説明

板状体の収納容器及び収納体並びに板状体の積載装置及び運搬車両

【課題】大型板状体の効率よい積載作業と振動や衝撃による板状体の損傷を防止できる板状体の積載装置及び運搬車両を提供。
【解決手段】実施の形態の積載装置は基台、アイソレータ、皿バネ機構、傾斜台、スクリュウジャッキ、横ずれ規制装置、収納容器固定装置、及び傾斜状態保持装置から構成。積載装置に伝わる振動は、アイソレータによって減衰され、積載装置には直接伝わらないので、振動によるガラス板の損傷を防止できる。また、トレーラーから積載装置に加わる横揺れは、横ずれ規制装置の横ずれ防止効果に相まって複数の皿バネ機構の皿バネが弾性変形することにより、横揺れ量が抑制される。これにより、収納容器10を安定して運搬することができ、よって、横揺れに起因するガラス板の損傷を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は板状体の収納容器及び収納体並びに板状体の積載装置及び運搬車両に係り、特に液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等の大型ガラス基板及びその製造過程における中間製品の大型ガラス板を積層状態で収納するための収納容器及び収納された収納体並びに収納体を積載する積載装置及びこの積載装置を搭載する運搬車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイ用ガラス基板、プラズマディスプレイ用ガラス基板等のFPD(Flat panel Display)用ガラス基板は大型化のニーズが高まっており、特に、第10世代サイズと称されるガラス基板は、一辺が3000mmを超える大型サイズである。このような大型のガラス板が複数枚積層されて収納される収納容器は、短辺でも3000mmを超えるため、公道走行時の道路交通法規の車幅制限により水平状態にして運搬することが困難で、運搬車両(例えばトレーラーやトレーラー)の荷台に所定の角度傾斜させた状態で運搬される。
【0003】
特許文献1には、パネルを傾斜して積載する積載装置(パネル梱包用トレーラー)が開示されている。特許文献1の図1に示される積載装置は支持台、一対の支持枠、及びパネル支持部材等から構成されている。前記支持台は、台車の前部及び後部に枢支部を有し、この枢支部には、頂部が回動自在に連結された一対の支持枠の下端部が枢支されている。また、一対の支持枠の高さ方向の中間部には、外側に回動自在な中間ヒンジが設けられ、このヒンジを利用して一対の支持枠は組立時に略山形状に起立される。また、一対の支持枠には、パネルを寄り掛けた状態で支持するパネル支持部材が設けられている。つまり、特許文献1の積載装置は、略山形状に起立された一対の支持枠にパネルを寄り掛けて積載するものである。
【0004】
特許文献2には、ガラス板を傾斜して積載する積載装置(板ガラス輸送用トレーラー)が開示されている。特許文献2の図1に示す積載装置は、上部部材が取り外し可能な箱型トレーラーの内部に、傾斜した支持部材が設けられている。この支持部材上に、断面がL字状のガラス支承部材が係合され、このガラス支承部材上に複数枚のガラス板がサンドバックを介して積層されている。この積載装置では、ガラス板が積載されたガラス支承部材を、特許文献2の図2の如くクレーン等の吊り上げ設備によって吊り上げて小型トレーラーの内部に収納する。
【0005】
また、収納容器に収納された積層状態のガラス板が運搬中の振動等により動いて欠けや割れが発生しないようにガラス板を収納容器に固定する必要がある。このため、一般的には、積層状態のガラス板同士の間に合紙を挟持してガラス板同士が直接擦れ合わないようにしている。更には、図28のようにガラス板Gを収納容器1の台座2に積層状態に積層した板状積層物3の天面に天板4を置き、収納容器1の上板5に支持された万力方式の押さえ手段6で天板4の4角部に押圧力(例えば108kg/一箇所)を上から加えることにより、運搬中でも積層されたガラス板が動かないように収納容器1に固定している(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−324815号公報
【特許文献2】特開平4−311488号公報
【特許文献3】特開2007−153395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した第10世代の大型ガラス板の積載に、特許文献1に開示された積載装置を用いると、大型ガラス板の取り扱いの不便さのために、組立時に略山形状に起立された支持枠に大型ガラス板を寄り掛けた状態で積載させることは、大きな作業上の労力を必要とし、大型ガラス板の積載作業を効率よく行うことができないという問題があった。また、支持枠は鉛直線に対して10度の角度であり、その角度ではガラス基板が運搬車輌の高さ制限違反となるため,約40度の傾斜をつける事が必要であった。
【0008】
また、特許文献2に開示された積載装置は、大型ガラス板を積載したガラス支承部材を吊り上げるクレーン等の吊り上げ設備が必要となるため、大型ガラス板の積載設備が大きくなるといった問題があった。
【0009】
したがって、特許文献1、2の積載装置は、縦横3000mmを超える大型ガラス板を積載する装置としては、実用的ではないという問題があった。
【0010】
一方、特許文献1の積載装置では、トレーラー等の運搬車両による運搬時の振動や衝撃に対するパネルの破損防止手段として、支持枠に対するパネルの傾斜角度を10°に設定することで対処しているが、運搬時の大きな衝撃や横揺れ対する破損防止手段としては十分ではない。また、特許文献2の積載装置は、同様の手段としてサンドバックによって対処しているが、これもまた、運搬時の大きな衝撃や横揺れ対する破損防止手段としては十分ではない。
【0011】
また、特許文献3のようにガラス板の積層物を押さえ手段で上から加圧して収納容器に固定する方法では、運搬時の振動や衝撃によるガラス板の欠けや割れを完全になくすことができないという問題がある。特に、ガラス板が大型化すればするほど運搬中の欠けや割れの頻度が高くなり、特許文献3の方法では、ガラス板の大型化には対応できないのが実情である。
【0012】
更に、ガラス板の欠けや割れを防止するために上述の通りガラス板同士の間に合紙を挟持しているが、ガラス板は静電気が発生し易いため、運搬中の振動等によりガラス板に静電気が発生し、ユーザにおいてガラス板から合紙が剥がしにくいという問題もある。
【0013】
これら運搬時の振動や衝撃によるガラス板の欠けや割れの問題やユーザにおいてガラス板から合紙が剥がしにくいという問題は、ガラス板に限ったものではなく、損傷し易く且つ静電気が発生し易い板状体すべてに共通する問題である。
【0014】
本発明は、大型の板状体であっても運搬時の振動や衝撃に起因する板状体の損傷を確実に防止することができると共に、板状体から合紙を簡単に剥がすことができる板状体の収納容器及び収納体を提供することを目的とする。
【0015】
また、本発明は、大型の板状体であっても積載作業を効率よく実施することができるとともに、運搬時の振動や衝撃に起因する板状体の損傷を防止することができる板状体の積載装置及びこの運搬車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の板状体の収納容器は、前記目的を達成するために、複数枚の板状体を積層状態で収納するための収納容器であって、前記板状体と合紙とを交互に積層して形成される板状積層物を載置する台座と、前記台座に支持され、前記積層する時に前記板状積層物の4側面のうちの1側面を当接させるストッパー板と、前記台座に載置された板状積層物を覆う一枚のシートと、前記台座に支持され、前記板状積層物の側面に垂れ下がった合紙部分と前記板状積層物を覆ったシートとを介して前記板状積層物の側面を挟持すると共に前記板状積層物をシートにより前記台座に一体的に固定する複数の横押さえ部材と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の板状体の収納体は、前記目的を達成するために、複数枚の板状体が収納容器に積層状態で収納された収納体であって、前記収納容器の台座に載置され、平面視矩形状な板状体と該板状体よりも大面積な合紙とが交互に積層された板状積層物と、前記台座に支持され、前記板状積層物の4側面のうちの1側面が当接されるストッパー板と、前記台座に載置された板状積層物を覆う一枚のシートと、 前記台座に支持され、前記板状積層物の側面に垂れ下がった合紙部分と前記板状積層物を覆ったシートとを介して前記板状積層物の側面を挟持すると共に前記板状積層物をシートにより前記台座に一体的に固定する複数の横押さえ部材と、から成ることを特徴とする。
【0018】
本発明の板状体の収納容器によれば、台座上に、板状体と合紙とが交互に積層された板状積層物の1側面がストッパー板に当接するように載置し、板状積載物の上から一枚のシートを被せて板状積層物の上面と4側面とを緊張状態で覆う。そして、台座に支持された複数の横押さえ部材により、板状積層物の側面に垂れ下がった合紙部分と板状積層物を覆ったシートとを介して板状積層物の側面を挟持すると共に板状積層物を緊張状態のシートにより台座に一体的に固定する。この場合、板状積層物を台座にしっかりと固定するには、板状積層物を覆ったシートの裾を引っ張ってシートを緊張させた状態にしてから横押さえ部材で固定することが必要である。
【0019】
これにより、上記した複数枚の板状体が収納容器に積層状態で収納された収納体が形成される。
【0020】
このように形成された収納体の板状積層物は、緊張状態のシートで台座に一体的に固定されることになるので、板状積層物には緊張状態のシートによる締めつけ力が均等に加わる。これにより、収納体をトレーラー等での運搬手段で運搬する際の振動や衝撃による応力が板状積層物の一部に部分的に集中することがない。即ち、特許文献3で説明した万力方式の押さえ手段で天板の4角部に押圧力を加える従来のように、運搬時の振動による応力が板状積層物の天面4角部に集中することがない。また、合紙とシートがクッションの役目をして運搬時の振動を吸収する。
【0021】
したがって、大型の板状体であっても運搬中の振動や衝撃に起因する板状体の損傷を確実に防止することができる。
【0022】
本発明の板状体の収納体において、前記シートは静電気を除去する除電シートであることが好ましい。除電シートであれば、運搬中の振動等により板状体に静電気が発生しても除去されるので、ユーザにおいて板状体に合紙が密着して剥がしにくいという問題がなくなる。
【0023】
本発明の板状体の収納体において、前記シートには、該シートで前記板状積層物を覆うときに前記ストッパー板が貫通するスリット孔が形成されていることが好ましい。これにより、板状積層物を台座に載置する際に板状積層物の1側面がストッパー板に当接していても、板状積層物の上面と4側面とを覆うようにシートを綺麗に被せることができる。また、板状積層物を覆ったシートを緊張状態にさせ易いので、シートで板状積層物を台座にしっかりと固定することができる。
【0024】
本発明の板状体の収納体において、前記横押さえ部材は前記台座に対して着脱自在に支持されていることが好ましい。これにより、板状体を収納容器の台座に積載する際に、横押さえ部材が邪魔にならない。
【0025】
本発明の板状体の積載装置は、前記目的を達成するために、複数枚の板状体が積層されて収納容器に収納された収納体を運搬車両に積載するための板状体の積載装置であって、基台と、前記基台と前記運搬車両の床面との間に配置される減衰器と、前記基台と前記運搬車両の床面との間であって基台の隅部に配置されるとともに運搬車両の床面に対する基台の横揺れ量を抑制する弾性体と、前記収納体を積載するとともに前記基台に軸支され、前記収納体を載置した状態で水平状態と所定の傾斜状態との間で傾動する傾斜台と、前記傾斜台を傾動させる傾動手段と、前記傾斜台に積載された収納体の一方の縁部を傾斜台の壁部に押し付けて傾斜台に対する収納体の横ずれを規制する横ずれ規制手段と、前記傾斜台に積載された収納体を傾斜台に固定するとともに該固定を解除する収納体固定手段と、前記傾斜台を傾斜状態で保持するとともに該保持を解除する傾斜状態保持手段と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
運搬車両に搭載された積載装置に収納体を積載する場合には、まず、基台に対して傾斜台を傾動手段によって傾動させて水平状態に保持し、この状態で収納体をフォークリフトによって傾斜台に載置する。これにより、大型の板状体であっても、その収納体を傾斜台に容易に積載することができる。
【0027】
次に、傾斜台に載置された収納体を運搬車両によって運搬する場合には、まず、傾斜台に対する収納体の横ずれを、横ずれ規制手段によって規制する。これにより、運搬車両から傾斜台に振動や衝撃が加わっても、収納体は傾斜台に対して横ずれしないので、横ずれに起因する板状体の損傷を防止することができる。この後、傾斜台を傾動手段によって傾動させて傾斜状態にその姿勢を変更する。次に、収納体固定手段によって収納体を傾斜台に固定する。次いで、傾斜状態保持手段によって傾斜台を傾斜状態で保持する。この姿勢変更時に、収納体は傾斜台に収納体固定手段によって固定されているため、傾斜台から収納体がずれたり脱落したりすることがない。よって、収納体を傾斜姿勢に安定して変更することができる。
【0028】
以上の動作で、収納体の運搬準備が完了する。この積載装置の運搬時の形態において、収納体は傾斜状態で運搬されるため、大型の板状体であっても現行の道路交通法規に則って運搬車両で運搬することができる。また、傾斜台は傾斜状態保持手段によって傾斜状態で保持されているので、運搬時の振動や横揺れが基台に伝わったとしても基台に対して傾斜台がガタつくことはない。よって、前記ガタつきに起因する板状体の損傷を防止することができる。
【0029】
そして、運搬車両による収納体の運搬時に、運搬車両から積載装置に伝わる振動は、基台と運搬車両の床面との間に配置されている減衰器によって減衰され、積載装置には直接伝わらないので、前記振動に起因する板状体の損傷を防止することができる。また、運搬車両から積載装置に加わる横揺れは、横ずれ規制手段の横ずれ防止効果に相まって、基台と運搬車両の床面との間に配置されている複数の弾性部材が弾性変形することにより、その横揺れ量が抑制されるため、収納体を安定して運搬することができ、よって、横揺れに起因する板状体の損傷を防止することができる。
【0030】
以上により本発明の積載装置によれば、大型の板状体であっても積載作業を効率よく実施することができるとともに、横ずれ規制手段、減衰器、及び弾性体からなる破損防止手段の作用によって、運搬時の振動や衝撃に起因する板状体の損傷を確実に防止することができる。
【0031】
本発明の前記弾性体は皿バネであり、該皿バネは、前記運搬車両の床面に対して前記基台が横揺れした際に、傾斜状態の傾斜台の上端が運搬車両の壁面に衝突するのを防止する荷重特性を有していることが好ましい。
【0032】
本発明によれば、皿バネの荷重特性により、積載装置が横揺れした際に、傾斜状態の傾斜台の上端が運搬車両の壁面に衝突するのを防止できるため、前記衝突に起因する板状体の損傷を防止することができる。
【0033】
本発明の前記横ずれ規制手段は、パッドと、該パッドを前記傾斜台に積載された前記収納体の一方の縁部に押圧することにより収納体の他方の縁部を傾斜台の壁部に押し付けるパッド駆動部とからなることが好ましい。前記収納体固定手段は、前記傾斜台に移動自在に設けられるとともに傾斜台に積載された前記収納体の係合部に係合するフックと、該フックを収納体の前記係合部に係合させる位置と該係合を解除する位置との間で移動させるフック駆動部とからなることが好ましい。前記傾動手段は、前記基台又は前記運搬車両の床面に傾動自在に支持されたシリンダと、該シリンダに対して伸縮されその先端部が前記傾斜台に連結されたロッドと、該ロッドをシリンダに対して伸縮させるロッド駆動部とからなることが好ましい。前記傾斜状態保持手段は、前記基台に固定されるとともに伸縮するピンを備えたピン駆動部と、前記傾斜台に設けられるとともに傾斜台が傾斜状態の際に、伸長された前記ピンに係合される孔が形成された係合部とからなることが好ましい。
【0034】
本発明の横ずれ規制手段によれば、パッド駆動部によってパッドを、傾斜台に積載された収納体の一方の縁部に押圧して、収納体の他方の縁部を傾斜台の壁部に押し付ける。これにより、傾斜台に対する収納体の横ずれを容易に防止することができる。また、傾斜台から収納体を取り出す際には、パッド駆動部によってパッドを、収納体の他方の縁部から退避移動させればよい。
【0035】
本発明の収納体固定手段によれば、傾斜台に設けられたフック駆動部によってフックを、収納体の係合部に係合させる。これにより、収納体を傾斜台に容易に固定することができる。また、傾斜台から収納体を取り出す際には、フック駆動部によってフックを、前記係合部に対する係合位置から係合を解除する位置に移動させるだけでよい。
【0036】
本発明の傾動手段によれば、ロッド駆動部によってロッドをシリンダに対して伸長することにより、傾斜台を容易に傾斜状態にすることができ、ロッドを収縮することにより傾斜台を容易に水平状態にすることができる。
【0037】
本発明の傾斜状態保持手段によれば、ピン駆動部によってピンを伸長させ、ピンを係合部の孔に係合させるだけで、傾斜台を容易に傾斜状態に保持することができる。また、傾斜台を水平状態に姿勢を変更したい場合には、ピン駆動部によってピンを収縮させ、ピンを係合部の孔から退避させるだけでよい。
【0038】
本発明の横ずれ規制手段のパッド駆動部、収納体固定手段のフック駆動部、傾動手段のロッド駆動部、及び傾斜状態保持手段のピン駆動部を、それぞれパワーシリンダ等の電動具とすることにより、傾斜台に対する収納体の積載作業、傾斜台に対する搬出作業を安全でかつ円滑に行うことができる。
【0039】
本発明の運搬車両によれば、前記目的を達成するために、請求項1、2又は3に記載の板状体の積載装置が、前記傾斜台を軸支する軸の軸方向が進行方向となるように、連結部材を介して複数台連結されて搭載されていることを特徴としている。
【0040】
本発明の運搬車両は、トレーラー、トラクタのトレーラー、及びトレーラーに積載されるトレーラー等の車両である。また、本発明の運搬車両は、複数台の積載装置が連結部材を介して連結された状態で床面に搭載されているため、複数台の積載装置は、1台の装置として床面に搭載されることに等しい。これにより、床面には複数台の積載装置の荷重が均等に加わるようになる。これに対して、複数台の積載装置を連結部材で連結することなく各々個別に床面に搭載すると、床面には偏荷重が加わるため、床面が波状に変形してしまう場合がある。
【0041】
ところで、運搬車両として、運搬車両の側面及び屋根部分が、運搬車両の屋根のセンタービームに取り付けられたヒンジを中心として跳ね上げ式に開閉する一対のウィングを備えたウィング式のトレーラーが知られている。このようなトレーラーの場合、床面の前記変形に起因して前記センタービームも波状に変形するため、ウィングが円滑に開閉しなくなるという欠点があった。
【0042】
これに対して本発明では、前述の如く複数台の積載装置を連結部材で連結して1台の装置として床面に搭載したので、床面に均等に荷重が加わり、床面は均等に変位するだけなので、センタービームは変形せず、よって、ウィングの開閉が円滑に行われる。
【0043】
本発明の板状体の輸送方法は、前記目的を達成するために、少なくとも一辺が2800mm以上の板状体を複数枚積層させた板状積層物を、積載装置の水平状態に傾動された傾斜台に保持する板状体の水平保持工程と、前記板状体を保持した傾斜台が水平状態のままで前記積載装置を運搬車両に搬送して積載する板状体の積載工程と、前記運搬車両上において前記傾斜台を傾動して前記板状積層物を前記積載装置に傾斜状態に保持する板状体の傾斜保持工程と、前記運搬車両によって前記板状積層物を傾斜状態のまま目的地まで搬送する板状体の搬送工程と、を含むことを特徴とする。
【0044】
本発明の板状体の輸送方法によれば、板状体を積層した板状積層物を運搬車両へ積載するときには、積載装置の水平状態に倒された傾斜台に板状積層物を保持して積載するので、大型の板状体であっても運搬車両への積載作業を効率良く行うことができる。そして、板状積層物を目的地まで搬送する際には、傾斜台を傾動させて板状積層物を傾斜状態に保持して搬送するので、運搬車両幅よりも大型の板状体であっても運搬車両内に納めることができ、且つ運搬時の振動や衝撃に起因する板状体の損傷を防止できる。
【0045】
また、本発明の板状体の輸送方法に使用する積載装置としては、請求項6〜9の何れか1に記載の積載装置を使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0046】
以上説明したように本発明の板状体の収納容器及び収納体によれば、大型の板状体であっても運搬時の振動や衝撃に起因する板状体の損傷を防止することができると共に、板状体から合紙を簡単に剥がすことができる。
【0047】
また、本発明の板状体の積載装置及び運搬車両によれば、大型の板状体であっても積載作業を効率よく実施することができるとともに、運搬時の振動や衝撃に起因する板状体の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の板状体の収納体を形成する第1ステップであり、一部を切り欠いてガラス板を示した斜視図
【図2】本発明の板状体の収納体を形成する第2ステップを示す斜視図
【図3】板状積層物を覆うシートを説明する説明図
【図4】本発明の板状体の収納体を形成する第3ステップを示す斜視図
【図5】本発明の板状体の収納体における合紙とシートと横押さえ部材との関係を説明する説明図
【図6】横押さえ部材を説明する説明図
【図7】横押さえ部材の別態様を説明する説明図
【図8】板状体の収納体を倉庫等に段積み状態で保管する場合の説明図
【図9】板状体の収納体を運搬する場合の姿勢を説明する説明図
【図10】板状体の収納体を積載装置に積載する場合の姿勢を説明する説明図
【図11】積載装置が搭載されるトレーラーの左側面図
【図12】トレーラーに積載された積載装置に収納体が水平状態で保持された積載装置の正面図
【図13】トレーラーに積載された積載装置に収納体が傾斜状態で保持された積載装置の正面図
【図14】フォークリフトを使用しての収納体の積載方法を示した説明図
【図15】アイソレータと皿バネ機構の配置位置を説明した要部拡大斜視図
【図16】傾斜姿勢の傾斜台を示した積載装置の概略斜視図
【図17】水平姿勢の傾斜台を示した積載装置の概略斜視図
【図18】横ずれ規制装置の動作を示した要部斜視図
【図19】横ずれ規制装置の側面図
【図20】収納体固定装置によって収納体が傾斜台に固定された状態を示す要部側面図
【図21】傾斜台に対する収納体の固定が解除された状態を示す要部側面図
【図22】傾斜状態保持装置によって傾斜台が傾斜姿勢に保持された状態を示す要部斜視図
【図23】傾斜台の傾斜姿勢の保持が解除された状態を示す要部斜視図
【図24】アイソレータと皿バネ機構の配置位置を示した基台の平面図
【図25】アイソレータの側面図
【図26】アイソレータの縦断面図
【図27】皿バネ機構の動作を示した断面図
【図28】板状積層物を収納容器に固定する従来の方法を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、添付図面に従って本発明に係る板状体の収納容器及び収納体並びに板状体の積載装置及び運搬車両の好ましい実施の形態について説明する。
【0050】
[板状体の収納体]
本発明の板状体の収納体は、本発明の収納容器の台座に、複数枚、例えば1〜180枚の矩形状の板状体が水平に、かつ、板状体の相互間に板状体よりも大きなサイズの矩形状の合紙を介して積層し、この板状積層物にシートを被せて台座に一体的に固定することにより構成される。
【0051】
本発明の実施の形態では、板状体としてFPD用のガラス板G、特に液晶ディスプレイに使用される少なくとも一辺が2800(mm)以上、例えば縦横のサイズが約3000(mm)を超えるサイズのマザーガラス基板であり、板の厚さは1mm以下の例を用いて説明する。なお、ガラス板Gのサイズは、これに限定されるものではないが、本発明の板状体の収納体及び後述する板状体の積載装置は、このような大型のガラス板Gに好適である。
【0052】
図1〜図4は、本発明に係る板状体の収納体が形成されるまでの手順を示したものである。
【0053】
図1の第1ステップに示すように、先ず、収納容器11の台座12上に、平面視矩形状なガラス板Gと該ガラス板Gよりも大面積な矩形状な合紙13とが、台座12の1側面に垂直に立設された2枚の位置決め部材(ストッパー板)14に当接するように交互に積層される。これにより、台座12上に載置された板状積層物15が形成される。この場合、合紙13はガラス板Gよりも大面積であるため、合紙13の周囲部分は板状積層物15の側面に垂れ下がる。
【0054】
合紙13は、例えば平滑度18秒以下(JIS P 8119,1976)の粗面を有する。合紙13の樹脂分がガラス板Gに転写されてガラス面に紙肌模様、焼け、汚れ等が生じないように接触面積の小さな紙質が選択される。更に合紙13の樹脂分は、0.05質量%以下(JIS P 8205,1976)である。上述した紙面粗さとの複合効果によりガラス板G自体の品質に悪影響を及ぼさない紙質が選択される。
【0055】
また、収納容器11は、主として、台座12、位置決め部材14、及び後記する横押さえ部材16とシート17とによって構成される。
【0056】
台座12は、複数本の枠材20、20…を組み付けてフレーム状に構成される。枠材20は、例えばアルミニウム合金製、ステンレス鋼製、SS鋼製、又はSGHC鋼板製である。これらの四角筒形状に形成された枠材20、20…を縦横に格子状に組み付けたものを2台作製し、この2台の組み付け部材の格子面が略平行になるように組み付けることにより台座12が構成されている。
【0057】
台座12の全側面には、フォークリフト210(図9参照)の一対のフォーク212が挿入される開口部22、22(図1参照)が台座12の一側面に少なくとも2箇所設けられている。台座12の上には載置板18が固定され、この載置板18の表面には、樹脂等の上張り材が設けられている。
【0058】
位置決め部材14は、台座12の4つの側面のうち、後述する積載装置30に積載する際に収納体10の底面側になる側面に配置され、台座12にボルト19によって固定され、容易に着脱不能となっている。また、位置決め部材14の下部には、フォーク212が挿入される台座12の開口部22を塞がないように切欠き14Aが形成される。
【0059】
次に、図2の第2ステップに示すように、一枚のシート17が台座12に載置された板状積層物15の上面と4側面を覆うように被せられる。板状積層物15の4側面に垂れ下がったシート部分17Aのうち、位置決め部材14側に位置する部分には、図3に示すように、シート17を板状積層物15に被せる際に位置決め部材14が貫通するスリット孔23が形成されている。また、スリット孔23の周囲には、補強シート24が当てられており、スリット孔23が裂けないように補強している。これにより、板状積層物15を位置決め部材14に当接するように台座12に積層した後でシート17を被せるときに、板状積層物15の4側面をシート17で綺麗に覆うことができる。
【0060】
使用するシート17は一般的な樹脂製シートでもよいが、除電シートであることが一層好ましい。除電シートであれば、後述する積載装置30を備えたトレーラー等の運搬手段で収納体10を運搬する際に、運搬中の振動等によりガラス板Gに静電気が発生しても除去される。したがって、ユーザにおいてガラス板Gから合紙13が剥がしにくいという問題が軽減される。除電シートは市販のものを使用することができ、例えば、アキレス(株)製のアキレスセイデンF(厚み0.1〜0.5mm)を使用することができる。なお、アキレス(株)製のアキレスセイデンFと同程度の除電効果を有するシートであれば、どのようなシートでも使用することができる。
【0061】
次に、図4の第3ステップに示すように、板状積層物15に被せたシート17の垂れ下がったシート部分17Aを台座12側に引っ張ってシート17を緊張させた状態で複数の横押さえ部材16により、合紙13とシート17とを介して板状積層物15の側面を挟持する。これにより、板状積層物15を緊張状態のシート17により台座12に一体的に固定する。この場合、対向するように配置された横押さえ部材16は横押さえ部材16同士で板状積層物15の側面を挟持することになる。一方、位置決め部材14に対向して配置された横押さえ部材16は、位置決め部材14との間で板状積層物15の側面を挟持することになる。
【0062】
これにより、複数枚のガラス板Gが収納容器11に積層状態で収納された収納体10が形成される。
【0063】
図5は、図6に示す横押さえ部材16により合紙13とシート17とを介して板状積層物15の側面を挟持した断面図である。板状積層物15の側面に垂れ下がった合紙部分13Aと垂れ下がったシート部分17Aとが板状積層物15の側面方向に押圧される。したがって、垂れ下がった合紙部分13Aの重なり合った部分が垂れ下がったシート部分17Aを介して横押さえ部材16によって押圧される。この場合、垂れ下がったシート部分17Aが載置板18の側面まで垂れ下がるようにし、シート部分17Aが横押さえ部材16と載置板18の側面とで挟持されることが一層好ましい。これにより、シート17や横押さえ部材16が板状積層物15の側面に直接接触することはなく、合紙13の柔軟性によりガラス板Gを保護しながら板状積層物15の4側面や載置板18の側面を確実に押圧することができる。
【0064】
図4では、位置決め部材14を有する板状積層物15の側面以外の3側面において、位置決め部材14の対向側面には2個、左右側面には3個の横押さえ部材16を配置したが、この数に限定されるものではない。
【0065】
また、図5及び図6では、先端部に水平な水平板16Bを有する横押さえ部材16で示したが、図7に示すように、水平板16Bがなく垂直板16Aのみの横押さえ部材16でもよい。本発明では、シート17により板状積層物15を台座12側に押さえ込んで固定するので、横押さえ部材16の水平板16Bで板状積層物15の上面を押さえ込む必要ない。更に言うと、板状積層物15の上面と水平板16Bの上面とを離間させて水平板16Bが板状積層物15の上面を押圧しない状態が好ましい。また、横押さえ部材16の板状積層物側にはゴム等のクッション部材21を貼設することが好ましい。
【0066】
横押さえ部材16は、台座12にガラス板Gを積載するさいに邪魔にならないように、載置板18に対して着脱式に取り付けられていることが好ましい。
【0067】
着脱機構は、図6及び図7に示すように、載置板18に接触する横押さえ部材16の底板16Cに形成された貫通孔16D及び載置板18に形成された貫通孔18Aに蝶ボルト25が挿通される。また、蝶ボルト25の先端部には、載置板18側から順に、スペーサ26、ウェルディングナット27、蝶ナット28が螺合される。一方、蝶ボルト25の頭部25Aと載置板18との間には、3枚の皿バネ29がワッシャ31を介して挿通される。これにより、蝶ボルト25を締結方向に回転すると、蝶ナット28が載置板18側に近づくので底板16Cとウェルディングナット27により載置板18を挟持すると共に、3枚の皿バネ29が弾性変形して蝶ボルト25の頭部25Aと載置板18とが離間する方向に付勢力を付与する。これにより、横押さえ部材16を着脱式にしても、収納体10の運搬中における振動等により蝶ボルト25が回転して載置板18に対する固定不良が生じないようにできる。
【0068】
上記の如く構成される本発明の板状体の収納体10は、次の効果を奏することができる。
【0069】
(1)板状積層物15を緊張状態のシート17で収納容器11の台座12に一体的に固定するようにしたので、板状積層物15には緊張状態のシート17による締めつけ力が均等に加わる。これにより、収納体10をトレーラー等の運搬手段で運搬する際の振動や衝撃による応力が板状積層物15の一部に部分的に集中することがない。
【0070】
(2)トレーラー等の運搬手段で収納体10を運搬中に、振動等により板状積層物15が上下方向に動こうとしても、板状積層物15の側面周囲に垂れ下がった合紙部分13Aと板状積層物15を覆った緊張状態のシート17が板状積層物15と横押さえ部材16との間で把持されており、合紙13とシート17とを介して板状積層物15が台座12に一体的に固定されているので、板状積層物15の上下動を抑制することができる。
【0071】
(3)また、運搬中の振動等により、板状積層物15が横方向に動こうとする場合にも、合紙13とシート17とを介して板状積層物15が台座12に一体的に固定されているので、板状積層物15の横方向の動きを抑制することができる。更には垂れ下がった合紙部分13Aと垂れ下がったシート部分17Aが板状積層物15と横押さえ部材16との間で把持されることにより、合紙13とシート17が板状積層物15の横方向の動きに対するクッションの役目をする。
【0072】
(4)また、シート17として除電シートを使用することにより、運搬中の振動等によりガラス板Gに静電気が発生しても除去されるので、ユーザにおいてガラス板Gに合紙13が密着して剥がしにくいという問題が軽減される。
【0073】
したがって、本発明の板状体の収納体10は、大型のガラス板Gであっても運搬時の振動や衝撃に起因するガラス板Gの損傷を防止することができると共に、ユーザはガラス板Gから合紙13を簡単に剥がすことができる。
【0074】
事実、縦横のサイズが約3000(mm)を超えるサイズのマザーガラス基板であり、板の厚さは1mm以下のガラス板Gを使用して本発明の板状体の収納体を形成し、下記に説明する積載装置を備えたトレーラーによる350回の輸送をしたが、1枚のガラス板Gも破損することはなかった。
【0075】
ちなみに、図28で示した万力方式の押圧手段で板状積層物を収納容器に固定した場合には、ガラス板Gの破損頻度が高かった。
【0076】
そして、上記の如く形成された板状体の収納体10は、図8に示すように、倉庫内に段積みされる。ここで、収納体10を段積みする機構について説明する。
【0077】
図1に示すように、台座12の上面及び下面の4角部には、凹状の嵌合穴33がそれぞれ形成され、この4つの嵌合穴33に支柱41が立てられる。支柱41は大径な胴部41Aと、該胴部41Aよりも細径な先端側のガイド部41Bとで構成され、ガイド部41Bの突端が四角錐形状あるいは円錐形状に形成される。一方、台座12の嵌合穴33の上面側は胴部41Aが収納できる形状で、底面側はガイド部41Bに嵌合する形状に形成される。これにより、台座12上面の4角部の嵌合穴33に4本の支柱41をそれぞれ立て、4本の支柱41のガイド部41Bに2段目の収納体10の台座12下面に形成された嵌合穴33を嵌合させる。これにより、収納体10が2段積みされるので、同様の手順で段積みを高くしていく。図8は収納体10を3段積みした図である。
【0078】
また、胴部41Aとガイド部41Bとの境界面には、ゴム等の衝撃吸収パッド45が貼設され、収納体10を多段に段積みしたときに、上側の収納体10から下側の収納体10に伝わる衝撃を緩和している。このように、収納体10を水平状態で段積みすることにより、収納体10を縦置きする場合に比べて倉庫の保管スペースを有効活用することができる。
【0079】
倉庫からトレーラー等の運搬手段に収納体10をフォークリフト210で運ぶ場合には、図9に示すように、段積みされたままの状態で台座12の開口部22にフォークリフト210のフォーク212を挿入し、水平状態でトレーラーまで運ぶ。そして、トレーラーに搭載された積載装置30に位置決め部材14を底面とした傾斜状態で収納体10を積載する。
【0080】
次に、本発明の板状体の積載装置30を詳細に説明する。なお、積載装置30に積載する板状体の収納体10は、上記した本発明の板状体の収納体に限定されない。
【0081】
[板状体の積載装置]
図11には、積載装置30が搭載されるトレーラー(運搬車両)200の左側面図が示されている。また、図12には、トレーラー200に積載された積載装置30に、収納体10が水平状態で保持された積載装置30の正面図が示され、更に、図13には、トレーラー200に積載された積載装置30に、収納体10が傾斜状態で保持された積載装置30の正面図が示されている。なお、収納体10は、図12に示した水平状態において、図14に示すフォークリフト210により傾斜台34に載置されるとともに、傾斜台34から搬出される。
【0082】
図11に示すように積載装置30は、トレーラー200の床面202に所定の間隔をもって3台並設された状態で搭載されている。詳述すると、3台の積載装置30、30…は、基台32に対して傾斜台34を軸支する、図12、図13の軸36の軸方向が、図11の矢印Aで示すトレーラー200の進行方向と一致するように床面202に一列に並べられて搭載される。また、3台の積載装置30、30…は、隣接する積載装置30、30間で上下に配置された鋼材(連結部材)204、204を介して連結されて床面202に搭載されている。なお、図11では3台の積載装置30、30…を示しているが、その積載装置数は2台であってもよく1台であってもよい。また、図11では、トラクタに牽引されるトレーラー200を例示したが、積載装置30が搭載される運搬車両はトレーラーの荷台であってもよく、トレーラーに搭載されるトレーラーであってもよい。
【0083】
ところで、トレーラー200は、3台の積載装置30、30…が鋼材204を介して連結された状態で床面202に搭載されているため、3台の積載装置30、30…は、1台の重量物装置として床面202に搭載されることに等しい。これにより、床面202には3台の積載装置30、30…の荷重が均等に加わるようになる。これに対して、複数台の積載装置30、30…を鋼材204で連結することなく各々個別に床面202に搭載すると、床面202には偏荷重が加わるため、床面202が波状に変形してしまう場合がある。
【0084】
実施の形態のトレーラー200は、図12、図13に示すように側面及び屋根部分が、トレーラー200の屋根のセンタービーム206に取り付けられたヒンジ207を中心として跳ね上げ式に開閉する一対のウィング208、208を備えたウィング式のトレーラーである。このようなトレーラー200の場合、床面202の前記変形に起因してセンタービーム206も波状に変形するため、ウィング208、208が円滑に開閉しなくなるという問題がある。
【0085】
これに対して実施の形態のトレーラー200では、3台の積載装置30、30…を鋼材204で連結して1台の重量物装置として床面202に搭載したので、床面202に均等に荷重が加わり、床面202は均等に下方に変位するだけなので、センタービーム206は波状に変形せず、よって、ウィング208、208の開閉が円滑に行われるという利点がある。
【0086】
次に、積載装置30について説明する。
【0087】
図12、図13に示すように積載装置30は、主として基台32と傾斜台34とから構成される。この基台32及び傾斜台34は、例えば鉄やステンレス鋼を材料として構成されている。
【0088】
基台32は、図13の如くトレーラー200の床面202の中央部に設置された台座板214に、後述する複数のアイソレータ(減衰器)38、38…と、床面202に対する積載装置30の横揺れ量を規制する図15の皿バネ機構(弾性体)40とを介して搭載される。また、床面202の中央部に台座板214を設置することにより、台座板214の高さ分だけ、台座板214の両側の床面202の高さが低くなっており、この高さの差を利用して図13の如く傾斜状態の傾斜台34の下部が、高さの低い床面202に入り込む。これにより、大型の収納体10であっても、交通法規により車幅と車高が規定されたトレーラー200に傾斜して積載することができる。
【0089】
基台32の上部には、図16の如く傾斜台34を傾動自在に軸支する軸受42、42が設けられている。軸受42は、基台32の上部両側に2箇所、ボルトにより固定され、これらの軸受42、42に傾斜台34が軸36を介して回動自在に軸支されている。これによって、傾斜台34が基台32に対して図16の傾斜姿勢と図17に示す水平姿勢との間で傾動される。また、軸36は、傾斜台34の下部の略中央部に軸受37、37を介して保持されている。
【0090】
図13に示すように傾斜台34には、傾斜台34が傾斜姿勢の際に、傾斜台34に積載された収納体10の下端面を受ける受板35が設けられている。また、傾斜台34の横縁部には、図19の如く傾斜台34に積載された収納体10の横ずれを規制する規制板(壁部)39が設けられている。後述するが、図18及び図19に示す横ずれ規制装置(横ずれ規制手段)46によって、傾斜台34に積載された収納体10の一方の縁部10Bが押圧されると、収納体10の他方の縁部10Aが規制板39に押し付けられて、傾斜台34に対する収納体10の横ずれが確実に防止されるようになっている。なお、傾斜台34の横縁部とは、図11に示したトレーラー200の進行方向に対して直交する方向の縁部である。
【0091】
実施の形態の積載装置30は、前述した基台32、傾斜台34、アイソレータ38、皿バネ機構40の他、傾斜台34を傾動させるスクリュウジャッキ(傾動手段)44、図18及び図19に示す横ずれ規制装置46、図20及び図21に示す収納体固定装置(収納体固定手段)48、図22及び図23に示す傾斜状態保持装置(傾斜状態保持手段)50を備えて構成されている。
【0092】
図24は、基台32に対するアイソレータ38と皿バネ機構40の配置位置を示した基台32の概略平面図である。
【0093】
同図に示すように平面視矩形状の基台32に対してアイソレータ38は、基台32の隅部にそれぞれ配置されるとともに、長手方向に等間隔で4台、短手方向に2台配置されている。また、皿バネ機構40は、基台32の隅部から基台32の長手方向に延設されたブラケット52にそれぞれ1台配置されている。
【0094】
アイソレータ38は図25の側面図及び図26の縦断面図に示すように、3個のダンパ54、54…、ベースプレート56、及びキャップ58から構成される。
【0095】
ダンパ54は、ダンパ54の中心軸方向(図25のO方向)に圧縮されることによって減衰作用を発揮するドーナツ状に形成されたゴム製のものである。これらのダンパ54、54…は、ベースプレート56に立設された軸60に挿通されて上下方向に積み重ねられている。ベースプレート56は図15の如く矩形状に形成され、その隅部がそれぞれボルト62によって台座板214に固定されている。
【0096】
図26に示すようにキャップ58は、上部が閉塞されて下部が開放された略円筒状物であり、軸60に挿通されているダンパ54にその上部から被せられる。また、キャップ58の下部外周部には、キャップ58の中心軸(図25のO方向と同方向)を中心とする対称位置に一対のブラケット64、64が水平方向に延設されている。これらのブラケット64に形成された孔(不図示)に、ベースプレート56に立設されているボルト66が挿通され、このボルト66にナット68を締結することによりキャップ58がダンパ54、54…を介してベースプレート56に固定される。また、キャップ58はボルト70によって基台32の下部に固定されている。
【0097】
かかる構成により、3個のダンパ54、54…がベースプレート56とキャップ58とによって挟持され、また、3個のダンパ54、54…を、ダンパ54の中心軸方向に圧縮するようにナット68を締結することによって、ダンパ54、54…による減衰作用が初期の段階で発揮されるように設定されている。したがって、これらのアイソレータ38、38…の減衰作用により、トレーラー200の床面202から積載装置30の基台32に伝播する振動が減衰されるため、その振動に起因するガラス板Gの損傷が防止されている。
【0098】
一方、図15、図27に示すように皿バネ機構40は、ブラケット52を挟んで上下に、各々並列3段に配置された皿バネ(バネ力:10ton)72、72、72を備えている。この皿バネ機構40は、皿バネ72、72、72の他、ねじ軸74、ワッシャ76、76…、スリーブ78、ナット80、80…から構成されている。皿バネ72、72、72は直列に配置してもよい。直列または並列に配置するかは必要なバネの反力に応じて決めればよい。
【0099】
ねじ軸74は、図15の如く矩形状に形成されたサポートプレート82に立設されている。このサポートプレート82は、その隅部がボルト84によって台座板214に固定されている。
【0100】
図27に示すように、ねじ軸74には、ブラケット52を挟んで下側のナット80、80が螺合され、そのナット80の上部に下側の皿バネ72、72、72がワッシャ76を介して挿通される。また、前記皿バネ72の上部にはワッシャ76を介してスリーブ78が挿通される。この状態でねじ軸74は、ブラケット52に形成された孔53に挿通される。そして、ブラケット52を挟んで上側の3枚の皿バネ72、72、72がワッシャ76を介してねじ軸74に挿通され、その皿バネ72の上部にワッシャ76を介してナット80、80が螺合される。この状態で上下のナット80、80をねじ軸74に互いに近づく方向に締結していくことにより、6枚の皿バネ72、72…が弾性変形していき、皿バネ機構40が所定の荷重特性を発揮する。
【0101】
皿バネ機構40の荷重特性とは、トレーラー200の床面202に対して基台32が横揺れした際に、図13の傾斜状態の傾斜台34の上端34Aがトレーラー200のウィング(壁面)208に衝突するのを防止することができる荷重特性である。例えば、図27(A)で示す基台32の水平状態から、図27(B)で示すように基台32がα°横揺れしていくと、図27(B)で示す右側の皿バネ機構40であって、ブラケット52の上側の3枚の皿バネ72、72、72が揺れを受けて弾性変形するとともに、図27(B)で示す左側の皿バネ機構40であって、ブラケット52の下側の3枚の皿バネ72、72、72が揺れを受けて弾性変形する。このときの弾性変形した6枚の皿バネ72、72…の弾性復元力(荷重特性)が、基台32の横揺れで生じた力よりも上回るように設定されている。よって、基台32はα°横揺れすると、前記弾性復元力によって元の水平状態に復帰するようになるので、α°を超えて横揺れしない。つまり、実施の形態の積載装置30では、傾斜状態の傾斜台34の上端34Aがトレーラー200のウィング208に衝突するのを防止するための許容最大揺れ角度をα°に設定されている。
【0102】
よって、実施の形態の積載装置30によれば、皿バネ機構40の荷重特性により、積載装置30が横揺れした際に、傾斜状態の傾斜台34の上端34Aがトレーラー200のウィング208に衝突するのを防止できるため、この衝突に起因するガラス板Gの損傷が防止されている。
【0103】
次に、図16、図17を参照して、傾斜台34を傾動させるスクリュウジャッキ44について説明する。
【0104】
スクリュウジャッキ44はシリンダ86、スクリュウ(ロッド)88、及びモータ(ロッド駆動部)90から構成され、シリンダ86に対して伸縮するスクリュウ88をモータ90の動力により伸縮させることにより、傾斜台34を図16に示す傾斜姿勢、及び図17に示す水平姿勢にその姿勢を変更することができる。
【0105】
シリンダ86は、基台32の側面中央部に取り付けられたブラケット92に軸94を介して揺動自在に設けられている。シリンダ86の揺動方向が傾斜台34の傾動方向に設定されている。
【0106】
スクリュウ88は、シリンダ86に収納されるとともにシリンダ86に対して伸縮自在に設けられている。また、スクリュウ88の上端部は、傾斜台34の下面であって、傾斜時に傾斜台34の上端34Aとなる位置に設けられたブラケット96に軸98を介して回動自在に支持されている。また、スクリュウ88は、モータ90にギヤボックス100内のギヤ(不図示)を介して動力伝達可能に連結され、モータ90の回転動力が前記ギヤを介して伝達されることによりシリンダ86に対して伸縮動作する。すなわち、スクリュウ88が伸長動作されると、図16の如くスクリュウ88が傾斜台34を押し上げることにより傾斜台34が傾斜姿勢となり、スクリュウ88が収縮動作されると、図17の如く傾斜台34が下降して水平姿勢となる。この際の傾斜台34による傾動に追従してシリンダ86が軸94を中心に揺動することにより、スクリュウジャッキ44による傾斜台34の傾動動作が円滑に行われる。
【0107】
実施の形態のスクリュウジャッキ44によれば、モータ90によってスクリュウ88をシリンダ86に対して伸長することにより、傾斜台34を容易に傾斜状態にすることができ、スクリュウ88を収縮することにより傾斜台34を容易に水平状態にすることができる。
【0108】
次に、図18及び図19を参照して横ずれ規制装置46について説明する。
【0109】
横ずれ規制装置46は、ゴム又は樹脂製の円柱状のパッド102、及びパッド駆動部104から構成される。パッド駆動部104はモータ106、ユニバーサルジョイント108等から構成される。モータ106は、傾斜台34の側面に固定されたブラケット110にボルト112によって固定されており、モータ106の回転軸114にユニバーサルジョイント108の入力軸116が連結されている。ユニバーサルジョイント108の出力軸118には、パッドホルダ120の軸122が連結されている。この軸122は、傾斜台34の側面に固定されたブラケット124に回動自在に支持されている。
【0110】
パッドホルダ120は、軸122に連結された下部ブラケット126を備え、この下部ブラケット126上に補強用の円柱体128、及びパッド102の各々の下部が取り付けられている。円柱体128は軸122と同軸上に配置され、パッド102は軸122の中心軸122Aに対して、その中心軸102Aが所定量オフセットした位置に配置されている。また、円柱体128、及びパッド102の各々の上部は上部ブラケット130によって連結されている。よって、この横ずれ規制装置46によれば、モータ106が駆動されると、その動力がユニバーサルジョイント108から軸122に伝達されてパッドホルダ120が軸122を中心に回動する。そして、パッド102が図18、図19の実線で示す位置に移動された際に、傾斜台34に積載された収納体10の一方の縁部10Bをパッド102が押圧し、収納体10の他方の縁部10Aを傾斜台34の規制板39に押し付けるようにパッド102の取付位置が設定されている。
【0111】
したがって、このように構成された横ずれ規制装置46によれば、モータ106によってパッド102を図18、図19の実線で示す位置に移動させることにより、収納体10の一方の縁部10Aが傾斜台34の規制板39にパッド102によって押し付けられるので、傾斜台34に対する収納体10の横ずれ(トレーラー200の進行方向のずれ)を、パッド102と規制板39とによって規制することができる。これにより、傾斜台34に対する収納体10の横ずれを容易に防止することができ、横ずれに起因するガラス板Gの損傷を防止することができる。また、傾斜台34から収納体10を取り出す際には、パッド駆動部104によってパッド102を、図18の二点鎖線で示すように、収納体10の他方の縁部10Bから退避移動させ、パッド102と規制板39とによる横ずれ規制を解除すればよい。
【0112】
次に、図20、図21を参照して収納体固定装置48について説明する。
【0113】
収納体固定装置48は、傾斜台34に積載された収納体10を傾斜台34に固定するとともに、この固定を解除する装置であり、フック132、及びフック駆動部134を主として構成される。フック132は、傾斜台34の下面であって、傾斜姿勢時(図13参照)に、上端34Aとなる位置の下面に固定されたガイドレール136を介して傾斜台34に移動自在に支持される。すなわち、フック132は略L字状に形成され、その先端部にはピン138が設けられている。このピン138は、収納体10の台座12の下部に形成されている開口部22を介して、台座12に設けられている断面L字状の係合部140に着脱自在に係合される。この際、係合部140に設けられている樹脂製のパッド141にピン138が密着することにより傾斜台34がガタ無くフック132によって押さえ付けられる。
【0114】
一方、ガイドレール136は、図20に示すようにフック132を係合部140に対する係合位置と、図21に示すようにフック132を係合部140に対する退避位置との間で移動自在に支持するもので、フック132の基端部に回動自在に設けられたガイドローラ142を案内する円弧状の溝144が形成されている。したがって、フック132は、溝144に沿って移動されることにより、図20に示した係合位置と図21に示した退避位置との間で往復移動される。なお、符号146は、フック132に回動自在に設けられたガイドローラであり、このガイドローラ146とガイドローラ142とによって溝144を挟持することによりフック132が安定して移動できるようになっている。
【0115】
フック駆動部134は、伸縮するロッド148を備えたパワーシリンダ150から構成される。パワーシリンダ150は、その基端部が傾斜台34の下面に固定されたブラケット152にピン154を介して揺動自在に連結されることにより、傾斜台34に対して上下方向に揺動される。また、ロッド148の先端部には、ピン156を介して、フック132のガイドローラ142が回転自在に連結されている。
【0116】
したがって、かかる構成の収納体固定装置48によれば、ロッド148をパワーシリンダ150によって伸縮すると、ガイドローラ142がガイドレール136の溝144に沿って走行することにより、フック132が図20に示した係合位置と図21に示した退避位置との間で往復移動され、この動作に連動してパワーシリンダ150がピン154を支点として揺動する。よって、収納体10を傾斜台34に固定する場合には、図20の如くロッド148を収縮し、この固定を解除する場合には、図21の如くロッド148を伸長する。これにより、収納体10を傾斜台34に容易に固定、及び固定解除することができる。
【0117】
次に、図22及び図23を参照して傾斜状態保持装置50について説明する。
【0118】
傾斜状態保持装置50は、傾斜台34を傾斜姿勢(図13参照)に保持する装置であり、伸縮するピン158を備えたパワーシリンダ(ピン駆動部)160と、ピン158に係合される孔162が形成された筒状の係合部164とから構成される。
【0119】
パワーシリンダ160は図12、図13に示すように基台32に固定されるとともに、ピン158が軸36と平行になるように配置されている。一方、係合部164は傾斜台34の下面に下向きに固定され、傾斜台34が傾斜姿勢に変更された際に、図23の如く孔162がピン158の先端部と対向する位置に配置されている。また、孔162には、パッド166が配置されており、このパッド166の上面にはピン158の挿通をガイドするV溝168が形成されている。
【0120】
また、パッド166は、係合部164内に挿入されている直列3段の皿バネ(バネ力:467kgf)170の付勢力により孔162を閉塞する方向に付勢されるとともに、長孔172とピン174とからなる位置規制部材によって、孔162を閉塞する方向の位置が図23の位置に規制されている。長孔172は係合部164の軸方向に沿って形成され、ピン174はパッド166に固定されるとともに長孔172に摺動自在に係合されている。したがって、皿バネ170の付勢力がパッド166に作用すると、パッド166はその付勢力によって孔162を閉塞する方向に押し上げられるが、ピン174が長孔172の上縁に当接することにより、パッド166の初期位置が図23の位置に設定される。この状態でピン158がパワーシリンダ160によって伸長されると、ピン158は孔162の入口から進入していき、そして、パッド166のV溝168にその先端テーパ面158Aが押し付けられる。そして、ピン158の推進力によりパッド166が皿バネ170の付勢力に抗して押し下げられながらピン158が図22の如く孔162の出口から突出して孔162に係合する。これにより、傾斜台34が傾斜状態保持装置50を介して基台32に傾斜姿勢で保持される。このとき、ピン158は、皿バネ170の付勢力によって上方に押し上げられているので、孔162にガタ無く係合される。
【0121】
したがって、かかる構成の傾斜状態保持装置50によれば、パワーシリンダ160によってピン158を伸長させて係合部164の孔162に係合させるだけで、傾斜台34を容易に傾斜状態に保持することができる。また、傾斜台34を水平状態に姿勢を変更したい場合には、ピン158をパワーシリンダ160によって収縮させて、ピン158を係合部164の孔162から抜き去ればよい。
【0122】
次に、前記の如く構成された積載装置30の作用について説明する。
【0123】
なお、スクリュウジャッキ44、横ずれ規制装置46、収納体固定装置48、及び傾斜状態保持装置50の動作は上述しているため、ここではその動作を簡略して説明する。
【0124】
まず、トレーラー200に搭載された積載装置30に収納体10を積載する場合には、まず、基台32に対して傾斜台34をスクリュウジャッキ44によって傾動させて水平状態に保持し、この状態で収納体10を図14の如くフォークリフト210によって傾斜台34に載置する。これにより、大型のガラス板Gであっても、その収納体10を傾斜台34に容易に積載することができる。
【0125】
次に、傾斜台34に載置された収納体10をトレーラー200によって運搬する場合には、まず、傾斜台34に対する収納体10の横ずれを、図18、図19に示した横ずれ規制装置46によって規制する。これにより、トレーラー200から傾斜台34に振動や衝撃が加わっても、収納体10は傾斜台34に対して横ずれしないので、横ずれに起因するガラス板Gの損傷を防止することができる。この後、傾斜台34をスクリュウジャッキ44によって傾動させて傾斜状態にその姿勢を変更する。次に、図20、図21に示した収納体固定装置48のフック132によって収納体10を傾斜台34に固定する。この姿勢変更後に、収納体10は傾斜台34に収納体固定装置48のフック132によって固定されているため、傾斜台34から収納体10がずれたり脱落したりすることがなく、よって、収納体10を傾斜姿勢に安定して変更することができる。次いで、図13、図14に示した傾斜状態保持装置50のピン158によって傾斜台34を図13の傾斜状態に保持する。以上の動作で、収納体10の運搬準備が完了する。
【0126】
この積載装置30の運搬時の形態において、収納体10は傾斜状態で運搬されるため、大型のガラス板Gであっても現行の道路交通法規に則ってトレーラー200で運搬することができる。また、傾斜台34は傾斜状態保持装置50によって傾斜状態で保持されているので、運搬時の振動や横揺れが基台32に伝わったとしても基台32に対して傾斜台34がガタつくことはない。よって、前記ガタつきに起因するガラス板Gの損傷を防止することができる。
【0127】
そして、トレーラー200による収納体10の運搬時に、トレーラー200から積載装置30に伝わる振動は、基台32とトレーラー200の台座板214との間に配置されているアイソレータ38、38…によって減衰され、積載装置30には直接伝わらないので、前記振動によるガラス板Gの損傷を防止することができる。また、トレーラー200から積載装置30に加わる横揺れは、横ずれ規制装置46の横ずれ防止効果に相まって、基台32とトレーラー200の台座板214との間に配置されている複数の皿バネ機構40の皿バネ72、72…が弾性変形することにより、その横揺れ量が抑制されるため、収納体10を安定して運搬することができ、よって、横揺れに起因するガラス板Gの損傷を防止することができる。
【0128】
以上により実施の形態の積載装置30によれば、大型のガラス板Gであっても積載作業を効率よく実施することができるとともに、横ずれ規制装置46、アイソレータ38、及び皿バネ機構40からなる破損防止手段の作用によって、運搬時の振動や衝撃に起因するガラス板Gの損傷を確実に防止することができる。
【0129】
一方で、実施の形態のトレーラー200によれば、積載装置30が、傾斜台34を軸支する軸36の軸方向が進行方向となるように搭載されて収納体10を輸送する。このような姿勢で積載装置30をトレーラー200に搭載することにより、大型のガラス板Gであっても現行の道路交通法規に則って運搬することができる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の利用例としてガラス板Gを例示したが、ガラス板Gのみならず、板状体であれば、樹脂板、金属板等の板状体についても本発明の板状体の収納体、及び板状体の積載装置並びに運搬車両を適用することができるが、大型で薄い板状体を安定して効率よく、また、破損することなく安全に運搬できることを考慮すると、液晶ディスプレイ用の第10世代のマザーガラス基板に特に有効である。
【符号の説明】
【0131】
10…収納体、11…収納容器、12…台座、13…合紙、14…位置決め部材、15…板状積層物、16…横押さえ部材、17…シート、18…載置板、19…ボルト、20…枠材、22…開口部、23…スリット孔、24…補強シート、25…蝶ボルト、26…スペーサ、27…ウェルディングナット、28…蝶ナット、29…皿バネ、30…積載装置、31…ワッシャ、32…基台、33…嵌合穴、34…傾斜台、35…受板、36…軸、37…軸受、38…アイソレータ、39…規制板、40…皿バネ機構、41…支柱、42…軸受、44…スクリュウジャッキ、45…衝撃吸収パッド、46…横ずれ規制装置、48…収納体固定装置、50…傾斜状態保持装置、52…ブラケット、54…ダンパ、56…ベースプレート、58…キャップ、60…軸、62…ボルト、64…ブラケット、66…ボルト、68…ナット、70…ボルト、72…皿バネ、74…ねじ軸、76…ワッシャ、78…スリーブ、80…ナット、82…サポートプレート、84…ボルト、86…シリンダ、88…スクリュウ、90…モータ、92…ブラケット、94…軸、96…ブラケット、98…軸、100…ギヤボックス、102…パッド、104…パッド駆動部、106…モータ、108…ユニバーサルジョイント、110…ブラケット、112…ボルト、114…回転軸、116…入力軸、118…出力軸、120…パッドホルダ、122…軸、124…ブラケット、126…下部ブラケット、128…円柱体、130…上部ブラケット、132…フック、134…フック駆動部、136…ガイドレール、138…ピン、140…係合部、142…ガイドローラ、144…溝、146…ガイドローラ、148…ロッド、150…パワーシリンダ、152…ブラケット、154…ピン、156…ピン、158…ピン、160…パワーシリンダ、162…孔、164…係合部、166…パッド、168…V溝、170…皿バネ、172…長孔、174…ピン、200…トレーラー、202…床面、204…鋼材、206…センタービーム、207…ヒンジ、208…ウィング、210…フォークリフト、212…フォーク、214…台座板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の板状体を積層状態で収納するための収納容器であって、
前記板状体と合紙とを交互に積層して形成される板状積層物を載置する台座と、
前記台座に支持され、前記積層する時に前記板状積層物の4側面のうちの1側面を当接させるストッパー板と、
前記台座に載置された板状積層物を覆う一枚のシートと、
前記台座に支持され、前記板状積層物の側面に垂れ下がった合紙部分と前記板状積層物を覆ったシートとを介して前記板状積層物の側面を挟持すると共に前記板状積層物をシートにより前記台座に一体的に固定する複数の横押さえ部材と、を備えたことを特徴とする板状体の収納容器。
【請求項2】
複数枚の板状体が収納容器に積層状態で収納された収納体であって、
前記収納容器の台座に載置され、平面視矩形状な板状体と該板状体よりも大面積な合紙とが交互に積層された板状積層物と、
前記台座に支持され、前記板状積層物の4側面のうちの1側面が当接されるストッパー板と、
前記台座に載置された板状積層物を覆う一枚のシートと、
前記台座に支持され、前記板状積層物の側面に垂れ下がった合紙部分と前記板状積層物を覆ったシートとを介して前記板状積層物の側面を挟持すると共に前記板状積層物をシートにより前記台座に一体的に固定する複数の横押さえ部材と、から成ることを特徴とする板状体の収納体。
【請求項3】
前記シートは静電気を除去する除電シートであることを特徴とする請求項2に記載の板状体の収納体。
【請求項4】
前記シートには、該シートで前記板状積層物を覆うときに前記ストッパー板が貫通するスリット孔が形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の板状体の収納体。
【請求項5】
前記横押さえ部材は前記台座に対して着脱自在に支持されていることを特徴とする請求項2〜4の何れか1に記載の板状体の収納体。
【請求項6】
複数枚の板状体が積層されて収納容器に収納された収納体を運搬車両に積載するための板状体の積載装置であって、
基台と、
前記基台と前記運搬車両の床面との間に配置される減衰器と、
前記基台と前記運搬車両の床面との間であって基台の隅部に配置されるとともに運搬車両の床面に対する基台の横揺れ量を抑制する弾性体と、
前記収納体を積載するとともに前記基台に軸支され、前記収納体を載置した状態で水平状態と所定の傾斜状態との間で傾動する傾斜台と、
前記傾斜台を傾動させる傾動手段と、
前記傾斜台に積載された収納体の一方の縁部を傾斜台の壁部に押し付けて傾斜台に対する収納体の横ずれを規制する横ずれ規制手段と、
前記傾斜台に積載された収納体を傾斜台に固定するとともに該固定を解除する収納体固定手段と、
前記傾斜台を傾斜状態で保持するとともに該保持を解除する傾斜状態保持手段と、を備えたことを特徴とする板状体の積載装置。
【請求項7】
前記弾性体は皿バネであり、該皿バネは、前記運搬車両の床面に対して前記基台が横揺れした際に、傾斜状態の傾斜台の上端が運搬車両の壁面に衝突するのを防止する荷重特性を有する請求項6に記載の板状体の積載装置。
【請求項8】
前記横ずれ規制手段は、パッドと、該パッドを前記傾斜台に積載された前記収納体の他方の縁部に押圧することにより収納体の一方の縁部を傾斜台の壁部に押し付けるパッド駆動部とからなり、
前記収納体固定手段は、前記傾斜台に移動自在に設けられるとともに傾斜台に積載された前記収納体の係合部に係合するフックと、該フックを収納体の前記係合部に係合させる位置と該係合を解除する位置との間で移動させるフック駆動部とからなり、
前記傾動手段は、前記基台又は前記運搬車両の床面に傾動自在に支持されたシリンダと、該シリンダに対して伸縮されその先端部が前記傾斜台に連結されたロッドと、該ロッドをシリンダに対して伸縮させるロッド駆動部とからなり、
前記傾斜状態保持手段は、前記基台に固定されるとともに伸縮するピンを備えたピン駆動部と、前記傾斜台に設けられるとともに傾斜台が傾斜状態の際に、伸長された前記ピンに係合される孔が形成された係合部とからなる請求項6又は7に記載の板状体の積載装置。
【請求項9】
前記傾斜台には、請求項2〜5の何れか1の板状体の収納体における前記ストッパーが下側にくるように積載されることを特徴とする請求項6、7又は8に記載の板状体の積載装置。
【請求項10】
請求項6、7又は8に記載の板状体の積載装置が、前記傾斜台を軸支する軸の軸方向が進行方向となるように、連結部材を介して複数台連結されて搭載されていることを特徴とする運搬車両。
【請求項11】
少なくとも一辺が2800mm以上の板状体を複数枚積層させた板状積層物を、積載装置の水平状態に傾動された傾斜台に保持する板状体の水平保持工程と、
前記板状体を保持した傾斜台が水平状態のままで前記積載装置を運搬車両に搬送して積載する板状体の積載工程と、
前記運搬車両上において前記傾斜台を傾動して前記板状積層物を前記積載装置に傾斜状態に保持する板状体の傾斜保持工程と、
前記運搬車両によって前記板状積層物を傾斜状態のまま目的地まで搬送する板状体の搬送工程と、を含むことを特徴とする板状体の輸送方法。
【請求項12】
前記積載装置は、請求項6〜9の何れか1に記載の積載装置であることを特徴とする請求項11に記載の板状体の輸送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2010−275016(P2010−275016A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5069(P2010−5069)
【出願日】平成22年1月13日(2010.1.13)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】