説明

杭耐力測定装置

【課題】 この発明は、杭の耐力を埋設施工機に設けた杭耐力測定装置で測定することにより、杭耐力を広範囲、高精度で且つ迅速に測定することができる杭耐力測定装置に関する。
【解決手段】 この杭耐力測定装置1は、杭の耐力を埋設施工機10により測定するものであって、埋設施工機10のドリルヘッド3と、該ドリルヘッド3を作動させるフィードチェーン2との連結部分にピン型ロードセル4を取り付けており、前記フィードチェーン2を介してドリルヘッド3で杭を押すと、その押込力を前記ロードセル4で測定してなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、埋設施工機で押込む杭の耐力を、埋設施工機を用いて測定することができる杭耐力測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ドリルヘッドHと、該ドリルヘッドHを昇降動させるフィードチェーンFとを備えた埋設施工機で、杭Kを押込んで杭の引抜き耐力を測定する方法として、従来は以下の3つの方法が知られている。
■ ドリルヘッドを作動させるフィードチェーンの給進装置において、油圧モータに作用する油圧力を測定し、換算して押込力とする方法(図示せず)。
■ 図3に示すように、フィードチェーンFの駆動スプロケット36の回転軸にピン型ロードセル31を取り付け、該ピン型ロードセル31でチェーン張力を測定し、杭Kの耐力に換算する方法。
■ 図4に示すように、埋設施工機41の他に別途の測定装置42を用意し、測定する方法。
【0003】しかし、■の油圧力を測定し換算する方法では、前記油圧回路で圧力差が生じていなければ測定することができない。また、油圧力は、油圧モータの効率や作動油温等の影響を受けるため、測定精度が悪いという欠点があった。
■の方法では、ピン型ロードセル31が駆動スプロケット36に取り付けられているため、フィードチェーンFの初期張力の影響を受けてしまい、測定精度の点で問題があった。
■の方法では、測定装置を埋設された杭毎にセットする必要があるため作業が中断し、迅速な埋設施工ができないという欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記事情に鑑みて創案されたものであって、その主たる課題は、杭の耐力を埋設施工機に設けた杭耐力測定装置で測定することにより、杭耐力を広範囲、高精度で且つ迅速に測定することにある。
【0005】
【発明が解決するための手段】上記課題を解決するために、請求項1の発明では、杭の耐力を埋設施工機により測定する杭耐力測定装置であって、埋設施工機のドリルヘッドと、該ドリルヘッドを作動させるフィードチェーンとを連結する伝動部材にロードセルを取り付けてなり、前記ドリルヘッドで杭を押す押込み力を前記ロードセルで検出して杭耐力を測定してなる、という技術的手段を講じている。また、請求項2の発明では、前記伝動部材がピン型ロードセルからなっており、該ピン型ロードセルにより押込み力を検出してなる、という技術的手段を講じている。更に、請求項3の発明では、前記ドリルヘッドとフィードチェーンとの連結部分で、フィードチェーン間に介設された第1連結部にピン型ロードセルをその中途位置で固定すると共に、該ピン型ロードセルの先端側と後端側をドリルヘッド側の第2連結部および第3連結部に固定してなる、という技術的手段を講じている。
【0006】請求項4の発明では、前記フィードチェーンの給進装置の油圧回路が、ブレーキを有するオイルモータにカウンタバランス弁を設けた上昇用送り回路と下降用送り回路とを有しており、上記オイルモータとカウンタバランス弁との間にシーケンス弁を介設して、ドリルヘッド重量がロードセルの測定に影響を与えないようにしてなる、という技術的手段を講じている。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の杭耐力測定装置の好適実施例について図面を参照しながら説明する。図1に示す杭耐力測定装置1は、一部のみ図示した埋設施工機10に取り付けられている。この耐力測定装置1は、給進装置で駆動されるフィードチェーン2と、該フィードチェーン2に連結されて昇降動するドリルヘッド3との連結部分に杭耐力を測定するロードセルとしてピン型ロードセル4を設けた構成からなっている。
【0008】埋設施工機10は、足廻り装置を有する移動式でも、あるいは固定式であってもよい。この埋設施工機10に設けられたフィードチェーン2は給進装置5で正逆回転するもので、下方に設けられて給進装置5に接続された駆動スプロケット6と、上方に設けられた従動スプロケット7との間に掛け渡された公知構成からなっている。
【0009】このフィードチェーン2は、中途位置で分断され、その両端部が第1連結部11に枢着されて無端となっている。この第1連結部11にはピン型ロードセル4が固定されており、本実施例ではピン型ロードセル4がその略中央位置で第1連結部11に固定され、先端および後端がドリルヘッドに接近する方向の前方と離れる方向の後方に突出している。
【0010】ドリルヘッド3は、横向きに突出する連結部を一体に有しており、該連結部はフィードチェーン2を前後に挟むように、第1連結部11の前方で僅かな隙間を隔てて対峙する第2連結部12と、第1連結部11の後方で僅かな隙間を隔てて対峙する第3連結部13とからなっている。そして、前記ピン型ロードセル4の先端部が第2連結部12に固定されており、前記ピン型ロードセル4の後端部が第3連結部13に固定されている。
【0011】ピン型ロードセル4は、フィードチェーン2とドリルヘッド3とを連結する強度を有するもので、公知構成からなっており、検知信号を入力して、杭耐力に換算する測定コントローラ9に接続されている。このピン型ロードセル4は、ドリルヘッド3とフィードチェーン2の間に一体的に取り付けられるので、チェーンの初期張力の影響を受けることがない。そして、フィードチェーン2の回転でドリルヘッド3を下降させて坑を押すと、その押込力はドリルヘッド3とフィードチェーン2との間で生じるロードセル4の歪み量をもとに測定することができる。
【0012】次に、図2は、フィードチェーン2を駆動する給進装置の油圧系統を示す回路図である。この油圧回路は、駆動スプロケット6の回転軸に出力軸が接続されたオイルモータ21を有しており、該オイルモータ21には付属のブレーキ22が装備されている。このオイルモータ21は、上昇用送り回路23と下降用送り回路24とを有しており、図示省略の方向切換弁(一部を点線で図示)を介してポンプと接続されている。なお25はドレン回路である。
【0013】そして、上昇用送り回路23には、アンロード弁とチェック弁とを有するカウンタバランス弁26が設けられられており、また、カウンタバランス弁26の下流側で上昇用送り回路23と下降用送り回路24の間には、前記ブレーキに圧油を供給するシャトル弁27が介設されている。
【0014】このような回路構成において、上記オイルモータ21とカウンタバランス弁26との間にはリリーフ弁とチェック弁とを有するシーケンス弁28を設けることが好ましい。このシーケンス弁28は、制動時に油圧が設定値になると開くため、フィードチェーン2にかかるドリルヘッド重量の影響を抑えることができる
【0015】給進装置の油圧回路は前記実施例に限定されず、要するにオイルモータとカウンタバランス弁との間にシーケンス弁を介設する構成であればよい。また、ピン型ロードセルは、ドリルヘッドとフィードチェーンとの連結部材として用いればよいので、前記実施例の連結部の構成に限定されるものではない。更に、前記実施例ではピン型ロードセルを用いたが、伝動部材はピンに限らない。その他要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【0016】
【発明の効果】以上、この発明によれば、杭の耐力の測定を、埋設施工機のドリルヘッドと該ドリルヘッドを作動させるフィードチェーンとの間の伝動部材に生じる歪みを検出して行うようにしたので、杭の埋設施工が中断されることなく、効率的に作業を行いながら、杭の耐力を測定することができる。また、杭とフィードチェーンとの間にロードセルを設けたので、低荷重からの測定が可能であって、測定を高精度且つ広範囲に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】杭耐力測定装置の実施例を示す説明図である。
【図2】給進装置の油圧回路を示す図である。
【図3】ロードセルを駆動スプロケットに設けた従来の杭耐力測定装置を示す説明図である。
【図4】埋設施工機の他に測定装置を用いた従来の杭耐力測定装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 杭耐力測定装置
2 フィードチェーン
3 ドリルヘッド
4 ロードセル
5 給進装置
6 駆動スプロケット
9 測定コントローラ
10 埋設施工機
11 第1連結部
12 第2連結部
13 第3連結部
21 オイルモータ
22 ブレーキ
23 上昇用送り回路
24 下降用送り回路
25 ドレン回路
26 カウンタバランス回路
27 シャトル弁
28 シーケンス弁
K 杭

【特許請求の範囲】
【請求項1】 杭の耐力を埋設施工機により測定する杭耐力測定装置であって、埋設施工機のドリルヘッドと、該ドリルヘッドを作動させるフィードチェーンとを連結する伝動部材にロードセルを取り付けてなり、前記ドリルヘッドで杭を押す押込み力を前記ロードセルで検出して杭耐力を測定してなることを特徴とする杭耐力測定装置。
【請求項2】 前記伝動部材がピン型ロードセルからなっており、該ピン型ロードセルにより押込み力を検出してなることを特徴とする請求項1に記載の杭耐力測定装置。
【請求項3】 ドリルヘッドとフィードチェーンとの連結部分で、フィードチェーン間に枢着された第1連結部にピン型ロードセルをその中途位置で固定すると共に、該ピン型ロードセルの先端側と後端側をドリルヘッド側の第2連結部および第3連結部に固定してなることを特徴とする請求項1または2に記載の杭耐力測定装置。
【請求項4】 フィードチェーンの給進装置の油圧回路が、ブレーキを有するオイルモータにカウンタバランス弁を設けた上昇用送り回路と下降用送り回路とを有しており、上記オイルモータとカウンタバランス弁との間にシーケンス弁を介設して、ドリルヘッド重量がロードセルの測定に影響を与えないようにしてなることを特徴とする請求項1から3に記載のいずれかの杭耐力測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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