片50の切込51が、三角形の連結受片40の斜辺41に掛り、テーパー状の箱には逆戻りしない。連結受片40に掛る掛片33と切込51とが二重になるので、確実性が増す。外観は、従来技術の組立て箱と全く同じである。
【実施例2】
【0063】
実施例2の積重ね可能な箱を図2に基づいて説明する。実施例2のものは、底面が正方形で側板が肉厚であり、更にテーパー状態保持機能を備えたものである。
【0064】
図2の(A)は、実施例2の積重ね可能な箱の展開図である。正方形の底板10の各辺11、12に、外側に向かって、外側板21を設け、その先に上縁部24を設け、その先に内側板22を設け、更にその先に側板押片23を設ける。なお、図の説明をわかり易くするため、互いに向き合う2辺11、11に設けた側板等にはaを付け、他の互いに向き合う2辺12、12に設けた側板等にはbを付ける。
【0065】
互いに向き合う2辺11、11に設けた外側板21aの一端に、細い扇形のテーパー形成片60を設け、更に後記の連結片30を設ける。外側板21aの他端には、実施例1と同様に、テーパー形成片60と扇形の連結片30とを設ける。内側板22aの一端に、テーパー形成片60を設けた上、細長い三角形の補助片50を設ける。テーパー形成片60との境界線と円弧との交点61から、この境界線に対して垂線を引き、内側板21aと側板押片23aとの境界線の延長線との交点までをテーパー保持部54とする。テーパー保持部54の働きは後記。内側板22aの他端には、補助片50は設けない。補助片は必ずしも必要ではない。なくてもよいものである。
【0066】
一端側の連結片30は、(B)に示すように、テーパー形成片60との境界線(点線部)及びこの境界線と円弧との交点61から、この境界線即ち扇形の半径に対して、垂線を引き、外側板21bと上縁部24bとの境界線の延長線との交点38までの線分及び外側板21bと上縁部24bとの延長線及び連結受片40の斜辺41との境界線で囲まれた四角形の形状である。実施例1の扇形の連結片30よりも大きくなっている。交点61と交点38との間の線分がテーパー保持部34である。但し、正確にいえば、交点61と交点38との間の線分全体ではなく、交点38近くの僅かの線分があればよい。即ち、他の線分は、湾曲していてもよい。
【0067】
テーパー状の箱に組立てたとき、連結片30は、外側板21bと内側板22bとの間に挟まれ、テーパー保持部34は、外側板21bと上縁部24b、上縁部24bと内側板22bとの境界線に接する。従って、テーパー保持部34は、上方には進めず外側板21aと内側板22aとが開く方向には、動けず、テーパー状態が保持される。即ち、側板21a、22aの外側への回転運動を阻止する。外側板21aと内側板22aとが閉まる方向には動ける。従って、連結片30は、テーパー保持部34を兼ねることになる。テーパー保持部34は、他の形状のものでも、この機能を持つものであればよい。テーパー保持部34は、正確にはテーパー状態保持部というべきものである。
【0068】
連結片30には、実施例1と同様、箱の角を直角に整形したときに連結受片40の斜辺41に引っ掛って連結する、掛片33を設ける。
【0069】
(C)に示すように、他端側の扇形の連結片30には、円弧部に切込31を入れ、下側に折り曲げて、テーパー保持部34と掛片33とに変える。図では、わかり易いように、上下を逆にしている。なお、図(C)の矢印の先の円内は、拡大の外に、折り曲げの加工後を示している。切込31の位置は、テーパー保持部34が、箱をテーパー状に組立てたときに、斜辺41に掛って、テーパー状態を保持し、掛片33が、角を直角に整形したときに、斜辺41に掛って、箱の形状が安定するように設定する。
【0070】
他の互いに向合う2辺12、12に設けた外側板21bの両端には、三角形の連結受片40を設ける。内側板22bの両端には、何も設けない。
【0071】
内側板22aの他端側に補助片50を設けないのは、1つの実施例に複数の例を盛り込もうとしたもので、両方とも補助辺50あり、両方とも補助辺50なしとしてもよい。外側板21aの一端と他端とで、連結片30を変えたのも、同じ目的である。
【0072】
箱への組立て、使用方法は、実施例1のものと同様である。外側板21と内側板22との間には、上縁部24があるので、厚い側板が得られる。細長い三角形の補助片50は長いので、先端同士が当るときは、重ねるようにする。補助片50は、外側板21bと内側板22bとに挟まれ,側板を補強する効果の外に、箱をテーパー状態に組立てたときに、テーパー形成片60との境界線との垂線54が上方へ進めず、側板20が外側へ開かないようにするテーパー保持機能の働きをする効果もある。
【0073】
実施例2の積重ね可能な箱は、肉厚の側板が得られ、テーパー保持部34、54のため、未使用時に多数積重ねて、荷重が掛っても、テーパー状態が確実に、保たれる効果がある。
【実施例3】
【0074】
実施例3の積重ね可能な箱を図3に基づいて説明する。実施例3の積重ね可能な箱は、長方形の底板10の長辺11に設けた1対の側板20aが一重で、短辺12に設けた1対の側板(外側板21bと内側板22b)が二重になったものである。連結手段を裁断面に設けたものである。実施例3でも、図の説明をわかり易くするため、長辺11に設けた側板にはaを付け、短辺12に設けた側板等にはbを付ける。
【0075】
図3の(A)は、積重ね可能な箱の展開図である。長方形の底板10の長辺11に、外側に向かって、長方形の側板20aを設ける。この側板20aの一端に、細い扇形のテーパー形成片60を設け、更に扇形を変形した下記の連結片30を設ける。側板20aの他端側には、細い扇形のテーパー形成片60を設け、更に実施例2の図2の(C)に示すものと同様に、扇形の連結片30を設ける。円弧部に切込31を4本入れ、下側に折り曲げて、テーパー保持部34と掛片33とに変える。
【0076】
一端側の連結片30の形状は、図3の(B)に示すように、実施例1の扇形連結片30の上部(図面の)を短辺12に平行に切り、円弧部に掛片33を設けたものである。なお、連結片30の上方にある鎌形の形状のものが、連結受片40である。連結受片40は、(C)に示すように、外側板21b上に折り曲げられ、外側板21bと重なった状態で、連結片30と作用して連結する。
【0077】
外側板21bの両端には、上記の鎌様連結受片40を設ける。上記のように、連結片30と連結受片40とは、1枚の正方形から互いを切り取ったような関係の形状で受凹部42やテーパー凹部44の位置は、試行錯誤法により決める。
【0078】
一方の短辺12に外側に向かって外側板21b、内側板22b、更に側板押え片23bを設ける。側板押え片23bの両脇には、鋸歯突起231又は小突起232を設ける。
【0079】
側板20aの長辺11沿いのこれらに対応した場所に、これらの突起231,232がはまる固定孔201を設ける。
【0080】
他方の短辺12の方(図では左側)には、外側板21bと内速版22bだけで、側板押片23bは設けない。内側板22bの外側には、幅(出代)が底板10の厚さ程度で、長さが適宜の細い長方形状の固定突起221を通常2個設ける。側版20bが長い場合は、適宜増やしてよい。
【0081】
底板10の短辺12沿いの、この固定突起221に対応した位置に、固定突起221が丁度はまる大きさの固定穴101を設ける。これらは、内側版22bの固定手段であって、底板10の端部に固定孔101があっても、箱の通常の使用方法では、箱の底面故、固定孔101の存在には、気がつかない。
【0082】
この外に固定手段としては、接着剤で固定してもよい。他端側に側板押片23を設けないのは、1つの実施例に複数の例を盛り込もうとしたもので、両方とも側板押片23あり、両方とも側板押片23なしとしてもよい。
【0083】
箱をテーパー状態に組立てたときに、一端側の連結編30の掛片33が連結受片40のテーパー凹部44に、はまるように、位置を設定する。テーパー保持機能として働く。テーパー状の箱を角が直角になるように整形した際に、丁度受凹部42に掛片33がはまるように、受凹部42の位置を決める。なお、試作品で試験した際には、これでうまく行ったが、紙の厚みが大のとき等、掛片33が引っ掛かる等して、スムーズに行かない場合は、(D)に示すように、切込部35を設けて、掛片33にクッション(弾性)を持たせてもよい。切込部35の幅は、掛片33の高さ程度でよい。なお、図面では小さくて、描きにくいので、省略したが、掛片33やテーパー凹部44の向きは、正確ではない。掛片33と受凹部42とは、兼用にならないので、それぞれ掛片33用、受凹部42用に形を決めねばならない。
【0084】
又、紙の厚みが小のとき等、掛片33と受凹部42とがうまく掛らない場合には、(E)に示すように、掛片33の大きさを2倍にした形状にして、点線部で折り曲げて、掛り易くしてもよい。受凹部42もL字形に切込45を入れて、折り曲げて、掛り易い受凹部42にしてもよい。
【0085】
テーパー状の箱に組み立てるには、実施例1と同様にする。連結受片40も形状は変ったが、同様に折り曲げて、外側版21bに重ねる。内側版22bの固定手段も適宜選ぶ。テーパー状の箱ができる。実施例3のものは、側版20が一重なので、材料が節約できる。連結手段が、裁断面同士で働くのも特徴である。なお、他端側の扇形連結片30は、実施例2の図2の(C)に示すものと同様である。
【実施例4】
【0086】
実施例4の積重ね可能な箱を図4に基づいて説明する。実施例4は、連結片30と連結受片40とを実施例1〜3のように外側版21に設けるのではなく、内側版22に設けてもよいことを示すものである。又、連結手段も他の例を記す。図は、部分展開図で、何れも連結片30と連結受片40等を示し、全体図は省略する。
【0087】
(A1)に示すものは、部分展開図で、長辺11に設けた内側版22aの両端にテーパー形成片60を介して、扇形の連結片30を設ける。短辺12に設けた内側板22bの両端に、三角形の連結受片40を、直角部を下(図面の)にして設ける。連結片30や連結受片40は、(A2)に示すように、内側板22aを折り曲げて、外側板21aに重ね合せると、実施例1〜3に近い形になる。更に、(A3)に示すように、内側板22bを折り曲げると、実施例1〜3と同様になる。
【0088】
(A1)に示すように、連結片30にL字形の切込31を入れ、上方に押上げて(内側板22aを折り曲げると、下方になる。)、掛片33にする。位置は、テーパー状の箱を使用直前に角が直角な箱に整形した際に、連結受片40の斜辺41に掛るように、試行錯誤法で決定する。テーパー状の箱に組み立てるには、実施例1と同様にする。使用方法等は、実施例1と同様である。なお、このままでは、テーパー保持機能はない。実施例2の図2の(C)に示すように、扇形連結片30の円弧部に切込31を4本入れて、上側に折り曲げて、テーパー保持部34と掛片33とに変えると、テーパー保持機能を有する。
【0089】
(B)に示すのは、(A1)のものの各外側板21a、21bの両端に直角三角形の補助片50,50を設けたものである。補助片50,50の外、連結片30、連結受片40も(A1)〜(A3) と同様に、折り曲げると、実施例1〜3のようになる。補助片50、50を設けたことにより、箱に整形後、側板がしっかりするという効果がある。その他は、(A1)と同様である。なお、(B)のままでは、保持機能がないのは、(A1)〜(A3)に示したものと同様である。テーパー保持機能を有するためには、(A1)〜(A3)と同様にすればよい。
【0090】
(C1)に示すものは、(A1)の連結受片40を正方形に変えて、外側板21bの両端に移設したものである。連結受片40には、はめ孔43を開ける。連結片30の掛片33は、そのままである。(C1)では、切込の段階を示す。(C2)に示すように、連結受片40を外側板21b側に折り曲げ、内側板22aを外側板21a側に折り曲げる。使用方法等は、実施例1と同様である。(C1)、(C2)のままでは、テーパー保持機能がないことと保持機能を有するためには、(A1)〜(A3)、(B)に示すものと同様にすればよい。
【0091】
(D)に示すものは、両内側板22a、22bに扇形の補助片50、50を設けたものである。連結片30、連結受片40は、外側板21a、21bの両脇に設ける。補助片50が2個あるので、箱に整形後、側板がしっかりする効果がある。なお、2個の補助片50,50のうち、連結片30を設けた外側板21aに隣接する、内側板22aに設ける補助片50には、テーパー形成片60を隣設する。(D)のままでは、テーパー保持機能がないことと保持機能を有するためには、(A1)~(A3)と同様にすればよい。なお、内側板22bに設けた補助片50即ち、テーパー形成片60がない方の形状は、扇形に限らず、正方形や長方形等他の形状にしてもよい。
【0092】
連結片30の円弧部分又は、平面部分に切込31や掛片33等を適宜設けると、実施例2〜3と同様、テーパー保持機能を持たせることができる。
【実施例5】
【0093】
実施例5の積重ね可能な箱を図5に基づいて説明する。実施例5は、テーパー保持手段に関するものである。テーパー保持手段については、実施例2で一部説明したがそれ以外のものについて説明する。
【0094】
(A)に示すものは、実施例2の図2の(C)に示したものと同様のものである。テーパー状態のとき、テーパー保持部34は、連結受片40の斜辺41に掛り、外側板21a、内側板22aが開く方向には動かないので、箱はテーパー状態を保つ。角が直角になると、掛片33が斜辺41に掛り、通常の箱の形になる。
【0095】
(B)は、(A)の説明図で、連結片30は、○印の矢印方向には進が、×印の矢印方向には進めない。即ち、テーパー状態から開く方向には、外側板21a、内側板22aは動けないので、テーパー状態は安定する。外側板21a、内側板22aが閉まる方向には、動けるので、角が直角の箱にはできる。この場合の弾性は、紙の裁断方向即ち、紙の表面の垂直方向に働く。
【0096】
(C)は、裁断面同士の連結手段(機構)の説明図で、連結片30の周辺部に設けた切込部35のため、半島状に突き出た支持台32は、箱材料の弾性により動く。この支持台32の先に掛片33を設ける。一方、連結受片40の湾曲部には、テーパー凹部44と受凹部42とを設ける。図に矢印と○×とで示したように、半島状の支持台32は、弾性により下がり(半島部が曲がり)、テーパー状から直方体状には進が、即ち、図の右から左には掛片33は進むが、逆方向には、弾性により押し上げられた掛片33が三角形状の凹部42,44に掛り、動けない。直方体状になったときも、掛片33は三角形の受凹部42から右方向には進めないので、直方体状の箱は、安定する。この場合の弾性は、紙の表面に平行方向に働いている。
【0097】
(D)は、実施例2(図2)に示したもの以外のテーパー保持部34を示し、形状は類似(但し、裏返した形で連結受片40分を合わせた形状)であるが、設ける場所が異なる。テーパー保持部34は、連結片30の一部である。内側板22aの端部にテーパー形成片60を設け、その先に連結片30に付属したテーパー保持部34を設ける。内側板22aを折り曲げて、外側板21aに重ね合わせると、実施例2(図2)に示したものと類似になる。(上縁部24がない。)
【0098】
(E)は、(D)に示すものの外側板21aの端部に、テーパー形成片60と連結片30を設けたもので、連結片30は、テーパー保持部34を兼ねたものである。(D)に示したものの連結片30は、形状が同じの補助片50に変わっている。内側板22aに重ねると、(D)に示すものと同じになる。又、補助片50には、隣接するテーパー形成片60との境界線との垂線54があり、この部分は、外側板21bと内側板22bとの境界線に接してテーパー保持部54の働きをする。
【0099】
以上、テーパー保持部34、54は、側板20aがテーパー状態から開く方向には進まず、直角になる方向には進む、一種の逆止片(弁)のようなものである。
【実施例6】
【0100】
実施例6の積重ね可能な箱を図6に基づいて説明する。実施例6は、面同士の連結手段 に関するものである。
【0101】
(A)は、連結片30の周辺部に2本の切込31,31を入れ、下側に折り曲げて、掛片33にしたものである。図では、わかり易くするため、上下逆にしている。
【0102】
(B)は、連結片30にコの字形の切込31を入れ、下側に折り曲げて、掛片33にしたものである。図では、上下逆にしている。
【0103】
(C)は、同じくL字形の切込31を入れ、下側に90度曲げて、掛片33にしたものであり、これも上下逆にしている。
【0104】
(D)は、直線状の短い切込31を入れ、三角錐状のくぼみを設けた台上で、切込31の中央部を下側に押して、V字形の掛片33(掛片33としては、逆V字形即ち山形)にしたものであるこれも図では、上下逆にしている。
【0105】
(E)は、直線状の短い切込31を入れ、円錐形を縦に切ったようなくぼみを設けた台上で、円錐形を縦に切ったような型で押し込んで、円錐形を横に切ったような掛片33にしたものである。これも図では、上下逆にしている。
【0106】
(F)は、周辺部に切込31を入れ、片方を下側に折り曲げて、掛片33にしたもので、これも図では、上下逆にしている。
【0107】
(G)は、連結受片40に連結用のはめ孔43を設けたものである。
【0108】
(H)は、連結片30に設けた掛片33、この例では山形の掛片33と連結受片40、この例では斜辺41とが連結した状態を示す。
【実施例7】
【0109】
実施例7の積重ね可能な箱を図7に基づいて説明する。実施例7は、裁断面同士の連結手段に関するものである。
【0110】
(A)は、実施例3の図3の(D)で説明したものを更に発展させたもので、連結片30と連結受片40との両方に切込部35,45を設けたものである。半島状の支持第32,47の先には掛片33、受凹部42を設ける。
【0111】
(B)は、連結片30の掛片33を約2倍の大きさに裁断して、中央の点線部を二つ折りして、引っかかりを確実にしたものである。
【0112】
(C)は、(B)の裁断形状を修正して、二つ折り後、同じ形にしたものである。
【0113】
(D)は、連結受片40の受凹部42を確実にするため、斜めに短く切込45を入れ、点線部を折り曲げたものである。
【0114】
(E)は、三角形の凹部と出っ張った形の凸部46に裁断して、折り曲げて受凹部42にして、引っかかりを確実にしたものである。
【0115】
(F)は、L字形の切込45を入れ、点線部を折り曲げ、受凹部42にしたものである。
【0116】
(G)は、連結片30の形状を矢印形の先端から切れ目を入れた形にして、押されると、弾性により幅が狭くなる形にし、連結受片40にこれに対応したキノコ形の柱部を変形した形にしたものである。矢印のように、連結片30を押し付けると、先端部の掛片33は狭くなって、連結受片40の受凹部42の中に入って広がり、出られなくなり、連結される。
【実施例8】
【0117】
実施例8の積重ね可能な箱を図8に基づいて説明する。実施例8は、ねじり方向の弾性による連結手段に関するものである。
【0118】
(A)は、L字型の連結片30の先端部を示す。長手方向の垂直に出た掛片33を矢印のように、下方に少し折り曲げて癖(くせ)付けしておく。図は、癖付け前である。
【0119】
(B)は、連結片30と連結受片40とを示し、連結片30は、先端のL字形の掛片33の方へ行くに従い、下方に曲がり、即ち、ねじった形になっている。連結受片40には、はめ孔43を設ける。連結片30が長手方向に、先端部の掛片33に向かって進むと、掛片33は、箱素材(材料)の弾性により、下方に働く力が掛っているので、はめ孔43にはまり、逆方向には、動けなくなる。即ち、連結される。ねじり弾性を利用したことになる。
【実施例9】
【0120】
実施例9の積重ね可能な箱を図9に基づいて説明する。図9は、実施例9の積重ね可能な箱の展開図である。実施例9は、底板10が平行四辺形のものである。底板10が平行四辺形である外は、実施例1のものを簡単にしたもので、補助片50を除いている。連結手段は、掛片33の代わりに切込31にしている。テーパー状に箱を組み立て方その他は、実施例1と同様である。扇形連結片30には、テーパー保持具を取り付けてもよい。
【0121】
特記事項としては、平行四辺形の頂角が鋭角の箇所は、側板押片23の角を落とす角度を大きくする必要がある。箱に組み立て後、側板押片23の角(隅)が鋭角部分に収まらないからである。なお、平行四辺形の各辺の長さを同じにすると、菱形になる。
【0122】
実施例9の積重ね可能な箱は、底板10が長方形や正方形以外の菱形等の平行四辺形の箱に適用できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の積重ね可能な箱は、テーパー状態で、保管・運搬して、使用直前に容易に角が直角の箱に整形して、使用する箱に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】実施例1の未使用時積重ね可能な箱を示す展開図、平面図、斜視図及び説明図である。
【図2】実施例2の未使用時積重ね可能な箱を示す展開図、平面図及び斜視図である。
【図3】実施例3の未使用時積重ね可能な箱を示す展開図、平面図及び説明図である。
【図4】実施例4の連結手段を示す部分展開図である。
【図5】実施例5のテーパー保持手段を示す部分展開図及び説明図である。
【図6】実施例6の連結手段を示す説明図及び斜視図である。
【図7】実施例7の連結手段を示す説明図である。
【図8】実施例8の連結手段を示す斜視図である。
【図9】実施例9の未使用時積重ね可能な箱を示す展開図である。
【符号の説明】
【0125】
10……底板
101…固定孔
11……長辺
12……短辺
20……側板
201…固定孔
21……外側板
22……内側板
221…固定突起
23……側板押片
231…鋸歯突起
232…小突起
24……上縁部
30……連結片
31……切込
32……支持台
33……掛片
34……テーパー保持部
35……切込部
38……交点
40……連結受片
41……斜辺、周辺
42……受凹部
43……はめ孔
44……テーパー凹部
45……切込、切込部
46……凸部
47……支持台
50……補助片
51……切込
54……テーパー保持部
60……テーパー形成片
61……交点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形又は正方形の底板(10)の互いに向き合う、少なくとも1対の辺(12)、(12)に、長方形の外側板(21)と下記固定手段を備えた長方形の内側板(22)とからなる二重の側板(20)を設け、前記固定手段とは、内側板(22)の端部に設けた固定突起(221)と底板(10)の対応箇所に設けた固定孔(101)、側板押片(23)、接着等からなり、
他の1対の互いに向き合う辺(11)、(11)に、長方形の一重又は二重の側板(20)を設け、
隣接する側板(20)、(20)の端部の、どちらか一方に細い扇形をしたテーパー形成片(60)を折れ曲り可能に設け、これに続けて扇形の連結片(30)を折れ曲り可能に設け、他方に連結受片(40)を折れ曲り可能に設け、
前記連結片(30)と前記連結受片(40)とが互いに接触又は接近した状態で移動し、所定の位置に達すると、箱材料の弾性により、元に戻らなくする連結手段を設けた、未使用時積重ね可能な箱。
【請求項2】
二重の側板(20)の
細い扇形をしたテーパー形成片(60)と扇形の連結片(30)とを折れ曲がり可能に設けてない方の側板(20)の端部に、
連結手段の一部を設けた又は設けてない補助片(50)を折れ曲がり可能に設けた、請求項1に記載の未使用時積重ね可能な箱。
【請求項3】
連結片(30)若しくは補助片(50)又は連結受片(40)の表面又は裁断面に、箱がテーパー状のときと箱の角が直角状のときとに応じて、掛り合う、切込(31),(51)若しくは掛片〈33〉又は周辺(41)、受凹部(42)、はめ孔(43)若しくはテーパー凹部(44)を設けたテーパー保持手段、
又は外側板(21)と内側板(22)とに挟まれたときに、該外側板(21)と該内側板(22)との境界線に接するテーパー保持部(54)を設けた補助片(50)よりなるテーパー保持手段、
又はテーパー形成片(60)との境界線及び該境界線とテーパー形成片(60)の円弧との交点(61)から垂線を引き、隣接する内側板(21)の延長線との交点(38)までの線分及び該延長線の線分及び隣接する連結受片(40)の斜辺(41)との境界線により囲まれた形状のテーパー保持部(34)よりなるテーパー保持手段を設けた、請求項1又は2に記載の未使用時積重ね可能な箱。
【請求項4】
連結手段が連結片(30)又は連結受片(40)の表面に設けたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の未使用時積重ね可能な箱。
【請求項5】
連結手段が連結片(30)又は連結受片(40)の裁断面に設けたものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の未使用時積重ね可能な箱。
【請求項6】
連結手段が連結片(30)又は連結受片(40)の表面に対して、垂直方向に働く、箱材料の弾性を利用したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の未使用時積重ね可能な箱。
【請求項7】
連結手段が連結片(30)又は連結受片(40)の表面に対して、平行方向に働く、箱材料の弾性を利用したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の未使用時積重ね可能な箱。
【請求項8】
連結手段が連結片(30)又は連結受片(40)の表面に対して、ねじり方向に働く、箱材料の弾性を利用したものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の未使用時積重ね可能な箱。
【請求項9】
底板(10)が平行四辺形である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の未使用時積重ね可能な箱。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−18288(P2010−18288A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178179(P2008−178179)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000121752)
【Fターム(参考)】