説明

杭の接続構造及び杭と羽根の接続構造

【課題】容易に杭を接続することのできる杭の接続構造を提供する。
【解決手段】2本の円管状の杭1の端部2を、短筒状の継手3にて、相互に接続する接続構造であって、杭1の端部2に外径方向突出状の複数の突隆部6を形成する。杭1の端面に、円弧部と凸部を交互に設ける。さらに、継手3が、軸心J方向中間部に内鍔部10を有する。内鍔部10には円弧部と凸部に各々対応した円弧状溝部11と凸状溝部12から成る環状凹溝13が形成されている。継手3の内周面に形成したガイド溝を介して突隆部6が案内されて凸状溝部12に差込まれて接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭の接続構造及び杭と羽根の接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般住宅等の小規模建築物の耐震基礎構造の施工方法として、細径の鋼管杭を地中に進入させ地盤に打ち込み(例えば、特許文献1参照)、その鋼管杭の上にコンクリートを打設する方法がある。そして、地盤が柔らかい場合や、岩盤が地中の深い位置にある場合は、1本の鋼管杭では不十分なので、2本の鋼管杭を鉛直方向に接続して地中に進入させ地盤に打ち込んでいた。
また、杭の下端部(先端部)には、掘削用等の羽根を溶接して一体状に固着していた。
【特許文献1】特開2005−90128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来は、2本の鋼管杭は溶接にて接続されており、また、杭と羽根も溶接にて接続されていたので、接続作業に時間がかかったり、溶接作業者の技術によって接続強度等にばらつきがある問題があった。また、溶接に必要な電力を確保したり、施工現場に溶接機を運び込んだりしなければならず、面倒であり、また、火災の虞れもあって、溶接作業は特に一般住宅の基礎構造の施工には不向きであった。
【0004】
そこで、本発明は、容易に杭を接続することのできる杭の接続構造、及び、容易に杭と羽根とを接続することができる杭と羽根の接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明に係る杭の接続構造は、2本の円管状の杭の端部を、短筒状の継手にて、相互に接続する接続構造であって、上記杭の端部に外径方向突出状の複数の突隆部を形成し、上記杭の端面に、円弧部と凸部を交互に設け、さらに、上記継手が、軸心方向中間部に内鍔部を有し、該内鍔部には上記円弧部と凸部に各々対応した円弧状溝部と凸状溝部から成る環状凹溝が形成され、上記継手の内周面に形成したガイド溝を介して上記突隆部が案内されて上記凸状溝部に差込まれて接続されるものである。
【0006】
また、上記ガイド溝が、上記継手の開口端に連続した軸心方向の突隆部ガイド用縦溝と、該縦溝の内端部に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝から成る略L字状であって、かつ、上記横溝の突当たり面及び上記環状凹溝の上記凸状溝部の一側壁面が、上記杭の端部が上記環状凹溝に差込まれた接続状態に於て上記突隆部から回転トルクが伝達される回転トルク受面とされ、さらに、上記内鍔部に於て、上記環状凹溝の上記凸状溝部を形成する小陸部は、上記杭の端部の突隆部の内面に対応して、上記突隆部が回転トルクによって内径方向に変形するのを阻止するように構成されているものである。
また、上記縦溝の軸心方向内端に、上記突隆部が該縦溝に案内された際に当接する当接面を有し、該当接面より上記小陸部の上面を軸心方向内方側に設けたものである。
【0007】
また、上記接続状態に於て、上記横溝の上部であって上記杭の外周面と上記継手の内周面の間に、隙間が形成され、上記継手が、該隙間に対応する高さ範囲内に径方向の孔を有し、該孔に、上記突隆部が軸心方向外方に戻るのを防止する戻り防止用軸部材が、その先端が上記継手の内周面から内径方向突出状となるように取り付けられているものである。
【0008】
また、本発明に係る杭と羽根の接続構造は、円管状の杭の端部と羽根を接続する杭と羽根の接続構造であって、上記杭の端部に外径方向突出状の複数の突隆部を形成し、上記杭の端面に、円弧部と凸部を交互に設け、上記羽根に一体又は一体状に有底又は無底の短筒状の連結部を設け、さらに、上記連結部の底壁又は内鍔部の上面に、上記円弧部と上記凸部に各々対応した円弧状溝部と凸状溝部から成る環状凹溝が形成され、上記連結部の内周面に形成したガイド溝を介して上記突隆部が案内されて上記凸状溝部に差込まれて接続されるものである。
【0009】
また、上記ガイド溝が、上記連結部の開口端に連続した軸心方向の突隆部ガイド用縦溝と、該縦溝の内端部に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝から成る略L字状であって、かつ、上記横溝の突当たり面及び上記環状凹溝の上記凸状溝部の一側壁面が、上記杭の端部が上記環状凹溝に差込まれた接続状態に於て上記突隆部から回転トルクが伝達される回転トルク受面とされ、さらに、上記底壁に於て、上記環状凹溝の上記凸状溝部を形成する小陸部は、上記杭の端部の突隆部の内面に対応して、上記突隆部が回転トルクによって内径方向に変形するのを阻止するように構成されているものである。
また、上記縦溝の下端に、上記突隆部が該縦溝に案内された際に当接する当接面を有し、該当接面より上記小陸部の上面を下側に設けたものである。
【0010】
また、上記接続状態に於て、上記横溝の上部であって上記杭の外周面と上記連結部の内周面の間に、隙間が形成され、上記連結部が、該隙間に対応する高さ範囲内に径方向の孔を有し、該孔に、上記突隆部が軸心方向外方に戻るのを防止する戻り防止用軸部材が、その先端が上記連結部の内周面から内径方向突出状となるように取り付けられているものである。なお、本発明に於て、「羽根」とは、掘削用として、杭の先端又は中間に、固着されるもの、又は、打設後に杭に作用する鉛直荷重に対する支持能力を増大させるため等に杭の中間及び/又は先端に固着されるものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の杭の接続構造によれば、一対の杭を継手を介して容易に接続することができ、従来のように、杭同士を溶接する必要がなくなる。このことにより、杭の接続作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することができる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもないので、特に、一般住宅の基礎構造の施工に好適である。また、雨天時の接続作業も可能となる。また、一対の杭を継手の機械的構造によって接続するので、接続強度を均一にすることができる。
【0012】
本発明の杭と羽根の接続構造によれば、杭と羽根とを容易に接続することができる。即ち、従来のように、杭と羽根とを溶接して接続する必要がなくなるので、杭と羽根との接続作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することができる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもないので、特に、一般住宅の基礎構造の施工に好適である。また、雨天時の接続作業も可能となる。また、杭と羽根とを連結部材の機械的構造により接続するので、接続強度を均一にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜図3は、本発明の第1の実施の形態の使用状態を示す。本発明の杭の接続構造は、2本の円管状の杭1の端部2を、短筒状の継手3にて、相互に接続する接続構造であって、例えば、2本以上の住宅用鋼管杭を順次接続する際の接続構造として用いられる。継手3は、例えば、鋳造にて製造される(鋳鉄とする)。好ましくは、継手3はダクタイル又は可鍛鋳鉄から成る。2本の杭1を接続後、上側の杭1に(図示省略の建設機械の回転押込手段にて)回転トルクTを与えて、この回転トルクTを下側の杭1に伝える。下側の杭1の下端4に、後述のように羽根5が接続されている。下側の杭1の回転にともなって羽根5が回転し、地中Gを掘削しつつ杭1が埋設されていく。
【0014】
図4・図5に示すように、杭1の端部2に外径方向突出状の複数の突隆部6が塑性加工にて形成され、杭1の端面7に、略同一の肉厚として、円弧部8と凸部9が交互に設けられている。突隆部6は、横断面形状が矩形状に形成されている。
【0015】
図6〜図11(図8は展開図を示す。図9・図10・図11は、それぞれ図8のA−A断面図、B−B断面図、C−C断面図を示す。)に示すように、継手3が、軸心J方向中間部に内鍔部10を有する。内鍔部10には円弧部8と凸部9(図5参照)に各々対応した円弧状溝部11と凸状溝部12から成る環状凹溝13が形成されている。図12〜図15に示すように、継手3の内周面14に形成したガイド溝15を介して突隆部6が案内されて凸状溝部12に差込まれて接続される。
【0016】
ガイド溝15は、継手3の開口端16に連続した軸心J方向の突隆部ガイド用縦溝17と、縦溝17の内端部18に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝19から成る略L字状である。 横溝19の突当たり面20及び環状凹溝13の凸状溝部12の一側壁面21が、杭1の端部2が環状凹溝13に差込まれた接続状態に於て突隆部6から回転トルクT(図1参照)が伝達される回転トルク受面(回転トルク伝達面)22とされる。
【0017】
図3にもどって、内鍔部10に於て、環状凹溝13の凸状溝部12(の内径側)を形成する小陸部23は、杭1の端部2の突隆部6の内面24に対応して、突隆部6が回転トルクTによって内径方向Nに変形するのを阻止するように構成されている。つまり、塑性加工によって形成された突隆部6の肉厚は、他の部位(円弧部8)と略同一で薄肉であるが、それが大きな回転トルクを受けて潰れるように塑性変形しないように小隆部23が規制(阻止)する。
【0018】
図6・図8・図12・図13に示すように、縦溝17の軸心J方向内端25に、突隆部6が縦溝17に案内された際に当接する当接面26を有し、当接面26より小陸部23の上面27が軸心J方向内方側に設けられている。すなわち、当接面26は小陸部23の上面27より軸心J方向外方に約 0.2mm〜 1.5mmの高さ寸法hだけ高く設定されている。
【0019】
図16は、第2の実施の形態を示す。すなわち、突隆部6は、横断面形状が台形状に形成されている。小陸部23や凸状溝部12は、台形状とする。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0020】
図17は、第3の実施の形態を示す。すなわち、突隆部6は、横断面形状が半円形状に形成されている。小陸部23や凸状溝部12は、半円形状とする。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0021】
図18は、第4の実施の形態を示す。接続状態に於て、横溝19の上部28であって杭1の外周面29と継手3の内周面14の間に、隙間S1 が形成されている。継手3が、隙間S1 に対応する高さ範囲H1 内に径方向の孔30を有する。孔30に、突隆部6が軸心方向外方E1 に戻るのを防止する戻り防止用軸部材31が、その先端32が継手3の内周面14から内径方向突出状となるように取り付けられている。戻り防止用軸部材31は、例えば、ネジ又はピンから成る。孔30は、戻り防止用軸部材31に対応した形状に形成されている。その他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0022】
図19・図20は、第5の実施の形態を示す。この杭と羽根の接続構造は、円管状の杭1の端部2と羽根5を接続する杭1と羽根5の接続構造である。羽根5とは、杭1を打設時に地中を掘削するためのもの、あるいは、打設の後に、建造物・構築物の重量を支持するためのもの等を、指す。
杭1の構造は、第1の実施の形態に於て説明したものと同様なので、説明を省略する(図4・図5参照)。
羽根5に一体又は一体状に短筒状の連結部33が設けられている。連結部33の底壁34の上面35に、杭1の円弧部8と凸部9に各々対応した円弧状溝部36と凸状溝部37から成る環状凹溝38が形成され、連結部33の内周面39に形成したガイド溝40を介して突隆部6が案内されて凸状溝部37に差込まれて接続される。
【0023】
ガイド溝40が、連結部33の開口端41に連続した軸心J方向の突隆部ガイド用縦溝42と、縦溝42の内端部43に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝44から成る略L字状である。
【0024】
横溝44の突当たり面45及び環状凹溝38の凸状溝部37の一側壁面46が、杭1の端部2が環状凹溝38に差込まれた接続状態に於て突隆部6から回転トルクTが伝達される回転トルク受面(回転トルク伝達面)47とされている。
底壁34に於て、環状凹溝38の凸状溝部37を形成する小陸部48は、杭1の端部2の突隆部6の内面24に対応して、突隆部6が回転トルクTによって内径方向に変形するのを阻止するように構成されている。
【0025】
縦溝42の下端49に、突隆部6が縦溝42に案内された際に当接する当接面50を有し、当接面50より小陸部48の上面51が下側に設けられている。
なお、図19,図20に於て、2点鎖線にて示すように、孔部60が形成された無底の短筒状に、連結部33が形成されている場合にも、同様に構成する。さらに(図示省略するが、)図1〜図18で述べたところの継手3の外周面に羽根5を突設した構造とすることも可能であり、継手機能と羽根機能とを兼ねる構成でも好ましい。
【0026】
接続状態に於て、横溝44の上部52であって杭1の外周面29と連結部33の内周面39の間に、隙間S2 が形成されている。連結部33が、隙間S2 に対応する高さ範囲H2 内に径方向の孔53を有する。孔53に、突隆部6が軸心方向外方E2 に戻るのを防止する戻り防止用軸部材54が、その先端55が連結部33の内周面39から内径方向突出状となるように取り付けられている。戻り防止用軸部材54は、例えば、ネジ又はピンから成る。孔53は、戻り防止用軸部材54に対応した形状に形成されている。
【0027】
なお、本発明は、設計変更可能であって、例えば、突隆部6に関しては、塑性加工により形成される以外に、熱間鍛造によって形成したり、若しくは、鋳造管として杭1と一体に鋳造形成しても、自由である。但し、小隆部23が突隆部6の変形を阻止する作用効果は、塑性加工にて突隆部6を形成した場合に顕著である。突隆部6の個数は、増減自在である。すなわち、図3・図5・図7に於て、突隆部6が4個の場合を示したが、例えば、2個、6個等とするも良い。また、形状も、三角形状や半円弧状や台形状等でも自由である。また、第5の実施の形態の孔53及び戻り防止用軸部材54を省略したものとするも良い。
【0028】
また、本発明の接続構造を、最上に配設された杭1に、回転トルク付加用中実棒を接続する場合に於て、適用するも良い。すなわち、杭1の上端に突隆部6を形成するとともに、上記中実棒の下端に上述の継手3の構造(例えば、第1の実施の形態の継手3の下半分)を形成して、それらを接続する構成とするも良い。この場合、中実棒に回転トルクを付与するので、(図示省略の建設機械の回転押込手段にて)容易に大きな回転トルクTを付与することができる。
【0029】
以上のように、本発明は、2本の円管状の杭1の端部2を、短筒状の継手3にて、相互に接続する接続構造であって、杭1の端部2に外径方向突出状の複数の突隆部6を形成し、杭1の端面7に、円弧部8と凸部9を交互に設け、さらに、継手3が、軸心J方向中間部に内鍔部10を有し、内鍔部10には円弧部8と凸部9に各々対応した円弧状溝部11と凸状溝部12から成る環状凹溝13が形成され、継手3の内周面14に形成したガイド溝15を介して突隆部6が案内されて凸状溝部12に差込まれて接続されるので、一対の杭1を継手3を介して容易に接続することができ、従来のように、杭同士を溶接する必要がなくなる。このことにより、杭1の接続作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することができる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもないので、特に、一般住宅の基礎構造の施工に好適である。また、雨天時の接続作業も可能となる。また、一対の杭1を継手3の機械的構造によって接続するので、接続強度を均一にすることができる。
【0030】
また、上記ガイド溝15が、継手3の開口端16に連続した軸心J方向の突隆部ガイド用縦溝17と、縦溝17の内端部18に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝19から成る略L字状であって、かつ、横溝19の突当たり面20及び環状凹溝13の凸状溝部12の一側壁面21が、杭1の端部2が環状凹溝13に差込まれた接続状態に於て突隆部6から回転トルクTが伝達される回転トルク受面22とされ、さらに、内鍔部10に於て、環状凹溝13の凸状溝部12を形成する小陸部23は、杭1の端部2の突隆部6の内面24に対応して、突隆部6が回転トルクTによって内径方向Nに変形するのを阻止するように構成されているので、杭1を継手3に差込んで回転させるだけで、一対の杭1を接続することができるので、現場にて容易かつ迅速に接続することができる。特に、小陸部23によって突隆部6の変形を阻止するので、(塑性加工にて形成されて)突隆部6の肉厚が比較的に小さい場合にも、大きな回転トルクTを与えることができる。
【0031】
また、縦溝17の軸心J方向内端25に、突隆部6が縦溝17に案内された際に当接する当接面26を有し、当接面26より小陸部23の上面27を軸心J方向内方側に設けたので、杭1を継手3に差込んで回転させる際に、突隆部6が小陸部23に当接する虞れがなく、スムーズに杭1を回転させることができる。
【0032】
また、接続状態に於て、横溝19の上部28であって杭1の外周面29と継手3の内周面14の間に、隙間Sが形成され、継手3が、隙間Sに対応する高さ範囲H内に径方向の孔30を有し、孔30に、突隆部6が軸心方向外方Eに戻るのを防止する戻り防止用軸部材31が、その先端32が継手3の内周面14から内径方向突出状となるように取り付けられているので、杭1を継手3に接続した後に、不意に杭1が継手3から離脱するのを防止することができる。
【0033】
また、円管状の杭1の端部2と羽根5を接続する杭1と羽根5の接続構造であって、杭1の端部2に外径方向突出状の複数の突隆部6を形成し、杭1の端面7に、円弧部8と凸部9を交互に設け、羽根5に一体又は一体状に有底又は無底の短筒状の連結部33を設け、さらに、連結部33の底壁34又は内鍔部10の上面35に、円弧部8と凸部9に各々対応した円弧状溝部36と凸状溝部37から成る環状凹溝38が形成され、連結部33の内周面39に形成したガイド溝40を介して突隆部6が案内されて凸状溝部37に差込まれて接続されるので、杭1と羽根5を容易に接続することができ、従来のように、杭と羽根を溶接する必要がなくなる。このことにより、杭1と羽根5の接続作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することができる。また、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、さらに、火災の虞れもないので、特に、一般住宅の基礎構造の施工に好適である。また、雨天時の接続作業も可能となる。また、杭1と羽根5を連結部33の機械的構造によって接続するので、接続強度を均一にすることができる。さらに、小陸部23によって突隆部6の変形を阻止するので、(塑性加工にて形成されて)突隆部6の肉厚が比較的に小さい場合にも、大きな回転トルクTを与えることができる。
【0034】
また、ガイド溝40が、連結部33の開口端41に連続した軸心J方向の突隆部ガイド用縦溝42と、縦溝42の内端部43に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝44から成る略L字状であって、かつ、横溝44の突当たり面45及び環状凹溝38の凸状溝部37の一側壁面46が、杭1の端部2が環状凹溝38に差込まれた接続状態に於て突隆部6から回転トルクTが伝達される回転トルク受面47とされ、さらに、底壁34に於て、環状凹溝38の凸状溝部37を形成する小陸部48は、杭1の端部2の突隆部6の内面24に対応して、突隆部6が回転トルクTによって内径方向Nに変形するのを阻止するように構成されているので、杭1を連結部33に差込んで回転させるだけで、杭1と羽根5を接続することができるので、現場にて容易に接続することができる。特に、小陸部48によって突隆部6の変形を阻止するので、大きな回転トルクTを与えることができる。
【0035】
また、縦溝42の下端49に、突隆部6が縦溝42に案内された際に当接する当接面50を有し、当接面50より小陸部48の上面51を下側に設けたので、杭1を連結部33に差込んで回転させる際に、突隆部6が小陸部23に当接する虞れがなく、スムーズに杭1を回転させることができる。
【0036】
また、接続状態に於て、横溝44の上部52であって杭1の外周面29と連結部33の内周面39の間に、隙間Sが形成され、連結部33が、隙間Sに対応する高さ範囲H内に径方向の孔53を有し、孔53に、突隆部6が軸心方向外方Eに戻るのを防止する戻り防止用軸部材54が、その先端55が連結部33の内周面39から内径方向突出状となるように取り付けられているので、杭1と羽根5を接続した後に、不意に杭1が連結部33から離脱して杭1と羽根5が分離するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1の実施の形態の使用状態を示す正面図である。
【図2】第1の実施の形態を示す断面正面図である。
【図3】図2のX−X断面図である。
【図4】杭を示す正面図である。
【図5】図4のY−Y断面図である。
【図6】継手を示す断面正面図である。
【図7】平面図である。
【図8】展開図である。
【図9】図8のA−A端面断面図である。
【図10】図8のB−B端面断面図である。
【図11】図8のC−C端面断面図である。
【図12】簡略作用説明図である。
【図13】簡略作用説明図である。
【図14】簡略作用説明図である。
【図15】簡略作用説明図である。
【図16】第2の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図17】第3の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図18】第4の実施の形態を示す断面正面図である。
【図19】第5の実施の形態を示す断面正面図である。
【図20】羽根を示す断面正面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 杭
2 端部
3 継手
5 羽根
6 突隆部
7 端面
8 円弧部
9 凸部
10 内鍔部
11 円弧状溝部
12 凸状溝部
13 環状凹溝
14 内周面
15 ガイド溝
16 開口端
17 縦溝
18 内端部
19 横溝
20 突当たり面
21 一側壁面
22 回転トルク受面
23 小陸部
24 内面
25 内端
26 当接面
27 上面
28 上部
29 外周面
30 孔
31 戻り防止用軸部材
32 先端
33 連結部
34 底壁
35 上面
36 円弧状溝部
37 凸状溝部
38 環状凹溝
39 内周面
40 ガイド溝
41 開口端
42 縦溝
43 内端部
44 横溝
45 突当たり面
46 一側壁面
47 回転トルク受面
48 小陸部
49 下端
50 当接面
51 上面
52 上部
53 孔
54 戻り防止用軸部材
55 先端
1 ,E2 軸心方向外方
1 ,H2 高さ範囲
J 軸心
N 内径方向
1 ,S2 隙間
T 回転トルク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の円管状の杭(1)の端部(2)を、短筒状の継手(3)にて、相互に接続する接続構造であって、
上記杭(1)の端部(2)に外径方向突出状の複数の突隆部(6)を形成し、上記杭(1)の端面(7)に、円弧部(8)と凸部(9)を交互に設け、
さらに、上記継手(3)が、軸心(J)方向中間部に内鍔部(10)を有し、該内鍔部(10)には上記円弧部(8)と凸部(9)に各々対応した円弧状溝部(11)と凸状溝部(12)から成る環状凹溝(13)が形成され、上記継手(3)の内周面(14)に形成したガイド溝(15)を介して上記突隆部(6)が案内されて上記凸状溝部(12)に差込まれて接続されることを特徴とする杭の接続構造。
【請求項2】
上記ガイド溝(15)が、上記継手(3)の開口端(16)に連続した軸心(J)方向の突隆部ガイド用縦溝(17)と、該縦溝(17)の内端部(18)に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝(19)から成る略L字状であって、
かつ、上記横溝(19)の突当たり面(20)及び上記環状凹溝(13)の上記凸状溝部(12)の一側壁面(21)が、上記杭(1)の端部(2)が上記環状凹溝(13)に差込まれた接続状態に於て上記突隆部(6)から回転トルク(T)が伝達される回転トルク受面(22)とされ、
さらに、上記内鍔部(10)に於て、上記環状凹溝(13)の上記凸状溝部(12)を形成する小陸部(23)は、上記杭(1)の端部(2)の突隆部(6)の内面(24)に対応して、上記突隆部(6)が回転トルク(T)によって内径方向(N)に変形するのを阻止するように構成されている請求項1記載の杭の接続構造。
【請求項3】
上記縦溝(17)の軸心(J)方向内端(25)に、上記突隆部(6)が該縦溝(17)に案内された際に当接する当接面(26)を有し、該当接面(26)より上記小陸部(23)の上面(27)を軸心(J)方向内方側に設けた請求項2記載の杭の接続構造。
【請求項4】
上記接続状態に於て、上記横溝(19)の上部(28)であって上記杭(1)の外周面(29)と上記継手(3)の内周面(14)の間に、隙間(S1 )が形成され、上記継手(3)が、該隙間(S1 )に対応する高さ範囲(H1 )内に径方向の孔(30)を有し、該孔(30)に、上記突隆部(6)が軸心方向外方(E1 )に戻るのを防止する戻り防止用軸部材(31)が、その先端(32)が上記継手(3)の内周面(14)から内径方向突出状となるように取り付けられている請求項2又は3記載の杭の接続構造。
【請求項5】
円管状の杭(1)の端部(2)と羽根(5)を接続する杭(1)と羽根(5)の接続構造であって、
上記杭(1)の端部(2)に外径方向突出状の複数の突隆部(6)を形成し、上記杭(1)の端面(7)に、円弧部(8)と凸部(9)を交互に設け、
上記羽根(5)に一体又は一体状に有底又は無底の短筒状の連結部(33)を設け、
さらに、上記連結部(33)の底壁(34)又は内鍔部(10)の上面(35)に、上記円弧部(8)と上記凸部(9)に各々対応した円弧状溝部(36)と凸状溝部(37)から成る環状凹溝(38)が形成され、上記連結部(33)の内周面(39)に形成したガイド溝(40)を介して上記突隆部(6)が案内されて上記凸状溝部(37)に差込まれて接続されることを特徴とする杭と羽根の接続構造。
【請求項6】
上記ガイド溝(40)が、上記連結部(33)の開口端(41)に連続した軸心(J)方向の突隆部ガイド用縦溝(42)と、該縦溝(42)の内端部(43)に円周方向に連設された突隆部ガイド用横溝(44)から成る略L字状であって、
かつ、上記横溝(44)の突当たり面(45)及び上記環状凹溝(38)の上記凸状溝部(37)の一側壁面(46)が、上記杭(1)の端部(2)が上記環状凹溝(38)に差込まれた接続状態に於て上記突隆部(6)から回転トルク(T)が伝達される回転トルク受面(47)とされ、
さらに、上記底壁(34)に於て、上記環状凹溝(38)の上記凸状溝部(37)を形成する小陸部(48)は、上記杭(1)の端部(2)の突隆部(6)の内面(24)に対応して、上記突隆部(6)が回転トルク(T)によって内径方向(N)に変形するのを阻止するように構成されている請求項5記載の杭と羽根の接続構造。
【請求項7】
上記縦溝(42)の下端(49)に、上記突隆部(6)が該縦溝(42)に案内された際に当接する当接面(50)を有し、該当接面(50)より上記小陸部(48)の上面(51)を下側に設けた請求項6記載の杭と羽根の接続構造。
【請求項8】
上記接続状態に於て、上記横溝(44)の上部(52)であって上記杭(1)の外周面(29)と上記連結部(33)の内周面(39)の間に、隙間(S2 )が形成され、上記連結部(33)が、該隙間(S2 )に対応する高さ範囲(H2 )内に径方向の孔(53)を有し、該孔(53)に、上記突隆部(6)が軸心方向外方(E2 )に戻るのを防止する戻り防止用軸部材(54)が、その先端(55)が上記連結部(33)の内周面(39)から内径方向突出状となるように取り付けられている請求項6又は7記載の杭と羽根の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2008−81997(P2008−81997A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−262248(P2006−262248)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000221638)東尾メック株式会社 (60)
【Fターム(参考)】