説明

板ガラスの強化装置及び方法

テンパリング温度に加熱された板ガラスの強化方法は、第一急冷ステーションにおいて板ガラスを第一伝熱係数で冷却し、第一急冷ステーションの下流の第二急冷ステーションにおいて板ガラスを第二伝熱係数で冷却する、工程を含む。第二伝熱係数は第一伝熱係数よりも大きい。本発明の多段処理では、伝熱係数が各々その前の上流の急冷ステーションよりも大きい、下流の各急冷ステーションを有する複数の急冷ステーションを使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね板ガラスの強化に関し、より詳細には、多段強化法による板ガラスの強化に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラスの強度すなわち破損抵抗を高めるために、板ガラスを強化することが知られている。従来から、この強化(tempering;「テンパリング」ということもある)は化学的強化又は熱強化により行われている。化学的強化では、ナトリウムのような比較的小さなイオンがカリウムのような大きなイオンに置換されるか、あるいは、リチウムのような小さなイオンがナトリウム及び/又はカリウムのような大きなイオンに置換される。小さなイオンの除去によりできる隙間に大きなイオンの込み合いが、ガラス表面層の圧縮を生起する。
【0003】
熱強化ガラスでは、板ガラスは、ガラス軟化点付近のガラス歪み点を超えた高温に加熱され、その後冷却されて、ガラス内部領域を緩やかな速度で冷却しながら、ガラス表面領域が比較的急速に冷却される。この差違のある冷却は、ガラス内部の引張応力により平衡状態の圧縮応力をガラス表面領域にもたらす。得られた強化ガラスは、耐破壊性が未強化ガラスより非常に大きい。また、強化ガラスが破壊した場合、その割れパターンが未強化ガラスとは著しく異なる。強化ガラスは、典型的には粉々に砕け、テンパリングを高めるにつれて破片がより小さくなる。ガラスは割れて小さな破片になるので、裂傷による傷を負う可能性が低くなる。未強化ガラスは、典型的には、破壊すると尖った角を有する大きな片を形成する。
【0004】
従来の熱強化処理では、加熱された板ガラスは冷却室すなわち“クエンチ”を通って搬送され、冷却室において、板ガラスは、典型的には1,160゜F〜1,300゜F(627℃〜704℃)の範囲にある初期炉出口温度から、典型的には900゜F〜950゜F(482℃〜510℃)の範囲にあるクエンチ出口温度に急速に冷却され、この温度でガラスの応力(圧縮及び張力)が恒久的に定まるようになる。この処理で用いられる実際の温度範囲は、ガラス組成依存性である。ガラスの他の物理特性と共に温度依存性であるガラス粘度は、プロセスの必要条件を定める決定因子である。
【0005】
ガードン(Gardon)等の特許文献1には、板ガラスが、第一伝熱率を有する第一冷却ステーションで強化され、次いで、第二冷却ステーションに移動して第一伝熱率よりも低い第二伝熱率で冷却される方法が、開示されている。この方法では、最初に、歪み点よりも高い中心部をそのままにして板ガラス表面を歪み点以下に冷却し、次に冷却速度を低下させるようにして、時間を調整している。その後、第二冷却速度で中心部及び表面の双方を歪み点以下に冷却する。この修正された強化処理により、イオン交換ガラスによく似た強化ガラスが得られる。即ち、中心張力(center tension)が小さく、それ故に、従来の強化ガラスと同様に、ガラスが小さな片というよりむしろ大きな片に破壊する。このようなガラスは航空機のフロントガラスに特に有用であるので、ガラスが破壊した時でも、パイロットは、従来の強化処理により製造される非常に小さな片に割れるガラスというより、むしろ大きな片に割れたガラスを通してより容易に見通すことができる。ガードンの方法では、表面圧縮は大きいが中心張力は小さい板ガラスが得られる。
【特許文献1】米国特許第4,913,720号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、テンパー・レベルが高いほど、例えば表面圧縮及び中心張力が大きいほど、板ガラスはより強力なすなわち耐破壊性が大きくなる。従って、従来の強化技術を利用したテンパー・レベルよりも、板ガラスのテンパー・レベルを高めた装置及び方法を提供することが有利であろう。即ち、比較的大きな表面圧縮並びに大きな中心張力を有するガラスを製造することである。このような用途としては、耐候性(耐ハリケーン及び耐台風)の窓、調理台又は家具表面、ガラスの仕切壁(例えば、ホッケー場のガラスのようなスポーツ用仕切壁等)、より強く及び/又はより軽い建築物、自動車又は航空機のガラスが挙げられる。例えば、現在の耐ハリケーン・ガラスは、典型的には、ポリビニルブチラールと一緒に積層される熱強化又はアニール処理した2枚のガラスから形成される。ポリビニルブチラール層は、典型的には、2枚の板ガラスより高価である。この積層された構造物を単一の高度に強化された板ガラスと置換できるならば、重量及びコストを低減できるであろう。しかし、現在の熱強化法は、用いられる処理方法に起因して、このような高い強化レベルに役立たない。従って、従来の強化法で製造し得るものより、高度に強化された板ガラスの供給に利用できる装置及び/又は方法を提供することが有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
テンパリング温度に加熱された板ガラスの強化方法は、例えば第一伝熱係数を用いて、第一急冷ステーションにおいて板ガラスを第一伝熱率で冷却し、例えば第二伝熱係数を用いて、第一急冷ステーションの下流の第二急冷ステーションにおいて第二伝熱率で板ガラスを連続工程で冷却する、ことを含む。段階的に遅くした処理では、2つの伝熱率の一方を続いて他方を単一の急冷ステーションにおいて適用することができる。第二伝熱率は第一伝熱率よりも大きい。例えば、第一伝熱係数を第二伝熱係数よりも大きくすることができる。本発明の多段処理では、伝熱係数が上流の急冷ステーションよりも大きい下流の急冷ステーションを有する、複数の急冷ステーションを使用することができる。
【0008】
テンパリング温度に加熱された板ガラスの別の強化方法は、少なくとも1つの可動ノズルを有する急冷ステーションを備え、加熱された板ガラスを急冷ステーション内に搬送し、板ガラスからの第一の距離から第二の距離まで少なくとも1つのノズルを移動させて、板ガラスに適用される伝熱率を変化させる、ことを含む。非限定的な一実施の形態では、第一の距離を第二の距離よりも長くすることができる。
【0009】
テンパリング温度に加熱された板ガラスの更なる強化方法は、少なくとも1つの上部ノズルと少なくとも1つの下部ノズルを有する急冷ステーションを備え、加熱された板ガラスを急冷ステーション内に搬送し、板ガラスからの第一の距離から第二の距離まで上部及び/又は下部ノズルを移動させて、板ガラスに適用される伝熱率を変化させる、ことを含む。非限定的な一実施の形態では、第一の距離を第二の距離よりも長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
添付の図面を参照して本発明を説明するが、以下、同様の部材には同じ参照番号を引用する。
【0011】
本明細書では、“左”、“右”、“内部”、“外部”、“上方”、“下方”等の空間又は方向の用語は、作図に示す通り本発明と関連している。しかし、本発明では様々な代替の方向を想定することができ、従って、このような用語を限定とみなしてはならないと理解されるべきである。更に、本明細書では、明細書及び特許請求の範囲で用いられる寸法、物理特性、処理パラメータ、成分量、反応条件等を表す全ての数は、いずれの場合も、“約”なる用語に変更されるものと理解すべきである。従って、これに反する指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に示される全ての数値は、本発明が得ようとする所望の特性に応じて変更することができる。せめて、特許請求の範囲の範囲に対する均等論の適用を限定しようとする試みとしてではなく、少なくとも、記録された有効数字の数を考慮に入れて、また、通常の四捨五入の手法の適用によって、各数値を解釈すべきである。加えて、本明細書に開示された全ての範囲は、始めと終わりの範囲の値及びこの範囲に含まれるありとあらゆる部分的な範囲を包含するものと、理解されるべきである。例えば、“1〜10”と記載された範囲は、最小値1と最大値10の間の(を含む)ありとあらゆる部分的な範囲、即ち、最小値1以上で始まり最大値10以下で終わる全ての部分的な範囲、例えば、1〜3.3、4.7〜7.5、5.5〜10等の部分的な範囲を包含するものと考えるべきである。更に、本明細書に引用される全ての文献は、例えば発行された特許及び特許出願に限定されるものではなく、その全体が“援用される”とみなすべきである。
【0012】
本発明を実施する非限定的な装置が図1に示されている。装置10は、例えば個々の板ガラスの形態をした、ガラスをそのガラス転移温度以上の温度に加熱する従来の炉12を備えている。例えば、非限定的な一実施の形態においては、板ガラス14を1,160゜F(627℃)以上の温度に加熱する。次いで、ガラスは炉12から本発明のクエンチ18を通って搬送される。本発明において限定されるものではないが、ガラスを別々のコンベヤ16で搬送するか、あるいは、急冷ステーションの底面全体にわたって空気等の冷却流体のクッションで搬送することができる。例えば、米国特許第3,223,501号明細書には、離間した複数の支持帯域を有する装置が開示されている。本発明のクエンチ18は1以上の急冷ステーションを備えている。図示の非限定的な実施の形態においては、クエンチ18は複数のすなわち2以上の急冷ステーションを備えている。図示の非限定的な実施の形態は、第一急冷ステーション22、第二急冷ステーション24、及び第三急冷ステーション26を図示している。しかし、本発明のクエンチ18は、所望の数の急冷ステーションを収容できるものと理解すべきである。各急冷ステーション22,24,26は1以上の冷却要素を備えている。非限定的な従来の冷却要素としては、スロット(米国特許第4,046,543号明細書)、ノズル又はロゼット・モジュール(rosette module)が例示される。図示の非限定的な実施の形態において、各急冷ステーション22,24,26は第一すなわち上部プレナム30a〜30cを備えており、上部プレナムは、コンベヤ16の先端部に向けられた(あるいは、別々のコンベヤでないならば板ガラス14の先端部に向けられた)1以上のノズルの形態とすることができる。ノズルは、パイプ又はダクトを介するなど従来通り、それぞれ冷却流体の供給源32a〜32cに接続している。非限定的な一実施の形態において、冷却流体は空気等のガス状流体から構成される。例えば、限定されるものではないが、疎水性コロイドシリカ、慣用の昇華急冷物(二酸化炭素を用いるもの等)、又はオイル急冷もしくは液体金属急冷等の液体急冷物など、他の冷却剤を使用することもできる。
【0013】
また、各急冷ステーション22,24,26は、コンベヤ16の下方に位置する(即ち、板ガラス14の底面に向けられた)、プレナム又は冷却ノズル等の第二すなわち下部冷却要素34a〜34cを備えることができる。第二冷却要素34a〜34cは、パイプ又はダクトを介するなど従来通り、冷却流体の第二供給源36a〜36cに接続している。また、非限定的な一実施の形態において、冷却流体の第二供給源36a〜36cは空気等の冷却ガスから構成される。上述のように、例えば、限定されるものではないが、疎水性コロイドシリカ、慣用の昇華急冷物(二酸化炭素を用いる等)、又はオイル急冷もしくは液体金属急冷等の液体急冷物など、他の冷却剤を使用することもできる。クエンチ18の頂部から下方に及びクエンチ18の底面から上方に延びるカーテン又は仕切り40を介するなど、従来通り、急冷ステーション22,24,26を画定又は分離することができる。
【0014】
また、急冷ステーション22,24,26は1以上の位置決め装置42a〜42cを備えることができ、冷却要素30a〜30c,34a〜34cの位置を急冷ステーション22,24,26内で調整することができる。例えば、位置決め装置42a〜42cは、コンベヤ16からの第一冷却要素30a〜30c及び/又は対応する第二冷却要素34a〜34cの距離を調節できるように、冷却要素30a〜30c,34a〜34cの一方又は双方をコンベヤ16に向かう方向又は離間する方向に移動できる慣用の機械装置とすることができる。更に又は別の方法として、第一冷却要素30a〜30c又は第二冷却要素34a〜34cにそれぞれ異なった流体を供給できるように流体供給源32a〜32c,36a〜36cを構成して、各ステーションに異なった冷却速度を与えることができる。更に又は別の方法として、流体供給源32a〜32c,36a〜36cを従来通り温度調整し、冷却要素30a〜30c,34a〜34cに所定の温度の流体を供給して、各ステーションに異なった冷却速度を与えることができる。
【0015】
装置の操作を以下に説明する。
板ガラス14等のガラス品を炉12内でガラスのガラス転移温度以上の温度に加熱する。非限定的な一実施の形態においては、板ガラスを1,160゜F(627℃)以上の温度に加熱する。しかし、当業者には明らかであるが、板ガラスを加熱する温度が高ければ高いほど、得られる表面圧縮は大きくなる。
【0016】
板ガラス14は、クエンチ18内に搬送され、そこで第一急冷ステーション22に搬入される。第一冷却要素30a及び/又は第二冷却要素34aから板ガラス14の上面及び/又は底面に向けて冷却流体を導いて、第一伝熱率を提供する。例えば、第一急冷ステーション22において第一伝熱係数(HTC)を第一の所定時間用いることができる。
【0017】
伝熱係数は、ガラス表面からの熱除去速度(Q)と、ガラス表面の温度から冷却流体がガラスに接近した時の冷却流体の温度を差し引いた温度差との比例定数である。
【数1】


ここで、Qは熱除去速度[Btu/hr・ft]、HTCは伝熱係数[Btu/hr・ft・゜F]、Tガラスはある任意の時点におけるガラスの温度、T流体は対応する時間における冷却流体の温度、qradは輻射により失われる熱である。ガラスの温度等に限定されるものではないが、操作パラメータに応じて、他の伝熱成分と比較してqradを比較的小さくすることができる。
【0018】
熱強化を行う間、ガラス転移温度(Tg)よりも高い温度から冷却すると、ガラスのテンパー・レベル(表面圧縮及び中心張力)はガラス表面からの熱除去速度に直接関係する。一般的に、初期ガラス温度がTgより高ければ高いほど、得られるテンパー・レベルは高くなる。冷却速度が速ければすなわち高ければ高いほど、テンパー・レベルは高くなる。テンパー・レベルを高める効果的な手段は、HTCを高くするか又は以下に述べるT流体を低下させることである。
【0019】
次に、板ガラス14は、第二急冷ステーション24内に搬送され、そこで冷却要素30b,34bは、第二の所定時間板ガラス14の上面及び/又は底面に向けて冷却流体を導く。しかし、第二急冷ステーション24では、伝熱率が第一冷却ステーション22の伝熱率よりも大きい。例えば、第二冷却ステーション24で用いられる伝熱係数(即ち、第二伝熱係数)は、第一冷却ステーション22で用いられる伝熱係数(即ち、第一伝熱係数)よりも大きい。クエンチ18内に更なる急冷ステーション(第三急冷ステーション26等)が存在するならば、板ガラス14は引き続きこれらの後続の急冷ステーションに案内されるが、下流の各急冷ステーションは、伝熱率が隣接する上流の急冷ステーションと等しいか又はそれより大きい。例えば、下流の各急冷ステーションは、隣接する上流の急冷ステーションと等しいか又はそれより大きい伝熱係数を用いることができる。その後、板ガラス14は、強化処理によってもたらされる永久表面圧縮及び中心張力を定めるに十分低い温度でクエンチ18から搬出され、板ガラス14を従来通り室温まで更に冷却することができる。
【0020】
当業者ならば分かるであろうが、様々な急冷ステーション22,24,26の伝熱率を従来通り調整することができる。例えば、これは、当該急冷ステーションに供給される冷却流体の温度を変えて、熱除去速度を変化させることによって行うことができる。2,3の例を挙げると、流速すなわち急冷ステーション内の冷却流体の速度を速めるか、冷却要素とガラス表面間の距離を短くするか、あるいは、急冷ステーションを通る板ガラスの速度を変更することによって、HTCを大きくすることもできる。例えば、第一急冷ステーション22内の第一及び第二冷却要素30a,34aをガラス表面から第一の距離に隔てることができる。第二急冷ステーション24における第一及び第二冷却要素30b,34bをガラス表面から第二の距離に隔て、第二の距離を第一の距離と等しくするか又はそれより短くすることができる。これに代わるものとして、流体温度を低下させることができ、及び/又は、第二急冷ステーション24内の流体速度すなわち流速を第一冷却ステーション22よりも速くして、第二急冷ステーション24内の板ガラス14に適用される熱除去速度を第一急冷ステーション22のものよりも速くすることができる。非限定的な本発明の一実施の形態においては、ガラス割れの可能性を低下させるために、冷却ステーション内の板ガラスの応力レベル(表面張力)が、例えば8,000psi(約55.2MPa)以下、例えば6,000psi(約41.4MPa)以下、例えば5,000psi(約34.5MPa)以下、例えば4,800psi(約33.1MPa)以下など、10,000ポンド/平方インチ(psi)(約68.9MPa)を超えないように、急冷ステーション22,24,26を構成することができる。
【0021】
次の模範的な方法で本発明を実施することができる。最初に全ての急冷ステーション22,24,26の伝熱率を同じレベルに設定することができる。例えば、初期伝熱係数を全て各急冷ステーションで同一とすることができる。次いで、加熱された板ガラス14をクエンチ18に通して搬送することができる。板ガラス14が割れ又は亀裂し始める時点まで、全ての急冷ステーション22,24,26における伝熱率を高めることができる。この“欠陥時点”に達すると、ガラスの割れが存在しなくなるまで、急冷ステーション22,24,26における伝熱率を下げることができる。例えば第一伝熱係数を用いて、第一急冷ステーション22は第一伝熱率に保持できる。次に、第二急冷ステーション24内の板ガラスが割れ又は亀裂し始める時点まで、第二急冷ステーション24の伝熱率を高める。これは、第一伝熱係数よりも大きい第二伝熱係数を用いることにより行うことができる。その後、上記割れ又は亀裂が発生しなくなるまで、第二急冷ステーション24の伝熱率を下げることができる。例えば、第二伝熱係数を下げることができる。第二急冷ステーション24におけるこの第二伝熱率は、第一急冷ステーション22における第一伝熱率よりも大きいであろう。例えば、第二伝熱係数を第一伝熱係数よりも大きくすることができる。同様にして、例えば追加の急冷ステーションにおける伝熱係数を調整することによって、あらゆる追加のステーションにおける伝熱率をそれに応じて調整することができる。非限定的な一実施の形態においては、ガラス中心温度がガラス転移範囲以下になるまで、あるいは、最終の表面圧縮に対する連続したステーションの寄与が実質的に零になるまで、第一急冷ステーションの下流にある連続した急冷ステーションで板ガラスを冷却することができる。
【0022】
例えばガラスの温度に基づいて、板ガラス14が様々な急冷ステーション22,24,26に滞留する時間を調節することができる。例えば、板ガラスの初期温度が高ければ高いほど、板ガラスをより速く第一急冷ステーション22から第二急冷ステーション24内に搬送すべきである。また、板ガラスが薄ければ薄いほど、板ガラスをより速く第一急冷ステーション22から第二急冷ステーション24に搬送すべきである。
【0023】
非限定的な一実施の形態において、ペンシルベニア州カノンズバーグに在所のANSYS社から市販されている市販ANSYS有限要素コンピュータ・プログラムの伝熱計算能力を用いて、冷却する板ガラスの挙動を処理パラメータから評価することができる。
【0024】
本発明は、強化レベル(表面圧縮及び中心張力)が、従来の熱強化処理を用いて以前に可能であったものよりも著しく高いガラスを提供する。本発明により製造されるガラスは、例えば安全性及び/又は防砕性ガラス等の先に述べたものなど、各種の用途に利用することができる。
【0025】
当業者ならば分かるが、強化処理の間、冷却が急冷で始まると、ガラスの外面(縁部を含む)は最初にピンと張った(tension)状態になる。冷却速度が速ければ速いほど、引張応力は大きくなる。内部の圧縮によって均衡するこの引張応力は、ガラスの粘性歪みにより減衰し始める。急冷し始めるガラスの初期温度が高ければ高いほど、これはより急速に進行する。冷却によって作り出される初期の表面引張応力がガラスの基本強度[公称、4,800〜10,000psi(約33.1〜68.9MPa)]を超えると、破壊を生じる可能性がある。加えられた引張応力に関する分布が正常であると大体割れ性向が現れる。表面よりも弱く、かつ、典型的には表面よりも速く冷却するガラス縁に、通常破壊が発生する。この現象は、従来の一段急冷系に適用し得る冷却速度を制限する。ガラスの実用的な最大炉出口温度は、ガラス重量(鋏、ロール、流体フィルム等)を支持する方法と最終的に許容可能な光学的品質とにより定められる。温度が高ければ高いほど、ガラス粘度が低くなり、かつ、ガラスが時間の経過と共に自身の重量でより一層変形し、そのため、光学的品質を悪化させる。全体的にみて、ある支持方法については、要求されるガラスの品質と急冷による割れの受入れ可能な頻度とが許容し得る出口温度を決定し、このようにして、作り出され得る最終的な圧縮応力レベルが決定される。
【0026】
ガラス表面(典型的には従来の一段急冷の)に適用される均一な冷却速度で、ガラス転移温度範囲以上の温度に最初に加熱されたガラスのいかなる厚さでも、初期ガラス温度を高めることに伴って、ガラス表面に作り出される最終的な最大圧縮応力レベルが安定した状態に至る。冷却速度を速くすると、ガラス圧縮応力レベルの安定状態はいつも高めた初期ガラス温度レベルで達成される。テンパリングにより高いガラス表面圧縮応力レベルを作り出すためには、高い急冷速度(即ち、高い伝熱率)と炉出口温度を必要とする。本発明は、高度の強化ガラスの製造に必要な比較的高い出口温度を用いる、従来の熱強化方法によって作り出される割れ及び光学的問題を克服するものである。本発明によれば、同レベルの圧縮応力を達成するためにより低い出口温度を用いることができる。非限定的な一実施の形態において、本発明は伝熱レベルに基づく多段急冷系を用いる。初期の速い冷却速度段階は、ガラス張力レベルを丁度所定のガラス厚の破壊限界以下に作り出すと共に、急冷入口温度レベルに続いてガラス厚に大きな温度勾配を与えるより一層速い冷却速度段階が続き、重大なガラスの割れ又は光学的問題を引き起こすことなく、高い表面圧縮応力レベルを作り出す。これらの速い冷却速度レベルは、公知技術の一段伝熱レベル急冷系では、ガラスの割れ及び光学的品質の問題のために達成することができない。
【0027】
前述の実施の形態において、本発明を実施する際には複数の急冷ステーションが用いられる。しかし、伝熱率が異なる複数の領域を有する単一の急冷ステーションを用いても、本発明を実施できることが理解されるべきである。これは、例えば、ガラスの進行方向にコンベヤから短縮した距離にノズルが位置するコンベヤの上方及び/又は下方に、ノズル等の1以上の冷却要素を有する急冷ステーションを備えたものなどに限定されるものではないが、従来通り実施できる。即ち、急冷ステーションの入口端に位置するノズルは、コンベヤの出口端に位置するノズルよりもコンベヤから遠くにある。本発明の非限定的な一実施の形態においては、所定の傾斜に沿ってノズルを位置させて、急冷ステーションに実質的に連続した熱除去速度勾配を設けることができる。別の非限定的な実施の形態においては、ノズルをまとめて位置させて、より大きな段階的熱除去速度勾配を生み出す幾つかの冷却領域を設けることができる。また別の非限定的な実施の形態においては、急冷ステーションに沿ってコンベヤから等間隔にノズルを隔てることができるが、急冷ステーションの出口端により近いノズルが入口端に近いノズルよりも高い伝熱率を与えるように、急冷ステーションの長さ方向に沿って、ノズルの流速、流体温度、流体の種類等に差違を持たせることができる。更に別の非限定的な実施の形態においては、上部及び/又は下部ノズルを移動可能にして、これらが、最初は急冷ステーション内のガラスから第一の距離に位置し、その後内側に移動、即ち、ガラスの上面及び/又は下面に向かって移動して、伝熱率を変更、例えば伝熱率を高めることができる。必要に応じて、ノズルを外側に移動させて伝熱率を下げることができる。
【0028】
本明細書に説明したように、本発明の実施は、強化処理に用いられる初期ガラス急冷入口温度レベルに関して、任意のガラス組成及び厚さを可能にする最大テンパー・レベルを実現するであろう。本発明によって作り出される最終的なガラスのテンパー・レベルは、公称のガラス急冷熱除去速度及び入口温度レベルで操作する従来の一段強化処理によって作り出されるものと比較して、著しく高いであろう。
【実施例1】
【0029】
表1は、ペンシルベニア州カノンズバーグに在所のANSYS社から市販されているANSYS有限要素解析プログラムを用いて計算された、本発明の特長を組み入れた処理に関するものと比較した従来の処理に関する冷却及び強化パラメータを示す。
【0030】
【表1】

【0031】
表1において、“初期最大表面張力”欄は、急冷開始からガラスが所定の最大表面張力に達するまでの時間(開始時間“0”、即ち、初期伝熱率が加熱された板ガラスに適用された後の時間)を意味する。図表の処理において、最大表面張力を大凡4,800psi(約33.1MPa)以下に保持して、ガラスの割れを最小限に止めた。例えば、49の初期伝熱係数を用いて急冷開始から0.5秒後に、サンプルNo.3は表面張力が4,824psi(約33.3MPa)に達した。“初期最大表面張力発生時のガラス温度”欄は、0.5秒時間での板ガラスの中心及び表面温度を意味する。“第二伝熱係数”欄は、第二伝熱係数を開始した時の累積時間(即ち、0時間から)を意味する。サンプルNo.3において、159の第二伝熱係数を0時間から1.75秒で開始した。“第二伝熱係数での表面応力”欄は、第二伝熱係数を開始した時間でのガラスの表面応力を意味する。“第二最大表面張力”欄は、第二伝熱係数の適用中にガラスが最大表面張力に達した累積時間(即ち、0時間から)を意味する。例えば、サンプルNo.3は、2秒(即ち、0時間から2秒)の累積時間で4,719psi(約32.5MPa)の表面張力に達した。“第二伝熱係数での中心/表面温度”欄は、第二伝熱係数を開始した時の板ガラスの中心及び表面温度を意味する。図表の3段階急冷処理(多段急冷強化)に用いられた欄は、直ぐ上で述べた解析法に準拠する。
【0032】
表1に示すように、全急冷サイクルに33又は49Btu(約34.8又は51.7kJ)/hr/ft/゜Fの一様な伝熱係数を用いた従来の強化処理により、第一及び第二サンプルを強化した。しかし、伝熱係数を33から49に大きくし、かつ初期温度を1,182゜Fから1,266゜F(約638.9℃から約685.6℃)に高めると(温度を高めると、ガラスの割れを伴うことなく伝熱係数を大きくすることが可能である)、ガラス残留表面圧縮が−25,518から−36,622psi(約−175.9から約−252.5MPa)に、残留中心張力が9,672から12,348psi(約66.7から約85.1MPa)に上昇した。これは、表面圧縮が約44%[{(36,622−25,518)/25,518}×100%]変化したことを示す。
【0033】
しかし、本発明の処理の実施は、ガラスに作り出される残留表面圧縮及び残留中心張力の双方を劇的に高めることができる。表1に示すように、第三の例は本発明の2段階強化処理を例証する。このサンプルでは、49Btu/hr/ft/゜Fの初期伝熱係数を用いて、初期温度1,266゜Fのガラスを第一冷却ステーションで1.75秒間急冷し、次いで、第二伝熱係数が159Btu(約167.7kJ)/hr/ft/゜Fの第二冷却ステーションに搬送した。第二及び第三のサンプルは共に厚さ[0.75インチ(約1.90cm)]及び初期温度(1,266゜F)が同じであるが、本発明の強化処理を施すと、残留表面圧縮が−60,547psi(約−417.5MPa)及び残留中心張力が19,859psi(約136.9MPa)のガラスが得られている。この結果は、ガラス表面圧縮がサンプル2の従来の強化処理から作り出されるものを超えて65%向上したことを示しているが、一方、ガラス表面張力レベルは従来の強化処理により作り出されるもの以上には向上せず、これにより、従来の強化処理と同様の割れ性向を保持している。
【0034】
サンプル4は、第三急冷ステーション内において遅延した時間で第三のなお一層大きな伝熱係数に調整することによって、残留表面圧縮及び残留中心張力を更に大きくできることを例証する比較サンプルである。この結果は、従来の強化処理によってもたらされるものを超えて、ガラス表面圧縮が93%[{(70,863−36,622)/36,622}×100%]向上したことを示している。
【実施例2】
【0035】
下記の表2は、ガラス表面張力レベルが4,800psi(約33.1MPa)を超えないようにしながら、様々なガラス急冷入口温度及び伝熱係数を有する多様な板ガラスの厚さに対して、出現し得る残留表面圧縮レベルを示す。これらの結果は、従来のANSYS有限要素プログラムを用いて計算された。
【0036】
【表2A】

【0037】
【表2B】

【0038】
表2には、初期伝熱係数を急冷全体に用いると、初期伝熱係数の下での表面圧縮(SC)が、最終的にどのような表面圧縮になるか(即ち、従来の急冷は何をもたらすか)を示している。第二伝熱係数の下での表面圧縮値は、本発明の多段急冷による表面圧縮を示す。表2から、ガラス厚が増大し初期ガラス温度が高くなると、高い伝熱係数による第二冷却段階の効果は大きくなるようである。表2中の“%増加率”は、第一初期ガラス温度での表面圧縮と比較したとき、(a)ガラスの初期温度を高めた効果、又は(b)ガラスの初期温度を高めたことと高くした伝熱率(大きな伝熱係数により反映される)での第二冷却工程との複合効果による、表面圧縮の百分率増加率を示す。例えば、表2中の0.07インチ(約0.18cm)のサンプルについてみれば、初期ガラス温度は1,182゜Fであり、ガラスの表面圧縮は−8,753psi(約−60.3MPa)であった。ガラス処理を高い伝熱率で第二冷却工程に付すと、表面圧縮は−9,229psi(約−63.6MPa)に高まる、即ち、%増加率が5.4%[{(9,229−8,753)/8,753}×100%]向上した。更に、初期ガラス温度を1,238゜F(670℃)に高めると、ガラスの表面圧縮は−14,533psi(約−100.2MPa)であった。これは、第一初期温度での及び一段急冷によるガラスの表面圧縮を超えて、66%[{(14,533−8,753)/8,753}×100%]の表面圧縮の増加率を示す。また、高い伝熱率で第二冷却工程を用いると、表面圧縮は−18,237psi(約−125.7MPa)に高められる、即ち、表面圧縮の増加率が108.4%[{(18,237−8,753)/8,753}×100%]向上した。表2は、更に第二冷却工程による表面圧縮の百分率増加率(“Mod% Incr.”で示される)を含んでいる。より詳細にそして上述の例についてみれば、高めた温度と第二冷却工程による%増加率は108.4%であり、一方、高い初期温度のみによる%増加率は66%であった。その結果、第二冷却工程に起因する表面圧縮のMod% Incr.は42.3%(108.4%−66%)であった。
【実施例3】
【0039】
表3は、ガラス表面張力が4,800psiを超えないようしながら、本発明の三段階急冷を用いて、ガラス急冷入口温度が1,266゜F及び1,294゜F(約685.6℃及び約701.1℃)の多様な板ガラスの厚さに対して、出現し得る残留表面圧縮レベルを示す。これらの結果もANSYS有限要素プログラムを用いて計算された。
【0040】
【表3】

【0041】
当業者ならば、以上の説明で明らかにされた概念から逸脱することなく、本発明を変更できることが容易に認識されるであろう。従って、本明細書に詳細に開示された特定の実施の形態は、一例にすぎず、また、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明には、添付の特許請求の範囲及びそのありとあらゆる均等物に十分な広さが与えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の特長を組み入れた強化装置の概略側面図である。
【図2】表1に示す第一の従来の強化処理における表面及び中心厚の温度と応力のグラフである。
【図3】図2の従来の強化処理における厚さ方向の永久歪みのグラフである。
【図4】表1に示す第二の従来の強化処理における表面及び中心厚の温度と応力のグラフである。
【図5】本発明の二段階冷却処理における表面及び中心厚の温度と応力を示すグラフである。
【図6】本発明の三段階冷却処理における表面及び中心厚の温度と応力を示すグラフである。
【図7】図6の三段階冷却処理におけるガラス厚方向の永久歪みのグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)最初の時間、板ガラスを第一伝熱率で冷却し、
(b)工程(a)の後、板ガラスを第一伝熱率よりも高い第二伝熱率で冷却する、
工程を含む、テンパリング温度に加熱された板ガラスの強化方法。
【請求項2】
単一の急冷ステーション内で前記工程(a)及び(b)を実施する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第一急冷ステーションにおいて板ガラスを第一伝熱率で冷却し、
第一急冷ステーションの下流の第二急冷ステーションにおいて、板ガラスを第二伝熱率で冷却する、
ことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ガラス中心温度がガラス転移範囲以下になるまで、あるいは連続した急冷ステーションによる最終表面圧縮の寄与が実質的に零になるまで、板ガラスを連続した急冷ステーションで冷却する、
ことを更に含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第一急冷ステーションで第一伝熱係数を用い、
第二急冷ステーションで第二伝熱係数を用いることを含み、
第二伝熱係数が第一伝熱係数よりも大きい請求項3に記載の方法。
【請求項6】
最初に第一及び第二伝熱率を実質的に同じ値に設定し、
ガラスの割れが発生するまで第一及び第二伝熱率を高めながら、加熱された板ガラスを第一及び第二急冷ステーションに通し、
割れが発生しなくなるまで第一及び第二伝熱率を低下させ、
ガラスの割れが発生するまで第二急冷ステーション内の伝熱率を高めながら、第一急冷ステーション内の第一伝熱率を維持し、
ガラスの割れが発生しなくなるまで、第二急冷ステーション内の伝熱率を低下させ、これを第二伝熱率と定義する、
ことを含む請求項3に記載の方法。
【請求項7】
強化処理中、板ガラスを8,000psi(約 55.2MPa)以下の表面張力に維持する、ことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項8】
強化処理中、板ガラスを4,800psi(約33.1MPa)以下の表面張力に維持する、ことを含む請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第一及び第二熱除去速度が、冷却流体の温度、ノズルからガラスまでの距離、流体の流速、流体圧、及び冷却流体の種類の少なくとも1つの調整によって調整される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
(a)最初の時間、第一伝熱係数を用いて第一急冷ステーション内の板ガラスを冷却し、
(b)第一伝熱係数よりも大きい第二伝熱係数を用いて、第一急冷ステーションの下流の第二急冷ステーション内の板ガラスを冷却する、
工程を含む、テンパリング温度に加熱された板ガラスの強化方法。
【請求項11】
第一及び第二伝熱係数が、冷却流体の温度、ノズルからガラスまでの距離、流体の流速、流体圧、及び冷却流体の種類の少なくとも1つの調整によって調整される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
強化処理中、板ガラスを8,000psi(約55.2MPa)以下の表面張力に維持する、ことを含む請求項10に記載の方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法により製造される板ガラス。
【請求項14】
請求項10に記載の方法により製造される板ガラス。
【請求項15】
少なくとも1つの可動ノズルを有する急冷ステーションを備え、
加熱された板ガラスを急冷ステーション内に搬送し、
板ガラスからの第一の距離から第二の距離まで少なくとも1つのノズルを移動させて、板ガラスに適用される伝熱率を変化させる、
ことを含む、テンパリング温度に加熱された板ガラスの強化方法。
【請求項16】
第一の距離が第二の距離よりも長い請求項15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも1つの上部ノズルと少なくとも1つの下部ノズルを有する急冷ステーションを備え、
加熱された板ガラスを急冷ステーション内に搬送し、
板ガラスからの第一の距離から第二の距離まで上部及び/又は下部ノズルを移動させて、板ガラスに適用される伝熱率を変化させる、
ことを含む、テンパリング温度に加熱された板ガラスの強化方法。
【請求項18】
第一の距離が第二の距離よりも長い請求項17に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2009−515811(P2009−515811A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541245(P2008−541245)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2006/043940
【国際公開番号】WO2007/064458
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(399074983)ピーピージー・インダストリーズ・オハイオ・インコーポレイテッド (60)
【氏名又は名称原語表記】PPG Industries Ohio,Inc.
【Fターム(参考)】