説明

枚数検査装置

【課題】封筒に封入する前又は後にも、可及的正確に用紙の枚数を検出できる枚数検査装置を提供する。
【解決手段】枚数検査装置は、所定間隔をおいて配置された一対の導体5,5を有する静電容量センサ4と、用紙が封入された封筒を一対の導体の間を通過するように搬送する搬送手段6と、導体間を封筒が通過した時に静電容量センサが出力する静電容量の変化から封筒内にある用紙の枚数を検査する制御手段7とを具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量センサにおける静電容量の変化を利用して用紙の枚数を検査することができる枚数検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば企業その他の団体では、ユーザー等に対して種々の目的で印刷物等を封書で発送することがあるが、作業量が多い場合には、必要な文書を封筒に挿入する作業は自動機械を用いることがある。
【0003】
その場合、封筒に封入すべき文書は、当然のことながら目的に応じて枚数が定められている。また、封筒に封入する用紙の枚数は郵便料金にも関係しており、不要な用紙を封入して枚数が増えてしまえば、料金が嵩んで受取人の負担となってしまう不都合が生じる可能性もある。従って、手作業にしろ自動機械にしろ、封筒に用紙を封入する段階で用紙の枚数は厳重に管理する必要がある。
【0004】
そこで、定められた必要な枚数の用紙を封筒に封入するために、用紙に必要な画像を形成して排出する画像形成装置では、印刷枚数を管理するために有用な構成を有しているものがある。例えば下記特許文献1に開示されている画像形成装置では、原稿画像と部数を指定して転写紙上に画像形成を行い、画像形成された転写紙を排紙トレイに排紙する画像形成装置であるが、上記排紙トレイに排紙された転写紙を排紙センサで検知し、検知したその枚数を排紙カウンタでカウントし、そのカウント数と、原稿枚数と部数から算出される設定枚数を比較手段で比較し、カウント数と設定枚数が一致したとき、作業の完了を報知できるようにしている。
【0005】
この画像形成装置によれば、原稿枚数と部数から算出される設定枚数の画像形成が実際に行なわれたか否かを、実際に排出された用紙のカウント値で確認するので、排紙トレイに排出された用紙を封筒に封入すれば、用紙の枚数ミスは発生しにくいと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−255789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献1に記載の発明によれば、用紙が給紙段階で重送された場合、すなわち給紙段階で2枚の用紙が貼り付いて送り出されてしまい、そのまま片方のみに印刷されて排出されてしまった場合には、排出トレイに排出される段階で排紙センサで検知しても正確な枚数検知を行なうことはできなかった。
【0008】
以上の問題点に鑑みると、用紙を封筒に封入する前の段階で用紙の枚数を検査し、又は封入した後、発送する最終工程の直前の段階で封筒内の用紙の枚数を検査できれば、発送すべき用紙の枚数を間違えるミスを無くす上で効果的である。そこで本発明は、封筒に封入する前又は封入した後にも、可及的正確に用紙の枚数を検出することができる枚数検査装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された枚数検査装置は、被検出媒体束を構成する媒体の枚数を検査する枚数検査装置において、
所定の間隔をおいて配置された一対の導体を有する静電容量センサと、
前記一対の導体の間を通過するように前記被検出媒体束を搬送する搬送手段と、
前記一対の導体の間を前記被検出媒体束が通過した時に前記静電容量センサが出力する静電容量の変化から前記被検出媒体束を構成する媒体の枚数を検査する制御手段と、
を具備することを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載された枚数検査装置は、請求項1記載の枚数検査装置において、
前記被検出媒体束を構成する媒体には各媒体ごとに異なる位置に誘電体を含む検査領域が形成されており、
前記誘電体は、水、チタン酸バリウム、酸化チタン、メタノール、エタノール、エチルアルコール、エマルジョンインクからなる群から選択された少なくとも一の材料である
ことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載された枚数検査装置は、請求項1に記載の枚数検査装置において、
前記静電容量センサは、前記被検出媒体束の異なる2以上の位置を検査し、
前記制御手段は、前記各位置における前記静電容量センサの検査結果から前記被検出媒体束を構成する媒体の丁合と折りの少なくとも一方をさらに検査する
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された枚数検査装置によれば、搬送手段で被検出媒体束を搬送し、静電容量センサの一対の導体の間を通過させる。静電容量センサの静電容量は、一対の導体間に被検出媒体束がある場合は、被検出媒体束を構成する媒体の枚数に対応して上昇する。制御手段は、このような静電容量センサにおける静電容量の変化から、一対の導体間を通過した又は一対の導体間に存在する前記被検出媒体束を構成する媒体の枚数を検査することができる。
【0013】
請求項1に記載された枚数検査装置によれば、より具体的には次のような効果を達成することができる。例えば、被検出媒体束が封入された封筒を搬送手段で搬送し、静電容量センサの一対の導体の間を通過させる。静電容量センサの静電容量については、一対の導体間に空の封筒だけがある場合の値は予め判明しており、また一対の導体間に被検出媒体束がある場合は、被検出媒体束を構成する媒体の枚数に対応して上昇する静電容量の変化量も判明している。従って、制御手段は、このような静電容量センサにおける静電容量の変化から、一対の導体間にある封筒の内部に封入された被検出媒体束を構成する媒体の枚数を検査することができる。
【0014】
請求項2に記載された枚数検査装置によれば、請求項1に記載の枚数検査装置による効果において、さらに次のような効果を達成することができる。すなわち、被検出媒体束を構成する媒体には各媒体ごとに異なる位置に、誘電体を含む検査領域が形成されており、この検査領域は、静電容量センサで各媒体の他の検査領域と区別して検出することができる。従って、複数種類の媒体を重ねた被検出媒体束を静電容量センサの一対の導体間に通した場合、各媒体の各検査領域以外の部分での静電容量の変化と、各媒体の各検査領域における静電容量の変化は変化量が互いに異なり、また各媒体の各検査領域に起因する静電容量の変化は、各検査領域が形成された異なる位置に対応した異なるタイミングで出力されることとなる。従って、制御手段は、このような静電容量センサにおける静電容量の変化及び変化出力のタイミングから、一対の導体間を通過した被検出媒体束を構成する媒体の種類の組み合わせ(丁合)と、媒体の枚数を検査することができる。
【0015】
さらに請求項2に記載された枚数検査装置によれば、誘電体を、水、チタン酸バリウム、酸化チタン、メタノール、エタノール、エチルアルコール、エマルジョンインクで構成したので、検査後には水、メタノール、エタノール、エチルアルコールは蒸発し、又は溶剤が蒸発して白いチタン酸バリウムのみとなり、又は顔料のないエマルジョンインクであれば蒸発して痕跡がなくなり、何れも検査領域が見えなくなるので、検査領域が媒体の見栄えに悪影響を与えるおそれはない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態の検査対象を示す斜視図である。
【図2】第1実施形態の斜視図である。
【図3】第2実施形態の検査対象を示す斜視図である。
【図4】第2実施形態の斜視図である。
【図5】第2実施形態における静電容量センサの出力波形を示す波形図である。
【図6】第2実施形態の変形例を示す図である。
【図7】第3実施形態における重送検知とみみ折れ検知を示す斜視図である。
【図8】第3実施形態における折りの丁合い検知を示す斜視図である。
【図9】第3実施形態に係る折りの丁合い検知において丁合い状況と2つの静電容量センサによる検知結果の対応を一覧形式で示す表図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に説明する各実施形態に係る枚数検査装置は、被検出媒体である用紙を重ねた被検出媒体束を検査対象としており、被検出媒体束を構成する媒体の枚数を検査するものである。なお、本発明及びその実施形態においては、被検出媒体束とは複数枚の媒体のみを意味するものではなく、1枚の媒体も含まれるものとする。
【0018】
1.第1実施形態(図1〜図2)
図1に示すように、本実施形態の枚数検査装置1は、封筒2に封入して発送する印刷物等のシート状物である被検出媒体としての用紙3を、封筒2に封入してからカウントして枚数を検査することができる。なお、本装置1は、画像形成装置から排出される印刷物等の用紙3を封筒2に封入する自動封入装置に付設することができる。
【0019】
図2に示すように、本実施形態の枚数検査装置1は、所定の間隔をおいて配置された一対の導体5,5を有する静電容量センサ4を備えている。静電容量センサ4における静電容量の大きさは、一対の導体5,5の距離と導体間の材質によって決まる。本実施形態では、一対の導体5,5の距離が固定されているので、静電容量の大きさは一対の導体5,5の間にある物質に依存し、静電容量の変化から一対の導体5,5の間を通過した用紙3の厚さすなわち枚数を検出することができる。
【0020】
図2中に矢印にて機能を模式的に示すように、本実施形態の枚数検査装置1は、用紙3が封入された封筒2を搬送して静電容量センサ4の一対の導体5,5の間を通過させる搬送手段6を備えている。この搬送手段6としては、静電容量の変化が封筒2のみに起因するものとなるように、静電容量に影響を与えずに封筒2を搬送できるものであれば特に構造を限定するものではないが、例えば一対の導体5,5の間よりも外側において被搬送物の両縁部を保持し、一対の導体5,5の間を通過させることができる構造の装置が採用できる。
【0021】
図2に示すように、本実施形態の枚数検査装置1は、前記一対の導体5,5の間を封筒2が通過した時に、静電容量センサ4が出力する静電容量の変化から、封筒2内にある用紙3の枚数を算出して検査する機能を備えた制御手段7を備えており、この制御手段7としては汎用のPC等を採用することができる。静電容量センサ4の静電容量に関するデータは実験により予め判明している。すなわち、一対の導体5,5間に何もない場合の値や、一対の導体5,5間に空の封筒2だけがある場合の値は予め測定して知られており、さらには一対の導体5,5間に用紙3がある場合には、その枚数に対応して上昇する静電容量の変化量も測定されている。例えば、紙一枚の静電容量を測定した場合と、紙5枚の静電容量を測定した場合とでは、値が約5%上昇しているので、その上昇の程度に応じて封筒2内にある用紙3の枚数を推定することができる。制御手段7は、このような静電容量センサ4の静電容量又は静電容量センサ4における各被検査物に対応する静電容量の変化量をデータとして予め保持しており、検査時には静電容量センサ4の静電容量の変化と、前記データから、一対の導体5,5間にある封筒2の内部に何枚の用紙3が封入しているかを演算して検査することができる。
【0022】
図2に示すように、本実施形態の枚数検査装置1によれば、複数枚の用紙3を封入した封筒2を搬送手段6により搬送して静電容量センサ4を通過させ、一対の導体5,5間の静電容量の変化を検出して制御手段7で処理すれば、封筒2内に何枚の用紙3が入っていたかを検出することができる。従って、用紙3を封筒2に封入した後であっても、内容物の枚数に過誤がなかったかを検査することができ、発送直前の工程で最終的なチェックを行なって封書の発送作業の正確性に万全を期することができる。
【0023】
封筒2に封入した用紙3の枚数検査の手段としては、重量測定によって内容物の枚数を検査する方法があるが、この方法では、重量測定装置の目盛りが落ち着くまで相当の時間を要するため、特に多数の封筒を検査しなければならない場合には全体として膨大な時間がかかってしまう。これに対し、画像形成装置の後に自動封緘装置を設置した場合、この自動封緘装置の後段に本実施形態の枚数検査装置1を設置すれば、オンラインでの検査が可能となり、極めて短い時間で多数の封筒2を検査できる。
【0024】
また、封筒に封入した用紙の枚数検査の他の手段としては、用紙に磁気インクでパターニングを行なう手法があるが、この方法によれば誤封入を防ぐことはできるが、磁気インクのコストが嵩み、また内容物に対する検査目的のためだけのパターニングは外観上好ましくない。本実施形態によれば、用紙3ごとに磁気インクでパターニングするためのコストは必要なく、また用紙3の外観も損なわれない。
【0025】
2.第2実施形態(図3〜図6)
本実施形態に係る枚数検査装置1は、封筒2に封入して発送する用紙3を、封筒2に封入してからカウントして枚数を検査することができるとともに、封筒2内に封入された用紙3の種類(丁合)を検査することもできる。なお、第1実施形態と同様の部分については第1実施形態の記載を援用して説明を省略する。
【0026】
図3に示すように、本実施形態では、すべての用紙3(3a,3b,3c)には、各用紙3(3a,3b,3c)の種類ごとに異なる位置に、検査領域8(8a,8b,8c)が設けられている。この検査領域8(8a,8b,8c)は、静電容量センサ4によって検出される静電容量値が周囲の紙自体の領域と異なるように、誘電体を塗布したものである。本実施形態の検査領域8(8a,8b,8c)は、図示のように適当な大きさの正方形とされているが、形状と誘電体の種類が一定であれば、その他の構成でもかまわない。
【0027】
本実施形態では、前記誘電体としては、水、チタン酸バリウム、酸化チタン、メタノール、エタノール、エチルアルコール、エマルジョンインクを使用することができる。水、メタノール、エタノール、エチルアルコールで検査領域8(8a,8b,8c)を形成すれば、検査後、ある程度の時間が経過すれば溶液は蒸発して用紙3の外観には何らの痕跡は残らない。チタン酸バリウム又は酸化チタンを使用する場合には、チタン酸バリウム又は酸化チタンと、溶剤と、つなぎ用の樹脂及び安定化用の添加剤からなる溶液を調整し、これによって検査領域8(8a,8b,8c)をパターニングすればよい。この場合には、パターニング後、溶剤が蒸発すれば、用紙3上に残るのは白いチタン酸バリウム又は酸化チタンが主になるので殆ど用紙3の外観を損なうことがない。チタン酸バリウムと酸化チタンの両方を用いても良い。エマルジョンインクを使用する場合にはW/O型エマルジョンインク、O/W型エマルジョンインクのどちらでもよく、顔料が未含有のエマルジョンインクで検査領域8(8a,8b,8c)を形成すれば、検査後、ある程度の時間が経過すれば、エマルジョンインクは蒸発して用紙3の外観には何らの痕跡も残らない。なお、水、メタノール、エタノール、エチルアルコールの場合にしろ、チタン酸バリウム、酸化チタンの溶液にしろ、又はエマルジョンインクにしろ、検査領域8(8a,8b,8c)のパターニングのためには、インクジェット装置を使用することができる。また、スクリーン印刷やマーカーを用いたパターニングでもよい。
【0028】
本実施形態の枚数検査装置1によれば、封筒2に封入される用紙3の検査領域8(8a,8b,8c)は、用紙3の種類ごとに異なる位置に形成されているので、複数種類の用紙3を重ねて封筒2に封入した場合、図3の封緘後を示す最終図に示すように、種類の異なる用紙3の各検査領域8(8a,8b,8c)は、1通の封筒2の異なる場所に配置されることとなる。従って、図4に示すように、この封筒2を静電容量センサ4の一対の導体5,5間に通した場合、種類の異なる各用紙3の各検査領域8a,8b,8cに起因する静電容量の変化は、各検査領域8a,8b,8cが形成された異なる位置に対応した異なるタイミングで静電容量センサ4から出力されることとなり、これによって封筒2に封入されている用紙3の種類が判明し、丁合を検査することができる。なお、封筒2及び用紙3の検査領域8(8a,8b,8c)以外の部分での静電容量の変化と、各用紙3の各検査領域8a,8b,8cにおける静電容量の変化は変化量が互いに異なるので、用紙3の枚数が判明することはもちろんである。
【0029】
図5は、本実施形態における静電容量センサ4の出力波形を示す波形図であり、図3に示したように、1番から3番までの3種類の用紙3a,3b,3cを1枚ずつ合計3枚封入した封筒2を一定の速度で静電容量センサ4に通して実際に検査した場合に、正規の封入や誤封入の場合等、得られる可能性のある種々のケースについて例示した波形例である。この図では、横軸は測定タイミングを示す経過時間tであり、縦軸は静電容量センサ4の出力Sを示す数値を相対値で示している。なお、この場合、封筒2のみの静電容量センサ4の出力Sは2であり、各用紙3の地の部分における静電容量センサ4の出力Sは1であり、各用紙3の検査領域8(8a,8b,8c)における静電容量センサ4の出力Sは2である。
【0030】
図5(a)は、3枚の用紙3の検査領域8(8a,8b,8c)以外の部分と封筒2とが重なった部分が、S=5である地の信号波形として出力され、その上に、各検査領域8a,8b,8cに対応するS=6の矩形の波形が、異なる時刻t1〜t3で3つ出力されており、制御手段7によれば、これは3種類の用紙3a,3b,3cを1枚ずつ合計3枚正規の丁合で封入した場合であると判定される。
【0031】
図5(b)は、2枚の用紙3b,3cの検査領域8b,8c以外の部分と封筒2とが重なった部分が、S=4である地の信号波形として出力され、その上に、1番の検査領域8aに対応する時刻t1には検査領域8aに対応する出力はなく、2番及び3番の各検査領域8b,8cに対応する時刻t2及びt3にはS=5の矩形の波形がそれぞれ出力されており、制御手段7によれば、これは1番の用紙3aを除く2番と3番の2種類の用紙3b,3cを1枚ずつ合計2枚封入した場合であり、1番落ちの落丁であると判定される。
【0032】
図5(c)は、3枚の用紙3a,3b,3cの各検査領域8a,8b,8c以外の部分と封筒2とが重なった部分が、S=5である地の信号波形として出力され、その上に、1番の検査領域8aに対応する時刻t1にはS=7の矩形の波形が出力され、2番の用紙3bの検査領域8bに対応する時刻t2には検査領域8bに対応する出力はなく、3番の用紙3cの検査領域8cに対応する時刻t3にはS=6の矩形の波形が出力されており、制御手段7によれば、これは1番の用紙3aが2枚で、2番の用紙3bがなく、3番の用紙3cが1枚である合計3枚封入の場合であり、2番落ちの1番重送であると判定される。
【0033】
このように、本実施形態によれば、静電容量センサ4における静電容量の変化及び変化出力のタイミングから、一対の導体5,5間を通過した封筒2の内部に封入された用紙3の種類の組み合わせ(丁合)と、封入されている用紙3の枚数を検査することができる。
【0034】
図6は、本実施形態の変形例を示す図である。第2実施形態では、封緘後に封筒2内にある用紙3の枚数と丁合を検査したが、この変形例では、図6(a)に示すように、用紙3に検査領域8を形成し、図6(b)に示すように、封緘前に、用紙3を直接静電容量センサ4で検出して種類を確認することができるので、図6(c)に示すように、検査済みの用紙3を封筒2に封入すれば、誤封入を防止することができる。検査領域8の形成方法や材料等は第2実施形態と同一である。
【0035】
3.第3実施形態(図7〜図9)
画像形成装置の後段には、フィニッシャと呼ばれる用紙処理装置が配置されることがある。このフィニッシャは、画像が形成された用紙3に対して、折り・丁合い・パンチ・ステープル等の処理を行なう装置である。本実施形態に係る枚数検査装置1’は、このようなフィニッシャに付設して、ステープルされる一束の用紙3の枚数や丁合い、用紙3の角が不正規に折れ曲がるみみ折れの有無等を検査する目的で使用することができる。
【0036】
図7に示すように、本実施形態の枚数検査装置1は、フィニッシャで最終的にはステープルされる重ねられた複数枚の用紙3を、異なる2つの位置で検査する静電容量センサ4を備えている。用紙3の異なる2位置を検査するためには、用紙3に1つの静電容量センサ4を通過させながら2回の測定を行なってもよいが、本実施形態では、所定位置に配置された用紙3の異なる2位置を測定する2個の静電容量センサ4を設けている。より具体的には、本実施形態の枚数検査装置1は、画像形成装置から排出された用紙3が積載されるフィニッシャのスタッカーに設けられ、所定枚数の用紙3が排出された後に、これら用紙3をステープルする前に枚数等を検査するものである。なお、図7及び図8では、用紙3にステープルされた針9が示されているが、これはステープル位置を示すものであり、実際にはステープル前に検査し、不良のあるものはステープルせずに排除する。
【0037】
図7は、本実施形態における重送検知とみみ折れ検知の状況を示す斜視図である。この例では、所定サイズ(例えばA4)の用紙3を10枚重ねてステープルすることを予定しており、フィニッシャのスタッカーに予定枚数(10枚)の用紙3が排出された後に、検査を行なう。用紙3の幅方向の下側2隅に配置された2個の静電容量センサ4a,4bが用紙3を検出し、静電容量の変化から制御手段7がその枚数を算出する。図示の例では、綴じ側(木口)である左側の静電容量センサ4aの出力によれば用紙3が10枚であり、開き側である右側の静電容量センサ4の出力によれば用紙3が9枚である。ここで画像形成装置からのJOB信号によれば用紙3枚数は10枚であるので、制御手段7は静電容量センサ4a,4bからの信号とこのデータとを比較し、JOBデータ通りに用紙3は10枚揃っているが、うち1枚にみみ折れが発生していると判断し、NGとしてステープルしないようにフィニッシャに中止信号を出力し、この用紙束をラインから排除させる。
【0038】
図8は、本実施形態における折りの丁合い検知の状況を示す斜視図である。この例では、1組の用紙束は、例えばA4の用紙3が9枚と、片側半分を3つ折りしたA2の用紙3が1枚とからなり、これらを重ねてステープルすることを予定しており、フィニッシャのスタッカーに予定枚数(合計10枚)の用紙3が排出された後、ステープルされる前に検査を行なう。図示の例では、綴じ側(木口)である左側の静電容量センサ4aの出力は、重ねられた用紙3の枚数そのものに対応しているが、開き側である右側の静電容量センサ4bの出力は、3つ折りによって検査対象となる用紙3の枚数が左側よりも増えることとなる。このように、本例では、静電容量センサが4aと4bの2個であり、重ねて揃えた用紙3の幅方向について異なる位置を検査し、各位置ごとに静電容量の変化から制御手段7が用紙3の枚数を算出するので、枚数だけでなく、2個のセンサの出力から検出される用紙3の枚数の組み合わせに応じて3つ折りの有無も含めた丁合についても検査を行なうことができる。
【0039】
図9は、本実施形態に係る折りの丁合い検知において、丁合い状況と2つの静電容量センサ4a,4bによる検知結果の対応を一覧形式で示している。ここで、丁合の状態が(1)のケースでは、静電容量センサ4aの出力に基づいて制御手段7が検出した枚数は10枚であり、静電容量センサ4bの出力に基づいて制御手段7が検出した枚数は12枚となった。画像形成装置からのJOB信号によれば用紙3枚数はA4の用紙3が9枚と、片側半分を3つ折りしたA2の用紙3が1枚の合計10枚であるので、制御手段7は静電容量センサ4a,4bからの信号とこのデータとを比較し、JOBデータ通りの正常状態であると判断し、フィニッシャに処理続行信号を出力する。
【0040】
図9において丁合の状態が(2)のケースでは、静電容量センサ4aの出力に基づいて制御手段7が検出した枚数は9枚であり、静電容量センサ4bの出力に基づいて制御手段7が検出した枚数も9枚となった。画像形成装置からのJOB信号によれば用紙3の枚数はA4用紙3が9枚、片側半分を3つ折りしたA2用紙3が1枚の合計10枚であるので、制御手段7は静電容量センサ4からの信号とこのデータとを比較し、3つ折りのA2用紙3が落丁している可能性がある異常状態であると判断し、フィニッシャに中止信号を出力し、この用紙束をラインから排除させる。
【0041】
図9において丁合の状態が(3)のケースでは、静電容量センサ4aの出力に基づいて制御手段7が検出した枚数は9枚であり、静電容量センサ4bの出力に基づいて制御手段7が検出した枚数は11枚となった。画像形成装置からのJOB信号によれば用紙3の枚数はA4の用紙3が9枚、片側半分を3つ折りしたA2用紙3が1枚の合計10枚であるので、制御手段7は静電容量センサ4a,4bからの信号とこのデータとを比較し、3つ折りのA2用紙3以外のA4用紙3が1枚落丁している可能性がある異常状態であると判断し、フィニッシャに中止信号を出力し、この用紙束をラインから排除させる。
【0042】
なお、図9には例示しなかったが、用紙3を規定枚数よりも多く排出してしまった場合にも、静電容量センサ4a,4bの出力に基づく制御手段7の働きにより、用紙3の枚数を検出してフィニッシャにおけるエラー検知をすることができる。
【符号の説明】
【0043】
1,1’…枚数検査装置
2…封筒
3,3a,3b,3c…被検出媒体束を構成する媒体としての用紙
4,4a,4b…静電容量センサ
5…導体
6…搬送手段
7…制御手段
8.8a.8b.8c…検査領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出媒体束を構成する媒体の枚数を検査する枚数検査装置において、
所定の間隔をおいて配置された一対の導体を有する静電容量センサと、
前記一対の導体の間を通過するように前記被検出媒体束を搬送する搬送手段と、
前記一対の導体の間を前記被検出媒体束が通過した時に前記静電容量センサが出力する静電容量の変化から前記被検出媒体束を構成する媒体の枚数を検査する制御手段と、
を具備することを特徴とする枚数検査装置。
【請求項2】
前記被検出媒体束を構成する媒体には各媒体ごとに異なる位置に誘電体を含む検査領域が形成されており、
前記誘電体は、水、チタン酸バリウム、酸化チタン、メタノール、エタノール、エチルアルコール、エマルジョンインクからなる群から選択された少なくとも一の材料である
ことを特徴とする請求項1に記載の枚数検査装置。
【請求項3】
前記静電容量センサは、前記被検出媒体束の異なる2以上の位置を検査し、
前記制御手段は、前記各位置における前記静電容量センサの検査結果から前記被検出媒体束を構成する媒体の丁合と折りの少なくとも一方をさらに検査する
ことを特徴とする請求項1に記載の枚数検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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