説明

板体の縁構造

【課題】接着剤のはみ出し量を減少させて、はみ出した接着剤の除去作業を大幅に軽減するとともに、加工が簡単でコストダウンを図ることができる板体の縁構造を提供する。
【解決手段】端面1aに接着剤3で縁材2が接着された板体1の縁構造において、板体1の端面1aに、接着剤3が入り込み可能な複数の窪み部1bが形成されている。
板体1の端面1aに接着剤3で縁材2の接着面2aを接着する作業の際に、塗布しすぎた余分な接着剤3は、板体1の端面1aの窪み部1bに入り込むので、余分な接着剤3の端部からのはみ出し量が減少する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板体の縁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチン等のテーブル(板体)の端面、洗面化粧台やドア等の扉(板体)の端面には、化粧用の縁材が接着剤で接着されている。
【0003】
ところで、板体の平らな端面に接着剤で平らな縁材を接着する作業の際には、板体の端面に接着剤を塗布して、その上から縁材を押し付けることで接着しているが、余分な接着剤が端部からはみ出すので、はみ出した接着剤の除去作業が必要であった。
【0004】
そこで、接着剤のはみ出しを防止するために、被着体(板体)の接着面に、接着時に接着面に沿って拡がる接着剤を受け入れ、接着剤の拡がりを抑制する長溝状の凹部を形成し、この凹部の周囲に、接着剤のはみ出しを堰き止める堰状の凸部を設けたものが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−139276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、被着体(板体)に長溝状の凹部や堰状の凸部を形成しなければならないので、加工が煩わしくコストアップになるという問題があった。
【0006】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、接着剤のはみ出し量を減少させて、はみ出した接着剤の除去作業を大幅に軽減するとともに、加工が簡単でコストダウンを図ることができる板体の縁構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、端面に接着剤で縁材が接着された板体の縁構造において、前記板体の端面または縁材の接着面の少なくとも一方に、接着剤が入り込み可能な複数の窪み部が形成されていることを特徴とする板体の縁構造を提供するものである。
【0008】
請求項2のように、前記窪み部は、半球状であることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、端面に接着剤で縁材の接着面を接着する作業の際に、塗布しすぎた余分な接着剤は、板体の端面の窪み部に入り込むから、余分な接着剤の端部からのはみ出し量が減少するので、はみ出した接着剤の除去作業が大幅に軽減できるようになる。
【0010】
また、板体の端面や縁材の接着面に窪み部を加工するだけであり、その加工は、プレス加工等で簡単に、かつコスト安にできるので、コストダウンを図ることができる。
【0011】
さらに、窪み部は、背景技術のような長溝状の凹部とは異なり、板体の端面の全体に亘って略均等な間隔で多数個を形成可能であるので、板体の端面の強度を確保できるとともに、接着力も確保できるようになる。
【0012】
さらにまた、窪み部は、背景技術のような堰状の凸部とは異なり、板体の端面に後加工でも形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0014】
図1(a)に示すように、板体1は、キッチン等のテーブルや洗面化粧台やドア等の扉であり、その端面1aは、カットソー等で切断されて概ね平らである。
【0015】
板体1は木質系であり、木材のムク板体の他に、パーチクルボード、MDF(Medium Density Fiberboard)、WPC(Wood Plastic Combination)等を用いることができる。パーチクルボードやMDFは、木材原料を小片またはそれ以下の要素に細分化し、これを接着剤等の結合剤によって再構成した板体であり、WPCは、木材組織の空隙部等にプラスチックを注入・充填して、硬化させた板体である。
【0016】
縁材2は、板体1の端面1aに接着剤で接着するものであり、その接着面2aは、概ね平らである。
【0017】
縁材2は、樹脂縁材(ABS、PP、PET等)やゴム系縁材、木縁材(合板、パーチクルボード、MDF、集成材等)、金属縁材(アルミ、鉄等)を用いることができる。特に、押し出し成形で連続的な成形が可能な成型縁材(樹脂縁材やアルミ縁材)が成型性やコスト面で有利である〔図1(a)の二点鎖線参照〕。
【0018】
接着剤3(図2参照)は、板体1の端面1aに塗布するものであり、塗布しただけでは殆ど流動しないが、加圧することによって流動する程度の粘度をもったホットメルトや酢酸ビニル系接着剤を用いることができる。
【0019】
図1(b)に示すように、板体1の端面1aには、接着剤3が入り込み可能な複数の窪み部(ディンプル)1bが形成されている。窪み部1bは、端面1aの全体に亘って略均等な間隔で多数個が形成されている。この窪み部1bは、例えば、半球状の凸部を形成した治具を端面1aに押し付けることで、半球状に窪ませるようなプレス加工をすることができるが、電動ドリル等で切削加工をすることもできる。
【0020】
また、縁材2の接着面2aに同様の窪み部2bを形成することもできる。なお、板体1と縁材2の双方に窪み部1b,2bを形成することも可能である。
【0021】
そして、板体1の平らな端面1aに接着剤3で縁材2の平らな接着面2aを接着する作業に際しては、まず、図2(a)のように、板体1の端面1aに塗布機等で接着剤3を塗布する。この場合、接着剤3は、窪み部1bに無理に押し込む必要は無い。
【0022】
ついで、図2(b)のように、板体1の端面1aに縁材2の接着面2aを宛てがい、その後に、図2(c)のように、多段ロールプレス等で縁材2を板体1に向けて加圧する(矢印参照)。
【0023】
この加圧により、板体1の端面1aに接着剤3で縁材2の接着面2aが接着されるが、塗布しすぎた余分な接着剤3は、板体1の端面1aの多数個の窪み部1bに入り込むから、余分な接着剤の端部からのはみ出し量が減少するので、はみ出した接着剤の除去作業が大幅に軽減できるようになる。特に、板体1がパーチクルボードやMDFのように、接着剤3が浸透しやすいタイプである場合には、より効果的である。
【0024】
また、板体1の端面1aや縁材2の接着面2aに窪み部1b,2bを加工するだけであり、その加工は、プレス加工等で簡単に、かつコスト安にできるので、コストダウンを図ることができる。
【0025】
さらに、窪み部1bは、背景技術のような長溝状の凹部とは異なり、板体1の端面1aの全体に亘って略均等な間隔で多数個を形成できるので、板体1の端面1aの強度を確保できるとともに、接着力も確保できるようになる。
【0026】
さらにまた、窪み部1bは、背景技術のような堰状の凸部とは異なり、板体1の端面1aに後加工でも形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る板体と縁材であり、(a)は分解斜視図、(b)は板体の窪み部を示す要部斜視図、(c)は板体の窪み部の断面図、(d)は縁材の窪み部を示す斜視図である。
【図2】(a)は板体に接着剤を塗布した状態の断面図、(b)は板体に縁材を宛てがう状態の断面図、(c)は縁材を板体に向けて加圧する状態の断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 板体
1a 端面
1b 窪み部
2 縁材
2a 接着面
2b 窪み部
3 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端面に接着剤で縁材が接着された板体の縁構造において、
前記板体の端面または縁材の接着面の少なくとも一方に、接着剤が入り込み可能な複数の窪み部が形成されていることを特徴とする板体の縁構造。
【請求項2】
前記窪み部は、半球状であることを特徴とする請求項1に記載の板体の縁構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−232370(P2008−232370A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75908(P2007−75908)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】