説明

板状内容物一枚取出容器

【課題】厚みが厚い板状内容物にも適用することができ、また、乾燥した環境状態で収納する必要がある内容物にも適用することができる板状内容物一枚取出容器を提供する。
【解決手段】容器の容器本体部の後方側側壁の上端部に、ヒンジ部を介して蓋部が開閉可能に接続し、容器本体部は、内壁面の上下方向のほぼ中間位置に、中央に環状パッキンを嵌着した貫通孔をもち上面に複数の支持リブを等間隔に立設した底板を設け、環状パッキンに、下端にセンター維持板をもつ押上棒を密接摺動押上げ可能に挿着し、側壁の対向位置に、底板の下方近傍位置から下端に達する押上棒作動用切欠きを設け、蓋部は、前方側側壁の外側下端中央位置に開閉用つまみを突設し、天板下面側に、取出用突部を中心位置に突設した板状パッキンを嵌着し、容器本体部内の底板の支持リブ上に乾燥剤含有樹脂成形体を収納し、次いで、所定枚数の板状内容物を集積して収納する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状内容物、例えば、血糖値センサーなどの板状センサーチップや過酸化水素又は尿蛋白などの検出紙チップ、又は、口内清涼剤シート、紙石鹸、化粧シートなどを必要な乾燥した環境状態で収納し、使用するときに、板状内容物を一枚だけ取り出せる板状内容物一枚取出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用するときに、一枚だけ内容物を取り出す容器としては、例えば、図3(a)及び(b)に示すフィルム状内容物一枚取出容器(10)が知られていた。この容器は、水平断面形状が長方形状で、四方の側壁(110)と底板(120)とからなる容器本体部(100)の後方側側壁の上端部に、ヒンジ部(300)を介して、四方の側壁(210)と天板(220)とからなる蓋部(200)を開閉可能に接続したものあり、容器本体部の所定位置から後方の上端部を覆板(130)で覆い、その覆板の前方に取出用開口部(140)を形成し、その取出用開口部と対応する底板(120)の前方左右中央の所定位置に角状C字状のスリット(121)により形成される押上板部(122)を設け、蓋部の前方側壁の下端中央位置に開閉用つまみ(211)を突設し、天板(220)内面の容器本体部の取出用開口部に対応する前方左右中央の所定位置に、突部(231)の先端側に粘着シート(232)を貼着した取出用突部(230)を突設したものであった。そして、使用するときに、容器本体部の底板の押上板部(122)を指で押し上げて、容器本体部に集積されて収容されているフィルム状内容物(20)を押し上げ、一番上のフィルム状内容物(20)を蓋部の天板の取出用突部(230)に接着させ、次に、開閉用つまみ(211)に指をかけて蓋部を後方へ開口すると、開口した蓋部の内側に、フィルム状内容物(20)が一枚だけ、容器本体部の取出用開口部から取り出されるものであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来のフィルム状内容物一枚取出容器は、蓋部を開口したときに、蓋部の天板の取出し用突部に接着した内容物を、容器本体の上端部の覆板の先端部に摺接させながら曲げて、取出用開口部から取り出すため、自ずと、取り出される内容物の厚みに限界が生じ、厚みが厚い内容物には、適用することが出来なかった。また、底板には、押上板部を形成するためのスリットがあり、防湿性が付与されていないため、乾燥した環境状態で収納する必要がある内容物には、適用することが出来なかった。
【0004】
本発明は、上述の従来の内容物一枚取出容器の問題点を解決したものであり、厚みが厚い板状内容物、例えば、医療関係のセンサーチップにも適用することができ、また、乾燥した環境状態で収納する必要がある内容物にも適用することができる板状内容物一枚取出容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、水平断面形状が長方形状の容器であって、前記容器の容器本体部の後方側側壁の上端部に、ヒンジ部を介して、蓋部が開閉可能に接続し、前記容器本体部は、内壁面の上下方向のほぼ中間位置に、中央に環状パッキンを嵌着した貫通孔をもち上面に複数の同一高さの支持リブを等間隔に立設した底板を設け、該底板の貫通孔に嵌着した環状パッキンに、下端にセンター維持板をもつ押上棒を先端位置を前記支持リブの先端位置に合わせて密接摺動押上げ可能に挿着し、前記側壁の対向する位置に、底板の下方近傍位置から下端に達する同形の押上棒作動用切欠きをそれぞれに設け、前記蓋部は、前方
側側壁の外側下端中央位置に開閉用つまみを突設し、天板下面側に、突部の先端側に粘着シート又は吸着シートを貼着した取出用突部を中心位置に突設した板状パッキンを嵌着し、かつ、前記容器本体部内の底板の支持リブ上に乾燥剤含有樹脂成形体を収納し、次いで、該含有樹脂成形体上に所定枚数の板状内容物を集積して収納し、使用するときに、前記押上棒を押上棒作動用切欠きから指で押さえて上方へ押し上げて、前記集積する板状内容物の最上位置にある板状内容物を、前記蓋部に嵌着する板状パッキンの取出用突部に接着させ、蓋部を後方へ開口したときに、板状内容物を一枚だけ取り出すことを特徴とする板状内容物一枚取出容器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の板状内容物一枚取出容器は、使用するときに、容器本体部の下方側壁に設けられた押上棒作動用切欠きから、押上棒を指で押さえて上方へ押し上げ、容器本体部内に集積収納された板状内容物の最上位置にある板状内容物を、蓋部に嵌着する板状パッキンの中心位置に設けられた取出用突部に接着させ、蓋部をヒンジ部を中心線として後方へ開口したときに、図2(a)および(b)に示すように、一枚の板状内容物(20)をそのままの状態で、容器本体部(100)の上端開口部から、蓋部(200)に嵌着する板状パッキン(500)の取出用突部(510)に接着させ取り出すため、前述した従来の内容物一枚取出容器の内容物を曲げて取り出すものとは異なり、厚みが厚い板状内容物にも適用することが可能である。また、内容物(20)は、剛性をもつ乾燥剤含有樹脂成形体(30)上にあり、この乾燥剤含有樹脂成形体が押上棒(610)に押されて、内容物を乗せた状態で押し上げられるため、厚みの薄いフィルム状内容物であっても、蓋部(200)の板状パッキン(500)の取出用突部(510)に接着させることができ、蓋部を開口したときに、容器本体から一枚のフィルム状内容物を取り出すことができる。
【0007】
また、本発明の板状内容物一枚取出容器(10)は、図1(a)に示すように、蓋部(200)を容器本体部(100)に閉じたときに、押上棒(600)は底板(120)の貫通孔(123)に嵌着した環状パッキン(400)に密接摺動押上げ可能に挿着されており、容器内の密封性が良好である。しかも、底板の支持リブ(124)上に乾燥剤含有樹脂成形体(30)を収納し、この含有樹脂成形体上に所定枚数の板状内容物(20)を集積して収納されているため、容器内は、良好な乾燥状態にあり、乾燥した環境状態で収納する必要がある内容物にも適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明の板状内容物一枚取出容器の一実施形態について、図を用いて詳細に説明する。
【0009】
図1(a)は、容器本体内に板状内容物および乾燥剤含有樹脂成形体を収納して、蓋部を閉じたときの本発明の一実施形態の板状内容物一枚取出容器の断面図であり、図1(b)は、その側面図である。図2(a)は、図1の板状内容物一枚取出容器の蓋部を完全に開いたときの平面図であり、図2(b)は、その断面図で、開いた蓋部の取出用突部に一枚の板状内容物が付着して容器本体内から取り出される状態を示す説明図である。
【0010】
本実施形態の板状内容物一枚取出容器(10)は、図2(a)に示すように、水平断面形状が長方形状の容器であり、図1(a)及び(b)に示すように、容器本体部(100)の後方側側壁(110)の上端部に、ヒンジ部(300)を介して蓋部(200)が開閉可能に接続した容器(10)である。そして、容器本体部内の底板(120)の支持リブ(124)上に乾燥剤含有樹脂成形体(30)を収納し、次いで、含有樹脂成形体上に所定枚数の板状内容物(20)を集積して収納し、使用するときに、図2(a)及び(b)に示すように、押上棒作動用切欠き(113)から、押上棒(610)を指で押さえて上方へ押し上げて、集積する板状内容物(20)の最上位置にある板状内容物を、蓋部(
200)に嵌着する板状パッキン(500)の取出用突部(510)に接着させ、蓋部をヒンジ部(300)を支線として後方へ開口したときに、板状内容物(20)を一枚だけ取り出す容器である。押上棒は、底板の下方の側壁内側の中心位置に取り付けられているため、蓋部が閉まっているときに、誤って押し上げてしまうことが回避できる。
【0011】
なお、ヒンジ部は、一点ヒンジの通常のヒンジ機構でも、三点ヒンジのスナップヒンジ機構でも良い。スナップヒンジ機構は、蓋部が完全な状態に開閉していない場合に、その位置から自動的に蓋部が完全に開くか閉じるものである。また、乾燥剤含有樹脂成形体は、熱可塑性樹脂に乾燥剤を分散混合して射出成形法などで成形したものである。使用する乾燥剤としては、吸水しても体積が増加しないタイプ(微量の膨張に抑えられるタイプ)に限定され、具体的には、シリカゲルやゼオライト(モレキュラシーブ)などである。成形体のベースになる熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどを基準として使用するが、透湿度のあるその他の熱可塑性樹脂も使用することができる.また、乾燥剤含有樹脂成形体の乾燥能力を向上させるために、成形体にリブや切欠き付けて表面積を広くしても良い。また、容器本体部とヒンジ部と蓋部は、ポリプロピレンなどのヒンジ特性をもつ熱可塑性樹脂を用いて、射出成形法により一体に成形して作製するものである。
【0012】
本実施形態の容器本体部(100)の構造は、図1(a)に示すように、水平断面形状が長方形状の側壁(110)の内壁面の上下方向のほぼ中間位置に、中央に環状パッキン(400)を嵌着した貫通孔(123)をもち上面に複数の同一高さの支持リブ(124)を等間隔に立設した底板(120)を設け、この底板の貫通孔に嵌着した環状パッキンに、下端にセンター維持板(620)をもつ押上棒(610)を先端位置を支持リブ(124)の先端位置に合わせて密接摺動押上げ可能に挿着し、側壁の対向する位置に、底板の下方近傍位置から下端に達する同形の押上棒作動用切欠き(113)をそれぞれに設けるものである。また、側壁の上端部に、蓋部の咬合リング(212)と咬合する咬合リング(111)を設け、その下方位置に、蓋部の受台リング(112)を設けるものである。
【0013】
なお、環状パッキンの材質は、防湿性が必要であり、エチレン・プロピレンゴム、シリコンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン三成分共重合体ゴムなどが適しており、押上棒を押し上げるときの密封性と使用のし易さを考慮して、材質の硬度、押上棒との競り量が決定されるものである。
【0014】
本実施形態の蓋部(200)の構造は、図1(a)に示すように、前方側側壁(210)の外側下端中央位置に開閉用つまみ(211)を突設し、内側下端位置に容器本体の咬合リング(111)と咬合するこ咬合リング(212)を設け、天板(220)下面側に、突部(511)の先端側に粘着シート又は吸着シート(512)を貼着した取出用突部(510)を中心位置に突設した板状パッキン(500)を嵌着したものである。
【0015】
なお、粘着シートの粘着剤としては、ウレタン系、オレフィン系、エポキシ系、アクリル系のものが使用できるが、いづれも乾燥した環境内で板状内容物を取り出せる粘着力をもち、かつ、取り出された板状内容物を、手で容易に取り外すことができるように、粘着力を設定するものである。また、吸着シートとしては、例えば、簡単なものとして、発泡シートを水平方向に切断して、表面側に発泡の切断面を出したものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、容器本体内に板状内容物および乾燥剤含有樹脂成形体を収納して、蓋部を閉じたときの本発明の一実施形態の板状内容物一枚取出容器の断面図であり、(b)は、その側面図である。
【図2】(a)は、図1の板状内容物一枚取出容器の蓋部を完全に開いたときの平面図であり、(b)は、その断面図で、開いた蓋部の取出用突部に一枚の板状内容物が付着して容器本体内から取り出される状態を示す説明図である。
【図3】(a)は、従来の一例のフィルム状内容物一枚取出容器の蓋部を完全に開いたときの断面図であり、開いた蓋部の取出用突部に一枚のフィルム状内容物が付着して容器本体内から取り出される状態を示す説明図であり、(b)は、その底面図である。
【符号の説明】
【0017】
10……容器
20……内容物
30……乾燥剤含有樹脂成形体
100……容器本体部
110……側壁
111,212……咬合リング
112……受台リング
113……押上棒作動用切欠き
120……底板
121……スリット
122……押上板部
123……貫通孔
124……支持リブ
130……覆板
140……取出用開口部
200……蓋部
210……側壁
211……開閉用つまみ
220……天板
230,510……取出用突部
231,511……突部
232,512……粘着シート又は吸着シート
300……ヒンジ部
400……環状パッキン
500……板状パッキン
610……押上棒
620……センター維持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平断面形状が長方形状の容器であって、前記容器の容器本体部の後方側側壁の上端部に、ヒンジ部を介して、蓋部が開閉可能に接続し、前記容器本体部は、内壁面の上下方向のほぼ中間位置に、中央に環状パッキンを嵌着した貫通孔をもち上面に複数の同一高さの支持リブを等間隔に立設した底板を設け、該底板の貫通孔に嵌着した環状パッキンに、下端にセンター維持板をもつ押上棒を先端位置を前記支持リブの先端位置に合わせて密接摺動押上げ可能に挿着し、前記側壁の対向する位置に、底板の下方近傍位置から下端に達する同形の押上棒作動用切欠きをそれぞれに設け、前記蓋部は、前方側側壁の外側下端中央位置に開閉用つまみを突設し、天板下面側に、突部の先端側に粘着シート又は吸着シートを貼着した取出用突部を中心位置に突設した板状パッキンを嵌着し、かつ、前記容器本体部内の底板の支持リブ上に乾燥剤含有樹脂成形体を収納し、次いで、該含有樹脂成形体上に所定枚数の板状内容物を集積して収納し、使用するときに、前記押上棒を押上棒作動用切欠きから指で押さえて上方へ押し上げて、前記集積する板状内容物の最上位置にある板状内容物を、前記蓋部に嵌着する板状パッキンの取出用突部に接着させ、蓋部を後方へ開口したときに、板状内容物を一枚だけ取り出すことを特徴とする板状内容物一枚取出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−24312(P2008−24312A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−195301(P2006−195301)
【出願日】平成18年7月18日(2006.7.18)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】