説明

板状体振り出し容器

【課題】薄板小片状チップを容器から振り出すに当たって、振り出し性能を高め、併せて
この薄板小片状チップの端部を可及的に手指の接触から開放して、高い乾燥性を確保した
り、電極の汚損を可及的に少なく出来るようにする。
【解決手段】ケース3内に板状体8を収容したカートリッジ5と弾性体15付きの底蓋5
を装着してこの弾性体15の弾発力によってカートリッジ4内の板状体8にケース3に設
けた繰り出し口7側へ常時押圧力を負荷するようしておき、カートリッジ4内の最上部の
板状体8Aを、その繰り出し方向先端よりも後方に寄った部位に繰り出し力を負荷しつつ
、繰り出し口7から順次一枚ずつ引き出すようにするとともに、板状体8を取り出した後
は直ちに次位の板状体8が繰り出し口7に臨むようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状体、例えば血糖値センサーなどの医療関係の測定、検査、治療などに使
用する医療用センサーチップ或いは電極があって手で触れないほうが良い板状の検出チッ
プなどの薄板小片状チップを一枚ずつ取り出すための板状体振り出し容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこれら医療用センサーチップやその他の検出チップは、一般に小片で、薄板状の
形状を呈していて、このような形状のセンサーチップなどを収容するための容器としては
、外気や湿気、更には雑菌などの侵入を防止する必要上、気密性や密封性のある容器が使
用されている。具体的には、いずれにしても筒状の容器本体とその薄板小片状チップを振
り出す口を気密に閉止するキャップと、必要に応じて底部に乾燥剤を配置するなどの手段
が採用されている。
【特許文献1】特開2001−247177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来の容器は、先ず第1に薄板小片状チップの振り出しが、やはりスムーズ
でない問題点がある。つまり、薄板小片状チップはランダムに収容されているために、容
器を逆さにして薄板小片状チップを振り出そうとすると、全ての薄板小片状チップが一度
に振り出し口に殺到し、要するに振り出し口手前で団子状となってしまい、スムーズな振
り出しが困難である。また、それを整理する構造も考えられているが、基本的には団子状
態を根本的に解消すには至っていない。つまりは、振り出し作業がスムーズに運ばない点
では大差がなく、振り出しの確実性に問題があった。
【0004】
それと今一つの問題としては、振り出された薄板小片状チップは、容器を逆さまにして
振り出す構造になっているから、どうしても薄板小片状チップの端を手指で把持せねばな
らず、特に乾燥能力を必要とするものや端部に電極があるチップなどには、この手で把持
する作業は馴染まず、理想的な振り出し容器は見当たらない。
【0005】
本発明者は、この従来の振り出し容器の問題点を解決して、振り出しの確実性を確保す
る手段を種々模索していたところ、複写機の給紙トレーにおけるコピー用紙繰り出しシス
テムに目が留まった。これが開発の原点となり、その後種々試行錯誤の結果、薄板小片状
チップの振り出しの確実性を従来の容器に比べて遥かに優れている容器を開発したので、
ここに提案する。
【0006】
したがって、この発明の目的は、板状体、つまり以上のような薄板小片状チップを容器
から振り出すに当たって、振り出し性能を高め、併せてこの薄板小片状チップの端部を可
及的に手指の接触から開放して、高い乾燥性を確保したり、電極の汚損を可及的に少なく
出来るようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の技術的な課題を解決するために、本発明の請求項1に係る板状体振り出し容器は
、ケース内に板状体を収容したカートリッジと弾性体付きの底蓋を装着してこの弾性体の
弾発力によってカートリッジ内の板状体にケースに設けた繰り出し口側へ常時押圧力を負
荷するようしておき、カートリッジ内の最上部の板状体を、その繰り出し方向先端よりも
後方に寄った部位に繰り出し力を負荷しつつ、繰り出し口から順次一枚ずつ引き出すよう
にするとともに、板状体を取り出した後は直ちに次位の板状体が繰り出し口に臨むように
したものである。
【0008】
上記のような構成によれば、カートリッジ内の最上部の板状体から順番に、その繰り出
し方向先端よりも後方に寄った部位に繰り出し力を負荷しながら繰り出して行く。しかも
最上部のものから順次一枚ずつ繰り出すことができる。その結果、ケースから繰り出され
た板状体の先端を手指で摘んだり、手で持ち替えたりする必要もなく、そのまま板状体の
先端から所望の載置箇所や装填箇所に送り込むことができる。
【発明の効果】
【0009】
したがって、この発明は以下の効果を奏する。
以上説明したように、本発明の請求項1に係る板状体振り出し容器は、カートリッジ内
の最上部の板状体を、その繰り出し方向先端よりも後方に寄った部位に繰り出し力を負荷
でき、しかも最上部のものから順次一枚ずつケースの繰り出し口から繰り出すことができ
るから、従来の構造と違って、板状体を確実に一枚ずつ、しかも一定方向に繰り出すこと
が出来る。また、板状体の先端を指で摘んでこれを汚損したり湿潤させたりするおそれが
なくなり、先端を可及的に手指の接触から開放して、乾燥性を高度に保持でき、また、電
極の汚損なども可及的に少なく出来るようになった。併せて板状体を一枚ずつ的確に、し
かもスムーズに取り出すことができるので、振り出し性能の確実性をうまく確保できるよ
うになった。
【0010】
この発明では請求項2に記載のように、ケース本体に対して開閉する上蓋を備えると共
に、板状体を一枚ずつ取り出し可能にした繰り出し口を備えたケースと、このケースに挿
抜自在に嵌合される板状体を積層して収容してあるカートリッジと、板状体を前記繰り出
し口に向けて常時押圧するように働く弾性体を備えてケースの底部に着脱自在に装着され
る底蓋を備えている。
【0011】
以上の構成によると、容器はケースとカートリッジと底蓋との三つのパーツから構成さ
れ、夫々が挿抜自在で組み立てられることができるから、カートリッジをケースに装填す
る作業が大変簡単に行なえ、作業能率の向上に貢献する。また、蓋を設けることで、気密
性を高めることが出来る。カートリッジはアルミ包装のパウチなどに入れて別途販売でき
、しかも板状体はカートリッジごとケースに装填できるために、装填の際の手指による板
状体の汚損や湿潤を上手く防止できる。
【0012】
以上の構成においてこの発明は、請求項3に記載のように、ケースの繰り出し口には、
少なくとも板状体の長さ方向の1/2〜2/3の範囲を覆う上壁が設けられていたり、請
求項4に記載のように、繰り出し口の上壁はこの繰り出し口の上方全域を覆い、板状体の
長さ方向に対応する一側面に板状体を容器外方へ送り出すスライド出口が形成されている
のが望ましい。
上壁を板状体のガイドとして機能させて、繰り出しの確実性を一層的確に確保すると共
に、湿潤を可及的に少なくすることができるからである。
【0013】
以上の構成においてこの発明では、請求項5に記載のように、繰り出し口の上壁には、
最上部の板状体に接触してこれを容器外方へ送り出す送り出しローラが設けられているの
が望ましい。
板状体に対する手指の直接的な接触をなくし、汚損や湿潤を可及的に少なくできるから
である。
【0014】
以上の構成においてこの発明は、請求項6に記載のように、ケースと上蓋、また、ケー
スと底蓋との閉め合わせ部には気密素子が設けられいるのが望ましい。
ケース内部を外気から遮断でき、板状体の乾燥性を高く保てるからである。
【0015】
以上の構成においてこの発明は、請求項7に記載のように、カートリッジは上下開放で
、底部の内周には板状体支持フランジが設けられているのが望ましい。
板状体の繰り出しをスムーズに行なえる上に、カートリッジ内の板状体の保持を的確に
行なえるからである。
【0016】
以上の構成においてこの発明は、請求項8に記載のように、 カートリッジは底部に乾
燥剤が収容されているのが望ましい。
板状体の乾燥性を更に高く保てるからである。また、カートリッジに収容させることで
、交換時期を逸して乾燥剤の機能が損なわれるのを未然に防止できるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
板状体、つまり薄板小片状チップを容器から振り出すに当たって、振り出し性能を高め
、併せてこの薄板小片状チップの端部を可及的に手指の接触から開放して、高い乾燥性を
確保したり、電極の汚損を可及的に少なく出来るようにするという目的を、携帯に便利で
機密性が高くしかも格段に簡素な構造で実現できるようにした。
【0018】
〔実施例1〕
先ず、本発明に係る板状体の振り出し容器を医療用センサーチップの振出容器に適用し
た場合について、図1〜4を参照しながら以下具体的に説明する。
【0019】
図1は、全体外観図で、容器1は、大きく分けて三部品から構成されていて、図2に示
すように、上部に開閉蓋2を備えたケース本体3、このケース本体3の内部に挿抜自在に
収容されるカートリッジ4、そしてこのカートリッジ4の収納状態を保つ底蓋5とから構
成されている。
【0020】
ケース本体3は、上下開放の直方体形状の筒部材で構成されている。上方の開放部は、
一方の短辺から他方の短辺に向け、長辺の半分よりもやや長い寸法分(図例では約3/5
)にわたって設けられた上壁6によって完全に閉塞されている。そして残りの部分(図例
では約2/5)が開放されていて、この開放部分を繰り出し口7に形成してある。つまり
、図3に示すように、上壁6の内面6Aの高さレベルとケース本体3のこの繰り出し口7
が望む側の側壁3Aの上端3A1との高さレベルとの間には、ほぼ一枚分の医療用センサ
ーチップ8の厚みと同等の開放寸法Lが設けられている。また、この繰り出し口7に望む
側の側壁3Aとは反対側の側壁3Bの上端部分外側には、この反対側の側壁3Bに沿って
設けられたヒンジ9を支点に揺動自在に前記開閉蓋2が取り付けられている。閉塞時には
このケース本体3の前記上壁6並びに繰り出し口7全域を覆うようになっている。また、
ケース本体3の前記ヒンジ9の存在位置よりもやや上方で、前記開閉蓋2とこのケース本
体3周壁との閉め合わせ部には、このケース本体3の全周に渡って、気密素子の一例とし
てのOリング10が装着されている。開閉蓋3を閉止した時の気密性を高めるためである

【0021】
カートリッジ4は、上下開放の直方体形状の筒部材で構成されている。図4に示すよう
に、底辺の内側には水平なフランジ4Aが一体に設けられていて、積層状態で収容される
板状体の一例としての医療用センサーチップ8と、その下に積層される乾燥剤11が底部
から抜け落ちないように支えている。この医療用センサーチップ8並びに乾燥剤11は、
積層されたままの姿で乾燥剤11を下にして、このカートリッジ4の上方開放部分から収
容される。因みにこのカートリッジ4は、医療用センサーチップ8並びに乾燥剤11を収
容した状態で、例えばアルミ包装のパウチなどに入れて別途販売する。しかも医療用セン
サーチップ8はカートリッジ4ごとケース本体3に装填できるために、装填の際の手指に
よる医療用センサーチップ8の汚損や湿潤を上手く防止できる。また、このカートリッジ
4の側壁上部の全周には横外方へ、等寸で一体的に水平フランジ12が突設されていてい
る。ケース本体3にこのカートリッジ4を嵌合させた際に、この水平フランジ12以外の
カートリッジ4の側壁外面とケース本体3の側壁内面との間に隙間13が得られるように
してある。ケース本体3の側壁内面とこのカートリッジ4の側壁内面とが密接して、カー
トリッジ4の挿抜をスムーズに行なえなくなる不都合を未然に上手く解消するためである
。尚、図4中、Cはアルミ包装のパウチなどに収容される際に、このカートリッジ4の上
方開放部を閉止するように装着されるキャップである。
【0022】
底蓋5は、図2,3に示すように、ケース本体3の底に内嵌合される上方へ突出した嵌
合突部14を備えていると共に、その内底には、弾性体の一例である左右一対の圧縮スプ
リング15が備わっている。この嵌合突部14の前後左右の外回り寸法は、ケース本体3
の前後左右の内法寸法と同じに設定されていて、底蓋5をケース本体3に嵌入した際には
、両者は密に嵌合する。また、この圧縮スプリングイ15は前記カートリッジ4に収納さ
れた医療用センサーチップ8を乾燥剤11を介して上方へ弾性的に押圧する。言うまでも
なくこの圧縮スプリング15はカートリッジ4内に収容された医療用センサーチップ8を
繰り出し口7から全て排出するに足る上下寸法と弾発力が備わっている。また、この底蓋
5の前後両側面にはそれぞれケース本体3からこの底蓋5を引き出すための摘み16が一
体に形成されている(図2参照)。この摘み16は、図示するように、全体が底蓋5の前
後それぞれの側面5Aから外方へ均等な寸法で膨出していて、上方へ突となった半円形で
、表面には滑り止め用の多数の凹凸溝17が設けられている。膨出寸法は、この底蓋5の
底部全周にわたって設けられた前記ケース本体3の底辺を受け止めるための受け止め段部
18の突出幅と同寸である。また、ケース本体3の前後両側壁3Cには、その左右方向の
中央部分に、底辺から上方へ向けて上方に凸となった半円形の切り欠き19が形成されて
いて、この摘み16に上下方向で嵌合する。
【0023】
この摘み16は、カートリッジ4の詰め替えなどの際に、底蓋5をケース本体3から引
き出すのに便利である。それは、底蓋5とケース本体3との嵌合は、圧縮スプリング15
の弾発力だけによっては互いの嵌合が解除されないように、この圧縮スプリング15の弾
発力に抗して密に嵌合するように前記のように寸法設定されているからである。
【0024】
尚、図1中20は開閉蓋2の摘みである。また、図3中21はこの開閉蓋2を閉止した
際に、これを受け止め支持するために、ケース本体3の側壁上部全周にわたって一体に設
けられた受け止め段部である。
【0025】
以上の実施例1による板状体振り出し容器によれば、図2の分解斜視図に示すように、
乾燥剤11そしてその上に多数の医療用センサーチップ8が予め積層されて収納されてい
るカートリッジ4をケース本体3の下方の開放部から嵌入する。この際、カートリッジ4
に設けた前記水平フランジ12の働きで、カートリッジ4はケース本体3の内面に引っ掛
かることなくスムーズに嵌入できる。次いで、ケース本体3の底部開放から底蓋5を嵌入
する。嵌入と時を同じにして、カートリッジ4内の医療用センサーチップ8が乾燥剤11
を介して圧縮スプリング15の弾発力によって全体が上方へ押し上げられ、最上部の医療
用センサーチップ8Aが上壁6の内面6Aに押圧された状態でセットされる。医療用セン
サーチップ8を取り出すには、図1に示すように、まず開閉蓋2をヒンジ9を介して開け
、繰り出し口7に臨む最上段の医療用センサーチップ8の上面中央部分、つまりは上壁6
の辺縁近傍に該当する部位に、例えば親指の腹部分で側方へ押し出すような力を掛けて、
順次側方(矢印方向)へ繰り出す。最上部の操り出しが終わると同時に圧縮スプリング1
5の働きで次位の医療用センサーチップ8が上壁6の内面6Aに押圧された状態で次の繰
り出しに備える。
【0026】
カートリッジ4内の医療用センサーチップ8が全て繰り出されたら、底蓋5の摘み16
を指先で摘んで、この底蓋5をケース本体3から引き出し、新しいカートリッジを先の要
領でケース本体3に入れ替える。
【0027】
このように、上記の第1の実施例による構成では、従来のように容器を逆さにして医療
用センサーチップを取り出し、これを手指で摘まなければ取り出せない手法とは全く異な
り、繰り出し口7から繰り出しながら、そのまま手指で摘んだりすることなく、直に検査
装置などへ送り込むことができる。したがって、医療用センサーチップ8の先端を手指で
摘んでこれを汚損したり湿潤させたりするおそれがなくなり、先端を可及的に手指の接触
から開放して、乾燥性を高度に保持でき、また、汚損を可及的に少なく出来るようになっ
た。併せて医療用センサーチップ8を一枚ずつ的確に、しかも一定方向へスムーズに取り
出すことができ、振り出し性能の確実性をうまく確保できる。また、この容器1は、図示
されるように、直方体形状の三部品の組み合わせによるライター形態で、ハンドリング、
持ち運びし易い形状に構成され、併せて容器を使い回しにすることで、装飾を施したりし
て高級感を持たせることも可能になった。
【0028】
〔実施例2〕
次に、本発明に係る板状体の振り出し容器を医療用センサーチップの振出容器に適用し
た場合の第2の実施例について、図5〜6を参照しながら以下説明する。
尚、この第2の実施例において、先の実施例1と同様の構造については、実施例1と同
じ符号を付してその構造の詳細な説明は省略する。
【0029】
この第2の実施例の特徴点は、繰り出しに当たって、医療用センサーチップ8に全く手
指を触れさせることなく、第1実施例と同様に、スムーズな繰り出しができるようにした
所にある。以下その具体的な構造を説明する。
【0030】
図5は全体外観図、図6は全体の断面図である。図示するように、ケース本体3の上方
の開放部分全てが上壁22で閉止されていて、実施例1にいう繰り出し口7の上方全域も
覆った形となっている。そして、図6に示すように、この上壁22の左右方向の中央部分
にはケース本体3の内外に通じる孔23が穿たれている。この孔23の前後の辺縁には上
方に立ち上がるステー24が設けられ、このステー24間にわたって支軸25が掛け渡さ
れ、この支軸25に回転ローラ26が回転自在に軸支されている。この回転ローラ26は
、その下部周面が前記孔23からケース本体3内方へ入り込み、丁度最上層の医療用セン
サーチップ8の上面に接触する大きさ寸法に設定されている。
【0031】
また、繰り出し口7に代わって医療用センサーチップ8を容器から繰り出す構造は、図
6に示すように、上壁22の内面22Aの高さレベルとケース本体3の一方の側壁3Aの
上端3A1との高さレベルとの間には、ほぼ一枚分の医療用センサーチップ8の厚みと同
等寸法Lの開放が設けられていて、この開放が繰り出し口7として機能するように構成さ
れている。つまり、繰り出し口7の上壁22はこの繰り出し口7の上方全域を覆い、医療
用センサーチップ8の長さ方向に対応する一側面にこの医療用センサーチップ8を容器1
側方外方へ送り出す繰り出し口の一例であるスライド出口7Aが形成されている。
【0032】
したがって、この第2の実施例の構造では、容器1の内部は前記上壁22に設けられた
孔23とこのスライド出口7Aとの二箇所のみが外気に連通しているのみであるから、容
器内部の気密性を高く保持できる。
【0033】
このように構成された第2の実施例構造では、先の実施例1と同じようにして、図2の
分解斜視図に示すように、乾燥剤11そしてその上に多数の医療用センサーチップ8が予
め積層されて収納されているカートリッジ4をケース本体3の下方の開放部から嵌入する
。この際、カートリッジ4に設けた前記水平フランジ12の働きで、カートリッジ4はケ
ース本体3の内面に引っ掛かることなくスムーズに嵌入できる。次いで、ケース本体3の
底部開放から底蓋5を嵌入する。嵌入と時を同じにして、カートリッジ4内の医療用セン
サーチップ8が乾燥剤11を介して圧縮スプリング15の弾発力によって全体が上方へ押
し上げられ、最上部の医療用センサーチップ8Aが上壁22の内面22Aと回転ローラ2
6の下部周面に押圧された状態でセットされる。医療用センサーチップ8を取り出すには
、図5に示すように、まず開閉蓋2をヒンジ9を介して開け、次いで回転ローラ26を回
転させることで、最上段の医療用センサーチップ8の上面中央部分に、側方へ押し出すよ
うな力を掛け、順次側方(矢印方向)へ繰り出す。この繰り出し動作によって医療用セン
サーチップ8はスライド出口7Aから側方外方へ繰り出される。この最上部の医療用セン
サーチップ8の操り出しが終わると同時に圧縮スプリング15の働きで次位の医療用セン
サーチップ8が上壁22の内面22Aと回転ローラ26の下部周面に押圧された状態で次
の繰り出しに備える。
【0034】
カートリッジ4内の医療用センサーチップ8が全て繰り出されたら、底蓋5の摘み16
を指先で摘んで、この底蓋5をケース本体3から引き出し、新しいカートリッジを先の要
領でケース本体3に入れ替える。
【0035】
このように、この第2の実施例による構成では、先の第1の実施例に言う効果はそのま
ま発揮しながら、更に加えて容器1からの医療用センサーチップ8の繰り出しが、いわば
この医療用センサーチップ8の僅か一枚分の厚みの開口幅しか備えない前記のスライド出
口7Aで行なわれるので、容器1内部の機密性を大変高度に維持できる。併せて医療用セ
ンサーチップ8の繰り出しが手指を用いることなく、回転ローラ26のみによって行なえ
るようにしてあるので、この医療用センサーチップ8の乾燥性を更に高度に保持でき、ま
た、汚損を一層少なく出来るようになった。
【0036】
(実施例3)
次に、上記第1並びに第2の各実施例の改良構造について、図7を参照しながら以下説
明する。
第1の改良点は、容器の気密性を更に高めるための工夫である。
図7(A)に示すように、底蓋5の内部に、前記嵌合突部14とカートリッジ4との間
で挟持されるゴムパッキン27が装填されている。これによって、ケース本体3の底部側
が確実に外気から遮断され、上部に設けられているOリング10との協働によって、ケー
ス本体3内部の気密性が可及的に高度に保たれるようになる。更に具体的には、このゴム
パッキン27は、前記底蓋5の嵌合突部14の内部に装填される立ち上がり部27Aと、
その上縁に一体に連なって横外方へ突出するフランジ部27Bを備えて形成されている。
そして、容器を組み立てた際に、このフランジ部27Bが前記嵌合突部14の上縁14A
とカートリッジ4の下縁4Bとの間で挟持され、併せてケース本体3の周壁内面に密着さ
せるようにすることで、容器1の内部下部側を外気から遮断して、その気密性を保てるよ
うにしてある。
【0037】
なお、このゴムパッキン27は、図7(B)の部分拡大図に示すように、前記嵌合突部
14の内面上部に形成したアンダーカット141によってこの嵌合突部14からの不用意
な離脱を阻止するようにしておくのが望ましい。
【0038】
今一つの改良点は、医療用センサーチップ8の繰り出しをより確実に行なえるようにす
るための工夫で、前記圧縮スプリング15の弾発力を、医療用センサーチップ8の繰り出
しのために理想的に働かせる点にある。
図7(A)に示するように、底蓋5の前記嵌合突部14の内底部には、左右一対のばね
受け28が設けられている。このばね受け28には圧縮スプリング15の下端が外嵌合さ
せていて、その起立姿勢が正しく保てるようにしてある。このばね受け28の存在によっ
て、左右一対の圧縮スプリング15弾発力が、希望するように直線的に上方へ向かい、医
療用センサーチップ8に均等な押圧力が作用し、この医療用センサーチップ8の繰り出し
をスムーズに行える。
【0039】
なお、図7(C)に示すように、このばね受け28の周部にアンダーカット281を設
け、圧縮スプリング15の下部をこのアンダーカット281より更に下方へ押し込み嵌合
させることで、不用意な離脱をより的確に阻止するようにしておくのが望ましい。
【0040】
この発明では、以上の各実施例、また、改良構造に採用した構造以外にも各種の変形構
造を採用できる。例えば、圧縮スプリング15を一つとして、嵌合突部14の中央部分に
配置したり、必要に応じて乾燥剤11を採用しなかったり、カートリッジ4に設けられる
前記水平フランジ12は下部にも設けて、上下一対にしたり、Oリング10に代えてゴム
パッキングを採用したり、ゴムパッキン27に代えてケース本体3内面と嵌合突部14外
面との何れか一方にOリングを配置したりなど、この発明の所期の趣旨を逸脱しない範囲
において種々の変形例を採用できることは言うまでもない。また、医療用センサーチップ
8以外にも、例えば集積チップや電極があって手で触れないほうが良い板状の検出チップ
などにも適用できることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る板状体振り出し容器の第1の実施例を示し、全体の外観図である。
【図2】図1に示す板状体振り出し容器の分解斜視図である。
【図3】図1に示す板状体振り出し容器の断面図である。
【図4】図1に示す板状体振り出し容器に採用されるカートリッジを示し、板状体並びに乾燥剤を収容した状態の断面図である。
【図5】本発明に係る板状体振り出し容器の第2の実施例を示し、全体の外観図である。
【図6】図5に示す板状体振り出し容器の断面図である。
【図7】改良構造を示し、(A)、(B)(C)はそれぞれ要部の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1…容器
3…ケース本体
4…カートリッジ
5…底蓋
6…上壁
7…繰り出し口
7A…スライド出口
8…医療用センサーチップ
10…Oリング
11…乾燥剤
14…嵌合突部
15…圧縮スプリング
26…回転ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース内に板状体を収容したカートリッジと弾性体付きの底蓋を装着してこの弾性体の弾
発力によってカートリッジ内の板状体にケースに設けた繰り出し口側へ常時押圧力を負荷
するようしておき、カートリッジ内の最上部の板状体を、その繰り出し方向先端よりも後
方に寄った部位に繰り出し力を負荷しつつ、繰り出し口から順次一枚ずつ引き出すように
するとともに、板状体を取り出した後は直ちに次位の板状体が繰り出し口に臨むようにし
たことを特徴とする板状体振り出し容器。
【請求項2】
ケース本体に対して開閉する上蓋を備えると共に、板状体を一枚ずつ取り出し可能にした
繰り出し口を備えたケースと、このケースに挿抜自在に嵌合される板状体を積層して収容
してあるカートリッジと、板状体を前記繰り出し口に向けて常時押圧するように働く弾性
体を備えてケースの底部に着脱自在に装着される底蓋を備えたことを特徴とする板状体振
り出し容器。
【請求項3】
ケースの繰り出し口には、少なくとも板状体の長さ方向の1/2〜2/3の範囲を覆う上
壁が設けられている請求項1又は2のいずれかに記載の板状体振り出し容器。
【請求項4】
繰り出し口の上壁はこの繰り出し口の上方全域を覆い、板状体の長さ方向に対応する一側
面に板状体を容器外方へ送り出すスライド出口が形成されている請求項1又は2の何れか
に記載の板状体振り出し容器。
【請求項5】
繰り出し口の上壁には、最上部の板状体に接触してこれを容器外方へ送り出す送り出しロ
ーラが設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の板状体振り出し容器。
【請求項6】
ケースと上蓋、また、ケースと底蓋との閉め合わせ部には気密素子が設けられいる請求項
1〜5のいずれかに記載の板状体振り出し容器。
【請求項7】
カートリッジは上下開放で、底部の内周には板状体支持フランジが設けられている請求項
1〜6のいずれかに記載の板状体振り出し容器。
【請求項8】
カートリッジは底部に乾燥剤が収容されていて、上部に載置された板状体はこの乾燥剤を
介して弾性体の弾発力によって繰り出し口側に押圧されるようにしてある請求項1〜7の
いずれかに記載の板状体振り出し容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−347550(P2006−347550A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171897(P2005−171897)
【出願日】平成17年6月13日(2005.6.13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(502221536)富士ゲル産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】