説明

板状凸部を有した抄造型の三次元設計支援装置及びプログラム

【課題】板状凸部の間隔が詰まった抄造成形体の製造に好適な抄造型の三次元設計支援装置の提供。
【解決手段】設計する板状凸部の定点の前記中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ、並びに前記中心軸方向の前記板状凸部の周面のプロファイルデータをプロファイルデータ保持手段3、取得した定点厚み方向プロファイルデータに基づいて前記中心軸周りの回転掃引演算処理を行って前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算すると共に、取得した前記中心軸方向の前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づいて前記円錐体モデルデータに対してトリミング演算処理を行って前記板状凸部の三次元モデルデータを演算するデータ演算手段4、前記三次元モデルデータの演算結果を保持するモデルデータ保持手段5、及び前記三次元モデルデータの演算結果を出力する出力手段6を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抄造型の三次元設計支援装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、抄造成形体の製造方法として、下記特許文献1に記載の技術を提案している。この技術は、無機繊維や有機繊維等の繊維材料を含む原料スラリーから繊維積層体を抄造し、脱水、乾燥成形を行って所望の成形面を有する抄造成形体を製造するものである。
【0003】
特許文献1の図1等には、抄造面の基面部上に、横臥している半円柱状の柱状凸部を有し、該柱状凸部の長さ方向の所定箇所に半円柱状の板状凸部が所定間隔をおいて2つ形成されている抄造型が開示されている。
このような抄造型を使用して、特許文献1の図8のような抄造成形体を抄造する場合には、一般的には、抄造成形体を抄造型から支障なく取り外す上で、抄造部の基面部上の板状凸部に、該基面部を基準として平面的(二次元的)に抜き勾配が付けられる(図14参照。ただし、抜き勾配を強調して描いている)。
【0004】
ところで、得られる抄造体の板状凸部の間隔を狭くしたいときには、抄造型における前記板状凸部の間隔も狭くする必要がある。しかし、この間隔が狭くなると、抄造成形体の中間体である繊維積層体を抄造するときに、その抄造型における前記板状凸部の間に原料スラリーが十分に入り込み難くなり、その部分の繊維積層体の厚みが薄肉になったり、抄造できない場合があった。このため、前記板状凸部どうしの間隔が詰まった抄造成形体を製造することは困難であった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−290600号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、板状凸部どうしの間隔が詰まった抄造成形体の製造に好適な抄造型の三次元設計支援装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援装置であって、設計する板状凸部の定点における中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ、並びに前記終身軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを入力するデータ入力手段と、入力された前記各プロファイルデータを保持するプロファイルデータ保持手段と、前記データ保持手段から前記各プロファイルデータを取得し、取得した前記定点厚み方向プロファイルデータに基づいて前記中心軸周りの回転掃引演算処理を行って前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算するとともに、取得した前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づいて前記円錐体モデルデータに対してトリミング演算処理を行って前記板状凸部の三次元モデルデータを演算するデータ演算手段と、前記三次元モデルデータの演算結果を保持するモデルデータ保持手段と、前記三次元モデルデータの演算結果を出力する出力手段とを備えている板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援装置を提供することにより、前記目的を達成したものである。
【0008】
また、本発明は、板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援プログラムであって、コンピューターに、設計する板状凸部の定点における中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを保持させるプロファイルデータ保持機能と、保持された前記プロファイルデータに基づく該中心軸周りの回転掃引演算処理により、前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算させる回転掃引演算処理機能と、保持された前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づく前記円錐体モデルデータのトリミング演算処理により、板状凸部の三次元モデルデータを演算させるトリミング演算処理機能とを実現させるための板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援プログラムを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援装置であって、設計する板状凸部の定点における前記中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ、並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを入力するデータ入力手段と、入力された前記各プロファイルデータを保持するプロファイルデータ保持手段と、前記データ保持手段から前記各プロファイルデータを取得し、取得した前記定点厚み方向プロファイルデータに基づいて前記中心軸周りの回転掃引演算処理を行って前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算するとともに、取得した前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づいて前記円錐体モデルデータに対してトリミング演算処理を行って前記板状凸部の三次元モデルデータを演算するデータ演算手段と、前記三次元モデルデータの演算結果を保持するモデルデータ保持手段と、前記三次元モデルデータの演算結果を出力する出力手段とを備えている板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援装置を提供するものである。
【0010】
また、本発明は、板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援プログラムであって、コンピューターに、設計する板状凸部の定点における中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを保持させるプロファイルデータ保持機能と、保持された前記プロファイルデータに基づく該中心軸周りの回転掃引演算処理により、前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算させる回転掃引演算処理機能と、保持された前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づく前記円錐体モデルデータのトリミング演算処理により、板状凸部の三次元モデルデータを演算させるトリミング演算処理機能とを実現させるための板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援プログラムを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、板状凸部どうしの間隔が詰まった抄造成形の設計に好適な板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援装置及びプログラムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
まず、本発明が適用できる抄造型について説明する。
なお、本発明において抄造成形体とは抄造型上で繊維等の抄造原料が体積した繊維積層体を脱水・乾燥させたものをいう。
【0013】
図8及び図9は、本発明の設計支援装置により設計された抄造型本体を備えた抄造型の一実施形態を示すものである。抄造部100には、抄造型1000の突き合わせ面101から低い位置に基面部102を有する凹部(段部)103が設けられている。
【0014】
前記抄造部100は、凸部104として板状凸部105と柱状凸部106とを有している。図8では該柱状凸部及び該板状凸部を半円柱状で示している。以下、各凸部を半円柱状である場合として説明する。
抄造部100は、基面部102上に横臥している半円柱状の柱状凸部106と該柱状凸部の長さ方向の所定箇所に半円柱状の板状凸部105を2個有している。板状凸部105の直径は、柱状凸部106の直径より大きく設定されている。板状凸部105と柱状凸部106は、半円形断面の中心が同じ軸C(図9(b)参照)上に位置するように設けられている。柱状凸部106の両端部は、板状凸部105の外側の板面部105Bよりも外側に張り出している。抄造部100の基面部102及び凸部104には、その表面において開口する気液流通路107が内部に設けられている。抄造部100の表面には抄造ネット108が取り付けられている。抄造ネット108には、従来からこの種の抄造成形体の製造に用いられている公知のものを使用することができる。
【0015】
板状凸部105どうしの隣り合う板面部105Aは、基面部102上であって柱状凸部106の円形断面の軸心C上に頂点Sを有する円錐面の一部で設けられている。ここで、円錐面とは、一つの直線 のまわりに、これと交わるもう一つの直線を一まわりさせたときに描かれる曲面をいう。なお、一つの直線 のまわりに、これと交わるもう一つの直線を一まわりさせるときに前記直線同士の交わる角度(以下、円錐面の勾配αともいう)は、本発明の効果を損なわない範囲において、一定でなくても、一まわりさせる間に変化させても良い。板面部105Aとしての円錐面は、頂点Sが板状凸部105及び柱状凸部106の円形断面の軸心上に位置するように設けることが好ましいが、本発明により得られる効果に影響を及ぼさない範囲において前記頂点が前記軸心及び基面部102上からずれていてもよい。板面部105Aとしての円錐面の勾配αは、板状凸部105の板面部105Aの外周縁105Cと内周縁105Dの径差(板状凸部の半円断面の径と柱状凸部の半円断面の径差)及び外周縁と内周縁の間隔d(図9(b)参照)で定まる。この勾配αは、0.1〜10度が好ましく、0.5〜5度がさらに好ましく、1〜3度がより好ましい。円錐面の勾配αが斯かる範囲であると、繊維積層体を傷つけることなく製造型から容易に取り外すことができ、板状部の間隔も狭くすることができる。板状部105Aの間隔Dは、抄造のしやすさ及び余分な抄造原料を必要としない点で1〜50mmが好ましい。
【0016】
上記構成の抄造型1000では、板状部凸部105の板面105Aが前述のような円錐面で設けられているので、抄紙原料が板状凸部105の間の抄造ネット108まで回り込み易くなる。よって、板状凸部どうしの間隔が詰まっていても、亀裂のない抄造成形体を作製することができる。
【0017】
次に本発明の3次元設計支援装置及びプログラムについて説明する。
図1は、本発明の抄造型の三次元設計支援装置(以下、単に設計支援装置ともいう。)の一実施形態を模式的に示したものである。図1において、符号1は設計支援装置を示している。
【0018】
本実施形態の設計支援装置1は、図7(a)〜(c)に示すような、周面13を有する板状凸部11の板面12が半円柱状の柱状凸部の軸心上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている抄造型の設計に用いられる。
【0019】
図1に示すように、設計支援装置1は、設計する板状凸部の定点における中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ、並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを入力するデータ入力手段2と、データ入力手段2から入力された前記各プロファイルデータを保持するプロファイルデータ保持手段3と、データ保持手段3から前記各プロファイルデータを取得し、取得した前記定点厚み方向プロファイルデータに基づいて前記半円柱状の柱状凸部周りの回転掃引演算処理を行って前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算するとともに、取得した前記柱状凸部周りにおける前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づいて前記円錐体モデルデータに対してトリミング演算処理を行って前記板状凸部の三次元モデルデータを演算するデータ演算手段4と、前記三次元モデルデータの演算結果を保持するモデルデータ保持手段5と、前記三次元モデルデータの演算結果を出力する出力手段6とを備えている。ここで、前記定点とは、設計者が定めた板状凸部の周面上の任意の基準点のことをいう。データ演算手段4は、後述するように、原点を通り互いに直交する二つの無限平面からなる基準平面で形成される基準軸を、設計する柱状凸部の中心軸として演算する。
【0020】
設計支援装置1は、具体的には図2に示すようなコンピューターシステム(コンピューター)10で構成されており、後述する板状凸部の設計支援プログラム(以下、単に設計支援プログラムともいう。)の実行中、入力手段2として機能する入力装置20と、プロファイルデータ保持手段3、データ演算手段4及びモデルデータ保持手段5として機能する本体30と、出力手段6として機能する出力装置60とを備えている。
【0021】
本体30は、演算処理装置(CPU)31と、主記憶装置(RAM)32と、補助記憶装置(HDD)33と、入力装置20及び出力装置40との接続用のインターフェース(I/O)34と、電源装置(PS)35と、これらを結ぶバス(BUS)36とを備えている。
【0022】
入力装置20は、データの入力や設計支援プログラムに応答するための入力装置であり、キーボード等の入力装置で構成されている。
演算処理装置31は、後述のように主記憶装置32に記憶保持された設計支援プログラムの指令を解読して実行する所定の回路を有している。
主記憶装置32は、揮発性の記憶装置であり、演算処理装置31での演算結果や入力装置20から入力されたデータを一時的に記憶保持する領域を記憶装置である。
補助記憶装置33は、ファイル装置であり、入力装置20から入力されるデータや演算処理装置、31の演算処理結果を記憶保持する領域を備えた記憶装置である。
出力装置40は、演算処理装置31での演算結果や設計支援プログラムに応答を促す等の表示を行う表示装置である。
【0023】
主記憶装置32には、本コンピューターシステム10と協働して当該コンピューターシステム10を設計支援装置1として機能させる設計支援プログラムが記憶されている。図3に示すように、主記憶装置32の所定の領域に記憶保持された設計支援プログラムは、板状凸部の板面がその中心軸上(前述の柱状凸部106の円形断面の軸心C上に相当)に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている抄造型を設計させるためのプログラムであり、前記コンピューターシステム10に、前記定点厚み方向プロファイルデータの入力を要求するように表示させる入力要求表示機能と、設計する板状凸部の定点における前記中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを保持させるとともに表示させるプロファイルデータ保持・表示機能と、保持された前記プロファイルデータに基づく該中心軸周りの回転掃引演算処理により、前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算させる回転掃引演算処理機能と、保持された前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づく前記円錐体モデルデータのトリミング演算処理により、板状凸部の三次元モデルデータを演算させるトリミング演算処理機能と、前記トリミング演算処理結果を保持させるモデルデータ保持機能と、前記トリミング演算処理結果を表示させるモデルデータ表示機能とを実現させるためのプログラムである。
【0024】
次に、本実施形態の設計支援装置1による三次元設計の手順を設計支援装置1の動作とともに説明する。
設計支援装置1において、前記設計支援プログラムが実行されると、演算処理装置31は、当該設計支援プログラムと協働し、その入力要求表示機能により、図5に示すように、設計する板状凸部の定点における中心軸Rからの距離L、厚みT及び板面勾配θからなる定点厚み方向プロファイルデータの入力を促す表示を出力装置40に出力し、定点厚み方向プロファイルデータの入力を求める(ステップ1:S1)。オペレータは、この要求に従って、入力手段2から定点厚み方向プロファイルデータの入力を行う。
【0025】
定点厚み方向プロファイルデータが入力されると、演算処理装置31は、当該設計支援プログラムと協働し、そのプロファイルデータ保持・表示機能により、該定点厚み方向プロファイルデータを主記憶装置32の所定の記憶領域に記憶保持するとともに、図5に示すように、定点厚み方向プロファイルデータ出力装置40に出力表示する(S2)。そして、さらに前記中心軸方向における板状凸部の周面のプロファイルデータの入力を促す表示を出力装置40に出力し、該周面のプロファイルデータの入力を求める(S3)。オペレータは、この要求に従って、入力手段2から該周面のプロファイルデータの入力を行う。
【0026】
前記中心軸方向における板状凸部の周面のプロファイルデータが入力されると、演算処理装置31は、設計支援プログラムと協働し、そのプロファイルデータ保持・表示機能により、当該プロファイルデータを主記憶装置32の所定の記憶領域に記憶保持する(S4)。そして、演算処理装置31は、当該設計支援プログラムと協働し、その回転掃引演算処理機能により、主記憶装置32に記憶保持された前記定点厚み方向プロファイルデータを取得し、原点を通り互いに直交する二つの無限平面からなる基準平面で形成される基準軸を設計する板状凸部の中心軸とし、取得した定点厚み方向プロファイルデータに基づいて該中心軸周りの回転掃引演算処理を行い、設計する板状凸部の板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算する(回転掃引演算処理ステップ:S5)。演算処理装置31は、設計支援プログラムと協働し、そのモデルデータ保持機能により、主記憶装置32の所定の記憶領域に円錐体モデルデータの演算結果を記憶保持するとともに、図6に示すように、モデルデータ表示機能により、その結果を出力装置40に出力表示する(S6)。
【0027】
次に、演算処理装置31は、設計支援プログラムと協働し、そのトリミング演算処理機能により、前記中心軸R方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づいて前記円錐体モデルデータのトリミング演算処理を行って板状凸部の三次元モデルデータを演算する(S7)。トリミング演算処理とは、前記板状凸部の周面のプロファイルデータを前記中心軸方向に掃引してできる立体形状を計算上仮想し、前記円錐体形状と重なる部分をブーリアン演算することによって計算し求める処理をいう。換言すると、円錐体モデルデータの余分な部分を取り除く処理であり、二次元的な板状凸部の板形状を入力手段2からパラメータ入力し、前記円錐体モデルデータのトリミング演算処理を行う処理である。
【0028】
演算処理装置31は、設計支援プログラムと協働し、そのモデルデータ保持機能により、上述のようにして演算した板状凸部の三次元モデルデータの演算結果を主記憶装置31の所定の記憶領域に記憶保持するとともに、図7に示すように、モデルデータ表示機能により、板状凸部の形状を出力装置40に出力し、さらに、当該演算処理結果を補助記憶装置32の所定の記憶領域に記憶保持する(S8)。補助記憶装置32への記憶保持の形態は、三次元モデルデータを使用した、マシニングによる木型の作製等に利用できるようにするために適合したデータ形式で記憶保存することが好ましい。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の設計支援装置1によれば、板状凸部どうしの間隔が詰まった抄造成形の設計に好適な板状凸部を有する抄造型の設計に好適である。
【0030】
なお、上記説明では、図5及び6のように便宜上二次元的な出力で示したが、演算処理装置31において演算された円錐体モデルデータ及び板状凸部の三次元モデルデータに基づいて、ワイヤーフレーム表示、陰線処理をしたワイヤーフレーム表示、及び光学的処理を加えた陰影処理(シェーディング処理)などにより三次元的な表示を行うこともできる。
【0031】
本発明は、前記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更することができる。例えば、多数の板状凸部が各々の円錐面の勾配αで形成された抄造型にも好適である。このように、本発明は狭い隙間を有する種々の形状の抄造型製作に好適である。
【0032】
さらに、本発明は図10に示す、一対の雄型2000、雌型3000からなる乾燥成形型にも適用することができる。この乾燥成形型は前記の抄造成形体を乾燥成形させるものであり、湿潤状態にある抄造成形体を、内蔵されているヒーター等の加熱手段にて加熱されている該雌雄型に挟むことによって乾燥成形させる。乾燥の際に発生する水蒸気は排出孔210、310から型の外部に排出することができる。雄型2000は前述の抄造型と同じ形状であり、一方、雌型3000は抄造成形体の外形形状をそのまま凹凸を反対にした凹状部の乾燥成形部を有している。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、板状凸部どうしの間隔が詰まった抄造成形の設計に好適な板状凸部を有する抄造型の設計に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の板状凸部を有した抄造型の設計支援装置の一実施形態を模式的に示す図である。
【図2】本発明の板状凸部を有した抄造型の設計支援装置の一実施形態の具体的構成を模式的に示す図である。
【図3】本発明の板状凸部を有した抄造型の設計支援装置の一実施形態における記憶装置の記憶領域に記憶保持されたプログラム等を模式的に示す図である。
【図4】本発明の板状凸部を有した抄造型の設計支援プログラムのフローチャートである。
【図5】前記実施形態の板状凸部を有した抄造型の設計支援装置により出力された定点プロファイルを示す図である。
【図6】前記実施形態の板状凸部を有した抄造型の設計支援装置により出力された円錐体モデルを示す図である。
【図7】前記実施形態の板状凸部を有した抄造型の設計支援装置により出力された板状凸部の一形態を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【図8】本発明の設計支援装置により設計された抄造型本体を備えた抄造型の一実施形態を示す図であり、(a)は一部を破断した状態で示す斜視図、(b)は、A−A矢視断面図である。
【図9】本発明の設計支援装置により設計された抄造型本体の外形を示す図であり、(a)は側面図(b)は平面図である。
【図10】本発明の設計支援装置により外形が設計された乾燥成形型を構成する雄型及び雌型を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 板状凸部を有した抄造型の設計支援装置
2 入力手段
3 プロファイルデータ保持手段
4 データ演算手段
5 モデルデータ保持手段
6 出力手段
10 コンピューターシステム
20 入力装置
30 本体
60 出力装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援装置であって、
設計する板状凸部の定点における前記中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ、並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを入力するデータ入力手段と、
入力された前記各プロファイルデータを保持するプロファイルデータ保持手段と、
前記データ保持手段から前記各プロファイルデータを取得し、取得した前記定点厚み方向プロファイルデータに基づいて前記中心軸周りの回転掃引演算処理を行って前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算するとともに、取得した前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づいて前記円錐体モデルデータに対してトリミング演算処理を行って前記板状凸部の三次元モデルデータを演算するデータ演算手段と、
前記三次元モデルデータの演算結果を保持するモデルデータ保持手段と、
前記三次元モデルデータの演算結果を出力する出力手段とを備えている板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援装置。
【請求項2】
前記データ演算手段は、原点を通り互いに直交する二つの無限平面からなる基準平面で形成される基準軸を、設計する抄造型の板状凸部の中心軸として演算する請求項1に記載の板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援装置。
【請求項3】
板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援プログラムであって、
コンピューターに、
設計する板状凸部の定点における中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを保持させるプロファイルデータ保持機能と、
保持された前記プロファイルデータに基づく該中心軸周りの回転掃引演算処理により、前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算させる回転掃引演算処理機能と、
保持された前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づく前記円錐体モデルデータのトリミング演算処理により、板状凸部の三次元モデルデータを演算させるトリミング演算処理機能とを実現させるための板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援プログラム。
【請求項4】
原点を通り互いに直交する二つの無限平面からなる基準平面で形成される基準軸を、設計する板状凸部の中心軸として演算する請求項3に記載の板状凸部を有する抄造型の三次元設計支援プログラム。
【請求項5】
板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援装置であって、
設計する板状凸部の定点における前記中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ、並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを入力するデータ入力手段と、
入力された前記各プロファイルデータを保持するプロファイルデータ保持手段と、
前記データ保持手段から前記各プロファイルデータを取得し、取得した前記定点厚み方向プロファイルデータに基づいて前記中心軸周りの回転掃引演算処理を行って前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算するとともに、取得した前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づいて前記円錐体モデルデータに対してトリミング演算処理を行って前記板状凸部の三次元モデルデータを演算するデータ演算手段と、
前記三次元モデルデータの演算結果を保持するモデルデータ保持手段と、
前記三次元モデルデータの演算結果を出力する出力手段とを備えている板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援装置。
【請求項6】
前記データ演算手段は、原点を通り互いに直交する二つの無限平面からなる基準平面で形成される基準軸を、設計する乾燥成形型の板状凸部の中心軸として演算する請求項5に記載の板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援装置。
【請求項7】
板状凸部の板面がその中心軸上に頂部を有して外側に先細る円錐面の一部で設けられている板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援プログラムであって、
コンピューターに、
設計する板状凸部の定点における中心軸からの距離、厚み及び板面勾配からなる定点厚み方向プロファイルデータ並びに前記中心軸方向における前記板状凸部の周面のプロファイルデータを保持させるプロファイルデータ保持機能と、
保持された前記プロファイルデータに基づく該中心軸周りの回転掃引演算処理により、前記板面を錐面として含む円錐体モデルデータを演算させる回転掃引演算処理機能と、
保持された前記板状凸部の周面のプロファイルデータに基づく前記円錐体モデルデータのトリミング演算処理により、板状凸部の三次元モデルデータを演算させるトリミング演算処理機能とを実現させるための板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援プログラム。
【請求項8】
原点を通り互いに直交する二つの無限平面からなる基準平面で形成される基準軸を、設計する板状凸部の中心軸として演算する請求項7に記載の板状凸部を有する乾燥成形型の三次元設計支援プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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