説明

未加工コットンリンターから製造された可塑化/押出し助剤を用いたセメントに基づくシステム

セメント押出し用モルタル組成物で用いられる、未加工コットンリンターから製造されたセルロースエーテル、および、少なくとも1種の添加剤で構成される混合組成物であって、ここで、本セメント押出し用モルタル組成物中のセルロースエーテルの量は有意に低減されている。このセメント押出し用モルタル組成物を十分な量の水と混合し、押出し、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と同等か、または、それより低いひび割れの形成を示す物体を形成すると、得られた軟練りモルタルの可塑化および/または押出し特性は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と比べて改善されているか、またはそれと同等である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年4月27日付けで出願された米国仮出願番号60/565,643の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、改善された水分保持剤、および/または、未加工コットンリンターから製造された可塑化/押出し助剤を用いた、セメント押出しプロセスのための混合組成物に関する。
【0003】
発明の背景
従来のセメントモルタルは、セメントと砂の簡単な混合物であることが多い。この乾燥混合物を水と混合し、モルタルを形成することができる。これらの従来のモルタルそのものは、低い流動性またはこて塗適性および作業性しか有さない。その結果として、特に夏季、暑中条件下で、モルタルから水分が急速に蒸発または除去され、劣った、または低い作業性、同様に、短い可使時間および補正時間、ならびにセメントの不十分な水和を引き起こすために、これらのモルタルの塗布は大きな労働力を要する。
【0004】
従来の硬化モルタルの物理特性は、その水和プロセス、従って凝結工程中のそれらからの水分の除去速度の影響を強く受ける。凝結反応の開始時の水分の除去速度の上昇によって、または、モルタル中の水の濃度の減少によって、これらのパラメーターに影響を与えるあらゆる作用が、得られたモルタルの物理特性およびひび割れの形成の劣化を引き起こす可能性がある。
【0005】
上述の水分が失われる問題を克服する、または最小化するために、従来技術は、この問題を軽減するためのセルロースエーテルの水分保持剤としての使用を開示している。この従来技術の例は、米国特許第4,501,617号であり、こて塗適性、または、モルタルの流動性を改善するための保水性の補助剤として、ヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース(HPHEC)の使用を開示している。硬練りモルタル用途におけるセルロースエーテルの使用が、従来技術の特許、例えばDE3046585、EP54175、DE3909070、DE3913518、CA2456793、および、EP773198で開示されている。
【0006】
ドイツ国公報第4,034,709号A1は、水硬性セメントモルタルまたはコンクリート組成物への添加剤としての、セルロースエーテルを製造するための未加工コットンリンターの使用を開示している。
【0007】
セルロースエーテル(CE)は、商業的に重要な水溶性ポリマーの重要なクラスの代表である。これらのCEは、水性媒体の粘度を高めることができる。このCEの粘性化する能力は、主として、その分子量、それに結合した化学置換基およびポリマー鎖の構造的な特徴によって制御される。CEは、構築、塗料、食品、パーソナルケア、医薬、接着剤、界面活性剤/洗剤、油田、製紙産業、セラミック、重合プロセス、皮革産業および織物のような多くの用途で用いられる。
【0008】
建築産業では、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、および、疎水化修飾したヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)が、単独で、または組み合わせのいずれかで、硬練りモルタル配合物に最も広く用いられている。硬練りモルタル配合物は、無機性の結合剤としての石膏、セメントおよび/または石灰のブレンドを意味し、これらは、単独で、または、骨材(例えばシリカおよび/または炭酸塩砂/粉末)および添加剤と組み合わせて、のいずれかで用いられる。
【0009】
それらを使用するために、これらの乾燥混合物は、水と混合して軟練り材料として用いられる。目的とする塗布のために、水に溶解すると高粘性を付与する水溶性ポリマーが必要である。MC、MHEC、MHPC、EHEC、HECもしくはHMHEC、またはそれらの組み合わせを用いることによって、望ましい硬練りモルタル特性、例えば高い保水性(すなわちその結果として、含水量の規定された制御、および、より少ないひび割れの形成)が達成される。加えて、得られた材料の改善された作業性、および、十分なコンシステンシーを観察することができる。CE溶液の粘度の増加により、改善された保水能力および付着特性が得られるため、より効率的に、かつ費用効率よく作用するように高分子量のCEが望ましい。溶液の高い粘度を達成するために、開始時のセルロースエーテルは、慎重に選択する必要がある。現在のところ、精製コットンリンターまたは高粘度の木材パルプを用いることによって、達成できる最大2重量%溶液の粘度は、約70,000〜80,000mPaである(ブルックフィールドRVT粘度計を用いて、20℃および20rpmで、スピンドル番号7を用いて)。
【0010】
セルロースエーテル(CE)は、セメント押出し用途における押出し助剤として用いられる。この用途において、セメント系の乾燥混合物は、水と混合される。それに続く押出し工程で、可塑化された材料は、押出しダイから押出される。このセメントベース(セメントを基材とする)の材料の可塑性を達成するためには可塑剤が必要であり、可塑剤とは、セメント基本混合物に優れた可塑性を提供し、同様に、安定かつ優れた押出しと、十分な強度を提供するものである。ここで、コストのために、より低い添加レベルで、同等の、または、より優れた可塑性を示すことが望ましい。優れた可塑化特性を付与するためには、高粘性セルロースエーテルが、その優れた結合特性のために必要とされる。加えて、その高粘性CEは、その高い保水能力によってセメントモルタル中での速すぎる水の損失を防ぎ、それによってひび割れの形成がより少なくなる。
【0011】
セルロースエーテル、例えばメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、または、疎水化修飾したヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、または、それらの組み合わせは、それらの保水性、付着および結合特性のために、典型的には、これらのセメント押出しプロセスにおける助剤として用いられる。この従来技術の例は、US2003071392、JP9142962、JP8225355、JP8183647、および、JP4164604である。
【0012】
セメント押出しプロセスにおいて、可塑化および押出し性能特性を改善するために、同様に、得られた押出し材料でひび割れが形成される傾向を減少させるために、それでもなお、費用効率が高い様式で用いることができる水分保持剤を持つことが必要である。この結果の達成を補助するために、増粘剤および/または水分保持剤として使用するために、好ましくは約80,000mPaより大きい溶液のブルックフィールド粘度を付与し、それでもなお費用効率が高い水分保持剤を提供することが好ましいと予想される。
【0013】
発明の要約
本発明は、セメント押出し用モルタル組成物に使用するための、20〜99.9重量%の量の、未加工コットンリンターから製造されたアルキルヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースのセルロースエーテル、および、それらの混合物、ならびに、0.1〜80重量%の量の、有機性または無機性の増粘剤、垂れ防止剤、空気連行剤、湿潤剤、消泡剤、流動化剤、高性能吸収体、分散剤、カルシウム錯化剤、遅延剤、促進剤、撥水剤、再分散性粉末、バイオポリマーおよび繊維のうちの少なくとも1種の添加剤で構成される混合組成物に関し; 本混合組成物をセメント押出し用硬練りモルタル組成物に用いて、十分な量の水と混合すると、セメント押出し用モルタル組成物は、パイプ、レンガ、プレート、距離ホルダーまたはその他の物体の押出しのためのモルタルとして用いることができるセメント押出し用モルタルになり、ここで、モルタル組成物中の混合組成物の量は有意に低減されており、得られた軟練りモルタルのひび割れの形成は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と同等か、または、それより低く、同時に、得られた軟練りモルタルの可塑化および/または押出し特性は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と比べて改善されているか、またはそれと同等である。
【0014】
本発明はまた、水硬性セメント、細骨材原料および水分保持剤物質、および/または、未加工コットンリンターから製造された少なくとも1種のセルロースエーテルの可塑化または押出し助剤の、セメントベースの押出し用硬練りモルタル組成物にも向けられる。
【0015】
該セメントベースの押出し用硬練りモルタル組成物を十分な量の水と混合すると、それは、パイプ、レンガ、プレート、距離ホルダーまたはその他の物体の押出しのためのモルタルとして用いることができるモルタルになり、ここで、該モルタル中のセルロースエーテルの量は有意に低減されており、ひび割れの形成は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合とと同等か、または、それより低く、同時に、可塑化および/または押出し特性は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と比べて改善されているか、またはそれと同等である。
【0016】
発明の詳細な説明
所定のセルロースエーテル、特に未加工コットンリンター(RCL)から製造されたアルキルヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースは、従来の精製コットンリンターまたは高粘度の木材パルプから製造された市販のセルロースエーテルの粘度に比べて、極めて高い溶液の粘度を有することが発見された。セメント押出し用モルタル組成物でこれらのセルロースエーテルを用いることによって、これまで従来のセルロースエーテルを用いて達成することが不可能であった数種の利点(すなわち、使用におけるより低いコスト、および、より優れた塗布特性)、および、改善された性能特性が提供される。
【0017】
セメント押出しは、例えば、セメントベースのレンガ、パイプ、距離ホルダー、または、パネルを生産するために用いられる。押出しプロセスにおいて、可塑化されたセメントベースの集合体は、集合体に所定の形状を付与するために押出機のダイから押出される。
【0018】
本発明によれば、アルキルヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースのセルロースエーテルは、切断された、または、切断されていない未加工コットンリンターから製造される。アルキルヒドロキシアルキルセルロースのアルキル基は、1〜24個の炭素原子を有し、ヒドロキシアルキル基は、2〜4個の炭素原子を有する。また、ヒドロキシアルキルセルロースのヒドロキシアルキル基は、2〜4個の炭素原子を有する。これらのセルロースエーテルは、予想外の驚くべき利点をセメント押出し用モルタルに提供する。RCL系CEの粘性は極めて高いために、セメント押出し用モルタルにおいて効率的な塗布性能を観察することができる。RCL系CEは、セメントベースの材料に優れた可塑性を提供した。現在のところ用いられる市販の高粘度CEより低いRCL系CEの使用量でも、ひび割れの形成(より少ないひび割れ)、可塑化および/または押出し特性に関して同様の、または、改善された塗布性能が達成される。
【0019】
本発明によれば、本混合組成物は、20〜99.9重量%の量、好ましくは70〜99.5重量%の量の上記セルロースエーテルを含む。
【0020】
本発明のRCL系の水溶性の非イオン性CEとしては、(一次CEとして)、特に未加工コットンリンター(RCL)から製造されたアルキルヒドロキシアルキルセルロースおよびヒドロキシアルキルセルロースが挙げられる。このような誘導体の例としては、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、疎水化修飾したエチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、および、疎水化修飾したヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、および、それらの混合物が挙げられる。疎水性置換基は、それらの化学組成に応じて、1〜25個の炭素原子を有していてもよく、それらは、適用可能であれば、無水グルコース単位あたり、0.5〜2.5のメチルまたはエチル置換度(DS)、約0.01〜6のヒドロキシアルキルのモル置換度(HA−MS)、および、約0.01〜0.5の疎水性置換基のモル置換度(HS−MS)を有していてもよい。より具体的には、本発明は、セメント押出し用硬練りモルタル組成物中の効率的な水分保持剤、および/または、可塑化または押出し助剤としての、これらの水溶性、非イオン性CEの使用に関し、これらは、セメント押出しプロセス中で助剤として機能する。
【0021】
本発明の実施する際に、精製コットンリンターおよび木材パルプ(二次CE)から製造された従来のCEを、RCL系CEと併用することができる。精製セルロースからの様々なタイプのCEの製造は、当業界既知である。これらの二次CEは、本発明を実施するために、一次RCL−CEと併用することができる。これらの二次CEの多くは、市販品であるか、または、市場および/または文献で既知であるため、これらは本願において、従来のCEと称するものとする。
【0022】
二次CEの例は、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC)、疎水化修飾したエチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、疎水化修飾したヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、スルホエチルメチルヒドロキシエチルセルロース(SEMHEC)、スルホエチルメチルヒドロキシプロピルセルロース(SEMHPC)、および、スルホエチルヒドロキシエチルセルロース(SEHEC)である。
【0023】
本発明によれば、好ましい一実施形態は、ブルックフィールドRVT粘度計で、20℃および20rpmで、2重量%の濃度で、スピンドル番号7を用いて測定した場合、80,000mPaより大きい、好ましくは90,000mPaより大きい水溶液のブルックフィールド粘度を有するMHECおよびMHPCを利用する。
【0024】
本発明によれば、本混合組成物は、0.1〜80重量%の量、好ましくは0.5〜30重量%の量の少なくとも1種の添加剤を含む。添加剤の例は、有機性または無機性の増粘剤、および/または、第二の水分保持剤、垂れ防止剤、空気連行剤、湿潤剤、消泡剤、流動化剤、高性能吸収体、分散剤、カルシウム錯化剤、遅延剤、促進剤、撥水剤、再分散性粉末、バイオポリマーおよび繊維である。有機性の増粘剤の例は、多糖類である。添加剤のその他の例は、カルシウムキレート剤、フルーツ酸、および、表面活性物質である。
【0025】
添加剤のより具体的な例は、アクリルアミドのホモまたはコポリマーである。このようなポリマーの例は、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリルアミド−コ−ナトリウムアクリラート)、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリル酸)、ポリ(アクリルアミド−コ−ナトリウム−アクリルアミドメチルプロパンスルホナート)、ポリ(アクリルアミド−コ−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)、ポリ(アクリルアミド−コ−ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(アクリルアミド−コ−(アクリロイルアミノ)プロピルトリメチルアンモニウムクロライド)、ポリ(アクリルアミド−コ−(アクリロイル)エチルトリメチルアンモニウムクロライド)、および、それらの混合物である。
【0026】
多糖類の添加剤の例は、スターチエーテル、スターチ、グアール、グアール誘導体、デキストラン、キチン、キトサン、キシラン、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、マンナン、ガラクタン、グルカン、アラビノキシラン、アルギナート、および、セルロース繊維である。
【0027】
添加剤のその他の具体的な例は、ゼラチン、ポリエチレングリコール、カゼイン、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホン化メラミン−ホルムアルデヒド縮合体、スルホン化ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合体、ポリアクリル酸塩、ポリカルボキシレートエーテル、ポリスチレンスルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アクリル酸およびそれらの塩の架橋されたホモまたはコポリマー、1〜4個の炭素原子を有する有機酸のカルシウム塩、アルカノアートの塩、硫酸アルミニウム、金属アルミニウム、ベントナイト、モンモリロナイト、海泡石、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール、および、酢酸ビニル系のホモ、コまたはターポリマー、マレイン酸エステル、エチレン、スチレン、ブタジエン、ビニルバーサテート、および、アクリル単量体である。
【0028】
本発明の混合組成物は、従来技術において既知の多種多様の技術で製造することができる。例としては、簡単な乾式混合、溶液の噴霧、または、乾燥材料上での溶融、共押出し、または、共粉砕が挙げられる。
【0029】
本発明によれば、本混合組成物をセメント押出し用硬練りモルタルに用いて、十分な量の水と混合すると、モルタルになり、この混合物の量、すなわちセルロースエーテルの量は有意に低減されている。この混合物またはセルロースエーテルの低減された量は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%である。CEをこのように少なくして用いたとしても、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と同等か、または、それより低いひび割れの形成が見出され、さらに、軟練りモルタルの可塑化および/または押出しの挙動も、同等であるか、または、それに比べて改善されている。
【0030】
本発明の混合組成物は、このような混合物を、製造施設で直接用いることができるセメントモルタルの製造元に直接的または間接的に販売することができる。本混合組成物はまた、様々な製造元にとって好ましい必要条件に応じて受注ブレンドしてもよい。
【0031】
本発明のセメント押出し用モルタル組成物は、約0.05〜2.0重量%の量のCEを含む。少なくとも1種の添加剤の量は、約0.0001〜15重量%である。これらの重量パーセンテージは、セメントベースの硬練りモルタル組成物の全成分の総乾燥重量に基づく。
【0032】
本発明によれば、セメントベースの硬練りモルタル組成物は、10〜90重量%の量、好ましくは20〜80重量%の量で存在する骨材の材料を含む。骨材の材料の例は、ケイ砂、ドロマイト、石灰石、軽量骨材(例えば、発泡ポリスチレン、中空ガラス球状体、パーライト、コルク、膨張バーミキュライト)、ゴム粉末(車のタイヤからリサイクルされた)、および、フライアッシュである。「細(fine)」は、骨材の材料が、3.0mmまで、好ましくは1.0mmまでの粒度を有することを意味する。
【0033】
本発明によれば、水硬性セメントの成分は、10〜90重量%の量で存在し、好ましくは15〜70重量%の量で存在する。水硬性セメントの例は、ポルトランドセメント、ポルトランドスラグセメント、ポルトランドシリカフュームセメント、ポルトランドポゾランセメント、ポルトランドバーントシェールセメント、ポルトランド石灰石セメント、ポルトランド複合セメント、高炉セメント、ポゾランセメント、複合セメント、および、アルミン酸カルシウムセメントである。
【0034】
本発明によれば、セメントベースの硬練りモルタル組成物は、10〜80重量%、好ましくは20〜60重量%の量の少なくとも1種の鉱物性の結合剤を含む。少なくとも1種の鉱物性の結合剤の例は、セメント、ポゾラン、高炉スラグ、消石灰、石膏、および、水硬性石灰である。
【0035】
本発明に係る好ましい実施形態によれば、セルロースエーテルは、2004年4月13日付けで出願された米国特許出願番号10/822,926(これは、参照により本発明に含まれる)に従って製造される。本発明の出発原料は、少なくとも8グラム/100mlのかさ密度を有する未精製の未加工コットンリンター繊維の集合体である。この集合体中の繊維の少なくとも50重量%は、US篩の篩サイズ番号10(2mmの目開き)を通過する平均長さを有する。この未精製の未加工コットンリンターの集合体は、AOCS(米国油化学会(American Oil Chemists’Society))の公定法Bb3−47で測定すると、少なくとも60%のセルロースを含む、一次切断、二次切断、三次切断および/または未選別の未精製の天然の未加工コットンリンター、または、それらの混合物からなる疎な集合体を得ること、および、該疎な集合体を、少なくとも50重量%の繊維は、米国標準の篩サイズ番号10を通過する長さに粉砕することによって製造される。このようなセルロースエーテル誘導体は、出発原料として、上述の、粉砕した集合体または未加工コットンリンター繊維を用いて製造される。切断された未加工コットンリンターの集合体は、まず、スラリー法またはハイソリッド法で、9重量%より高いセルロース濃度で、塩基で処理され、活性セルローススラリーを形成する。次に、この活性セルローススラリーを、エーテル化剤と十分な時間、十分な温度で反応させ、セルロースエーテル誘導体を形成し、続いてこれを回収する。上記の様々な本発明のCEの製造方法の改変は、当業界周知である。
【0036】
本発明のCEはまた、製造元からの一次、二次、三次切断および/または未選別のいずれかのRCLの梱で得られる切断されていない未加工コットンリンターから製造することもできる。
【0037】
未加工コットンリンターの機械的な洗浄により得られた、未加工コットンリンターを含む組成物は、非セルロース系の異物(例えば田畑の塵、くず、種の外殻など)を実質的に含まず、これもまた、本発明のセルロースエーテルを製造するために用いることができる。未加工コットンリンターの機械的洗浄技術としては、打綿、スクリーニングおよび空気分離技術に関するものが挙げられ、これらは当業者周知である。機械的な打綿技術、および、空気分離技術の組み合わせを用いて、繊維とくずとの密度差を利用してくずから繊維を分離する。また、機械的に洗浄した未加工コットンリンターと、「そのままの」未加工コットンリンターとの混合物も、セルロースエーテルを製造するのに用いることができる。
【0038】
本発明のモルタルは、可塑化および/または押出しの挙動において、従来のセルロースエーテルで製造されたセメント押出し用モルタルと比較した場合、それらと同等であるか、または、改善されており、さらに、それらより低いか、または、同等のひび割れの形成(これらのセメントモルタルを特徴付けるために当業界で広く用いられる重要なパラメーターである)を示す。
【0039】
「可塑化」は、力を加えた状態で、断裂したり破壊したりすることなく加えられた力に応じて集合体の形状を永久に変化させる能力と定義される。
【0040】
ひび割れの形成は、対応する検査技師が、可塑化された材料の表面および様相を目で見て判断することによって主観的に評価された。
【0041】
本発明のモルタルは、より低いCE添加レベルのために、従来のセルロースエーテルで製造されたセメント押出し用モルタルと比較した場合、より低い添加レベルで用いることができるという利点を有し、それによって、押出しセメントベースの製品に関して生産コストをより低くする。
【0042】
典型的なセメント押出し材料は、以下の成分のうちいくつか、または全部を含んでいる可能性もある:
【0043】
【数1】

【0044】
以下の実施例で、本発明を説明する。部およびパーセンテージは、特に他の規定がない限り重量に基づく。
【0045】
実施例1
実施例1および2は、類似の市販のポリマーと比較した、本発明のポリマーの化学特性および物理特性のいくつかを示す。
【0046】
置換度の測定
セルロースエーテルを、150℃でヨウ化水素酸を用いたツァイゼル(Zeisel)の改変法によるエーテル切断で処理した。得られた揮発性の反応生成物を、ガスクロマトグラフで定量的に測定した。
【0047】
粘度の測定
セルロースエーテル水溶液の粘度を、1重量%および2重量%の濃度を有する溶液で測定した。セルロースエーテル溶液の粘度を確認する場合、それに対応するメチルヒドロキシアルキルセルロースを乾燥基準で用いた(すなわち水分の割合を、量をさらに多くすることで補正した)。精製コットンリンターまたは高粘度の木材パルプ系の、現在入手可能な市販のメチルヒドロキシアルキルセルロースの粘度は、最大2重量%の水溶液において、約70,000〜80,000mPaの粘度を有する(ブルックフィールドRVTを用いて、20℃および20rpmで測定した)。
【0048】
粘度を測定するために、ブルックフィールドRVT回転式粘度計を用いた。2重量%水溶液での全ての測定は、20℃および20rpmで、スピンドル番号7を用いてなされた。
【0049】
塩化ナトリウム含量
塩化ナトリウム含量をモール方法によって測定した。0.5gの生成物を化学天秤で計量し、150mlの蒸留水に溶解した。続いて、30分間撹拌した後に、1mlの15%HNOを添加した。その後、この溶液を、市販の装置を用いて標準化した硝酸銀(AgNO)溶液で滴定した。
【0050】
水分の測定
水分を、市販の水分計を105℃で用いて測定した。含水量は、重量の減少分と開始時の重量から得られた比率であり、パーセントで表示した。
【0051】
表面張力の測定
セルロースエーテル水溶液の表面張力を、クルス(Kruss)のデジタル張力計K10を用いて、20℃および0.1重量%の濃度で測定した。表面張力の測定のために、いわゆる「ヴィルヘルミーのプレート法」が用いられ、これは、薄いプレートを液体の表面まで下げて、プレートに向けられる下向きの力を測定するものである。
【0052】
【表1】

【0053】
表1は、RCLから誘導されたメチルヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースの分析データを示す。この結果から、明らかに、これらの生成物は、現在市販されている高粘度のCEより有意に高い粘度を有することが示される。2重量%の濃度で、約100,000mPaの粘度が検出された。その値は極めて高いために、1重量%水溶液の粘度を測定することは、信頼性が一層高く、簡単であった。この濃度で、市販の高粘性 メチルヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースは、7300〜約9000mPaの範囲粘度を示した(表1を参照)。未加工コットンリンター系の生成物に関する測定値は、市販の材料より有意に高かった。その上、表1において、明らかに、未加工コットンリンター系のセルロースエーテルは、コントロールサンプルより低い表面張力を有することが示される。
【0054】
実施例2
全ての試験を、65.00重量%のポルトランドセメントCEM I42.5R、および、35.00重量%のケイ砂(0.1〜0.3mmの粒度を有する)で構成されるセメント押出し用モルタルの基本混合物で行った。全ての実験において、用いられる基本混合物の量は、350gであった。
【0055】
可塑化法
可塑化プロセスの前に、CEを、砂およびセメントの予備混合物(350gの予備混合物)と乾式混合し、プラスチックビーカーに投入した。この混合物に、水を添加し、同時に、この混合物を、十分に湿潤するようにスパーテルで混合した。その後、ブラベンダー(Brabender)プラスチコーダーを始動させ、湿潤した材料を、10秒以内にブラベンダープラスチコーダー(2つの混練羽根を備えた)の混合チャンバーに充填した。この材料を、9分間、可塑化および/または混練した。この混練時間の後、ブラベンダーのトルク、同様に、集合体の品質は、それ以上変化しなかった(最終トルク)。
【0056】
ブラベンダープラスチコーダーを止め、集合体を取り出した。
【0057】
RCLから製造されたメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、および、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)を、セメント押出し用モルタルの基本混合物で、コントロールとして用いられた市販の高粘性MHECおよびMHPC(ハーキュリーズ製)と比べて試験した。
【0058】
セメント押出しの場合、助剤は、セメント基本混合物に、優れた可塑性、同様に、安定性、優れた押出し、および、十分な生強度を提供するために用いられる。これらの特性は、押出しプロセスに必須である。
【0059】
その後、プラスチコーダーを用いてセメント押出し用モルタルの基本混合物を可塑化するそれらの能力に関して、様々なセルロースエーテルを試験した。全てのサンプルを、9分間、可塑化および/または混練した。その後、プラスチコーダーを開き、得られた材料を、可塑化の質、同様に、ひび割れの形成に関して主観的に評価した。表2に、この調査結果を示す。
【0060】
【表2】

【0061】
この結果から、明らかに、コントロールサンプルと比べて、両方のRCL系の製品は高効率であることが示される。0.2%の同じ添加レベルで、RCL−CEは、許容できる可塑化の挙動、同様に、低いひび割れの形成を示し、それに対して、コントロールサンプルは、これらの条件下でセメントベースの系を可塑化することができなかった。コントロールサンプルの添加レベルを0.3%に高めたところ、RCL−CEに比べて類似した性能の結果が得られた。
【0062】
従って、両方のRCL系CEは、セメント押出しプロセスのための効率的な可塑化および/または押出し助剤である。これらは、コントロールサンプル(現在のところ商業的に用いられる高粘性CE)に比べてかなり低い添加レベルでも、セメントベースの材料を可塑化することができる。
【0063】
実施例3
全ての試験を、65.00重量%のポルトランドセメントCEM I42.5R、および、35.00重量%のケイ砂(0.1〜0.3mmの粒度を有する)で構成されるセメント押出し用モルタル基本混合物で行った。全ての実験において、用いられる基本混合物の量は、350gであった。
【0064】
可塑化法
可塑化法は実施例9で説明されている。
【0065】
RCLから製造されたメチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)を、セメント押出し基本混合物において、いずれか単独で、または、流動化剤(修飾したRCL−MHEC)と組み合わせて、市販の高粘性MHECのコントロールサンプルと比べて試験した。
【0066】
様々なセルロースエーテル、および、変性セルロースエーテルをそれぞれ、プラスチコーダーを用いてセメント基本混合物を可塑化するそれらの能力に関して試験した。全てのサンプルを、9分間、可塑化および/または混練した。その後、プラスチコーダーを開き、得られた材料を、可塑化の質、同様に、ひび割れの形成に関して主観的に評価した。表3に、この調査結果を示す。
【0067】
【表3】

【0068】
この結果から、実施例9で見出された傾向、すなわちRCL−CEは、現在入手可能な高粘性CEよりも効率的であるということが再度確認された。RCL−MHECをリグニンスルホン酸カルシウム(流動化剤)で修飾したところ、得られたセメントベースの材料も、コントロールとしての修飾されたMHEC75000生成物を含むセメント質の材料よりも良好に可塑化された。その上、RCL−MHECを含むサンプルは、より少ないひび割れの形成を示した。
【0069】
また、流動化剤の添加により、改善された可塑化特性が得られることも明らかである。
【0070】
未加工RCL−CE、同様に修飾したRCL−CEは、現在のところ商業的に用いられる高粘性CEのコントロールサンプルに比べて、セメント押出しプロセスのための効率的な助剤であった; RCL−CEもまた、少ない適用量で類似の塗布性能を達成した。
【0071】
好ましい実施形態を参照して本発明を説明したが、当然ながら、特許請求された発明の本質と範囲を逸脱することなく、それらの形態および詳細における変化形および改変を作製することができる。このような変化形および改変は、本明細書に添付された請求項の権利および範囲内であるとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント押出し用モルタルに使用するための混合組成物であって、
a)20〜99.9重量%の量の、未加工コットンリンターから製造されたアルキルヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、および、それらの混合物からなる群より選択されるセルロースエーテル、および、
b)0.1〜80重量%の量の、有機性または無機性の増粘剤、垂れ防止剤、空気連行剤、湿潤剤、消泡剤、流動化剤、高性能吸収体、分散剤、カルシウム錯化剤、遅延剤、促進剤、撥水剤、再分散性粉末、バイオポリマーおよび繊維からなる群より選択される少なくとも1種の添加剤、
を含み、ここで、該混合組成物をセメント押出し用硬練りモルタル配合物に用いて、十分な量の水と混合すると、該配合物は、パイプ、レンガ、プレート、距離ホルダーまたはその他の物体の押出しのためのモルタルとして用いることができるモルタルになると予想され、ここで、モルタル組成物中の混合組成物の量は低減されており、得られた軟練りモルタルのひび割れの形成は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と同等か、または、それより低く、同時に、可塑化および/または押出し特性は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と比べて改善されているか、またはそれと同等である、上記混合組成物。
【請求項2】
前記アルキルヒドロキシアルキルセルロースのアルキル基は、1〜24個の炭素原子を有し、ヒドロキシアルキル基は、2〜4個の炭素原子を有する、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項3】
前記セルロースエーテルは、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC)、疎水化修飾したエチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、疎水化修飾したヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、および、それらの混合物からなる群より選択される、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項4】
前記混合物は、メチルセルロース(MC)、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、疎水化修飾したヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、疎水化修飾したエチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC)、スルホエチルメチルヒドロキシエチルセルロース(SEMHEC)、スルホエチルメチルヒドロキシプロピルセルロース(SEMHPC)、および、スルホエチルヒドロキシエチルセルロース(SEHEC)からなる群より選択される1種またはそれ以上の従来のセルロースエーテルをさらに含む、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項5】
前記セルロースエーテルの量は、70〜99.5重量%である、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の添加剤の量は、0.5〜30重量%である、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項7】
前記少なくとも1種の添加剤は、多糖類からなる群より選択される有機性の増粘剤である、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項8】
前記多糖類は、スターチエーテル、スターチ、グアール、グアール誘導体、デキストラン、キチン、キトサン、キシラン、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、マンナン、ガラクタン、グルカン、アラビノキシラン、アルギナート、および、セルロース繊維からなる群より選択される、請求項7に記載の混合組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1種の添加剤は、アクリルアミドのホモまたはコポリマー、ゼラチン、ポリエチレングリコール、カゼイン、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホン化メラミン−ホルムアルデヒド縮合体、スルホン化ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合体、ポリアクリル酸塩、ポリカルボキシレート エーテル、ポリスチレンスルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、アクリル酸およびそれらの塩の架橋されたホモまたはコポリマー、1〜4個の炭素原子を有する有機酸のカルシウム塩、アルカノアートの塩、硫酸アルミニウム、金属アルミニウム、ベントナイト、モンモリロナイト、海泡石、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール、および、酢酸ビニル系のホモ、コまたはターポリマー、マレイン酸エステル、エチレン、スチレン、ブタジエン、ビニルバーサテート、および、アクリル単量体からなる群より選択される、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1種の添加剤は、カルシウムキレート剤、フルーツ酸、および、表面活性物質からなる群より選択される、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項11】
前記モルタルで用いられる混合物の有意に低減された量は、少なくとも5%の低減である、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項12】
前記モルタルで用いられる混合物の有意に低減された量は、少なくとも10%の低減である、請求項1に記載の混合組成物。
【請求項13】
前記混合組成物は、MHECまたはMHPC、および、流動化剤である、請求項4に記載の混合組成物。
【請求項14】
前記流動化剤は、カゼイン、リグニンスルホン酸塩、ナフタレン−スルホン酸塩、スルホン化メラミン−ホルムアルデヒド縮合体、スルホン化ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合体、ポリアクリル酸塩、ポリカルボキシレート エーテル、ポリスチレンスルホン酸塩、および、それらの混合物からなる群より選択される、請求項13に記載の混合組成物。
【請求項15】
セメント押出し用モルタル組成物であって、水硬性セメント、細骨材原料および水分保持剤、ならびに、未加工コットンリンターから製造された少なくとも1種のセルロースエーテルの可塑化および/または押出し助剤を含み、ここで、該セメント押出し用硬練りモルタル組成物を十分な量の水と混合すると、パイプ、レンガ、プレート、距離ホルダーまたはその他の物体の押出しのために用いることができる軟練りセメント押出し用モルタルになり、ここで、該モルタル中のセルロースエーテルの量は有意に低減されており、得られた軟練りモルタルのひび割れの形成は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と同等か、または、それより低く、同時に、可塑化および/または押出し特性は、従来の類似のセルロースエーテルを用いた場合と比べて改善されているか、またはそれと同等である、上記組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1種のセルロースエーテルは、未加工コットンリンターから製造された、アルキルヒドロキシアルキルセルロース、および、ヒドロキシアルキルセルロース、および、それらの混合物からなる群より選択される、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項17】
前記アルキルヒドロキシアルキルセルロースのアルキル基は、1〜24個の炭素原子を有し、ヒドロキシアルキル基は、2〜4個の炭素原子を有する、請求項16に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項18】
前記セルロースエーテルは、メチルヒドロキシエチルセルロース(MHEC)、メチルヒドロキシプロピルセルロース(MHPC)、メチルエチルヒドロキシエチルセルロース(MEHEC)、エチルヒドロキシエチルセルロース(EHEC)、疎水化修飾したエチルヒドロキシエチルセルロース(HMEHEC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、疎水化修飾したヒドロキシエチルセルロース(HMHEC)、および、それらの混合物からなる群より選択される、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項19】
前記セルロースエーテルは、適用可能であれば、無水グルコース単位あたり、0.5〜2.5のメチルまたはエチル置換度、0.01〜6のヒドロキシエチルまたはヒドロキシプロピルのモル置換度(MS)、および、0.01〜0.5の疎水性置換基/置換基のモル置換度(MS)を有する、請求項18に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項20】
前記セルロースエーテルの量は、0.05〜2.0重量%である、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項21】
有機性または無機性の増粘剤、垂れ防止剤、空気連行剤、湿潤剤、消泡剤、流動化剤、高性能吸収体、分散剤、カルシウム錯化剤、遅延剤、促進剤、撥水剤、再分散性粉末、バイオポリマーおよび繊維からなる群より選択される1種またはそれ以上の添加剤と組み合わせた、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項22】
前記1種またはそれ以上の添加剤は、多糖類からなる群より選択される有機性の増粘剤である、請求項21に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項23】
前記多糖類は、スターチエーテル、スターチ、グアール、グアール誘導体、デキストラン、キチン、キトサン、キシラン、キサンタンガム、ウェランガム、ジェランガム、マンナン、ガラクタン、グルカン、アラビノキシラン、アルギナート、および、セルロース繊維からなる群より選択される、請求項22に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項24】
前記1種またはそれ以上の添加剤は、ポリアクリルアミド、ゼラチン、ポリエチレングリコール、カゼイン、リグニンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、スルホン化メラミン−ホルムアルデヒド縮合体、スルホン化ナフタレン−ホルムアルデヒド縮合体、ポリアクリル酸塩、ポリカルボキシレートエーテル、ポリスチレンスルホン酸塩、フルーツ酸、リン酸塩、ホスホン酸塩、アクリル酸およびそれらの塩の架橋されたホモまたはコポリマー、有機酸のカルシウム塩、アルカノアートの塩、硫酸アルミニウム、1〜4個の炭素原子を有する金属アルミニウム、ベントナイト、モンモリロナイト、海泡石、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール、および、酢酸ビニル系のホモ、コまたはターポリマー、マレイン酸エステル、エチレン、スチレン、ブタジエン、ビニルバーサテート、および、アクリル単量体からなる群より選択される、請求項21に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項25】
前記1種またはそれ以上の添加剤の量は、0.0001〜15重量%である、請求項21に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項26】
前記細骨材原料は、ケイ砂、ドロマイト、石灰石、軽量骨材、ゴム粉末、および、フライアッシュからなる群より選択される、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項27】
前記軽量骨材は、パーライト、発泡ポリスチレン、コルク、膨張バーミキュライト、および、中空ガラス球状体からなる群より選択される、請求項26に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項28】
前記細骨材原料は、10〜90重量%の量で存在する、請求項26に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項29】
前記細骨材原料は、20〜80重量%の量で存在する、請求項26に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項30】
前記水硬性セメントは、ポルトランドセメント、ポルトランドスラグセメント、ポルトランドシリカフュームセメント、ポルトランドポゾランセメント、ポルトランドバーントシェールセメント、ポルトランド石灰石セメント、ポルトランド複合セメント、高炉セメント、ポゾランセメント、複合セメント、および、アルミン酸カルシウムセメントからなる群より選択される、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項31】
前記水硬性セメントは、10〜90重量%の量で存在する、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項32】
前記水硬性セメントは、15〜70重量%の量で存在する請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項33】
消石灰、石膏、ポゾラン、高炉スラグおよび水硬性石灰からなる群より選択される少なくとも1種のその他の鉱物性の結合剤と組み合わせた、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項34】
前記少なくとも1つの鉱物性の結合剤は、0.1〜30重量%の量で存在する、請求項33に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項35】
前記セメント押出し用モルタル組成物で用いられるセルロースエーテルの有意に低減された量は、少なくとも5%の低減である、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項36】
前記セメント押出し用モルタル組成物で用いられるセルロースエーテルの有意に低減された量は、少なくとも10%の低減である、請求項15に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項37】
前記MHECまたはMHPCは、ブルックフィールドRVT粘度計で、2重量%、20℃および20rpmで、スピンドル番号7を用いて測定した場合、80,000mPaより大きい水溶液のブルックフィールド粘度を有する、請求項18に記載のセメント押出し用モルタル組成物。
【請求項38】
前記MHECまたはMHPCは、ブルックフィールドRVT粘度計で、2重量%、20℃および20rpmで、スピンドル番号7を用いて測定した場合、90,000mPaより大きい水溶液のブルックフィールド粘度を有する、請求項18に記載のセメント押出し用モルタル組成物。

【公表番号】特表2007−534607(P2007−534607A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510872(P2007−510872)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014208
【国際公開番号】WO2005/105700
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】