説明

松葉からの抽出物を含む食品

脂肪連続エマルションを含み、上記エマルションが1以上の有機化合物を含む物質を含む食用品であって、上記物質は松葉類からの抽出物として得ることが可能である食用品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用品、特に、脂肪連続エマルションを含む食料品に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪連続エマルション類は、マーガリン類や低脂肪スプレッドを含む多くの食料品中に含まれる。低脂肪スプレッド類は、例えば、米国特許US4917915に開示される。脂肪相は、食料品の少なくとも経口特性の部分に関与する。ある種の低脂肪スプレッド類は、それらの健康特性のために商品化されており、その特性にはコレステロール低減能力が含まれる。
【0003】
国際特許出願WO98/28990は、濃度を高めたマグネシウム、カルシウムおよびカリウムの1種または複数と一緒に植物ステロールおよび/またはスタノールを用いる調味料、食物成分および食品の製造方法を開示する。この食物の摂取により、コレステロールのレベルと血圧の両方が下がると記載されている。
【0004】
脂肪連続エマルション類を含む食用品であって、バター状の外観及び経口特性を含む、改良された特性を有する食用品が依然として求められている。他の健康の健康上の利点、及び/又は、改良された健康特性を有するこの種の食用品も同様に依然として求められている。
【0005】
松葉は、Pinus属を含めて、マツ科植物の葉である。特定のタイプの松葉が十分な供給量で入手可能であり、様々な目的に使用されている。松葉抽出物は、日本国特許出願JP08107778Aおよび日本国特許JP07059538に、特定の飲料に有用であると記載されている。松葉抽出物を含む餅が日本国特許出願JP01218562Aに記載されている。
【0006】
松葉からのタクソールの抽出方法が、国際特許出願WO94/15483に記載されている。
【0007】
高血圧(high blood pressureまたはhypertension)は、多くの医療上の問題に関連していることが知られている。高血圧は冠状動脈性心臓病および脳卒中の危険を直接的に増大させる。高血圧は主として35歳を超えた人に起こるが、環境上および遺伝的要因、ならびに治療を要するいくつかの病状(例えば、真性糖尿病、痛風または腎臓疾患)により、全ての年代の人における高血圧の危険が増大し得る。
【0008】
米国特許US6329000は、特定の松葉抽出物を様々な疾患(心筋炎、狭心症、不整脈、糖尿病、老人性痴呆、突発性難聴および高血圧が含まれる)の治療に用いることを開示する。松葉抽出物は、水とアルコールを溶剤として用いる比較的簡単な抽出方法によって得られている。
【0009】
米国特許US5607971は、メタノール、ジエチルエーテルおよび塩化メチレンを用いる、ポンデローサマツ(Pinus ponderosa)からの血管作動性脂肪の抽出を開示する。単離されたこれらの化合物はエステル化されたアルカンジオール類である。
【0010】
米国特許US5690984は、圧力容器中、高圧で、松葉を他の天然産物の混合物と共に水中で煮ることによって松葉から製造される飲料を記載する。
【0011】
松葉とその抽出物はイソキュプレシン酸(isocupressic acid)類を含み得る。イソキュプレシン酸類は肉牛に毒性の問題を生じると記載されている。米国特許US6329000、米国特許US5607971、および米国特許US5690984では、かなりの量のイソキュプレシン酸が抽出物に残っていることが見出されている。
【0012】
米国特許US5466453はマツ抽出物の味を改善する方法を教示する。米国特許US6254858は、他の成分の中に、松の汁を含むヘアトリートメント組成物に関連する。米国特許US187802は、カエデ糖と松葉抽出物とネズの実(juniper berry)とを含む消毒組成物を記載する。その発明者等は、これらの製品は、かなりの量のイソキュプレシン酸を含むであろうと考えている。
【0013】
中国特許出願CN-A-1102111は、生の松葉ジュースの調製を記述する。
【0014】
松葉抽出物類は、脂肪連続エマルションを含む食用品中への取り込みのために有用であるということがここに判明した。
【0015】
本発明によれば、脂肪連続エマルションを含み、上記エマルションが1以上の有機化合物を含む物質を含む食用品であって、上記物質は松葉類からの抽出物として得ることが可能である食用品が提供される。
【特許文献1】日本国特許出願JP08107778A
【特許文献2】日本国特許JP07059538
【特許文献3】日本国特許出願JP01218562A
【特許文献4】国際特許出願WO94/15483
【特許文献5】国際特許出願WO98/28990
【特許文献6】米国特許US6329000
【特許文献7】米国特許US5607971
【特許文献8】米国特許US5690984
【特許文献9】米国特許US5466453
【特許文献10】米国特許US6254858
【特許文献11】米国特許US187802
【非特許文献1】Fette, Seifen, Anstrichmittel, 80 (1978), 180-186
【0016】
上記抽出物は、好ましくは水性抽出物である。抽出物が水性抽出物のとき、食用品は水性相を含み、上記物質は好ましくは上記水性相に存在する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
好ましくは、上記物質は、少なくとも2種の化合物AおよびBを含み、Aは、100%メタノールを溶離液として用いるシリカカラムからの溶出によってAとBの混合物から得ることができる化合物であり、Bは、メタノール/水の混合物(5〜40体積%)を用いる同じシリカカラムから一連の溶出物として得ることができる化合物である。Aは、好ましくは、フィトステロール、ポリフェノール、バイオフラボノイド、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体からなる群から選択される。Bは、好ましくは、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される。上記物質は、1種または複数の化合物Aと、1種または複数の化合物Bとを含み得る。好ましくは、上記物質は、A(または、2種上のA化合物が存在する場合、全A化合物)を、上記物質の重量に対して、5から60wt%、好ましくは10から50wt%、最も好ましくは15から40wt%の量で含み、上記物質は、B(または、2種上のB化合物が存在する場合、全B化合物)を、1から15wt%、好ましくは2から12wt%、最も好ましくは3から10wt%の量で含む。
【0018】
したがって、一実施形態において、上記物質は、フィトステロール、ポリフェノール類、バイオフラボノイド類、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物と、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される少なくとも1種の化合物とを含む。
【0019】
上記物質は、好ましくは、0.005wt%未満、より好ましくは0.003wt%未満、より一層好ましくは0.002wt%未満、例えば、0.001wt%未満の量で、イソキュプレシン酸化合物類を含む。「イソキュプレシン酸化合物類」および「イソキュプレシン酸類」という用語は、本明細書では、同じ意味で使用されており、イソキュプレシン酸それ自体と、酸松葉およびその抽出物に見出される好ましくは関連するジテルペン酸(例えば、インブリカトルン酸(imbricatoloic acid)、アガシン酸(agathic acid)、ジヒドロアガシン酸(dihydroagathic acid)、およびテトラヒドロアガシン酸(tetrahydroagathic acid)とを表す。イソキュプレシン酸類は、これらの酸の誘導体の形、例えば、アセチルインブリカトロン酸(acetylimbricatoloic acid)、およびアセチルイソキュプレシン酸(acetylisocupressic acid)であり得る。こうして、好ましくは、本発明の物質は、イソキュプレシン酸、インブリカトルン酸、アガシン酸、ジヒドロアガシン酸、テトラヒドロアガシン酸、アセチルインブリカトロン酸、およびアセチルイソキュプレシン酸を、0.005wt%未満、より好ましくは0.003wt%未満、より一層好ましくは0.002wt%未満、例えば0.001wt%未満の量で含む。好ましくは、上記物質は、イソキュプレシン酸類を含まないか、イソキュプレシン酸類を実質的に(すなわち、イソキュプレシン酸類の存在を通常の方法によっては検出できない、および/または、組成物の性質に影響を及ぼさない程度にしか)含まない。イソキュプレシン酸類の濃度は、例えばGCMSにより求めることができる。
【0020】
上記物質は、松葉から得ることができ、好ましくは得られる。松葉は、好ましくは、ポンデローサマツ以外のマツの種からのものである。マツの種には、Pinus albicaulis、イガゴヨウ(Pinus aristata)、Pinus attenuata、Pinus balfouriana、バンクスマツ(Pinus banksiana)、シロマツ(Pinus bungeana)、ヨーロッパハイマツ(Pinus cembra)、Pinus cembroides、Pinus clausa、ロッジポールマツ(Pinus contorta)、オオミマツ(Pinus coulteri)、アカマツ(Pinus densiflora)、エキナタマツ(Pinus echinata)、Pinus edulis、スラッシュマツ(Pinus elliottii)、Pinus engelmannii、フレキシマツ(Pinus flexilis)、Pinus glabra、ボスニアマツ(Pinus heldreichii)、Pinus jeffreyi、サトウマツ(Pinus lambertiana)、ブリスルコーンパイン(Pinus longaeva)、タイワンアカマツ(Pinus massoniana)、アメリカヒトツバマツ(Pinus monophylla)、アメリカミヤマゴヨウ(Pinus monticola)、モンタナマツ(Pinus mugo)、ビショップマツ(Pinus muricata)、ヨーロッパクロマツ(Pinus nigra)、ダイオウマツ(Pinus palustris)、ゴヨウマツ(Pinus parviflora)、Pinus pungens、Pinus quadrifolia、ラジアータマツ(Pinus radiata)、レジノサマツ(Pinus resinosa)、リギダマツ(Pinus rigida)、Pinus sabiniana、Pinus serotina、Pinus strobiformis、ストローブマツ(Pinus strobus)、ヨーロッパアカマツ(Pinus sylvestris)、チュウゴクアカマツ(Pinus tabulaeformis)、テーダマツ(Pinus taeda)、クロマツ(Pinus thunbergiana)、Pinus torreyana、バージニアマツ(Pinus virginiana)、Pinus yuannensis、およびPinus washoensisが含まれる。好ましくは、上記物質は、タイワンアカマツ、チュウゴクアカマツ、または、Pinus yuannensisからのものであり、より好ましくは、本発明の物質はタイワンアカマツからのものである。上記物質は、好ましくは、1種または複数の有機化合物、より好ましくは2種以上の有機化合物を含む。有機化合物は、炭素、水素および酸素原子と、任意選択で他の原子(例えば、窒素、リンおよび硫黄)とを含む化合物である。
【0021】
本発明の物質類は、好ましくは、シキミ酸および/またはキナ酸を含む。好ましくは、シキミ酸は、本発明の物質類中に、上記物質の重量に対して少なくとも10%、好ましくは少なくとも12%、より好ましくは少なくとも15%、例えば少なくとも16%、少なくとも17%、少なくとも18%、少なくとも19%、もしくは、少なくとも20%の量で存在する。シキミ酸の量の上限は、通常、やはり上記物質の50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、例えば、30重量%以下、または、25重量%以下である。シキミ酸は、塩または他の誘導体(例えばアセチルエステル)として存在していてもよい。
【0022】
好ましくは、キナ酸(通常、D-キナ酸)は、本発明の物質類中に、上記物質の重量に対して少なくとも5%、好ましくは少なくとも6%、より好ましくは少なくとも7%、例えば少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも12%、もしくは、少なくとも15%の量で存在する。キナ酸の量の上限は、通常、やはり上記物質の30重量%以下、より好ましくは27重量%以下、例えば、25重量%以下、または20重量%以下である。キナ酸は、塩または他の誘導体(例えばアセチルエステル)として存在していてもよい。
【0023】
特定の好ましい本発明の物質類は、シキミ酸とキナ酸とを、上の2つの段落において指定された量で含む。このような物質の例には、少なくとも10重量%のシキミ酸と少なくとも5重量%のキノ酸(例えば、10%から30%のシキミ酸と5%から20%のキノ酸)が含まれる。
【0024】
本発明の物質類は、低分子量の糖類、好ましくは、1000ダルトン未満の分子量を有する糖類をさらに含み得る。好ましい低分子量の糖類は単糖単位であり、これにはグルコース、フルクトースおよびイノシトールが含まれる。好ましくは、低分子溶の糖類の量は、上記物質の15重量%から50重量%、例えば、20重量%から40重量%、または20重量%から35重量%である。
【0025】
上記物質は、好ましくは、以下の工程を含む方法により得ることが可能であり、この方法は、
水、有機溶剤およびこれらの混合物から選択される溶剤(水が好ましい)により、好ましくは40℃から110℃の高温で松葉を処理して、第1抽出物を生成させる工程と
上記第1抽出物からイソキュプレシン酸化合物類を、好ましくはイオン交換樹脂および/または活性炭による処理によって(好ましくは、第1抽出物が水溶液である間に、より好ましくは高温で)除去する工程と、
任意選択で、処理された抽出物を濾過し濃縮して、粉末または濃厚液として上記物質を得る工程と
を含む。好ましくは、工程(a)の前に、松葉は非極性溶剤(例えば、4から10個の炭素原子を有するアルカン、例えばヘキサン)により、より好ましくは40℃から90℃の温度で、前処理される。この前処理により、通常、イソキュプレシン酸類の少なくとも一部が除去される。
【0026】
上記食用品は、脂肪連続エマルションからなる、または、本質的に脂肪連続エマルションからなることができる(例、ある種のマーガリン類又は低脂肪スプレッド類の場合)。この様に、脂肪連続エマルションは、食用品の全体を構成することができる。あるいは、上記食用品は、1種または複数の他の食品成分又は付加剤と共に、上記脂肪連続エマルションを含んでよい。
【0027】
脂肪連続エマルションは、好ましくは、食用品の重量に対して0.5から99.5wt%、好ましくは20から85wt%、より一層好ましくは30wt%から80wt%の量の脂肪含量を有する。好ましくは、水は、食用品に、0.5から99.5wt%、好ましくは10から50wt%の量で存在する。食用品は、この様に、水性相及び脂肪相を、好ましくは含む。
【0028】
脂肪連続エマルションにおける脂肪の固体脂肪含量は、Fette, Seifen, Anstrichmittel, 80 (1978), 180-186、に記載されているNMR-N値の測定により、便利に決定される。脂肪相は、好ましくは、5℃(=N5)で、10より大きい、好ましくは、20より大きい固体脂肪含量(非安定化(non-stabilized)脂肪についてNMRにより測定される)を示し、及び、35℃(=N35)で、20より小さい、好ましくは、10より小さい、最も好ましくは5未満の固体脂肪含量を示す。非安定化とは、N-値が、80℃より高温でまず脂肪を溶融させた後(それから溶融物を0℃まで冷却し、0℃に30分間保ち、次に、脂肪を測定温度に加熱し、その温度に30分間保ち、それから、N-値を測定する)、測定されることを意味する。
【0029】
本発明の1の実施態様は、脂肪及び水を含み、0.5から99.5wt%の脂肪含量を有する食用品であって、脂肪相が少なくとも、2の成分(D)及び(E)を含み、(D)において、N20が20より大きく、及び、(E)が少なくとも25wt%のモノ-及びジ-不飽和脂肪酸残基の含量を含むものである。成分(D)は、好ましくは、パーム分留物、エステル交換された硬化パームオイル及び硬化パームカーネルオイル、並びにこれらの分留物、液体オイル類及び硬化液体オイル類のエステル交換混合物、パームカーネルオイル及びパームオイルのエステル交換分留物、特に、パームカーネルステアリン及びパームオイルステアリン、並びにこれらの分留物、並びに、SUSトリグリセリド類を少なくとも20wt%含む脂肪類からなる群より選択される。好ましくは、(E)は、55から95wt%のモノ-及びジ-不飽和脂肪酸残基の含量を含み、成分(E)の例は、ヒマワリ油、高オレイン酸成分含有ヒマワリ油、ナタネ油、高オレイン酸成分含有ナタネ油、パーム油オレイン、コーン油、大豆油、及び高オレイン酸成分含有大豆油を含む。(D)の(E)に対する重量比は、好ましくは、10:1から1:20、より好ましくは、1:1から1:15、さらにより好ましくは、1:4から1:10である。
【0030】
好ましくは、本発明の食用品は、トランス型脂肪酸(12から24個の炭素原子を含み、1つの炭素-炭素2重結合を有するカルボン酸である)を本質的に含まない、すなわち、それらは、トランス型脂肪酸を、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満、例えば、0.05重量%未満、もしくは0.01重量%未満の量で含む。
【0031】
上記食用品は、上記食用品の全重量に基づき、及び、乾燥物質の重量で、好ましくは、上記物質を、0.01wt%から20wt%(例、0.01wt%から1wt%)、より好ましくは、0.05wt%から15wt%(例、0.05wt%から1wt%)、さらに好ましくは、0.1wt%から12wt%(例、0.1wt%から1wt%)の量で含む。
【0032】
本発明の食用品は、上記物質を含まない対応する製品に比べて、好ましくは、1つまたは複数の次の性質を有する:増大した硬さ、改善されたテクスチャ、増大したエアレーション、改善された展延性、改善された経口特性、改善された口あたり、改善された香りのインパクト、より良好な色、改善された粘性、より優れた加工性、および改善された健康特性。これらの性質は、本発明の物質を含まないこと以外は同じである食品に比べて改善される。本発明により改善される好ましい性質は経口特性および/または外観であり、特に、経口特性および/または外観はバターに一層類似しているようになる。
【0033】
食用品の増大した硬さは、本発明の特に好まれる利点である。増大した硬さは、例えば、製品が基質にナイフを用いて塗り拡げられる際に明白となる。
【0034】
本発明の物質は、治療活性を有している。本願において、治療活性という用語は、疾患または障害の治療、抑制もしくは防止における有用性を意味する。疾患および障害には、これに限定されないが、高血圧(高血圧症)が含まれる。1の態様においては、本発明は、本発明の食用品であって、哺乳類、特に、人間の血圧の低下をさせるのに用いるものを提供する。
【0035】
本発明は、次の作用の1つまたは複数に関連し得る:血圧降下;収縮期および/または拡張期の血圧降下;心拍数低下;交感神経活動低下;冠状動脈性心臓病の可能性の低下;動脈瘤の可能性の低下;脳卒中の可能性の低下;血液循環の改善;心臓血管系の改善;血管の健康の改善;平滑筋組織ストレスの低下;胸痛の可能性の低下;健康的な生活スタイルの一部の提供;健康的な血液循環の機会の増大;血管への加齢の影響の低下;心臓ストレスの低下;および運動後の回復時間の改善。
【0036】
本発明は、また、哺乳類の血圧を低下させる(及び/又は、高血圧症の治療)方法であって、本発明の食用品の有効量の投与を含むものに関する。本発明はさらに、高血圧症の治療及び/又は防止のための組成物の製造における本発明の食用品の使用を想定する。
【0037】
本発明の好ましい食用品は、マーガリン類、低脂肪スプレッド類、ベーカリースプレッド類、及び料理用スプレッド類である。これらの製品は、販売のために包装及びラベル貼りがされ、典型的には低温で保存されてもよい(例、15℃以下)。好ましい包装はフタのある容器類であって、好ましくは、プラスチック材からなるものであり、25gから1Kgの食用品を収納するのに十分なサイズであるものを含む。
【0038】
マーガリン類、及び、スプレッド類は、マーガリン類、低脂肪スプレッド類、又は超低脂肪スプレッド類(40wt%未満の脂肪を有する)の調製のための従来からある技術を用いて製造することができる。(欧州特許EP089082における例に開示される、その全体は、ここに明示して本願に援用される。)
【0039】
スプレッドは、適切な展延性の付与及び微生物による劣化を防止するために、好ましくは、連続脂肪相を有する。スプレッドは、展延される際に、水分を発散すべきではない。さらに、スプレッドは、冷蔵庫の温度(5℃)において、好ましくは展延が可能であり、室温(20℃)において安定であるが、口中において不安定化し、香味を発散すべきである。
【0040】
マーガリン又はスプレッドは、可塑化された連続脂肪相及び分散水性相を有する分散液である。この種の製品に関する一般の慣習通り、用語「連続脂肪相」とは、液体状態で存在し、連続相を形成するオイルと同様に、液体オイルに含まれる、可塑化(plastification)処置による脂肪の結晶化により液体オイルから相分離がされた固体脂肪粒子を含むことを意味する。しかし、「連続脂肪相」は、分散水性相に含まれるいかなる脂肪、例えば、いわゆる、油中水中油型構造を有する製品において生じるもの、を含まない。
【0041】
水性相は、水とは別に、ゲル化剤、及び、任意に、増粘剤、及び/又は、1以上の他の成分であって、一般に、マーガリン類及びスプレッド類に取り込まれるものを含んでもよい、例えば、香料、着色剤、乳化剤、塩、保存剤、及び酸である。
【0042】
同様に、付加剤が、脂肪相組成物に含まれてもよい。例えば、脂肪相組成物が1以上の乳化剤、及び/又は、着色剤の補充と共に、トリグリセリド類の混合物を含んでもよい。
【0043】
水性相組成物は、いくらかの脂肪を含んでもよいが、好ましくは、水性相組成物の脂肪含量は、約10wt%以下である。特に、水性相組成物は、本質的に脂肪を含まないことが好ましい。
【0044】
本願明細書全体に亘って、用語「油」及び「脂肪」は、互換的に用いられる。これらの用語は、ワックス類等のトリグリセリド類に物理的に類似する食用物質類、例えば、ホホバオイル、及びモノ−又はジサッカリド類のポリ脂肪酸エステル類、並びに、トリグリセリド類の代替物として使用可能なもの、又は、その混合物において使用可能なものと同様に、大豆油、ヒマワリ油、ヤシ油、魚油、ナタネ油、ココナッツ油、化学的及び/又は物理的に変性された製品、例えば、トリグリセリド混合物の水添、分留、及び/又は、エステル交換物、並びに、これらの2以上の混合物を含むことを意味する。
【0045】
水性相、及び/又は、脂肪相は、適当に乳化剤類を含んでもよい。含まれる乳化剤の量及び種類は重要でない。スプレッド類において一般に用いられる種類及び量の乳化剤類を取り込むことが好ましい。例えば、天然の、部分的に水添された、又は、完全に硬化されたヒマワリ油より誘導されるモノ−及びジ−グリセリド類の混合物が、水性相及び脂肪相の全重量について計算される約0.2〜約0.5wt%の使用量において、適当に採用されてれもよい。代替的には、他の油-適合性乳化剤類を用いることができる。この様な乳化剤類とモノ、及び/又は、ジ−グリセリド類との混合物も適切に用いることができる。
【0046】
典型的には、分散水性相の平均液滴径は、製品が適切な微生物学的安定性を維持できるとともに、口中での満足のいく香料の開放が可能である程度のものである。液滴径は、約3μmと約60μmとの間であってよいが、それより大きいか又は小さくてもよい。ここで言及される平均液滴径は、液滴径分布の体積重量平均である。J. Colloid and Interface Science (1972), 10, 206 及び (1983), 93, 521 に記述される手続きに従ったNMRによって決定することができる。
【0047】
本スプレッド類の平均液滴径は、調製の際の条件を調整することにより、容易に変化させることができる。
【0048】
本スプレッド類は、例えば、パンの上に、バター代替物として適切に用いることができる。しかし、例えば、チーズ又は野菜又は果実の香料又は小片を含むときには、それ自体で完全なスプレッドとしての使用も可能である。
【0049】
以下の非限定的実施例は本発明を例示し、その範囲を如何なる仕方においても限定しない。実施例において、また本明細書を通して、全てのパーセンテージ、部数および比率は、そうでないと指摘されない限り、重量によるものである。
【0050】
(実施例)
実施例において図1が参照される。
【0051】
(実施例1)
松葉抽出物
タイワンアカマツからの松葉(イソキュプレシン酸(ICA)含量は0.33wt%)100gを、水で洗浄し、短く切断して(3〜4cm)、フラスコに入れた。500gのヘキサンをフラスコに加え、撹拌しながら約3から5時間加熱還流した(〜60℃)。得られた松葉溶液を、ブフナー漏斗を通して濾過し、回転エバポレータを用いてヘキサンを除去した。粗抽出物は、8wt%のイソキュプレシン酸類の化合物を含む。この後、この抽出物は実験に使用されなかった。
【0052】
ヘキサンで処理した後に残された残留物をフラスコに移し、500mlの脱イオン水を加えた。混合物を100℃で3〜5時間撹拌した。次に、ブフナー漏斗を通して抽出液を濾過し、150mlまで濃縮した。この抽出物に、12.5gの樹脂(Dowex Marathon A、Polysep Industrial Consultants)を加え、温度を50℃に3時間保った。樹脂を除去するためにブフナー漏斗を通して濾過した後、溶液を回転エバポレータで乾燥して、松葉粉末(ICA含量は、0.003wt%)を生成させた。
【0053】
(実施例2)
胸部大動脈を自然発症高血圧ラット(SHR)から得た。胸部大動脈を4から6mmの幅のリングに切断し、各リングを器官槽(organ bath)(サーモスタットで制御し、酸素付加し、改変クレブス-ヘンゼライト緩衝液が入っている)の中の張力トランスデューサに連結する。大動脈のリングの収縮を、等張状態の下で連続的に記録する。組織を平衡状態にした後、1度の投薬で1μMのフェニレフリンを与えて組織を感作し、次に洗浄した。その後、2つのフェニレフリン累積投与応答曲線を得た。抽出物のない状態で第1の投与応答曲線を得て、コントロール曲線とした。組織を十分に(7回)洗浄した後、組織を松葉抽出物で1時間インキュベートした。このインキュベーションの後、濃縮形態の抽出物の存在の下で、第2の投与応答曲線を得た。基準曲線の最大応答をコントロールとして採用しデータを分析した。
【0054】
図1は、フェニレフリンが投与量依存性のラット大動脈収縮を引き起こすことを示している(図の上側の曲線)。実施例1による松葉抽出物を用いたインキュベーションの後、フェニレフリンによるラット大動脈の収縮は明らかに抑制されている(図の下の曲線)。
【0055】
(実施例3)
以下は、本発明に係るスプレッドの例である。スプレッドは、国際特許出願WO97/18320の実施例14に記述される手順に基づき調製することができる。
脂肪相:
脂肪混合物 40%
Hymono 7804(乳化剤) 0.3%
着色剤(2% β-カロテン) 0.02%
総計 40.32%
ヒマワリ油と硬脂(hardstock)が重量比で87:13
【0056】
水性相(pH5.1以下):
水: 55.94%
松葉抽出物(乾燥ベース) 0.5%
脱脂粉乳 1.5%
ゼラチン(270ブルーム(bloom))1.5%
ソルビン酸カリウム 0.15%
クエン酸粉末 0.07%
総計 59.66%
【0057】
(実施例4)
抽出物の調製
2種の松葉抽出物を製造した。第1の抽出物(抽出物1)は、イソキュプレシン酸を含む比較例である。第2の抽出物(抽出物2)は、第1抽出物を精製したものであり、本発明に係る物質の例である。
【0058】
抽出物1を次のようにして得た:
・ タイワンアカマツの松葉100gを洗浄し、短く切断し(約3から4cm)、フラスコに入れた。
・ 1リットルの水を加えた。
・ 混合物を加熱し、還流温度(約100℃)に5時間保った。
・ 松葉残渣を混合物から除去した。
・ 回転エバポレータを用いて水を除去することによって、松葉抽出物(抽出物1)を得た。
【0059】
次のようにして抽出物1をさらに処理することにより抽出物2を得た:
・ 抽出物2として上で得た200gの松葉抽出物(約5〜10%の水を含む)を、1.2Lの脱イオン水と混合した。これを、70℃の水浴に1時間半置いたままにして溶かした。
・ 混合物を反応容器に移し、70℃で15分間撹拌した。
・ 40gの樹脂(Dowex 50W)を加え、撹拌を50℃で3時間続け、次いで、混合物を濾過した。濾過後、このステップ(すなわち、樹脂の添加、撹拌および濾過)を繰り返した。
・ 0.8gのNorit SA4活性炭を加えた。
・ 得られた混合物を1時間撹拌し、その間、温度を85℃に保った。
・ 得られた混合物を、ブフナーフィルタ(54;φ185mm)を通して3回濾過した。
・ 回転エバポレータを用いて濾液から水を蒸発させて、抽出物2を得た。
【0060】
イソキュプレシン酸(ICA)を測定する分析方法の一般的な手順は次の通りである:
【0061】
ソクスレー抽出に基づく方法により、試料を50mlの塩化メチレンで約3時間抽出する。抽出後、塩化メチレンを回転エバポレータにより除去する。このステップの後、ヘプタデカン酸を内部標準として加える。最後に定量できるようにこの成分を用いる。次に、試料を少量の塩化メチレンに溶かし、500mgのアミノプロピル吸着剤を含むSPEカラム(事前に、適切な溶剤で状態調節されている)に負荷する。試料をSPEカラムに負荷した後、存在し得る「中性」成分を、9:1(容積)のジエチルエーテル:メタノールを含む溶剤で溶出させる。この洗浄ステップ後、追加の1%の酢酸を含む同じ溶剤を用いて酸を溶離させる。加熱ブロックで溶剤を除去した後、エーテル中2Mのジアゾメタン(カルボン酸基のメチルエステルを生成させる)により、残っている全ての遊離の水酸基をシリル化するためのMSTFA(N-メチル-N-トリメチルシリルトリフルオロアセトアミド)を用いることによって、試料の誘導体化を行なう。この誘導体化のステップは逐次行なわれる。誘導体とした後、試料を、イソオクタンを用いて適切に稀釈し、1μlをGC-MSに注入する。GC-MSには、成分を分離するために、30mのCP-Sil 5カラム(DB-1)(内径0.25mm)を用いる。次の温度プログラムを用いる:100℃に1分間保持、40℃/minで200℃まで昇温、その後、温度を、2℃/minで250℃まで昇温。キャリアガスのヘリウムを1.0mL/minで一定に保つ(=+/-68kPaのゲージ圧、100℃)。スプリットレス注入を用い、インジェクターの温度を250℃で一定に保つ。MSトランスファーラインもまた250℃で一定に保つ。MS検出器を、70eVのイオン化エネルギーを用いるEIモードに設定した。捕集質量範囲は50から550Daであり、1250Vの電子倍増管電圧を用いた。
【0062】
松葉抽出物の血圧低下作用:この実施例では表1が参照される。
【0063】
表1は、
- フェニレフリンの50%効果濃度(EC50)、ならびに、DRC1とDRC2との間の差、
- フェニレフリンに対する最大作用(maximal effect、Emax)(この値が小さいほど、抽出物はより効果的である)、
への松葉抽出物の作用を示している。
【0064】
自然発症高血圧ラット(SHR)からの、分離された大動脈リングが、血管作動性の効果を試験するモデルとして使用された。胸部大動脈をSHRラットから得た。胸部大動脈を4から6mmの幅のリングに切断し、次に、各リングを、器官槽(サーモスタットで制御し、炭酸ガス付加し、改変クレブス-ヘンゼライト緩衝液が入っている)の中の張力トランスデューサに連結する。大動脈のリングの収縮を、等張状態の下で連続的に記録する。組織を平衡状態にした後、1度の投薬で1μMのフェニレフリンを与えて組織を感作し、次に洗浄した。フェニレフリンは、α-アドレナリンアゴニストであり、この実験では大動脈リングの収縮を誘発させるために使用されている。その後、2つのフェニレフリン累積投与応答曲線(DRC1およびDRC2)を得た。抽出物のない状態でDRC1を得てコントロール曲線とし、一方、DRC2は、50μg/mlの松葉抽出物を用いてのインキュベーション後に得られた。組織を十分に洗浄した後、組織を松葉抽出物で5分間インキュベートした。このインキュベーションの後、濃縮形態の抽出物の存在の下で、第2の投与応答曲線を得た。データを、
- 50%効果濃度(EC50)、
- フェニレフリンに対する最大作用(Emax)、
を求めて分析した。
【0065】
以下の抽出物を試験した。
1. Norit/イオン交換樹脂処理の前のタイワンアカマツ(抽出物1)
2. Norit/イオン交換樹脂処理の後のタイワンアカマツ(抽出物2)
3. 比較例: 米国特許US-B1-6329000(Ji Ling)による抽出物
4. 比較例: 米国特許US5690984(Lim Jung Geun)による抽出物
5. 比較例: 米国特許US5607971(Al-Mahmoud Mohsen)による抽出物
6. 比較例: 米国特許US5607971(Al-Mahmoud Mohsen)による、塩化メチレン抽出物
7. 比較例: 米国特許US5607971(Al-Mahmoud Mohsen)による、メタノール抽出物
【0066】
【表1】

【0067】
抽出物1を用いるインキュベーションの後、フェニレフリンによるラット大動脈の収縮は明らかに抑制されている(Emax 54)。Norit処理およびイオン交換によるイソキュプレシン酸除去の後、抽出物2は、抽出物5、6、および7(イソキュプレシン酸が高濃度である)に似た活性(Emax 79)を依然として示している。
【0068】
(実施例5)
マーガリンの製造
2種のマーガリンを以下のプロセス条件の下に製造した。
【0069】
配合
【表2】

【0070】
[プロセスの状態]
プロセスラインをAAC配置において設置した。この配置においては、Aユニットがキサゲ面付熱交換機であり、Cユニットがピンを有するミル(混練機)である。Cユニットの体積を1/3に減じ、混練機のシャフト上のピンの数を17から5に減じた。製品の入り口、出口、及び冷媒の温度を記録した。
【0071】
水相の調製
水相の調製及び殺菌のために、混合、分散、及びホモジナイザー装置を用いた。この装置は、キサゲ面付アンカー攪拌機を有する25リットルの熱的に制御される容器を有する。水中の水相の乾燥物質の溶解/拡散の間、混合物を連続して循環させ、また、水相の温度を、コロイドミルの混合ゾーンのライン上でモニターした。混合物を70℃で10分間殺菌した。後に、水相を攪拌せずに、約55℃まで冷却した。
【0072】
脂肪相の調製
攪拌の間、脂肪相の全ての成分を、窒素雰囲気下で溶融し、約80℃まで加熱した。後に、脂肪相を、連続攪拌しながら、55℃まで冷却した。
【0073】
乳化
水相を脂肪相に、強力攪拌しながらゆっくりと加え、乳化することにより、油中水型エマルションを得た。乳化の間、エマルションを55℃で少なくとも30分間混錬した。
【0074】
プロセス
30Kgサイズのバッチを用いた。混合物を、ポンプによる汲み上げの前に、15分攪拌した。汲み上げの後、生産物の回収の前に、ラインを15分間稼働させることとした。プロセスの間、混合物塊の流れは約50kg/hで一定とした。指定された測定点において温度を測定した。安定状態に達した後、15の桶型容器に約125gのマーガリンを詰めた。以下のプロセスパラメーター(温度℃)を記録した。
【0075】
【表3】

【0076】
全ての桶型容器を一晩1〜3℃の温度下で放置し、少数の技術パネルにより判定した。マーガリン製品は目視により、色、水発散性、艶外部構造、ナイフへの付着性、及び、展延性について評価した。続いて、製品を、味、口あたり、及び、後味(tailing)特性について評価した。官能評価に加え、テーブルマーガリンのコンシステンシーの指標として、硬さ及びインピーダンスを測定した。
【0077】
製品評価の結果を以下の表に示す。松葉抽出物を含むスプレッド類は、標準となるスプレッド類より、硬さについて高いc-値(c-value)を有した。全てのサンプルは見かけ上の水分のロスなしに、容易に展延される。本発明のスプレッド類は、増大した硬さに加え、良好な展延性、良好な構造、良好な後味、及び良好なナイフへの付着性を有した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】フェニレフリンにより引き起こされたラット大動脈の収縮の投与量依存性と、本発明の松葉抽出物によるこの作用の抑制を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪連続エマルションを含む食用品であって、前記エマルションが1以上の有機化合物を含む物質を含み、前記物質は松葉類からの抽出物として得ることが可能である食用品。
【請求項2】
抽出物が、水性抽出物である請求項1に記載の食用品。
【請求項3】
前記物質が少なくとも2種の成分AおよびBを含み、Aが、100%メタノールを溶離液として用いるシリカカラムからの溶出によってAとBの混合物から得ることができる化合物であり、Bが、メタノール/水の混合物(5〜40体積%)を用いる同じシリカカラムから一連の溶出物として得ることができる化合物である請求項1または2に記載の食用品。
【請求項4】
化合物Aが、フィトステロール類、ポリフェノール類、バイオフラボノイド類、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体、並びにミネラル類からなる群から選択される請求項3に記載の食用品。
【請求項5】
化合物Bが、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される請求項3または4に記載の食用品。
【請求項6】
フィトステロール類、ポリフェノール類、バイオフラボノイド類、タンニン類、有機酸類およびこれらの複合体、並びにミネラル類からなる群から選択される少なくとも1の化合物Aと、アミノ酸類、ペプチド類、タンパク質類、クエルセチン、テルペノイド類、フラボノール配糖体類、ビフラボン類、プロアントシアニジン類、ポリプレノール類、リグナン類およびミネラル類からなる群から選択される少なくとも1の化合物Bとを含む請求項1または2に記載の食用品。
【請求項7】
全てのパーセンテージが前記物質の重量に基づいて表されるものとして、Aが、前記物質中に、5から60wt%、好ましくは10から50wt%、最も好ましくは15から40wt%の量で存在し、Bが、前記物質中に、1から15wt%、好ましくは2から12wt%、最も好ましくは3から10wt%の量で存在する請求項3から6のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項8】
前記物質が、イソキュプレシン酸化合物類を、0.01wt%未満、好ましくは0.005wt%未満、最も好ましくは0.003wt%未満の量で含む請求項1から7のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項9】
前記脂肪連続エマルションが、0.5から99.5wt%、好ましくは20から85wt%、最も好ましくは30から80wt%の脂肪含量を有する請求項1から8のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項10】
マーガリン、低脂肪スプレッド、ベーカリースプレッド、又はクッキングスプレッドである請求項1から9のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項11】
前記脂肪相が、5℃(=N5)で、10より大きい、好ましくは20より大きい固体脂肪含量(非安定化脂肪についてNMRにより測定した)を示し、及び、35℃(=N35)で、20未満、好ましくは10未満、最も好ましくは5未満の固体脂肪含量を示す、請求項1から10のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項12】
脂肪及び水を含み、0.5から99.5wt%の脂肪含量を有する食製品であって、前記脂肪相が少なくとも、2の成分(D)及び(E)を含み、(D)において、N20が20より大きく、及び、(E)が少なくとも25wt%のモノ-及びジ-不飽和脂肪酸残基の含量を有する請求項1から11のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項13】
成分(D)が、パーム分留物、エステル交換された硬化パームオイル及び硬化パームカーネルオイル、並びにこれらの分留物、液体オイル類及び硬化液体オイル類のエステル交換混合物、パームカーネルオイル及びパームオイルのエステル交換分留物、特に、パームカーネルステアリン及びパームオイルステアリン、並びにこれらの分留物、並びに、SUSトリグリセリド類からなる群から選択される請求項12に記載の食用品。
【請求項14】
(E)は、55〜95wt%のモノ-及びジ-不飽和脂肪酸残基の含量を有する請求項12又は13に記載の食用品。
【請求項15】
成分(E)が、ヒマワリ油、高オレイン酸成分含有ヒマワリ油、ナタネ油、高オレイン酸成分含有ナタネ油、パーム油オレイン、コーン油、大豆油、及び高オレイン酸成分含有大豆油からなる群から選択される請求項12から14のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項16】
トランス脂肪酸を本質的に含まない請求項1から15のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項17】
前記物質が、前記製品中に、前記製品の全重量に基づき、0.05wt%から10wt%の量で存在する請求項1から16のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項18】
哺乳動物、特にヒトの血圧を下げるために使用される、請求項1から17のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項19】
前記物質を含まない対応する製品に比べて、次の性質: 増大した硬さ、改善されたテクスチャ、増大したエアレーション、改善された展延性、改善された経口特性、改善された口あたり、改善された香りのインパクト、より良好な色、改善された粘性、より優れた加工性、および改善された健康特性の1つまたは複数を有する請求項1から17のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項20】
前記物質がシキミ酸および/またはキナ酸を含む請求項1から19のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項21】
前記物質がシキミ酸を組成物の10重量%から50重量%の量で含む請求項1から20のいずれか一項に記載の食用品。
【請求項22】
前記物質がキナ酸を組成物の5重量%から30重量%の量で含む請求項1から21のいずれか一項に記載の食用品。

【図1】
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【公表番号】特表2007−509624(P2007−509624A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537424(P2006−537424)
【出願日】平成16年10月29日(2004.10.29)
【国際出願番号】PCT/GB2004/004575
【国際公開番号】WO2005/051103
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【出願人】(503352660)リピッド ニュートリション ベスローテン フェンノートシャップ (10)
【氏名又は名称原語表記】Lipid Nutrition B. V.
【住所又は居所原語表記】Hogeweg 1, NL−1521 AZ Wormerveer, Netherlands
【Fターム(参考)】