説明

板ばね付きシート及びこれを用いたスイッチ装置

【課題】 電子機器の静電気による誤動作や破壊を防止でき、良好な照光を行うことができる板ばね付きシート及びこれを用いたスイッチ装置を提供する。
【解決手段】 金属薄板からなり反転可能なドーム部2aを有する板ばね2と、可撓性を有し下面側に板ばね2が貼り付けられた絶縁シート1とを備え、電子機器の回路基板6上に積層されて、絶縁シート1の上面側が電子機器の回路基板6に設けられた発光部材9によって照光される板ばね付きシートであって、絶縁シート1の上面側に、導電部3を設けると共に、この導電部3の上面に光拡散シート4を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押釦の押圧操作によって接点の切り換えを行なう板ばね付きシート及びこれを用いたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の板ばね付きシートを用いたスイッチ装置の構造としては、絶縁性フィルムからなるシート部とこのシート部の下面に設けられた粘着剤とを有する粘着シートと、上面が粘着剤で貼着され、変形可能なバネ性を有する金属板からなるドーム状の可動接点と、粘着シートに貼り合わされて可動接点の下面を覆うセパレータとを備え、シート部の上面を押釦で押圧することにより、可動接点を反転させて、回路基板上に設けられた固定接点と接離させる構成のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の板ばね付きシート用いたスイッチ装置の構造を図5に示す。
図5は従来のスイッチ装置の板ばね付きシートの分解斜視図であり、同図において、複数個の可動接点31は、ステンレス材やリン青銅等のバネ性を有するドーム状の薄板の金属からなり、頂部からの押圧力に対して変位可能になっている。そして、その中央部にはドーム状内に突出して形成された接点部を有している。
【0004】
粘着シート32は、ポリエステル樹脂等からなる白色(有色)で透明度の低い(不透明な)フィルム材からなり、若干の伸縮性(可撓性)を有するシート状のシート部33と、このシート部33に設けられた複数個の孔32aと、この孔32aを除くシート部33の下面に設けられた粘着剤34とから構成されている。そして、可動接点31は、マウンターによりその上面が粘着シート32の粘着剤34に貼着されている。
【0005】
セパレータ37は、粘着シート32と略同形状の透明なポリエステルフィルムからなり、その上面には剥離剤が塗ってあり、離型処理がなされている。そして、セパレータ37は、その上下面に貫通して形成された複数個の孔37aを有している。また、セパレータ37は、粘着シート32の粘着剤34によって、粘着シート32の孔32aと孔37aが対向し、重なり合うように、粘着シート32の下面に貼着されている。そして、このセパレータ37は、粘着シート32とで可動接点31を挟持すると共に、セパレータ37は可動接点31のドーム状内にゴミ、異物が入らないように、可動接点31の下面を保護することによって、可動接点付シート38を構成している。
【0006】
なお、粘着シート32の孔32aは、図示せぬ発光ダイオード(LED)等の発光素子を露出させるための孔であり、可動接点1を押圧操作する押釦である操作体(図示せず)、即ち、可動接点付シート38が採用される携帯電話機等の操作体(押釦)を、白色系をしたシート部33で光を効率よく反射させて照光できる。
【0007】
【特許文献1】特開2001−160334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子機器の回路基板上に組み込まれた板ばね付きシートは、操作パネルに配置された押釦によって押圧操作されるものとなる。この時、操作パネルと押釦との隙間から操作者の人体に帯電した静電気が飛び込み、電子機器が誤動作したり、内部回路のICが破壊する可能性があった。
このため、シートの上面にアルミ箔等を積層して静電気防止用の導電部を形成することが考えられるが、しかしながら、シート上面にアルミ箔を積層して導電部を形成した場合には、光拡散しにくく、発光部材による押釦の照光ムラが生じやすいという問題があった。また、シート上面に銀やカーボンを印刷して導電部を形成した場合には、反射率が低く、良好な照光機能を得ることができないという問題があった。
【0009】
従って、本発明は上記した問題点を解決し、電子機器の静電気による誤動作やIC破壊を防止でき、良好な照光を行うことができる板ばね付きシート及びこれを用いたスイッチ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明では第1の解決手段として、金属薄板からなり反転可能なドーム部を有する板ばねと、可撓性を有し下面側に前記板ばねが貼り付けられた絶縁シートとを備え、電子機器の回路基板上に積層されて、前記絶縁シートの上面側が電子機器の回路基板に設けられた発光部材によって照光される板ばね付きシートであって、前記絶縁シートの上面側に、導電部を設けると共に、この導電部の上面に光拡散シートを設けた構成とした。
【0011】
また、第2の解決手段として、前記導電部は、前記絶縁シートの下面側に貼り付けられた前記板ばねの貼着部を除いた領域に設けた構成とした。
また、第3の解決手段として、前記絶縁シートを、光拡散シートで形成し、前記板ばねの貼着部の上面も光拡散可能とした構成とした。
また、第4の解決手段として、前記導電部を、金属箔を貼り付けることにより形成した構成とした。
また、第5の解決手段として、前記導電部を、前記絶縁シートの上面側あるいは前記光拡散シートの下面側に導電性材を印刷することにより形成した構成とした。
また、第6の解決手段として、前記導電部に導電性粘着剤を塗布し、前記絶縁シートと前記光拡散シートとを該導電性粘着剤によって貼り合わせると共に、前記導電部の一端を延出して接地部を設けた構成とした。
【0012】
また、第7の解決手段として、前記導電部を、導電性粘着剤で形成した構成とした。
また、第8の解決手段として、 前記絶縁シート、及び前記導電部と前記光拡散シートに、発光部材が収容される収容孔を貫通形成し、前記絶縁シートの貫通孔を前記導電部の貫通孔よりも小径に形成した構成とした。
また、第9の解決手段として、前記導電部の前記接地部を除いた外周部の形状を、前記絶縁シートの外周部の形状よりも小さく形成した構成とした。
また、第10の解決手段として、第1乃至第9解決手段の何れかに記載の板ばね付きシートと、固定接点と発光部材が設けられ前記板ばね付きシートが積層される回路基板と、前記板ばね付きシート上に載置され、前記発光部材により照光されると共に、前記板ばねを反転させて前記固定接点に接離させる押釦とを備えたスイッチ装置の構成とした。
【発明の効果】
【0013】
上述したように、本発明の板ばね付きシートは、金属薄板からなり反転可能なドーム部を有する板ばねと、可撓性を有し下面側に板ばねが貼り付けられた絶縁シートとを備え、電子機器の回路基板上に積層されて、絶縁シートの上面側が電子機器の回路基板に設けられた発光部材によって照光される板ばね付きシートであって、絶縁シートの上面側に、導電部を設けると共に、この導電部の上面に光拡散シートを設けたことから、絶縁シートの上面側に導電部を挟んで光拡散シートを設けたので、板ばね付きシートの下面側への静電気の飛び込みを防止でき、電子機器の静電気による誤動作やIC破壊を防止して、絶縁シートの最上面の光拡散シートによって良好な照光が可能となる。
【0014】
また、導電部は、絶縁シートの下面側に貼り付けられた板ばねの貼着部を除いた領域に設けたことから、反転時の板ばねの動作感触を阻害することがなく、また、導電部の導電物質の剥離を防止できる。
また、絶縁シートを、光拡散シートで形成し、板ばねの貼着部の上面も光拡散可能としたことから、板ばね付きシート上面の全面で発光部材からの光を光拡散させることができるので、均一な照光が可能となる。
また、導電部を、金属箔を貼り付けることにより形成したことから、乾燥等の後処理が不要となり、組立が容易となる。
また、導電部を、絶縁シートの上面側あるいは光拡散シートの下面側に導電性材を印刷することにより形成したことから、印刷によりシートに直接、導電部を形成できるので、構成が簡単で安価にできる。
また、導電部に導電性粘着剤を塗布し、絶縁シートと光拡散シートとを該導電性粘着剤によって貼り合わせると共に、導電部の一端を延出して接地部を設けたことから、導電性粘着剤によって、板ばね付きシートを電子機器のフレームや回路基板のグランドに簡単に接続して接地することができる。
【0015】
また、導電部を、導電性粘着剤で形成したことから、導電部自体を導電性粘着剤で形成できるので、部品点数を削減でき安価にできる。
また、絶縁シート、及び導電部と光拡散シートに、発光部材が収容される収容孔を貫通形成し、絶縁シートの貫通孔を導電部の貫通孔よりも小径に形成したことから、導電部と回路基板の実装面との沿面距離を大きく(長く)できるので、より確実に静電気の飛び込みを防止できる。
また、導電部の接地部を除いた外周部の形状を、絶縁シートの外周部の形状よりも小さく形成したことから、導電部と回路基板の実装面との沿面距離を大きく(長く)できるので、板ばね付きシートの端面から回路基板への静電気の飛び込みを防止できる。
また、本発明のスイッチ装置は、第1乃至第9解決手段の何れかに記載の板ばね付きシートと、固定接点と発光部材が設けられ板ばね付きシートが積層される回路基板と、板ばね付きシート上に載置され、発光部材により照光されると共に、板ばねを反転させて固定接点に接離させる押釦とを備えたことから、電子機器の静電気による誤動作やIC破壊を防止でき、良好な照光を行うことができる板ばね付きシートを備えたスイッチ装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図1乃至図4に示す。図1は本発明の実施例に係る板ばね付きシートを用いたスイッチ装置を示す断面図、図2は本発明の板ばね付きシートを用いたスイッチ装置の他の接地例を示す断面図、図3は本発明の板ばね付きシートを示す平面図、図4は本発明の板ばね付きシートを送りシートに複数個貼り付けた状態を示す平面図である。
【0017】
図1及び図2において、本発明の板ばね付きシート及びこれを用いたスイッチ装置は、シート状に形成された絶縁シート1と、この絶縁シート1の下面側に貼り付けられ、反転可能なドーム部2aを有し可動接点を構成する板ばね2と、前記絶縁シート1の上面側に設けられた導電部3、及び光拡散シート4と、前記板ばね2に対向して配設された固定接点5を有し、前記絶縁シート1が積層される回路基板6と、前記絶縁シート1と前記回路基板6の間に介在され、前記板ばね2が収容される収容孔7aを有するスペーサシート7と、前記絶縁シート1上に載置され、前記板ばね2を反転させて前記固定接点5に接離させる押釦8と、押釦8を照光する発光部材9から主に構成されている。
【0018】
前記絶縁シート1は、可撓性を有する合成樹脂等の絶縁材で、例えば矩形状のシート状に形成されており、その下面には粘着剤が一面に塗布されている。この絶縁シート1の下面側には、前記板ばね2が粘着剤によって貼り付けられている。この板ばね2は、例えば円形状の導電性の金属薄板からなり、中央に反転可能なドーム部2aを有し、可動接点としての機能を備えている。
【0019】
また、前記絶縁シート1の上面側には、前記絶縁シート1の下面側に貼り付けられた、前記板ばね2の貼着部を除いた領域に、導電部3を挟んで光拡散シート4が積層して設けられている。前記導電部3は、例えばアルミ等の金属からなる薄板状の金属箔を、前記絶縁シート1の上面に接着剤等により貼り付けることにより形成されており、該金属箔の上面に、同じく接着剤等により前記光拡散シート4が貼り付けられて積層されている。
【0020】
この場合、前記光拡散シート4は、合成樹脂等の絶縁材で、同じく矩形状のシート状に形成されており、光拡散作用が良好な乳白色あるいは白色の材料から形成されている。そして、前記導電部3及び前記光拡散シート4には、前記板ばね2の貼着位置に対応して、該板ばね2の外周径よりやや大径となる孔部3a、4aが形成されている。そして、該孔部3a、4aから、前記板ばね2が下面に貼着された前記絶縁シート1の上面が露出している。
このように、前記導電部3を、前記絶縁シート1の下面側に貼り付けられた前記板ばね2の貼着部を除いた領域に設けるようにしたので、反転時の前記板ばね2の動作感触を阻害することがなく、また、前記導電部3の導電物質の剥離を防止できるものとなっている。
【0021】
尚、この場合、前記絶縁シート1の露出部だけが、光拡散作用を有していないが、前記絶縁シート1を、前記光拡散シート4と同じ光拡散作用を有する光拡散シートで形成し、前記板ばね2の貼着部の上面も光拡散可能としても良い。この場合には、板ばね付きシート上面の全面で発光部材9からの光を光拡散させることができるので、均一な照光が可能となる。
【0022】
また、前記導電部3を、アルミ等の金属箔を貼り付けることにより形成しているので、この場合、乾燥等の後処理が不要となり、組立が容易となっている。
また、前記導電部3は、アルミ等の金属箔以外の導電性材料で形成しても良く、例えば、カーボンや銀ペースト等の導電性材料を、前記絶縁シート1の上面側あるいは前記光拡散シート4の下面側に印刷することにより形成することができる。また、前記導電部3には粘着剤が塗布されており、該粘着剤により前記絶縁シート1と前記光拡散シート4とが貼り合わされている。
このように、前記導電部3を、前記絶縁シート1の上面側あるいは前記光拡散シート4の下面側に導電性材料を印刷することにより形成した場合には、印刷により前記絶縁シート1や前記光拡散シート4に、直接、前記導電部3を形成することができるので、構成が簡単で安価にできるものとなる。
【0023】
この場合、本実施例では、前記導電部3の下面には、導電性粘着剤10が一面に塗布されており、該導電性粘着剤10により前記絶縁シート1と前記光拡散シート4とが貼り合わされて積層されている。そして、前記導電部3の一端が外周より延出して形成されており、この延出部により静電気を外部へ導く接地部3bが形成されている。
また、前記導電部3自体を、導電性粘着剤で形成して、前記絶縁シート1と前記光拡散シート4の間に挟み込んで形成するようにしても良い。この場合には、前記光拡散シート4の一端を外周より延出して、該延出部4bの下面に導電性粘着剤を塗布することで前記接地部3bを形成するようにすれば良い。
【0024】
このように、前記導電部3に、前記導電性粘着剤10を塗布して、前記絶縁シート1と前記光拡散シート4とを前記導電性粘着剤10によって貼り合わせると共に、前記導電部3の一端を延出して前記接地部3bを設けるようにしたので、前記導電性粘着剤10によって、板ばね付きシートを電子機器のフレーム11や回路基板6のグランド部に簡単に接続して接地することができるものとなる。
また、前記導電部3を、導電性粘着剤で形成することにより、前記導電部3自体を導電性粘着剤で形成できるので、部品点数を削減でき安価にできるものとなる。
【0025】
また、前記絶縁シート1の下面側には、合成樹脂等の絶縁材でシート状に形成されたスペーサシート7が、前記絶縁シート1の下面側に塗布された粘着剤によって貼り付けられている。このスペーサシート7には、上下に貫通した円形の収容孔7aが設けられており、この収容孔7aには前記絶縁シート1の下面に貼り付けられた前記板ばね2が収容されている。そして、前記絶縁シート1、前記板ばね2、前記導電部3、前記光拡散シート4、前記スペーサシート7により本発明の板ばね付きシートが構成されている。
【0026】
また、前記スペーサシート7の下面側には、前記収容孔7aを除く一面に粘着剤が塗布されている。そして、前記スペーサシート7の下面側には、搬送時等に、板ばね付きシートの下面側に貼り付けられて前記板ばね2を保護すると共に、組立時に、位置決めや送りなどに使用された後、剥離される、剥離シートを構成する送りシート12とカバーシート13が貼り付けられている(図4参照)。
【0027】
また、前記絶縁シート1とスペーサシート7、及び前記導電部3と光拡散シート4には、LED等からなる発光部材9が収容される収容孔1a、7b、及び3c、4cが貫通形成されている。尚、この場合に、前記絶縁シート1とスペーサシート7に設けられた前記収容孔1a、7bは、前記導電部3と光拡散シート4に設けられた前記収容孔3c、4cに対して、小径となるように形成されている。このために、前記導電部3と、IC等の電子部品が搭載される回路基板6の実装面との沿面距離を大きく(長く)とることができるので、より確実に静電気の飛び込みを防止できるものとなる。
【0028】
また、本発明の板ばね付きシートは、前記導電部3に設けられた前記接地部3b(光拡散シート4の延出部4b)を除いた該導電部3の外周部の形状は、前記絶縁シート1の外周部の形状に対して、小さくなるように形成されている。このように、前記導電部3の外周部の形状を、前記絶縁シート1の外周部の形状よりも小さく形成したことから、同じく、前記導電部3と回路基板6の実装面との沿面距離を大きく(長く)できるので、板ばね付きシートの端面(前記導電部3)から、回路基板6への静電気の飛び込みを防止できるものとなっている(図3参照)。
【0029】
図3は、本実施例の前記板ばね2を、やや大きめの前記絶縁シート1の下面側に、複数個並設した状態の板ばね付きシートを示している。この場合には、前記板ばね2が、前記絶縁シート1に複数個マトリックス状に並設されて形成されたものとなっている。そして、前記スペーサシート7には、前記板ばね2の数に対応して複数個の収容孔7aが設けられており、また、前記絶縁シート1の上面側に積層された前記導電部3及び光拡散シート4には、前記板ばね2の貼着位置に対応して前記孔部3a、4aが複数個設けられている。尚、本実施例では、中央の6箇所に、LED等からなる発光部材9が収容される収容孔1a、7b、3c、4cが形成されている。
【0030】
また、図4は、前記絶縁シート1に前記板ばね2を複数個並設した状態の板ばね付きシートを、更に、送りシート12とカバーシート13に複数個貼り付けた状態を示している。この状態で板ばね付きシートが、送りシート12とカバーシート13と共に自動機などの送り機構で順送りされ、送りシート12に形成されたガイド穴12aなどにより、適宜、位置決めされて、個々のステージにおいて、適宜、板ばね付きシートを剥離シートを構成する送りシート12とカバーシート13から剥離して、回路基板6の所望の位置に貼り付けて固着するものとなっている。
【0031】
本発明では、図1に示すように、板ばね付きシートが、中央固定接点5a及び周辺固定接点5bを有する固定接点5、及びLED等の発光部材9が設けられた、前記回路基板6上に積層されると共に、この板ばね付きシート上に押釦8が載置されて、スイッチ装置が構成されるものとなっている。そして、前記押釦8が押圧された際には、前記板ばね2が貼着された前記絶縁シート1の上面側が、前記キートップの下面によって押し下げられることにより、前記板ばね2のドーム部2aが反転して、前記固定接点5の中央固定接点5aと周辺固定接点5bが前記板ばね2を介して導通し、スイッチがオン状態となる。
また、前記発光部材9から照射した光が、板ばね付きシートの最上面に積層された前記光拡散シート4によって、反射性、拡散性が向上して有効に拡散されることにより、前記押釦8が良好に照光されるものとなる。
【0032】
また、図1に示すように、本発明では、前記絶縁シート1の上面側には前記導電部3が設けられており、この導電部3の一端が延出されて接地部3bが形成されている。そして、該接地部3bが前記導電部3の下面に設けられた前記導電性接着剤10によって前記回路基板6のグランド部(図示せず)に貼着されることにより電気的に接続されている。このため、例え、操作者の人体に帯電した静電気が、電子機器の操作パネルと前記押釦8との隙間から板ばね付きシートに飛んだとしても、前記導電部3の接地部3bを介して前記回路基板6のグランド部に落ちるものとなっている。
また、図2に示すように、前記導電部3の接地部3bは、前記回路基板6のグランド部に接続する代わりに、前記押釦8が配置された電子機器のフレーム13に電気的に接続するようにしても良い。
【0033】
尚、本発明の上記実施例においては、前記絶縁シート1の上面側に貼り付けられて積層される、前記導電部3及び前記光拡散シート4に、前記板ばね2が貼着される貼着位置に対応して、該板ばね2の外周径よりやや大径となる前記孔部3a、4aを形成するようにしたが、前記導電部3や光拡散シート4には、前記孔部3a、4aを設けずに、連続した平面から形成するようにしても良い。この場合には、前記光拡散シート4、前記導電部3、前記絶縁シート1を介して前記押釦8の押圧力が前記板ばね2に伝達されるものとなる。そして、前記光拡散シート4の上面の全面で光拡散させることができる。
また、前記導電部3に、前記導電性粘着剤10を塗布して、該導電性粘着剤10により前記導電部3の接地部3bを、前記回路基板6のグランド部や前記フレーム11に貼着することで電気的に接続するようにしたが、圧接等の適宜な方法を用いることにより、導電性接着剤10を使用しないで接続することができる。
【0034】
本発明の上記実施例によれば、可撓性を有し下面側に前記板ばね2が貼り付けられた前記絶縁シート1の上面側が、電子機器の前記回路基板6に設けられた前記発光部材9によって照光される板ばね付きシートであって、前記絶縁シート1の上面側に、前記導電部3を設けると共に、この導電部3の上面に前記光拡散シート4を設けたことから、前記絶縁シート1の上面側に前記導電部3を挟んで前記光拡散シート4を設けたので、板ばね付きシートの下面側への静電気の飛び込みを防止でき、電子機器の静電気による誤動作やIC破壊を防止して、前記絶縁シート1の最上面の前記光拡散シート4によって良好な照光が可能となっている。
そして、電子機器の静電気による誤動作やIC破壊を防止でき、良好な照光を行うことができる板ばね付きシートを備えたスイッチ装置を提供できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施例に係る板ばね付きシートを用いたスイッチ装置を示す断面図である。
【図2】本発明の板ばね付きシートを用いたスイッチ装置の他の接地例を示す断面図である。
【図3】本発明の板ばね付きシートを示す平面図である。
【図4】本発明の板ばね付きシートを送りシートに複数個貼り付けた状態を示す平面図である。
【図5】従来のスイッチ装置の板ばね付きシートを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0036】
1:絶縁シート
1a:収容孔
2:板ばね(可動接点)
2a:ドーム部
3:導電部
3a:孔部
3b:接地部
3c:収容孔
4:光拡散シート
4a:孔部
4b:延出部
4c:収容孔
5:固定接点
5a:中央固定接点
5b:周辺固定接点
6:回路基板
7:スペーサシート
7a:収容孔
7b:収容孔
8:押釦
9:発光部材(LED)
10:導電性粘着剤
11:フレーム
12:送りシート
12a:ガイド穴
13:カバーシート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板からなり反転可能なドーム部を有する板ばねと、可撓性を有し下面側に前記板ばねが貼り付けられた絶縁シートとを備え、電子機器の回路基板上に積層されて、前記絶縁シートの上面側が電子機器の回路基板に設けられた発光部材によって照光される板ばね付きシートであって、前記絶縁シートの上面側に、導電部を設けると共に、この導電部の上面に光拡散シートを設けたことを特徴とする板ばね付きシート。
【請求項2】
前記導電部は、前記絶縁シートの下面側に貼り付けられた前記板ばねの貼着部を除いた領域に設けたことを特徴とする請求項1記載の板ばね付きシート。
【請求項3】
前記絶縁シートを、光拡散シートで形成し、前記板ばねの貼着部の上面も光拡散可能としたことを特徴とする請求項2記載の板ばね付きシート。
【請求項4】
前記導電部を、金属箔を貼り付けることにより形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の板ばね付きシート。
【請求項5】
前記導電部を、前記絶縁シートの上面側あるいは前記光拡散シートの下面側に導電性材を印刷することにより形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の板ばね付きシート。
【請求項6】
前記導電部に導電性粘着剤を塗布し、前記絶縁シートと前記光拡散シートとを該導電性粘着剤によって貼り合わせると共に、前記導電部の一端を延出して接地部を設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の板ばね付きシート。
【請求項7】
前記導電部を、導電性粘着剤で形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の板ばね付きシート。
【請求項8】
前記絶縁シート、及び前記導電部と前記光拡散シートに、発光部材が収容される収容孔を貫通形成し、前記絶縁シートの貫通孔を前記導電部の貫通孔よりも小径に形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の板ばね付きシート。
【請求項9】
前記導電部の前記接地部を除いた外周部の形状を、前記絶縁シートの外周部の形状よりも小さく形成したことを特徴とする請求項6、又は7の何れかに記載の板ばね付きシート。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れかに記載の板ばね付きシートと、固定接点と発光部材が設けられ前記板ばね付きシートが積層される回路基板と、前記板ばね付きシート上に載置され、前記発光部材により照光されると共に、前記板ばねを反転させて前記固定接点に接離させる押釦とを備えたことを特徴とするスイッチ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−127799(P2006−127799A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−311347(P2004−311347)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】