説明

枕木及び線路内侵入検知装置

【課題】安価であって、広い範囲の障害物の検知を行うことが可能であり、耐久性が高く、枕木の取り換え作業が容易な枕木及び線路内侵入検知装置を提供することである。
【解決手段】枕木本体2に、人又は物の存在を非接触で検知可能な検知装置の少なくとも一部を設けられている枕木1、又は距離を離して設置され、間に人又は物が入ったことを検知可能な検知装置3及び検知装置4を有し、枕木の1つには検知装置3が設けられ、該枕木の近隣の枕木に検知装置4を設けられている線路内侵入検知装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道の線路等の軌道に用いられる枕木及び線路内侵入検知装置に関するものであり、さらに詳細には、軌道周辺に侵入した人や物等の列車走行を妨げる要因となるものを検知できる機能を有する枕木及び線路内侵入検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道において、列車がブレーキをかけてから停車するまでには、ブレーキ操作を行ってから実際にブレーキが作用するまでの列車の走行距離である空走距離と、ブレーキが作用し始めてから列車が停止するまでの列車の走行距離である制動距離を必要とする。この空走距離と制動距離は、列車の走行時の速度が速くなるにつれて長くなるものであり、例えば、時速120Kmで走行している列車が停止するまでには、空走距離と制動距離を合わせて約500mの距離が必要となる。
【0003】
そのため、列車の運転手が軌道周辺又は軌道上の人や物を目視で確認してブレーキを開始しても、列車の停止が間に合わず、列車が障害物に衝突する等の事故が発生してしまう。
ここで、物とは軌道上に侵入した動物及び自動車等の車両、また、風によって運ばれた石や器物など、軌道及び軌道の周辺に位置することで、列車の運行を阻害する要因となるすべてのものを含む。
【0004】
したがって、このような事故の発生を防ぐためには、軌道上や軌道周辺の人や物を早めに検知する必要がある。つまり、運転手が目視で障害物を確認する前に、軌道上の人や物等の障害物を検知することで、検知した情報をいち早く運転手や列車の運行管理を行う人員等に連絡できる。そのことで、早めに列車の停車を開始したり、列車が通過する前に障害物を軌道上から取り除くといった対策を講じることができるためである。
【0005】
そこで、軌道周辺を監視して、軌道に侵入した人や物をいち早く検知する技術が必要となる。このような技術として、例えば、特許文献1に開示されているような技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−349892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に開示されている発明は、外力に応じて光信号が変化する光ファイバを軌道に配置し、障害物(侵入者)が光ファイバを踏みつける等によって光ファイバに曲がりが生じ、光信号に損失が発生した場合に侵入があるとみなすものである。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載に開示されている発明では、軌道周辺をくまなく検知するためには、光ファイバの本数を増やして軌道上及び軌道周辺に敷き詰めなければならない。光ファイバは高価であるため、広い鉄道軌道に配するにはコストの面で問題があった。
さらに、光ファイバが検知対象となる人物や車などから直接又は間接的に踏まれることによって検知対象を検知するため、検知するたびに光ファイバや光ファイバを被覆するケーブル状の部材等の周辺部材に荷重がかかる。そのため、劣化しやすく耐久性における問題があった。
また、特許文献1の図4や図5のように、数本の枕木上に1本の光ファイバを配すると、枕木を交換する場合に交換作業の効率が悪くなるという問題があった。これは、古い枕木からの光ファイバの取り外しや、新しい枕木への光ファイバの取り付け等の作業が発生することや、作業時に光ファイバをよけながら作業を行う必要があるためである。
【0009】
そこで本発明は、安価であって、広い範囲の障害物の検知を行うことが可能であり、耐久性が高く、枕木の取り換え作業が容易な枕木及び線路内侵入検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、検知装置と枕木本体とを備えた枕木であって、前記検知装置は人又は物の存在を非接触で検知可能であり、検知装置の少なくとも一部が枕木本体の表面に設けられていることを特徴とする枕木である。
【0011】
本発明の枕木は、非接触の状態で人又は物を検知することのできる検知装置が設けられている。つまり、本発明の枕木は、接触して人又は物の存在を検知する圧力センサー等を使用する場合と異なり、運用時に検知装置に対して人又は物からの力がかからない。即ち、人や貨物を積載した自動車等に踏まれることがない。そのため、検知装置の耐久性が高く、交換回数を少なくすることができるため、運用時の保守費用を低減することができる。
また、検知装置は1つの枕木に取り付けられており、枕木と共に軌道から簡単に取り外し可能である。そのため、検知装置に突発故障が発生してしまっても、検知装置を交換する際は枕木と共に交換すればよいので、保守作業を容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記検知装置は距離を離して設置される第1装置と第2装置を有し、前記第1装置と第2装置との間に人又は物が入ったことを検知可能であり、
枕木本体には第1装置及び第2装置の少なくとも1つが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の枕木である。
【0013】
本発明の枕木は、枕木本体に第1装置と第2装置の少なくとも1つを設け、対になる第2装置と第1装置を任意の位置に配置し、第1装置と第2装置の間の人又は物を検知する構成にしてもよい。そのような構成によると、人又は物を検知する範囲を自由に設定することができる。つまり、軌道周辺の状況に応じて人又は物を検知する範囲を決定できるので、汎用性の高い運用が可能となる。例えば、橋梁上やトンネルの軌道近傍に設けるには、橋梁及びトンネルの両端部(出入り口部分)にレールの長手方向と垂直な方向に検知範囲を設けると効率が良い。また、路線の周囲にフェンスや壁が設けられていない場合は、レールの長手方向に沿うように検知範囲を設けることで、それらを補うことが可能となる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、前記検知装置が人又は物の存在を検知した際に報知する報知装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の枕木である。
【0015】
本発明の枕木は、検知装置が検知対象の存在を検知した際に報知する報知装置を備えている。そのため、鉄道軌道近傍の障害物の存在を周囲の人物に知らせることができる。したがって、知らされた人によって障害物等に対する素早い対応が可能になる。例えば、本発明の枕木を駅に設けた場合、駅職員が駆けつけて障害物を取り除くことができるといった効果が考えられる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、前記報知装置が、前記検知装置が検知した検知結果を外部に送信する情報送信装置であることを特徴とする請求項3に記載の枕木である。
【0017】
本発明の枕木は、検知装置が人や物の存在を検知した際に、検知結果を外部に送信する情報送信装置を備えている。そのため、運転手や管制室の人員のような、列車の運行を管理する人物に障害物の存在をいち早く知らせることが可能である。そのため、例えば、列車を早めに停止するといった、軌道上の人や物に対する列車運行上の素早い対応が可能となる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、枕木本体に発電装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の枕木である。
【0019】
本発明の枕木は、発電装置が設けられているため、外部から配線して電力を供給しなくてもよい。そのため、配線作業を行わなくてよいので枕木の交換が容易である。また災害及び事故発生時のように、外部からの電力供給に何らかの障害が発生した場合においても、侵入者の検知を継続することが可能である。
【0020】
請求項6に記載の発明は、前記発電装置が太陽電池であることを特徴とする請求項5に記載の枕木である。
【0021】
本発明の枕木は、発電装置が太陽光で発電するため、発電時に燃料を使用しない。そのため、経済的で効率よい発電が可能となる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、前記発電装置は電力を蓄電する蓄電部を備えたものであることを特徴とする請求項5又は6に記載の枕木である。
【0023】
本発明の枕木は、発電装置が電力を蓄電する蓄電部を備えているため、発電した電力を安定して供給させることが可能である。
【0024】
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の枕木を少なくとも1つ有する線路内侵入検知装置であって、前記検知装置は距離を離して設置される第1装置と第2装置を有し、前記第1装置と第2装置との間に人又は物が入ったことを検知可能であり、枕木の1つには前記第1装置が設けられ、前記枕木の近隣の枕木には前記第2装置が設けられていることを特徴とする線路内侵入検知装置である。
【0025】
本発明の線路内侵入検知装置は、請求項1乃至7のいずれかに記載の枕木を少なくとも1つ有する線路内侵入検知装置であって、いずれかの枕木の枕木本体に第1装置を取り付けており、第1装置を取り付けた枕木の近傍に第2装置を取り付けた枕木を配している。
そのような構成にすると、第1装置と第2装置が共に枕木上に配されるため、検知装置に光電センサーのような対向する位置に2つの部材を配するセンサーを使用する場合、高さ方向の位置合わせ(光軸合わせ)が容易になるという利点がある。
【発明の効果】
【0026】
本発明の枕木は、安価であって、耐久性が高く、取り換え作業が容易な枕木を提供できる。
本発明の線路内侵入検知装置も同様に、安価であって、耐久性が高く、枕木の取り換え作業が容易であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の実施形態における枕木の斜視図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における線路内侵入検知装置の平面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態における枕木の斜視図である。
【図4】本発明の第4の実施形態における短枕木の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、本発明の第1の実施形態における枕木1は、枕木本体2と、検知装置3,4、情報送信装置5、発電装置6から構成されている。以下具体的に説明する。
【0029】
枕木本体2は、外観が直方体の長尺状の部材であって、内部の中心付近に発電装置6の蓄電部8が配することのできる収納空間を有する。また内部に、詳しくは後述する電線11及び通信線12を通過可能な空間を有しており、内部に電線11や通信線12を配することができる。
【0030】
ここで、本発明における枕木本体2の素材は特に問われるものではなく、例えば、木、コンクリート、鉄、樹脂等適宜の材料によって形成してよく、それら適宜の材料を組み合わせて形成してよいが、繊維強化硬質樹脂発泡体を素材とする合成木材で形成されるのが好ましい。
発泡樹脂の種類としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化樹脂であって硬質のものが好適に使用される。尚、発泡樹脂中に、圧縮強度の向上や低コスト化を図るために、炭酸カルシウム、石膏、タルク、水酸化アルミニウム、クレーなどの無機充填材や、シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン等の軽量骨材が添加されても良い。板材の硬質樹脂発泡材を補強する繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機質繊維や、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維や天然繊維等の有機質繊維の何れかであればよいが、強度や経済性の面からガラス繊維が適している。繊維の形態は、ヤーン、クロス、ロービング、ロービングクロス、クロスマット等の長繊維形態のものが好適であり、必要に応じてチップ、ミドルファイバー等の短繊維やシラスバルーン等の中空充填材を併用しても良い。ガラス繊維としては、ガラスロービング、ガラスロービングクロス、ガラスマット、コンティニュアスストランドマット等の形態のものが挙げられる。この繊維は単独で使用しても良いし、2層以上積層して使用しても良く、また、長繊維と短繊維を混ぜて使用しても良い。最も好適な材料としては硬質ウレタン樹脂を長手方向へ引き揃えられたガラス長繊維で補強した発泡体である(例えば、商品名「エスロンネオランバー FFU」積水化学工業株式会社製)。
【0031】
検知装置3,4は対を成す1組のセンサーである。検知装置3は半導体レーザー等の発光素子を備え、検知装置4は受光素子を備えている。そして、発光素子から照射されたレーザー光を受光素子で検出する。そして、障害物がこのレーザー光の光軸を遮ることで、検知装置3,4は障害物の存在を検知する。
ここで、レーザー光は拡散しない性質を有するので、障害物の有無を判別する範囲を正確に特定することができる。つまり、可視光線を使用する一般的なセンサーでは、光が拡散することで、障害物の有無を判別する範囲が広がってしまう問題がある。そのことにより、列車そのものやレールの保守等に使用する事業用車等を障害物として認識してしまい、誤検知してしまう。しかしながら、本発明の検知装置はレーザーを使用するので、光が拡散しないためこのような誤検知を防ぐことができる。
【0032】
情報送信装置5は、検知装置3,4によって障害物が検知された際、障害物に関する情報を、ネットワークを介して外部へ送信する装置である。
ここで外部とは、ネットワークに接続された機器を制御するためのコンピュータでもよく、ATS(自動列車停止装置)やATC(自動列車制御装置)等のネットワークに接続された機器であって列車の運行を制御する機器そのものでもよい。つまり、枕木1の運用方法によって情報の送信相手は適宜変更してよい。
また、情報を送信する手段も光ファイバや電話線を用いる有線通信によるものでもよく、光や電波を使った無線通信でもよい。すなわち、検知結果の送信方法も何らかの方法に限られるものではなく必要に応じて適宜変更してよい。
【0033】
発電装置6は、発電部7と蓄電部8から構成されており、発電部7で発電した電気を蓄電部8に蓄えることができる。ここで、発電部7には太陽電池モジュールを使用する。太陽電池モジュールとは、太陽光の光エネルギーを電力に変換して出力することができる太陽電池を複数枚接続して構成されるものである。また、蓄電部8には、リチウムイオン二次電池やニッケル・カドミウム蓄電池等の小型化可能な二次電池を使用する。そして、これら発電部7と蓄電部8を電線11によって接続して発電部6として使用する。なお、この電線11には周知の絶縁電線やケーブル等が使用されている。
【0034】
次に、枕木1の組み立て構成について説明する。
【0035】
第1の実施形態の枕木1は、図1に示すように、上面中央近傍には、発電装置6の発電部7が配されており、内部の中心付近に発電装置6の蓄電部8が配されている。これは、枕木本体2が内部に蓄電部8を収納可能な空間を有しており、蓄電部8を配置した後で、適宜の部材を用いて外側から該空間を閉塞することによって、蓄電部8が内部に配されるものである。
【0036】
また、発電部7と蓄電部8は、電線11によって、電気を伝導することができる状態で接続されている。この電線11は、枕木本体2の内部を通過するように配されている。
【0037】
また、公知の枕木と同様に、枕木本体2の上面の適宜の位置にレール31がレール支持部32によって取り付けられている。
【0038】
ここで、レール31は従来周知のレールであり、適宜のものが使用される。
【0039】
また、レール支持部32は、従来周知のレール締結用タイプレートや板バネ式締結装置等のレールを固定する部材である。
【0040】
さらに、レール31より端部よりの位置に情報送信装置5が取り付けられており、さらに端部よりの位置に検知装置3が枕木本体2と略一体に取り付けられている。そして、検知装置4が、検知装置3と対向するように枕木本体2から外れた位置に配されている。なお図1では、作図の都合上検知装置4が枕木本体2と近い位置に記載されているが、実際には、検知範囲を効果的に設定するために、十分に離れた位置に配置される。
これら検知装置3と情報送信装置5は、蓄電部8と枕木本体2の内部を通過する電線11によって接続されており、蓄電部8から電力の供給を受けることができる。また、検知装置3と情報送信装置5の間は、枕木本体の内部を通過する通信線12によって接続されており、検知装置3が検知した情報を情報送信装置5に伝達することができる。
【0041】
このように構成した枕木1によれば、仮に検知装置3や情報送信装置5が故障しても枕木1を交換するだけで復旧することができる。さらに、発電装置6を有し、枕木本体2の内部に電線11、通信線12を有しているので、枕木交換時に配線作業等を行わなくてよい。そのため、保守作業が容易である。
【0042】
また、検知装置3の向き、検知装置4の位置を変更することにより、障害物の検知範囲を自由に設定することが可能なため、汎用性の高い運用が可能となる。
【0043】
さらに、検知装置3と情報送信装置5を枕木本体2の上面に配置しており、検知装置4を検知装置3の同等の高さに配している。つまり、地面から高さを設けて配置しているため、集中豪雨等により鉄道軌道周辺の水位が上昇した場合でも、各機器の水没による故障が発生しにくい。
【0044】
加えて、電線11及び通信線12が枕木本体2の内部に配されており、露出していない。そのため、断線等の障害が発生する可能性を低減することができる。
【0045】
なお、以下では第2の実施形態から第4の実施形態までを順に説明するが、第1の実施形態における枕木1と同様の構造及び材料等、同様の説明については、同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0046】
第2の実施形態の線路内侵入検知装置41は、図2に示される様に、実施形態1と同様の構成の枕木52と、枕木52と同じレールを支えている近隣の枕木である枕木53を有し、枕木53の枕木本体の上面に検知装置4及び発電装置6を設けたものである。
このような構成によると、検知装置3,4が同じ大きさの枕木上面に配されているので、高さ方向の位置合わせが容易である。また、検知装置4に発電装置6から電力を供給できるので、外部から取得する必要がない。
【0047】
第3の実施形態の枕木42は、図3に示される様に、第1の実施形態の枕木本体2の上面に新たな報知装置である警報機20を配し、検知装置4を複数配した枕木である。警報機20は、情報送信装置5と同様に検知装置3と通信線12によって接続されており、検知装置3が検知した情報を取得することができる。また、警報機20は蓄電部8と電線11で接続されており、蓄電部8から電力の供給を受けることができる。
このような構成によると、運転手や管制室の人のような列車の運行に係わる人に障害物の情報を提供するとともに、近隣の人にも障害物の存在を知らせることができる。
また、検知装置4を複数設けることにより、検知装置4が1つの場合と比べて、障害物を検知する範囲を広げることができる。
【0048】
即ち、本発明の枕木では、報知装置はネットワーク等の通信手段を介せず、直接、枕木近傍にいる人に対して報知してもよい。また、報知装置は異なる機能を持つ報知装置を複数用いてもよい。
【0049】
さらに本発明の枕木では、検知装置3,4は1対1の組でなくてよい。すなわち、図3のように、ひとつの検知装置3に対して複数の検知装置4を組み合わせてもよいし、複数の検知装置3に対してひとつの検知装置4を組み合わせてもよい。また、複数の検知装置3と複数の検知装置4を組み合わせてもよい。その際、検知装置3,4の配置は任意であり、例えば、1つの枕木に検知装置3又は検知装置4を任意の数だけ配置してよいし、検知装置3と検知装置4の両方を任意の数ずつ配してもよい。
【0050】
第4の実施形態の枕木43は、図4に示される様に、第1の実施形態の枕木本体2を短枕木本体50に変更した場合を示す変形例である。即ち、本発明における検知装置3又は検知装置4を有する枕木本体は、その大きさや形状は必須でなく、短枕木や縦枕木、分岐枕木等様々な枕木に検知装置3又は検知装置4を配することができる。
【0051】
上記した各実施形態では、発光素子を有する検知装置3と、受光素子を有する検知装置4の間にレーザー光を照射して、検出対象となる障害物がレーザー光を遮った際に障害物の存在を検知する方法を用いたが、本発明のセンサーによる検知方法及び枕木に配するセンサー(検知装置)はこれに限るものではない。
【0052】
例えば、検知装置3に発光素子及び受光素子を配し、検知装置4の代わりに反射板を設け、反射板から戻ってくる光を障害物が遮った際に障害物を検知する方法でもよい。
このような構成によれば、光軸合わせが容易であり、配線が簡単になるという利点がある。
【0053】
さらに、検知装置3に発光素子及び受光素子を配し、任意の方向にレーザー光を照射し、障害物に光が当たった際の反射光を検出することにより、障害物を検知する方法でもよい。このような構成によれば、配置する検知装置が1基のみになりスペースをとらないといった利点や、光軸合わせが必要ないという利点がある。
【0054】
ここで上記した理由により、検知装置が発する光は拡散しないレーザー光が好ましいが、検知装置が発する光はこれに限られるものではない。即ち、可干渉性の高くない可視光線、紫外線又は赤外線を用いてもよい。
検知装置は、光を照射して、遮光や光量の変化を検出する所謂光電センサーでなくてもよい。例えば、超音波を使用したものや、マイクロ波や磁気体を用いたもの、人の体温等温度を検知するもの等を用いてもよい。要は特定の位置にある障害物を非接触の状態で検知できればよい。
【0055】
上記した各実施形態の発電装置6は、発電部7に太陽電池モジュールを用いて太陽光から発電を行ったが、発電部7の発電方法はこれに限るものではない。例えば、圧電素子や人工筋肉等を使用して列車走行等による振動エネルギーを用いて発電を行ってもよい。
その際、圧電素子には水晶・ロシェル塩・チタン酸バリウム等の任意の結晶を使用するものとする。また、人工筋肉とは、誘電性エラストマーを用いたもので、電極間に挟まれた誘電性エラストマーに電極間方向に圧縮歪みを発生させる事により電圧が生じるものである。また、その他にも、風力等適宜な手段によって発電する構成であっても構わない。
【0056】
また、発電装置6は必ずしも蓄電部8を設ける必要はない。発電部7と検知装置3,4又は情報送信装置5を直接電線11で接続してもよい。しかしながら、この構成では電力の供給量が不安定になるので、外部電力との併用型にしたり、蓄電部8を設けたりする構成がより望ましい。
【0057】
なお、発電装置6を設けず、外部の電源から検知装置3,4又は情報送信装置5に電力を供給してもよい。その場合、検知装置3,4又は情報送信装置5電気を供給する回路が必要となる。そのような構成にする場合は電気を供給する回路と外部電源との配線が容易であることが望ましい。
【符号の説明】
【0058】
1,42,43,52,53 枕木
2 枕木本体
3 検知装置(第1装置)
4 検知装置(第2装置)
5 情報送信装置
6 発電装置
8 蓄電部
20 警報機(報知装置)
41 線路内侵入検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知装置と枕木本体とを備えた枕木であって、
前記検知装置は人又は物の存在を非接触で検知可能であり、検知装置の少なくとも一部が枕木本体の表面に設けられていることを特徴とする枕木。
【請求項2】
前記検知装置は距離を離して設置される第1装置と第2装置を有し、前記第1装置と第2装置との間に人又は物が入ったことを検知可能であり、
枕木本体には第1装置及び第2装置の少なくとも1つが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の枕木。
【請求項3】
前記検知装置が人又は物の存在を検知した際に報知する報知装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の枕木。
【請求項4】
前記報知装置が、前記検知装置が検知した検知結果を外部に送信する情報送信装置であることを特徴とする請求項3に記載の枕木。
【請求項5】
枕木本体に発電装置が取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の枕木。
【請求項6】
前記発電装置が太陽電池であることを特徴とする請求項5に記載の枕木。
【請求項7】
前記発電装置は電力を蓄電する蓄電部を備えたものであることを特徴とする請求項5又は6に記載の枕木。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の枕木を少なくとも1つ有する線路内侵入検知装置であって、前記検知装置は距離を離して設置される第1装置と第2装置を有し、前記第1装置と第2装置との間に人又は物が入ったことを検知可能であり、
枕木の1つには前記第1装置が設けられ、前記枕木の近隣の枕木には前記第2装置が設けられていることを特徴とする線路内侵入検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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